本発明の実施例ついて以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施例を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものを実質的に同様の内容を示している。
発明の実施の形態1.
本発明にかかるパターン基板の欠陥を修正する修正装置について図1を用いて説明する。図1は欠陥修正装置100の全体的な構成を示す図である。1は基台、2はステージ、3は対象物体、4は駆動回路、5は支柱、6は支持レール、7は光学装置、8は突起除去装置、9は昇降機構、10はモータ制御回路、11はステッピングモータ、12は処理装置である。
基台1の上にはステージ2が設けられている。このステージ2はXYステージであり、ステージ2上に載置された対象物体3を水平方向に移動させる。ステージ2は駆動回路4からの駆動信号により駆動装置(図示せず)を介して既知の方法でX方向(紙面内方向)及びこれに直交するY方向(紙面と直交する方向)に自在に移動する。対象物体3は、例えば液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板などのパターン基板である。対象物体3上には、着色層や遮光層などのパターンが形成されている。対象物体3はステージ2の上に真空吸着により固定されてもよい。
基台1の上には支柱5が連結されている。支柱5はステージ2の外側で基台1に固定されている。支柱5は鉛直方向(Z方向)に沿って設けられている。この支柱5の上部には、支持レール6が連結されている。支持レール6は水平方向に沿って設けられている。支持レール6の先端側は対象物体3の上方に位置する。
支持レール6の先端側の下方には光学装置7が取り付けられている。光学装置7は対象物体3上に付着した異物などの欠陥を光学的に検出する。すなわち、光学装置7は対象物体3の欠陥を検出する欠陥検出装置であり、対象物体3上の突起を検出する。光学装置7は対象物体3を照明する光源と、対象物体3で反射された反射光を検出する光検出器と、それらの間の光学系とを備えている。そして、既知の方法で、対象物体3上に異物等が付着して形成された突起を検出する。処理装置12は光学装置7で検出された突起欠陥のアドレスを記憶する。すなわち、処理装置12は対象物体上の突起が検出された位置を記憶する。
支持レール6の中央付近には、研磨装置8が設けられている。支持レール6の下方に設けられた研磨装置8は光学装置7と支柱5の間に位置する。研磨装置8は鉛直方向に設けられたボールネジ又はカム等を有する昇降機構9に連結される。ステッピングモータ11の回転駆動により、例えば、昇降機構9のボールネジが回転する。これにより、研磨装置8が上下方向に移動する。ステッピングモータ11はモータ制御回路10により駆動制御される。処理装置12はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、モータ制御回路10及び駆動回路4を制御する。処理装置12は、光学装置7が検出した突起欠陥の位置を記憶している。駆動回路4は処理装置12からの信号によりステージ2を駆動して、研磨装置8を突起欠陥上に配置させる。そして、ステッピングモータ11は処理装置12からの信号により、昇降機構9を駆動して、研磨装置8を対象物体3の近傍まで下降させる。そして、研磨装置8の先端に設けられた研磨ヘッドと対象物体3とが所定の距離になったら、昇降機構9の駆動を停止する。これにより、研磨装置8が停止するため、対象物体3に設けられた突起欠陥を所定の高さまで研磨することができる。これにより、突起欠陥を修正することができる。従って、突起欠陥の研磨量を正確に制御することができ、欠陥修正を確実に行うことができる。
研磨装置8には、対象物体の突起欠陥を研磨するための研磨ヘッドが設けられている。研磨ヘッドには研磨テープなどを有する研磨部が取り付けられている。この研磨部の構成について図2を用いて説明する。
