上記の先行技術のものにあっては、操作頭部が水平な回動軸に軸支されていることにより、一方向(具体的には前下方向)にしか回動せず、上方向以外の方向から操作した場合には、操作頭部が回動しないため、衝撃緩和作用が得られないという問題点がある。また、操作頭部は、その中心を通る水平な回動軸に軸支されていることにより、中心を外れた前側部分に対して下方向に力が向くように操作された場合にのみ回動し、操作頭部の中心に力が向くような操作によっては殆ど回動しない。しかしながら、操作頭部に対する操作は、操作頭部の中心に力が向くような上方からの加圧操作が大半であるため、期待される操作頭部の回動は殆ど生じることがない。このため、操作軸が角度規定部に激しく衝当するような強い力で操作された場合には、遊技者の手がその反動としての衝撃をまともに受けるという問題点は、依然解決されていないのが実状である。
一方、多くのスロットマシンは、液晶表示器やランプ等の報知手段を用いて当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づく遊技状態を事前に報知する機能を備えているが、遊技者はこのような報知方法に飽きてしまっている。
本発明は、操作頭部に対する操作によって、操作軸が角度規定部に衝当するまで傾動操作された場合に、操作軸から操作頭部を離脱させることで、遊技者の手が受ける衝撃を緩和し得るようにしたスロットマシンを提供することを第一の目的とし、また、遊技状態に応じて前記離脱の閾値を変化させることによって、所定遊技状態の発生を報知し得るようにしたスロットマシンを提供することを第二の目的とするものである。
本発明は、前端に操作頭部を備え、傾動角度を規定する角度規定部との当接により所定角度範囲内で傾動可能な操作軸と、該操作軸を、傾動操作に伴う傾動状態から非傾動状態となるように付勢する付勢部材と、前記操作軸の傾動操作に伴う傾動変位を検出する検出部材とからなり、複数のリールの始動時に遊技者が操作するスタートスイッチを備えてなるスロットマシンにおいて、前記操作軸の前端を座定部とし、前記操作頭部が、該操作頭部を座定部側に付勢する付勢部材を備えた保持手段を介して前記座定部に係脱可能に保持されてなり、操作頭部に対する操作軸と略直交する方向への加圧操作によって操作軸が角度規定部に当接する位置まで傾動した状態で、操作頭部がさらに加圧されると、該操作頭部が、座定部から加圧方向へ離脱するように設けられていることを特徴とするスロットマシンである(請求項1)。
ここで、前記操作軸が、球面軸受け機構により、360°の何れの方向にも傾動可能に支持されている構成(請求項2)が提案される。
また、前記保持手段が、操作軸の内部にその軸線に沿って形成された挿通孔と、操作軸の後端部に進退可能に装着された摺動部材と、該摺動部材を後方向に付勢する付勢部材と、操作軸の挿通孔に挿通されて、一端が操作頭部に連結され、他端が前記摺動部材に連結された紐状部材とを備え、付勢部材による摺動部材の後方向への付勢によって緊張状態で張設される紐状部材を介して操作頭部が座定部に圧接されるように設けられている構成(請求項3)が提案される。
ここで、摺動部材が進退可能に装着される操作軸の後端部は、組み付けを容易とするために別体形成した後端部材を操作軸の後端に配設することによって構成してもよく、或いは操作軸の後端部分自体を後端部とすることもできる。また、前記付勢部材には、圧縮状態で配設されるコイルバネが好適に用いられ得る。また、紐状部材には、所定の強靭性を有するワイヤーや撚糸等が好適に用いられ得る。
さらに、操作軸の後端部に、付勢部材による後方向への付勢によって後方移動した位置で摺動部材を吸着する電磁石が配設され、該電磁石が、遊技状態に応じて励磁状態と消磁状態とに切替制御されるように設けられている構成(請求項4)が提案される。ここで、電磁石を励磁状態と消磁状態とに切替制御する契機は、当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づいて遊技状態に変化が生じた時とすることができる。
また、他の保持手段としては、該保持手段が、操作頭部内に一端が連結され、他端が操作軸の内部に形成された挿通孔内に連結されて、操作頭部を座定部側に付勢する付勢部材であり、該付勢部材の付勢によって操作頭部が座定部に圧接されるように設けられている構成(請求項5)が提案される。ここで、前記付勢部材には、引張状態で配設されるコイルバネが好適に用いられ得る。
