JP3021405B2 - 中性子吸収ピン - Google Patents

中性子吸収ピン

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JP3021405B2
JP3021405B2 JP9341739A JP34173997A JP3021405B2 JP 3021405 B2 JP3021405 B2 JP 3021405B2 JP 9341739 A JP9341739 A JP 9341739A JP 34173997 A JP34173997 A JP 34173997A JP 3021405 B2 JP3021405 B2 JP 3021405B2
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忠司 丸山
庄二 小野瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な機械的特性
のみならず、構成要素相互の良好な両立性を高温に至る
まで保持することが可能な、原子炉制御棒要素たる中性
子吸収ピン(ないしは、その集合体たる原子炉用制御
棒)に関する。
【0002】
【従来の技術】高速増殖炉を始めとする原子炉において
は、該原子炉の作動状態を制御すること(例えば、炉の
出力制御、緊急停止を行う等)が極めて重要である。こ
のような制御を行うために、通常、中性子吸収材を構成
要素として含む「制御棒」を炉内に出し入れすることに
より、原子炉の反応度を変化させることが行われてい
る。
【0003】上記の制御棒は、中性子吸収材(例えば、
炭化ホウ素(B4C)ペレット)をステンレス鋼製被覆
管に挿入してなる「中性子吸収ピン」を、複数本束ねた
集合体からなる構造になっているものが多い。該中性子
吸収ピンにおいて、炭化ホウ素ペレット等からなる中性
子吸収材は、ホットプレス等により焼結した高密度の円
柱形状をしており、該ペレットとステンレス鋼被覆管と
の間には、通常、小さなギャップ部が設けられている。
【0004】このギャップ部には、ヘリウムガス、また
は(制御棒の長寿命化を目的として)液体ナトリウムが
満たされるような構造になっていることが多い。
【0005】前者のタイプの中性子吸収ピンは、「ヘリ
ウムボンドピン」と称されており、また後者のタイプの
中性子吸収ピンは、「ナトリウムボンドピン」と称され
ている。
【0006】原子炉内での中性子吸収ピンの使用中に、
該ピンの構成要素たる炭化ホウ素ペレットが中性子照射
を受けると、10B(n、α)7Li反応が生じて、その
結果発生するヘリウム(He)が炭化ホウ素の粒内に蓄
積することにより、該ペレットがスエリング(体積膨
張)することが知られている。
【0007】このスエリングによる炭化ホウ素ペレット
の中性子吸収ピン軸方向の寸法変化は、通常は(制御棒
内で)該ピン端部と、該ペレットとの間の軸方向に配置
された「ペレット押さえスプリング」により吸収される
ので、実質的に問題となることは少ない。
【0008】しかしながら、炭化ホウ素ペレットの「径
方向」の寸法が増大すると、ステンレス鋼被覆管とのギ
ャップが次第に小さくなり、ついには炭化ホウ素ペレッ
トと被覆管とが機械的に接触を始めることとなる。この
状態で、更に中性子吸収ピンの使用を継続すると、上記
ペレットと被覆管との機械的相互作用が更に大きくな
り、被覆管が塑性変型を始め、ひずみ制限値を超える
と、ついには被覆管を破損させてしまう事態が生ずる。
【0009】加えて、上記した炭化ホウ素ペレットは、
炉内での使用中に、主として該ペレット内に発生する熱
応力のために、細かく割れ易くなる傾向がある。炭化ホ
ウ素が細かく割れると、被覆管内でペレットの破片が移
動・再配置したり、また小さな破片がペレットの亀裂や
被覆管とのギャップに入り込む現象が生ずる。このよう
な現象が生じると、初期に設けたペレットと被覆管のギ
ャップが、中性子照射後速やかに埋まって(閉じて)し
まうこととなり、その結果、炭化ホウ素ペレットと被覆
管の機械的相互作用が当初想定したよりも早い時期に発
生するため、中性子吸収ピン(ないし制御棒)の被覆管
の寿命が短いものになってしまう。
【0010】このような状況から、炭化ホウ素の破片が
被覆管内で移動することを防ぐ目的で、オーステナイト
ステンレス鋼またはフェライト鋼ステンレス鋼製の薄肉
パイプ(通常「シュラウド」と称される)を、中性子吸
収体ペレットの全長にわたって被覆管内に設けてなる中
性子吸収ピン構造が提案されている(特公平6−317
69号;B. T. Kellyら、”International Conference
on Fast Reactors andRelated fuel cycles”、Proceed
ings Volume III、p1.10−1、1991年11月
を参照)。
【0011】このような「シュラウド」を設けた中性子
吸収ピンにおいては、炭化ホウ素の破片が被覆管内で移
動することなく、中性子吸収体はもとの形を実質的に保
持したままスエリングし、ペレットと被覆管の機械的相
互作用が始まるまで、より長い寿命を達成可能となる。
【0012】このようなシュラウド付き中性子吸収ピン
