JP4674887B2 - 大型の光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents

大型の光ファイバ用母材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4674887B2
JP4674887B2 JP2001191795A JP2001191795A JP4674887B2 JP 4674887 B2 JP4674887 B2 JP 4674887B2 JP 2001191795 A JP2001191795 A JP 2001191795A JP 2001191795 A JP2001191795 A JP 2001191795A JP 4674887 B2 JP4674887 B2 JP 4674887B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
quartz glass
base material
support rod
composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001191795A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002114533A (ja
Inventor
善久 草野
敦之 嶋田
利治 平岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tanso Co Ltd
Shin Etsu Quartz Products Co Ltd
Original Assignee
Toyo Tanso Co Ltd
Shin Etsu Quartz Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tanso Co Ltd, Shin Etsu Quartz Products Co Ltd filed Critical Toyo Tanso Co Ltd
Priority to JP2001191795A priority Critical patent/JP4674887B2/ja
Publication of JP2002114533A publication Critical patent/JP2002114533A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4674887B2 publication Critical patent/JP4674887B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、大型の光ファイバ用母材の製造方法に関し、さらに詳しくは軸付け法で大型の光ファイバ用母材を精度よく、かつ低コストで製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバの製造に用いる光ファイバ用母材の製造方法として、石英ガラス微粒子をターゲットとなる基体部分(以下「種棒」という)の軸方向に付着堆積して多孔質石英ガラス母材を形成し、それを加熱し透明ガラス化する気相軸付け法(Vapor‐Phase Axial Deposition Method、以下「軸付け法」という)をはじめ、外付け法(OVD法)、MCVD法等が実用化され利用されてきた。近年、シングルモード用光ファイバの実用化が進み大量の光ファイバが利用され、さらに光ファイバが一般加入者系にその利用範囲を拡大するようになれば、今後の使用量は一段と拡大することが予測される。かかる光ファイバの使用量の拡大には、量産化、低コスト化が不可欠であり、そのための有効な手段の一つとして、実用化されている軸付け法で大型・長尺の多孔質石英ガラス母材を作成し、それを脱水・透明ガラス化することにより光ファイバ用母材の大型化・長尺化を図ることが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の軸付け法による光ファイバ母材の製造においては、種棒の軸方向に石英ガラス微粒子を付着堆積して多孔質石英ガラス母材を製造し、それを加熱し透明ガラス化するが、この種棒はそれを支持する部材(以下「支持棒」という)に接合されて使用されるのが一般的である。光ファイバ用母材を大型化・長尺化するには多孔質石英ガラス母材を大型化、長尺化する必要があり、それを支持する支持棒には大きな荷重がかかる。そのため、支持棒を大型化する必要がある。また、多孔質石英ガラス母材を長尺化するには、多孔質体を製造するための炉や脱水炉・ガラス化炉の方式や形状等による程度の差はあるものの、支持棒も長尺化することが求められる。さらに、支持棒はその径方向の精度(真円度等)や長手方向の精度を高精度にしなければならない。もし支持棒に歪みや曲り等のあると、多孔質石英ガラス母材製造の際に回転する種棒の中心にブレが生じ多孔質石英ガラス母材の形状が変形し、均一な加熱ができず高品質の光ファイバ用母材を製造することができなくなる。
