JP4677391B2 - 画像処理装置、画像処理装置の制御方法、コンピュータプログラム、及び記憶媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、コンピュータプログラム、及び記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、特にデジタルカメラなどの撮像装置により撮影して得られた画像データの保存を行う際に用いられる画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラム、及び記憶媒体に関する。
現在、一眼レフタイプのデジタルカメラを中心として、撮像した画像データを保存のために記録する際、以下の2種類のデータを選択できるデジタルカメラが一般的である。すなわち、閲覧用画像とするための一通りの画像処理(以下現像処理と呼ぶ)と圧縮処理を全て行った汎用画像データとしてのJPEGデータ、及び一般的にRAWデータと呼ばれる撮像素子からの生データの2種類のデータが選択可能に構成されている。
前者のJPEGデータには以下のメリットがある。すなわち、JPEGデータは画像データの圧縮率がRAWデータと比べて高いため、保存のために記録するデータ量が少ない画像データである。したがって、半導体のメモリカードなどの記録媒体に多くのJPEGデータである画像データを保存できる。またJPEGデータは、一般に使用されているPC(パーソナルコンピュータ)やデジタルテレビ等の多くのプラットフォーム上でデコードし、閲覧のために表示することが可能な汎用性の高いデータである。
一方、RAWデータは保存のために記録するデータ量は大きいが、以下のメリットがある。すなわちRAWデータは、撮像素子からの生データを忠実に保存する画像データである。したがって、撮像素子で直接得られた画像データの階調(ビット深度)をそのまま活かして記録し、保存することが可能である。たとえばJPEGデータでは、例えば12ビットで量子化された撮像素子からの画像データを8ビットにまで階調圧縮してしまうが、RAWデータでは、12ビットのまま保存して記録するデータである。
単にRAWデータを電気的に現像処理して表示装置に表示する場合、JPEGデータとの差は判別が難しい。しかしRAWデータでは、印刷をする場合、使用するプリンタの色域に合わせた現像処理をすることで、より階調性が高く色域の高いプリント結果を得ることができる。さらに画像処理を行った場合に画像劣化による影響が少なく、画像情報としての耐性が強いといえる。そのため、画像処理によるトーンジャンプや階調つぶれなどが発生し難いという大きなメリットを有する。
デジタルカメラメーカによっては、デジタルカメラと基本的に同じ現像処理をPCで実現する専用ソフトを販売している。このような専用ソフトを使用することにより、デジタルカメラで撮影時に設定される各種現像用のパラメータ(以下、現像パラメータと呼ぶ)をPC上で設定し直してRAWデータの現像処理をすることが可能である。したがって、例えば、撮影時に現像パラメータ設定を誤っていても、RAWデータ形式で撮影していればPC上で適切な現像パラメータを用いて現像処理することが可能である。このためRAWデータ形式は、特に、撮影して得られた画像データをPC上で加工して利用することを前提とするプロカメラマンを中心に、現在広く使用されている。
ところが、一般のプラットフォーム(PCやデジタルテレビ)は、RAWデータを閲覧用画像とするための手段を有していない。その意味では、RAWデータは汎用性の低いデータともいえる。従って、通常は、ユーザがPCにRAWデータ専用のアプリケーションソフトをインストールし、専用アプリケーションがRAWデータの現像処理を実行した後にしか閲覧することができない。そのため、ユーザにとっては、RAWデータを閲覧するのに手間が掛かるという問題があった。
各OSや各レタッチソフトなどで現像処理機能を持てば、専用アプリケーションをインストールする手間は省略することができる。しかし、高画質の現像処理結果を得るためには、現像処理機能をデジタルカメラの機種ごと(または似かよった特性を持つ機種グループごと)に開発する必要がある。そのため開発コストが大きくなってしまう問題がある。
この問題への対策として特許文献1では、現像処理機能を、機種(または機種グループ)に固有な処理を行う部分(機種固有の現像処理部)と、機種に依存しない処理を行う部分(汎用の現像処理部)に分割する。そして、機種固有の現像処理部の処理結果を中間形式の画像データ(以下、「中間RAWデータ」と呼ぶ。)として出力し、この結果を汎用の現像処理部への入力とする構成を開示している。
この構成により、PCの各OSやレタッチソフトの開発元では、一旦汎用の現像処理部を開発してしまえば、機種固有の現像処理部のみの開発で各デジタルカメラの高画質な現像処理を実現することが可能となる。または、機種固有の現像処理部分のみを各デジタルカメラメーカが提供し、各OSやレタッチソフトに組み込むことが可能になる。これにより機種固有の現像処理部分を使用して、より各デジタルカメラに特化した画像処理を行い、この結果を汎用の現像処理部で処理することで、高画質な画像処理結果を得ることができる。
このように構成することにより、ユーザにとっては使い慣れた汎用の画像処理アプリケーションのみを使用して、各社の各機種のデジタルカメラからのRAWデータの高画質な現像処理を行うことができる。
RAWデータに対するPC上でのデータ加工は、ユーザが現像処理可能な画像処理アプリケーションソフト(以下、現像処理ソフトと呼ぶ)上で、現像パラメータを変更することによって行う。たとえば、撮影して得られた画像データのコントラストが足りない場合には、ユーザが現像処理ソフトのユーザインターフェース(以下UIと呼ぶ)上でコントラストの値を増加させる。すると、現像処理ソフトが更新されたコントラストのパラメータを用いてRAWデータに対して現像処理を行い、結果をUI上に表示する。そして現像処理結果に満足した際には、TIFFやJPEGなどの汎用的な画像データで現像処理結果を保存できるのが一般的である。なお、現像処理ソフトで任意に撮影して得られたRAWデータを最初に表示する際には、デジタルカメラ側で設定された現像パラメータを使用して現像処理を行い、結果を表示するのが一般的である。
このような設定可能な現像パラメータは現像処理ソフトによって多少異なるが、一例としては以下のようなパラメータを設定可能である。
[現像パラメータ項目名: 選択可能な項目値]で以下記載すると、
[ホワイトバランス : オート設定、太陽光、くもり、電球、蛍光灯、ストロボ]
[トーンカーブ : X、Y軸上にスプライン曲線上の点を指定するなど]
[コントラスト : −5〜+5](0がデフォルト、値が大きいほど強いコントラストとなる)
[シャープネス : 5〜+5](0がデフォルト、値が大きいほど強く輪郭強調される)
[色の濃さ : −5〜+5](0がデフォルト、値が大きいほど彩度が高くなる)。
これらのパラメータを想定した場合、トーンカーブ、コントラスト、シャープネス、色の濃さ等は処理すべき内容が比較的明確であり、機種ごとの依存性が低く、汎用化しやすい処理内容である。また、処理内容としても現像処理後段で閲覧用RGBデータに対する後処理として処理しても、ビット深度さえ確保できていれば画質への影響も少ない処理内容である。このような機種依存性の低い画像処理内容については、特許文献1に開示された構成を備える汎用の現像処理部において処理されるべき処理内容である。