さらに、上記構成にあって、座定部に、操作頭部を吸着する電磁石が配設され、該電磁石が、遊技状態に応じて励磁状態と消磁状態とに切替制御されるように設けられている構成(請求項6)が提案される。この構成にあっても、電磁石を励磁状態と消磁状態とに切替制御する契機は、当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づいて遊技状態に変化が生じた時とすることができる。
上述したように、本発明は、操作軸の前端を座定部とし、操作頭部が、該操作頭部を座定部側に付勢する付勢部材を備えた保持手段を介して前記座定部に係脱可能に保持されてなり、操作頭部に対する操作軸と略直交する方向への加圧操作によって操作軸が角度規定部に当接する位置まで傾動した状態で、操作頭部がさらに加圧されると、該操作頭部が、座定部から加圧方向へ離脱するように設けられているから、操作軸が角度規定部に衝当するまで加圧操作された場合に、操作頭部が座定部からその加圧方向へ離脱することによって、遊技者が手に受ける衝撃を大幅に緩和することができる。ここで、操作頭部は、付勢部材の付勢力によってその周面の一部が座定部に対して圧接する状態で保持されていることにより、従来のように操作頭部の中心を通る水平な回動軸に軸支させたものとは異なり、操作軸と略直交する方向への加圧操作であれば、操作頭部のどの部位に対する加圧操作であっても該操作頭部を座定部から離脱させることができる。尚、操作頭部を座定部側に付勢する付勢部材の付勢力を適宜に設定することにより、通常の加圧操作に対しては、座定部での操作頭部の保持を維持させ、操作軸が角度規定部に激しく衝当するような強い力で加圧操作された場合にのみ操作頭部を離脱させるようにすることも可能である。これにより、遊技者の手に対する衝撃緩和だけでなく、スタートスイッチ及びその周辺機器の損傷や故障を防止することができる。
前記操作軸が、球面軸受け機構により、360°の何れの方向にも傾動可能に支持されている構成にあっては、操作頭部に対する加圧操作を介して操作軸を360°の何れの方向にも傾動させることができるとともに、操作軸が角度規定部に衝当するまで操作された場合に、操作頭部を座定部からその加圧方向へ離脱させることができる。これにより、操作方向が限定されず、遊技者の好みや操作時の癖によって、操作軸を360°の何れの方向に傾動させた場合でも、上述した操作頭部の離脱による衝撃緩和作用を得ることができる。
また、前記保持手段が、操作軸の内部にその軸線に沿って形成された挿通孔と、操作軸の後端部に進退可能に装着された摺動部材と、該摺動部材を後方向に付勢する付勢部材と、操作軸の挿通孔に挿通されて、一端が操作頭部に連結され、他端が前記摺動部材に連結された紐状部材とを備え、付勢部材による摺動部材の後方向への付勢によって緊張状態で張設される紐状部材を介して操作頭部が座定部に圧接されるように設けられている構成にあっては、摺動部材を後方向に付勢する付勢部材の付勢力を介して紐状部材が後方向に引張されることによって、操作頭部を座定部に圧接状態で保持させることができ、この状態で、操作頭部に対する加圧操作によって操作軸が角度規定部に衝当するまで操作された場合に、操作頭部に加えられる力によって紐状部材が前方向に引張され、付勢部材の付勢力に抗して摺動部材が前方向に摺動することによって、操作頭部を座定部から離脱させることができる。また、操作頭部に加えられた力が消失すると、付勢部材の付勢力によって摺動部材が後方向に摺動し、これに伴って後方向に引張される紐状部材によって操作頭部が引き戻されて、該操作頭部を再び座定部に圧接状態で保持させることができる。これによって、操作頭部の座定部での保持と離脱とを円滑に行わせることができる。
さらに、操作軸の後端部に、付勢部材による後方向への付勢によって後方移動した位置で摺動部材を吸着する電磁石が配設され、該電磁石が、遊技状態に応じて励磁状態と消磁状態とに切替制御されるように設けられている構成にあっては、電磁石の励磁状態と消磁状態とで、操作頭部を座定部に保持させる保持力が変化することにより、操作頭部が座定部から離脱するときの操作感が異なるものとなる。従って、遊技者は、その操作感の違いによって当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づいて遊技状態が変化したことを知ることができ、これによって、所定遊技状態を遊技者に報知することができる。