研磨部の構成について図2を用いて詳細に説明する。図2は研磨部101の構成を示す図である。研磨部101には押圧部材102が取り付けられた支持部材106が設けられている。支持部材106には第1のリール104と第2のリール105とが取り付けられている。第1のリール104と第2のリール105の中間の下に押圧部材102が配置される。第1のリール104及び第2のリール105は支持部材106に対して回転可能に取り付けられている。第1のリール104と第2のリール105とには研磨テープ103が装着されている。研磨テープ103は押圧部材102を介して第1のリール104と第2のリール105に装着される。研磨テープ103は押圧部材102の下面に接するように設けられている。押圧部材102の下面は曲面となっている。また研磨テープ103の下面は粗面化されている。第1のリール104にモータを取り付ける。このモータを駆動させることにより、第1のリール104又は第2のリール105が矢印の方向に回転する。これにより、研磨テープが第2のリール105から押圧部材102を介して第1のリール104に巻き取られる。すなわち、研磨テープ103が押圧部材102の下面に沿って、矢印の方向に送り出される。押圧部材102を弾性体としてよい。さらに、押圧部材102を弾性体を介して支持部材106に取り付けてもよい。
そして、図2に示すよう突起欠陥の位置で研磨テープ103を送り出すことにより、突起欠陥が研磨される。これにより、突起欠陥を除去することができ、欠陥を修正することができる。なお、本発明に用いられる研磨部101は、上記の構成のものに限られるものではない。すなわち、既知の研磨部101であれば使用することができ、例えば、研磨テープではなく、研磨ヘッドによって直接、突起欠陥を研磨する研磨部を用いることも可能である。もちろん、これ以外の研磨部101であっても使用することができる。さらには、研磨に限らず、対象物体3に対して加工を行う加工ヘッドを用いることもできる。すなわち、上記の昇降動作は、加工部を有する加工ヘッドを利用した加工装置に対して好適である。この場合、加工ヘッドと対象物体3とのギャップによって、対象物体に対する加工ヘッドの高さが制御される。これにより、精度よく加工することができる。
次に研磨部101を有する研磨ヘッド及び研磨ヘッドと対象物体との距離を制御する位置制御装置について図3を用いて説明する。図3は、研磨ヘッド及びその位置制御装置の構成を模式的に示す図である。21は研磨ヘッド、22は噴出口、24は研磨ヘッド用流量計、25は研磨ヘッド用配管、26はタンク、27はレギュレータ、28は上流配管、29はコンプレッサ、31は参照ヘッド、32は噴出口、33は基準ステージ、34は参照ヘッド用流量計、35は参照ヘッド用配管、37はADC(A/Dコンバータ)、38はMPU(マイクロプロセッサユニット)である。研磨部101は、図2を用いて説明した構成を有しているが、図3では省略して図示している。研磨部101では、例えば、紙面に対して垂直な方向に研磨テープが送り出される。
研磨ヘッド21の下面にはエアを噴出する噴出口22が設けられている。この噴出口22から気体が対象物体3の表面に対してエアを噴出する。すなわち、噴出口22と対称物体3とが対向配置されている。これにより、研磨ヘッド21が微小なエアギャップをもって対象物体上に配置される。換言すると、対象物体3の表面と研磨ヘッド21の下面との間に微小隙間(エアギャップ)が形成される。噴出口22からのエアは、このエアギャップを対象物体3の表面に沿って流れていき、対象物体3と研磨ヘッド21との間の空間の外側に噴出される。
