JP4678993B2 - 高周波プローブおよび高周波プローブの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ベアボードや高周波用回路基板などの検査対象回路基板における導体パターンのTDR(Time Domain Reflectometry )特性を測定するのに適した高周波プローブ、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の高周波プローブとして、米国特許第5506515号明細書に記載された高周波プローブが知られている。この高周波プローブ51は、図7に示すように、先端が切断加工されたセミリジッドケーブル52、セミリジッドケーブル52の先端に固定された中心接触子53、および同じくセミリジッドケーブル52の先端に固定された一対の側方接触子54,54を備えている。
【0003】
この場合、セミリジッドケーブル52は、中心導体52aの周囲に誘電体52bおよび被覆導体52cがこの順序で同心状に配置されて構成されている。また、セミリジッドケーブル52の先端部は、図7に示すように、中心導体52aの軸線を含む平面に沿って所定長だけ切断加工されて半円柱状に形成されている。したがって、セミリジッドケーブル52の先端側には、図8に示すように、中心導体52aの断面の両側に誘電体52bおよび被覆導体52cの各断面がこの順序で並んだ状態で露出する長方形の切断面CFが形成されている。
【0004】
中心接触子53および一対の側方接触子54,54は、図9に示すように、フレーム枠55に互いに連結されたフレーム部品56として、薄い金属板材を打ち抜き加工等することによって予め製造され、この状態でセミリジッドケーブル52の切断面CFに各々の一端側(図9における下端側)が位置決めされて接続固定されると共に、同図における直線Aに沿って切断されることによって相互に分離される。この場合、中心接触子53の一端側は、中心導体52aの断面上に位置決めされて接続固定され、一対の側方接触子54,54のそれぞれの一端側は、中心導体52aを挟んで誘電体52b,52bの両側に位置する被覆導体52cの各断面上に位置決めされて接続固定される。
【0005】
検査対象回路基板における導体パターンのTDR特性を測定する際には、この高周波プローブ51を導体パターン(図示せず)に徐々に接近させて、中心接触子53および一対の側方接触子54,54の各先端を導体パターンに接触させる。この際に、中心接触子53および一対の側方接触子54,54が撓むことにより、中心接触子53および一対の側方接触子54,54が導体パターンに適切な接触圧で接触する。したがって、導体パターンのTDR特性を精度良く測定することが可能となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の高周波プローブには、以下の問題点がある。すなわち、従来の高周波プローブ51では、金属板材を打ち抜いて中心接触子53および一対の側方接触子54,54を製造している。この場合、金属板材としては、打ち抜きできる程度の所定の厚みが必要とされる。このため、中心接触子53および一対の側方接触子54,54の厚みがこの所定の厚み以上に制限されるため、接触時の撓み量をより大きくするのが困難となる。したがって、中心接触子53および一対の側方接触子54,54の先端が導体パターンと当接してから高周波プローブ51の移動を停止させるまでの許容移動量が非常に少ないため、高周波プローブ51の移動制御を高精度で行わなければならない。このため、高周波プローブ51の移動速度を低速に設定せざるを得ず、測定に長時間を要するという問題点がある。
【0007】
一方、中心接触子53および一対の側方接触子54,54を薄肉にして十分な撓み量を確保することができたとしても、中心接触子53および一対の側方接触子54,54の剛性が不足して十分な接触圧を確保できない結果、接触不良を招くという問題点がある。さらに、中心接触子53および一対の側方接触子54,54を単に薄くしただけの構成には、中心接触子53および一対の側方接触子54,54におけるセミリジッドケーブル52の先端と当接する部位B(図7参照)に応力が集中することに起因して、この部位Bにおいて中心接触子53および一対の側方接触子54,54が折れ易くなって耐久性が低下するという問題点もある。また、検査対象導体パターンの微細化に対応するためには、各接触子53,54,54の先端部を細く形成する必要がある。ところが、各接触子53,54,54の先端部は、フレーム枠55に各接触子53,54,54を連結させる機能を併せ持つために、あまり細く形成することはできない。このため、導体パターンの微細化に対応するのが困難であるという問題も存在する。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、各接触子の十分な撓み量と高耐久性を確保し得る高周波プローブ、およびその製造方法を提供することを主目的とする。