また、他の保持手段としては、該保持手段が、操作頭部内に一端が連結され、他端が操作軸の内部に形成された挿通孔内に連結されて、操作頭部を座定部側に付勢する付勢部材であり、該付勢部材の付勢によって操作頭部が座定部に圧接されるように設けられている構成にあっては、操作頭部を座定部側に付勢する付勢部材の付勢によって、操作頭部を座定部に圧接状態で保持させることができ、この状態で、操作頭部に対する加圧操作によって操作軸が角度規定部に衝当するまで操作された場合に、操作頭部に加わる力によって付勢部材の付勢力に抗して該操作頭部を座定部から離脱させることができる。また、操作頭部に加えられた力が消失すると、付勢部材の付勢力によって操作頭部が引き戻されて、該操作頭部を再び座定部に圧接状態で保持させることができる。これによって、操作頭部の座定部での保持と離脱とを円滑に行わせることができる。
さらに、上記構成にあって、座定部に、操作頭部を吸着する電磁石が配設され、該電磁石が、遊技状態に応じて励磁状態と消磁状態とに切替制御されるように設けられている構成にあっては、電磁石の励磁状態と消磁状態とで、操作頭部を座定部に保持させる保持力が変化することにより、操作頭部が座定部から離脱するときの操作感が異なるものとなる。従って、遊技者は、その操作感の違いによって当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づいて遊技状態が変化したことを知ることができ、これによって、所定遊技状態を遊技者に報知することができる。
以下に、本発明にかかるスロットマシンの第一実施例を、図1〜図6に基づいて説明する。この第一実施例は請求項1乃至請求項3にかかる発明の一実施例を示すものである。
スロットマシン1の機体2は、図1に示すように、リールユニットやその他の所要機器(図示省略)が収納された外箱3と、該外箱3の前面開口部を覆う前扉4とで構成されている。この機体2の前面となる前扉4は、その一側縁が外箱3にヒンジを介して開閉可能に枢着されており、該前扉4の上半部分には三つの表示窓5a,5b,5cが横並び状に形成されている。該表示窓5a,5b,5cの裏面側には、図示しないリールユニットに組み付けられた三つの回転リール6a,6b,6cが配設されており、各回転リール6a,6b,6cの前面側の一部が前記表示窓5a,5b,5cから夫々視認可能となっている。尚、各回転リール6a,6b,6cは、リールユニットが具備する夫々のリール駆動モータによって回転駆動され、その外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って所定順序で表示されている。
前記前扉4の下半部分には、前下がり状に傾斜する傾斜段部を介して前方に若干突出した操作部7が設けられており、該操作部7の傾斜段部上面には、その中央に表示装置8が配設されている。この表示装置8は、液晶表示器,CRT表示器等の映像表示可能な表示器によって構成されており、その表示画面に様々な情報映像を表示することにより、遊技者に所要情報を提供するようになっている。また、該表示装置8の右側にはメダル投入口9が配設されており、左側には1BETボタン10と3BETボタン11とが配設されている。ここで、1BETボタン10は賭数単位を最大三単位まで一単位毎に設定するものであり、また、3BETボタン11は賭数単位を三単位で設定するものであって、遊技者のボタン操作によって、後述するクレジット数表示部13にクレジット残数がある場合に該クレジット残数が減算され、メダル投入口9にメダルを投入した場合と同じように賭数が設定されて遊技可能となる。
操作部7の前面には、その中央に三つの押しボタン式のストップスイッチ12a,12b,12cが横一列状に配設されており、該ストップスイッチ12a,12b,12cの左側に傾動レバー式のスタートスイッチ16が配設されている。ここで、該スタートスイッチ16は、上述した三つの回転リール6a,6b,6cを回転始動するために用いられ、遊技可能状態において遊技者が操作すると、前記回転リール6a,6b,6cの回転が開始される。このスタートスイッチ16は、本発明の要部にかかり、詳しくは後述する。また、前記ストップスイッチ12a,12b,12cは、回転中の回転リール6a,6b,6cを夫々別々に停止させるために用いられる。即ち、これら三つのストップスイッチ12a,12b,12cの内、左側のストップスイッチ12aを遊技者が操作すると、かかる操作を契機として左側の回転リール6aの回転が停止する。同様に、中央のストップスイッチ12bを操作すると、中央の回転リール6bが停止し、右側のストップスイッチ12cを操作すると、右側の回転リール6cが停止する。
