JP6280768B2 - トンネル弾性波探査方法及びこれに用いるトンネル弾性波探査システム - Google Patents

トンネル弾性波探査方法及びこれに用いるトンネル弾性波探査システム Download PDF

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Description

本発明は、トンネル等の掘削を行う場合に用いるトンネル弾性波探査方法及びこれに用いるトンネル弾性波探査システムに関し、特に、切羽前方の地質構造の予測に使用するトンネル弾性波探査方法及びこれに用いるトンネル弾性波探査システムに関する。
通常、トンネル工事においては、トンネルの掘削や支保を安全かつ効率良く施工するために、地山の弾性波速度分布を推定することが行われ、また、掘削面である切羽前方の地質変化を把握し、その対策を講じることが安全かつ迅速な掘削作業を行う上で必要となるため、切羽前方の探査が行われる。
従来の切羽前方の探査を行う方法が例えば特許文献1、2、及び非特許文献1に開示されている。
(1)特許文献1
特許文献1は、トンネル弾性波探査方法及びこれに用いるトンネル弾性波探査システムに関するもので、この文献1により、トンネル坑内の切羽から離れた後方の坑壁位置に単成分地震計を設置し、発破により切羽から発生させた弾性波を地震計で計測することを切羽掘削サイクル毎に行い、これにより得られた弾性波データに基づいて切羽前方の地質を推定する方法が提案されている。
(2)特許文献2
特許文献2は、切羽前方探査装置及び記録媒体に関するもので、この文献2により、切羽前方の地質構造を3次元的に推定する方法として、トンネル坑内において発生させた弾性波が切羽前方の弾性波反射面において鏡面反射した弾性波(反射波)を、トンネル坑内に設置した複数の地震計により計測し、3次元空間に反射面を仮定し、測定波形を重合処理することにより、反射面を推定する方法が提案されている。
(3)非特許文献1
非特許文献1は、弾性波の3成分受振によるトンネル切羽前方の高精度イメージングに関するもので、この文献3により、切羽前方の地質構造を3次元的に推定する方法として、トンネル坑内において発生させた弾性波が切羽前方の弾性波反射面において鏡面反射した弾性波(反射波)を、トンネル坑内に設置した3成分地震計により計測し、測定された波形を重合処理した後、3成分データにより重み付けを行うことで、3次元的に反射面を推定する方法が提案されている。
特開2013−174580公報 特開2001− 99945公報 芦田譲外2名、"弾性波の3成分受振によるトンネル切羽前方の高精度イメージング"、土木学会論文集No.680/III−55,123−129,2001.6
しかしながら、従来の切羽前方の探査を行う方法では、次のような問題がある。
(1)特許文献1の切羽前方の探査方法の場合、地震計が単成分であるために、切羽前方の反射面を3次元的に推定することができない。
(2)特許文献2、非特許文献1の切羽前方の探査方法の場合、反射面が平滑であると仮定し、トンネル坑内で発生した弾性波が反射面で鏡面反射するものとして反射波を解析するため、反射面に凹凸があるなどの場合に推定精度が低下する。
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のトンネル弾性波探査方法及びこれに用いるシステムにおいて、トンネル坑内の切羽前方の反射面に凹凸がある場合であっても、反射面を3次元的に精度よく推定できるようにすること、を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のトンネル弾性波探査方法は、
切羽から離れた後方所定の位置に発破信号検知器、3成分地震計、及び4成分以上の多成分記録装置を設置するとともに、トンネル坑内の切羽に発破孔を設けて爆薬を装填し、
発破器から発生し爆薬を起爆させる発破信号を計測し、爆薬を起爆させた際に切羽から発生する弾性波を前記3成分地震計で受振、計測し、前記多成分記録装置に記録することを切羽掘削毎に繰り返し、
