JP4677951B2 - 三次元繊維構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、三次元繊維構造体の製造方法に係り、詳しくは連続繊維維からなる繊維層が積層されて形成された少なくとも2軸配向となる積層繊維層で曲げ部を有する板状に形成されるとともに、前記積層繊維層の前記曲げ部以外の部分にその厚さ方向に厚さ方向糸が配列された三次元繊維構造体の製造方法に関する。
繊維強化複合材(以下、単に複合材と言う。)は軽量の構造材として広く使用されている。複合材用の強化基材として三次元織物等の三次元繊維構造体がある。三次元繊維構造体を複合材の強化材として広い用途に使用可能とするためには、単純な平板状ではなく曲げ部を有する三次元繊維構造体が必要となる。
この種の三次元繊維構造体として、多数の経糸を三次元織物の断面形状に対応した複数行、複数列に配列して経糸群を形成し、該経糸群の行間及び列間に経糸と直交する状態で第2緯糸及び第1緯糸をそれぞれ挿入する工程を繰り返して三次元織物を織成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、三次元織物の屈曲部(曲げ部)を織成する際に、屈曲状態に対応して第1緯糸を部分的に屈曲部の最内層となる行の経糸に達する手前で折り返すとともに第2緯糸の挿入行数をそれに対応して減少する織成工程を入れ、製織の進行に伴い織り上がった部分の三次元織物を順次屈曲させる。
また、三次元繊維構造体の製造方法として枠体を使用する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、複数の板状部が接続部において屈曲状態で連続する形状の三次元繊維構造体の形状に対応した形状に形成されるとともに規制部材が所定ピッチで配置された枠体上に、規制部材間に糸を折り返し状に配列した糸層を複数積層して積層糸群を形成した後、積層糸群を枠体に保持した状態で厚さ方向糸を挿入する。
ところが、特許文献1の製造方法では製造装置として三次元織機が必要となり、装置が複雑で大型になる。また、特許文献2の製造方法では特許文献1の方法に比較して装置は簡単になるが、屈曲状態で枠体上に配列された積層糸群に厚さ方向糸を挿入する作業工数が大きくなり、装置も複雑になる。
そこで、図7(a)に示すように、連続繊維61からなる繊維層が積層されて形成された積層繊維層62が、厚さ方向糸63で結合された三次元繊維構造体64を形成した後、その三次元繊維構造体64を曲げて、図7(b)に示すように、曲げ部を有する三次元繊維構造体を形成する場合がある。
特開平2−191742号公報 特開平9−137336号公報
ところが、三次元繊維構造体64を構成する連続繊維61は、一般に伸びが非常に小さいため、積層繊維層62が厚さ方向糸63で結合された三次元繊維構造体64を曲げると、積層繊維層62の外側が伸びることができない。そして、結果として、図7(b)に示すように、積層繊維層62の内側に皺65や歪みが発生した三次元繊維構造体64となる。この皺65や歪みは複合材を形成した場合に強度低下、即ち物性低下の原因となるとともに、外観品質を低下させる。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、連続繊維維からなる積層繊維層が曲げ部を有する板状に形成されるとともに、積層繊維層の曲げ部以外の部分に厚さ方向糸が配列された三次元繊維構造体を曲げ部に皺や歪みの無い状態で簡単に製造することができる三次元繊維構造体の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明は、連続繊維からなる繊維層が積層されて形成された少なくとも2軸配向となる積層繊維層で曲げ部を有する板状に形成されるとともに、前記積層繊維層の前記曲げ部以外の部分にその厚さ方向に厚さ方向糸が配列された三次元繊維構造体の製造方法である。そして、規制部材が所定ピッチで配置された治具上に、前記規制部材と係合して折り返すように連続繊維を前記規制部材間に配列して形成した繊維層を積層して少なくとも2軸配向となる積層繊維層を形成する連続繊維配列工程と、前記積層繊維層に厚さ方向糸を前記積層繊維層と直交するように挿入して平板状の一次構造体を形成する厚さ方向糸挿入工程とを備える。また、前記厚さ方向糸が挿入された平板状の一次構造体の所定位置に曲げ部を形成する曲げ工程を備え、前記連続繊維配列工程において、前記曲げ部の内側と外側の経路差に対応して、前記曲げ部となる箇所で外側に配列される連続繊維を弛ませた状態で配列する。