において、更なる長寿命化を実現しようとする場合、例
えば、炭化ホウ素ペレットと被覆管との「初期ギャッ
プ」を大きく取ることにより、理論的には該ピンの寿命
を延長させることが可能となる。しかしながら、この場
合、ギャップが大きくなることにより、中性子照射下に
おける「発熱体」たるペレットと、冷却材によって冷却
されている被覆管との間の熱伝達が低下するため、結果
的に炭化ホウ素ペレットの温度が上昇し、したがってシ
ュラウド管の温度も高くなり過ぎて、ステンレス鋼製の
シュラウドは使用できなくなるという現象が生ずる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
めに、中性子吸収ピンを構成するペレットと被覆管のギ
ャップ部に液体ナトリウムを入れ(該ピンを「ナトリウ
ムボンド」構造とする)ことにより、該ギャップ部にお
ける熱伝達率を増大させることにより、ペレット表面温
度およびシュラウドの使用温度を下げることが行われて
いる。しかしながら、ナトリウムボンドピンは、制御棒
の製作時および炉内で使用後、吸収ピンを廃棄する際等
に、ナトリウム処理の点で取扱いが困難となる等の問題
が生ずることが避けがたい。このような事情の考慮の下
に、製作および取扱いの点から優れた特性を有する上記
「ヘリウムボンドピン」において、ステンレス鋼に代わ
る材料からなる耐熱性シュラウド管を構成要素として含
む中性子吸収ピンの開発が強く望まれている。
【0014】更に、例えばナトリウムボンドピンにおい
ても、該ピンを長期間使用した際には、ステンレス鋼製
のシュラウドは炭化ホウ素ペレットと反応して浸炭等を
生じて延性を失ってしまい、そのシュラウド管としての
機能が低下することが避けがたい。そのため、炭化ホウ
素との両立性に優れるシュラウド材を構成要素として含
む中性子吸収ピンを開発することも強く望まれている。
【0015】本発明の目的は、上記した従来技術の問題
点を解消した中性子吸収ピンを提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、耐熱性に優れたシュ
ラウドを含む長寿命の中性子吸収ピンを提供することに
ある。
【0017】本発明の更に他の目的は、炭化ホウ素との
両立性に優れたシュラウドを含む長寿命の中性子吸収ピ
ンを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、中性子照射下における中性子吸収ピンを長寿命化
するという観点からは、該ピンを構成する材料相互(特
に、隣接する材料相互)の「熱膨張」特性の相互関係が
極めて重要であることを見出した。
【0019】本発明者らは上記知見に基づいて更に研究
を進めた結果、中性子吸収ピン内で隣接する要素である
中性子吸収体の熱膨張率(α1)と、薄肉パイプ(シュ
ラウド)の熱膨張率(α2)との差の絶対値を特定の範
囲内とすることが、上記した目的の達成に極めて効果的
であることを見出した。
【0020】すなわち、本発明の中性子吸収ピンは、中
性子吸収体と、この中性子吸収体を囲む薄肉パイプと、
この薄肉パイプと間隔をおいて配置された被覆管とを少
なくとも含むものであって、薄肉パイプが、繊維強化セ
ラミックスから成り、中性子吸収体の熱膨張率(α1)
と、薄肉パイプの熱膨張率(α2)との差の絶対値が、
│α2−α1│≦10×10-6/Kであることを特徴と
する。また、上記繊維強化セラミックスが繊維強化炭化
ケイ素(SiC)又は繊維強化アルミナ(Al23)、
好ましくはSiC繊維強化SiC複合材料であると好適
である。さらに、上記中性子吸収体が炭化ホウ素(B4
C)から成る場合に一層好適であり、上記中性子吸収体
がB4Cペレットの場合に、より一層好適である。
【0021】本発明においては、上記したように中性子
吸収体の熱膨張率(α1)と、薄肉パイプの熱膨張率
(α2)との差の絶対値を|α2−α1|≦10×10
-6/Kとしているため、中性子照射下で上記中性子吸収
体(炭化ホウ素等)と薄肉パイプが熱膨張しても、両者
の熱膨張差が小さいため、中性子吸収体と薄肉パイプと
の密着性が保たれ、中性子吸収体が薄肉パイプにより効
果的に保持されるため、中性子吸収ピンを長寿命化する
ことができる。
【0022】また、上記の如く、本発明の中性子吸収ピ
ンを構成する薄肉パイプ(具体的には、上述した「シュ
ラウド」)は、繊維強化複合材料である繊維強化セラミ
ックスから成っている。繊維強化セラミックスは、薄肉
パイプの製造に適した特性を有しており、しかも、例え
ばセラッミクス単体から成るパイプよりも機械的強度に
優れ、かつ、破壊が生じるような応力が印加された場合
にも繊維の引き抜き効果等に基づく延性的な特徴を示
し、薄肉パイプとしての機能に適した特性を有するもの
である。したがって、繊維強化セラミックスを薄肉パイ
プに用いると、セラッミクスの欠点である「脆さ」をほ
ぼ完全に克服することができる。さらに、薄肉パイプと
して繊維強化セラミックスを用いると、従来のステンレ
ス鋼に比して、中性子吸収体として一般に用いられる炭
化ホウ素との両立性に優れることが確認された。
【0023】また、薄肉パイプ(シュラウド)の材料で
ある繊維強化セラミックスが、繊維強化炭化ケイ素(S
