JP4675832B2 - 地震記録データの同期化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建築構造物に設置された複数の地震計によりそれぞれ求められた地震記録データを、例えばオフラインで収集して解析するに際し、各地震記録データ間の時刻同期を容易に取ることのできる地震記録データの同期化処理方法に関する。
建築構造物に設置された複数の地震計によりそれぞれ求められた地震記録データを収集して建築構造物の耐震診断を行う場合、上記地震記録データ間の時刻同期を取ることが重要な課題となる。そこでGPS信号に含まれる時刻情報に基づいて周期的にクロック信号を発生させ、このGPSクロック信号を基準として地震計内部のクロック信号を校正することが提唱されている(例えば特許文献1,2を参照)。
またマスタ地震計に接続されるスレーブ地震計の時刻校正を正確に行うべく、上述したGPSクロック信号に基づいて時刻校正したマスタ地震計からスレーブ地震計に対して同期信号を出力し、これによってスレーブ地震計を時刻校正することも提唱されている(例えば特許文献3を参照)。
特開2001−215283号公報 特開2004−93411号公報 特開2004−132925号公報
しかしながら個々の地震計をそれぞれ正確に時刻校正し、これによって複数の地震計間の時刻同期を取るには、地震計毎に多大なハードウェア・コストが掛かることが否めない。またマスタ地震計とスレーブ地震計との間をケーブルにて結び、オンラインで同期信号を用いて上記地震計間の時刻同期を取るにも設備コストが掛かる。この点、地震記録データ自体を用いて各地震記録データ間の時刻同期を取ることができれば、上述したハードウェア・コストを抑えることができる。また、例えばオフラインで複数の地震計から地震記録データを収集することも可能となるので、前述した建築構造物の耐震診断コスト自体も安価に抑えることが可能となる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、地震記録データ自体を用いて各地震記録データ間の時刻同期を取るに有用な地震記録データの同期化処理方法を提供することにある。
上述した目的を達成するべく本発明に係る地震記録データの同期化処理方法は、建築構造物の互いに異なる位置に設置された複数の地震計によりそれぞれ求められた地震記録データを、例えばオフラインで収集して解析する場合に好適なものであって、
前記各地震記録データの立ち上がり部分波形をそれぞれ抽出し、抽出した各地震記録データの立ち上がり部分波形を相互に比較して前記各地震記録データ間における同期点のずれ量を求めることを特徴としている。
即ち、本発明は建築構造物を伝わる弾性波(地震波)の速度は毎秒キロメートルのオーダーであり、よほど大きい建築構造物でない限り、地震計の時間分解能がミリ秒程度である場合には、地震記録データを波動伝播過程ではなく、震動過程として捉え得ることに着目している。具体的には建築構造物の底部に地震動が加わった場合、上述した時間分解能ではほぼ同時刻に上記震動が建築構造物の上部まで達すると看做し得ることに着目している。
そこで本発明においては、前述したように建築構造物の互いに異なる位置に設置された複数の地震計による地震記録データの立ち上がり部分波形をそれぞれ抽出し、抽出した各地震記録データの立ち上がり部分波形を相互に比較することで、前記各地震記録データ間における同期点のずれ量を求め、これによって複数の地震記録データ間の時刻同期を取ることを特徴としている。
さらに本発明は、地震記録データについては、水平面内における加震方向(例えばX軸方向)、この加震方向に直角な加震直角方向(Y軸方向)、および前記水平面に垂直な鉛直方向(Z軸方向)における各振動波形データとしてそれぞれ求める。そして前述した各地震記録データの立ち上がり部分波形の相互比較については、例えば上記立ち上がり部分波形の時間軸を相対的にずらしながら加震方向(X軸方向)、加震直角方向(Y軸方向)、および鉛直方向(Z軸方向)のそれぞれにおいて前記振動波形データ間の相関をそれぞれ求め、その相関が最も強くなったときの前記時間軸のずれ量を、前記各地震記録データ間における同期点のずれ量として求めることにより達成される。
尚、前記振動波形データ間の相関については、例えば時系列データとして示される前記地震記録データの平均値を用いて基線補正した後、その絶対値の最大が[1]となるように正規化した振動波形データの類似度として求めることが好ましい。