この発明では、連続繊維配列工程において、規制部材が所定ピッチで配置された治具上に、規制部材と係合して折り返すように連続繊維が規制部材間に配列されて形成された繊維層が積層されて、少なくとも2軸配向となる積層繊維層が形成される。この連続繊維配列工程において、形成すべき三次元繊維構造体の曲げ部の内側と外側の経路差に対応して、曲げ部となる箇所で外側に配列される連続繊維が弛んだ状態で配列される。連続繊維配列工程の後、厚さ方向糸挿入工程において、積層繊維層に厚さ方向糸が積層繊維層と直交するように挿入されて積層繊維層が厚さ方向糸により結合された平板状の一次構造体が形成される。その後、曲げ工程において、平板状の一次構造体の所定位置が曲げられて曲げ部を備えた三次元繊維構造体が形成される。積層繊維層の曲げ部の外側部分を構成する連続繊維は弛んだ状態で配列されているため、曲げ工程において弛みが解消されて曲げ部の曲率に対応して適正な張力状態で配列される。また、厚さ方向糸の挿入は、積層繊維層が平板状の状態で行われるため、容易に挿入が行われる。その結果、三次元繊維構造体を曲げ部に皺や歪みの無い状態で簡単に製造することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記連続繊維を弛ませて配列するためにスペーサを使用する。この発明では、スペーサを使用することにより、連続繊維配列工程において、曲げ部となる箇所で外側に配列される連続繊維に所望の弛みを持たせた状態で配列するのが容易になる。なお、スペーサは、曲げ工程においては必要ないため、スペーサが除去された状態で、平板状の一次構造体の曲げが行われる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記スペーサは、前記曲げ部と対応する箇所の前記繊維層間に配置される状態で複数設けられる。この発明では、スペーサを1個使用する場合に比較して、各繊維層の曲げ部における連続繊維の曲率に対応するスペーサを使用することで所望の弛みを精度良く持たせることが可能になる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記スペーサは、前記曲げ部と対応する箇所で前記繊維層と前記治具の間に1個配置される。この発明では、スペーサが1個のため、スペーサを複数使用する場合に比較して、工数が小さく作業が容易になる。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記スペーサは、前記曲げ部の中心軸と平行に配列される連続繊維以外の連続繊維に弛みを持たせる位置に配置される。
曲げ部の中心軸と平行(配列角度0°)に配列される連続繊維は、一次構造体が曲げ作用を受けた場合に繊維層の面内で横に平行移動し易い。従って、配列角度0°の連続繊維で構成される繊維層間にスペーサを設けなくても、一次構造体の曲げに伴って配列角度0°の連続繊維は適正な位置に移動する。この発明では、スペーサの数を請求項3に記載の発明に比較して少なくできる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記連続繊維は、伸び率が2.4%以下である。10%以上伸びる繊維(ナイロン、アクリル)と比較して、炭素繊維の伸び率は、一般に0.5%〜2.4%と小さく、弛みのない連続繊維を伸ばして曲げを行うことは難しい。しかし、この発明では連続繊維に炭素繊維を使用しても無理なく曲げ部を形成することができる。
本発明によれば、連続繊維維からなる積層繊維層が曲げ部を有する板状に形成されるとともに、積層繊維層の曲げ部以外の部分に厚さ方向糸が配列された三次元繊維構造体を曲げ部に皺や歪みの無い状態で簡単に製造することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、三次元繊維構造体11は、連続繊維12からなる繊維層が積層されて形成された少なくとも2軸配向となる積層繊維層13が厚さ方向糸14で結合されて構成されている。三次元繊維構造体11は、曲げ部15と、曲げ部15を挟んで両側に延びる板状部16とを備えている。厚さ方向糸14は、積層繊維層13の曲げ部15以外の部分にその厚さ方向、即ち繊維層に直交するように配列されている。連続繊維12としては、例えば、炭素繊維が使用される。