研磨ヘッド21の下面には、さらに、研磨部101が設けられている。研磨部101は図2で示したものを用いることができる。研磨部101は、研磨ヘッド21の中央に設けられる。研磨部101は研磨ヘッド21の噴出面から下方向に突出して設けられている。研磨部101は研磨ヘッド21の下面よりも下方向に突出している。研磨部101の押圧部材102が対象物体3の突起欠陥3aの位置になるよう、ステージ2が移動されている。すなわち、光学装置7で検出した突起欠陥3aの上に研磨装置8に設けられた研磨ヘッド21の研磨部101が配置されるようステージ3を駆動している。そして、研磨部101を用いて突起欠陥3aを研磨することにより、突起欠陥3aを除去することができる。具体的には、昇降機構9を動作させ、研磨装置8を下降させていく。これにより、研磨ヘッド21に設けられた研磨部101が対象物体3の表面に近づいていく。そして、研磨ヘッド21と対象物体3との間の距離が所定の微小距離となった状態で、昇降機構9を停止させる。これにより、研磨部101が対象物体3に対して所定の距離となった時点で、研磨装置8の下降動作が停止する。従って、対象物体3の表面の突起欠陥3aを除去することができる。このときの処理については後述する。研磨部101は、噴出口22の中央に設けられている。
研磨ヘッド21の噴出口22に気体を供給するエア供給経路について説明する。レギュレータ27は、例えば、圧縮空気を供給するためのコンプレッサ29に接続されている。なお、コンプレッサ29に限らず、圧縮空気が封入されたガスボンベに接続されていてもよい。レギュレータ27は供給された圧縮空気を一定の圧力まで減圧する。すなわち、レギュレータ27によって一定圧力のエアが供給される。レギュレータ27は、圧力変動の小さい精密レギュレータを用いることが好ましい。これにより、レギュレータ27に供給される圧力が変動した場合でも、上流配管28に供給するエアの圧力変動を低減することができる。レギュレータ27は、上流配管28を介してタンク26に接続されている。タンク26は一定の体積を有するエアタンクである。このタンク26によってレギュレータ27での圧力変動が吸収される。これにより、研磨ヘッド21に対する供給圧力の変動を小さくすることができる。
タンク26は研磨ヘッド用配管25を介して研磨ヘッド用流量計24に接続されている。研磨ヘッド用流量計24は、研磨ヘッド用配管25に流れるエアの流量を測定する。そして、研磨ヘッド用流量計24を通過したエアは、研磨ヘッド用配管25を介して研磨ヘッド21に供給される。従って、レギュレータ27により設定された圧力のエアが、研磨ヘッド21に供給される。これにより、研磨ヘッド21の噴出口22からエアが所定の圧力で噴出する。ここで、研磨ヘッド21と対象物体3との距離が離れているとき、噴出口22と対象物体3とのエアギャップが広くなる。この場合、噴出口22から噴出され対象物体3の表面に沿って流れる気体に対するコンダクタンスが大きくなる。一方、研磨ヘッド21と対象物体3との距離が近づいているとき、噴出口22と対象物体3とのエアギャップが狭くなる。この場合、噴出口22から噴出され対象物体3の表面に沿って流れるエアに対するコンダクタンスが小さくなる。すなわち、エアギャップに応じて、噴出口からの噴出されるエアに対するコンダクタンスが変化する。従って、エアギャップが変化すると、噴出口22から噴出されるエアの流量が変化する。
ここで噴出口22から噴出されるエアの流量は、研磨ヘッド用流量計24によって測定されている。従って、噴出口22と対象物体3とのエアギャップは、研磨ヘッド用流量計24での測定値に応じた値となっている。換言すると、研磨ヘッド用流量計24は、対象物体3と研磨ヘッド21との距離を測定している。ここで、昇降機構9によって研磨ヘッド21を下降している状態では、研磨ヘッド用流量計24での測定値は徐々に小さくなっていく。反対に昇降機構9によって研磨ヘッド21を上昇している状態では、研磨ヘッド用流量計24での測定値は徐々に大きくなっていく。
なお、噴出口22からの噴出量は、エアギャップだけでなく供給圧力に応じても変化する。すなわち、エアギャップが一定だとしても供給圧力が下がった場合、流量が低下する。従って、研磨ヘッド用流量計24の測定値を直接エアギャップに換算すると、圧力変動によって、対象物体3と研磨ヘッド21との距離が変化してしまう。本実施の形態では、圧力変動によるエアギャップの変化を低減するため、参照ヘッド31が設けられている。次に参照ヘッド31の構成及び参照ヘッド31までのエア供給経路について説明する。