切羽掘削毎に前記多成分記録装置に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから直達波を抽出し、前記直達波の初動到達時間と起振点距離から切羽のトンネル坑内の弾性波速度を算出し、
切羽掘削毎に前記多成分記録装置に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから反射・回折波を抽出し、前記反射・回折波の3成分それぞれについて反射・回折波の時間と振幅の関係を、前記弾性波速度を用いて、距離と振幅の関係に換算し距離と弾性波エネルギーの関係を求めて、距離と弾性波エネルギーからなる複数のデータセットを作成し、前記各データセットについて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置の3成分それぞれの弾性波エネルギーを求めてその和を算出し、前記弾性波エネルギーの総和を求めて、前記弾性波エネルギーの総和が大きな値を取る点を反射・回折点と推定する、
ことを要旨とする。
また、本発明の上記方法に用いるトンネル弾性波探査システムは、
トンネル坑内に設置され、発破器から発生する発破信号を計測する発破信号検知器、発破を震源とする弾性波を計測し3成分弾性波信号を出力する3成分地震計、及び発破信号と3成分弾性波信号を記録する多成分記録装置と、
前記多成分記録装置により記録された弾性波の解析を行う解析装置と
を備え、
前記解析装置は、
前記多成分記録装置に切羽掘削毎に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから直達波を抽出して、当該直達波に基づいて切羽のトンネル坑内の弾性波速度を測定する測定手段と、
前記多成分記録装置に切羽掘削毎に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから反射・回折波を抽出して、当該反射・回折波に基づいて弾性波の反射・回折点を推定する推定手段と、
を有
前記推定手段は、前記反射・回折波の3成分それぞれについて反射・回折波の時間と振幅の関係を、前記弾性波速度を用いて、距離と振幅の関係に換算し距離と弾性波エネルギーの関係を求めて、距離と弾性波エネルギーからなる複数のデータセットを作成し、前記各データセットについて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置の3成分それぞれの弾性波エネルギーを求めてその和を算出し、前記弾性波エネルギーの総和を求めて、前記弾性波エネルギーの総和が大きな値を取る点を反射・回折点と推定する、
ことを要旨とする。
本発明のトンネル弾性波探査方法及びこれに用いるシステムによれば、発破器から発生し爆薬を起爆させる発破信号を発破信号検知器で計測し、爆薬を起爆させた際に切羽から発生する弾性波を3成分地震計で受振、計測し、多成分記録装置に記録することを切羽掘削毎に繰り返し、切羽掘削毎に多成分記録装置に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから直達波を抽出し、当該直達波の初動到達時間と起振点距離から切羽のトンネル坑内の弾性波速度を算出し、切羽掘削毎に多成分記録装置に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから反射・回折波を抽出し、当該反射・回折波の3成分それぞれについて反射・回折波の時間と振幅の関係を、弾性波速度を用いて、距離と振幅の関係に換算し距離と弾性波エネルギーの関係を求めて、距離と弾性波エネルギーからなる複数のデータセットを作成し、各データセットについて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置の3成分それぞれの弾性波エネルギーを求めてその和を算出し、弾性波エネルギーの総和を求めて、弾性波エネルギーの総和が大きな値を取る点を反射・回折点と推定するので、トンネル坑内の切羽前方の反射面に凹凸がある場合であっても、反射面を3次元的に精度よく推定することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