また、前記メダル投入口9の背部位置には、クレジット数表示部13と入賞払出数表示部14とが並んで設けられている。このクレジット数表示部13には、メダルのクレジット残数が所定上限数(例えば50枚)まで表示される。一方、入賞払出数表示部14には、入賞に伴って払い出されるメダル数が表示される。
また、前扉4の最下部には、クレジット残数が所定上限数に達した場合に払い出されるメダルを貯留するための受皿15が配設されている。
次に本発明の要部にかかるスタートスイッチ16について説明する。
スタートスイッチ16のケース体17は、図2に示すように、前扉4に取り付けられる円形の前面板18を備えたベース部材19と、該ベース部材19の後部に固定される中空円筒状の中間カバー部材20と、該中間カバー部材20の後部を塞ぐ後端カバー部材21とに分割形成されており、これら各部材19,20,21は、その上下両周縁部に設けられた前後で一対をなす係合爪22と係合溝23との係合作用を介して一体化される。
前記ベース部材19には、図3に示すように、前後方向の連通孔24が形成されており、該連通孔24には、所定長さの操作軸25が挿通されている。該操作軸25の長手方向略中間部には、図4に示すように、外面が球面をなす球状凸部26が形成されており、また、前記連通孔24の奥部には、図3に示すように、該球状凸部26の後部側を包持する球面受部27が形成されている。該球面受部27の内面は球状凸部26の外面と一致する曲率の球面となっており、この球状凸部26と球面受部27とによって球面軸受け機構が構成されている。そして、この球面軸受け機構によって、操作軸25が360°の何れの方向にも傾動可能に支持されている。また、前記球面受部27の中央部には、中間カバー部材20側に向けて拡開するテーパ孔からなる角度規定部28が形成されており、図3(ロ),(ハ)に示すように、該角度規定部28との当接によって操作軸25の傾動角度が規定され、該操作軸25が所定角度範囲内で傾動するようになっている。
中間カバー部材20の内部は作動空隙62となっており、該作動空隙62内に位置する操作軸25の後半部分には、ベース部材19の後端面に当接するフランジ部30を備えた摺動スリーブ29が進退可能に外嵌されている。該摺動スリーブ29の後方には所定間隔を置いてバネ受け片31が配設されている。該バネ受け片31は、中央に形成された螺子孔32(図4参照)を、操作軸25の後端に形成された螺子部33に螺合することにより固定されている。また、バネ受け片31と摺動スリーブ29のフランジ部30との間にはコイルバネからなる付勢部材34が圧縮状態で介装されており、該付勢部材34によって、傾動操作に伴う操作軸25の傾動状態(図3(ロ),(ハ)参照)から、非傾動状態(図3(イ)参照)となるように操作軸25が付勢されている。
操作軸25の後端には組み付けを容易とするために別体形成した後端部材35が配設されており、該後端部材35によって操作軸25の後端部が構成されている。この後端部材35は、外周の180°異なる位置に前後方向の狭幅状ガイド孔36,36(図4参照)が形成された筒状体からなり、その前部開口端側の内周面に形成された雌螺子部37を操作軸25の前記螺子部33に螺合することにより固定されている。この後端部材35の後面には反射板38が配設されており、該反射板38に臨ませて操作軸25の傾動変位を検出する検出部材39が後端カバー部材21に配設されている。該検出部材39には、一対の投光部40aと受光部40bとを備えた反射型フォトセンサが用いられており、操作軸25の非傾動状態(図3(イ)参照)では、投光部40aから出た光が反射板38で反射されて受光部40bに入射するが、操作軸25が傾動操作によって傾動状態(図3(ロ),(ハ)参照)となり、投光部40aから出た光が受光部40bに入射しなくなると、オン・オフ切換信号を送出するようになっている。この信号は、スロットマシン1の遊技作動を制御する制御回路(図示省略)に入力され、該制御回路によって回転リール6a,6b,6cの回転始動制御に供される。
また、操作軸25の後端部を構成する前記後端部材35には、摺動部材41が進退可能に装着されている。該摺動部材41は、後端部材35に外嵌された摺動環42と、前記狭幅状ガイド孔36,36に挿し通されて、その両端部が摺動環42に支持された摺動杆43とからなり、該摺動杆43には後述する紐状部材44の一端が連結されている。また、摺動環42と前記バネ受け片31との間にはコイルバネからなる付勢部材45が圧縮状態で介装されており、該付勢部材45によって摺動部材41を後方向に付勢することにより、紐状部材44を後方向に引張するようにしている。