参照ヘッド31の下面には、噴出口32が設けられている。この噴出口32から気体が基準ステージ33の表面に対してエアを噴出する。すなわち、噴出口32と基準ステージ33とが対向配置されている。従って、基準ステージ33の上側の表面が基準面となり、エアが噴出される。さらに、参照ヘッド31は、基準ステージ33に対して固定されており、参照ヘッド31と基準ステージ33との距離が一定となっている。すなわち、参照ヘッド31の噴出口32と基準ステージ33との間のギャップが一定となっている。噴出口32からのエアは、この固定ギャップを基準ステージ33の表面に沿って流れていき、基準ステージ33と参照ヘッド31との間の空間の外側に噴出される。従って、噴出口32からの流量は固定ギャップで決まるコンダクタンスに応じた流量となる。ここで、参照ヘッド31を基準ステージ33に対して固定しているため、圧力変動がない場合、噴出口32からの流量は一定となる。基準ステージ33としては、例えば、欠陥修正装置100の基台1などの平坦な面を用いることができる。もちろん、基準ステージ33は、参照ヘッド31に対して十分広い大きさを有している。
タンク26は参照ヘッド用配管35を介して参照ヘッド用流量計34に接続されている。参照ヘッド用流量計34は、参照ヘッド用配管35に流れるエアの流量を測定する。そして、参照ヘッド用流量計34を通過したエアは、参照ヘッド用配管25を介して参照ヘッド31に供給される。従って、レギュレータ27により設定された圧力のエアが、参照ヘッド31に供給される。これにより、参照ヘッド31の噴出口32からエアが所定の圧力で噴出する。また、タンク26を介してレギュレータ27と参照ヘッド31を接続しているため、参照ヘッド31に対する供給圧力の変動を小さくすることができる。
ここで噴出口32からは、固定ギャップによって決まるコンダクタンスに応じた流量でエアが噴出される。さらに一つのタンクに参照ヘッド用配管35及び研磨ヘッド用配管25を接続しているため、参照ヘッド用配管35及び研磨ヘッド用配管25に同じ圧力で気体が供給される。参照ヘッド用配管35とが研磨ヘッド用配管25とがタンク26において連通している。従って、参照ヘッド用配管35とが研磨ヘッド用配管25とに同じ圧力の気体が供給される。このように、レギュレータ27よりも下流側のエア供給経路を分岐して参照ヘッド用配管35と研磨ヘッド用配管25とを設けることによって、噴出圧力を等しくすることができる。これにより、レギュレータ27の供給圧力が変動した場合でも、噴出口22及び噴出口32の噴出圧が等しくなる。
参照ヘッド31は研磨ヘッド21と略同じ形状を有している。すなわち、参照ヘッド31と研磨ヘッド21とは同じ構成をしている。さらに、参照ヘッド31に設けられている噴出口32は、研磨ヘッド21に設けられている噴出口22と同じ構成となっている。換言すると、噴出口22と噴出口32とは同じ形状を有しており、噴出面積が等しくなっている。また、複数の噴出口22を研磨ヘッド21に設けた場合、参照ヘッド31には同じ数の噴出口が設けられる。さらに、研磨ヘッド21に対する噴出口22の位置と、参照ヘッド31に対する噴出口32に位置が同じ配置になっている。このように、噴出口22と噴出口32とを同じ形状で、同じ配置とする。従って、噴出口22によるエアギャップと、噴出口32によるエアギャップとが等しい場合、噴出口22周辺のコンダクタンスと、噴出口32周辺のコンダクタンスが同じになる。これにより、噴出口32と噴出口22から等しい流量の気体が噴出され、研磨ヘッド用流量計24と参照ヘッド用流量計34との測定値が等しくなる。このように、エアギャップが等しい場合、流量が等しくなる構成としている。このため、本実施の形態では、噴出口22と噴出口32とを同じ構成とし、参照ヘッド31を研磨ヘッドと同じ形状としている。なお、参照ヘッド31には研磨部101を設ける必要はなく、例えば、研磨部101と同じ形状の物を用いてもよい。
