以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の遊技機1は、パチンコ遊技機であり、図1に示すように、遊技盤2における外側レール3と内側レール4とで囲まれた遊技領域5を備え、遊技領域5には、その中央に、飾り枠体13に囲まれて、液晶等で所定の図柄を表示する図柄表示装置14が配設されている。
遊技領域5の飾り枠体13の周囲には、図示しない釘、風車6、普通入賞口7、賞球の無い入賞口8、始動入賞口9、電動チューリップ10、大入賞口11、アウト口12等の公知の部材が配設されて、ハンドル16を操作し、遊技球を外側レール3と内側レール4との間から遊技領域5に打ち出せば、遊技球は、普通入賞口7、賞球の無い入賞口8、始動入賞口9、電動チューリップ10、大入賞口11、アウト口12のいずれかに入球する。そして、遊技球が、普通入賞口7や開放時の大入賞口11に入賞すれば、所定数の遊技球を獲得でき、入賞口8に入賞すれば、抽選により電動チューリップ10を所定時間若しくは所定回数開放させることとなる。また、遊技球が、始動入賞口9や開放時の電動チューリップ10に入賞すれば、抽選により、大当たり、中当たり、小当たり等の当たりや外れが決定され、当たりとなれば、大入賞口11を、その当たりに応じて開放時間、開放回数、入賞個数等を制限して、開放することとなる。これらの作動や遊技フローは、公知のものであり、遊技盤2の背面側に配置された図示しないメイン制御基板が、入賞時のセンシングに基づき、各種の作動信号を出力し、そして、メイン制御基板からの当たりや外れ等の抽選結果に基づいて、図示しないサブ制御基板が、所定数の遊技球を払い出したり、所定のランプやスピーカ等を作動させつつ、所定の演出を図柄表示装置14に表示し、また、適宜、可動役物装置20を作動させることととなる。
実施形態の可動役物装置20は、図1に示すように、遊技盤2における遊技領域5を越えた右下隅部位における正面側パネル21の正面側(前面側)に、可動役物50と偽装役物61とを配設させて、構成されている。正面側パネル21は、遊技盤2に連なるように取り付けられて、正面側パネル21の後方には、図6に示すように、可動役物装置20の後述する駆動機構27の後方側を覆うカバーパネル25と、正面側パネル21とカバーパネル25との間に配置される中間パネル23と、が配設され、これらのカバーパネル25と中間パネル23とは、所定位置をねじ等により、正面側パネル21の後面側に対して、固定されている。
そして、この可動役物装置20は、遊技の趣向性を向上させるために、既述のサブ制御基板の制御によって作動されるものであり、例えば、大当たり発生期待度やリーチ発展期待度を増加させる際に、作動される。リーチ発展期待度は、リーチへ発展する割合が高くなる期待度であり、大当たり発生期待度は、大当たりが発生する割合が高くなる期待度であって、共に、可動役物装置20が、図柄表示装置14の演出とともに、作動されれば、遊技者に大当たりやリーチ等の期待を強く与えることとなって、遊技の趣向性を向上させることができる。
また、実施形態の可動役物装置20は、図2〜6に示すように、可動役物50と偽装役物61との他に、可動役物50を揺動させるための揺動機構RMを備えて構成されている。揺動機構RMは、役物側磁性体63、盤側磁性体65、及び、盤側磁性体65を移動させる駆動機構27、を備えて構成されている。実施形態の場合、可動役物50は、円盤状のゴングの形状として、偽装役物61は、ゴングを鳴らすハンマーの形状として、駆動機構27は、偽装役物61を移動させる駆動機構を兼用している。そして、可動役物装置20は、作動時、駆動機構27を駆動させて、揺動機構RMを作動させつつ、ハンマー形状の偽装役物61を移動させることとなり、その際の動作は、ハンマー形状の偽装役物61が、ゴング形状の可動役物50に打撃を与えるように、接近し、ゴング形状の可動役物50が、ゴングを鳴らすように前後に揺動する動作となる。