また、導体パターンなどの接触対象体の微細化にも対応し得る高周波プローブ、およびその製造方法を提供することを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の高周波プローブは、先端部が中心導体および被覆導体を含む平面で切断されたセミリジッドケーブルと、一端側が前記セミリジッドケーブルの前記先端部における切断面に密着固定されて前記中心導体に電気的に接続されると共にその他端側が当該切断面から延出する平板状の中心接触子と、当該中心接触子に近接して同一平面内に配置され一端側が前記セミリジッドケーブルの前記切断面に密着固定されて前記被覆導体に電気的に接続されると共に他端側が当該切断面から延出する平板状の側方接触子とを備えた高周波プローブであって、前記切断面から延出する前記中心接触子および前記側方接触子における当該切断面との非密着側の外面における当該切断面寄りに合成樹脂製の補強層が当該切断面と対向する位置まで延出形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の高周波プローブは、請求項1記載の高周波プローブにおいて、前記補強層は、前記中心接触子と前記側方接触子との間に絶縁性材料を掛け渡して形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の高周波プローブは、請求項1または2記載の高周波プローブにおいて、前記中心接触子および前記側方接触子は、平板状の合成樹脂製薄膜体の表面に金属薄膜体が形成された基材に対して、当該金属薄膜体の表面における前記中心接触子および前記側方接触子を形成する部位の表面にレジストを塗布した後に、エッチング処理を施して当該レジストの塗布領域以外の金属薄膜体を除去すると共に塗布したレジストを除去することによって形成され、前記補強層は、前記レジストを除去した状態の前記基材における前記合成樹脂製薄膜体に対してレーザービームを照射して当該合成樹脂製薄膜体の不要部位を除去することによって形成されていることを特徴とする。また、請求項4記載の高周波プローブの製造方法は、請求項1または2記載の高周波プローブを製造する高周波プローブの製造方法であって、平板状の合成樹脂製薄膜体の表面に金属薄膜体が形成された基材に対して、当該金属薄膜体の表面における前記中心接触子および前記側方接触子を形成する部位の表面にレジストを塗布した後に、エッチング処理を施して当該レジストの塗布領域以外の金属薄膜体を除去すると共に塗布したレジストを除去することによって前記中心接触子および前記側方接触子を形成し、前記レジストを除去した状態の前記基材における前記合成樹脂製薄膜体に対してレーザービームを照射して当該合成樹脂製薄膜体の不要部位を除去することによって前記補強層を形成し、前記中心接触子および前記側方接触子を前記セミリジッドケーブルの前記切断面に密着固定して前記高周波プローブを製造することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る高周波プローブおよび高周波プローブの製造方法の好適な発明の実施の形態について説明する。
【0015】
最初に、高周波プローブ1の構成について、図1を参照して説明する。
【0016】
同図に示すように、高周波プローブ1は、接触部がコプレーナ型の高周波プローブであって、セミリジッドケーブル2、セミリジッドケーブル2の先端に固定された中心接触子3、および同じくセミリジッドケーブル2の先端に固定された一対の側方接触子4,4を備えて構成されている。
【0017】
この場合、セミリジッドケーブル2は、図1に示すように、中心導体2aを中心にしてその周囲に誘電体2bおよび被覆導体2cがこの順序で同心状に配置されて構成されている。また、セミリジッドケーブル2は、その先端が中心導体2aおよび被覆導体2cを含む平面で切断加工されることにより、中心接触子3および一対の側方接触子4,4を接続固定するための切断面CFがその先端に形成されている。また、この切断面CFには、被覆導体2cの各断面が弧状に露出すると共に中心導体2aの断面が円形に露出している。
【0018】
中心接触子3は、図1に示すように、一端側(同図中の右端側)から他端側(同図中の左端側)に向けて次第に幅狭となる平板状金属体で構成されている。この場合、図2に示すように、中心接触子3における幅広の一端側が、セミリジッドケーブル2の切断面CFに密着固定されて中心導体2aと電気的に接続されると共に、幅狭の他端側が、切断面CFにおける直線状に形成された縁部(被覆導体2cが切断された部分)Cから延出する。
【0019】
一対の側方接触子4,4は、それぞれ、図1に示すように、一端側(同図中の右端側)から他端側(同図中の左端側)に向けて次第に幅狭となる平板状金属体で構成されている。また、各側方接触子4,4は、中心接触子3が配置されるスペースを相互間に確保した状態で、その一端側が金属連結体5によって互いに連結されている。この場合、金属連結体5は、その平面形状が半円状に形成された平板状金属体で構成されている。また、金属連結体5は、その外径がセミリジッドケーブル2の外径とほぼ同一に形成されると共に、その内径が中心導体2aの直径よりも大径に形成されている。さらに、一対の側方接触子4,4は、中心接触子3を挟むようにして、その一端側がセミリジッドケーブル2の切断面CFに密着固定されて被覆導体2cと電気的に接続されると共に、他端側が切断面CFにおける縁部Cから延出する。また、金属連結体5も、図2に示すように、切断面CFに密着固定されて被覆導体2cと電気的に接続される。このように、中心接触子3と一対の側方接触子4,4とは、同一の切断面CFに密着固定されることにより、切断面CFと平行な同一の平面内に近接した状態で配置されている。なお、中心接触子3、側方接触子4,4および金属連結体5で上記した接触部を構成する。