一方、ホワイトバランス処理については、機種ごとの特性を利用することにより、より高精度なホワイトバランス調整が行え、また、ホワイトバランスの精度がデジタルカメラの性能の重要なファクタでもある。従って、各デジタルカメラメーカのアルゴリズム研究開発の結果が数多く組み込まれており、各デジタルカメラメーカが提供する機種固有の現像処理部において処理されることで、より高画質な現像処理結果を得ることができる。
各デジタルカメラメーカによりさまざまな機種固有の特性の吸収や、より良いアルゴリズムの組み込みがなされているが、ホワイトバランスの調整処理の基本的な流れとしては、以下が一例となる。
まず、必要に応じてオプティカルブラックの値をRAWデータから減算する。次に、デジタルカメラに固体ごとの色ゲインのばらつきがある場合には、調整値を参照して色ゲインのばらつきを正規化する。
次にRAWデータを所定の幅と高さを持った複数のブロックに分割し、以下の式1に示すように、各ブロックで色評価値を算出する。尚、以下の1式は、原色信号の場合の変換式の例である。
Cx=(R−B)/Y
Cy=(R+B−2G)/Y・・・式1
Y =(R+G+B)/2
ここで、「光源ごとに予め設定した白検出エリア」に色評価値(Cx、Cy)が含まれる場合に、そのブロックが白であると仮定する。そして、白と仮定されたブロックのそれぞれの色画素の積分値(SumR、SumG、SumB)を算出する。算出した積分値から、以下に示す式2を用いてホワイトバランスゲイン(ホワイトバランス係数値)kWB_R、kWB_G、kWB_Bを算出する。
kWB_R=k×(SumR+SumG+SumB)/SumR
kWB_G=k×(SumR+SumG+SumB)/SumG・・・式2
kWB_B=k×(SumR+SumG+SumB)/SumB
ここで、k は全体のゲインが好ましくなる値とすれば良い。
なお、「光源ごとに予め設定した白検出エリア」とは、太陽光、蛍光灯、電球等の光源ごとに定められた、一つまたは複数の色温度の範囲から算出されるエリアである。
光源ごとに予め定められた色温度の範囲は、デジタルカメラメーカ毎により良い値を模索すべきアルゴリズムの開発内容であり、現像処理パラメータのチューニングの内容である。また、たとえばデジタルカメラで「太陽光」と設定されていても、光源の色温度は、以下のように時間や方向や天候などの状況により異なる。
天空光 :18000〜12000K(Kはケルビン)
晴天の北側の空 :12000K
正午の太陽光 :5300K
日の出または日没:3500K〜2700K
つまり「太陽光」という光源の設定時、上記の複数の色温度範囲から算出される複数の白検出エリアについて白検出を行い、上記の中で最も確からしい色温度を求めた後、対応する白検出エリアについて、SumR、SumG及びSumBを算出する必要がある。
なお、図1は、「光源=オート」の設定時の白検出エリアの例を示す図である。このオートの設定時においては、あらゆる色温度にまたがって白検出をする必要がある。そのため、高色温度から低色温度の光源下で任意の色温度ステップ毎に白を撮影し、撮像素子から得られた信号値より色評価値を算出し、それをプロットする。これにより図1で示すように、高色温度から低色温度までの白の判定ライン(白検出軸)が作られる。実際には白でも分光に若干のばらつきがあるため、求めた白の判定ラインから若干の幅をもたせた点線で囲まれた範囲がオート設定時の白検出エリアとなる。光源がオート設定時以外の場合には、図1のうち、対応する一つまたは複数の色温度の範囲を白検出エリアとする。
上記のホワイトバランス係数値の算出方法の例より、精度の高いホワイトバランス調整を行う場合には、光源ごとに予め定められたホワイトバランス係数値を用いるのではなく、画像データの内容を参照した結果からホワイトバランス係数値を求める必要がある。
また、ホワイトバランスは、デジタルカメラ機種(または機種グループ)ごとの実測値から白検出エリアを求めることが必要である。したがって、各デジタルカメラメーカがその性能をデジタルカメラの重要のフィーチャとし、アルゴリズムおよびチューニングパラメータの研究開発を進めている。この意味においても、より高精度のホワイトバランス調整を行う上で、ホワイトバランス係数値の算出処理は、前述の特許文献1の構成における「機種固有の現像処理部」とすることが望ましい。
特開2004−304712号公報
しかしながらホワイトバランス(以下WBとする)処理を機種固有の現像処理部で処理し、中間RAWデータとして出力した画像データについて、高精度のWBが調整処理済みでも、汎用の現像処理部でWBの再調整を行いたい要求がある。
たとえばその理由として、
1)オート設定で撮影し現像処理したが色かぶりを起こしているので、撮影時の実際の光源に再設定したい。すなわち、昨今のWB処理は精度が向上しており、多くの画像データに対して適切なWB調整が可能であるが、画像データ中に白い部分が全く存在しない場合などに、オート設定での画像データの処理結果が色かぶりを起こす可能性がある。デジタルカメラの光源の設定をオート設定として撮影し、機種固有の現像処理部がオート設定で処理を行った結果が色かぶりを起こしている場合などに、汎用の現像処理部でWB再調整の要求が生じる。
2)オート設定で撮影し現像処理したが、雰囲気を残したいので、太陽光へ再設定したい。たとえば、ろうそくの炎を光源として撮影を行った場合など、オート設定でのWB調整結果が写真の雰囲気として物足りない場合がある。ろうそくの雰囲気を残して白い被写体をより暖色系にシフトした色合いとして再生したい場合などに、再度太陽光の設定などでWBの再調整の必要が生じる。
3)撮影時の光源設定にミスがあったので、撮影時の実際の光源に再設定したい。たとえばユーザが、不注意で実際の光源と異なる光源をデジタルカメラに対して設定したまま撮影を行ってしまう場合がある。このような場合、機種固有の現像処理部で自動処理されたWB結果に対し、実際の撮影時の光源に設定し直して再度汎用の現像処理部でWBの再調整を行う必要が生じる。
しかしながら、機種固有の現像処理部のWBアルゴリズム及びチューニングパラメータは、従来の汎用の現像処理部には存在しない。そのため、従来技術においては、機種固有の現像処理部のアルゴリズム及びチューニングパラメータを活かしたWB再調整の処理を行うことができなかった。
したがって本発明は、既にWB補正済みの中間RAWデータに対して、高画質のWBの再調整処理を可能ならしめる画像処理装置の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本願のさらに他の実施形態に係る画像処理装置は、
定光源に対するホワイトバランス係数値をRAWデータに適用することにより得られた中間RAWデータ及び前記設定光源以外の光源設定に対する前記RAWデータに係るホワイトバランス情報を記憶する記憶手段と、
源設定を選択するための光源設定選択手段と、
前記中間RAWデータよりホワイトバランスの再調整された画像データを生成する画像データ生成処理手段とを備え、
前記画像データ生成処理手段は、前記光源設定選択手段により前記設定光源以外の光源設定が選択された場合、前記中間RAWデータに基づき、前記選択された光源設定に対する前記ホワイトバランス情報にしたがって前記ホワイトバランスの再調整された画像データを生成処理することを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本願のさらに他の実施形態に係る画像処理装置の制御方法は、