可動役物装置20の構造を詳しく述べれば、可動役物50は、図2,4,6に示すように、遊技盤2側となる正面側パネル21の正面側(前面側)に沿うように、略上下方向に沿って配設される円板状のリン部51と、リン部51の裏面(背面)の中央から、正面側パネル21のボス22を挿通して後方に延びる軸部52と、を備えて構成されている。可動役物50は、軸部52の後端(先端)52a付近に左右方向に沿って配置される軸C0を揺動中心として、リン部51が、外周縁の上端51aと下端51bとを、前後に揺動させるように、配設されている。そして、可動役物50は、揺動できるように、元部50aとしての軸部52の先端52aから離れた下方側の先端部50bに、役物側磁性体63を配設させ、役物側磁性体63の周囲の遊技盤2側の中間パネル23付近に、盤側磁性体65を配設させている。
軸部52の先端52aの支持構造は、正面側パネル21の後方に延びるボス22とボス22の周囲に固定される取付スリーブ57とから構成される軸受部60(図6参照)に対して、先端52a付近の外周から揺動中心軸C0に沿って左右に延びる円柱状のピン55(図2,3参照)が、軸支される構造としている。
役物側磁性体63と盤側磁性体65とは、実施形態の場合、円板状の磁石(永久磁石)が使用されるとともに、先端部50bにおけるリン部51の裏面側の下端51bに配置された役物側磁性体63の後方側に、対向するように、盤側磁性体65が配設された際、すなわち、盤側磁性体65が役物側磁性体63に最も接近する接近位置CPに配置された際、相互に反発する磁極となるように、構成されている。なお、役物側磁性体63や盤側磁性体65の周囲の可動役物50、正面側パネル21、中間パネル23、カバーパネル25等の部材は、適宜、磁力の影響を受けない合成樹脂等から形成されている。
役物側磁性体63は、図2,6に示すように、軸部52に外装されるホルダ53のスリーブ部53aから下方に延びる保持アーム53bと、リン部51の下端51bの後面側の凹部51cと、の間で、挟持されて、可動役物50に配設されている。なお、ホルダ53は、軸部52に外装される円筒状のスリーブ部53aと、スリーブ部53aの前端から下方に延びる保持アーム53bと、を備えて構成されている。そして、ホルダ53は、スリーブ部53aを軸部52に外装させた状態で、軸部52の先端52aに対し、図示しないねじによって、略円盤状のキャップ54が固着されることにより、リン部51とキャップ54とに挟持されて、軸部52に固定されている。また、キャップ54の左右両側には、図2,6に示すように、左右両側に延びて、可動役物50の揺動時の揺動中心軸C0を構成する円柱状のピン55,55が、配設されている。そして、これらのピン55,55は、ボス22と取付スリーブ57との当接する端面相互に設けられた凹溝22a,57b相互によって形成される軸支孔60aに、回動自在に支持され、その結果、可動役物50は、遊技盤2側の正面側パネル21のボス22に設けられた軸受部60を利用して、前後に揺動可能に支持されることとなる(図6,7参照)。
盤側磁性体65は、図3〜6に示すように、可動片36における下方の先端部38の前面側に固着されている。可動片36は、取付スリーブ57の後端の円筒状の支持ピン部57fに支持されて、支持ピン部57fの前後方向に延びる回動中心軸C1を回転中心として、下端側の先端部38を左右方向に回動可能に、配設されている(図4,5参照)。そして、可動片36は、先端部38の盤側磁性体65を、役物側磁性体63に接近する接近位置CPと役物側磁性体63から離隔する離隔位置SPとに配置させることとなる。
この可動片36は、支持ピン部57fを嵌挿させる略円環状の元部37を備え、元部37から下方に延びる先端部38に、盤側磁性体65を固着させている。元部37は、中央に、支持ピン部57fを嵌挿させる軸支孔37aを備え、外周面側に、後述するラック34bに噛合するピニオンのようなギヤ部37bと、役物側磁性体63から離れる盤側磁性体65の離隔位置SPを規制するように、後述するストッパ57eに当接する規制部37cと、を設けて構成されている。
なお、盤側磁性体65は、図2,4,6に示すように、中間パネル23に設けられた貫通孔23aを経て、中間パネル23の後方側から正面側パネル21の後面に接近するように、配設されている。貫通孔23aは、盤側磁性体65が、可動片36の回動に伴って、接近位置CPと離隔位置SPとの二箇所の間を往復移動する軌跡に対応し、回動中心軸C1を中心とした扇状に形成されている。
