JP4679287B2 - 蹴り出し機構及び収納装置 - Google Patents

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本発明は、カード等の物品を、ケースに押し入れて収納位置にし、該収納位置から再び押して該押し力を解放すると、引抜可能な突出位置まで移動する蹴り出し機構及びそれを利用した収納装置に関する。
図6は自動車の運転席側を示し、符号50は車室前側に配置されているインストルメントパネル、符号51は車室の左右中間で前後方向に配置されているセンターコンソールである。車室内には、各種の収納装置が設けられており、そのなかで、ドライバーが専ら使用するものとしては、例えば、インストルメントパネル50だとステアリング52の近くに設けられている収納装置54、センターコンソール51だとシフトレバー53の近くに設けられている収納装置55などが挙げられる。各収納装置54や55はカードを入れておくホルダーであり、収納装置54は出入口として前側を開口しカードを水平方向に押し込むタイプ、収納装置55は出入口として上側を開口しカードを縦方向に押し込むタイプである。
以上の収納装置は、特許文献1に例示されるように、物品であるカードを、ケースに出入口から押し入れて収納位置にし、該収納位置から再び押して該押し力を解放すると、引抜可能な突出位置まで移動する蹴り出し機構を採用していると便利である。ここで、特許文献1の蹴り出し機構は、ケース内に配設されてカードで押し込まれるスライダーと、前記スライダーを抜出方向へ付勢する付勢部材と、前記スライダーをカード収納位置で係止及び係止解除するラッチ手段とを少なくとも備え、カードがケース内に入れられると、スライダーが付勢手段の付勢力に抗して押し込まれて、カード収納位置に達すると、ラッチ手段がスライダーを係止し、又、カードを再び押して該押し力を解放したときに係止解除されて付勢部材の付勢力により引抜可能な突出位置まで蹴り出される。このため、この収納装置では、カードを収納位置から簡単に取り出すことができる。
実用新案登録第2603677号公報
上記文献1の蹴り出し機構は、スライダー及び付勢部材と共にラッチ手段を必須としているため複雑で高価となり、収納装置への適用を困難にしている。これは、特に、ラッチ手段としてスライダーの係止及び係止解除を共に物品の押し操作により行うプッシュ・プッシュ係止機構を採用しているが、スライダーの押し込め移動で蹴り出し用の付勢力を蓄える機構と独立していることに起因している。
本発明の目的は、以上のような課題を解消して、特に蹴り出し用の付勢力を蓄える機構とラッチ手段とを融合することで部材数を減少してコスト低減を可能にした蹴り出し機構及びそれを利用した収納装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、物品を、ケースに出入口から押し入れて収納位置にし、該収納位置から再び押して該押し力を解放すると、引抜可能な突出位置まで移動する蹴り出し機構において、一端側にトレース用ボス及び他端側に物品用当接部を有し、前記ケース内にあって前記出入口の奥側に配置した状態で略中間部をケース対応部に遊びを持って嵌合しているロッドと、前記ケースの内面側に設けられて前記ボスがトレースする旋回溝を略ハート形凸部の周囲に形成しているカムと、前記ロッドの揺動と連動して付勢力を蓄積したり放出する付勢部材とを備え、前記物品が前記ケースに押し入れられる過程で前記当接部に当たって前記ロッドを揺動すると共に前記付勢部材に付勢力を蓄えつつ前記収納位置に達し、前記ロッドが前記収納位置で前記ボスと前記旋回溝との関係で係止され、かつ、前記物品を再び押して該押し力を解放したときに係止解除されて前記付勢部材の付勢力により逆方向へ揺動されて前記物品を蹴り出すことを特徴としている。