操作軸25の前端には截頭円錐形の座定部46が形成されており、また、該操作軸25の内部にはその軸線に沿って挿通孔47が形成されている。該挿通孔47には、所定の強靭性を備えたワイヤーや撚糸等からなる紐状部材44が挿通されており、該紐状部材44の一端が、図5(イ)に示すように、前記摺動部材41の摺動杆43に連結されている。また、紐状部材44の他端は、操作軸25の座定部46の中央に形成された挿通孔47の端部開口48から引き出されて操作頭部49に連結されている。該操作頭部49は略球形に形成され、その周面の一部に操作軸25の座定部46に一致する形状の被圧凹部50(図6参照)が設けられている。そして、該被圧凹部50の中央に形成された透孔51から引き入れられた紐状部材44の端部が、図5(ロ)に示すように、操作頭部49の内部に配設された抜け止め杆52に固定されており、これによって、紐状部材44の他端を操作頭部49に連結するようにしている。
ここで、紐状部材44の長さは、操作頭部49の被圧凹部50が操作軸25の座定部46に当接した状態で、付勢部材45による摺動部材41の後方向への付勢によって緊張状態で張設され得る所定長さに設けられており、このように紐状部材44が緊張状態で張設されることによって、操作頭部49の被圧凹部50が操作軸25の座定部46に圧接されて、該操作頭部49が座定部46に係脱可能に保持されるようになっている。また、付勢部材45の付勢力は、操作頭部49に対する操作軸25と略直交する方向への加圧操作によって、図3(ロ),(ハ)に示すように、操作軸25が傾動して角度規定部28に当接するまでは座定部46に操作頭部49を保持し、操作軸25が角度規定部28に当接した状態で、さらに加圧されると、図6(イ),(ロ)に示すように、操作頭部49を座定部46から加圧方向へ離脱させ得る所定の付勢力に設定されている。
そして、上述した操作軸25の挿通孔47と、操作軸25の後端部に進退可能に装着された摺動部材41と、該摺動部材41を後方向に付勢する付勢部材45と、操作頭部49と摺動部材41とを連結する紐状部材44とによって、操作頭部49を座定部46に係脱可能に保持する、第一実施例における保持手段が構成されている。
また、操作頭部49は、紐状部材44及び抜け止め杆52等の組み付けを容易とするために前後に分割形成されており、その分割部分に形成された螺子部53での螺着によって一体化されるように設けられている。
かかる構成にあって、操作軸25が角度規定部28に衝当するまで加圧操作されると、図6(イ),(ロ)に示すように、操作頭部49が座定部46からその加圧方向へ離脱することによって、遊技者が手に受ける衝撃を大幅に緩和することができる。ここで、操作頭部49は、付勢部材45の付勢力によってその周面の一部が座定部46に対して圧接する状態で保持されていることにより、操作軸25と略直交する方向への加圧操作であれば、操作頭部49のどの部位に対する加圧操作であっても該操作頭部49を座定部46から離脱させることができる。また、操作頭部49を座定部46側に付勢する付勢部材45の付勢力を適宜に設定することにより、通常の加圧操作に対しては、座定部46での操作頭部49の保持を維持させ、操作軸25が角度規定部28に激しく衝当するような強い力で加圧操作された場合にのみ操作頭部49を離脱させるようにすることも可能である。これにより、遊技者の手に対する衝撃緩和だけでなく、スタートスイッチ16及びその周辺機器の損傷や故障を防止することができる。
また、操作軸25が、球面軸受け機構により、360°の何れの方向にも傾動可能に支持されているので、操作頭部49に対する加圧操作を介して操作軸25を360°の何れの方向にも傾動させることができるとともに、操作軸25が角度規定部28に衝当するまで操作された場合に、操作頭部49を座定部46からその加圧方向へ離脱させることができる。これにより、操作方向が限定されず、遊技者の好みや操作時の癖によって、操作軸25を360°の何れの方向に傾動させた場合でも、上述した操作頭部49の離脱による衝撃緩和作用を得ることができる。