上述した地震記録データの同期化処理方法によれば、一般的な建築構造物の底部に地震動が加わった際、その震動がほぼ同時刻に建築構造物の全体に伝わることに着目して、建築構造物の互いに異なる位置に設置された複数の地震計による地震記録データの立ち上がり部分波形をそれぞれ抽出し、これらの各立ち上がり部分波形を相互に比較することで前記各地震記録データ間における同期点のずれ量を求めるので、各地震記録データ間の時刻同期を簡易に取ることができる。従って複数の地震計を個々に時刻校正する必要がなく、しかも複数の地震計による地震計測データをリアルタイム性を確保して収集することなく、例えばオフラインで収集して解析処理に供することが可能となるので、その設備コストを低く抑えることのみならず、建築構造物の耐震診断コスト自体も安価に抑えることが可能となる。
また地震記録データを、水平面内における加震方向(例えばX軸方向)、この加震方向に直角な加震直角方向(Y軸方向)、および前記水平面に垂直な鉛直方向(Z軸方向)における各振動波形データとしてそれぞれ求め、これらの各方向毎に各振動波形データの立ち上がり部分波形の時間軸を相対的にずらしながら、これらの上がり部分波形間の相関をそれぞれ計算し、例えば相関が最も強くなるときの時間軸のずれ量をその同期点のずれ量として求めるので、複数の地震記録データ間の時刻同期を簡易に、しかも正確に取ることが可能となる。従って複数の地震計による地震記録データをオフラインで収集しても、十分に信頼性の高い精度で建築構造物の耐震診断を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る地震記録データの同期化処理方法について説明する。
図1は本発明方法を実施する同期化処理システムの概略構成図で、例えば演算・比較処理機能を備えたコンピュータ(マイクロプロセッサ)によるソフトウェアとして実現される。このシステムは、複数の地震計1a,1b〜1nによりそれぞれ求められて個々に記録された地震記録データを、例えばオフラインで収集してコンピュータに取り込み、時系列データとして示される各地震記録データに後述する所定の処理を施した後、これらの各地震記録データを相互に比較して地震記録データ間の時間軸方向のずれ量を求めるように構成される。
ちなみに複数の地震計1a,1b〜1nは、建築構造物2の互いに異なる位置にそれぞれ設置される高精度強震計からなる。具体的には、例えば図2に示すように二層RC構造物2の屋上に第1および第2の地震計1a,1bが所定の距離を隔てて設置され、またその1階の床面に第3の地震計1cが設置される。これらの地震計1a,1b,1cは、例えば水平面内における加震方向(X軸方向)、この加震方向に直角な加震直角方向(Y軸方向)、および前記水平面に垂直な鉛直方向(Z軸方向)における各振動波形データを、その地震記録データとしてそれぞれ求めるものからなる。
尚、実験においては上記二層RC構造物2を加震台3上に組み立てることで、上記加震台3によりその水平面内の一方向(X軸方向)に加震し、上述した3台の地震計1a,1b,1cにてEl_Centro地震波の入力に対する応答速度の時系列データを図3(a)〜(c)にそれぞれ示すような地震記録データ[x1,y1,z1],[x2,y2,z2],[x3,y3,z3]としてそれぞれ求めるようにした。ちなみに図3(a)〜(c)においては、3台の地震計1a,1b,1cから得られる地震記録データを各軸方向成分毎にまとめて上段・中段・下段に並べて示している。
さて上述した複数の地震計1a,1b〜1nにてそれぞれ求められた地震記録データを取り込むコンピュータは、時系列データとして示される地震記録データに対して所定の前処理を施す前処理機能11と、前処理が施された地震記録データからその立ち上がり部分波形を抽出する立ち上がり部分抽出機能12と、抽出した立ち上がり部分波形に対して所定の後処理を施す後処理機能13とを備える。更に上記コンピュータは、上述した処理が施された地震記録データの立ち上がり部分波形を相互に比較し、その相関から地震記録データのずれ量(時間差)を求める比較処理機能14を備える。
上述した地震記録データの立ち上がり部分波形の抽出は、地盤の揺れが建築構造物2に加わった瞬間を捉えることを意味する。ちなみに建築構造物2を伝わる弾性波の速度は毎秒キロメートルのオーダであり、よほど大規模な構造物でない限り、ミリ秒程度の時間分解能による計測においては、その振動応答は波動伝播過程として計測されることはなく、むしろ振動過程として計測される。換言すれば建築構造物2の底部に地震動が入力された場合、上述した時間分解能では、上記地震動が入力とほぼ同時刻に上記建築構造物2の上部にまで振動が達する。従って地震記録データの立ち上がり部分に着目すれば、各地震記録データ間の時刻的なずれ量を求めることができるので、そのずれ量を用いて各地震記録データ間の時刻同期を取ることが可能となる。但し、建築構造物2の応答はベクトルで表されるので、ほぼ同位相で振動する場合でも振幅には正負の差が生じる場合がある。従って地震動の入力の瞬間、応答の成分は或る箇所では正となり、別の箇所では負となることがあるので注意が必要である。