駆動機構27は、図4,5に示すように、図示しないサブ制御基板によって作動を制御される駆動源28と、駆動源28の駆動力を、機械的に伝達させて、可動役物50を揺動させるように、盤側磁性体65を役物側磁性体63に接近させる運動伝達機構33と、を備えて構成されている。そして、運動伝達機構33は、実施形態の場合、偽装役物61を移動させる駆動機構も兼用しており、そのため、盤側磁性体65を移動させる駆動機構としての磁性体移動機構部33aと、偽装役物61を移動させる駆動機構としての偽装役物移動機構部33bと、を備えて構成されている。
駆動源28は、作動時、ハウジング30内に配設された図示しない電磁コイルに通電することにより、可動部としてのプランジャ(可動鉄心)31を、ハウジング30内に引き込むように移動させるソレノイド29から構成され、そして、プランジャ31の引き込み力を駆動力として、運動伝達機構33を駆動させて、盤側磁性体65と偽装役物61とを移動させることとなる。ソレノイド29は、プランジャ31のハウジング30から延びる方向を、左下斜め方向(図2,3参照)として、正面側パネル21の後面側(背面側)におけるボス22の上方(図4,5参照)に、固定されている。そして、このソレノイド29は、プランジャ31の頭部31aとハウジング30との間に、ばね(圧縮コイルばね)32を配設させており、図示しない電磁コイルへの通電状態から通電を停止されれば、ばね32の付勢力により、プランジャ31を、ハウジング30に引き込まれた作動位置F1から、作動前の位置(原位置)F0に復帰するように、ハウジング30から繰り出すこととなる。
運動伝達機構33は、既述したように、盤側磁性体65を移動させる磁性体移動機構部33aと、偽装役物61を移動させる偽装役物移動機構部33bと、を備えて構成され、実施形態の場合、これらの磁性体移動機構部33aと偽装役物移動機構部33bとは、プランジャ31の頭部31aに結合させたラックプレート34を共用している。ラックプレート34は、図4,5に示すように、プランジャ31の頭部31aに一体的に連結される連結部34aを上端に備えて、正面側パネル21のボス22の側方まで延びる略長方形板状として、構成されている。そして、ボス22側の側面には、可動片36のギヤ部37bに噛合するラック34bが形成されている。また、ラックプレート34は、前後に貫通して、略上下方向に延びる摺動孔34cと、連結部34a近傍の後面側から後方に突出する係止ピン34dと、を備えて構成されている。摺動孔34cには、中間パネル23を貫通して、正面側パネル21の後面から後方に延びるガイドピン21aが嵌挿され、ソレノイド29の作動時における原位置F0と作動位置F1とに移動するプランジャ31の往復移動時、ラックプレート34が、摺動孔34cの内周面にガイドピン21aを摺動させて、プランジャ31とともに円滑に移動するように構成されている。
そして、磁性体移動機構部33aは、図4,5に示すように、ラックプレート34と、取付スリーブ57と、盤側磁性体65を先端部38に固着させた可動片36と、から構成されている。
取付スリーブ57は、図4〜6に示すように、略円筒状として、正面側パネル21のボス22の後端面に、前端面57aを当接させて、斜めの上下に配置された取付座57cを正面側パネル21の後面側に、ねじ58止めさせて、固定されている。取付スリーブ57は、後部側に縮径された段差部57dと円筒状の支持ピン部57fとを備え、段差部57dには、可動片36の規制部37cを規制する既述したストッパ57eが突設されている。支持ピン部57fは、既述したように、可動片36の円環状の元部37の軸支孔37aに嵌挿させて、回動中心軸C1を回動中心として、可動片36を回動可能に支持している。なお、支持ピン部57fの中央の嵌合孔57gには、カバーパネル25の前面側から前方に延びる円柱状の凸部25bが、嵌合されて(図6参照)、可動片36の元部37が、カバーパネル25によって、支持ピン部57fから後方側に外れることを防止されている。
そして、可動片36は、元部37の外周面にラックプレート34のラック34bに噛合するギヤ部37bを備えている。