さらに、タンク26から参照ヘッド31までの参照ヘッド用配管35を、タンク26から研磨ヘッド25までの研磨ヘッド用配管25と同じ構成とすることが好ましい。すなわち、参照ヘッド31までのエア供給経路と研磨ヘッド21までのエア供給経路とを略同じ構成とする。具体的には、参照ヘッド用配管35と研磨ヘッド用配管25とを同じ長さ、同じ形状、同じ内径とすることが好ましい。また、研磨ヘッド用流量計24と参照ヘッド用流量計34とに同じタイプの流量計を用いることが好ましい。研磨ヘッド用流量計24と参照ヘッド用流量計34としては、例えば、熱式流量計(サーマルフローメータ)を用いることができる。
タンク26内の圧力に変動が生じた場合、参照ヘッド用配管35及び研磨ヘッド用配管25の圧力も変化する。従って、噴出口22及び噴出口32からの流量が同様に変化する。例えば、タンク26内の圧力が高くなった場合、噴出口22及び噴出口32からの流量が増加し、タンク26内の圧力が低くなった場合、噴出口22及び噴出口32からの流量が減少する。すなわち、タンク26内の圧力に変動が生じた場合、噴出口22及び噴出口32からの流量が共に増減する。従って、噴出口22によるエアギャップと、噴出口32によるエアギャップが等しい場合、圧力変動が生じても、噴出口22からの流量と、噴出口32からの流量との比が一定になる。噴出口22からの流量と、噴出口32からの流量との比に基づいて、エアギャップを制御する。
このように、参照ヘッド用流量計34及び研磨ヘッド用流量計24での測定値は、供給圧力及び噴出側のコンダクタンスに応じて噴出量が変化する。すなわち、参照ヘッド用流量計34及び研磨ヘッド用流量計24での測定値は、上流側と下流側の差圧によって変化する。よって、供給圧が変動した場合、噴出する気体の流量が共に変化する。従って、参照ヘッド31を設けることによって供給圧の変動によるエアギャップへの影響を低減することができる。
次に、測定信号に対する演算処理について具体的に説明する。研磨ヘッド用流量計24と参照ヘッド用流量計34からの測定信号はADC37に入力される。なお、研磨ヘッド用流量計24からの測定信号は、研磨ヘッド用配管25における流量に対応し、参照ヘッド用流量計34からの測定信号は、参照ヘッド用配管35における流量に対応する。ADC37は、入力された測定信号をデジタル信号に変換する。ADC37によって変換されたデジタル信号は、MPU38に出力される。研磨ヘッド用流量計24の測定値が噴出口22から噴出する気体の流量Q1を示し、参照ヘッド用流量計34の測定値が噴出口32から噴出する気体の流量Q2を示す。
MPU38は、測定値に基づいて研磨ヘッド21のZ方向(鉛直方向)の位置を制御する。MPU38は、研磨ヘッド21の位置制御用の演算処理を行う。MPU38及びADC37は、例えば、処理装置12に設けられている。MPU38は、2つの流量計からの測定信号に基づいて、モータ制御回路10を制御するための制御信号を出力する。具体的には、MPU38は、(研磨ヘッド用流量計24での測定値)/(参照ヘッド用流量計34での測定値)に基づいて制御を行う。すなわち、MPU38はQ1/Q2の値を算出し、Q1/Q2の値に基づいて制御する。処理装置12は、Q1/Q2の値に基づいてモータ制御回路10に制御信号を出力する。そして、モータ制御回路10がステッピングモータ11の動作を制御する。これにより、研磨ヘッド21と対象物体3との距離を制御することができる。具体的には、ステッピングモータ11が研磨装置8を下降させている状態で、流量を測定する。そして、処理装置12は測定値に基づいて、例えば、PID制御を行う。このPID制御によって決まる下降速度によって、研磨ヘッド21が下降される。そして。エアギャップが所定の値となるまで、研磨ヘッド21を下降していく。
研磨ヘッド21の下降速度の制御について以下に説明する。ここでは、噴出口22と対象物体3とのギャップが、噴出口32と基準ステージ33との間の固定ギャップと同じギャップになるまで研磨ヘッド21を下降させるものとして説明する。すなわち、研磨ヘッド21と対象物体3との距離が参照ヘッド31と基準ステージ33との距離と同じになるまで、研磨ヘッド21を移動させる場合について説明する。例えば、噴出口32と基準ステージ33との間の固定ギャップを100μmとする。この場合、噴出口22と対象物体3とのエアギャップが100μmとなった時点で下降が停止する。従って、突起欠陥3aの研磨量はエアギャップに研磨部101の突出高さを考慮した値となる。
