JP4677567B2 - タンニンのゲル及び高粘性溶液の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、タンニンのゲル及び高粘性溶液の製造方法に関する。
タンニンは、植物の幹、皮、葉、実等から抽出される天然物であり、一般に皮なめし剤として用いられている環境に優しい物質である。タンニンには、ピロガロール系の加水分解型タンニンとカテコール系の縮合型タンニンがある。加水分解型タンニンは比較的低分子であることも手伝って、漢方薬など多くの植物材料から単離、同定が進み、基礎的な研究がほとんどこの型のタンニンだけを用いてなされていた。一方、縮合型タンニンは明確には同定されていなかった。1989年Weingesは無色の植物抽出物を酸で加熱した際にアントシアニジンを生じる物質をプロアントシアニジンと名づけた。そして構成成分がflavan-3-olsで複数の連結したフラボノイド単位からなる物質をプロアントシアニジンと定義づけた。従来縮合型タンニンと呼ばれていた多くの果実成分の実体がプロアントシアニジンポリマーであることが明らかにされ、縮合型タンニン(プロアントシアニジンポリマー)に関する研究が多くなされている。
前記タンニンの原料となる植物は植林等により供給することができ、前記植林のサイクルは、例えば、南アフリカのブラックワットルの場合、10年サイクルといわれている。従って、前記タンニンは、南洋材の伐採のように地球環境に負荷をかけることなく永続的に供給することができ、石油製品から製造される合成樹脂等のように資源の枯渇を顧慮する必要もない。
タンニンの用途としては、シックハウス症候群、化学物質過敏症等の問題があるホルムアルデヒド系接着剤に代わる接着剤として、木材から抽出される天然樹脂の1種であるタンニンの水溶液を水性接着剤として用いることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、前記タンニンの水溶液自体を前記水性接着剤として用いるときには、被着材に対して十分な接着力を得ることが難しいという不都合がある。
また、これまでのタンニンの用途は限られており、資源の豊富なタンニンの有効利用が望まれている。
矢崎義和、「木質用天然物(タンニン)系接着剤」、日本接着学会誌、2001年、第37巻、第12号、第25〜30頁
矢崎義和、「木質用天然物(タンニン)系接着剤」、日本接着学会誌、2001年、第37巻、第12号、第25〜30頁
本発明の課題は、タンニンに新たな物性を付与し、タンニンの有効利用を図ることである。
前記課題に鑑み研究を重ねた結果、本発明者らは、タンニンのゲル化及び高粘度化に成功し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)タンニン水溶液に、第1のゲル化剤としてホウ酸、リン酸及びそれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種を加え、混合した後、第2のゲル化剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物又は乳酸塩を加え、撹拌することを特徴とするゲル又は高粘性溶液の製造方法。
(2)タンニンが縮合型タンニンである前記(1)に記載の方法。
(3)縮合型タンニンがカキタンニンである前記(2)に記載の方法。
(4)第1のゲル化剤がホウ酸塩である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)第1のゲル化剤がリン酸塩である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(6)リン酸塩がリン酸水素二カリウムである前記(5)に記載の方法。
(7)第2のゲル化剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物が塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種である前記(7)に記載の方法。
(9)第2のゲル化剤が水溶性のカルシウム塩又はマグネシウム塩である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(10)水溶性のカルシウム塩が塩化カルシウムである前記(9)に記載の方法。
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法によって得られるゲル。
(12)キレート剤で処理することによって可逆的にタンニン水溶液に変換される前記(11)に記載のゲル。
(13)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法によって得られる高粘性溶液。
本発明によれば、タンニンのゲル及び高粘性溶液が提供され、これらは種々の用途に利用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
タンニンは、植物の幹、皮、葉、実等から抽出される天然物であり、環境に優しい物質である。タンニンには、ピロガロール系の加水分解型タンニンとカテコール系の縮合型タンニンがある。