そのため、運動伝達機構33の磁性体移動機構部33aでは、図4,5に示すように、駆動機構27の駆動源28としてのソレノイド29に通電されて、プランジャ31がハウジング30に引き込まれて作動位置F1に配置されれば、磁性体移動機構部33aのラックプレート34が上昇移動し、ラック34bにギヤ部37bを噛合させて支持ピン部57fに軸支させた可動片36が、回動中心軸C1を中心として、正面視(図2,3参照)で時計方向に、背面視(図4,5参照)で反時計方向に、回転する。そのため、可動片36の先端部38に保持された盤側磁性体65が、離隔位置SPから接近位置CPに移動して、図6のBに示すように、可動役物50に設けられた役物側磁性体63の後方側に、役物側磁性体63と前後方向で対向するように、配置されることとなる。なお、ソレノイド29への通電時、引き込まれたプランジャ31がハウジング30内でその位置(作動位置F1)を停止されることから、可動片36は、盤側磁性体65を接近位置CPに停止させれば、その位置(作動位置)R1で回転を停止させることとなる。
そして、ソレノイド29への通電を止めれば、図5から図4に示すように、プランジャ31がばね32の付勢力によってハウジング30から突出して原位置F0に復帰し、ラック34bごとラックプレート34を下方移動させることから、ラック34bにギヤ部37bを噛合させている可動片36は、ストッパ57eに規制部37cを当接させるまで、正面視で反時計方向に、背面視で時計方向に回転して、ストッパ57eに規制部37cを当接させた位置(原位置)R0で、停止し、盤側磁性体65を離隔位置SPに復帰させることとなる(図2,4参照)。
偽装役物移動機構部33bは、図4,5に示すように、磁性体移動機構部33aと共用のラックプレート34と、第1レバー40と、第2レバー45と、から構成されている。
第1レバー40は、背面側から見て開いたV字形状として、ソレノイド29と取付スリーブ57との間に「V」の字の屈曲した下端部位を軸支部41として、前後方向に沿った回動中心軸C2を回動中心として、正面側パネル21の後面側に対し、回動可能に軸支されている。第1レバー40は、左右方向に沿って、軸支部41からラックプレート34側に延びるラック側アーム42と、軸支部41からラックプレート34から離れるように軸支部41から延びる偽装側アーム43と、を備えて構成されている。ラック側アーム42の先端には、ラックプレート34の係止ピン34dを挿入させるための略左右方向に沿った摺動孔42aが、前後方向に貫通して配設されている。偽装側アーム43の先端には、第2レバー45の係止ピン46bを挿入させるための略左右方向に沿った摺動孔43aが、前後方向に貫通して形成されている。
第2レバー45は、上下方向に延びる略L字形状として、第1レバー40の偽装側アーム43の先端から上方に延びるレバー側アーム46と、レバー側アーム46の上端から屈曲して偽装役物61の後方側に配置される偽装側アーム47と、を備えて構成されている。レバー側アーム46の下端(先端)には、前後両側に延びる係止ピン46a,46bが形成されている(図2,4参照)。前方側に延びる係止ピン46aは、第1レバー40の摺動孔43aに挿入され、後方側に延びる係止ピン46bは、カバーパネル25に設けられた摺動孔25aに挿入されている。摺動孔25aは、上下方向に延びるように開口され、第1レバー40の回動時、第2レバー45のレバー側アーム46を、上下方向に沿って往復移動できるように、内周面に係止ピン46bを摺動させて案内できるように、構成されている。なお、レバー側アーム46は、第1レバー40の回動時、前面側の係止ピン46aを第1レバー40の偽装側アーム43における摺動孔43aに摺動させつつ、後面側の係止ピン46bをカバーパネル25の摺動孔25aに摺動させて、上下往復移動することとなる。
第2レバー45の偽装側アーム47は、図2,4に示すように、ねじ等を利用して、ハンマー形状の偽装役物61の柄部61aの下端付近と槌部61bの上下方向の中間付近とに対し、軸方向を前後方向に沿わせた円柱状の取付ボス47a,47bを、連結させている。偽装側アーム47に設けられた各取付ボス47a,47bは、正面側パネル21に前後方向に貫通したガイド孔21b,21cを挿通している。各ガイド孔21b,21cは、ハンマー形状の偽装役物61の槌部61bの下端61cが、ゴング形状の可動役物50の上端50c、すなわち、リン部51の上端51aに、軸部52に向かうように接近したり(図3参照)、その逆方向に離隔する往復移動(略上下方向の往復移動)を、案内できるように、軸部52から、正面視(図2参照)で斜め上右方向、背面視(図4参照)で斜め上左方向に延びるように、形成されている。