最初に、ステージ2を駆動して対象物体3の突起欠陥の位置に研磨ヘッド21を相対移動させる。これにより、対象物体3の突起欠陥の上方に、研磨ヘッド21が配置される。このとき、研磨ヘッド21は、対象物体3から十分離れており、突起欠陥3aに比べて十分高い位置にある。すなわち、研磨ヘッド21に設けられた研磨テープが突起欠陥3aと接触していない。研磨ヘッド21と対象物体3との距離は、参照ヘッド31と基準ステージ33との距離に比べて大きくなっている。従って、噴出口22周辺のコンダクタンスが噴出口32周辺のコンダクタンスよりも大きくなっており、流量はQ1>Q2となっている。さらに、研磨ヘッド21が対象物体3よりも十分高く配置されている。研磨ヘッド用流量計24の測定レンジを越えているため、流量計の測定信号に変化がない。すなわち、研磨ヘッド用流量計24オーバレンジとなっている。換言すると、研磨ヘッド用流量計24から出力される測定値は、研磨ヘッド用流量計24の最大測定値で一定である。このように、測定値が研磨ヘッド用流量計24のオーバーレンジである場合、研磨ヘッドを下降させてコンダクタンスが変化しても、測定信号に変化が生じない。一方、供給圧に変動がないとすると、参照ヘッド用流量計34の測定値はコンダクタンス及び供給圧で決まる流量で一定となっている。
ここで、モータ制御回路10からの制御信号に基づいて昇降機構9を動作させ、研磨ヘッド21を徐々に下降させていく。これにより、研磨ヘッド21と対象物体3との距離が小さくなっていく。よって、噴出口22と対象物体3とのエアギャップが狭くなり、コンダクタンスが徐々に小さくなっていく。このとき、モータ制御回路10は、ステッピングモータ11を一定速度で動作させる。これにより、昇降機構9が一定速度で動作して、研磨ヘッド21の下降速度が一定となる。さらに、この状態では、昇降機構9を高速で動作させ、研磨ヘッド21の下降速度を速くする。例えば、ステッピングモータ11の最大動作速度で研磨ヘッド21を下降させる。これにより、下降時間を短縮することができる。
そして、研磨ヘッド21を一定速度で下降させていくと、研磨ヘッド用流量計24からの測定信号に変化が現れる。すなわち、研磨ヘッド21と対象物体3との距離が近くなり、流量Q1が研磨ヘッド用流量計24の測定レンジ内になる。このように、噴出口22近傍のコンダクタンスが一定の値よりも小さくなると、流量Q1が研磨ヘッド用流量計24での最大測定値よりも小さくなる。これにより、研磨ヘッド用流量計24での測定値がある一定の流量(最大測定値)よりも小さくなる。従って、研磨ヘッド用流量計24からの測定信号に変化が生じる。処理装置12は、研磨ヘッド用流量計24の測定値Q1に変化が現れると、ステッピングモータ11の動作を一旦停止させる。具体的には、Q1/Q2の値に変化が生じると、ステッピングモータ11の動作を一旦停止させる。処理装置12は測定信号に基づいて、モータ制御回路10に対して制御信号を出力する。モータ制御回路は、処理装置12からの制御信号に基づいて、ステッピングモータ11の動作が一旦停止するよう、駆動信号を出力する。このモータ制御回路10からの駆動信号によってステッピングモータ11の動作が停止する。これにより、研磨ヘッド21の下降動作が一旦停止する。このとき、下降動作がオーバシュートするが、研磨ヘッド用流量計24の測定レンジが突起欠陥の高さに対して十分大きいため、過研磨は生じない。
研磨ヘッド21の下降動作が一旦停止した後、処理装置12は、研磨ヘッド21の下降動作を制御する。すなわち、参照ヘッド用流量計34からの測定信号と研磨ヘッド用流量計24からの測定信号に基づいて昇降機構9の下降速度を制御する。例えば、MPU38はQ1/Q2の値に基づいてPID制御を行う。具体的には、Q1/Q2=1となるよう、MPU38が、昇降機構9の下降速度をPID制御により変化させる。すなわち、Q1/Q2=1を目標値として、PID制御が行われる。このPID制御の結果、ステッピングモータ11の動作速度が決定する。処理装置12はPID制御によって決定された動作速度となるよう制御信号を出力する。モータ制御回路10は、ステッピングモータをこの動作速度で動作させる。これにより、研磨ヘッド21の下降速度を制御することができる。