定光源に対するホワイトバランス係数値をRAWデータに適用することにより得られた中間RAWデータ及び前記設定光源以外の光源設定に対する前記RAWデータに係るホワイトバランス情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、
源設定を選択するための光源設定選択工程と、
前記中間RAWデータよりホワイトバランスの再調整された画像データを生成する画像データ生成処理工程とを備え、
前記画像データ生成処理工程は、前記光源設定選択工程により前記設定光源以外の光源設定が選択された場合、前記中間RAWデータに基づき、前記選択された光源設定に対する前記ホワイトバランス情報にしたがって前記ホワイトバランスの再調整された画像データを生成処理することを特徴とする。
上記の構成を備えた本願のさらに他の実施形態によれば、例えばパーソナルコンピュータを画像処理装置とし、光源設定選択手段により選択された新たな光源設定にしたがい、中間RAWデータに対し選択された光源設定に対するホワイトバランス情報にしたがって汎用画像データを得ることが可能となる。
本発明によれば、既にホワイトバランス補正済みの中間RAWデータに対して、高画質なホワイトバランスの再調整処理を行うことが可能になる。
本発明の実施形態に係る画像処理装置は、図2および図3に示される構成により、機種固有の画像処理ユニットにおいて、デフォルト光源によるWB係数値のみならず、全WB係数値を算出し、算出した結果を中間RAWデータと関連づけて記憶する。そして、汎用の画像処理ユニットにおいてWB再調整を行う際には、ユーザが光源選択部により光源設定の変更を指示する。すると選択された光源に対応するWB係数値を中間RAWデータに関連づけされた全WB係数値の中から読み込んで、記憶された中間RAWデータに適用する。これにより、機種固有の画像処理のアルゴリズムおよびチューニングパラメータを活かした高精度なWBの再調整を可能とするものである。
以下、図2と図3を用いて、本発明の実施形態の概念をより詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る画像処理装置で実行される機種固有現像処理ユニットにおける中間RAW生成手順200を概念的に示す。
図において、201のRAWデータ読み込み工程では、中間RAWデータを生成するための元となる原RAWデータの読み込みを行う。202のデフォルトWB係数値算出工程では、読み込まれた原RAWデータの内容を参照し、デフォルトの光源設定によるWB係数値の算出処理を行う。ここでデフォルトWB係数値算出工程202でのデフォルトの光源設定としては、デジタルカメラで撮影した際に設定されていた光源などがデフォルトの光源設定として用いられる。撮影した際の光源設定情報が存在しない場合には、「オート」の設定をデフォルト設定とすることが望ましい。
また、203の全WB係数値算出工程では、読み込まれた原RAWデータの内容を参照し、中間RAW生成手順200が算出可能な全ての光源設定についてWB係数値を算出する。ここでデフォルトWB係数値以外のWB係数値については、原RAWデータ又は中間RAWデータの各色コンポーネントに対して乗算するゲインとは限らない。これらは、デフォルトWB係数値とその他各WB係数値との比であっても良く、本件でWB係数値と呼ぶ場合には、何らかの値との比も含めることとする。
次に、204のWB係数値適用工程では、RAWデータ読み込み工程201により読み込まれた原RAWデータに対して、デフォルトWB係数値を適用する。
中間RAWフォーマット工程205は、デフォルトWB係数値算出工程202で算出されたデフォルトWB係数値と、全WB係数値算出工程203で算出された全WB係数値、及びWB係数値適用工程204により生成された中間RAWデータとを関連づける。そしてこれらを記憶媒体に中間RAWファイルとして記憶することで処理を終える。
次に、本発明の実施形態2に係る画像処理装置が備える汎用現像処理ユニットの動作について、図3を使用して詳しく説明する。図3は汎用現像処理ユニットにおけるWB再調整手順300を概念的に示す。図において、301の中間RAWデータ読み込み工程では、WB再調整の対象となる中間RAWデータの読み込みを行う。302の光源選択工程では、ユーザがWB光源設定値を変更するための新たな光源設定を選択する工程であって、そのためのユーザインターフェースを含む。光源選択工程302でユーザが設定した光源を変更すると、選択WB係数値読み込み工程303で、中間RAWデータと関連づけて記憶されている全WB係数値の中から、選択されて設定した光源に対応したWB係数値(選択WB係数値)を選択し、取得する。
次に、304の選択WB係数値適用工程では、選択されたWB係数値に対して必要に応じて所定の変換を行った後に中間RAWデータに適用し、WBの再調整を実行するものである。
以上説明したような本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成によって、機種固有の現像処理アルゴリズムおよびチューニングパラメータを活かした高精度のWBの再調整を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る画像処理装置につき、さらに詳しく説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る画像処理装置としてのパーソナルコンピュータ(以下PCと呼ぶ)及びデジタルカメラを、USBなどの通信媒体406で接続したシステムとして示すブロック構成図である。
図4において、401はデジタルカメラであり、レンズ402、CCD403及びA/D変換回路404を含み、その他図示されていないが、デジタルカメラ401を構成する機構構成要素については、現在一般的なデジタルカメラと同様である。
405は着脱式の、例えば半導体のメモリカードであり、撮像して得られた中間RAWデータなどの画像データが所定の処理を行った後に保存される記憶媒体である。記憶媒体405に保存された画像データは、またUSBケーブルなどの通信媒体406を介してPC407へと転送できるものとする。
記憶媒体405に記憶されたデータにおいて、408はRAWデータ(原RAWデータ)416を所定の種類でファイル保存したRAWファイルである。RAWファイル408は、A/D変換回路404によりA/D変換された画像データに対して不図示の手段を用いて可逆圧縮処理や属性情報付与等の所定の処理を行ったRAWデータ416を、FAT32などのファイルシステムで保存したものである。
また、ユーザは撮影する画像データの種類を予めデジタルカメラ401のメニューで設定可能とされている。この設定により、RAWファイル408、中間RAWファイル409、JPEGファイル410等のように、ユーザの設定に従って保存するファイルの種類を切り替えることが可能である。尚、JPEGファイル410は、先に説明したように、汎用の装置で閲覧可能なデータであり、汎用画像データである。
<実施形態1>
