JP4678077B2 - ダイオード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイオードに関し、特に、第1の導電型の第1半導体層と、第1半導体層と接合している第2の導電型の第2半導体層と、を備えたダイオードに関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、pn接合型のダイオードのように、第1の導電型の第1半導体層と、第1半導体層と接合している第2の導電型の第2半導体層と、を備えたダイオードはパワーエレクトロニクスの分野でも使用されている。この分野においては、素子の耐圧向上が命題となっている。
【0003】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、耐圧を向上させることができる構造をしたダイオードを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の導電型の第1半導体層と、第1半導体層と接合している第2の導電型の第2半導体層と、を備えたダイオードであって、第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとを備え、第2半導体層は、第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとの間に位置し、ダイオードに逆方向電圧が印加されている時、第2半導体層には第1トレンチゲートの方から延びた空乏層と第2トレンチゲートの方から延びた空乏層とが形成される。
【0005】
上記構成による本発明に係るダイオードは以下に説明する作用効果を有する。本発明に係るダイオードにおいて、第2半導体層は、第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとの間に位置し、ダイオードに逆方向電圧が印加されている時、第2半導体層には第1トレンチゲートの方から延びた空乏層と第2トレンチゲートの方から延びた空乏層とが形成される。これらの空乏層により、第1半導体層と第2半導体層との接合部以外の領域にも電界のピークを位置させることが可能となる。この場合、複数の電界のピークのうち、最大値のピークが位置する領域の絶縁破壊電界がダイオードの絶縁破壊電界となる。ピークが複数に分散されることにより、ピークが一つの場合に比べて、電界のピークの最大値が下がる。よって、本発明に係るダイオードよれば、さらに高い逆方向電圧を印加することができるので、本発明に係るダイオードは従来に比べて耐圧の向上したダイオードとなる。なお、第1半導体層と第2半導体層との接合部以外の領域にも電界のピークを位置させることが可能なことは、発明の実施の形態の第3の実施の形態で詳細に説明する。
【0006】
なお、第2半導体層に第1トレンチゲートの方から延びた空乏層及び第2トレンチゲートの方から延びた空乏層を形成するのは、第2半導体層がp型の場合、第1及び第2トレンチゲートに0もしくは正電圧を印加する。第2半導体層がn型の場合、第1及び第2トレンチゲートに0もしくは負電圧を印加する。
【0007】
本発明に係るダイオードにおいて、第2半導体層中の不純物濃度、第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとの間の距離、第1トレンチゲートのゲート絶縁膜の厚み及び第2トレンチゲートのゲート絶縁膜の厚み、の組み合わせは、ダイオードに逆方向電圧が印加されている時、第1トレンチゲートの方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部と第2トレンチゲートの方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部とが第2半導体層でつながる、組み合わせである、のが好ましい。これによれば、第1半導体層と第2半導体層との接合部以外の領域にも電界のピークを位置させることがより確実となる。
【0008】
上記パラメータのうち、第1及び第2トレンチゲートのゲート絶縁膜について説明する。第1及び第2トレンチゲートのゲート絶縁膜の厚みは0.1〜1.2μmが好ましい。0.1μmより小さいとダイオード使用時、ゲート絶縁膜が容易に破壊してしまうからである。1.2μmより大きいと空乏層の延びが十分でなく、隣りの空乏層とつながりにくくなるからである。第1及び第2トレンチゲートのゲート絶縁膜の厚みとしては、さらに0.1〜1.0μmが好ましく、さらに、0.1〜0.5μmが好ましい。
【0009】
なお、上記四つのパラメータの組み合わせによっては、第2半導体層全部を空乏化することもできる。すなわち、第1トレンチゲートの方から延びた空乏層の縁部と第2トレンチゲートの方から延びた空乏層の縁部とが第2半導体層でつながり、第2半導体層全部が空乏化するのである。第2半導体層の全部が空乏化している場合は、第2半導体層の一部が空乏化している場合に比べて、第2半導体層の全ての領域が電圧保持領域として働くため、より高耐圧化が可能となる。
【0010】