運動伝達機構33の偽装役物移動機構部33bでは、図4,5に示すように、駆動機構27の駆動源28としてのソレノイド29に通電されて、プランジャ31がハウジング30に引き込まれて作動位置F1に配置されれば、磁性体移動機構部33aと共用のラックプレート34が上昇移動し、背面視の状態で、ラックプレート34の係止ピン34dを摺動孔42aに挿入させている第1レバー40が、ラック側アーム42を係止ピン34dに押されて、軸支部41の回動中心軸C2を回動中心として、反時計方向に回転する。そして、第1レバー40が反時計方向に回転して、偽装側アーム43を下方に移動させれば、第2レバー45が、レバー側アーム46の係止ピン46aをカバーパネル25の摺動孔25aに摺動させ、かつ、偽装側アーム47の取付ボス47a,47bを正面側パネル21のガイド孔21b,21cに摺動させて、偽装役物61の槌部61bの下端61cを、可動役物50のリン部51に衝撃を与えるように、リン部51の上端51aに接近させる作動位置H1に、偽装役物61を配置させることとなる(図2,3参照)。
その後、ソレノイド29への通電を停止させれば、図5から図4に示すように、ばね32の付勢力によって、プランジャ31がハウジング30から突出するように復帰され、可動片36の規制部37cをストッパ57eに当接させることにより、プランジャ31が原位置F0で停止される。その際、プランジャ31の突出によってラックプレート34が下降し、第1レバー40が、係止ピン34dによってラック側アーム42を押し下げられて、背面視の状態で、軸支部41の回動中心軸C2を回動中心として、時計方向に回転し、偽装側アーム43の先端を上昇させ、摺動孔43aの内周面によって、第2レバー45におけるレバー側アーム46の係止ピン46aを押し上げる。その結果、第2レバー45は、レバー側アーム46の係止ピン46aをカバーパネル25の摺動孔25aに摺動させ、かつ、偽装側アーム47の取付ボス47a,47bを正面側パネル21のガイド孔21b,21cに摺動させて、偽装役物61の槌部61bの下端61cを、可動役物50のリン部51の上端51aから離すように、偽装役物61を上昇させて、偽装役物61を原位置H0に復帰させることとなる(図2参照)。
そして、実施形態の可動役物装置20では、図2,4から図3,5に示すように、作動時、ソレノイド29に通電させて、プランジャ31を原位置F0から作動位置F1に移動させれば、既述したように、ラックプレート34が上昇移動し、第1レバー40を回転移動させつつ第2レバー45を下降移動させて、第2レバー45に連結されている偽装役物61が、原位置H0から可動役物50に打撃を与えるように接近した作動位置H1に配置される。また、ラックプレート34が上昇移動すれば、ラック34bにギヤ部37bを噛合させた可動片36が、原位置R0から作動位置R1に回転されて、可動片36の先端部38に配置されている盤側磁性体65が、離隔位置SPから接近位置CPに配置させれ、可動役物50の先端部50bに設けられた役物側磁性体63の後方側で、役物側磁性体63と対向する。
すると、役物側磁性体63は、図6のA,Bに示すように、盤側磁性体65と反発して、可動役物50が、揺動時の始動駆動力MFを受け、この始動駆動力MFを利用して、リン部51の下端51bを前方移動させ上端51aを後方移動させるように、揺動中心軸C0を揺動中心として上向きに揺動し、揺動端RF側に移動する。しかし、可動役物50が揺動端(第1の揺動端)RF側に移動しても、復元力MRとして利用する可動役物50に作用する重力(実施形態の場合、リン部51、軸部52、ホルダ53、及び、役物側磁性体63を含めた全体の重量が揺動中心軸C0からその前方側に位置する重心GCまでの長さ分の下向きのモーメント)GGにより、図6のB,図7のAに示すように、可動役物50が原位置P0側に復帰しようとする。そして、可動役物50が、慣性力を受けて、リン部51の下端51bを後方移動させ上端51aを前方移動させるように、下向きに揺動し、逆方向側の揺動端(第2の揺動端)側REに移動しても、盤側磁性体65の反発力を利用して、中立点(第2揺動端RE側と第1揺動端RF側との略中間地点)NP(図7のB参照)に戻され、さらに、慣性力により、第1揺動端RF側に移動することとなって、第1揺動端RF側と第2揺動端RE側とに繰り返して移動するように、揺動運動が繰り返されることとなる。