次に三次元繊維構造体11の製造方法を説明する。
三次元繊維構造体11は、連続繊維配列工程と、厚さ方向糸挿入工程と、曲げ工程とを備えている。
連続繊維配列工程では、図2(a),(b)に示すように、規制部材としてのピン17a,17bが所定ピッチで配置された治具18を使用する。治具18は矩形の枠状に形成され、ピン17a,17bは着脱可能に立設されている。ピン17aのピッチは、治具18の長手方向と直交する方向、即ち配列角度0°に配列される連続繊維12の配列ピッチに合わせて設定され、ピン17bのピッチは、治具18の長手方向と平行に、即ち配列角度90°に配列される連続繊維12の配列ピッチに合わせて設定されている。この実施形態では、配列角度0°に配列される連続繊維12は、曲げ部15の曲率中心線と平行に配列される。
そして、図2(b)に示すように、治具18上に、ピン17aと係合して折り返すように連続繊維12がピン17a間に配列されて、配列角度0°の繊維層としての0度繊維層13aが形成される。また、図2(a)に示すように、ピン17bと係合して折り返すように連続繊維12がピン17b間に配列されて、配列角度90°の繊維層としての90度繊維層13bが形成される。そして、90度繊維層13b及び0度繊維層13aが交互に積層されて、2軸配向となる積層繊維層13が形成される。連続繊維12を配列する際に、三次元繊維構造体11の曲げ部15の内側と外側の経路差に対応して、曲げ部15となる箇所で外側に配列される連続繊維12を弛ませた状態で配列する。連続繊維12を弛ませて配列するために、スペーサを使用する。スペーサ19の幅及び厚さは、曲げ部15の長さ及び曲率並びに連続繊維12の太さ等に対応した適正な値に設定される。
図2(a),(b)では、連続繊維12の配列間隔が広く図示されているが、連続繊維12は、隣接する連続繊維12同士が接触する状態で配列される。
スペーサ19は、図3(a)に示すように、曲げ部と対応する箇所の繊維層間に配置される状態で複数設けられる。この実施の形態ではスペーサ19は、配列角度90°に配列される連続繊維12と直交する状態で各繊維層間に配置される。なお、図3(a)〜(c)では0度繊維層13aの図示が省略されている。また、治具18の枠内には、連続繊維12がスペーサ19の重さや連続繊維12の張力で枠内に撓むのを阻止するため、スペーサ19が配置される箇所と対応する位置に、図2(a),(b)に鎖線で示すように、支持部材20が配置された状態で連続繊維12の配列が行われる。即ち、連続繊維配列工程において、曲げ部15の内側と外側の経路差に対応して、曲げ部15となる箇所で外側に配列される連続繊維12を弛ませた状態で配列が行われる。
連続繊維配列工程終了後、支持部材20が治具18の枠内から除去され、積層繊維層13が治具18に保持されている状態で厚さ方向糸挿入工程が行われる。厚さ方向糸14は、積層繊維層13の曲げ部15と対応する以外の部分に挿入されて、図3(b)に示すように、積層繊維層13が厚さ方向糸14で結合された平板状の一次構造体21が製造される。
厚さ方向糸14の挿入は、例えば、特許文献2に開示されている方法と同様に行われる。詳述すれば、積層繊維層13の厚さ方向に、先端に孔を備え該孔に厚さ方向糸14を掛止した図示しない挿入針を挿入する。挿入針は厚さ方向糸14が掛止された孔が積層繊維層13を貫通するまで前進する。その後、挿入針はわずかに後退される。その結果、厚さ方向糸14はU字状のループを形成した状態となる。
次に図示しない抜け止め糸針が前記U字状のループ内を通過し、積層繊維層13の端部まで到達した時点で停止する。この時抜け止め糸が抜け止め糸針の先端に掛止される。そして、抜け止め糸針が引き戻され、抜け止め糸が厚さ方向糸14のU字状ループ内に挿通された状態になる。その状態で挿入針が引き戻され、厚さ方向糸14により抜け止め糸が締め付けられて積層繊維層13が結合される。
厚さ方向糸挿入工程終了後、スペーサ19が除去された後、曲げ工程が行われる。曲げ工程では、一次構造体21を治具18からピン17a,17bと共に取り外して、成形型にセットし、成形型を閉じることで、図3(c)に示すように、曲げ部15が加工されて、三次元繊維構造体11が形成される。