本発明に係るダイオードにおいて、第2の導電型の第3半導体層を備え、第3半導体層は第2半導体層と接触しており、第3半導体層は第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとの間に位置し、第1半導体層及び第2半導体層のエネルギーギャップは第3半導体層のエネルギーギャップより小さく、第3半導体層の絶縁破壊電界は第1半導体層及び第2半導体層の絶縁破壊電界より大きい、のが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第3半導体層は第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとの間に位置するので、第3半導体層に電界のピークの最大値を位置させることが可能となる。よって、ダイオードの絶縁破壊電界を大きくすることができるので、ダイオードの耐圧を向上させることができる。ダイオードの絶縁破壊電界を大きくすることができる理由については、発明の実施の形態の第1の実施の形態で詳細に説明する。 また、この構成によれば、第1半導体層及び第2半導体層のエネルギーギャップがダイオードの順方向電流の立ち上がり電圧となる。このため、ダイオードの順方向電流の立ち上がり電圧を小さくすることができる。よって、ダイオードの使用時の電圧を小さくすることができるので、ダイオードの使用電力を小さくすることができる。
【0012】
このように、この構成によれば、絶縁破壊電界を大きく、かつ順方向電流の立ち上がり電圧を小さくすることができるので、高耐圧かつ低損失電力のダイオードを実現することが可能となる。
【0013】
例えば、第1半導体層及び第2半導体層をシリコン、第3半導体層をシリコンカーバイドとした場合を考える。このダイオードの順方向電流の立ち上がり電圧は、シリコンのエネルギーギャップの値である約0.6Vである。このダイオードの絶縁破壊電界はシリコンカーバイドの絶縁破壊電界である約3×106V/cmとなる。ちなみに、シリコンのみからなるダイオードは、その順方向電流の立ち上がり電圧がシリコンのエネルギーギャップの値である約0.6Vであり、その絶縁破壊電界はシリコンの絶縁破壊電界である約3×105V/cmとなる。また、シリコンカーバイドのみからなるダイオードは、その順方向電流の立ち上がり電圧がシリコンカーバイドのエネルギーギャップの値である約3Vであり、その絶縁破壊電界はシリコンカーバイドの絶縁破壊電界である約3×106V/cmとなる。よって、本発明に係るシリコン及びシリコンカーバイドからなるダイオードは耐圧において、シリコンのみからなるダイオードより優れ、低損失電力において、シリコンカーバイドのみからなるダイオードより優れている。
【0014】
また、例えば、第1半導体層及び第2半導体層をシリコン−ゲルマニウム、第3半導体層をシリコンとした場合を考える。このダイオードの順方向電流の立ち上がり電圧は、約0.4Vである。このダイオードの絶縁破壊電界はシリコンの絶縁破壊電界である約3×105V/cmとなる。ちなみに、シリコン−ゲルマニウムのみからなるダイオードは、その順方向電流の立ち上がり電圧が0.4Vであり、その絶縁破壊電界はシリコン−ゲルマニウムの絶縁破壊電界である約1.5×105V/cmとなる。よって、本発明に係るシリコン−ゲルマニウム及びシリコンからなるダイオードは耐圧において、シリコン−ゲルマニウムのみからなるダイオードより優れ、低損失電力において、シリコンのみからなるダイオードより優れている。
【0015】
本発明に係るダイオードにおいて、第1半導体層は第1トレンチと第2トレンチとで挟まれているのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
{構造の説明}
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの断面図である。ダイオード10は、n+型シリコンカーバイド基板12上に、n型シリコンカーバイド層14、n型シリコン層16、p型シリコン層18が順に積層された構造をしている。二本のトレンチ24がp型シリコン層18、n型シリコン層16、n型シリコンカーバイド層14を突き抜け、n+型シリコンカーバイド基板12に到達するように形成されている。トレンチ24にはトレンチゲート28が埋め込まれている。トレンチ24の側面とトレンチゲート28との間やトレンチ24の底面とトレンチゲート28との間には、ゲート酸化膜26が形成されている。トレンチゲート28上には電極30が形成されている。トレンチゲート28間に位置するp型シリコン層18上にはアノード電極22が形成されている。n+型シリコンカーバイド基板12の表面のうち、n型シリコンカーバイド層14が形成されている表面と対向する表面上にはカソード電極20が形成されている。
【0017】
{動作の説明}
次に、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10の動作について、図1を用いて説明する。まず、ON動作について説明する。ダイオード10には順方向電圧が印加される。例えば、アノード電極22には2Vの電圧、カソード電極20には0Vの電圧が、それぞれ印加される。このとき、アノード電極22からカソード電極20に向けて電流が流れる。なお、電極30には、アノード電極22と同じ電圧、もしくはより抵抗を低減させるため、10V程度の電圧を印加してもよい。
【0018】