そして、実施形態の場合、役物側磁性体63に対する盤側磁性体65の反発力と可動役物50の重力GGとが釣り合う位置(実施形態の場合、中立点)NPまでに、可動役物50は、揺動を減衰させて、図7のBの実線に示すように、静止する。ついで、ソレノイド29への通電後の一定時間の経過後、図示しないサブ制御基板の制御により、ソレノイド29への通電が停止されれば、既述したように、プランジャ31、可動片36、可動役物50、及び、偽装役物61が、それぞれ、原位置F0,R0,P0,H0に復帰することとなる。なお、実施形態の場合、ソレノイド29への通電から通電停止までの時間は、可動役物50が揺動を開始して静止するまでの時間より若干長い時間として、予め、設定されている。
そして、実施形態の遊技機1では、盤側磁性体65を役物側磁性体63に対する接近位置CPと離隔位置SPとに配置させるように可動片36を移動させる駆動機構27の他に、単に、復元力MRに可動役物50自体の重力GGを利用するだけで、簡便に、可動役物50を揺動運動させることができる。そして、可動片36を移動させる駆動機構27は、盤側磁性体65を役物側磁性体63に対する接近位置CPと離隔位置SPとの単に二箇所の位置に配置させるように、可動片36を往復回動移動させるだけで構成可能であり、可動片36を移動させる駆動機構27(駆動源28と運動伝達機構33の磁性体移動機構部33a)とともに、簡便に構成することができる。
したがって、実施形態の遊技機1では、可動役物50の揺動機構RMを簡便に構成することができる。
また、実施形態の遊技機1では、役物側磁性体63と盤側磁性体65との反発力を、可動役物50の揺動時の始動駆動力MFとしており、盤側磁性体65を接近位置CPに配置させた当初は、始動駆動力MFが強いものの、その後は復元力MRとしての重力GGが作用するため、減衰させるような揺動として、可動役物50を揺動でき、従来のステッピングモータやサーボモータ等の正転と逆転との作動制御では作動させ難い減衰させる動きで、可動役物50を揺動運動させることが可能となる。
そして、実施形態の場合、可動片36が、盤側磁性体65を接近位置CPと離隔位置SPとに配置可能に、ソレノイド29の往復移動する可動部としてのプランジャ31に、ラックプレート34を介在させて、連結支持させるように構成されており、可動片36を一方向に回転させる等のような循環移動させる駆動機構に比べ、プランジャ31や可動片36の移動軌跡を小さくできて、省スペースとして、盤側磁性体65を接近位置CPと離隔位置SPとに配置させることができる。
さらに、実施形態の遊技機1の可動役物装置20では、ゴング形状の可動役物50の周囲に、可動役物50に対して打撃を与えるような動作を偽装するハンマー形状の偽装役物61を、配設し、運動伝達機構33を利用して、可動片36を、偽装役物61の作動時に連動して、作動させている。そのため、実施形態の可動役物装置20では、可動役物50が、偽装役物61から打撃を受けて揺動するような動作となることから、遊技者の目を楽しませることができる。
さらにまた、実施形態の場合、可動片36と偽装役物61とを、運動伝達機構33によって、一つの駆動源28により、作動させるように構成しており、可動役物50と偽装役物61とを備えた遊技機1を、簡便に構成することができるとともに、可動役物50の揺動時のタイミングと偽装役物61の可動役物50への打撃時のタイミングとを容易に一致させることができる。
勿論、実施形態では、駆動源28をソレノイド29から構成して、偽装役物61と可動片36とを、運動伝達機構33を介在させて、ソレノイド29の往復移動するプランジャ31に連結支持させており、偽装役物等を一方向に回転させる等のような循環移動させる駆動機構に比べ、プランジャ31や可動片36の移動軌跡を小さくできて、省スペースとして、偽装役物61と可動片36とを駆動させることができる。
なお、実施形態の場合には、偽装役物61を、ゴング形状の可動役物50に対応するハンマー形状とした場合を示したが、偽装役物や可動役物の形状は、実施形態に限定されるものでなく、例えば、可動役物を車、船、動物等の形状として、その車、船、動物等に当たるように接近する車、船、波、風、爆弾等の形状に、偽装役物を構成してもよい。