【0004】
上記支持棒を作成する素材としては、石英ガラスをはじめ、アルミナ、ジルコニア、ムライト、窒化珪素、炭化珪素等のセラミックスのほか、黒鉛化した炭素材(グラファイトカーボン、以下単に「黒鉛」ともいう)、炭素繊維強化炭素複合材料(Carbon Fiber Reinforced Carbon Composite、以下「C/Cコンポジット」という)などが挙げられる。これらの素材はそれぞれに異なる長所と短所を備えているが、石英ガラスの場合、高純度で、かつ比較的高い耐熱性を有し、かつ加工性も良いことから精度の高い支持棒が容易に作成できる利点がある。しかし、例えば外径50mm以上で、長さ5000mm以上のものを作成しようとすると、加工が高温領域で行われることから作業に困難が伴い価格が高いものとなる。また、仮に、寸法精度の高い支持棒が得られたとしても、ガラスゆえの割れやヒビ等の破損が避け難く、それが支持棒の大型化・長尺化で一段と増し、作業負担や破損等のリスクが格段に増大することになる。
【0005】
また、セラミックスにあっては、耐熱性に優れているが高純度のセラミックスは非常に高価である上に、加工性に難点があり高精度のセラミックス製支持棒を得ようとすると大幅に研削等を行なう必要があり支持棒の値段は飛躍的に高いものになる。その結果、光ファイバ用母材の製造コストは大変高いものとなってしまう。
【0006】
さらに、黒鉛は、比較的安価であり、且つ耐熱性と加工性に優れ、またハンドリング性にも優れているが、従来の黒鉛製ロッドでは強度が不足し、大型の多孔質石英ガラス母材を製造する際やそれの脱水・透明ガラス化の際に、荷重に耐え得えないという欠点がある。
【0007】
C/Cコンポジットにあっては、加工性とともに耐荷重性、耐熱性、ハンドリング性に優れ、かつ価格的にも優位であるが、合成や成型等の作製上の問題、あるいは加工精度上の問題などから、1000mmを超える長さのものや100mmを超える外径のものを実用的に製造することは大変困難である。そこで、複数のC/Cコンポジット部材を直列に接合することによって長尺化することが考えられるが、その接合手段として、従来、C/Cコンポジット部材の端部付近に孔を穿ち接合用のピンにより係止するなど、各種の様々な治具を用いて接合していた。しかしながら、多孔質石英ガラス母材の大型化が進み荷重が増大すると、過大な荷重がピンなどに掛りピンなどの破損の問題が起こる。接合用ピンに破損等が生じると、接合が不完全なものとなるため、支持棒の寸法精度が損なわれ、多孔質石英ガラス母材の製造にせよ、多孔質石英ガラス母材の透明ガラス化にせよ、所望の形状の光ファイバ母材を得ることができなくなる。さらに、前記係止ピンを用いた場合、取扱い上ピン挿入孔の径はピン自体の径よりも大きくせざるを得ないため、どうしてもピンとその挿入孔との間には隙間が存在してしまい、それが「がた」の原因となり支持棒自体の曲がりを生じさせてしまう。そのため、前記係止用治具を用いると、極めて大型の多孔質石英ガラス母材を保持することが必要となった場合、接合部分の曲がりや破損等の問題が起こる。
【0008】
しかしながら、上記C/Cコンポジットは、加工性が良く、耐荷重性、耐熱性にも優れ、かつ低価格で、ハンドリング性が良く、その上高純度のものが容易に得られるなど優れた特性を有することから、このC/Cコンポジットで大型の多孔質石英ガラス母材を支持する支持棒を作成するのが最善であるとの考えに基づき、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、C/Cコンポジット製部材の端部にねじ部を形成し、そのねじ部によりC/Cコンポジット製部材を直列に接合することで上記各問題点が解決できることを見出して、本発明を完成したものである。すなわち
【0009】