次に、OFF動作について説明する。ダイオード10には逆方向電圧が印加される。例えば、アノード電極22には0Vの電圧、カソード電極20には600〜1000Vの電圧が、それぞれ印加される。電極30の電圧はアノード電極22の電圧と同じでよい。より良好なオフ特性を得るために、電極30に−10V程度の電圧を印加してもよい。電極30にこのような電圧が印加されることにより、一方のトレンチゲート28の方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部と他方のトレンチゲート28の方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部とがn型シリコンカーバイド層14でつながる。これにより、逆方向電圧が保持され、ダイオード10に電流が流れるのを防ぐ。
【0019】
{製造方法の説明}
次に、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10の製造方法について、図1〜図6を用いて説明する。図2に示すように、n+型シリコンカーバイド基板12を準備する。n+型シリコンカーバイド基板12の厚みは0.5〜1mmであり、不純物濃度は1×1019cm-3程度である。不純物は窒素である。
【0020】
図3に示すように、n+型シリコンカーバイド基板12上にn型シリコンカーバイド層14をエピタキシャル成長により形成する。n型シリコンカーバイド層14の厚みは1〜10μmであり、不純物濃度は1×1016〜1×1017cm-3である。不純物は窒素である。n型シリコンカーバイド層14上にn型シリコン層32をエピタキシャル成長により形成する。n型シリコン層32の厚みは5〜10μmであり、不純物濃度は1×1015〜1×1017cm-3である。不純物はリンである。n型シリコン層32にp型不純物を拡散し、n型シリコン層32の上部に、図4に示すようにp型シリコン層18を形成する。p型シリコン層18の厚みは2〜3μmであり、不純物濃度は1×1016〜1×1017cm-3である。不純物はボロンである。なお、n型シリコン層32の下部をn型シリコン層16とする。
【0021】
図5に示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とにより、複数のトレンチ24をこの積層物に形成する。トレンチ24はp型シリコン層18、n型シリコン層16、n型シリコンカーバイド層14を突き抜け、n+型シリコンカーバイド基板12に到達するように形成されている。トレンチ24の幅wは0.5〜2μmである。トレンチ24間の距離d1は0.5〜5μmである。
【0022】
図6に示すように、熱酸化により、トレンチ24の側面及び底面にゲート酸化膜26を形成する。ゲート酸化膜26の厚みは0.05〜0.2μmである。トレンチ24がポリシリコン膜で埋まるように、CVDによりp型シリコン層18上にポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜をエッチバックし、トレンチ24内にのみポリシリコン膜を残す。このポリシリコンがトレンチゲート28となる。
【0023】
図1に示すように、n+型シリコンカーバイド基板12上に蒸着法により、金属からなるカソード電極20を形成する。また、p型シリコン層18上に蒸着法により、金属層を形成する。この金属層をパターンニングし、アノード電極22及び電極30を形成する。以上により、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10が完成する。
【0024】
{ダイオードの耐圧が向上する説明}
本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10において、トレンチゲート28により、ダイオード10の耐圧が向上するのをシミュレーションを用いて説明する。図15はダイオードに逆方向電圧を印加したときに、ダイオードに流れる電流を示すシミュレーションである。(a)は図1に示すダイオード10のシミュレーションであり、(b)は図1に示すダイオード10からトレンチゲート28を除去した構造のダイオードのシミュレーションである。
【0025】
(b)に示すトレンチゲートなしのダイオードは約60Vで、電流が急激に流れる現象、すなわち、絶縁破壊現象が現れる。これに対して、(a)に示すトレンチゲートを備えたダイオードは140Vでも絶縁破壊現象を起こしていない。このシミュレーションからも分かるように、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10は、トレンチゲートなしのダイオードに比べて耐圧が高くなる。
【0026】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10の耐圧が向上する理由を説明する。図16はトレンチゲートを備えたダイオードに生じる電界のシミュレーションである。トレンチゲートは0Vに接地され、カソードには140Vが印加され、アノードは0Vが印加されるものとする。縦軸は電界強度を示す。横軸はp型シリコン層とn型シリコン層との接合部からのダイオードの深さ方向の距離を示している。すなわち、横軸の値2μmがp型シリコン層とn型シリコン層との接合部の位置と対応している。横軸の値10μmがn型シリコン層とn型シリコンカーバイド層との境界の位置と対応している。横軸の値20μmがn型シリコンカーバイド層とn+型シリコンカーバイド基板との境界の位置と対応している。なお、トレンチゲートの幅は0.4μmとし、ゲート酸化膜厚は0.1μmとし、トレンチゲートとこのトレンチゲートと対向するトレンチゲート(図示せず)との距離は0.2μmとする。
【0027】