本発明に用いるタンニンとしては、特に制限はなく、例えば、熱帯・亜熱帯果実やブドウ・リンゴ等から抽出されるタンニン、柿から抽出されるカキタンニン((+)−カテキン類、(+)−エピカテキン類の重合体)、ワットルタンニン、ケブラチョ(ケブラコ)タンニン、ラジアタパインタンニン、没食子タンニン、五倍子タンニン等の他、ミモザ、ゲンノショウコ、ダイオウ、マオウ、チャ、ユーカリ、マングローブ、日本産カラマツ等から抽出されるタンニン等が挙げられる。前記タンニンは、スルホン化等の化学変性により、水に対する溶解性を高めたものであってもよい。
前記タンニンは、原料から抽出後、通常は乾燥して粉末として用いられる。下記の実施例では、前記粉末のタンニンを水に溶解したものを前記タンニン水溶液として用いたが、原料からの抽出液をそのままタンニン水溶液として用いてもよい。
タンニンの原材料(例えば、カキタンニンでは柿渋)には、タンニン以外に有機酸、アミノ酸等が含まれているため、必要に応じて精製して、これらの不純物を除去したものを用いてもよい。
本発明において、第1のゲル化剤としてホウ酸及びその水溶性塩から選ばれる少なくとも1種を用いる場合、タンニン水溶液におけるタンニン濃度は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜4重量%、更に好ましくは1.5〜3重量%であり、pHは、通常4〜10、好ましくは6〜9である。必要に応じて、緩衝液や、薄い塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸等の酸、又は薄い水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の塩基によりpHを調整してもよい。
第1のゲル化剤として用いるホウ酸塩としては、例えばホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸トリエタノールアミン、好ましくはホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムが挙げられる。ホウ酸又はその水溶性塩の溶液中の濃度は、通常0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%である。
第2のゲル化剤として用いるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、ホウ酸又はリン酸のアルカリ金属塩以外のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が用いられ、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム)、乳酸塩(例えば乳酸カルシウム)が挙げられる。第2のゲル化剤として用いるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、水溶性のカルシウム塩又はマグネシウム塩(例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム)が好ましく、また、水溶性のカルシウム塩又はマグネシウム塩を含む牛乳等の天然高分子溶液を用いることもできる。アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の溶液中の濃度は、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.25〜1重量%である。
第1のゲル化剤として用いるホウ酸又はその水溶性塩と第2のゲル化剤として用いるアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩との重量比は、通常1〜10:1、好ましくは2〜4:1である。
タンニン、ホウ酸又はその水溶性塩、及びアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の濃度を調整することによって、タンニンのゲル又は高粘性溶液を適宜製造することができる。
例えば、0.8〜4重量%のタンニン水溶液を用いて、第1のゲル化剤として1〜3重量%のホウ酸又はその水溶性塩を加え、混合した後、第2のゲル化剤として0.25〜4重量%のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を加え、撹拌することによって、タンニンのゲルを製造することができる。
本発明において、第1のゲル化剤としてリン酸及びその水溶性塩から選ばれる少なくとも1種を用いる場合、事前にpHを塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸等の酸などを用いて、3〜4に調整した後、エバポレーターなどの濃縮装置、あるいは、透析膜を用いた濃縮方法により、タンニン濃度を予め高めておくことが好ましい。タンニン濃度は、通常3〜8重量%、好ましくは4〜6重量%である。ゲル化、あるいは、粘性を高める際には、1M炭酸水素ナトリウム水溶液や他の緩衝液を用いて、微アルカリ性、好ましくはpH7.2〜10.0、更に好ましくはpH9前後に調整し直す。そこに、第1のゲル化剤であるリン酸及びその水溶性塩から選ばれる少なくとも1種の水溶液を徐々に撹拌しながら加える。終濃度は50〜100mMが適当である。