本発明は、耐熱性と耐荷重性に優れ、且つハンドリング性にも優れ、比較的安価に得られる高純度の支持棒を用いた、軸付け法による大型で、精度の高い光ファイバ用母材を低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明は、揮発性珪素化合物を火炎加水分解して得た石英ガラス微粒子を支持棒とその端部に接続した種棒からなるターゲット材の軸方向に付着堆積して多孔質石英ガラス母材を形成したのち、脱水・透明ガラス化する光ファイバ用母材の製造方法において、前記支持棒が2つ以上の円柱状又は円筒状の炭素繊維強化炭素複合材料製部材がねじ部で直列に接合されたものであることを特徴とする大型の光ファイバ用母材の製造方法に係る。
【0011】
本発明で使用する支持棒は、C/Cコンポジットからなる円柱状又は円筒状の部材が2個以上直列にねじ接合した部材からなり、該C/Cコンポジットは、かさ密度が1.5g/cm3以上、曲げ強度が100MPa以上、引張り強さが100MPa以上のものが使用される。C/Cコンポジットが前記範囲未満では、充分な強度が得られず支持棒の破損や脱落が起こり好ましくない。このC/Cコンポジットは、例えば炭素繊維クロスにピッチ又は樹脂を含浸させたプリプレグを複数枚積層し平板形状に成形する。その後、焼成による炭素化処理、ピッチ又は樹脂を再度含浸して焼成する等の緻密化処理、黒鉛化処理を行い、さらにハロゲンガスを用いて高純度化処理して製造される。C/Cコンポジット中の不純物は、Na、K、Fe等が1ppm以下であるのが好ましい。これにより支持棒や雰囲気等を経由して石英ガラス母材の不純物による汚染が抑制でき、高純度の光ファイバ用母材を得ることができ、伝送特性の損失が少ない高品質のな光ファイバが製造できる。
【0012】
前記支持棒はねじ部で直列に接合されるが、使用するねじとしては断面形状が「台形型」である「台形ねじ」、「三角ねじ」、「角ねじ」、「のこ歯ねじ」などが挙げられるが、中でも台形ねじは雄ねじと雌ねじとの接触面積が大きく耐荷重性が高く、なお且つねじ加工や接合などの作業性にも優れて好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図に基づき、本発明に係る実施態様の一例について説明する。図1は台形ねじで直列に接合した支持棒の接合部の概略断面図である。図1において、1は両端のうち一方の側に雄ねじを設けたC/Cコンポジット製ロッド、2は両端のうち一方の側に雌ねじを設けたC/Cコンポジット製ロッド、3はC/Cコンポジット製ロッド1の雄ねじ部、4はC/Cコンポジット製ロッド2の雌ねじ部である。このC/Cコンポジット製ロッドのねじ部に炭素の含浸及び/又は被覆を施した層5を有する支持棒の接合部の概略断面図を図2に示す。この支持棒はねじ部の強度が一段と向上し、外径30mmのロッドにおける引張り強さが黒鉛製ロッドの約4倍にも達する。そのため、多孔質石英ガラス母材を大型化、長尺化しても、ねじ部での破損がさらに低減される。また、ねじ部を補強するために図3に示すようにねじ部外周にC/Cコンポジット製の補強部材6を設けるのがよい。このC/Cコンポジット製補強部材6を設けることでねじ接合部の補強が一層強固となり、ねじ部の熱膨張やねじ部の接触面積の減少が抑制でき、さらに高い精度の高純度な光ファイバ用母材が製造できる。前記補強部材を形成するC/Cコンポジットは、例えば炭素繊維にピッチ又は樹脂を含浸させたプリプレグを円柱状の支持体の上に巻つけ、円筒状に形成する。その後、前述の炭素化処理、緻密化処理、黒鉛化処理、高純度化処理を行い、さらに炭素の含浸及び/又は被覆が施された層を設けて製造される。前記炭素の含浸及び/又は被覆により補強部材からのパーティクルの発生が抑えられ、一段と高純度の石英ガラス体が得られる。補強部材はまた炭素の含浸及び/又は被覆を施こさないC/Cコンポジットで形成することもできる。
【0014】
前記炭素の含浸及び/又は被覆が施された層とは、炭化水素系ガスなどを使ったCVI処理及び/又はCVD処理、もしくは樹脂の含浸・被覆、硬化、焼成処理等を施すことによって、C/Cコンポジットに、(i)CVI処理で熱分解炭素が表面から気孔内部へと含浸・被覆されるか又は樹脂の処理等でガラス状炭素などの物質が含浸されることにより形成された層、(ii)CVD処理で熱分解炭素が表面に被覆されるか又は樹脂の処理等でガラス状炭素などの物質が表面に被覆されることにより形成された層、又は(iii)CVI処理で熱分解炭素が表面から気孔内部へと含浸・被覆されるか又は樹脂の処理等でガラス状炭素などの物質が含浸され、なおかつその表面にCVD処理で熱分解炭素が表面に被覆されるか又は樹脂の処理等でガラス状炭素などの物質が表面に被覆されることにより形成された層、をいう。なお、前記「含浸」と「被覆」にあたっては、これらの層の形成の工程前後に、必要に応じて機械的な表面処理や仕上げ加工を行なうことは、工業的に通常行なわれることである。