【0020】
また、図1,2に示すように、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の切断面CFから延出する部位における切断面CF寄りの外面(一例として切断面CFとの非密着面としての裏面、つまり同各図中の下面)には、合成樹脂製の補強層6が形成されている。この補強層6は、電気的絶縁性を有する材料を用いて形成され、中心接触子3と一対の側方接触子4,4との間に掛け渡されている。また、図2に示すように、補強層6における各接触子3,4,4の先端寄りの部位は、各接触子3,4,4の中央部分まで達し、かつ、その切断面CF面寄りの部位は、切断面CFの縁部Cを越えて切断面CFと対向する位置まで延出形成されている。
【0021】
次に、高周波プローブ1の製造方法について説明する。
【0022】
まず、セミリジッドケーブル2の先端を、図3に示すように、第1の平面P1および第2の平面P2の位置で切断加工する。この場合、第2の平面P2に沿って切断された断面が切断面CFを形成する。また、平面P1は、中心導体2aの軸線と直交する平面Pに対して所定の角度θ1(一例として70度程度)を形成するように切断され、平面P2は、平面Pに対して所定の角度θ2(一例として15度程度)を形成するように切断されている。ただし、これに限定されるものではなく、角度θ1,θ2を適宜規定することができる。なお、切断面CFに露出する被覆導体2cの一部が平面P1で切除されるため、中心接触子3は、被覆導体2cと電気的に接続されることなく切断面CFに接続固定される。
【0023】
次いで、平板状の合成樹脂製薄膜体10(一例として厚さ0.05ミリメートルのポリイミドシート)の表面に金属薄膜体(図示せず。一例として薄膜体10と同じ厚さとする。)を積層して基材(図示せず)を製造する。なお、薄膜体10の表面にめっきで金属層を形成して基材を製造することもできる。次に、この金属薄膜体のうちの中心接触子3、一対の側方接触子4,4および金属連結体5を形成する部位の表面にレジストを塗布する。次に、金属薄膜体11におけるレジストが塗布された領域以外の部分をエッチング処理によって除去した後、塗布したレジストを除去する。これにより、図4に示すように、薄膜体10の表面に、中心接触子3、一対の側方接触子4,4および金属連結体5が形成される。次いで、例えば、レーザービームを薄膜体10に照射して、薄膜体10の不要な部位を除去する。この場合、図5,6に示すように、除去されずに残った薄膜体10によって補強層6が構成される。これにより、金属連結体5によって連結された一対の側方接触子4,4と、中心接触子3とが、補強層6によって一体化された状態で製造される。
【0024】
最後に、図2に示すように、中心接触子3および一対の側方接触子4,4を、セミリジッドケーブル2の切断面CFに接続固定する。この場合、中心接触子3における幅広の一端側が中心導体2aの断面と密着し、一対の側方接触子4,4における幅広の一端側が被覆導体2cの断面と密着し、かつ、金属連結体5の全域が被覆導体2cの断面と密着するように位置決めして接続固定する。これにより、高周波プローブ1が完成する。
【0025】
この高周波プローブ1を用いて検査対象回路基板における導体パターン(接触対象体)の例えばTDR特性を測定する場合、図2に示すように、高周波プローブ1を回路基板PBの方向(同図中の矢印D方向)に移動させ、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の各先端を導体パターンCPにそれぞれ接触させる。その後、中心接触子3および一対の側方接触子4,4が若干撓んだ状態になった時点で、高周波プローブ1の移動を停止させる。この状態では、高周波プローブ1が測定可能な状態となり、高周波プローブ1から導体パターンCPに特性測定用の信号を供給して測定が開始される。
【0026】
この場合、この高周波プローブ1では、中心接触子3および一対の側方接触子4,4がエッチング処理によって製造されているため、金属板材を打ち抜き加工して中心接触子53および一対の側方接触子54,54を製造する従来の高周波プローブ51と比較して、中心接触子3および一対の側方接触子4,4が一層薄厚に形成されている。このため、導体パターンCPに接触させる際に、十分な撓み量が確保される。したがって、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の先端が導体パターンCPと当接してから高周波プローブ1の移動を停止させるまでの許容移動量を増加させることができるため、高周波プローブ1の移動速度を上げることができる結果、測定時間を短縮することができる。また、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の各々の切断面CF寄りの各部位が、切断面CFから延出する部位における切断面CF寄りの各表面に形成された補強層6によって一体化されているため、その剛性が増している。したがって、この高周波プローブ1によれば、十分な撓み量を確保しつつ、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の先端を導体パターンCPに接触させて撓ませた際の接触圧を十分に確保することができる結果、測定の精度を十分に向上させることができる。