このように、流量Q1、Q2をモニタしながら下降させ、流量計の測定値に基づいてフィードバック制御を行う。昇降機構9の動作速度を制御することにより、下降時間を短縮することができる。例えば、Q1/Q2が目標値である1に比べて十分大きい領域では、研磨ヘッド21が高速で下降する。そして、Q1/Q2が1に近くなるにつれて下降速度が徐々に遅くなっていく。従って、過研磨することがなくなり、精度のよい加工を短時間で行なうことができる。
また、流量Q1が流量計の測定レンジ内に入る前の下降速度は流量Q1が流量計の測定レンジ内に入った後の下降速度よりも速くなっている。すなわち、高速で下降させている状態で、測定値が測定レンジ内に入り、測定信号に変化が現れたら、下降速度を低下させる。これにより、オーバーシュートによる過研磨を防ぐことができる。流量計はダイナミックレンジが広いため、測定レンジに入った時点で、一定速度の下降からPID制御による下降に切換えた場合でも、オーバーシュートにより過研磨することがない。これにより、測定レンジ内に入る前の下降速度を速くすることができる。よって、下降時間を短縮することができる。なお、流量計としては、ダイナミックレンジの広い熱式流量計を用いることが好適である。
測定信号に基づいて下降速度を制御している状態で、さらに下降させる。これにより、対象物体3に研磨ヘッドの研磨部101が接近していく。突起欠陥3aと、研磨テープとが接触して、突起欠陥3aが研磨される。これにより、突起欠陥3aの高さが徐々に低くなっていく。
そして、Q1/Q2=1となった時点で、昇降機構9の下降動作を停止する。すなわち、Q1/Q2が目標値に到達した時点でステッピングモータ11の動作を停止させる。これにより、研磨ヘッド21と対象物体3とのギャップが目標ギャップとなり、下降が停止する。すなわち、研磨ヘッド21の研磨テープと対象物体3とが所定の距離となった時点で研磨が終了する。ここでは、研磨ヘッド21と対象物体3との距離が、参照ヘッド31と基準ステージ33との距離と等しくなると、下降が停止する。よって、参照ヘッド31の噴出口32と基準ステージ33とのギャップに応じた研磨量とすることができる。この場合、突起欠陥3aの高さが設定された高さとなるまで研磨される。これにより、研磨ヘッド21の高さ方向の位置を精度よく制御することができ、研磨量の精度を向上することができる。そして、研磨ヘッド21を所定の高さまで上昇させて、ステージ2を移動する。その後、同様に研磨ヘッド21を下降させて、別の位置の突起欠陥を研磨する。
また、Q1/Q2の値に基づいて下降を停止させることにより、圧力変動が生じた場合でも、研磨量に変化が生じない。参照ヘッド31と研磨ヘッド21に対するエアの供給圧が等しいため、圧力が変動した場合でも、精度よく研磨することができる。さらに本実施の形態では、エアギャップの制御に必要な作業がフローセンサーの調整のみであるため、精度の高い研磨を簡便に行なうことができる。すなわち、機械的な調整を行なう必要がないため、高い精度で位置を調整することができる。従って、設定した研磨量で正確に研磨することができ、高精度の加工が可能となる。