【0015】
前記支持棒を用いた光ファイバ用母材の製造方法を図5、6に示す。図5において、11は支持棒、12は軸付け法用反応容器、13は石英ガラス製種棒、14はコア形成用バーナー、15はクラッド形成用バーナー、16は多孔質石英ガラス母材、17は排気口、18は昇降手段である。また、図6において、11は支持棒、13は石英ガラス製種棒、16は多孔質石英ガラス母材、18は昇降手段、19はゾーンメルト式加熱炉、20は光ファイバ用母材、21はヒーターである。前記図5の軸付け法用反応容器12内に、端部に石英ガラス製種棒13を取り付けた支持棒11を設置し、コア形成用バーナー14及びクラッド形成用バーナー15で生成した石英ガラス微粒子を石英ガラス製種棒13の軸方向に付着堆積して多孔質石英ガラス母材16を作製し、次いで、多孔質石英ガラス母材16を図6に示す不活性ガス雰囲気の加熱炉19に移送し、支持棒11に垂直に吊し、ヒーター21で加熱しながら、脱水・透明ガラス化して光ファイバ用母材20を製造する。加熱炉としては、前記ゾーンメルト式加熱炉以外に、加熱帯域を固定して行う「静置式」加熱炉等も採用できる。
【0016】
以上に述べたごとく、本発明の光ファイバ用母材の製造方法は、高い耐熱性と耐荷重性を有する支持棒を用いることから、大型の多孔質石英ガラス母材を吊し、それを回転し引上げしても中心のブレがなく、精度のより高い光ファイバ用母材が生産性よく製造できる。特に、本発明の光ファイバ用母材製造用支持棒は、多孔質石英ガラス母材の作成のみに用いても、また引き続いて多孔質石英ガラス母材の脱水・透明ガラス化工程に用いてもよいが、セラミックスその他の材質の支持棒を用いて多孔質石英ガラス母材を作成した後に、本発明の支持棒を種棒に接続し直して脱水・透明ガラス化時に使用すると、高熱や酸等による該支持棒の劣化を低減することができ、支持棒自体の寿命を延ばすことができる。
【0017】
本発明の製造方法で用いる石英ガラス微粒子は、揮発性珪素化合物をコア形成用バーナー及びクラッド形成用バーナーに導入し酸化又は火炎加水分解して生成される。使用する揮発性珪素化合物としては、SiCl4、SiCl3(CH3)、SiMe(OCH33、SiClF3などが挙げられる。いずれも高純度であることが望ましい。
【0018】
【実施例】
次に具体例をあげて本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるものであって、本発明はそれにより限定されるものではない。
【0019】
実施例1
東レ(株)製の炭素繊維(トレカT−300)の6K平織りクロスにフェノール樹脂を含浸させてプリプレグを製造し、約820mm×410mmに裁断して積層し、160℃で熱圧プレス成形を行って、約820mm×410mm×35mmのサイズの成形体を得た。この成形体を、電気炉内で800℃まで昇温して加熱し、焼成体を得た。その焼成体にピッチ含浸と焼成を繰り返し行って緻密化した後、2000℃で熱処理して、約820mm×410mm×35mmの平板状のC/Cコンポジットを得た。このC/Cコンポシット平板の物性値を測定したところ、かさ密度1.62g/cm3、曲げ強さ155MPa、引張り強さ220MPaであった。この平板から、長さ800mm、直径30mmφの円柱ロッドを12本作製し、そのうち2本のロッドについて、1本の端部外周を研削により端面から50mm長さまで台形型雄ねじとする一方、もう一本の端部内周を研削により台形型雌ネジとし、ハロゲンガスによる高純度化処理を行った後、2本を直列に繋ぎ合わせて接合し、長さ1550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒を得た。得られた支持棒を引張り試験装置に取付け、変移速度0.5mm/minの静的引張り荷重にて、破壊荷重の測定を行った。その結果、ねじ山が破断し、その時の破断荷重は14200N(ニュートン)であった。
【0020】
さらに、残りの10本のロッドについて、前記と同様に台形型雄ねじと台形型雌ねじを設けた(ここでは、1本のロッドには1端側に雄ねじのみを、8本については1端側に雄ねじ、その反対側に雌ねじを、残りの1本のロッドには1端側に雌ねじのみを、それぞれ設けた)後、ハロゲンガスによる高純度化処理を行った。そして、それらの10本のロッドを、前記と同様に雄ねじと雌ねじとにより9箇所を接合して、長さ7550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒Aを得た。
【0021】
前記支持棒Aの端部に石英ガラス製の種棒13を取り付けて、それを図5に示す軸付け法用反応容器12内に設置した。コア形成用バーナー14、クラッド形成用バーナー15にそれぞれコア形成用原料及びクラッド形成用原料と水素及び酸素を供給し火炎加水分解して石英ガラス微粒子を生成し、それを石英ガラス種棒13の軸方向に付着堆積して、重量約300kgの多孔質石英ガラス母材16を得た。該母材16を図6に示すゾーンメルト式加熱炉19内に垂直にセットし、真空下で1550℃に昇温し、脱水、透明ガラス化して光ファイバ用母材20を得た。得られた光ファイバ用母材は、偏心がなく、寸法精度、表面状態とも良好であった。
【0022】
実施例2
実施例1と同様に、長さ800mm、直径30mmφの円柱ロッドを12本作製した。そのうち2本のロッドについて、1本の端部外周を研削により端面から50mm長さまで台形型雄ねじとする一方、もう1本の端部内周を研削により台形型雌ねじとした。これらのねじ部が形成された2本のロッドについて、ハロゲンガスによる高純度化処理を行った後、気相蒸着炉に入れ、CVI処理により熱分解炭素の含浸・被覆を行い、その2本のロッドを直列に繋ぎ合わせて接合して、長さ1550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒を得た。得られたC/Cコンポジット製支持棒について、実施例1と同様に静的引張り荷重による破断荷重の測定を行ったところ、ねじ山が破断し、その時の破断荷重は16700Nであった。
【0023】
さらに、残りの10本のロッドについて、ハロゲンガスによる高純度化処理を行った後、前記と同様にCVI処理によりねじ部に熱分解炭素の含浸・被覆を行い、台形型雄ねじと台形型雌ねじにより実施例1の支持棒と同様に9箇所を接合して、長さ7550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒Bを得た。
【0024】
次いで、前記C/Cコンポジット製支持棒Bの端部に石英ガラス製の種棒13を取り付けて、実施例1と同様に軸付け法により重量約300kgの多孔質石英ガラス母材16を得た。この状態で該母材16を搬送し、図6に示す電気炉19内に垂直にセットし、真空下で1550℃に昇温し、脱水、透明ガラス化してファイバ用母材20を得た。得られた光ファイバ用母材は、偏心がなく、寸法精度、表面状態とも良好であった。
【0025】
実施例3
実施例1及び2と同様に、長さ800mm、直径30mmφの円柱ロッドを12本作製し、そのうち2本のロッドについて、1本の端部外周を研削により端面から50mm長さまで台形型雄ねじとする一方、もう1本の端部内周を研削により台形型雌ねじとした。次いで、前記雌ねじ部の外周部分を深さ1mm、長さ30mm分切削した。これはその切削部分に、円周で補強するための円筒形状のC/Cコンポジット製補強部材を取り付けるためのものである。これらのねじ部が形成された2本のロッドについて、ハロゲンガスによる高純度化処理を行った後、気相蒸着炉に入れ、CVI処理により熱分解炭素の含浸・被覆を行い、その2本のロッドを直列に繋ぎ合わせて接合し、長さ1550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒を得た。前記補強部材は、東レ(株)製の炭素繊維(トレカT−300)12Kフィラメントをフィラメントワインディング装置によりフェノール樹脂を含浸しながらシリンダー形状に成形し、その成形体にピッチ含浸、焼成を数回繰り返し緻密化を行った後、2000℃で熱処理を行った。このシリンダー形状品を幅20mmに切断し内部に2分割の金属治具を挿入し、引張り試験機を用い上下に引張る方法で引張り強さを測定したところ300MPaの強度があった。前記補強部材は、C/Cコンポジット製支持棒の雌ねじ部外周の切削部分に合うように内外径、長さを加工し作製したものであり、図3に示したように雌ねじ部外周の切削部分に篏合した。前記補強部材には、さらに、実施例2と同様に、ハロゲンガスによる高純度化処理及び熱分解炭素の含浸・被覆を施した。得られたC/Cコンポジット製支持棒について、実施例1及び2と同様に静的引張り荷重による破断荷重の測定を行ったところ、ねじ山が破断し、その時の破断荷重は21000Nであった。
【0026】