iC)又は繊維強化アルミナ(Al23)であると、耐
熱性、高温強度等の観点から好適である。さらに、上記
繊維強化セラミックスがSiC繊維強化SiC複合材料
であると、特に過酷な条件下でも良好な耐久性を発揮す
る中性子吸収ピンが得られる。すなわち、シュラウド自
体の中性子照射損傷が極めて少なく、優れた機械損傷許
容性を有する中性子吸収ピンが得られる。しかも、Si
C繊維強化SiC複合材料をシュラウドに用いると、ス
テンレス製のシュラウドを用いた場合に比して、浸炭が
極めて低いレベルに抑制される。
【0024】これに対して、従来のステンレス鋼に代わ
る耐熱性材料として、単にセラミックス材料(例えば炭
化ケイ素やアルミナ)を用いた場合には、本発明者の研
究によれば、セラミックス材料自体を薄肉パイプに成形
することが非常に難しく、また、たとえ薄肉化に成功し
たとしても、得られた薄肉パイプの強度が低く、脆性的
な破壊特性を示すために機械的に不安定であることが見
出されている。したがって、本発明者の研究によれば、
従来のステンレス鋼製薄肉パイプに代えて、単体セラミ
ックス製薄肉パイプを単に用いたのでは、前述した課題
を解決することは出来なかった。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、必要に応じて図面を参照し
つつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載におい
て量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り
重量基準とする。
【0026】(中性子吸収ピン)本発明の中性子吸収ピ
ンは、中性子吸収体と、該中性子吸収体を囲む(surrou
nding)薄肉パイプと、該薄肉パイプと間隔をおいて配
置された被覆管とを少なくとも含むピンであって、該中
性子吸収体の熱膨張率(α1)と、薄肉パイプの熱膨張
率(α2)との差の絶対値が、|α2−α1|≦10×
10-6/Kである。
【0027】本発明において、上記「熱膨張率」は、以
下の方法で測定することが可能である。
【0028】<熱膨張率の測定方法>熱膨張率測定は、
押し棒式示差熱膨張計、光干渉熱膨張計など(例えば、
奥田博他監修 「ファインセラミックス評価技術集成」
リアライズ社 1984年 など参照)などセラミッ
クスの熱膨張測定に用いられる標準的な測定法で十分で
ある。
【0029】上記構成を有する本発明の中性子吸収ピン
の一例を図1の模式断面図に示す。図2は、図1の拡大
図である。
【0030】図1を参照して、B4C等からなる中性子
吸収材ペレット10が、SiC複合材料スリーブ等から
なる中空円筒状のシュラウド(薄肉パイプ)11内に配
置され、更に、該シュラウド11とは所定のギャップ1
2を置いて、中空円筒状の被覆管13(ステンレス等か
らなる)が配置されている。
【0031】上記シュラウド11内の中性子吸収材ペレ
ット10の両端は、ペレット押さえ14aおよび14b
によって保持され、更に、被覆管13内の中性子吸収材
ペレット10およびシュラウド11は、該被覆管13の
両端に配置された端栓15aおよび15bによって保持
されている。該端栓の一方15aと、ペレット押さえの
一方14aとの間には、シュラウド11を好適な状態で
保持するためのペレット押さえスプリング16が配置さ
れている。
【0032】(中性子吸収体)薄肉パイプ11の熱膨張
率(α2)との差の絶対値で、|α2−α1|≦10×
10-6/Kを可能とする熱膨張率(α1)を有する限
り、本発明に使用可能な中性子吸収体は特に制限され
ず、公知の中性子吸収体を適宜選択して使用可能であ
る。
【0033】上記した熱膨張率差|α2−α1|の実現
が容易な点からは、中性子吸収体の熱膨張率(α1)
は、3 〜 15×10-6/K程度(更には、5 〜
10×10-6/K程度)であることが好ましい。
【0034】このような中性子吸収体としては、例え
ば、B4CやTiB2、B4C/SiC複合材料等が挙げ
られる。中でも、高速中性子に対する中性子吸収能力の
点からは、炭化ホウ素(B4C)を用いることが好まし
い。
【0035】(薄肉パイプ)上記中性子吸収体を囲む薄
肉パイプ11としては、上記の中性子吸収体10の熱膨
張率(α1)との差の絶対値で、|α2−α1|≦10
×10-6/Kを可能とする熱膨張率(α2)を有する限
り、本発明に使用可能な薄肉パイプは特に制限されず、
公知の材料からなる薄肉パイプを特に制限なく使用可能
である。上記した熱膨張率差|α2−α1|の実現が容
易な点からは、薄肉パイプの熱膨張率(α2)は、3
〜 15×10-6/K程度(更には、 5 〜 10
×10-6/K程度)であることが好ましい。
【0036】このような薄肉パイプを構成する材料とし
ては、例えば、SiCやAl2O3などのセラミックス
焼結体、またはそれらの繊維強化複合材料、ハステロイ
などの耐熱金属等が挙げられる。中でも、耐熱性、高温
強度などの点からは、繊維強化セラミックス、特に、繊
維強化炭化ケイ素(SiC)または繊維強化アルミナ
(Al23)を用いることが好ましい。
【0037】中でも、従来は薄肉スリーブ加工が困難と
されていたSiC繊維強化SiC複合材料からなる薄肉