411は、図2で説明した本発明の実施形態1に係る画像処理装置で実行される、中間RAW生成手順200を実行する機種固有現像処理ユニットに対応する第1カメラ画像処理ユニットである。第1カメラ画像処理ユニット411には、A/D変換回路404からのRAWデータ416が供給される。このRAWデータ416は、前処理回路412で前処理が行われる。そして前処理回路412で前処理を行って得られた前処理済み画像データ417がホワイトバランス(WB)処理回路413に供給される。そしてこの前処理済み画像データ417に対し、ホワイトバランス(WB)処理回路413でWB処理を行う。そしてWB処理回路413は、その結果をWB調整済み画像データ418として出力する。WB処理回路413でWB処理を行った後、WB調整済み画像データ418は、後処理回路414で後処理を行うことにより後処理済み画像データ419として出力される。
なお、前処理回路412としては、CCD403がベイヤー配列のフィルタ配列の場合には、補間処理を行ってR、G及びBの3プレーンの画像データへと変換する処理などが望ましい実施形態であるが、これに限らない。また第1カメラ画像処理ユニット411では、前処理回路412が省略されたものであっても構わない。
また、後処理回路414としては、中間RAW画像データとして定められたビット深度(たとえば12ビットなど)が規定されているものとする。そしてWB処理回路413での処理の結果、得られた画像データがこれと異なる場合(たとえば14ビット)には、ビットシフトを行うビットシフト処理などが考えられるが、これも、これに限られるものではない。
415は第2カメラ画像処理ユニットであり、汎用の画像データフォーマットとして閲覧可能なJPEGファイル210を生成するための画像処理を行うものである。
第2カメラ画像処理ユニット415の画像処理内容としては、輪郭強調処理、高輝度部の色曲がり処理、sRGB色空間とするためのガンマ処理等を含み、さらに、より記憶色に近づけるための色変換処理などを含むことが好ましい。ただし、この第2カメラ画像処理ユニット415は、従来より知られている回路で構成され、この第2カメラ画像処理ユニット415では、本発明の実施形態に係るWBの再調整は実行できない。
なお本実施形態1においては、閲覧用画像とするための画像処理結果として得られるRGBデータに対するJPEG圧縮のための処理は、第2カメラ画像処理ユニット415で処理されるのではなく、図示されていない他の回路により処理されることとする。
次に、図5に示す「中間RAWファイル生成手順」と、図6に示す「中間RAWファイルの内部構造」を用いて、第1の実施形態における中間RAWファイル409の生成手順とファイル構造について詳しく説明する。
図5は、デジタルカメラ401によって撮影が行われ、中間RAWファイル409を生成する、本発明の第1の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。以下、図4及び図5を参照して、第1の実施形態の処理手順を説明する。
まず、処理の開始後デジタルカメラ401において、不図示のシャッタボタンがユーザによって押されると、ステップS501において、レンズ402を通して得られる被写体像がCCD403で光電変換される。そしてA/D変換回路404によってA/D変換され、第1カメラ画像処理ユニット411にRAW画像データ416が入力される。
次に、ステップS502では、前処理回路412による前処理が行われる。本実施形態1においては、CCD403はベイヤー配列であることとし、前処理として補間処理を行うことにより、R、G及びBの3プレーンのデータを前処理済み画像データ417として出力するものとする。
さらに本実施形態1の前処理回路412では、デジタルカメラ401の固体ごとの色ゲインのばらつきに対して、不図示のROMに記憶された調整値を参照して色ゲインのばらつきを正規化する処理と、オプティカルブラックの減算処理も行うこととする。
次に、ステップS503では、デジタルカメラ401で設定可能な全てのWB光源設定に対してのWB係数値をWB処理回路413で算出する。つまり、WB処理回路413は全てのWB光源設定値を算出する。すなわち、「オート設定(auto)」、「太陽光(day)」、「くもり(cloud)」、「電球(tungsten)」、「蛍光灯(fluorescent)」及び「ストロボ(strobe)」のWB係数値を算出する。各光源設定に対するWB係数値の算出方法は、本件の従来例で説明したと同様に、まず前処理済み画像データ417を所定の幅と高さを持った複数のブロックに分割し、ブロックごとに、先に示した式1を用い、色評価値を算出する。
次に、WB処理回路413は、「光源ごとに予め設定した白検出エリア」に色評価値(Cx、Cy)が含まれる場合にそのブロックが白であると仮定し、白と仮定されたブロックそれぞれの色画素の積分値(SumR、SumG、SumB)を算出する。その積分値から先に示した式2を用いてR、G及びBの各色成分に対するWBゲイン、即ちWB係数値kWB_R、kWB_G及びkWB_Bを算出するものとする。
なお、本実施形態1においては、発明の理解を容易にするため、単純なWB係数値の算出アルゴリズムを実施形態として説明する。しかしながら、撮影時のさまざまな情報(Tv値、Av値、ストロボの発光/非発光)を参照する実施形態としても良い。さらに画像データの内容から撮像シーン判別を行った結果などを利用して「光源ごとに予め設定した白検出エリア」のシフトなどにより、より高精度なWB係数値の算出アルゴリズムを実行しても良い。
ステップS503において、全ての光源設定に対するWB係数値が算出されると、処理をステップS504へと進める。WB処理回路413は、ステップS504において、WBの再調整時に用いられるWB係数値の比率wbRatioを全てのWB設定に対して算出する。
wbRatioとは、各光源設定に対するWB係数値と、デフォルト光源設定に対するWB係数値の比であり、WBの再調整時に中間RAW画像データに乗算することにより、各設定光源に対するWBの再調整が可能となるものである。たとえば「デフォルト光源設定値=オート」の場合に、「光源設定値=太陽光」に対するWB係数比wbRatio_dayは、以下の式3のように求められる。
wbRatio_day_R=kWB_day_R/kWB_auto_R
wbRatio_day_G=kWB_day_G/kWB_auto_G・・・式3
wbRatio_day_B=kWB_day_B/kWB_auto_B
より具体的には、オート設定と太陽光設定のWB係数値がそれぞれ、
kWB_auto_RGB(1.05、1.15、0.80)及びkWB_day_RGB(0.98、1.02、1.00)の場合には、wbRatio_day_RGBは以下のように求められる。
wbRatio_day_RGB=(0.98/1.05、1.02/1.15、1.00/0.80)=(0.93、0.89、1.25)・・・式4
上記、式4と同様に、他の光源設定の 「オート」、「太陽光」、「くもり」、「電球」、「蛍光灯」及び「ストロボ」についてもwbRatioを算出する。以下はその一例である。
wbRatio_auto_RGB =(1.00、1.00、1.00)
wbRatio_day_RGB =(0.93、0.89、1.25)
wbRatio_cloud_RGB =(1.10、0.90、1.00)
wbRatio_tung_RGB =(1.10、1.00、0.90)
wbRatio_fluore_RGB=(0.80、1.10、1.10)
wbRatio_strobe_RGB=(0.99、1.01、1.00)