【0027】
また、高周波プローブ1の回路基板PB側への移動量が予定よりも多く、中心接触子3および一対の側方接触子4,4に予期しない負荷が加わった場合には、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の各先端部分と補強層6が形成された部位との両方が、各剛性に応じた撓み量で撓む。この結果、補強層6を形成せずに中心接触子3および一対の側方接触子4,4のみで構成した高周波プローブとは異なり、中心接触子3および一対の側方接触子4,4に加わる応力の集中を防止することができ、これにより、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の損傷を回避することができる。また、中心接触子3および一対の側方接触子4,4の各々と接触する各導体パターンCP間に厚み差が生じている場合であっても、補強層6から延出する各接触子3,4,4の先端部分が個別に弾性変形するため、各導体パターンCPに確実に接触させることができる。さらに、補強層6が、切断面CFの縁部Cを越えて切断面CFに対向する領域内まで形成されている。このため、各接触子3,4,4が撓んだ際に、応力が特に集中する中心接触子3および一対の側方接触子4,4における切断面CFの縁部Cとの当接部位の強度を向上させることができる結果、各接触子3,4,4の耐久性を一層向上させることができる。また、打ち抜き加工に比べて外力が加わりにくいエッチング処理およびレーザー処理によって中心接触子3および一対の側方接触子4,4を加工したことにより、任意の形状の接触子3,4,4を高精度で製造することができる。また、相互間の位置決めも含めて各接触子3,4,4の形状および大きさを精度良く製造することができるため、導体パターンCPの微細化にも十分に対応した高周波プローブ1を製造することができる。
【0028】
なお、本発明は、上記した本発明の実施の形態に示した構成に限定されない。例えば、高周波プローブ1では、電気的絶縁性を有する材料を用いた補強層6を中心接触子3と一対の側方接触子4,4との間に掛け渡して形成したが、この構成に限らず、補強層6を中心接触子3および一対の側方接触子4,4の表面に別個独立して形成する構成を採用することもできる。この構成によれば、中心接触子3および一対の側方接触子4,4における切断面CF側の各部位が補強層6を介して一体化されていない分だけ剛性は若干低下するものの、補強層6を有しない高周波プローブと比較して、剛性を向上させることができる。また、高周波プローブ1では、中心接触子3および一対の側方接触子4,4におけるカット面CFとの対向面の裏面側にのみ補強層6を形成する構成を採用しているが、この構成に限らず、中心接触子3および一対の側方接触子4,4におけるカット面CFとの対向面(表外面)にも補強層6を形成する構成(中心接触子3および一対の側方接触子4,4のそれぞれの両外面に補強層6を形成する構成)を採用し、剛性を一層向上させることもできる。この場合、カット面CFとの対向面(表外面)に補強層6を形成する場合、中心導体2aと中心接触子3との接触、および被覆導体2cと表示部4,4との接触を妨げることがないように、カット面CFに対向する部位を避けて補強層6を形成する。また、高周波プローブ1では、中心接触子3を挟んで一対の側方接触子4,4を配置した構成を採用したが、この構成に限らず、中心接触子3と側方接触子4とをそれぞれ一つずつ切断面CFに固定する構成を採用することもできる。また、セミリジッドケーブル2に代えて互いに絶縁された中心導体2aを二つ有する高周波プローブを用いる場合、中心接触子3と側方接触子4とを交互に複数本(例えば、側方接触子4、中心接触子3、側方接触子4、中心接触子3および側方接触子4という順序で接触子を5つ)カット面CFに固定する構成を採用することもできる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の高周波プローブによれば、セミリジッドケーブルの切断面から延出する中心接触子および側方接触子における切断面寄りの外面に合成樹脂製の補強層を形成したことにより、中心接触子および側方接触子を薄厚に形成して十分な撓み量を確保することができると共に、補強層によって中心接触子および側方接触子の剛性を高めることができる結果、高周波プローブの接触対象体に対する接触圧を十分に確保することができる。したがって、中心接触子および側方接触子の先端が接触対象体に当接してから高周波プローブの移動を停止させるまでの許容移動量を増加させることができるため、高周波プローブの移動を簡易に制御することができると共に高周波プローブの移動速度を高めることができる。また、補強層が中心接触子および側方接触子における切断面との非密着側の外面に形成されると共に切断面と対向する位置まで延出形成されているため、撓んだ際に応力が特に集中する中心接触子および側方接触子における切断面の縁部との当接部位の強度を向上させることができる。したがって、中心接触子および側方接触子の耐久性を一層向上させることができる。