本発明の一実施の形態におけるトンネル弾性波探査方法を示す流れ図 同方法に用いるトンネル弾性波探査システムの構成を示すブロック図 同方法による探査時の探査状況を模式的に示す斜視図 同方法に用いる探査機材(発破信号検知器、3成分地震計及び多成分デジタル記録装置)の配置と発破の位置を示す斜視図 同方法において発破毎の弾性波の起振点距離を示す図 同方法において弾性波の受振点への到達時間を示す図 同方法において発破毎の位置で発振された直達波の起振点距離及び到達時間を示す図 同方法において反射・回折波の処理プロセスを示す流れ図 同方法において発破毎の切羽位置で発振され、切羽前方で反射・回折された反射・回折波の起振点距離及び弾性波伝搬経路を示す図 同方法において切羽前方の範囲の任意の解析点で反射・回折波の重合処理を行い、反射・回折波を検出する手順を示す図 同方法において反射・回折点を推定する手順を示す図 同方法において反射面を推定する手順を示す図
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1にトンネル弾性波探査方法を示し、図2にこの弾性波探査方法に用いるシステムを示している。
図1に示すように、このトンネル弾性波探査方法は、トンネル坑内の切羽から離れた後方所定の位置に、発破信号検知器、3成分地震計及び多成分デジタル記録装置を設置するとともに、切羽に発破孔を設けて爆薬を装填し、発破器から発生し爆薬を起爆させる発破信号を計測するとともに、爆薬を起爆させた際に切羽を震源として発生する弾性波を3成分地震計で受振、計測し、多成分デジタル記録装置に記録することを切羽掘削毎に繰り返し、切羽掘削毎に多成分デジタル記録装置に記録された弾性波から直達波を抽出して、当該直達波に基づいて切羽のトンネル坑内の弾性波速度分布を推定し、切羽掘削毎に多成分デジタル記録装置に記録された弾性波から反射・回折波を抽出して、当該反射・回折波に基づいて反射・回折点及び反射面の3次元位置空間を推定する。
図2に示すように、トンネル弾性波探査システムは、トンネル坑内に設置され、発破器から発生する発破信号を計測する発破信号検知器1、発破を震源とする弾性波を計測し3成分弾性波信号を出力する3成分地震計2と、発破信号及び3成分弾性波信号を記録する多成分デジタル記録装置3と、多成分デジタル記録装置3に記録された弾性波の解析を行う弾性波解析ユニットとしてのPC(パーソナルコンピュータ)10とを備えて構成される。
発破信号検知器1は、発破を起爆する発破器の爆薬に点火電流を供給するための発破母線に設置され、発破点火時に発破器から出力される電流を検出し、電流検出信号を出力する非接触式の電流センサで、この場合、一般に市販される非接触式の直流電流センサが採用される。
3成分地震計2は、3次元空間のXYZ3成分のセンサを有し、これらセンサを直交するX方向(例えば東西方向)、Y方向(例えば南北方向)、Z方向(例えば上下方向)に設置し、その設置場所での各設置方向の各弾性波成分を検出し、3成分の弾性波信号を出力する地震計で、この場合、一般に市販される携帯用の3成分ジオフォンが採用される。
多成分デジタル記録装置3は、発破信号検知器1から出力される発破信号と3成分地震計2から出力される3成分弾性波信号を記録可能な4成分以上の記録装置で、この場合、一般に市販される例えば8チャンネルのマルチチャンネルレコーダが採用される。なお、この場合、マルチチャンネルレコーダに代えて、3台のステレオ(2チャンネル)ICレコーダを使用することもできる。また、ハードディスクのような設置型記録装置や光ディスク、CD或いはDVDのような外部取り出し可能な記録媒体を用いた記録装置が使用されてもよい。
また、多成分デジタル記録装置3はこの記録装置3に記録されたデータを外部記録媒体へ出力し記録するためのデータ出力部4、及びこの記録装置3に記録されたデータを他のユニット、例えば弾性波解析ユニットやデータを格納するためのサーバへ送信するための通信部5を併せて備える。この場合、データ出力部4としては、SDメモリカード他各種のメモリカード用又はPCカード用のカードスロット、USBメモリ用の端子、各種のカードメモリリーダー/ライター、各種のディスクドライバーなどの各種のインタフェース機器が用いられる。通信部5は、多成分デジタル記録装置3に記録されたデータを通信により送出したり外部からのデータ要求を受信したりするために、インターネットなどの公衆通信ネットワークに接続される。