次に、ステップS505では、WB処理回路413は、デフォルトの光源設定のWB係数値kWB_Defaultを前処理済み画像データ417に施す。
ここでの説明では、あえて図示はしないが、デジタルカメラ401本体に設けられる操作ボタン等から「オート」をユーザが選択した状態であるものとし、「デフォルト光源設定=オート」であるものとする。
このとき、kWB_Dafault=kWB_auto_RGB=(1.05、1.15、0.80)となる。したがってWB処理回路413は、前処理済み画像データ417に対して、Rプレーンの各画素値には1.05を、Gプレーンの各画素値には1.15を、またBプレーンの各画素値には0.80を乗算してWB調整済み画像データ418を出力するものとする。
次に、ステップS506では後処理回路414による後処理を行う。本実施形態1では、後処理としてノイズ除去処理、輪郭強調処理及びビット深度調整処理を行うこととするが、必要に応じ他の処理を含んでもよい。なお、WB調整済み画像データ418は、例えば14ビットのビット深度を有するデータであり、一方中間RAWファイル409の画像データの格納形式は12ビットであるとする。さらに、後処理回路414では、WB調整済み画像データ418に対して2ビット左シフト処理を行い、後処理済み画像データ419を出力することとする。
次に、図6に示すように、また後処理回路414はステップS507で示すように、記憶媒体405上に、所定のファイル命名規則に従って後処理済み画像データ419を含む中間RAWファイル409を生成する。その後RAW中間ファイル識別子ID650、その他各種撮影情報ID651の書き込みを行った後、後段のファイルに書き込み可能な状態とする。
なお、RAW中間ファイル識別子ID650は、このファイルが中間RAW画像データであることを示す識別子(たとえば、「中間RAW」などとテキストで書き込む)を伴って図示しない書込み回路により、中間RAWファイル409に書き込む。また各種撮影情報ID651では、現在一般的なデジタルカメラがファイル属性として書き込んでいる撮影情報を使用しも問題はないが、好ましい実施形態としては、Exif規格で規定されている撮影情報を書き込むことが望ましい。
次に、図5のステップS508では、ステップS504にて算出されたWB係数比wbRatioを全の光源設定について中間RAWファイル409に書き込む。図6のID653乃至ID658は、ステップS508により書き込まれたWB係数比の様子を示すものである。なお、本実施形態1においては、WB係数比を中間RAWファイル409に書き込むとした。しかしながらこれに限らず、各光源設定値におけるWB係数値自体を中間RAWファイル409に書き込んでおき、PC407などの画像処理装置側でWBの再調整を行うときにWB係数比を算出することも可能である。
次に、ステップS509では、後処理回路414にて行われた後処理に関する情報を後処理情報ID652として中間RAWファイル409に、先の図示しない書込み回路で書き込む。なお、後処理情報の中間RAWファイル409への書き込みは、本実施形態1においては必須ではない。すなわち、PC407などの画像処理装置側でWBの再調整を行う際に後処理情報が無い場合には、後処理回路414にて線形処理が行われたものとして処理を行って構わない。
なお、後処理情報ID652としては、後処理で行われた処理が線形処理なのか、又は非線形処理なのかを示す情報と、非線形処理である場合には、その処理内容と使用されたパラメータに関する情報が中間RAWファイル409へ書き込まれることが望ましい。
ここで、線形処理とは、WB処理回路413と後処理回路414との処理順序を入れ替えたとしても画像処理上では大きな違いが無いことを示すものとする。たとえば、演算処理上の丸め誤差による処理上の違いは、違いがないものとして扱うこととする。
本実施形態1における後処理の一つは、左2ビットのビットシフトであるが、ビットシフトを行った後にWB係数値を乗算しても、丸め誤差を除けば結果は一致するので、後処理情報としては「線形処理」と書き込むこととする。
また、輪郭強調処理及びノイズ除去処理は、厳密には線形処理とは言えない。しかし、輪郭強調処理やノイズ除去処理などの解像度系の処理は、PC407などの画像処理装置側でWBの再調整を行う際に、処理の入れ替わりが生じたとしてもWB再調整の結果画像の画質への影響が少ない。したがって本実施形態1では、この場合は線形処理として扱うこととする。
輪郭強調処理やノイズ除去処理を線形処理として扱うか、又は非線形処理として扱うかなど、処理順序の入れ替えによる画質劣化の各程度に対して、これを許容するか否かは、中間RAWファイルの生成処理を実装する際の設計指針によって決めることになる。
次に、ステップS510にて後処理済み画像データ419を中間RAWファイル409に中間RAW画像データとしてID659の領域に書き込んだ後、所定のファイルのクローズ処理を行い、図5で示される中間RAWファイル生成手順を終了する。以上により、本発明の実施形態1に係る画像処理装置では、RAWデータをデフォルトの光源設定で処理した中間RAWデータと、RAWデータのデフォルトの設定以外の光源設定に係るWB計数値に関する情報とを含む中間RAWファイルとして生成する。これにより、このRAWデータ撮影後に、一度WB処理された中間RAWデータのWBの再調整が可能となる。
<実施形態1の変形例1>
次に、図7及び図8を用いて、本発明の実施形態1の変形例1における中間RAWファイル409の生成手順とファイル構造について詳しく説明する。図7の太線のステップS701、及び図8の太線のID801以外のステップ及び構造は、実施形態1と同じであり、同じ参照番号が使用される。
実施形態1の変形例1において、図7の後処理ステップS701では、非線形処理の一例としてガンマ処理を行うこととする。本実施形態においては、好ましい実施形態として、一般のCRTモニタ上でそのまま画像データを表示した際に好ましいsRGB色空間で規定されているガンマ値1/2.2なるガンマ処理を行うこととする。
この場合、ステップS509の後処理情報書き込みのステップでは、後処理情報として「非線形処理、処理内容ガンマ、処理パラメータ1/2.2」と書き込む。図8のID801には、後処理情報として、「非線形処理、処理内容ガンマ、処理パラメータ2.2」の情報が書き込まれている様子が示されている。
一般にガンマ処理は、各画素値に対して以下の式5のような演算を行う。
Y(出力値)=X(入力値)γ・・・式5
ここで入力値XおよびYは、画素値として取り得る最大値を1.0として正規化した際の値を用いる。本実施形態2においては、式5のγをγ=1/2.2とした処理を行うものである。
なお、本実施形態における後処理回路414で行われるガンマ処理とWBの適用処理は、処理順序の入れ替えを行った際に、ID659に書き込まれた中間RAW画像データの値は大きく異なってしまう。
WB処理後にガンマ処理を行う場合、前処理済み画像データ417における画素値をD1、WB係数値をkWBとした場合、ID659の中間RAW画像データにおける同画素の画素値をD2とすると、画素値D2は式6のようになる。
D2=(D1xkWB)1/2.2・・・式6
一方、ガンマ処理後にWB処理を行う場合、前処理済み画像データ417における画素値をD1、WB係数値をkWBとする。この場合、ID659の中間RAW画像データにおける同画素の画素値をD3とすると、画素値D3は式7に示す様になり、画素値D2と画素値D3の値は一致しない。