シミュレーションから分かるように、横軸の値20μm、すなわち、n型シリコンカーバイド層とn+型シリコンカーバイド層との境界がダイオードに作用する電界のピークとなる。このため、シリコンカーバイド層の絶縁破壊電界がダイオードの絶縁破壊電界となる。
【0028】
次にトレンチゲートを備えないダイオードに生じる電界のシミュレーションを、図17を用いて説明する。カソードには60Vが印加され、アノードは0Vが印加されるものとする。縦軸及び横軸の意味は図16に示す縦軸及び横軸の意味と同じである。シミュレーションから分かるように、ダイオードに作用する電界のピークは二つある。一つは横軸の値2μm、すなわち、p型シリコン層とn型シリコン層との接合部が電界のピークであり、もう一つは横軸の値10μm、すなわち、n型シリコン層とn型シリコンカーバイド層との境界が電界のピークとなる。p型シリコン層とn型シリコン層との接合部に作用する電界のほうが、n型シリコン層とn型シリコンカーバイド層との境界に作用する電界より大きい。このため、p型シリコン層とn型シリコン層との接合部、すなわち、シリコン層の絶縁破壊電界が、このダイオードの絶縁破壊電界となる。
【0029】
以上、図16及び図17を用いて説明したように、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10は、トレンチゲートを備えないダイオードより絶縁破壊電界が大きいので、耐圧が高くなることが分かる。
【0030】
なお、本来、図1に示すトレンチゲート28の下端部34間にある領域36が、ダイオード10に作用している電界の最大値となる領域である。しかしながら、下端部34がn+型シリコンカーバイド基板12まで到達していると、領域36が電界の最大値となる領域とはならない。これは、n+型シリコンカーバイド基板12は不純物濃度が高く金属と同様の抵抗値を示すからである。よって、本発明の第1の実施の形態に係るダイオードにおいては、n型シリコンカーバイド層14とn+型シリコンカーバイド基板12との境界が電界のピークとなる。
【0031】
{効果の説明}
図1に示す本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10において、ダイオードの順方向電流の立ち上がり電圧は、シリコンのエネルギーギャップの値である約0.6Vであり、ダイオードの絶縁破壊電界はシリコンカーバイドの絶縁破壊電界である約3×106V/cmとなる。よって、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10によれば、高耐圧かつ低損失電力のダイオードを実現することが可能となる。
【0032】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るダイオードの断面図である。図7に示すダイオード40の構成要素のうち図1に示すダイオード10の構成要素と同一のものについては、同一符号を付すことにより説明を省略する。ダイオード40が図1に示すダイオード10と相違する構造は、トレンチゲート28の下端部34の位置である。すなわち、ダイオード40のトレンチゲート28の下端部34はn+型シリコンカーバイド基板12に到達しておらず、n型シリコンカーバイド層14中に位置している。
【0033】
ダイオード40の動作は、本発明の第1の実施の形態に係るダイオード10の動作と同様である。但し、OFF動作のとき、一方のトレンチゲート28の下端部34と他方のトレンチゲート28の下端部34との間にあるn型シリコンカーバイド層14(図7中符号42で示す領域)おいて、ダイオード10に作用している電界がピークとなる。
【0034】
ダイオード40の製造方法が図1に示すダイオード10の製造方法と相違する点は、トレンチ24の形成工程である。すなわち、ダイオード40の製造方法においては、図5に示す工程でトレンチ24の底部がn型シリコンカーバイド層14に位置するようにする。
【0035】
図7に示す本発明の第2の実施の形態に係るダイオード40は図1に示すダイオード10と同様の効果を有する他、以下の効果を有する。すなわち、下端部34間にある領域を、ダイオード40に作用している電界の最大値となる領域にすることができるので、トレンチの深さのみで最大電界領域を設定できる。このためデバイス構造の設計の自由度が増す。
【0036】
[第3の実施の形態]
{構造の説明}
図8は、本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの断面図である。図1に示すダイオード10との相違は、シリコンカーバイド層を含まず、シリコン層を積層した構造という点である。すなわち、ダイオード50は、n+型シリコン基板52上に、n型シリコン層54、p型シリコン層56が順に積層された構造をしている。二本のトレンチ62がp型シリコン層56、n型シリコン層54を突き抜け、n+型シリコン基板52に到達するように形成されている。各トレンチ62にはトレンチゲート66が埋め込まれている。各トレンチ62の側面とトレンチゲート66との間、各トレンチ62の底面とトレンチゲート66との間には、ゲート酸化膜64が形成されている。トレンチゲート66上には電極68が形成されている。トレンチゲート66間に位置するp型シリコン層56上にはアノード電極60が形成されている。n+型シリコン基板52の表面のうち、n型シリコン層54が形成されている表面と対向する表面上にはカソード電極58が形成されている。
【0037】
{動作及び効果の説明}