さらに、残りの10本のロッドについて、ハロゲンガスによる高純度化処理を行った後、前記と同様にCVI処理によりねじ部に熱分解炭素の含浸・被覆を行い、前記と同様に台形型雄ねじと円筒形状のC/Cコンポジット製補強部材が取り付けられた台形型雌ねじにより、実施例1及び2の支持棒と同様に9箇所を接合して、長さ7550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒Cを得た。
【0027】
次いで、前記C/Cコンポジット製支持棒Cの端部に石英ガラス製の種棒13を取り付けて、実施例1及び2と同様に軸付け法により重量約300kgの多孔質石英ガラス母材16を得た。この状態で該母材16を搬送し、図6に示す電気炉19内に垂直にセットし、真空下で1550℃に昇温し、脱水、透明ガラス化して光ファイバ用母材20を得た。得られた光ファイバ用母材は、偏心がなく、寸法精度、表面状態とも良好であった。
【0028】
実施例4
実施例1〜3と同様に、長さ800mm、直径30mmφの円柱ロッドを12本作製し、その12本のロッドを用いて、実施例3と同様に、台形型雄ねじと台形型雌ねじを形成し、雌ねじ部の外周部分にC/Cコンポジット製補強部材を設け、全てのロッドを高純度化処理した後、熱分解炭素の含浸・被覆を行い、台形型雄ねじと補強部材が取り付けられた台形型雌ねじにより11箇所を接合して、長さ9050mm、直径30mmのC/Cコンポジット製支持棒Dを得た。
【0029】
次いで、前記C/Cコンポジット製支持棒Dの端部に石英ガラス製の種棒13を取り付けて、実施例1〜3と同様に軸付け法により、外径が大きく(即ち肉厚の)密度も高い重量約900kgの多孔質石英ガラス母材16を得た。この状態で該母材16を搬送し、図6に示す電気炉19内に垂直にセットし、真空下で1550℃に昇温し、脱水、透明ガラス化し光ファイバ用母材20を得た。得られた光ファイバ用母材は、偏心がなく、寸法精度、表面状態とも良好であった。これらのハンドリングの状態や実施例3における引張り強さの測定結果から、本実施例における支持棒は、900kgという多孔質石英ガラス母材の保持、搬送等が十分可能なものであることが確認された。
【0030】
比較例1
長さ800mm、直径30mmφの円柱ロッドを、高純度等方性高密度黒鉛(商品名ISO−630、東洋炭素(株)製)で12本作製し、そのうち2本のロッドを台形型雄ねじと台形型雌ねじにより直列に繋ぎ合わせ、長さ1550mm、直径30mmφの高純度等方性高密度黒鉛製支持棒を得た。使用した高純度等方性高密度黒鉛のかさ密度は1.82g/cm3、引張り強さは53.9MPaであり、灰分は10ppm以下であった。得られた支持棒について、実施例1〜3と同様に静的引張り荷重による破断荷重の測定を行ったところ、ねじ山が破断し、その時の破断荷重は3900Nであった。さらに、残りの10本のロッドについて、高純度化処理を行った後、台形型雄ねじと台形型雌ねじにより9箇所を接合し、長さ7550mm、直径30mmφの高純度等方性高密度黒鉛製支持棒Eを得た。
【0031】
次いで、前記高純度等方性高密度黒鉛製支持棒Eの端部に石英ガラス製の種棒13を取り付けて、実施例1〜3と同様に軸付け法により重量約300kgの多孔質石英ガラス母材16を得た。この状態で該母材16を搬送し、図6に示すゾーンメルト式加熱炉19内に垂直にセットし、真空下で1550℃に昇温し、脱水、透明ガラス化しようとしたところ、ねじ部に滑りが発生し、多孔質石英ガラス母材が脱落してしまい、光ファイバ用母材を製造することができなかった。
【0032】
比較例2
実施例1〜4と同様に、長さ800mm、直径30mmφの円柱ロッドを12本作製した。次いで、そのうち2本のロッドを用いて、図4に示すように、1本の円柱ロッド7の端部にスリット10を設け、もう1本の円柱ロッドに挿入し、ピン挿入孔8を設けピン9を挿入して2本のロッドを固定し、長さ1550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒を得た。得られた支持棒について、実施例1〜3と同様に静的引張り荷重による破断荷重の測定を行ったところ、ピンが破断し、その時の破断荷重は9500Nであった。さらに、残りの10本のロッドについて、高純度化処理を行った後、前記と同様にピン固定により9箇所を繋ぎ合わせ、長さ7550mm、直径30mmφのC/Cコンポジット製支持棒Fを得た。
【0033】