D3=kWBx(D1)1/2.2・・・式7
たとえば、D1=0.5、kWB=1.2として式6及び式7に代入する。この場合、画素値D2は約0.79、一方画素値D3は約0.88となり、ID659の中間RAW画像データにおける同画素の画素値が大きく異なってしまうため、非線形処理として扱うこととする。
<実施形態1の変形例2>
実施形態1の変形例2は、PC407を画像処理装置として、図2の中間RAW生成手順200を実行する機種固有現像処理ユニットをPC407側に設けた実施形態である。再度、図4を用いて説明する。なお、図4における各部や各画像処理内容は、ハードディスク420にインストールされたアプリケーションプログラムが図示されていないDRAM等の一時記憶媒体に読み込まれ、図示されていないCPUにより逐次処理されることで実行されるものとする。
先に説明したように、図4においてPC407はUSBケーブルなどの通信媒体406を介してデジタルカメラ401とデータ送受信が可能である。PC407はデジタルカメラ401で生成されたRAWファイル408、中間RAWファイル409等を、通信媒体406を介して受信する。そしてハードディスク420にRAW画像ファイル421や中間RAWファイル422として記憶することができる。
なお図示してはいないが、JPEGファイル410の画像データも同様にハードディスク420に記憶することも可能である。この場合、JPEGファイル410は汎用的なファイルである。そのため、PC407に標準的に組み込まれている画像処理ソフトにより、表示装置436の出力形式(本実施形態では、例えばRGBデータ)へと変換し、表示装置436で閲覧用画像として表示することができる。
450は、図2で説明した本願の実施形態に係る画像処理装置で実行される機種固有現像処理ユニットに相当する第1PC画像処理ユニットであり、デジタルカメラ401に含まれる第1カメラ画像処理ユニット411と同じ画像処理を実行可能である。すなわち、RAWファイル421に対して第1PC画像処理ユニット450により画像処理を行って中間RAWファイル422を生成する。第1PC画像処理ユニット450は、前処理回路451、WB調整回路452及び後処理回路453の機能を備える。
デジタルカメラ401のメニュー設定により、画像データをRAWファイルで保存したユーザが、あとから中間RAWファイルに変換することを希望したとする。この場合、この第1PC画像処理ユニット450を用いて中間RAWファイル422を得ることができる。この第1PC画像処理ユニット450においても、デジタルカメラ401に含まれる第1カメラ画像処理ユニット411と同様に動作する。すなわち、中間RAWファイル422として、RAWデータをデフォルトの光源設定で処理した中間RAWデータと、RAWデータのデフォルトの設定以外の光源設定に係るWB計数値に関する情報とを含む中間RAWファイルを生成する。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係る画像処理装置を説明する。423は、メーカ提供画像処理ユニットであり、デジタルカメラ401の第2カメラ画像処理ユニット415と同様の画像処理を行う第2画像処理部429を有する従来技術における処理回路を示す。従来、一般的なPC上の専用現像処理ソフトウェアでは、RAWファイル421に対してコンバータの役割を果たす第1PC画像処理ユニット450と、メーカ提供画像処理ユニット423の第2画像処理部429により処理を行う。これにより、RAWファイル421からJPEGファイル410と同画質の汎用画像への変換処理を行っていた。データの流れを示す点線424は、このような従来例の処理フローを示すものである。
一方、本発明の実施形態2に係る画像処理ユニットでは、WBの再調整を行う回路が組み込まれる。すなわち、図3の汎用現像処理ユニットに相当するメーカ提供画像処理ユニット426が設けられ、図3のWB再調整手順300が実行される。
すなわち、本発明の実施形態2に係る画像処理装置では、たとえばデジタルカメラ401のメーカが提供するメーカ提供画像処理ユニット426が設けられる。このメーカ提供画像処理ユニット426には、WB再調整回路427とともに、デジタルカメラ401の第2カメラ画像処理ユニット415と同様の画像生成処理を行う第2画像処理部428を備える。これらにより、中間RAWファイル422からJPEGファイル410と同画質の汎用画像データを出力することが可能となる。さらにメーカ提供画像処理ユニット426はWB再調整回路427を備えるため、必要に応じて中間RAWファイル422に対してWBの再調整を行うことができる。
なお、メーカ提供画像処理ユニット423及び426の画像処理内容は、デジタルカメラ401の画質を決める重要なフィーチャであるため、通常デジタルカメラメーカによってその処理内容が公開されることは無い。したがってメーカ提供画像処理ユニット423及び426に関する情報は、サードパーティ(いわゆるISV:Independent Software Vender)からは提供され得ないものとして本実施形態では扱うこととする。
<実施形態2の変形例1>
本願の実施形態2の変形例1においては、実施形態2とは異なり、サードパーティが開発した画像レタッチソフトウェアで実施される第2PC画像処理ユニット425が設けられる。この第2PC画像処理ユニット425は、本願の図3で説明した汎用現像処理ユニットに相当するものである。この第2PC画像処理ユニット425は、WB再調整回路430、明度調整回路431、階調調整回路432、色補正回路433及びAPC系処理回路434の機能を備える。したがって、中間RAWファイル422に対してWB再調整、明度調整、階調調整、色補正などの画質調整とともに所定の画像処理を行って汎用画像データを出力する。そして、メーカ提供画像処理ユニット426とは異なる画像処理アルゴリズムおよび処理方法を持つものである。
第2PC画像処理ユニット425は、デジタルカメラ401のメーカが開発したソフトウェアでも構わないが、本実施形態においては、ソフトウェアの開発/販売を行うサードパーティが開発した画像レタッチソフトウェアで実施するものとする。したがって、図示するように、ソフトウェアの開発/販売を行うサードパーティ毎に複数設けることも可能である。
サードパーティが開発した画像レタッチソフトウェアの場合、サードパーティが中間RAWファイルを解釈できるためには、図6の中間RAWファイル内部構造が、公開された構造であることを前提としている。また、第2PC画像処理ユニット425は画像閲覧機能などが備わっていても構わないが、少なくともWBに関する再調整が行えるソフトウェアで構成されることが必要である。
図13の1301は、図4の表示装置436に表示されているUI(ユーザインターフェース)の一例の画質調整パネルである。画質調整パネル1301の「光源設定」のチェックボックスをユーザが操作し、たとえば、デフォルトの「オート」から他の光源へと設定を変更する。すると第2PC画像処理ユニット425において、WB再調整回路430は後述のWBの再調整処理を行う。そしてその後、画質調整パネル1301のその他のコントロールの状態に応じて、明度調整、階調調整、色補正、さらにAPC(輪郭強調)系処理等を行った後に汎用の画像データを出力する。