前記のように構成された三次元繊維構造体11は、例えば、樹脂の含浸、硬化を行って繊維強化複合材(繊維強化樹脂)として使用される。樹脂の含浸、硬化には、例えば、レジントランスファーモールディング(RTM)法が採用される。RTM法では、樹脂含浸用金型(成形金型)内に三次元繊維構造体11を配置し、この樹脂含浸用金型内に熱硬化性のマトリック樹脂を注入して三次元繊維構造体11に含浸させた後、加熱硬化させることにより、繊維強化複合材が製造される。この繊維強化複合材は、所定の形状に曲げられた枠体上に積層繊維層を形成して、厚さ方向糸で積層繊維層を結合して製造した三次元繊維構造体を強化材としたものと同等の物性を有する。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)連続繊維配列工程において、ピン17a,17bが所定ピッチで配置された治具18上に、ピン17a,17bと係合して折り返すように連続繊維12が17a,17b間に配列されて形成された繊維層が積層されて、少なくとも2軸配向となる積層繊維層13が形成される。この連続繊維配列工程において、形成すべき三次元繊維構造体11の曲げ部15の内側と外側の経路差に対応して、曲げ部15となる箇所で外側に配列される連続繊維12が弛んだ状態で配列される。そして、連続繊維配列工程の後、積層繊維層13に厚さ方向糸14が積層繊維層13と直交するように挿入されて積層繊維層13が厚さ方向糸14により結合された平板状の一次構造体21が形成される。その後、曲げ工程において、一次構造体21の所定位置が曲げられて曲げ部15を備えた三次元繊維構造体11が形成される。従って、積層繊維層13が厚さ方向糸14で結合された平板状の一次構造体21を曲げて曲げ部15を有する三次元繊維構造体11を製造しても、積層繊維層13の厚さが薄くても、厚くても曲げ部15に皺や歪みの無い状態で簡単に三次元繊維構造体11を製造することができる。また、この三次元繊維構造体11に樹脂を含浸、硬化して形成した複合材は、所定の形状に曲げられた枠体上に積層繊維層を形成して、厚さ方向糸で積層繊維層を結合して製造した三次元繊維構造体を強化材としたものと同等の物性を有する。
(2)連続繊維配列工程において、連続繊維12を弛ませて配列するためにスペーサ19を使用する。従って、連続繊維配列工程において、曲げ部15となる箇所で外側に配列される連続繊維12に所望の弛みを持たせた状態で配列するのが容易になる。
(3)スペーサ19は、曲げ部15と対応する箇所の繊維層間に配置される状態で複数設けられる。従って、スペーサ19を1個使用する場合に比較して、各繊維層の曲げ部15における連続繊維12の曲率に対応する幅及び厚さのスペーサ19を使用することで所望の弛みを精度良く持たせることが可能になる。
(4)積層繊維層13は、配列角度0°の0度繊維層13aと、配列角度90°の90度繊維層13bとが交互に形成され、各繊維層の間にスペーサ19が配置される状態で連続繊維12の配列が行われる。従って、90度繊維層13bを構成する連続繊維12に所望の弛みを持たせた状態で配列するのが容易になる。
(5)形成すべき三次元繊維構造体11の曲げ部15の状態に対応してスペーサ19を変更した場合、支持部材20の幅を変更が必要な場合があるが、治具18が枠状に形成されており、支持部材20が取り外し可能なため、治具18全体を変更せずに、支持部材20のみを変更することで容易に対応することができる。
(6)積層繊維層13を構成する連続繊維として炭素繊維が使用されている。炭素繊維の伸び率は、10%以上伸びる繊維(ナイロン、アクリル)と比較して、一般に0.5%〜2.4%と小さく、弛みのない連続繊維を伸ばして曲げを行うことは難しい。しかし、この実施形態では連続繊維に炭素繊維を使用しても無理なく曲げ部15を形成することができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 積層繊維層13は、0度繊維層13aと90度繊維層13bとが交互に積層された構成に限らず、例えば、90度繊維層13bの間に0度繊維層13aが複数積層された構成としたり、90度繊維層13bが0度繊維層13aの間に複数積層された構成としたりしてもよい。0度繊維層13aを構成する連続繊維12は、曲げ部15の曲率中心線と平行に延びる状態で配列されているため、一次構造体21を曲げ工程で曲げる際に横方向に、即ち0度繊維層13a内で90°配列繊維と直交する方向にずれ易い。従って、図4(a)に示すように、0度繊維層13aが90度繊維層13b間に複数層存在する場合、スペーサ19を0度繊維層13a内には配置せずに、スペーサ19を90度繊維層13bと0度繊維層13aとの間及び90度繊維層13b間にのみ配置してもよい。この場合も、連続繊維配列工程及び厚さ方向糸挿入工程終了後、スペーサ19を除去して一次構造体21の曲げ加工を行うと、図4(b)に示すように、曲げ部15に皺や歪みの無い状態の三次元繊維構造体11が得られる。この場合、スペーサ19の数を前記実施形態の場合に比較して少なくできる。