ここで用いるリン酸及びその水溶性塩としては、特に制限はないが、食品等に適用する場合には、食品添加物として認められているものが好ましい。本発明において、単に「リン酸」又は「リン酸塩」と記載した場合には、広義の「リン酸」又は「リン酸塩」、即ちオルトリン酸、ピロリン酸、メタピロリン酸等のポリリン酸、又はそれらの水溶性塩を示す。
食品添加物として認められているリン酸及びその水溶性塩としては、例えばリン酸(オルトリン酸)、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三水素ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸カリウム等が挙げられる。
次いで、第2のゲル化剤として前記のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、好ましくはカルシウム塩、マグネシウム塩、更に好ましくはカルシウム塩、特に塩化カルシウムを終濃度50〜500mM加えるとゲルが得られる。ゲル形成補助剤として、カルボキシル基のような酸性基を持つ酸性高分子化合物、例えばペクチン酸、ポリガラクツロン酸やアルギン酸などを加えると粘性の異なった高粘性溶液又は強度の異なったゲルを作ることができる。
本発明における処理温度は、通常10〜40℃、好ましくは15〜25℃である。
タンニン、ホウ酸、リン酸又はそれらの水溶性塩、及びアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の濃度を調整することによって、タンニンのゲル又は高粘性溶液を適宜製造することができる。
このように製造されたタンニンゲルは、キレート剤、例えばEDTA、EGTA、DTPA、HBED、HDTA、HEDTAで処理することによって可逆的にタンニン水溶液に変換される。また、適当な加熱処理、DMF、DMSOなどの有機溶剤などによっても溶液にすることができる。
また、ホウ酸、リン酸又はそれらの水溶性塩及びアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の濃度を下げることによって、タンニンの高粘性溶液を製造することができる。
本発明には、必要に応じ本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を用いることができる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2005−34366及び特願2005−214235の明細書及び/又は図面に記載された内容を包含する。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
(1)柿渋からカキタンニン溶液の精製
(1)柿渋からカキタンニン溶液の精製
<カキタンニン溶液の精製>
材料:柿渋(株式会社トミヤマ製 2.0Lペットボトル冷蔵保存)、透析チューブ(Spctra/Pro フナコシ株式会社)
材料:柿渋(株式会社トミヤマ製 2.0Lペットボトル冷蔵保存)、透析チューブ(Spctra/Pro フナコシ株式会社)
方法:
(a)柿渋を10000rpmで20分間遠心分離を行った。
(b)脱気した蒸留水で、(a)で得られた上澄みを透析した。2時間、5時間、12時間の間隔で蒸留水を交換しながら透析を行った。
(c)(b)を10000rpmで20分間遠心分離を行い、上澄みを得た。これをカキタンニン溶液として実験に用いた。
(a)柿渋を10000rpmで20分間遠心分離を行った。
(b)脱気した蒸留水で、(a)で得られた上澄みを透析した。2時間、5時間、12時間の間隔で蒸留水を交換しながら透析を行った。
(c)(b)を10000rpmで20分間遠心分離を行い、上澄みを得た。これをカキタンニン溶液として実験に用いた。
<タンニン濃度の測定>
Folin−Chiocalteu法を用いてポリフェノール濃度を測定した。
Folin−Chiocalteu法を用いてポリフェノール濃度を測定した。
Folin−Chiocalteu法
材料:ポリフェノール濃度を測定したいサンプル、フェノール試薬(ナカライテスク株式会社)、炭酸ナトリウム
手順:
1.サンプル溶液1mlに、市販のフェノール試薬を2倍希釈したものを1ml加えた。
2.よく撹拌し、室温で5分放置した後、10%炭酸ナトリウムを1ml加えた。
3.よく撹拌した後、室温で15分放置し、分光光度計で765nmの吸光度を測定した。
1.サンプル溶液1mlに、市販のフェノール試薬を2倍希釈したものを1ml加えた。
2.よく撹拌し、室温で5分放置した後、10%炭酸ナトリウムを1ml加えた。
3.よく撹拌した後、室温で15分放置し、分光光度計で765nmの吸光度を測定した。