また、実施形態の遊技機1では、役物側磁性体63と盤側磁性体65とを相互に反発する磁石から構成しており、可動役物50が、役物側磁性体63と盤側磁性体65との反発力を始動駆動力MFに利用し、かつ、可動役物50自体の重力GGを復元力MRに利用するように、始動駆動力MFの作用方向と重力GGの作用方向とを対向させて、遊技盤2に支持されており、復元力MRにばねを利用しない分、一層、簡便に、揺動機構RMを構成することができる。
なお、この点を考慮しなければ、図8,9に示す遊技機1Aのように、可動役物50を中立点NPに復元させる復元力MRに、ばね67の付勢力を利用してもよい。この遊技機1Aでは、可動役物50のリン部51の後面側における軸部52の周囲と、ボス22の周囲の正面側パネル21との間に、コイルばね67を配設させている点と、作動時に、図示しないソレノイド29への通電時間が短く、盤側磁性体65を接近位置CPに配置させて、可動役物50が揺動し始めたら、直ちに、盤側磁性体65を離隔位置SPに戻している点と、が、実施形態の遊技機1と相違しているだけである。
そして、この遊技機1Aの可動役物装置20Aでは、作動時、図示しないソレノイドの作動により、可動片36が回動して、盤側磁性体65が、図示しない離隔位置SPから接近位置CPに配置され、直ちに、図示しない離隔位置SPに復帰する。そして、盤側磁性体65が接近位置CPに配置されれば、図8のA,Bに示すように、役物側磁性体63が、盤側磁性体65と反発し、可動役物50が、揺動時の始動駆動力MFを受け、揺動中心軸C0を揺動中心として、始動駆動力MFを利用して揺動端RF側に移動する。そして、可動役物50がこの第1の揺動端RF側に移動する際、ばね67は、揺動端RF側の縁、すなわち、上縁67a側を圧縮させることから、そのばね67の復元しようとする付勢力(MR、図8のB参照)と可動役物50自体の重力GGとにより、原位置P0側に復帰しようとする。そして、可動役物50が、慣性力を受けて、逆方向側の揺動端RE側(第2の揺動端RE側)に移動しても、ばね67が、揺動端RE側の縁、すなわち、下縁67b側を圧縮させることから、ばね67の復元しようとする付勢力(MR、図9のA参照)を利用して、中立点NP側(第2揺動端RE側と第1揺動端RF側との略中間地点)に戻され、さらに、慣性力により、第1揺動端RF側に移動することとなって、第1揺動端RF側と第2揺動端RE側とに繰り返して移動するように、揺動運動が繰り返される。そしてその際、既に、盤側磁性体65は、役物側磁性体63を反発させる位置(接近位置)CPから離隔位置SPに配置されており(図9のB参照)、可動役物50は、ばね67の付勢力と重力GGとが釣り合う原位置P0(図例の場合には、中立点NPの位置でもある)で静止するように、揺動の振幅を減衰させつつ、揺動運動する。
したがって、可動役物装置20Aのように、可動役物50の揺動時の復元力MRに、ばね67の付勢力を利用してもよい。
なお、可動役物50の揺動時の復元力MRにばねを利用する場合には、図8,9に示すように、軸部52の周囲に配置させる他、リン部51の上端51aと正面側パネル21との間を、圧縮コイルばねや引張コイルばねによって、連結させて、それらのばねを復元力に利用してもよい。
また、役物側磁性体と盤側磁性体とは、少なくとも一方を磁石から形成して、相互に吸着可能に構成してもよい。例えば、図10の遊技機1Bの可動役物装置20Bでは、可動役物50Bが、役物側磁性体63Bと盤側磁性体65Bとの吸着力を始動駆動力MFに利用するとともに、始動駆動力MFにより揺動する時点を、盤側磁性体65Bの役物側磁性体63Bに対する接近位置CPから離脱する時点として、配設されている。また、可動役物50Bは、ばね67Bの付勢力を復元力MRに利用するように、少なくとも吸着力の作用方向ADとこの作用方向の逆方向RDとの両方向に揺動する際に、中立点NPに停止可能に付勢するばね67Bを介在させて、遊技盤2側の正面側パネル21Bに支持されている。
なお、図例の場合には、盤側磁性体65Bが、磁石から形成され、役物側磁性体63Bが鉄から形成されているが、役物側磁性体63Bと盤側磁性体65Bとは、共に吸着し合う磁石を使用してもよい。