次いで、前記C/Cコンポジット製支持棒Fの端部に石英ガラス製の種棒13を取り付けて、実施例1〜3と同様に軸付け法により重量約300kgの多孔質石英ガラス母材16を得たところ、ピン固定部で支持棒の曲がりが発生し、多孔質石英ガラス母材に変形が認められた。そのため、該母材16を実施例1〜3と同様に脱水、焼成したが、精度の高い光ファイバ用母材を製造することができなかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の光ファイバ用母材の製造方法では、耐熱性と耐荷重性に優れ且つ高精度で高純度の支持棒の端部に種棒を接合し、その軸方向に石英ガラス微粒子を付着堆積することで、吊し、回転、引上げにおいて中心のブレがなく、例えば1tを超える精度の高い大型の光ファイバ用母材が製造できる。そして、該大型の光ファイバ用母材を線引きすることで伝送損失の少ない高品質の光ファイバが低コストで製造できるため、その工業的価値は高いものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で用いる支持棒の接合部の概略断面図である。
【図2】ねじ部に炭素の含浸及び/又は被覆が施された層を有する支持棒の接合部の概略断面図である。
【図3】ねじ部外周に補強部材が形成された支持棒の接合部の概略断面図である。
【図4】ピン固定で直列に繋ぎ合わせた支持棒の接合部の概略断面図である。
【図5】軸付け法による多孔質石英ガラス母材の製造装置の概略断面図である。
【図6】多孔質石英ガラス母材の透明ガラス化装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 C/Cコンポジット製ロッド(一方の端側に雄ねじを設けたロッド)
2 C/Cコンポジット製ロッド(一方の端側に雌ねじを設けたロッド)
3 C/Cコンポジット製ロッド1の雄ねじ部
4 C/Cコンポジット製ロッド2の雌ねじ部
5 炭素の含浸及び/又は被覆が施された層
6 C/Cコンポジット製の補強部材
7 C/Cコンポジット製ロッド(一方の端側にスリットを設けたロッド)
8 ピン挿入孔
9 ピン
10 スリット
11 支持棒
12 軸付け法用反応容器
13 石英ガラス製種棒
14 コア形成用バーナー
15 クラッド形成用バーナー
16 多孔質石英ガラス母材
17 排気口
18 昇降手段
19 ゾーンメルト式加熱炉
20 光ファイバ用母材
21 ヒーター

Claims (4)

  1. 揮発性珪素化合物を火炎加水分解して得た石英ガラス微粒子を支持棒とその端部に接続した種棒からなるターゲット材の軸方向に付着堆積して多孔質石英ガラス母材を形成したのち、脱水・透明ガラス化する光ファイバ用母材の製造方法において、前記支持棒が2つ以上の円柱状又は円筒状の炭素繊維強化炭素複合材料製部材がねじ部で直列に接合されたものからなることを特徴とする大型の光ファイバ用母材の製造方法。
  2. 炭素繊維強化炭素複合材料製部材を接合するねじ部が台形ねじであることを特徴とする請求項1記載の大型の光ファイバ用母材の製造方法。
  3. ねじ部に炭素の含浸又は/及び被覆が施されていることを特徴とする請求項1又は2記載の大型の光ファイバ用母材の製造方法。
  4. ねじ部外周に炭素繊維強化炭素複合材料製の補強部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の大型の光ファイバ用母材の製造方法。
JP2001191795A 2000-07-31 2001-06-25 大型の光ファイバ用母材の製造方法 Expired - Lifetime JP4674887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001191795A JP4674887B2 (ja) 2000-07-31 2001-06-25 大型の光ファイバ用母材の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000230134 2000-07-31
JP2000-230134 2000-07-31
JP2001191795A JP4674887B2 (ja) 2000-07-31 2001-06-25 大型の光ファイバ用母材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002114533A JP2002114533A (ja) 2002-04-16
JP4674887B2 true JP4674887B2 (ja) 2011-04-20