縦軸に吸光度を測定した値(OD765)、横軸に濃度(μg/ml)をとり、グラフにした。標準曲線を図1に示した。
<カキタンニン溶液のタンニン濃度の測定>
精製したカキタンニン溶液は適当な濃度(400、500、600倍)に希釈し、Folin−Chiocalteu法の手順で吸光度を測定し、カテキン標準曲線からポリフェノール濃度(タンニン濃度)を求めた。柿渋から精製したカキタンニン溶液はタンニン濃度3%〜4%であった。
精製したカキタンニン溶液は適当な濃度(400、500、600倍)に希釈し、Folin−Chiocalteu法の手順で吸光度を測定し、カテキン標準曲線からポリフェノール濃度(タンニン濃度)を求めた。柿渋から精製したカキタンニン溶液はタンニン濃度3%〜4%であった。
(2)精製したカキタンニン溶液の物性
ゲルの利用を考えたとき、物性というのが非常に重要になる。現在商品化されている天然高分子ゲルは多糖類を骨格にしたものがほとんどで、その種類は非常に多い。多糖類の天然高分子ゲルは食品としての利用が多いが、その物性により用途も異なるが、一般的にpHや塩などの影響を受けないことが望ましいとされている。
ゲルの利用を考えたとき、物性というのが非常に重要になる。現在商品化されている天然高分子ゲルは多糖類を骨格にしたものがほとんどで、その種類は非常に多い。多糖類の天然高分子ゲルは食品としての利用が多いが、その物性により用途も異なるが、一般的にpHや塩などの影響を受けないことが望ましいとされている。
ここではカキタンニン溶液のタンニン濃度と粘度の関係を調べるとともに、pHや塩が精製したカキタンニン溶液の物性に与える影響を明らかにするために、pHと塩濃度を変化させたときのカキタンニン溶液の粘度変化を測定した。
〈カキタンニン濃度と粘度の関係〉
材料:カキタンニン溶液、RO水
材料:カキタンニン溶液、RO水
方法:
(a)カキタンニン溶液をRO水で希釈して、様々な濃度のタンニン溶液を調製した。
(b)粘度計BM型で粘度を測定した。
(a)カキタンニン溶液をRO水で希釈して、様々な濃度のタンニン溶液を調製した。
(b)粘度計BM型で粘度を測定した。
〈カキタンニン溶液pHと粘度の関係〉
材料:カキタンニン溶液、pH9 0.25M トリス塩酸緩衝液、pH8 0.25M トリス塩酸緩衝液、pH7 0.25M トリス塩酸緩衝液、pH6 0.25M ビストリス塩酸緩衝液、pH5 0.25Mリン酸緩衝液
材料:カキタンニン溶液、pH9 0.25M トリス塩酸緩衝液、pH8 0.25M トリス塩酸緩衝液、pH7 0.25M トリス塩酸緩衝液、pH6 0.25M ビストリス塩酸緩衝液、pH5 0.25Mリン酸緩衝液
方法:
(a)各pHの緩衝液をpHメーターを用いて調製した。
(b)タンニン溶液と各pHの緩衝液を9:1の割合で混合した。
(c)粘度計BM型で粘度を測定した。
(b)タンニン溶液と各pHの緩衝液を9:1の割合で混合した。
(c)粘度計BM型で粘度を測定した。
〈カキタンニン溶液塩濃度と粘度の関係〉
材料:カキタンニン溶液、NaCl
材料:カキタンニン溶液、NaCl
方法:
(a)各塩濃度のタンニン溶液を調製した。NaCl濃度0.5%、1%、2%、5%になるように、カキタンニン溶液に加え、溶解した。
(b)粘度計BM型で粘度を測定した。
(a)各塩濃度のタンニン溶液を調製した。NaCl濃度0.5%、1%、2%、5%になるように、カキタンニン溶液に加え、溶解した。
(b)粘度計BM型で粘度を測定した。
結果:
タンニン濃度が低くなるにつれて、粘度は低くなった(図2)。タンニン溶液の粘性はpHにはそれほど影響は受けなかった(図3)が、pHがアルカリになると溶液の色が変色して、黒っぽい色になった。タンニン溶液は塩濃度が高くなると、少し粘性が上がった(図4)。塩濃度はカキタンニン溶液の粘性に影響するということがわかった。
タンニン濃度が低くなるにつれて、粘度は低くなった(図2)。タンニン溶液の粘性はpHにはそれほど影響は受けなかった(図3)が、pHがアルカリになると溶液の色が変色して、黒っぽい色になった。タンニン溶液は塩濃度が高くなると、少し粘性が上がった(図4)。塩濃度はカキタンニン溶液の粘性に影響するということがわかった。
(実施例1)
(1)ホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムによるカキタンニンのゲル化
製造例1で得た精製したカキタンニン溶液とホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムで、ゲル化する条件を検討した。
(1)ホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムによるカキタンニンのゲル化
製造例1で得た精製したカキタンニン溶液とホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムで、ゲル化する条件を検討した。
材料:
(a)カキタンニン溶液(タンニン濃度3.25%)
(b)ホウ酸ナトリウム(ホウ酸、水酸化ナトリウム)