スリーブをシュラウドとして用いた場合には、特に、過
酷な条件下でも良好な耐久性を発揮する中性子吸収ピン
が得られる。
【0038】上記薄肉パイプ11は、SiC繊維強化S
iC複合材料(SiC/SiC)からなる円筒状薄肉ス
リーブであって、気孔率が40%以下で、かつ、肉厚が
5mm以下である薄肉スリーブからなることが好まし
い。
【0039】このようなSiC繊維強化SiC基複合材
料からなるスリーブを、シュラウド11としてステンレ
ス被覆管とB4Cペレット(中性子吸収材)10との間
に挿入した場合には、シュラウド11自体の中性子照射
損傷が極めて少なく、また機械損傷許容性(一部が機械
的損傷を受けた場合における耐久性)を有し、ステンレ
ス鋼被覆管13内部でのB4Cの移動も防止でき、ステ
ンレス鋼被覆管13が損傷されにくいという優れた特性
を有する中性子吸収ピンが得られる。SiC繊維強化S
iC基複合材料からなるスリーブをシュラウドとして用
いた場合には、ステンレス製のシュラウドを用いた場合
と異なり、該スリーブを構成するSiC繊維強化SiC
基複合材料の浸炭は極めて低いレベルに抑制される。
【0040】また、SiC繊維強化SiC基複合材料か
らなるスリーブは0.5mm以下の薄肉スリーブとする
ことも可能であるため、厚肉スリーブをシュラウドとし
て用いた場合と異なり、B4Cペレットの装荷量が少な
くなって制御棒の中性子吸収能の低下を招くことはな
い。
【0041】下記(表1)〜(表3)に、シュラウド用
途を考慮した場合の、種々のSiC/ SiC製法の比
較、種々の無機連続繊維の比較、および種々の材料の比
較を示す。このような比較の元となるデータについて
は、例えば文献(R.H. Jones,D. Steiner, H.L. Heinis
ch et al., Journal of Nuclear Materials, 245
(1997)87−107;F.W. Clinard, Jr., G.F. H
urley and R.W. Klaffky,Res Mechanica, 8(198
3)207−234)を参照することができる。
【0042】
【表1】
【表2】
【表3】 (気孔率)本発明の中性子吸収ピンを構成する薄肉スリ
ーブ11において、気孔率は40%以下、更には5〜3
5%(特に5〜15%)であることが好ましい。
【0043】本発明において、上記気孔率は、以下のよ
うに定義される。
【0044】気孔率 = (真比重−かさ比重)/真比
重 上記した「かさ比重」および「真比重」は、以下の方法
により好適に測定可能である。
【0045】<かさ比重の測定方法>かさ比重は試料の
体積を寸法から算出し、試料を秤量して、下記計算式か
ら求める。
【0046】かさ比重 = 重量/体積 <真比重の測定方法>真比重の測定原理はアルキメデス
法に従う。JlSによる試験方法では、例えば、JIS
R−7212があり、液体としてブタノールを使用
し、試料は粉砕し149ミクロン以下として測定する。
【0047】(肉厚)本発明に用いるスリーブ11の肉
厚は、5mm以下であることが好ましい。この肉厚が5
mmを越えると、該スリーブの熱伝達性が低下する傾向
があり、また、該スリーブの内容積が減少(例えば、ス
リーブ内に配置すべき中性子吸収材等の「他の材料」の
収容性の低下)することとなる。
【0048】スリーブ11に要求される機械的強度を満
たす限り、不均一な熱伝達の防止およびスリーブ自体に
よる占有空間の低減(中性子吸収材等の「他の材料」用
の空間の確保)の点からは、この肉厚はより薄い方が好
ましい。具体的には、肉厚は3〜1mm程度、更には1
〜0.5mm程度(特に0.3〜0.2mm程度)であ
ることが好ましい。
【0049】(SiC繊維)本発明において好適に使用
可能なSiC(炭化ケイ素)繊維は特に制限されない
が、純度の点からは、電子線不融化の方法(例えば、特
開平4−194028号公報を参照)によって得られる
SiC繊維であることが好ましい。
【0050】上記SiC繊維の組成も特に制限されない
が、耐熱性の点からは、Siと、Cと、Oとを少なくと
も含むSiC繊維であることが好ましく、更には、下記
の組成範囲を有するSiC繊維であることが好ましい。
【0051】Si:50〜70%(更には、60〜70
%) C:30〜40%(更には、30〜38%) O:0.01〜14%(更には、0.01〜1%) 上記SiC繊維の表面に対しては、必要に応じてコーテ
ィングを施してもよい。このようなコーティングを施す
ことにより、機械的損傷に対する許容性を増大させるこ
とができる。緻密で均一な界面の形成が容易な点から
は、例えば、CVD(化学的気相堆積法)-カーボンコ
ーティング、CVD−BNコーティング、CVD−Si
Cコーティングの1種あるいは2種以上の組合せのコー
ティングを用いることが好ましい。
【0052】製織性の点からは、SiCで複合化する前
のSiC繊維の直径は、5〜20μm程度、更には、8
〜15μm程度であることが好ましい。
【0053】(SiC/SiC複合材料)本発明に規定
する物性を有するスリーブを与える限り、該スリーブを
構成するSiC/SiC複合材料(繊維)の製法は特に
制限されないが、スリーブの機械的損傷許容性の点から