PC10は、弾性波解析のための各種指示が入力される操作入力部11と、弾性波解析用の各種アプリケーション(ソフトウェア)及びデータが格納される記憶部12と、弾性波解析処理のための情報或いは処理結果が表示される表示部13と、外部記録媒体に格納された3次元弾性波などのデータを読み出すデータ読取部14と、データ収集ユニットから送付されたデータを受信する通信部15と、上記各機能部の動作をコントロールしまた各種演算処理を行う制御部16とを備える。
この場合、操作入力部11は、キーボード、タッチパネル、音声入力マイクロホンなどのデータ入力機器により構成され、この操作入力部11により、制御部16における各種処理動作に必要なコマンドおよびデータが入力される。記憶部12は、多成分デジタル記録装置3に切羽掘削毎に記録される弾性波から直達波を抽出し、当該直達波に基づいて切羽のトンネル坑内の弾性波速度を測定する手段としての直達波処理プログラム、及び多成分デジタル記録装置3に切羽掘削毎に記録される弾性波から反射・回折波を抽出し、当該反射・回折波に基づいて弾性波の反射・回折点及び反射面の3次元空間位置を推定する手段としての反射波・回折波処理プログラムを含む各種のプログラムが格納される読み出し専用メモリ(ROM)と、処理動作に際してデータの書き込み、読み出しが実行されるランダムアクセスメモリ(RAM)と、発破信号を計測して得られた発破計測データ及び弾性波を計測して得られた3成分弾性波計測データを格納する計測データメモリとを有しており、それぞれのメモリが必要に応じて使用される。表示部13は液晶その他のディスプレイ機器からなり、3成分弾性波の解析により得られた坑内弾性波速度及び切羽前方の弾性波反射面などこの弾性波探査システムの動作中における種々の状態情報や処理情報などが表示される。データ読取部14としては各種のメモリカードスロット、各種のカードメモリリーダー/ライター、各種のディスクドライバーなど各種のインタフェース機器が用いられる。通信部15はデータ収集ユニットから通信により送られてきた記録データを受信するためにインターネットなどの公衆通信ネットワークに接続される。制御部16はマイクロコンピュータなどからなり、3次元弾性波などのデータ解析処理を実行したり、解析結果をサーバへ送付したりする。
以下、この弾性波探査方法及びシステムについて詳述する。
1.探査
この弾性波探査方法による探査時の探査状況を図3に模式的に示している。
図3に示すように、まず、掘削完了区間の切羽後方所定の位置の坑壁壁面に、発破信号検知器1及び3成分地震計2を多成分デジタル記録装置3とともに設置する。この場合、3成分地震計2は設置位置を変えないで、固定とする。そして、3成分のセンサをそれぞれ直交して設置する。このうち、1成分はトンネル掘削方向(トンネル軸)と平行とし、これをX軸と呼ぶ。他の2成分は任意としてよいが、1成分を水平方向(これをY軸と呼ぶ。)、1成分を鉛直方向(これをZ軸と呼ぶ。)とすることが望ましい。また、この場合、3成分地震計2は壁面を削孔し、掘削によるゆるみ影響のない孔内に設置し、固定治具又はグラウト材などにより地山と一体化させる。発破信号検知器1及び3成分地震計2と多成分デジタル記録装置3は通信ケーブルを介して接続し、データ収録を行う。なお、多成分デジタル記録装置3として、3台のステレオICレコーダを用いる場合は、それぞれのICレコーダに発破信号と3成分のうち1成分の弾性波信号を記録させるようにする。
切羽と3成分地震計2との間の距離は、測量機器などで測定し、距離データをPC10に入力する。
発破は瞬発電気雷管及びDS電気雷管を用いて起爆させることとし、切羽に発破孔を削孔し、電気雷管を装着した爆薬を装填する。そして、発破母線に発破信号検知器1を装着する。