一方、建築構造物2の応答は振動であるが、その減衰は比較的小さいので、地盤の揺れが収まった後でも上記建築構造物2の揺れは継続する。従ってこの特性を利用すると、応答の時系列の最後の部分を使って時刻同期を取ることも可能である。例えば応答の最後の部分において一つの振動モードが卓越する場合には、互いに異なる計測箇所でそれぞれ計測される応答が[0]となる時刻や、その観測波形データがピークを迎える時刻を一致させれば良いので、時刻同期を取ることは容易である。勿論、一致させるべく時刻は複数あるが、その候補となる時刻は振動モードの固有周期の半分の間隔で並ぶことになるので、複数の観測波形データ一致させる時刻を見つけ出すことは十分可能であると考えられる。
このような時系列データの最後の部分に着目した同期方法は、比較的減衰が小さく、且つ卓越する振動モードを持つ建築構造物2においては非常に有効である。しかし応答の最後の部分において振動モードが複数となるような場合、応答が[0]となる時刻の間隔(いわゆるゼロクロス周期)やピークを取る時刻の間隔がセンサ毎によって異なるので、上述した手法を採用することは難しい。
また建築構造物2の応答関数が既知であれば、応答の時系列データの全てを使って時刻同期を取ることも可能である。ちなみに上記応答関数は、数理的には初期値問題のグリーン関数、つまり建築構造物2の基部に単位入力があった場合の各箇所での応答の時系列を与える関数として与えられる。従って基部の時系列データと応答関数を使えば、他の計測点での応答の時系列データを計算することができるので、計算された時系列データと実際に計測された時系列データを一致させることで時刻同期を取ることができる。
しかしながら実際の建築構造物2の応答関数をその計測データから求めるには、時刻同期が正確に取られた時系列データを使う必要がある。勿論、複数の地震に対する応答があれば、時刻同期が取られていないデータを使って適当な応答関数を推定することは可能である。しかし相当数の応答のデータを収集しなければ、推定された応答関数の精度を高くすることはできないと想定される。
従って上述した地震記録データ(時系列データ)の最後の部分に着目したり、その応答の時系列データの全てを用いるよりも、前述したように地震記録データの立ち上がり部分波形を抽出し、この立ち上がり部分波形を用いて複数の地震記録データの時間的なずれ量(時間差)を求めれば、そのずれ量に従って地震記録データの時系列を比較的簡単に、しかも高精度に複数の地震記録データ間の時刻同期を取り得ると考えられる。
ここで前述した前処理機能11、立ち上がり部分抽出機能12、後処理機能13、および比較処理機能14による複数の地震記録データ間の時間差(時刻のずれ量)検出について説明する。
図3(a)〜(c)にそれぞれ示す各成分毎の地震記録データを比較すると、図3(a)に示す加震方向(X軸方向)の成分[x1,x2,x3]が最大の応答となっている。また図3(b)に示す加震直角方向(Y軸方向)の成分[y1,y2,y3]は、上述した加震方向の成分[x1,x2,x3]に比べて相当小さくなっている。そして図3(c)に示す鉛直方向(Z軸方向)の成分[z1,z2,z3]は、上記加震方向の成分[x1,x2,x3]に比べれば小さいが、加震直角方向の成分[y1,y2,y3]よりは大きくなっている。
地震記録データ(応答の時系列データ)の立ち上がり部分を比較する手法として、2つの時系列データの相関を使う場合、前述した前処理として時系列データの標準化を行う。この時系列データ(地震記録データ)の標準化は、例えば先ずその計測データの平均値を用いて該計測データを基線補正をした後、その応答の絶対値の最大が[1]に正規化されるように全データを定数倍することによって行われる。具体的には時系列データ{ν}の正規化は、その応答の絶対値の最大値S(=max{|ν|})を用い
{Ν}={ν}/S
として、その標準化データ{Ν}を求めることによって行われる。
図4(a)〜(c)は上述したようにして標準化した計測データ(地震記録データ)の立ち上がりの部分波形、具体的には0.25秒から0.75秒の区間における時系列データを時間軸方向に拡大して示している。この図4(a)〜(c)に示す観測データの場合、3つの地震計1a,1b,1cにてそれぞれ求められた加震方向の成分[x1,x2,x3]の時系列データ(立ち上がり部分波形)は概ね同じ形で立ち上がっているが、1階に設置された第3の地震計1cの時系列データが若干異なっている。また前述したように加震直角方向の成分[y1,y2,y3]に関しては、1階に設置された第3の地震計1cでの立ち上がりは正であるが、屋上に設置された第1および第2の地震計1a,1bでの立ち上がりは負である。そして加震方向(X軸方向)および加震直角方向(Y軸方向)の水平面内における2成分と比べて鉛直方向の成分[z1,z2,z3]は、3つの地震計1a,1b,1cでの時系列データが一致している度合いが高いように見受けられる。