以下、図9及び図10を用いて第2PC画像処理ユニット425を使用した本願の実施形態2の変形例1における画像処理装置に係るWB再調整の処理手順(線形後処理時)について説明する。ここでは、ユーザがWBの設定を、撮影時設定の「オート」から「太陽光」に再調整する場合を例として詳しく説明する。なお、以下は、実施形態2の変形例1として説明するが、先の実施形態2でも同様な考え方で、実行することが可能である。
図10において、ID1001は中間RAWファイルの内部構造を示すものであり、図6と全く同様のものである。ユーザがWBの設定を「オート」から「太陽光」への再調整をコマンド入力すると、本実施形態に係るPC407は、中間RAWファイル422を解析する。そして太陽光におけるRGBWB係数比wbRatio_day_RGBの値を参照し、この値をID659の「中間RAWデータ」に、図10の乗算回路1002で乗算し、WB再調整済みのデータとして1003の「中間RAWデータ2」を得る。
WB再調整回路430の出力として得られた「中間RAWデータ2」は、後段の処理回路1004へと送られ、図4の明度調整回路431、階調調整回路432、色補正回路433、APC系処理回路434での各処理を行った後に表示装置436で表示される。
以下、この処理手順を図9のフローチャートを用いてより詳しく説明する。なお、図9のフローチャートの中で、ステップS905で示される部分がWB再調整回路430の処理内容とする。
ユーザが、画質調整パネル1301を操作し、WBの光源設定値を「オート(Auto)」から「太陽光(daylight)」へと変更したとする。すると、ステップS901にて第2PC画像処理ユニット425は、中間RAWファイル422をハードディスク420から読み込む。さらに読み込んだ中間RAWファイル422の内容を解析し、後処理情報ID652、太陽光のWB係数比ID654、およびID659の「中間RAWデータ」を参照可能な状態とする。
つぎに、ステップS902にて後処理情報を参照し、これが線形処理か又は非線形処理かの判定を行う。本実施形態においては、中間RAWファイルの内部構造ID901が示すように「線形」であるので、ステップS903へと処理を進める。一方、後処理情報が「非線形」の場合には、ステップS904で非線形のWB演算処理を行う。
ステップS903では、ID659の「中間RAWデータ」の全画素値に対して、太陽光におけるWB係数比(wbRatio_day_RGB=[0.93、0.89、1.25])を乗算し、図10の1003で示す「中間RAWデータ2」を出力する。ステップS905では、「中間RAWデータ2」に対して、明度調整、階調調整、色補正、APC系処理などの後段の処理を行った後、ステップS906にて表示装置436に処理結果を表示し、本処理手順を終了する。
以上、この実施形態によれば、中間RAWファイル422に対し、PC407を使用して、サードパーティが提供するデジタルカメラ401の機種固有の現像処理アルゴリズムおよびパラメータを活用した高精度なWBの再調整処理が実行できる。
<実施形態2の変形例2>
実施形態2の変形例2に係る画像処理装置は、実施形態2の変形例1に係る画像処理装置と同様の構成において、中間RAWファイル422に書き込まれる後処理情報ID652が「非線形」である場合のWB再調整回路430による処理内容について説明する。
非線形処理の場合、本実施形態2の変形例2における画像処理装置であるPC407では、中間RAWファイル422の後処理情報ID652を得る。そして、非線形処理の内容とパラメータを参照して、その逆演算処理を「中間RAWデータ」に施す。この逆演算処理により得られた「第2の中間RAWデータ」は、デジタルカメラ401におけるWB調整回路413の処理結果となる。したがって、「第2の中間RAWデータ」に対してWB係数比を乗算することにより、WB再調整結果である「第3の中間RAWデータ」を得ることができる。
次に本実施形態2の変形例2に係る画像処理装置おいて、本来実施すべきガンマ処理をかけ直すことにより「第4の中間RAWデータ」を得る。得られた「第4の中間RAWデータ」を入力として、後段の処理(明度調整、階調調整、色補正及びAPC系処理)を行った結果を表示装置436に出力し、表示するものである。
図11及び12は、デジタルカメラ401の後処理回路414として、非線形であるガンマ処理が行われた場合の、WB再調整の処理手順(図9中のステップS904)を示すものである。以下、図9及び図10を用いて、後処理情報ID652が「非線形」であった場合の、WB再調整処理ステップS904の処理手順を詳しく説明する。
非線形なガンマ処理が行われた場合、中間RAWファイルの後処理情報ID652には、図11に示すように、「後処理情報=非線形:ガンマ:1/2.2」と記載されている。この場合、まず中間RAWデータ422に対して、逆ガンマ処理回路1102にて逆ガンマ処理(ガンマ値2.2)の処理を行って、1013で示す「中間RAWデータ2」を得る。次に乗算回路1104にて、wbRatio_day_RGBとの乗算処理を行って、1105に示す「中間RAWデータ3」を得る。さらに、「中間RAWデータ3」に対して、デジタルカメラ401の後処理回路414の処理内容と同様の処理を行うガンマ処理回路1106でガンマ(1/2.2)処理を行う。そして明度調整回路431の入力データとなる、1107で示す「中間RAWデータ4」を得るものである。この「中間RAWデータ4」は、その後第2PC画像処理ユニット425において、明度調整、階調調整、色補正、APC系処理などの後段の処理が行なわれることとなる。
以下、図12のフローチャートを用いて、本実施形態2の変形例2に係る画像処理装置の動作をさらに詳しく説明する。まず、ステップS1201では、ID659の「中間RAWデータ」に対して、以下の式8で示されるような逆ガンマ処理を行い、1103で示す「中間RAWデータ2」を得る。
「中間RAWデータ2」の画素値=(「中間RAWデータ」の画素値)2.2・・・式8
次に、ステップS1202で、1103で示す「中間RAWデータ2」に対して、wbRatio_day_RGBのWB係数比の乗算処理を行い、1105で示す「中間RAWデータ3」を得る。次に、ステップS1203では、1105で示す「中間RAWデータ3」に対して、以下の式で示されるようなガンマ処理を行い、1107で示す「中間RAWデータ4」を得る。
「中間RAWデータ4」の画素値=(「中間RAWデータ3」の画素値)1/2.2・・・式9
式9で示されるガンマ処理により得られる1107で示す「中間RAWデータ4」を、後段の処理回路の入力画像データとして、図9におけるステップS905の処理を行った後、処理結果が表示装置436に表示される。
以上説明した本願の実施形態2の変形例2に係る画像処理装置によれば、デジタルカメラ401の後処理回路414がガンマ処理のような非線形処理であっても、PC407において、高精度なWBの再調整処理が実行可能となる。なお、非線形な後処理に対する有効な逆処理が無い場合、光源の設定を選択する段階で、選択を不可能とする事は当然有効となる。
当然のことながら、上記した実施形態1及び2、更にそれらの変形例に係る画像処理装置は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
<他の実施形態>