(c)塩化カルシウム・2水和物
(a)カキタンニン溶液(タンニン濃度3.25%)
(b)ホウ酸ナトリウム(ホウ酸、水酸化ナトリウム)
(c)塩化カルシウム・2水和物
方法:
〈ホウ酸ナトリウムの調製〉
1.5.0gのホウ酸を少量の蒸留水、約50mlで溶解した。
2.pHメーターを用いて、1M水酸化ナトリウムを用いて、pH7.0に調整した。
3.ホウ酸濃度が5%になるように、蒸留水で100mlに定量した。
1.5.0gのホウ酸を少量の蒸留水、約50mlで溶解した。
2.pHメーターを用いて、1M水酸化ナトリウムを用いて、pH7.0に調整した。
3.ホウ酸濃度が5%になるように、蒸留水で100mlに定量した。
〈塩化カルシウム溶液の調製〉
塩化カルシウム・2水和物を蒸留水で様々な濃度の塩化カルシウム溶液を調製した。
塩化カルシウム・2水和物を蒸留水で様々な濃度の塩化カルシウム溶液を調製した。
〈ゲル化反応〉
カキタンニン溶液とホウ酸ナトリウムを混合した。これに塩化カルシウム溶液を加え、よく混合した。
カキタンニン溶液とホウ酸ナトリウムを混合した。これに塩化カルシウム溶液を加え、よく混合した。
カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム溶液の割合を変えて、それぞれの濃度を変化させて混合した。
結果:
タンニン濃度を変えたとき、ホウ酸ナトリウム濃度を変えたとき、塩化カルシウム濃度を変えたときのそれぞれのゲル化する反応条件を表2に示した。
タンニン濃度を変えたとき、ホウ酸ナトリウム濃度を変えたとき、塩化カルシウム濃度を変えたときのそれぞれのゲル化する反応条件を表2に示した。
タンニン濃度に関してはタンニン濃度が0.8%より小さくなると、ゲル化しなかった。またホウ酸ナトリウムにおいてはホウ酸ナトリウムが0.5%より小さくなると、ゲル化しないと考えられた。塩化カルシウムに関しては塩化カルシウム濃度が4%より大きくなると沈殿を引き起こすため、ゲル化が起こらなかった。
(2)ゲル化反応速度
表2のように条件を変化させたときゲル化する速度が変わる。ここではタンニン濃度、ホウ酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度をそれぞれ変化させたとき、ゲル化の反応速度がどのように変化するかを検討した。
表2のように条件を変化させたときゲル化する速度が変わる。ここではタンニン濃度、ホウ酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度をそれぞれ変化させたとき、ゲル化の反応速度がどのように変化するかを検討した。
ゲル化速度をみる尺度の一つとして、濁度を調べる方法がある。ホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムによるカキタンニンのゲル化反応は濁度変化を伴う。そのため、濁度変化を測定することで、ゲル化反応速度を明らかにした。
方法:
分光光度計(Shimadzu UV mini1240)を用いて吸光度600nmで時間ごとの濁度を測定した。また、ゲル化までの時間(試験管をひっくり返したとき、動かなくなるまでの時間)を測定した。
分光光度計(Shimadzu UV mini1240)を用いて吸光度600nmで時間ごとの濁度を測定した。また、ゲル化までの時間(試験管をひっくり返したとき、動かなくなるまでの時間)を測定した。
結果:
タンニン濃度、ホウ酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度をそれぞれ変えたときの濁度変化を図5〜7に示した。
タンニン濃度、ホウ酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度をそれぞれ変えたときの濁度変化を図5〜7に示した。
タンニン濃度は高ければ高いほど、反応速度が速いことがわかった(図5)。ホウ酸ナトリウム濃度に関しては、ホウ酸ナトリウム濃度が1%以上だと反応速度はほとんど変化がみられないけれど、0.5%になると反応速度が何倍も遅くなることがわかった(図6)。塩化カルシウム濃度は高ければ高いほど反応速度は高く、塩化カルシウム濃度4%では瞬時にゲル化が起こった。塩化カルシウム濃度0.25%では濁度は変化がないように見えるが、ほんの少しずつ濁度は上がっており、3日後にはゲル化した(図7)。
(3)ゲル強度
ゲルにはプリンのような柔らかいゲルからプラスチックのような固いゲルまで様々なものがある。その性質を表すのにゲル強度がある。ゲル強度はそのゲルの用途を決めるのに非常に重要な部分を占める。そこでホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムにより作成したカキタンニンゲルのゲル強度を測定した。
ゲルにはプリンのような柔らかいゲルからプラスチックのような固いゲルまで様々なものがある。その性質を表すのにゲル強度がある。ゲル強度はそのゲルの用途を決めるのに非常に重要な部分を占める。そこでホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムにより作成したカキタンニンゲルのゲル強度を測定した。