以上の本発明において、前記ロッドは、略中間部に突設された軸部を有し、該軸部が前記ケースに設けられた凹部(窪みや穴を含む)に遊びを持って嵌合されていること(請求項2)、前記付勢部材は、両端の間に巻線部を有し、前記巻線部を前記軸部に支持した状態で、一端を前記ロッド側に係止し、他端を前記ケース側に係止していること(請求項3)が好ましい。また、請求項4の発明は、物品を、ケースに出入口から押し入れて収納位置にし、該収納位置から再び押して該押し力を解放すると、引抜可能な突出位置まで移動する蹴り出し機構を有した収納装置において、前記蹴り出し機構として請求項1から3の何れかに記載のものを採用していることを特徴としている。
・請求項1の発明では、主な構成部材がロッドと付勢部材及び旋回溝を形成しているカムにより、蹴り出し用の付勢力を蓄える機構と共に物品の収納位置を規制する上で不可欠なロッドを収納状態に保つ機構とを実現できるため、簡易化とコスト低減を図ることができる。
・請求項2の発明では、ロッドがケース側の凹部に軸部を遊嵌した状態で揺動ないしは回動されることで、例えば、ボスがカムの旋回溝を構成している係止用溝部から復帰用溝部にスムースに切換可能になる。
・請求項3の発明では、例えば、巻線部と他端側との間の部分が蹴り出し用の付勢力を蓄える箇所として利用されるとともに、巻線部と一端側との間の部分がロッドのがたつきを吸収する箇所として活用できる。
・請求項4の発明では、簡素化された蹴り出し機構を備えた収納装置として安価に提供できる。
(概要)形態例の蹴り出し機構は、主部材がケース1内に設けられているロッド2とカム3及び付勢部材4とからなり、例えば、図6に示されるようなステアリング52やシフトレバー53の近くに設けられる車室内用収納装置などに適用されて、カード等の物品Cがケース1に押し入れられる過程でロッド2を揺動すると共に付勢部材4に付勢力を蓄えつつ収納位置に達し、ロッド2が収納位置でロッド2の一端側のボス5とカム3との関係で係止され、かつ、物品Cを再び押して該押し力を解放したときに係止解除された後、付勢部材4の付勢力により逆方向へ揺動されて該揺動により物品Cを引抜可能な突出位置まで蹴り出すものである。細部は以下の通りである。
(構造)ケース1は、図1及び図2に示されるように、上側開放した本体10及び該本体10にねじ5等で取り付けられる上蓋17で構成され、前記蹴り出し機構をケース内に配置した状態でカードなどの物品Cを前側出入口1aから出し入れする偏平容器状となっている。本体10及び上蓋17は、それぞれ略L形の樹脂成形体であり、後側が前側より幅広に形成されている。
また、本体10は、底壁11と左右の側面を形成している立壁12,13及び後方の背面を形成している立壁14で形成されている。本体10は、後側が前側より幅広になっている関係で、片側の立壁13が立壁12に対向している前後壁部13a,13b及び背面側の立壁14に対向している横壁部13cにて構成されている。底壁11には、前後中間より後方に枢支用の凹部15と、凹部15より後側に設けられた軸状の係止部16とが設けられている。符号10aは複数箇所に設けられた取付穴である。
上蓋17は、本体側取付穴10aに対向する穴17aと、凹部15に対向する枢支用凹部18と、前後中間より後方側に設けられたカム3とを有している。カム3は、後側にあって前側より広くなった箇所に設けられて、凸部30の周囲に旋回溝31を形成している。凸部30は概略ハート形の島である。旋回溝31は、蓋内面に連続壁を突設し、該連続壁と凸部30との間の溝、及び該連続壁同士の間の溝により構成されている。具体的には、図2(b)において、凸部30の下側で前後方向へ延びる導入用誘導溝31aと、誘導溝31aの前側左右に位置している係止用誘導溝31b及び解除用誘導溝31dと、両溝31b,31dの間にあって凸部30側にある係止溝31cと、誘導溝31dから略前後に延びる復帰溝31eと、誘導溝31a及び復帰溝31eの後側(図の上側)に位置して互いに連続している退避溝31fとを有している。また、旋回溝31のうち、復帰溝31eと退避溝31fとの境界は、復帰溝31eの方が退避溝31fよりも溝底を高くした段差gに設定されている。なお、凹部15,18は、ロッド2のボス24が係止用誘導溝31b、係止溝31c、解除用誘導溝31dを移動する長さや向きにほぼ合わせた形状(つまりボス24がそのように移動するのを許容する形状)に設定されている。符号19は、上蓋17の出入口側内縁部に形成した段差部である。