ここでA番目(No.A)とB番目(No.B)の地震計に対して、その標準化されたM個の計測データ(時系列データ)の類似度SABを次のように定義する。
AB=(1/M)Σm=1 (Ν −Ν
尚、上記SABは相関係数ではなく、2つの時系列データの類似度を示す。即ち、データが完全に一致する場合には上記類似度SABは[0]となる。またここでは前述した如く標準化したデータを使っているので、総和をとる各項の最大値は[2]であり、上記類似度SABの最大値も[2]となる。そしてA番目(No.A)およびB番目(No.B)の2つの地震計による地震記録データの時刻同期が正確に取られているならば、その立ち上がりの部分の時系列データの類似度SABは[0]または極めて小さい値となる。
逆にA番目(No.A)およびB番目(No.B)の2つの地震計による地震記録データの時刻同期がとれていない場合には、類似度SABは小さい値を取ることはないが、一方の時系列データの時間をずらすことで、その類似度SABの値を小さくすることができる。そして類似度SABの値が最も小さくなった場合、つまり2つの地震記録データの相関が最も強くなった場合、そのときの上述した時系列データに対する時間のずれ量(時間差)を求めれば、この時間のずれ量を2つの地震記録データ間を時刻同期させる為の制御量として求めることができる。
即ち、本発明における時刻同期は、先ず一つの地震計から求められる地震記録データの立ち上がり部分を基準として時系列データを作る。次いで他の地震計から求められる地震記録データに対して、その立ち上がり部分を時間軸方向にずらすことが可能な時系列データを作る。その上で上記2つの時系列データの類似度Sを計算し、その類似度Sが最小となるようなずらし方(時間軸方向のずれ量Δt)を探し出す。例えば時系列データがdt秒間隔で計測されている場合には、ずらされたデータの類似度SAB(Δt)は
AB(Δt)=(1/M)Σm=1 (Νn+n’ −Ν
Δt=n’・dt
として定義される。
図5(a)〜(c)は、第1の地震計1aにより求められる地震記録データにおける0.05秒の立ち上がりタイミングを基準として、第2および第3の地震計1b,1cによりそれぞれ求められた地震記録データの上述した類似度の計算結果を示している。尚、図5(a)〜(c)においては第1および第2の地震計1a,1bによりそれぞれ求められた地震記録データ間の類似度を実線で、また第1および第3の地震計1a,1cによりそれぞれ求められた地震記録データ間の類似度を破線で示している。またこの実施例においては、そのデータサンプリングが200Hzであるので、前述した時系列データのデータ間隔dtは0.005秒であり、そのデータ数Mは[10]となる。
この図5(a)〜(c)に示されるように、この例では同じ建築構造物2の屋上に設置された第1および第2の地震計1a,1bによりそれぞれ求められた地震記録データの立ち上がり部分波形の類似度Sは、時間のずれ量Δtが−0.02秒であるとき、前述したXYZの各軸方向の成分が共に[0]となっている。従って時刻同期補正量Δtを−0.02秒として設定することで、第1および第2の地震計1a,1bによりそれぞれ求められた地震記録データ間の時間同期を取ることが可能となる。
尚、加震方向の成分[x1,x2,x3]と鉛直方向の成分[z1,z2,z3]は、上記Δtが−0.02秒であるとき、明瞭にその類似度Sが最小となるが、加震直角方向の成分[y1,y2,y3]については最小化の度合いが小さい。これは加震直角方向の成分[y1,y2,y3]の立ち上がり部分波形の大きさが他の部分より小さいので、その標準化によってデータの値自体が小さくなってしまうためであると考えられる。
しかし前述した手法とは別の手法、例えばM個の計測データの最大値を使って時系列データを標準化するようにすれば、より明確に類似度が最小化することができる。しかし計測データそのものが小さい場合には、相対的にノイズの影響が大きくなるため、類似度がノイズに敏感になる危険性もある。即ち、前述した応答の絶対値の最大を[1]にする標準化によれば類似度の値がどのΔtにおいても小さくなることがあり、この場合には最適のΔtを決定することができない。しかしM個のデータの最大値を使った標準化を行った場合、Δtを誤判定をする可能性がある。