また、この可動役物装置20Bは、遊技球と接触しない状態として、図1に示す図柄表示装置14の前側における飾り枠体13の下縁側、すなわち、ステージ13a上の後部側に、ゴング形状の可動役物50Bとハンマー形状の偽装役物61Bとを配設させて構成されている。そして、盤側磁性体65を保持する可動片36Bと偽装役物61Bとが、駆動機構27Bの駆動源28としてのソレノイド29Bのプランジャ(可動部)31Bに、連結支持されている。なお、このソレノイド29Bは、プッシュプル式としており、プランジャ31Bをハウジング30Bから繰り出し、その後、プランジャ31Bをハウジング30Bに引き込ませるように、作動される。プランジャ31Bの繰出時、偽装役物61Bが可動役物50Bに打撃を与えるように接近し、また、盤側磁性体65Bが、役物側磁性体63Bから離れた離隔位置SPから役物側磁性体63Bに接近する接近位置CPに配置されることとなる。勿論、ソレノイド29Bとしては、プッシュプル式の他、戻しばねを利用したプッシュ式やプル式でもよい。
さらに、可動役物50Bは、リン部51が、前後方向の幅寸法を狭めて左右方向に延びる楕円板形状に形成されて、前後方向に沿って配置される揺動中心軸C0を揺動中心として、左右方向に揺動するように配設されているものの、実施形態と同様に、軸部52の先端52a付近のピン55を、遊技盤2側に連なる正面側パネル21Bの軸受部60に、揺動可能に軸支させて配設されている。なお、この可動役物装置20Bでは、図例の正面側パネル21Bは、前後方向の幅寸法を狭めて、ステージ13aと平行として、ステージ13aと一体的に配設され、中間パネル23やカバーパネル25も、前後方向の幅寸法を狭めて、その正面側パネル21Bの下方に配設されている。
また、ばね67Bは、図8,9に示したばね67と同様に、可動役物50Bのリン部51の下面側における軸部52の周囲と、ボス22の周囲の正面側パネル21Bとの間に、配設されている。
この可動役物装置20Bでは、作動時、ソレノイド29Bが、プランジャ31Bをハウジング30Bから繰り出し、その後、プランジャ31Bをハウジング30Bに引き込ませるように、作動される。その際、プランジャ31Bと可動片36Bとは、図10のA,B,Cに示すように、原位置F0→作動位置F1→原位置F0、に往復移動し、偽装役物61Bも、原位置H0→打撃を与えるように可動役物50Bに接近する作動位置H1→原位置H0、に往復移動する。同様に、盤側磁性体65Bも、離隔位置SP→接近位置CP→離隔位置SP、に往復移動する。
そして、盤側磁性体65Bが役物側磁性体63Bに接近している際には、盤側磁性体65Bが役物側磁性体63Bを吸着して、可動役物50Bが、第1の揺動端RF側に揺動させるように、先端部50b(左縁部)側を下方に下げ、右縁50d側を上方に上げるように、リン部51を傾斜させることから、ばね67Bが左縁67c側を圧縮させる状態となる(図10のB参照)。
そしてその後、盤側磁性体65Bが接近位置CPから離隔位置SP側に離脱する当初は、ばね67Bが、左縁67c側を圧縮させていた状態から復元するように、復元力MR(図10のBの実線参照)としての付勢力を可動役物50Bに作用させることから、可動役物50Bは、先端部50bを上方にあげて右縁50d側を下げるような第2の揺動端RE側に、揺動する。その時、ばね67Bは、右縁67d側を圧縮させることから、第2の揺動端RE側に揺動した可動役物50Bは、右縁67d側を圧縮させていた状態から復元するようなばね67Bの付勢力を受けて、再度、第1の揺動端RF側に揺動しようとする。
そして、盤側磁性体65Bを役物側磁性体63Bへの接近位置CPから離脱させた当初は、可動役物50の左右へ揺動する振幅が大きいものの、その後は、ばね67の付勢力による相互に逆の方向AD,RDに働く復元力MR(図10のBの二点鎖線と実線参照)が作用し、可動役物50Bを、減衰させるような揺動運動として、安定かつ的確に、第1の揺動端RFと第2の揺動端REとの中間付近の中立点NPで停止させることができ、実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
なお、図10の可動役物装置20Bでは、役物側磁性体63Bと盤側磁性体65Bとを、相互に反発し合う磁石によって構成してもよい。
また、実施形態等では、遊技機として、パチンコ遊技機1,1A,1Bを例示したが、本発明の遊技機は、パチンコ遊技機に限定されるものでなく、その他のアレンジボール遊技機、ジャン球遊技機等に適用可能である。