このようにして、切羽の掘削に当たり、発破を行い、発破信号及び3成分弾性波信号を多成分デジタル記録装置3に記録する。この場合、発破スイッチをON操作のみ行えばよく、この操作により、発破器から出力された電流が発破信号検知器1によって検出され、切羽に装填された爆薬は起爆し切羽が爆破される。この爆発によって切羽から発生した弾性波は地山を伝播して切羽後方の3成分地震計2に到達し、この弾性波が3成分地震波計2により受振、計測される。そして、発破信号検知器1から出力された発破信号と3成分地震計2から出力された3成分弾性波信号が多成分デジタル記録装置3に自動的に記録される。
かかるデータの収録後、多成分デジタル記録装置3に記録されたデータをSDカードなどにより、PC10に入力し、データ処理を行う。
このような切羽の掘削とともに行う発破信号の計測及び記録、弾性波の受振、計測及び記録を、弾性波の受振、計測点を変えないで、切羽掘削サイクル毎に繰り返す。
そして、多成分デジタル記録装置3に記録された各切羽の3成分弾性波データは順次PC10に入力され、後述のとおり、PC10内に格納された直達波処理プログラム及び反射・回折波処理プログラムにより解析されて、その解析結果により、トンネル坑内の弾性波速度を推定し、切羽前方の反射・回折点を推定する。
2.解析
2.1 解析に関する共通事項
(1)探査機材の配置、発破の位置
図4に既述の探査機材の配置と発破の位置を示している。図4において、3成分地震計2の位置(受振点)をOとし、発破の位置をSiとし、この発破に続く次の発破の位置を順次Si+1、Si+2、…Si+nとし、3成分地震計2と発破毎の切羽の位置との間の距離をSi+1、Si+2、…Si+nとする。
(2)発破毎の弾性波の起振点距離
図5に発破毎の弾性波の起振点距離を示している。図5に示すように、発破毎の位置Si、Si+1、Si+2で発振された弾性波はその伝搬経路から直達波と反射波・回折波に区分され、それぞれ、3成分地震計2の位置Oで受振される。
(3)弾性波の到達時間
図6に弾性波の受振点への到達時間を示している。図6に示すように、発破毎の位置Si、Si+1、Si+2、…で発振された各直達波の到達時間をtdi、tdi+1、tdi+2、…とし、発破毎の位置Si、Si+1、Si+2、…で発振された各反射波・回折波の到達時間をtri、tri+1、tri+2、…とする。
2.2 トンネル坑内弾性波速度の推定
まず、トンネル坑内弾性波速度の推定を行う。図7は発破毎の位置で発振された直達波の起振点距離及び到達時間のみを示している。図7に例示したように、坑内弾性波速度は連続する2回以上の探査結果から、直達波の初動到達時間Tと起振点間距離Sから走時曲線を作成し、直達波の弾性波速度をその勾配より算出する。すなわち、次式(1)により算出する。
Figure 0006280768
2.3 トンネル切羽前方の探査
続いて、トンネル切羽前方の探査を、図8に示す反射・回折波の処理プロセスに従って行う。
(1)反射・回折波伝搬速度の算出
図9は発破毎の切羽位置で発振され、切羽前方で反射・回折された反射・回折波の起振点距離及び弾性波伝搬経路のみを示している。図9において、弾性波の切羽の発振位置がSi+nのときに、この解析で使用する反射・回折波の伝搬速度は切羽直近の区間の弾性波速度Vpi+1〜nを用い、この弾性波速度Vpi+1〜nを式(1)により求める。
(2)3成分弾性波データセットの作成
各切羽で発破により発振された弾性波は多成分デジタル記録装置3に時間及び振幅が記録され、反射・回折波を検出するために、次のステップで波形処理を行い、3成分それぞれについて、弾性波データセットを作成する。
(ステップ1)
発破信号検知器1により検出された発破時刻を0として、3成分それぞれの弾性波記録の記録時刻の時刻合わせを行う(オフセット処理)。
(ステップ2)
弾性波到達時間に弾性波伝搬速度を乗算し、弾性波伝搬距離−振幅の関係を求める。
(ステップ3)
伝搬距離による減衰を補正するため、振幅を自乗し、弾性波伝搬距離−弾性波エネルギー(:振幅の自乗)の関係を求める。ここで、弾性波エネルギーの極性(正負)を乗算する。
(ステップ4)
各探査の最大振幅(直達波振幅)を基準として、反射・回折波の振幅を正規化する。
(ステップ5)
弾性波伝搬距離−波形処理後の弾性波エネルギーからなる複数のデータセットを作成する。
(3)3成分弾性波データの重合