また、操作頭部49を座定部46に係脱可能に保持する保持手段が、操作軸25の内部にその軸線に沿って形成された挿通孔47と、操作軸25の後端部に進退可能に装着された摺動部材41と、該摺動部材41を後方向に付勢する付勢部材45と、操作軸25の挿通孔47に挿通されて、一端が操作頭部49に連結され、他端が前記摺動部材41に連結された紐状部材44とで構成され、付勢部材45による摺動部材41の後方向への付勢によって緊張状態で張設される紐状部材44を介して操作頭部49が座定部46に圧接されるように設けられているので、摺動部材41を後方向に付勢する付勢部材45の付勢力を介して紐状部材44が後方向に引張されることによって、操作頭部49を座定部46に圧接状態で保持させることができ、この状態で、操作頭部49に対する加圧操作によって操作軸25が角度規定部28に衝当するまで操作された場合に、操作頭部49に加えられる力によって紐状部材44が前方向に引張され、付勢部材45の付勢力に抗して摺動部材41が前方向に摺動することによって、操作頭部49を座定部46から離脱させることができる。また、操作頭部49に加えられた力が消失すると、付勢部材45の付勢力によって摺動部材41が後方向に摺動し、これに伴って後方向に引張される紐状部材44によって操作頭部49が引き戻されて、該操作頭部49を再び座定部46に圧接状態で保持させることができる。これによって、操作頭部49の座定部46での保持と離脱とを円滑に行わせることができる。
次に、本発明にかかるスロットマシンの第二実施例を、図7,図8に基づいて説明する。この第二実施例は請求項4にかかる発明の一実施例を示すものである。
この第二実施例では、図7(イ)に示すように、付勢部材45による後方向への付勢によって後方移動した位置で摺動部材41を吸着する電磁石54が、操作軸25の後端部を構成する後端部材35に配設されている。ここで、摺動部材41を構成する摺動環42の材質には、鉄等の強磁性体が好適に用いられ得る。尚、摺動環42は、磁石(永久磁石)であってもよいが、摺動環42に磁石を用いる場合には、電磁石54が励磁状態となった場合に反発しないように、その極性の向きを考慮する必要がある。そして、前記電磁石54は、スロットマシン1の遊技作動を制御する制御回路(図示省略)によって、遊技状態に応じて励磁状態と消磁状態とに切替制御されるように設けられている。この励磁状態と消磁状態との切替制御は、例えば、一回毎の遊技において、内部抽選結果がハズレである場合に電磁石54を消磁状態に維持し、内部抽選結果が当りである場合に電磁石54を励磁状態に切り替えるようにしたり、或いはその逆であってもよい。ここで、例えば、内部抽選結果がハズレである場合に、電磁石54を消磁状態に維持することにより、操作頭部49に対する通常の加圧力で、図7(ロ)に示すように、操作頭部49が離脱する一方、内部抽選結果が当りである場合に、電磁石54を励磁状態として摺動部材41の摺動環42を吸着させることにより、操作頭部49に対する通常の加圧力では、図7(ハ)に示すように、操作頭部49が離脱せず、離脱させるためにはさらに強い加圧力が必要となる。
その他、第一実施例と同じ構成部分には、第一実施例と同じ符号を付して重複する説明を省略する。
かかる構成にあって、電磁石54の励磁状態と消磁状態とで、操作頭部49を座定部46に保持させる保持力が変化することにより、操作頭部49が座定部46から離脱するときの操作感が異なるものとなる。従って、遊技者は、その操作感の違いによって当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づいて遊技状態が変化したことを知ることができ、これによって、当り・ハズレ等の所定遊技状態を遊技者に報知することができる。
次に、本発明にかかるスロットマシンの第三実施例を、図9に基づいて説明する。この第三実施例は請求項5にかかる発明の一実施例を示すものである。
この第三実施例は、操作頭部49を座定部46に係脱可能に保持する保持手段が、操作頭部49内に一端が連結され、他端が操作軸25の内部に形成された挿通孔47内に連結されて、操作頭部49を座定部46側に付勢する引張バネからなる付勢部材55によって構成されており、該付勢部材55の付勢によって操作頭部49が座定部46に圧接されるように設けられている。尚、この保持手段の変更に伴い、第一実施例における摺動部材41,付勢部材45,紐状部材44は除去されている。