また、本発明における各実施形態の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給してもよい。その場合、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成される。そして、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現される。さらに、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行ってもよい。その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込むことで実施してもよい。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
本発明に係る実施形態を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
本発明の実施形態に係る画像処理装置における、オート設定時の白検出エリアの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、中間RAW生成手順を説明する概念図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、WB再調整手順を説明する概念図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置の、全体のシステムの構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、中間RAWファイルの生成手順を示す図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、中間RAWファイルのファイルフォーマットを示す図である。 本発明の他の実施形態に係る画像処理装置における、中間RAWファイルの生成手順を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る画像処理装置における、中間RAWファイルのファイルフォーマットを示す図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、線形後処理時のWB再調整の処理手順を示す図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、線形後処理時のWB再調整の処理手順を回路構成と共に説明する図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、線形後処理時のWB再調整の処理手順(ガンマ=1/2.2の場合)を回路構成と共に説明する図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、非線形後処理時のWB再調整処理手順(ガンマ=1/2.2の場合)を示す図である。 本発明の実施形態に係る画像処理装置における、ユーザインターフェースの1例を示す図である。

Claims (10)

  1. 設定光源に対するホワイトバランス係数値をRAWデータに適用することにより得られた中間RAWデータ、及び前記設定光源以外の光源設定に対する前記RAWデータに係るホワイトバランス情報を記憶する記憶手段と、
    光源設定を選択するための光源設定選択手段と、
    前記中間RAWデータよりホワイトバランスの再調整された画像データを生成する画像データ生成処理手段とを備え、
    前記画像データ生成処理手段は、前記光源設定選択手段により前記設定光源以外の光源設定が選択された場合、前記中間RAWデータに基づき、前記選択された光源設定に対する前記ホワイトバランス情報にしたがって前記ホワイトバランスの再調整された画像データを生成処理することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記記憶手段は、前記中間RAWデータが生成された際、前記RAWデータに前記ホワイトバランス係数値を乗算した後に行われた処理内容に関する情報を、後処理情報として記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記後処理情報が非線形処理を示す場合、前記画像データ生成処理手段は、前記非線形処理の逆処理を行った後に前記ホワイトバランス情報を用いた処理を行い、再度前記後処理情報と同等の処理を行う処理手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記後処理情報が非線形処理を示し、且つ前記画像データ生成処理手段が、前記非線形処理の逆処理に対応する処理手段を有していない場合には、前記光源設定選択手段による前記光源設定を不可能とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 設定光源に対するホワイトバランス係数値をRAWデータに適用することにより得られた中間RAWデータ、及び前記設定光源以外の光源設定に対する前記RAWデータに係るホワイトバランス情報を記憶手段に記憶する記憶工程と、
    光源設定を選択するための光源設定選択工程と、
    前記中間RAWデータよりホワイトバランスの再調整された画像データを生成する画像データ生成処理工程とを備え、
    前記画像データ生成処理工程は、前記光源設定選択工程により前記設定光源以外の光源設定が選択された場合、前記中間RAWデータに基づき、前記選択された光源設定に対する前記ホワイトバランス情報にしたがって前記ホワイトバランスの再調整された画像データを生成処理することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
  6. 前記記憶工程は、前記中間RAWデータが生成された際、前記RAWデータに前記ホワイトバランス係数値を乗算した後に行われた処理内容に関する情報を、後処理情報として記憶することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置の制御方法。
  7. 前記後処理情報が非線形処理を示す場合、前記画像データ生成処理工程は、前記非線形処理の逆処理を行った後に前記ホワイトバランス情報を用いた処理を行い、再度前記後処理情報と同等の処理を行う処理工程を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置の制御方法。
  8. 前記後処理情報が非線形処理を示し、且つ前記画像データ生成処理工程が、前記非線形処理の逆処理に対応する処理工程を有していない場合には、前記光源設定選択工程による前記光源設定を不可能とすることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置の制御方法。
  9. 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法の各工程を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
  10. 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置の制御方法の各工程を、コンピュータに実現させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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