は、CVD法(原料ガス中で、高温において化学蒸着を
行う方法)、CVI法(原料ガス中で、高温において化
学蒸着ガスを浸透させる方法)、RB法(反応焼結
法)、PIP法(ポリマー含浸焼成法)が好適に使用可
能である。中でも、SiC/SiC複合材料を用いた薄
肉スリーブの作製が容易な点からは、PIP法が特に好
適に使用可能である。
【0054】上記したCVD法、CVI法、RB法およ
びPIP法は、必要に応じて、2種以上組み合わせて用
いてもよい。
【0055】(スリーブの製造方法)本発明に用いるS
iC複合材料スリーブは、例えば、SiCからなる連続
繊維を丸編みした後、PIP法等を用いて、該スリーブ
を構成する連続繊維をSiC複合化(SiC/SiC複
合化)することにより、得ることができる。
【0056】(製織方法)所望の物性を有する本発明の
スリーブを与えることが可能である限り、上記した連続
繊維をスリーブに製織する方法は特に制限されず、公知
の製織方法を使用することが可能である。厚みの均一性
の点からは、上記製織方法として、「丸編み」を用いる
ことが好ましい。この「丸編み」の詳細については、例
えば、繊維便覧の加工編(繊維学会編、第502頁以
下、1969年(昭和44年5月30日発行)、発行
所:丸善株式会社)を参照することができる。
【0057】上記連続繊維の丸編みに、例えば芯材(例
えば、チタン、鉄等の金属からなる棒状体)を挿入し
て、必要に応じて、丸編みした繊維体の両端から引っ張
ることにより、所望のスリーブ状とすることが好まし
い、この際、繊維体を挿入する前に芯材の表面に、雛型
剤、雛型紙等を必要に応じて予め配置しておいてもよ
い。
【0058】上記により得られたスリーブは、必要に応
じて、2枚以上重ねた後、次の工程に使用してもよい。
厚みの点からは、該スリーブを構成する連続繊維の「層
数」は、3以下であることが好ましい。
【0059】この際、(必要に応じて)第1層目に重ね
るべき第2層目も、この第1層目と同様にスリーブ状と
することができる。この場合には、該第2層目を構成す
べき連続繊維をスリーブ状とした後、スリーブ状とした
連続繊維の両端を少し(スリーブの軸方向に沿って)圧
縮して、上記「第1層目」より、やや大きい外径とした
後に、前記した「第1層目」にかぶせることが好まし
い。
【0060】本発明においては、緻密な構造が容易に得
られる点からは、例えば、下記の織構造が好適に使用可
能である。
【0061】打込本数:20〜30本/インチ 織角度(軸方向):30〜60゜ 積層数:1〜2層 外径(直径):12.1〜12.3mm 気孔率(含浸前):40〜60% 上記した「織角度」とは、丸編みの軸方向と該丸編みを
構成する連続繊維の方向とがなす角(鋭角側)をいう。
【0062】上記により得られた丸編みは、必要に応じ
て、所望の長さに切断してもよい。この際、該切断は公
知の切断手段(例えば、ダイヤモンド・カッター)によ
り行うことができる。該切断の際の繊維の「ほつれ」を
防止する点からは、例えば、図3の模式断面図に示すよ
うに、スリーブ1に適当な芯材2(スリーブ1の内径と
同寸法の外径を有する)を挿入し、該スリーブ1の外側
周囲に離型紙3(厚さ200μm)を巻き付けた後に、
該離型紙3および芯材2ごとスリーブ1を切断すること
が好ましい。雛型性の点からは、上記離型紙3の厚さ
は、100〜300μm程度であることが好ましい。
【0063】(含浸および焼成)本発明において、上記
したPIP法によりSiC繊維の複合化を行う際の好ま
しい態様について説明する。
【0064】先ず、有機シラン化合物を含浸すべき、S
iC連続繊維で製織した丸編みに、所定の芯材を挿入す
る。この含浸および焼成工程において「しわ」の発生、
および損傷(破ける等)を防止する点からは、1〜7×
10-6/℃程度の熱膨張係数を有するものであることが
好ましい。このような熱膨張係数を有する材料の例とし
ては、チタン棒、CFRP(炭素繊維強化プラスチッ
ク)棒等が挙げられる。
【0065】また、「しわ」の発生防止の点からは、上
記芯材の外径は、スリーブの内径より大きいことが焼成
時の収縮を見込む上で好ましく、更には、スリーブの内
径を基準として、2〜10%程度芯材の外径が大きいこ
とが好ましい。
【0066】上記スリーブ内に挿入すべき芯材には、予
め離型剤をコーティングするか、あるいは離型紙を巻き
付けておくことが好ましい。この際の「離型紙」として
は、紙製で芯材との接着面側に接着剤が配置されている
「離型テープ」が好適に使用可能である。このような離
型テープは、焼成時の加熱により容易に炭化して、容易
に除去可能であるため、上記目的に好適に使用可能であ
る。
【0067】(有機ケイ素化合物)本発明のPIP法に
おいて使用可能な有機ケイ素化合物は、SiCを合成可
能なものである限り特に制限されないが、炭化ケイ素を
形成する点からは、ポリカルボシラン(−(R)Si−
C−)n(Rはアルキル基)、ポリビニルシランCH3
Si{(CH2=CH)(CH3)Si}n−Si−C
3、ポリシラスチレン{(CH65)(CH3)Si}
n等が好適に使用可能である。中でも、焼成残存率の点
からは、ポリカルボシランが特に好適に使用可能であ
る。