次に、本発明の第3の実施の形態に係るダイオード50の動作について、図8を用いて説明する。まず、ON動作について説明する。ダイオード50には順方向電圧が印加される。例えば、アノード電極60には2Vの電圧、カソード電極58には0Vの電圧が、それぞれ印加される。このとき、アノード電極60からカソード電極58に向けて電流が流れる。なお、電極68には、アノード電極60と同じ電圧、もしくはより抵抗を低減させるため、10V程度の電圧を印加してもよい。
【0038】
次に、OFF動作について説明する。ダイオード50には逆方向電圧が印加される。例えば、アノード電極60には0Vの電圧、カソード電極58には600〜1000Vの電圧が、それぞれ印加される。電極68の電圧はアノード電極60の電圧と同じでよい。より良好なオフ特性を得るために、電極68に−10V程度の電圧を印加してもよい。電極68にこのような電圧が印加されることにより、一方のトレンチゲート66の方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部と他方のトレンチゲート66の方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部とがn型シリコン層54でつながる。これにより、逆方向電圧が保持され、ダイオード50に電流が流れるのを防ぐ。このとき、ダイオード50作用する電界のピークは、p型シリコン層56とn型シリコン層54との接合部70及びn+型シリコン基板52とn型シリコン層54との境界72にも電界のピークを位置させることが可能となる。
【0039】
このことをシミュレーションで説明する。図18はダイオード50に生じる電界のシミュレーションである。縦軸は電界強度を示す。横軸はp型シリコン層56表面からのダイオード50の深さ方向の距離を示している。すなわち、0μmはp型シリコン層56表面を示している。接合部70までの距離は約3.5μmであり、境界72までの距離は約17μmである。シミュレーションの(a)はn型シリコン層54の不純物濃度が1E15の場合を示し、(b)はn型シリコン層54の不純物濃度が2E15の場合を示し、(c)はn型シリコン層54の不純物濃度が4E15の場合を示している。図18に示すように、電界のピークは接合部と境界とに生じている。
【0040】
この場合、二つのピークのうち、最大値のピークが位置するところの絶縁破壊電界がダイオード50の絶縁破壊電界となる。ピークが複数に分散されることにより、電界の最大値が下がる。よって、ダイオード50よれば、さらに高い逆方向電圧を印加することができるので、ダイオード50は耐圧性に優れたダイオードとなる。
【0041】
{製造方法の説明}
次に、本発明の第3の実施の形態に係るダイオード50の製造方法について、図8〜図13を用いて説明する。図9に示すように、n+型シリコン基板52を準備する。n+型シリコン基板52の厚みは0.5〜1mmであり、不純物濃度は1×1018〜1×1019cm-3である。不純物はアンチモンもしくはヒ素である。
【0042】
図10に示すように、n+型シリコン基板52上にn型シリコン層74をエピタキシャル成長により形成する。n型シリコン層74の厚みは、10〜100μmであり、不純物濃度は1×1014〜1×1016cm-3である。不純物はリンである。n型シリコン層74にp型不純物を拡散し、n型シリコン層74の上部に、図11に示すように、p型シリコン層56を形成する。p型シリコン層56の厚みは、1〜3μmであり、不純物濃度は1×1016〜1×1017cm-3である。不純物はボロンである。なお、n型シリコン層74の下部をn型シリコン層54とする。
【0043】
図12に示すように、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術とにより、複数のトレンチ62をこの積層物に形成する。トレンチ62はp型シリコン層56、n型シリコン層54を突き抜け、n+型シリコン基板52に到達するように形成されている。トレンチ62の幅wは0.5〜2μmである。トレンチ62間の距離d1は0.5〜5μmである。
【0044】
図13に示すように、熱酸化により、トレンチ62の側面及び底面にゲート酸化膜64を形成する。ゲート酸化膜64の厚みは0.05〜0.2μmである。トレンチ62がポリシリコン膜で埋まるように、CVDによりp型シリコン層56上にポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜をエッチバックし、トレンチ62内にのみポリシリコン膜を残す。このポリシリコンがトレンチゲート66となる。
【0045】
図8に示すように、n+型シリコン基板52上に蒸着法により、金属からなるカソード電極58を形成する。また、p型シリコン層56上に蒸着法により、金属層を形成する。この金属層をパターンニングし、アノード電極60及び電極68を形成する。以上により、本発明の第3の実施の形態に係るダイオード50が完成する。
【0046】
[第4の実施の形態]
図14は、本発明の第4の実施の形態に係るダイオードの断面図である。図14に示すダイオード80の構成要素のうち図8に示すダイオード50の構成要素と同一のものについては、同一符号を付すことにより説明を省略する。ダイオード80が図8に示すダイオード50と相違する構造は、トレンチゲート66の下端部76の位置である。すなわち、ダイオード80のトレンチゲート66の下端部76はn+型シリコン基板52に到達しておらず、n型シリコン層54中に位置している。