○ スペーサ19の数は複数に限らない。例えば、図5に示すように、曲げ部15と対応する箇所の内側に1個のスペーサ19を配置して連続繊維12を配列してもよい。例えば、図示しない治具18に取り付けられた支持部材20の上に1個のスペーサ19を配置して連続繊維12の配列を行う。曲げ部15の曲率や積層繊維層13の厚さによっては、このように1個のスペーサ19を使用しただけで、連続繊維配列工程において、90度繊維層13bを構成する連続繊維12に必要な弛みを持たせることが可能になる。なお、図5においても0度繊維層13aの図示が省略されている。
○ 三次元繊維構造体11は、0度繊維層13aの連続繊維12と平行に延びる軸が曲率中心線となるように曲げられた曲げ部15を有する構成に限らない。例えば、図6(a)に示すように、曲げ部22を境に板状部16が捩れた状態のプロペラに似た形状となる構成であってもよい。この三次元繊維構造体11を形成する場合は、図6(b)に示すように、スペーサ19として楕円錘状の物を使用する。そして、連続繊維配列工程及び厚さ方向糸挿入工程終了後、スペーサ19を除去した後、曲げ工程で一次構造体21に捩り力を加えることにより、図6(a)に示すプロペラ状の三次元繊維構造体11が得られる。なお、図6(a),(b)においても0度繊維層13aの図示が省略されている。
○ 三次元繊維構造体11は連続繊維12からなる繊維層が積層されて形成された少なくとも2軸配向となる積層繊維層13で曲げ部15を有する板状に形成されるとともに、積層繊維層13の曲げ部15以外の部分にその厚さ方向に厚さ方向糸14が配列されていればよい。従って、連続繊維12は0°の配列と、90°の配列との組み合わせに拘わらない。例えば、0°の配列と、90°の配列と、90°に配列される連続繊維12と斜め(例えば、45°)に交差する所謂バイアス繊維(バイアス糸)を設けた4軸配向としたり、0°の配列と、バイアス繊維との組み合わせあるいは、90°の配列と、バイアス繊維との組み合わせにより3軸配向としたりしてもよい。
○ 連続繊維配列工程において、スペーサ19が配置される部分と対応する内側の連続繊維12が弛むのを防止するための支持部材20を第1の実施形態のように治具18と別体に構成する代わりに、治具18と一体に形成してもよい。しかし、支持部材20を治具18と別体に形成することにより、曲げ部15の位置や曲げ角度の変更により、支持部材20の位置や幅を変更する必要がある場合、治具18全体を交換する代わりに支持部材20のみを交換することで簡単に対応することができる。
○ スペーサ19として風船のように膨張、収縮可能な構成のものを使用してもよい。この場合、連続繊維配列工程において使用する場合は膨張させた状態で所定位置に配置し、厚さ方向糸挿入工程で積層繊維層13が厚さ方向糸14で結合された後、スペーサ19を除去する際に、収縮状態とすることにより、連続繊維12にダメージを与えずにスペーサ19を容易に除去することが可能になる。
○ 連続繊維配列工程において、曲げ部15の内側と外側の経路差に対応して、曲げ部15となる箇所で外側に配列される連続繊維12を弛ませた状態で配列する方法は、スペーサ19を使用する方法に限らない。例えば、連続繊維12を把持可能な一対のバーを、治具18の長手方向と直交して治具18上に配列される連続繊維12と係合可能な作用位置と、係合不能な退避位置とに移動可能かつ昇降可能に設ける。そして、例えば、90度繊維層13bを構成する連続繊維12が1層配列される毎に、作用位置と退避位置とに移動させて90度繊維層13bを構成する連続繊維12に必要な弛みを持たせる。