【0068】含浸性の点からは、上記有機ケイ素化合物
の平均分子量は、500〜100,000(更には、5
00〜3000)程度であることが好ましい。
【0069】(含浸)含浸に際しては、必要に応じて、
溶媒を使用してもよい。このような目的に使用すべき溶
媒は、上記有機ケイ素化合物を溶解可能なものであれ
ば、特に制限されない。工業性の点からは、キシレン、
ヘキサン、トルエン等の有機溶媒が好適に使用可能であ
る。含浸に用いる溶液の濃度は、浸透性の点からは、5
0〜100%(更には、50〜70)%程度であること
が好ましい。
【0070】上記有機ケイ素化合物の含浸を効率的に行
う点からは、真空−加圧含浸の手法を用いることが好ま
しい。この際の真空度は0.1〜20mmHg程度が好
ましく、加圧(ゲージ圧)は5〜10kg/cm2程度
が好ましい。
【0071】薄肉化と厚みの均一化の点からは、上記有
機ケイ素化合物の含浸の後に。テーピング加圧をも行う
ことが好ましい。この際のテーピングは、ポリエチレン
等からなる樹脂テープを用い、荷重1〜l0kgf程度
のカで引張りつつ、上記テープを含浸後のスリーブ表面
に巻き付けることが好ましい。この際、上記テープの荷
重は、ばね秤等の公知の手段を用いて測定することが可
能である、強度の点からは、上記テーピング用のテープ
の厚さは、10〜30μm程度であることが好ましく、
幅は5〜20mm程度であることが好ましい。
【0072】(焼成)焼成は、不活性ガス(窒素、アル
ゴン等)の雰囲気、常圧、高温で行い、上記によりSi
C繊維間に含浸させた有機ケイ素化合物からSiCを生
成させることが好ましい。最終熱処理温度は800〜1
600℃(更には、1300〜1500℃)程度である
ことが好ましい。
【0073】この焼成の際に、スリーブに生ずる(芯材
に生じる「そり」等に基づく)可能性のある「そり」を
防止する点からは、例えば、該スリーブの外側を「プレ
ス型」で保持することが好ましい。スリーブへの着脱が
容易な点からは、このプレス型は、「割り型」(軸に垂
直な方向の断面が、半円形状)であることが好ましい。
【0074】上記プレス型を構成する材料は、この焼成
工程における「そり」の発生を効果的に防止する点から
は、1〜7×10-6/℃程度の熱膨張係数を有するもの
であることが好ましい。このような熱膨張係数を有する
材料の例としては、黒鉛材等が挙げられる。
【0075】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0076】
【実施例】実施例1 (スリーブの形成)SiCからなる直径14μmの連続
繊維(日本カーボン(株)社製、商品名:ハイニカロ
ン)を丸網みして外径12.0mmφ(直径)、打込み
本数20〜30本/インチ、織角度(軸方向)を30〜
60°、肉厚が0.2mmの丸編みスリーブを得た。
【0077】図1を参照して、上記により得た丸網みの
スリーブ1に外径12mの芯材2を挿入した後、該スリ
ーブの外周に、糸のほつれを防止する目的で、厚さ20
0μmの雛型紙3を巻き付けて該スリーブを保持した。
このようにして雛型紙3を巻き付けて該スリープをダイ
ヤモンドカッターにて、所定の長さ(1m)に切断し
た、得られたスリーブの気孔率は55%であった。
【0078】別に、外径11.4mmφ、長さ1200
mmのチタン棒に、有機物で炭化する紙タイプの離型紙
を巻き付けた。該離型紙を巻き付けたチタン棒を、上記
で得た切断後のSiC繊維スリーブに挿入した。
【0079】上記スリーブを気密容器内に入れ、該容器
内を真空(1mmHg)に引いて10分間保持させた
後、平均分子量2000の有機ケイ素化合物ポリカルボ
シラン(Si(CH3)CH2−)n(日本カーボン(株)
社製、商品名:ニプシ)の50%溶液(溶剤:キシレ
ン)180mlを、上記容器内に加えた。更に、該容器
内を加圧(10kg/cm2)して、180分間保持する
ことにより、上記樹脂溶液をスリーブ内に含浸させた。
【0080】この後、上記スリーブの外周に、ポリエチ
レンテープ(厚み15μm、幅15mmを荷重2kgf
でテーピング加圧した。
【0081】上記によりテーピングした含浸スリーブの
外周に、該スリーブ外径と同寸法内径を有する「割型」
の円筒形状(軸方向に沿って2つに割れる)の黒鉛型を
配置し、該形状が保持される程度の荷重(約2kgf)
をかけつつ、不活性ガス(アルゴンガス)により135
0℃、60分問で焼結させ、薄肉SiC繊維強化SiC
複合材料スリーブを作製した(PIP法)。
【0082】焼結後、スリーブから上記Ti棒を脱芯
し、該スリーブの内側および外側への付着物を、サンド
ペーパー#100を用いて、SiC繊維を傷つけないよ
うに注意しつつ、除去した。
【0083】上記緻密化後のスリーブの端面を切断し
て、所定の長さ(100cm)に仕上げた。
【0084】上記により得られたスリーブは、気孔率が
30%で、且つ目視にて光の透過がなかった。該スリー
ブを平坦な表面上に乗せ、該平坦面とスリーブとの間の
最大の間隔を「隙間ゲージ」で測定したところ、該「ソ
リ」は、スリーブ長さ1m当たり0.1mm程度であっ
た。
【0085】実施例2 (CVI法およびRB法によるスリーブの作製)実施例