切羽前方の範囲の任意の解析点において反射・回折波の重合処理を行い、反射・回折波を検出する。この手順を図10に示す。図10(a)は解析に用いる座標系で、重合処理を行う解析点を表すためのX,Y,Z座標系の図である。図10(b)はX,Y,Z座標系における反射・回折波の模式図である。図10(c)は上記X,Y,Z座標系における反射・回折点の位置を表す図である。この図においてA−A´線は上記X,Y,Z座標系の原点Oと反射・回折点を結ぶ線である。
(ステップ1)
この重合処理においては、あるデータセットにおいて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置の3成分それぞれの弾性波エネルギーEx,Ey,Ezを求める。
さらに、異なるデータセットにおいて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置での3成分それぞれの弾性波エネルギーを求める。
すべてのデータセットに対して同様のプロセスを繰り返す。
(ステップ2)
切羽前方の任意の解析点の位置が(x,y,z)のとき、
Figure 0006280768
とする。
次の式により、各成分の弾性波エネルギー(Ex,Ey,Ez)を補正し、補正後弾性波エネルギー(Ex,Ey,Ez)より、3成分の補正後弾性波エネルギーの和Eを求める(極性が合致する場合、最大値となる。)。

Ex=Ex・cosθ
Ey=Ey・sinθ・cosφ
Ez=Ez・sinθ・sinφ
E=Ex+Ey+Ez

すべてのデータセットにデータ処理を行う。
(ステップ3)
弾性波エネルギーEを加算(重合処理)し、弾性波エネルギーの総和SumEを求める。
(4)反射・回折点の推定
補正後弾性波エネルギーの総和が大きな値を取る点を反射・回折点と推定する。このとき、X軸近傍の解析点では、回折点に対しY軸対称及びZ軸対称の解析点で偽像が生じる。このため、次のプロセスで回折点と偽像の判定を行う。
図11(a)はX,Y,Z座標系における推定された反射、回折点の一例を示す。図11(a)において符号20は反射・回折点である。図11(b)はX軸近傍の解析点で、回折点に対しY軸対称及びZ軸対称の解析点で生じる偽像の一例を示す。図11(b)において符号21、22、23は偽像である。
この場合に次の処理を行う。
(ステップ1)
重合後弾性波エネルギー絶対値(|SumE|)が最大の点を反射・回折点と推定する。重合後弾性波エネルギー絶対値が最大の点20に対し、Y軸対称の解析点が同極性(正負が同一)の場合、偽像21と判定する。
重合後弾性波エネルギー絶対値が最大の点20に対し、Z軸対称の解析点が同極性の場合、偽像22と判定する。
重合後弾性波エネルギー絶対値が最大の点20に対し、原点対称(Y軸対称及びZ軸対称)の解析点が同極性の場合、偽像23と判定する。
(ステップ2)
重合後弾性波エネルギー絶対値が次に大きな点を反射・回折点と推定する。
重合後弾性波エネルギー絶対値が次に大きな点に対し、Y軸対称の解析点が同極性の場合、偽像と判定する。
重合後弾性波エネルギー絶対値が次に大きな点に対し、Z軸対称の解析点が同極性の場合、偽像と判定する。
重合後弾性波エネルギー絶対値が次に大きな点に対し、原点対称(Y軸対称及びZ軸対称)の解析点が同極性の場合、偽像と判定する。
(ステップ3)
以上を繰り返す。
(6)反射面の推定
図12(a)に示すように、複数の反射・回折点が近接する場合、これらの反射・回折点を含む面を反射面と推定する。
図12(b)に示すように、反射・回折点がX軸に近接する場合、反射・回折点を含み、受振点Pを法線上に含む面を反射面と推定する。
これらの結果をPC10の表示部(ディスプレイ)13に表示する。この際、トンネル軸との交差位置及び交差角を明示する。
以上説明したように、このトンネル弾性波探査方法及びこれに用いるシステムによれば、発破器から発生し爆薬を起爆させる発破信号を発破信号検知器1で計測し、爆薬を起爆させた際に切羽から発生する弾性波を3成分地震計2で受振、計測して、多成分デジタル記録装置3に記録することを切羽掘削毎に繰り返し、切羽掘削毎に多成分デジタル記録装置3に記録された弾性波から直達波を抽出して、当該直達波に基づいて切羽のトンネル坑内の弾性波速度分布を推定し、切羽掘削毎に多成分デジタル記録装置3に記録された弾性波から反射・回折波を抽出して、当該反射・回折波に基づいて反射・回折点及び反射面の3次元位置空間を推定するようにしたので、トンネル坑内の切羽前方の反射面に凹凸がある場合であっても、反射面を3次元的に精度よく推定することができる。また、重合後弾性波エネルギーの極性より、岩質の変化(硬から軟へ、又は軟から硬へ)を推定することができる。