ここで、前記付勢部材55の操作軸25側の端部は、操作軸25の先端近傍部に側方から嵌入された支持ピン56に係止されており、これによって、付勢部材55の他端を挿通孔47内に連結するようにしている。また、略球形に形成された操作頭部49の後部周面には、中央に透孔51を備えた被圧面58が設けられており、操作軸25の前端には、該操作軸25より径大で前面に前記被圧面58と一致する形状の球状受面57(図9(ハ)参照)を備えた座定部46が設けられている。そして、この球状受面57と被圧面58との当接によって、座定部46による操作頭部49の座定を安定的に行い得るようにしている。また、該被圧面58の透孔51には前記付勢部材55が挿通され、該付勢部材55の端部が操作頭部49の内部に形成されたフック部59に係止されており、これによって、付勢部材55の一端を操作頭部49内に連結するようにしている。
その他、第一実施例と同じ構成部分には、第一実施例と同じ符号を付して重複する説明を省略する。
かかる構成にあっては、操作頭部49を座定部46側に付勢する付勢部材55の付勢によって、操作頭部49を座定部46に圧接状態で保持させることができ、この状態で、図9(ロ)に示すように、操作頭部49に対する加圧操作によって操作軸25が角度規定部28に衝当するまで操作された場合に、操作頭部49に加わる力によって、図9(ハ)に示すように、付勢部材55の付勢力に抗して該操作頭部49が座定部46から離脱することにより、遊技者が手に受ける衝撃を大幅に緩和することができる。また、操作頭部49に加えられた力が消失すると、付勢部材55の付勢力によって操作頭部49が引き戻されて、該操作頭部49を再び座定部46に圧接状態で保持させることができる。これによって、操作頭部49の座定部46での保持と離脱とを円滑に行わせることができる。
次に、本発明にかかるスロットマシンの第四実施例を、図10〜図12に基づいて説明する。この第四実施例は請求項6にかかる発明の一実施例を示すものである。
この第四実施例では、電磁石46’からなる座定部が操作軸25の前端に設けられている。該電磁石46’は、第三実施例における座定部46(図9参照)と同一形状に形成されており、操作軸25より径大で前面に球状受面57(図10(ロ)参照)を備えている。また、操作頭部49には、電磁石46’からなる座定部の球状受面57と一致する形状の被圧面58を備えた被着部材60が配設されており、該被着部材60を介して操作頭部49が電磁石46’に吸着されるようになっている。ここで、該被着部材60の材質には、鉄等の強磁性体が好適に用いられ得る。尚、被着部材60は、磁石(永久磁石)であってもよいが、被着部材60に磁石を用いる場合には、電磁石46’が励磁状態となった場合に反発しないように、その極性の向きを考慮する必要がある。そして、前記電磁石46’は、スロットマシン1の遊技作動を制御する制御回路(図示省略)によって、遊技状態に応じて励磁状態と消磁状態とに切替制御されるように設けられている。また、操作軸25の内部の形成された挿通孔47内には、電磁石46’に制御電流を供給する導電線61が挿通されている。
前記電磁石46’の励磁状態と消磁状態との切替制御は、例えば、一回毎の遊技において、内部抽選結果がハズレである場合に電磁石46’を消磁状態に維持し、内部抽選結果が当りである場合に電磁石46’を励磁状態に切り替えるようにしたり、或いはその逆であってもよい。ここで、例えば、内部抽選結果がハズレである場合に、電磁石46’を消磁状態に維持することにより、操作頭部49に対する通常の加圧力で、図10(ロ)に示すように、操作頭部49が離脱する一方、内部抽選結果が当りである場合に、電磁石46’を励磁状態として操作頭部49の被着部材60を吸着させることにより、操作頭部49に対する通常の加圧力では、図7(ハ)に示すように、操作頭部49が離脱せず、離脱させるためにはさらに強い加圧力が必要となる。
その他、第三実施例と同じ構成部分には、第三実施例と同じ符号を付して重複する説明を省略する。
かかる構成にあって、電磁石46’の励磁状態と消磁状態とで、操作頭部49を座定部に保持させる保持力が変化することにより、操作頭部49が該座定部から離脱するときの操作感が異なるものとなる。従って、遊技者は、その操作感の違いによって当り・ハズレ等の内部抽選結果に基づいて遊技状態が変化したことを知ることができ、これによって、当り・ハズレ等の所定遊技状態を遊技者に報知することができる。
尚、この第四実施例では、座定部自体を電磁石46’によって構成したが、第三実施例における座定部46の一部に電磁石を組み込むようにすることも可能である。
また、第一実施例では、メダルを遊技媒体とするスロットマシンについて説明したが、本発明はパチンコ機用の遊技球を遊技媒体として使用するように構成されたスロットマシンにも適用可能である。