材料:
カキタンニンゲル(カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム)、カッター、方眼下敷き、果実硬度計(株式会社藤原製作所 KM型)
方法:
(1)の方法でゲルを調製し、できたゲルを一センチ角の立方体にカットした。果実硬度計(株式会社藤原製作所 KM型)を用いて、ゲル強度を測定した。縦、横、長さすべて1センチにカットした立方体のゲルの上に、1センチ平方センチの薄い下敷きを敷き、果実硬度計を垂直に押し当て、ゲルが壊れた点の、果実硬度計のメモリを読み取った。
カキタンニンゲル(カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム)、カッター、方眼下敷き、果実硬度計(株式会社藤原製作所 KM型)
方法:
(1)の方法でゲルを調製し、できたゲルを一センチ角の立方体にカットした。果実硬度計(株式会社藤原製作所 KM型)を用いて、ゲル強度を測定した。縦、横、長さすべて1センチにカットした立方体のゲルの上に、1センチ平方センチの薄い下敷きを敷き、果実硬度計を垂直に押し当て、ゲルが壊れた点の、果実硬度計のメモリを読み取った。
結果:
タンニン濃度、ホウ酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度をそれぞれ変化させたときの濁度変化を図8〜10に示した。
タンニン濃度、ホウ酸ナトリウム濃度、塩化カルシウム濃度をそれぞれ変化させたときの濁度変化を図8〜10に示した。
タンニン濃度は高ければ高いほどゲル強度は高かった(図8)。ホウ酸ナトリウム濃度に関しては、2.5%で、一番ゲル強度が高かったが、1%でもそれほど違いはみられなかった。しかし0.5%になると、ゲル強度は低すぎて測定不能であった。(2)の濁度測定の結果でもホウ酸ナトリウム濃度が0.5%になると極端にゲル化反応速度が遅くなったので、ホウ酸ナトリウム濃度は1%以上が適していると考えられる(図9)。塩化カルシウム濃度に関しては0.5%の時が最もゲル強度が高かった。1%は0.5%とさほど変わりはないが、塩化カルシウム濃度が2%、4%と上昇するにつれてゲル強度は小さくなった。また0.25%ではゲル強度が低すぎて測定不能であった。塩化カルシウム濃度もタンニン濃度と同じように高いほうが、ゲル強度が高いと予想していたが、意外にも塩化カルシウム濃度が高くなるとゲル強度は低くなった。塩化カルシウム濃度が高すぎるとゲルはもろくなるようである(図10)。
(4)ホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムによるカキタンニンのゲル化反応の可逆性
一般的に非共有結合の配位結合で架橋したゲルは可逆的であるという特性を示す。そのためホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムにより作成したカキタンニンゲルは可逆的なゲルであることが予想された。
一般的に非共有結合の配位結合で架橋したゲルは可逆的であるという特性を示す。そのためホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムにより作成したカキタンニンゲルは可逆的なゲルであることが予想された。
そこで、ホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムによるカキタンニンのゲル化反応が実際に可逆的かどうかを確かめる実験を行った。EDTAはカルシウムイオンのキレート剤でカルシウムイオンと結合することで、カルシウムイオンを奪うという性質を有する。したがって、EDTAと作成したカキタンニンゲルを撹拌することで、このゲル化反応が可逆性かどうかを調べた。
材料:
カキタンニンゲル(カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム)、EDTA
カキタンニンゲル(カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム)、EDTA
方法:
1.カキタンニンゲルを調製した。(タンニン濃度1.6%、ホウ酸ナトリウム濃度2.5%、塩化カルシウム濃度0.5%)
2.0.1M EDTA溶液を調製した。
3.調製したカキタンニンゲルを適当な大きさにばらし、一つにはRO水を、もう一つには0.1MEDTA溶液を加え、スターラーで5分間撹拌した。
1.カキタンニンゲルを調製した。(タンニン濃度1.6%、ホウ酸ナトリウム濃度2.5%、塩化カルシウム濃度0.5%)
2.0.1M EDTA溶液を調製した。
3.調製したカキタンニンゲルを適当な大きさにばらし、一つにはRO水を、もう一つには0.1MEDTA溶液を加え、スターラーで5分間撹拌した。
結果:
RO水で撹拌したものはゲルの形がくずれるだけであったが、0.1M EDTA溶液で撹拌したほうは、ゲルが消失した。後者では、オレンジ色の溶液になったことから、EDTAにカキタンニンゲルが溶解したと考えられた。この結果からホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムで調製したカキタンニンゲルは可逆性のゲルで、キレート結合の部分をEDTAなどのキレート剤で切ることでゲルは壊れてしまうことがわかった。このゲル化反応は可逆的であることが証明できた。
RO水で撹拌したものはゲルの形がくずれるだけであったが、0.1M EDTA溶液で撹拌したほうは、ゲルが消失した。後者では、オレンジ色の溶液になったことから、EDTAにカキタンニンゲルが溶解したと考えられた。この結果からホウ酸ナトリウムと塩化カルシウムで調製したカキタンニンゲルは可逆性のゲルで、キレート結合の部分をEDTAなどのキレート剤で切ることでゲルは壊れてしまうことがわかった。このゲル化反応は可逆的であることが証明できた。
(5)塩化カルシウム以外の塩化物を用いた場合のカキタンニンのゲル化
塩化カルシウムの変わりに他の二価の塩化物(塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化鉄(II))又は一価の塩化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム)を用いて、塩化カルシウムを用いたときと同じ条件でゲル化が起こるかどうかを試みた。
塩化カルシウムの変わりに他の二価の塩化物(塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化鉄(II))又は一価の塩化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム)を用いて、塩化カルシウムを用いたときと同じ条件でゲル化が起こるかどうかを試みた。
材料:
カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化鉄(II)、塩化カリウム、塩化ナトリウム
カキタンニン溶液、ホウ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化鉄(II)、塩化カリウム、塩化ナトリウム
方法:
1.前記塩化物を用いて(1)の方法でゲル化反応を行った。いずれも最終の濃度が0.5%になるように加えた。この時タンニン濃度は1.6%、ホウ酸ナトリウム濃度は2.5%であった。
2.ゲル化したものに関しては、塩化カルシウムと同じように、濁度変化とゲル強度を測定した。
1.前記塩化物を用いて(1)の方法でゲル化反応を行った。いずれも最終の濃度が0.5%になるように加えた。この時タンニン濃度は1.6%、ホウ酸ナトリウム濃度は2.5%であった。
2.ゲル化したものに関しては、塩化カルシウムと同じように、濁度変化とゲル強度を測定した。
結果:
1.塩化マグネシウムと塩化カリウムを用いたときだけ、ゲル化した。塩化バリウムは沈殿がおこった。塩化鉄は濃い青の沈殿ができた。塩化ナトリウムは変化がみられなかった。
1.塩化マグネシウムと塩化カリウムを用いたときだけ、ゲル化した。塩化バリウムは沈殿がおこった。塩化鉄は濃い青の沈殿ができた。塩化ナトリウムは変化がみられなかった。
二価の陽イオンでは塩化マグネシウムだけが、唯一ゲル化したが、ゲルの特徴が塩化カルシウムを用いたときのゲルと似ていた。バリウムはカルシウムやマグネシウムと同じアルカリ土類金属に分類されるので、ゲル化するのではないかと期待していたが、ゲル化は起こらなかった。また、一価の陽イオンの塩化物である塩化カリウムを用いたとき、反応は非常にゆっくりであるが、ゲル化がおこった。
2.濁度変化及びゲル強度の測定
塩化マグネシウムを用いたとき、ゲル化には約2時間を要し、濁度は6時間を越えたとき一定になった(図11)。塩化カリウムを用いた場合では、ゲル化に非常に時間を要した。図11では見にくいが、濁度は徐々に上がっていき、48時間後に濁度が一定となった。
塩化マグネシウムを用いたとき、ゲル化には約2時間を要し、濁度は6時間を越えたとき一定になった(図11)。塩化カリウムを用いた場合では、ゲル化に非常に時間を要した。図11では見にくいが、濁度は徐々に上がっていき、48時間後に濁度が一定となった。
塩化マグネシウムを用いて作成したゲル強度は塩化カルシウムの半分くらいのゲル強度であった(図12)。塩化カリウムを用いて作成したゲルは非常に柔らかく、ゲル強度は小さかった(図12)。
(実施例2)
製造例1で得た精製したカキタンニン溶液(タンニン濃度5%)3mlに4Mリン酸水素二カリウム水溶液0.1mlを加えて撹拌し、そこへ4M塩化カルシウム水溶液(pHを7.65に事前に調整したもの)を0.05〜0.4ml添加して撹拌すると10分から1時間でソフトゲルができた。場合により、塩化カルシウムを添加する前に、1%酸性高分子水溶液を0.1〜0.6ml加えた。
製造例1で得た精製したカキタンニン溶液(タンニン濃度5%)3mlに4Mリン酸水素二カリウム水溶液0.1mlを加えて撹拌し、そこへ4M塩化カルシウム水溶液(pHを7.65に事前に調整したもの)を0.05〜0.4ml添加して撹拌すると10分から1時間でソフトゲルができた。場合により、塩化カルシウムを添加する前に、1%酸性高分子水溶液を0.1〜0.6ml加えた。