ロッド2は、図2及び図3に示されるように、直線部20及び直線部20の片側に突設された枝部21とからなる。直線部20において、中間部には上下の軸部22,23が同軸線上に設けられ、一端側には前記旋回溝31をトレースするボス24が上面に設けられると共に下面に軸状のガイド部25が設けられ、他端側にはケース1内に押し入れられてくる物品Cに当たる軸状の当接部26が下面に設けられている。枝部21には上面に軸状の係止部27が設けられている。なお、ガイド部25は、ロッド2が安定した状態で回動ないしは揺動するよう摺動自在に支持する箇所であるが、省略することもある。これに対し、付勢部材4は、両端4b,4cの中間に巻線部4aを有したトーションばねであるが、単純なコイル形ばねでもよい。すなわち、この付勢部材は、例えば、単純なコイルばねであっても、図4(a)のごとくボス24が上記した旋回溝31のうち係止溝31cに係止された状態で、蓄えた付勢力でロッド2を、ロッド中間部の軸部から当接部26側であるロッド他端側に向かう方向へ押圧している構成であればよい。これは、そのようにロッドを押圧していないと、次の係止解除操作でボス24が係止溝31cから解除用誘導溝31d、更に復帰溝31eに移動しないためである。
(組立)以上の各部材は次のような手順で収納装置に組み付けられる。まず、ロッド2は、図2(a)のごとくケース本体10に対し当接部26が出入口の奥側に位置するようにし、かつ軸部23が凹部15に嵌合された状態に配置される。そして、付勢部材4は、巻線部4aをロッド2の上面側軸部22の外周に嵌合支持した状態で、一端4b側が枝部側の係止部27に係止されると共に、他端4c側が本体10の係止部16に係止される。以上のケース本体10には、上蓋17が重ねられた後、ねじ5を穴17aから取付穴10aにねじ込むことにより取り付けられる。また、以上の要領で組み立てられた収納装置は、図1(a)に示されるように、例えば、図6の収納装置54と同様な状態でインストルメントパネル50などに埋設状態に取り付けられる。
(作動)図1において、ケース1内において、出入口1aの奥部にはロッド2の他端側が水平状態に配置され、かつ当接部26が底壁11に向けて突出されている。また、ボス24は、旋回溝31のうち、初期位置である退避溝31fに嵌合している。そして、この収納装置では、物品Cが出入口1aからケース1内に押し入れられてくると、図1(a)のごとくロッド2の当接部26に当たる。その後は、ロッド2が物品Cの押し力で軸部22,23を支点として時計回りに回動ないしは揺動し、それに同期して、付勢部材4が付勢力を蓄え、かつ付勢部材4の両側の腕部(巻線部4aから端4bと、端4cの間の部分)が係止部16,27を押す反力で巻線部4aが軸部22を、ロッド長手方向(図3の矢印方向)へ押す荷重を加えていく。又、ボス24が上記した旋回溝31のうち退避溝31fから段差gに沿って誘導溝31a、係止用誘導溝31bに順に入り、ロッド2に対する物品Cの押し力解放したときに、図4(a)のごとく係止溝31cに係止される。この係止により、物品Cが収納位置に達し、ロッド2が図4(a)の収納状態に保たれる。
物品Cを使用する場合は、図4(a)の収納位置から物品Cを再び押し、該押し力を解放する(押した手を離す)。すると、この蹴り出し機構では、ロッド2が図4(b)のごとく物品Cの押し力で凹部15,18に遊嵌している軸部22,23を支点として時計回りに若干回動ないしは揺動し、それと同期して、ボス24が上記した係止溝31cから解除用誘導溝31dに達する。その後は、ロッド2が付勢部材4の付勢力により凹部15,18に遊嵌している軸部22,23を支点として逆時計回りに回動ないしは揺動し、該回動ないしは揺動で当接部26が物品Cを引抜可能な突出位置まで蹴り出し、それに同期して、ボス24が復帰溝31eを経て再び図4(a)の退避溝31fまで戻ることになる。以上の蹴り出し機構では、主な構成部材がロッド2と付勢部材4及び旋回溝31を形成しているカム3により、蹴り出し用の付勢力を蓄える機構と共に物品Cの収納位置を規制する上で不可欠なロッド2を収納状態に保つ機構とを実現でき、その結果、簡易化と大幅なコスト低減を図ることができ、更に収納装置への採用をし易くでき、用途拡大に寄与できる。