また第3の地震計1cについては1階に設置されているので、屋上に設置された第1の地震計1aとの類似度は、その成分によって最小値を取るΔtの値が異なっている。ちなみにこの例では加震方向の成分では−0.03秒、加震直角方向では0.04秒、そして鉛直方向では−0.02秒となっている。しかし全体のデータを見ると、鉛直方向の成分については−0.02秒が適当なようである。また水平方向の成分に比べて鉛直方向の成分が時刻同期に適しているのは、少なくともその立ち上がりはRC構造体からなる建築構造物2がほぼ剛体的に動くためであると考えられる。尚、第3の地震計1cについては、RC構造体の応答ではなく、建築構造物2に直接入力された地震動となるため、屋上に設けられた地震計1a,1bに比べてその速度の値が小さいことは無視できない。
また震動台実験で入力された地震動は水平方向成分のみであった。これは地震波の主要動であるS波の入力に対応し、ここでは鉛直成分が卓越するP波は入力されていない。従って実際の計測では、P波が応答の立ち上がりを与える場合には、建築構造物2が剛体的に振舞う鉛直成分を使うことが、時刻同期を取る上で有効であることが示唆される。
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前述した地震計1a,1b〜1nがそれぞれ求める計測量は、地震波(加震)による加速度・速度・変位・角加速度・角速度・角度のいずれかを求めるセンサの出力であれば良い。また必要に応じてそのセンサ出力を微分または積分することで着目すべき種別の観測データが求めるようにすることも勿論可能である。
また前述した前処理については、地震波の固有周期を求める処理や、計測データをローカット,ハイカット,バンドパスするフィルタリング処理、観測波形のピーク検出処理、零クロス周期の検出処理、更には閾値処理や基線補正処理等として実施すれば十分である。ちなみにこれらの前処理は、地震記録データに対する処理目的に応じて適宜選択的に実施される。
また地震記録データ間の相関からその時間軸方向のずれ量を求める処理については、前述したように3軸のそれぞれの成分毎に個別に実行しても良いが、水平2軸方向にベクトル合成される成分に着目して実行しても良く、或いは3軸方向にベクトル合成されたデータとして示される加震方向の成分に対して行っても良い。また特定の方向成分の地震記録データだけに着目して地震記録データ間のずれ量(時間差)を求めることも勿論可能である。またここでは複数の地震計2a,2b,〜2nによる観測データをオフラインで収集して解析するものとして説明したが、リアルタイム性が確保されない状況下で各種の通信ネットワークを介してデータ収集して、その計測データを解析する場合にも同様に適用することができる。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明に係る地震記録データの同期化処理方法を実施する同期化処理システムの概略構成図。 建築構造物に対する複数の地震計の設置例を示す図。 複数の地震計にてそれぞれ求められる地震記録データ(観測データ)の例を示す図。 図3に示す地震記録データ(観測データ)の立ち上がり部分波形を、その時間軸を拡大して示す図。 複数の地震記録データ(観測データ)の相関を示す図。
符号の説明
1a,1b,1c 地震計
2 建築構造物
3 加震台
11 前処理機能
12 立ち上がり部分抽出機能
13 後処理機能
14 比較処理機能

Claims (2)

  1. 建築構造物の互いに異なる位置に設置された複数の地震計によりそれぞれ求められた地震記録データを収集して解析するに際し、
    各地震記録データから、水平面内における加震方向、この加震方向に直角な加震直角方向、および前記水平面に垂直な鉛直方向における振動波形データをそれぞれ抽出し、
    前記加震方向、前記加震直角方向、および前記鉛直方向のそれぞれにおいて、時間軸を相対的にずらしながら、抽出した各振動波形データの立ち上がり部分波形の波形間の相関を求め、その相関が最も強くなったときの前記時間軸のずれ量を各地震記録データ間における同期点のずれ量として求めることを特徴とする地震記録データの同期化処理方法。
  2. 各振動波形データの立ち上がり部分波形の波形間の相関は、時系列データとして示される地震記録データの平均値を用いて基線補正した後、その絶対値の最大が[1]となるように正規化した振動波形データの類似度として求めるものである請求項に記載の地震記録データの同期化処理方法。
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