【0030】
また、請求項2記載の高周波プローブによれば、中心接触子と側方接触子との間に絶縁性材料を掛け渡して補強層を形成したことにより、中心接触子および側方接触子における切断面寄りの各部位を補強層を介して一体化できる結果、中心接触子および側方接触子の剛性を一層向上させることができる。また、中心接触子および側方接触子が補強層で一体化されているため、接触対象体との接触を繰り返した場合であっても、中心接触子および側方接触子が位置ずれしにくく、接触対象体のTDR特性を長期間に亘って高精度で測定することができる。
【0033】
また、請求項3記載の高周波プローブ、および請求項4記載の高周波プローブの製造方法によれば、中心接触子および側方接触子をエッチング処理によって形成したことにより、中心接触子および側方接触子の相互間の位置決めも含めて各接触子の形状および大きさを精度良く製造することができるため、接触対象体の微細化にも十分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る高周波プローブ1の構成を示す分解斜視図である。
【図2】高周波プローブ1を図1のX−X線で切断した状態の断面図である。
【図3】高周波プローブ1を構成するセミリジッドケーブル2の先端の加工方法を説明する説明図である。
【図4】高周波プローブ1を構成する中心接触子3および一対の側方接触子4,4の製造方法を説明する説明図である。
【図5】中心接触子3および一対の側方接触子4,4の平面図である。
【図6】図5に示す中心接触子3および一対の側方接触子4,4の側面図である。
【図7】従来の高周波プローブ51の構成を示す斜視図である。
【図8】高周波プローブ51を構成するセミリジッドケーブル52の先端の側面図である。
【図9】高周波プローブ51の製造方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 高周波プローブ
2 セミリジッドケーブル
2a 中心導体
2b 誘電体
2c 被覆導体
3 中心接触子
4 側方接触子
5 金属連結体
6 補強層
CF 切断面
P2 平面
Claims (4)
- 先端部が中心導体および被覆導体を含む平面で切断されたセミリジッドケーブルと、一端側が前記セミリジッドケーブルの前記先端部における切断面に密着固定されて前記中心導体に電気的に接続されると共にその他端側が当該切断面から延出する平板状の中心接触子と、当該中心接触子に近接して同一平面内に配置され一端側が前記セミリジッドケーブルの前記切断面に密着固定されて前記被覆導体に電気的に接続されると共に他端側が当該切断面から延出する平板状の側方接触子とを備えた高周波プローブであって、
前記切断面から延出する前記中心接触子および前記側方接触子における当該切断面との非密着側の外面における当該切断面寄りに合成樹脂製の補強層が当該切断面と対向する位置まで延出形成されていることを特徴とする高周波プローブ。 - 前記補強層は、前記中心接触子と前記側方接触子との間に絶縁性材料を掛け渡して形成されていることを特徴とする請求項1記載の高周波プローブ。
- 前記中心接触子および前記側方接触子は、平板状の合成樹脂製薄膜体の表面に金属薄膜体が形成された基材に対して、当該金属薄膜体の表面における前記中心接触子および前記側方接触子を形成する部位の表面にレジストを塗布した後に、エッチング処理を施して当該レジストの塗布領域以外の金属薄膜体を除去すると共に塗布したレジストを除去することによって形成され、
前記補強層は、前記レジストを除去した状態の前記基材における前記合成樹脂製薄膜体に対してレーザービームを照射して当該合成樹脂製薄膜体の不要部位を除去することによって形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の高周波プローブ。 - 請求項1または2記載の高周波プローブを製造する高周波プローブの製造方法であって、
平板状の合成樹脂製薄膜体の表面に金属薄膜体が形成された基材に対して、当該金属薄膜体の表面における前記中心接触子および前記側方接触子を形成する部位の表面にレジストを塗布した後に、エッチング処理を施して当該レジストの塗布領域以外の金属薄膜体を除去すると共に塗布したレジストを除去することによって前記中心接触子および前記側方接触子を形成し、
前記レジストを除去した状態の前記基材における前記合成樹脂製薄膜体に対してレーザービームを照射して当該合成樹脂製薄膜体の不要部位を除去することによって前記補強層を形成し、
前記中心接触子および前記側方接触子を前記セミリジッドケーブルの前記切断面に密着固定して前記高周波プローブを製造することを特徴とする高周波プローブの製造方法。
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