(変形例)図5は以上の収納装置の変形例を示し、図5(a)は図1(a)と同様な態様で示し、図5(b)は(a)のA−A線断面図である。この変形例では、上記形態と同じ部材及び部位に同じ符号を付して、重複した説明を省く。変更点は、ケース1内に板ばね6を付設した構成と、ケース1の出入口側に円弧状切欠部19a,11aを形成した構成にある。すなわち、板ばね6は、中間部6aが両端6b,6bに対し下側凸となるように湾曲形成されており、上蓋17の内面にあって、出入口1aの奥側に位置するように配置され、各端6bがねじ7により取り付けられている。このため、この構成では、物品Cが凸形の中間部6aに弾接しながら押し入れられて、収納位置で不用意に飛び出さないように圧接状態に保持される。一方、切欠部19a,11aは、例えば、物品Cをケース1内に完全に押し入れるように設定する場合、物品Cを収納位置から再び押し、該押し力を解放して突出位置に切り換える操作において、物品Cを切欠部19a,11aの箇所で更に押すことを可能にする。
以上のように、本発明の蹴り出し機構及び収納装置は、請求項1や4で特定される要件を除いて種々変更可能なものである。
(a)と(b)は発明形態例の収納装置を示す上面図と正面図である。 (a)と(b)は上記収納装置のケースを構成している本体及び蓋を示す構成図である。 上記ケース本体内のロッド及び付勢部材を示す概略斜視図である。 (a)と(b)は物品収納及び跳ね上げ直前の状態を示す作用図である。 (a)と(b)は上記収納装置を変形した上面図とA−A線断面図である。 自動車の運転席側を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1…ケース(1aは出入口)
2…ロッド(22と23は軸部、24はボス、26は当接部)
3…カム(30は凸部、31は旋回溝)
4…付勢部材(4aは巻線部、4bは一端、4cは他端)
6…板ばね
10…本体(11は底壁、15は凹部)
17…上蓋(18は凹部)
C…物品

Claims (4)

  1. 物品を、ケースに出入口から押し入れて収納位置にし、該収納位置から再び押して該押し力を解放すると、引抜可能な突出位置まで移動する蹴り出し機構において、
    一端側にトレース用ボス及び他端側に物品用当接部を有し、前記ケース内にあって前記出入口の奥側に配置した状態で略中間部をケース対応部に遊びを持って嵌合しているロッドと、前記ケースの内面側に設けられて前記ボスがトレースする旋回溝を略ハート形凸部の周囲に形成しているカムと、前記ロッドの揺動と連動して付勢力を蓄積したり放出する付勢部材とを備え、
    前記物品が前記ケースに押し入れられる過程で前記当接部に当たって前記ロッドを揺動すると共に前記付勢部材に付勢力を蓄えつつ前記収納位置に達し、前記ロッドが前記収納位置で前記ボスと前記旋回溝との関係で係止され、かつ、前記物品を再び押して該押し力を解放したときに係止解除されて前記付勢部材の付勢力により逆方向へ揺動されて前記物品を蹴り出すことを特徴とする蹴り出し機構。
  2. 前記ロッドは、略中間部に突設された軸部を有し、該軸部が前記ケースに設けられた凹部に遊びを持って嵌合されている請求項1に記載の蹴り出し機構。
  3. 前記付勢部材は、両端の間に巻線部を有し、前記巻線部を前記軸部に支持した状態で、一端を前記ロッド側に係止し、他端を前記ケース側に係止している請求項2に記載の蹴り出し機構。
  4. 物品を、ケースに出入口から押し入れて収納位置にし、該収納位置から再び押して該押し力を解放すると、引抜可能な突出位置まで移動する蹴り出し機構を有した収納装置において、前記蹴り出し機構として請求項1から3の何れかに記載のものを採用していることを特徴とする収納装置。

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