そして、この反射面の3次元位置空間、すなわち、トンネル掘削時のトンネル内に出現する反射面の位置及び方向、さらに、岩質の変化(硬から軟へ、又は軟から硬へ)をPC10のディスプレイにより表示することができる。
1 発破信号検知器
2 3成分地震計
3 多成分デジタル記録装置
4 データ出力部
5 通信部
10 PC(解析装置)
11 操作入力部
12 記憶部
13 表示部(ディスプレイ)
14 データ読取部
15 通信部

Claims (2)

  1. 切羽から離れた後方所定の位置に発破信号検知器、3成分地震計、及び4成分以上の多成分記録装置を設置するとともに、トンネル坑内の切羽に発破孔を設けて爆薬を装填し、
    発破器から発生し爆薬を起爆させる発破信号を計測し、爆薬を起爆させた際に切羽から発生する弾性波を前記3成分地震計で受振、計測し、前記多成分記録装置に記録することを切羽掘削毎に繰り返し、
    切羽掘削毎に前記多成分記録装置に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから直達波を抽出し、前記直達波の初動到達時間と起振点距離から切羽のトンネル坑内の弾性波速度を算出し、
    切羽掘削毎に前記多成分記録装置に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから反射・回折波を抽出し、前記反射・回折波の3成分それぞれについて反射・回折波の時間と振幅の関係を、前記弾性波速度を用いて、距離と振幅の関係に換算し距離と弾性波エネルギーの関係を求めて、距離と弾性波エネルギーからなる複数のデータセットを作成し、前記各データセットについて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置の3成分それぞれの弾性波エネルギーを求めてその和を算出し、前記弾性波エネルギーの総和を求めて、前記弾性波エネルギーの総和が大きな値を取る点を反射・回折点と推定する、
    ことを特徴とするトンネル弾性波探査方法。
  2. トンネル坑内に設置され、発破器から発生する発破信号を計測する発破信号検知器、発破を震源とする弾性波を計測し3成分弾性波信号を出力する3成分地震計、及び発破信号と3成分弾性波信号を記録する多成分記録装置と、
    前記多成分記録装置により記録された弾性波の解析を行う解析装置と、
    を備え、
    前記解析装置は、
    前記多成分記録装置に切羽掘削毎に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから直達波を抽出して、当該直達波に基づいて切羽のトンネル坑内の弾性波速度を測定する測定手段と、
    前記多成分記録装置に切羽掘削毎に記録された弾性波の時間及び振幅のデータから反射・回折波を抽出して、当該反射・回折波に基づいて弾性波の反射・回折点を推定する推定手段と、
    を有
    前記推定手段は、前記反射・回折波の3成分それぞれについて反射・回折波の時間と振幅の関係を、前記弾性波速度を用いて、距離と振幅の関係に換算し距離と弾性波エネルギーの関係を求めて、距離と弾性波エネルギーからなる複数のデータセットを作成し、前記各データセットについて、切羽前方の任意の解析点における反射・回折波の伝搬距離を求め、その位置の3成分それぞれの弾性波エネルギーを求めてその和を算出し、前記弾性波エネルギーの総和を求めて、前記弾性波エネルギーの総和が大きな値を取る点を反射・回折点と推定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のトンネル弾性波探査方法に用いるトンネル弾性波探査システム。



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