Family

ID=26596984

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001191795A Expired - Lifetime JP4674887B2 (ja) 2000-07-31 2001-06-25 大型の光ファイバ用母材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4674887B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001233632A (ja) * 2000-02-24 2001-08-28 Mitsubishi Cable Ind Ltd 光ファイバ母材製造用種棒の支持部材

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001233632A (ja) * 2000-02-24 2001-08-28 Mitsubishi Cable Ind Ltd 光ファイバ母材製造用種棒の支持部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002114533A (ja) 2002-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20060236724A1 (en) Mandrel for producing quartz glass and production method for optical fiber mother material, optical fiber and quartz glass body using the same
US5211999A (en) Laminated composite composed of fiber-reinforced ceramics and ceramics and method of producing same
JPH11116337A (ja) SiC複合材料スリーブおよびその製造方法
US4390583A (en) Alumina-alumina composite
KR20140015436A (ko) 세라믹 매트릭스를 포함하는 복합체의 제조방법
US6455160B1 (en) High purity C/C composite and manufacturing method thereof
KR20120102676A (ko) 석영 유리 실린더의 제조 방법 및 그 제조 방법을 수행하기 위한 지지체
JP4700218B2 (ja) 単結晶引き上げ用炭素繊維強化炭素複合材料製ルツボ
EP0179908B1 (en) Method for forming fiber reinforced composite articles
JP3021405B2 (ja) 中性子吸収ピン
JP4674887B2 (ja) 大型の光ファイバ用母材の製造方法
JPH0343250Y2 (ja)
JP4674886B2 (ja) 光ファイバ製造用支持体
JP4441649B2 (ja) 大型石英ガラス体の製造方法
JP4359867B2 (ja) 石英ガラス製造用心棒
JP2003514759A (ja) 熱構造複合材の容器を製造する方法
JPH10245275A (ja) 黒鉛型を用いた炭素繊維強化炭素材の製造方法
JP4018503B2 (ja) 単結晶引き上げ用ルツボ
JPH10167879A (ja) 単結晶引き上げ用ルツボ
JP4980524B2 (ja) 炭素−セラミックス系複合体、被鍍金体搬送ローラ、及びアルミ溶湯攪拌シャフト
CN114232074B (zh) 一种石英纤维/炭纤维增强炭基复合材料导流筒及其制备方法
JP2000130428A (ja) 複合ロール及びその製造方法
JP2000239079A (ja) 表面を緻密化した炭素材料
JP2000185995A (ja) 単結晶引き上げ用炭素繊維強化炭素複合材料製ルツボ
JPH0543255A (ja) ガラス母材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110124

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4674887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term