1で用いたPIP法(ポリマー含浸焼成法)に代えて、
下記条件のCVI法(化学蒸着ガス浸透法)またはRB
法(反応焼結法)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と
同様にして、SiC繊維強化SiC複合材料(SiC/
SiC)からなる薄肉スリーブを得た。
【0086】<CVI法の条件>4塩化ケイ素SiCl
4とメタンCH4、水素ガスキャリヤー下で10tor
r、1300℃で基材スリーブ中にガスを浸透蒸着させ
た。
【0087】<RB法の条件>カーボンブラック、フェ
ノール樹脂とβ一SiC粉を水に分散させたスラリー
を、基材SiCスリーブに含浸し、乾燥させ、1450
℃の温度で真空中溶融シリコンを含浸させた。
【0088】実施例3 (アルミナ繊維強化アルミナ管)以下に示す条件を用い
た以外は、実施例1と同様にしてアルミナ繊維強化アル
ミナ製スリーブを得た。
【0089】アルミナ繊維(10μm径)を芯金を用い
バイアス織り(500〜1000フィラメント/ヤー
ン)にて管状に織った後、得られた管状繊維にアルミナ
バインダー(アルミナ粉末50%、塩化アルミニウム塩
水溶液:25%、アルミナゾル25%、溶媒適量)を含
浸させて成形処理を行った。次いで、高温(1100
℃)で焼成処理を行い、アルミナバインダーを繊維に固
定した。上記により得られた管の両端を切断し、スリー
ブ(長さ800mm程度、直径15mm程度、肉厚0.2mm
程度)とした。
【0090】実施例4 (セラミックス複合材料薄肉管の高温の機械的特性の評
価)上記実施例により得られた炭化ケイ素繊維及びアル
ミナ繊維から成るセラミックス複合材料薄肉管の120
0℃における引張強度を以下の条件下で測定した。
【0091】(セラミックス複合材料(CMC)の機械
的特性の評価)スリーブ形状のCMC機械特性評価規格
が無いため「PEC−TS CMC01 長繊維強化セラ
ミック基複合材料の室温及び高温引張応力−ひずみ挙動
試験方法」、および「PEC−TS CMC04 長繊維
強化セラミックス基複合材料の室温及び高温曲げ強さ試
験方法」の規格に従って、種々のセラミックス複合材料
(CMC)からなる平板を作成し、高温引張試験と高温
曝露後の室温曲げ試験を行った。これらのPEC−TS
規格の詳細については、例えば文献(PEC−TS C
MC01,09)を参照することができる。
【0092】上記により得られた高温引張試験結果、お
よび高温耐久性結果を、下記の(表4)〜(表8)に示
す。
【0093】 (表4) <セラミックス複合材料薄肉管の温度1200℃における強度及び破断伸びの値 > 強度(MPa) 破断伸び(%) 炭化ケイ素繊維 5 8.1 アルミナ繊維 33 4.9 上記(表4)に示した強度および破断伸びの値から、本
実施例で用いた材料においては、1200℃の高温にお
いて炭化ホウ素破片の移動を防止するのに充分な強度
と、炭化ホウ素のスエリングに追従する歪み量が保持さ
れていることが容易に理解できよう。
【0094】 [表5] <大気中、各温度での高温引張強度> (界面:ホ゛ロンナイトライト゛、強化繊維ハイニカロン、製法:PIP法) ─────────── 温度 引張強度 ─────────── 20℃ : 350MPa 400℃ : 350MPa 1200℃ : 230MPa 1400℃ : 160MPa ─────────── [表6] <大気中、各温度での高温引張強度> (界面:カーボン、強化繊維 ニカロン、製法:PIP法) ─────────── 温度 引張強度 ─────────── 20℃ : 110MPa 400℃ : 110MPa 600℃ : 60MPa 1000℃ : 50MPa ─────────── [表7] <大気中、1400℃で高温曝露した後の室温の曲げ強度> (界面:ホ゛ロンナイトライト゛、強化繊維 ハイニカロン、製法:PIP法) ───────────── 曝露時間 曲げ強度 ───────────── 0h 400MPa 200h 400MPa 600h 400MPa ───────────── [表8] <大気中、1400℃で高温曝露した後の室温曲げ強度> (界面:カーボン、強化繊維 ニカロン、製法:PIP法) ───────────── 曝露時間 曲げ強度 ───────────── 0h 300MPa 200h 100MPa 600h 50MPa ───────────── 実施例5 (炭化ホウ素との両立性)実施例1で得たセラミックス
繊維製薄肉管の高温における炭化ホウ素との両立性を、
以下の方法により評価した。
【0095】<炭化ホウ素の両立性の評価方法>セラミ
ックス繊維製薄肉管と炭化ホウ素との両立性試験は10
00℃と1300℃で行った。高純度アルミナ焼結体、
炭化ケイ素繊維複合材料および本発明と比較するためス
テンレス鋼を厚さ約2〜3mm,1片が約15mmの正
方形の板もしくは、厚さ約2〜3mm直径が12〜20
mmの円板に加工し、それぞれの試料表面を鏡面になる
まで研磨した。そして、それぞれの試料表面が炭化ホウ
素の面と確実に接触するように、1cm2あたり10g重
の力を加えて交互に重ねて配置し、これを微正圧のヘリ
ウム雰囲気横型管状電気炉にいれて加熱した。加熱温度