【0047】
ダイオード80の動作は、本発明の第3の実施の形態に係るダイオード50の動作と同様である。但し、OFF動作のとき、一方のトレンチゲート66の下端部76と他方のトレンチゲート66の下端部76との間にあるn型シリコン層54(図14中符号82で示す領域)おいて、ダイオード80に作用する電界がピークとなる。
【0048】
ダイオード80の製造方法が図8に示すダイオード50の製造方法と相違する点は、トレンチ62の形成工程である。すなわち、ダイオード80の製造方法においては、図12に示す工程でトレンチ62の底部がn型シリコン層54に位置するようにする。
【0049】
図14に示す本発明の第4の実施の形態に係るダイオード80は図8に示すダイオード50と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第1工程図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第2工程図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第3工程図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第4工程図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第5工程図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るダイオードの断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第1工程図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第2工程図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第3工程図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第4工程図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードの製造工程を説明するための第5工程図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係るダイオードの断面図である。
【図15】ダイオードに逆方向電圧を印加したときに、ダイオードに流れる電流のシミュレーションを示す図である。
【図16】トレンチゲートを備えたダイオードに生じる電界のシミュレーションを示す図である。
【図17】トレンチゲートを備えていないダイオードに生じる電界のシミュレーションを示す図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係るダイオードに生じる電界のシミュレーションを示す図である。
【符号の説明】
10 ダイオード
12 n+型シリコンカーバイド基板
14 n型シリコンカーバイド層
16 n型シリコン層
18 p型シリコン層
20 カソード電極
22 アノード電極
24 トレンチ
26 ゲート酸化膜
28 トレンチゲート
30 電極
32 n型シリコン層
34 下端部
36 領域
38 境界
40 ダイオード
42 領域
50 ダイオード
52 n+型シリコン基板
54 n型シリコン層
56 p型シリコン層
58 カソード電極
60 アノード電極
62 トレンチ
64 ゲート酸化膜
66 トレンチゲート
68 電極
70 接合部
72 境界
74 n型シリコン層
76 境界部
80 ダイオード
82 領域

Claims (2)

  1. 第1の導電型の第1半導体層と、第1半導体層と接合している第2の導電型の第2半導体層と、第2の導電型の第3半導体層と、を備えたダイオードであって、
    第1トレンチゲートと第2トレンチゲートとを備え、
    前記第2半導体層は、前記第1トレンチゲートと前記第2トレンチゲートとの間に位置し、
    前記ダイオードに逆方向電圧が印加されている時、前記第2半導体層には前記第1トレンチゲートの方から延びた空乏層と前記第2トレンチゲートの方から延びた空乏層とが形成され、
    前記第3半導体層は前記第2半導体層と接触しており、
    前記第3半導体層は前記第1トレンチゲートと前記第2トレンチゲートとの間に位置し、
    前記第1半導体層及び前記第2半導体層のエネルギーギャップは前記第3半導体層のエネルギーギャップより小さく、
    前記第3半導体層の絶縁破壊電界は前記第1半導体層及び前記第2半導体層の絶縁破壊電界より大きい、ダイオード。
  2. 請求項1において、
    前記第2半導体層中の不純物濃度、前記第1トレンチゲートと前記第2トレンチゲートとの間の距離、前記第1トレンチゲートのゲート絶縁膜の厚み及び前記第2トレンチゲートのゲート絶縁膜の厚み、の組み合わせは、前記ダイオードに逆方向電圧が印加されている時、前記第1トレンチゲートの方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部と前記第2トレンチゲートの方から延びた空乏層の縁部の少なくとも一部とが前記第2半導体層でつながる、組み合わせである、ダイオード。
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