○ 予め織成された織物を積層して積層繊維層13を構成し、積層繊維層13、即ち各織物を厚さ方向糸14で結合して一次構造体21を形成してもよい。即ち、三次元繊維構造体11は積層された織物が厚さ方向糸14で結合された構成であってもよい。この実施形態では、連続繊維配列工程に代えて織物を積層する織物積層工程が行われる。そして、織物積層工程において、前記曲げ部の内側と外側の経路差に対応して、前記曲げ部となる箇所で外側に配置される織物を弛ませた状態で積層する。織物としては、平織りの織物に限らず綾織りの織物でもよい。また、二重織物、三重織物、風通織物等の多層織物を積層してもよい。この場合、連続繊維12を配列した繊維層を積層して積層繊維層13を構成するより、積層繊維層13の形成を短時間で行うことができる。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)織物が積層されて形成された積層繊維層で曲げ部を有する板状に形成されるとともに、前記積層繊維層の前記曲げ部以外の部分にその厚さ方向に厚さ方向糸が配列された三次元繊維構造体の製造方法であって、
織物を積層して積層繊維層を形成する織物積層工程と、
前記積層繊維層に厚さ方向糸を前記積層繊維層と直交するように挿入して平板状の一次構造体を形成する厚さ方向糸挿入工程と、
前記厚さ方向糸が挿入された平板状の一次構造体の所定位置に曲げ部を形成する曲げ工程とを備え、
前記織物積層工程において、前記曲げ部の内側と外側の経路差に対応して、前記曲げ部となる箇所で外側に配置される織物を弛ませた状態で積層することを特徴とする三次元繊維構造体の製造方法。
(2)請求項3、請求項5及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記スペーサは膨張、収縮可能に構成されている。
一実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図。 (a),(b)は治具と連続繊維の配列状態を示す模式平面図。 (a),(b),(c)は製造手順を示す模式図。 (a),(b)は別の実施形態の製造手順を示す模式図。 別の実施形態のスペーサの配置を示す模式図。 (a)は別の実施形態の三次元繊維構造体の模式斜視図、(b)はスペーサと一次構造体を示す模式斜視図。 (a),(b)は従来技術を示す模式図。
符号の説明
11…三次元繊維構造体、12…連続繊維、13…積層繊維層、13a…繊維層としての0度繊維層、13b…繊維層としての90度繊維層、14…厚さ方向糸、15,22…曲げ部、17a,17b…規制部材としてのピン、18…治具、19…スペーサ、21…一次構造体。

Claims (6)

  1. 連続繊維からなる繊維層が積層されて形成された少なくとも2軸配向となる積層繊維層で曲げ部を有する板状に形成されるとともに、前記積層繊維層の前記曲げ部以外の部分にその厚さ方向に厚さ方向糸が配列された三次元繊維構造体の製造方法であって、
    規制部材が所定ピッチで配置された治具上に、前記規制部材と係合して折り返すように連続繊維を前記規制部材間に配列して形成した繊維層を積層して少なくとも2軸配向となる積層繊維層を形成する連続繊維配列工程と、
    前記積層繊維層に厚さ方向糸を前記積層繊維層と直交するように挿入して平板状の一次構造体を形成する厚さ方向糸挿入工程と、
    前記厚さ方向糸が挿入された平板状の一次構造体の所定位置に曲げ部を形成する曲げ工程とを備え、
    前記連続繊維配列工程において、前記曲げ部の内側と外側の経路差に対応して、前記曲げ部となる箇所で外側に配列される連続繊維を弛ませた状態で配列することを特徴とする三次元繊維構造体の製造方法。
  2. 前記連続繊維を弛ませて配列するためにスペーサを使用する請求項1に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
  3. 前記スペーサは、前記曲げ部と対応する箇所の前記繊維層間に配置される状態で複数設けられる請求項2に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
  4. 前記スペーサは、前記曲げ部と対応する箇所で前記繊維層と前記治具の間に1個配置される請求項2に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
  5. 前記スペーサは、前記曲げ部の中心軸と平行に配列される連続繊維以外の連続繊維に弛みを持たせる位置に配置される請求項2に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
  6. 前記連続繊維は、伸び率が2.4%以下である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の三次元繊維構造体の製造方法。
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