は1000℃と1300℃の2種類で、加熱保持時間は
500hである。
【0096】加熱終了後、それぞれの試料について炭化
ホウ素と接触させた後の反応の状態を光学顕微鏡および
走査型電子顕微鏡で観察した。炭化ホウ素と接触してい
たそれぞれの試料表面の観察結果から、アルミナと炭化
ケイ素の場合は1000℃および1300℃ともにほと
んど反応層が観察されず良好な結果を示した。一方、ス
テンレス鋼については、炭化ホウ素と著しい反応を示
し、1000℃においても炭化ホウ素ペレットはステン
レス鋼に一部融着した状態になった。この結果をまとめ
ると、下記の表9のようになる。
【0097】 (表9) <セラミックス複合材料薄肉管と炭化ホウ素との両立性試験結果> 試験片表面に形成された反応層厚さ(μm) 試験条件 1000℃×500h 1300℃×500h 炭化ケイ素 ** ** アルミナ ** ** ステンレス鋼 170〜400 400〜600 (**:反応層の厚さは、検出限界(1μm)未満であった。) 上記(表9)を見れば、本実施例で用いたセラミックス
複合材料薄肉管は、ステンレス鋼のそれに比べ優れてい
ることが容易に理解できよう。
【0098】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、中性子
吸収体と、該中性子吸収体を囲む薄肉パイプと、該薄肉
パイプと間隔をおいて配置された被覆管とを少なくとも
含む中性子吸収ピンであって;前記中性子吸収体の熱膨
張率(α1)と、薄肉パイプの熱膨張率(α2)との差
の絶対値が、|α2−α1|≦10×10-6/Kである
中性子吸収ピンが提供される。
【0099】本発明の中性子吸収ピンは、該ピンを構成
する要素相互の熱的特性が適切にコントロールされてい
るため、高温、望ましくは850℃以上から1500℃
程度までの温度で、良好な耐熱性・機械的特性のみなら
ず、構成要素相互の良好な両立性を保持することが可能
であり、したがって、長寿命の中性子吸収ピンとするこ
とができる。
【0100】特に、本発明において上記薄肉パイプとし
て繊維強化セラミックス(繊維強化SiCまたは繊維強
化Al23)を用いる態様においては、中性吸収体(炭
化ホウ素等)との両立性に優れた更に長寿命の中性子吸
収ピンが得られる。このような中性子吸収ピンは延性的
な破壊特性を示すため、炭化ホウ素ペレットのスエリン
グの吸収が容易であり、しかも中性吸収体との両立性に
優れるものとなる。すなわち、このような中性子吸収ピ
ンにおいては、炭化ホウ素ペレットのスエリングによ
り、パイプの周応力が薄肉パイプの破壊限界を超えて
も、繊維の引き抜き効果により破壊が一気に進むことを
抑制し、使用末期まで中性吸収体ペレット破片の移動を
押さえることが可能となる。
【0101】加えて、本発明の中性子吸収ピンは、低温
においてもシュラウドと中性子吸収体との両立性が(ス
テンレス鋼より)良好な両立性を示すため、ヘリウムボ
ンドピンのみならず、ナトリウムボンドピンの態様にお
いても効果的な長寿命化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスリーブを原子炉制御棒のシュラウド
として用いる際の一態様を示す模式断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】製織した後のスリーブをカッターで切断する際
の、芯材、スリーブおよび離型紙の積層状態を示す模式
断面図である。
【符号の説明】
1…スリーブ、2…芯材、3…離型紙、10…中性子吸
収体、11…シュラウド、12…ギャップ、13…被覆
管。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−311192(JP,A) 特開 平7−183046(JP,A) 特開 昭61−212792(JP,A) 特開 平5−172978(JP,A) 特開 平5−232289(JP,A) 特開 平11−116337(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 7/10 G21C 7/24 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中性子吸収体と、該中性子吸収体を囲む
    薄肉パイプと、該薄肉パイプと間隔をおいて配置された
    被覆管とを少なくとも含む中性子吸収ピンであって、 前記薄肉パイプが繊維強化セラミックスから成り、 前記中性子吸収体の熱膨張率(α1)と、前記薄肉パイ
    プの熱膨張率(α2)との差の絶対値が、│α2−α1
    │≦10×10-6/Kであることを特徴とする中性子吸
    収ピン。
  2. 【請求項2】 前記繊維強化セラミックスが、繊維強化
    炭化ケイ素(SiC)又は繊維強化アルミナ(Al
    23)であることを特徴とする請求項1記載の中性子吸
    収ピン。
  3. 【請求項3】 前記中性子吸収体が炭化ホウ素(B
    4C)から成るものであることを特徴とする請求項1又
    は2記載の中性子吸収ピン。
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