このように製造されたゲルは、適当な加熱処理、キレート剤処理、DMF、DMSOなどの有機溶剤などによって溶液にすることができた。
(実施例3)デジタルレオメーターによるゲル強度の測定
機器は(株)山電のレオナーRE−3305を用いた。
機器は(株)山電のレオナーRE−3305を用いた。
比較対照として、市販の寒天(ナカライテスク株式会社:寒天粉末;ゲル強度600〜700g/cm2)を0.5%に加熱溶解して、プラスチックの円筒状容器(直径14mm,長さ45mm)に流し込み冷却してゲルを作製した。3.75%カキタンニン水溶液(渋ガキから抽出精製したもの)200mlに1Mリン酸水素二カリウム(2.6%)を10ml添加した。よく混合した後、市販のホルムアルデヒド水溶液を40ml加えて素早く混ぜて、プラスチックの円筒状容器に流し込んだ。5時間後に測定した。
リン酸/カルシウムによる可食性タンニンゲル(PO・Ca/KT)の調製
1.3.75%の高分子タンニン(カキタンニンなど)水溶液200mlに0.05M の濃度になるように塩化カルシウム・2水和物を溶解した(反応液中の最終濃度:約0.73%)。
1.3.75%の高分子タンニン(カキタンニンなど)水溶液200mlに0.05M の濃度になるように塩化カルシウム・2水和物を溶解した(反応液中の最終濃度:約0.73%)。
2.0.5M(1.3%)のリン酸水素二カリウム水溶液を攪拌しながら静かに滴下した(90ml)。ある量以上添加すると白濁が見られた。素早く容器に流し込んでゲルを作成した(最終濃度:約0.40%)。
3.白濁した柔らかいゲルが生成できたので、測定を試みたが、柔らかすぎて、測定できず、そのため、表3にはデータを示していない。
4.このゲルは、先に0.1Mになるようにリン酸水素二カリウムを溶解しておき、そこに、1M塩化カルシウムを加えても同様のゲルが作成できた。
ホウ酸/カルシウムによる可逆性タンニンゲル(SB・Ca/KT)の調製
1.3.75%の高分子タンニン(カキタンニンなど)水溶液200mlに0.05Mの濃度になるように塩化カルシウム・2水和物を溶解した(最終濃度:約0.73%)。
1.3.75%の高分子タンニン(カキタンニンなど)水溶液200mlに0.05Mの濃度になるように塩化カルシウム・2水和物を溶解した(最終濃度:約0.73%)。
2.0.5M(3.1%)のホウ酸水溶液(pH7.7)を攪拌しながら静かに滴下した(80ml)。素早く容器に流し込んでゲルを作成した(最終濃度:約0.9%)。
架橋方法の異なる高分子ゲルの強度をレオメーターで比較したところ、荷重に対する歪みの関係はゲルの種類によって測定波形が大きく異なった。今回作製した3種のゲルの中では、ホルムアルデヒドで架橋したゲルがもっとも硬かった。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
本発明の方法によって得られるゲルは、細かく砕いて飼料に添加することによって、ポリフェノール含量の高い抗酸化性飼料を家禽、家畜、ペットに与えることができ、ストレスの軽減化、血圧降下作用や疲労回復効果が期待できる。
本発明の方法によって得られる高粘性溶液は、紙や木材への塗料として、又は糸や布への染料などとして利用でき、従来のタンニン水溶液を用いた場合よりも耐久性に優れたものができる。また、防水、防虫、静菌、耐摩耗性、消臭効果などが期待されることから、各種容器へのコーティング剤としても利用できる。
Claims (13)
- タンニン水溶液に、第1のゲル化剤としてホウ酸、リン酸及びそれらの水溶性塩から選ばれる少なくとも1種を加え、混合した後、第2のゲル化剤としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物又は乳酸塩を加え、撹拌することを特徴とするゲル又は高粘性溶液の製造方法。
- タンニンが縮合型タンニンである請求項1記載の方法。
- 縮合型タンニンがカキタンニンである請求項2記載の方法。
- 第1のゲル化剤がホウ酸塩である請求項1記載の方法。
- 第1のゲル化剤がリン酸塩である請求項1記載の方法。
- リン酸塩がリン酸水素二カリウムである請求項5記載の方法。
- 第2のゲル化剤がアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物が塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項7記載の方法。
- 第2のゲル化剤が水溶性のカルシウム塩又はマグネシウム塩である請求項1記載の方法。
- 水溶性のカルシウム塩が塩化カルシウムである請求項9記載の方法。
- 請求項1記載の方法によって得られるゲル。
- キレート剤で処理することによって可逆的にタンニン水溶液に変換される請求項11記載のゲル。
- 請求項1記載の方法によって得られる高粘性溶液。
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