上記の構成によって、噴出口22と対象物体3とのエアギャップを精度よく調整することができる。例えば、レギュレータの設定圧力を10〜15kPaとした場合、流量Q1が0.01l/min変化すると、ギャップが約0.1μmだけ変化する。従って、μm単位での位置調整が可能となる。なお、ここで流量Q1は標準状態での流量である。従って、サブミクロンでの位置調整が可能になる。この場合は、流量計の測定単位は、研磨量の精度に応じて決定すればよい。すなわち、研磨量の精度をより高くしたい場合は、精度の高い流量計を用いるようにする。また、流量計の測定レンジは、ステッピングモータの回転速度やオーバシュート量に応じて選択すればよい。さらに、流量Q1が流量計の測定レンジ内に入った時点で研磨ヘッドの下降を一旦停止する構成に限らず、測定値が一定の値になった時点で研磨ヘッドの下降を一旦停止するようにしてもよい。この場合、Q1/Q2にしきい値を設定する。このしきい値はQ1/Q2の目標値よりも大きくなる。測定値がしきい値となるまでは、研磨ヘッド21を所定の下降速度で高速に移動させることができる。そして、Q1/Q2がしきい値となった後、Q1とQ2の比に基づいて、下降速度を変化させる。
ここで、Q1/Q2の目標値を変更することによって、研磨量を調整することができる。例えば、Q1/Q2の目標値を2とすると、流量Q1が流量Q2の2倍となって時点で、研磨ヘッド21の下降が停止する。従って、研磨ヘッド21の噴出口22周辺のコンダクタンスが参照ヘッド31の噴出口32周辺のコンダクタンスよりも大きい状態で、研磨が終了する。よって、噴出口22と対象物体3とのエアギャップが広くなり、研磨量を少なくすることができる。すなわち、突起欠陥3aが高くなっている状態で、研磨が終了する。従って、過研磨を確実に防ぐことができる。研磨量を多くする場合は、Q1/Q2の目標値を小さい値に設定し、研磨量を小さくする場合は、Q1/Q2の目標値を大きい値に設定する。これにより、研磨ヘッド21と対象物体3との距離を精度よく調整することができる。従って、簡便に研磨量の微調整を行なうことができる。このように、研磨ヘッド用流量計24の測定値と参照ヘッド用流量計34の測定値とを所定の比にすることによって、精度よく研磨を制御することができる。すなわち、研磨ヘッド用流量計24の測定値と参照ヘッド用流量計34の測定値との比に基づいて、下降動作を制御する。これにより、下降速度を速くすることができるため、研磨時間を短縮できる。さらに、下降動作が停止する位置を正確に制御することができるため、研磨量を正確に制御することができる。
なお、上記の説明では、研磨ヘッド21を下降させる構成について説明したが、本発明はこれに限るものではない。対象物体について加工を行う加工ヘッドを昇降させてもよい。さらに、研磨ヘッドなどの加工ヘッドを突起欠陥を修正する欠陥修正装置に用いることもできる。すなわち、上記の昇降動作をする加工ヘッドを欠陥修正装置に設ける。これにより、確実に欠陥を修正することができる。例えば、光学的に欠陥を検出する欠陥検出器とを備える欠陥修正装置に、上記の昇降動作を有する加工ヘッドを取り付けることも可能である。これにより、欠陥の検出、修正を短時間で行なうことができ、生産性を向上することができる。上記の昇降動作の制御が行われる昇降機構は、対象物体に対して接触して加工を行う加工装置に好適である。
なお、研磨、加工の対象となる対象物体は、カラーフィルタ基板に限られるものではない。例えば、半導体基板、液晶表示装置用の基板に対して研磨、加工等を行ってもよい。
さらに突起欠陥の研磨に限らず、対象物体自体を研磨するようにしてもよい。
また、参照ヘッド31を研磨ヘッド21と同じ形状としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、参照ヘッド31と研磨ヘッド21との形状の違いを考慮して、Q1/Q2の目標値を設定すればよい。すなわち、参照ヘッド31と研磨ヘッド21とコンダクタンスの違いを考慮して、Q1/Q2の目標値を目標とするエアギャップに応じて設定する。これにより、参照ヘッド31を研磨ヘッド21と異なる形状とした場合でも、研磨量を制御することができる。なお、噴出口22周辺と噴出口32周辺とのコンダクタンスを等しくすることによって、目標値を設定することが可能となる。
なお、参照ヘッド31と基準ステージ33とのギャップを可変としてもよい。この場合、一つの突起欠陥を研磨しているときは、ギャップを固定とすることが好ましい。そして、研磨量を変化させるときにギャップを変えるようにする。
発明の実施の形態2.
本実施の形態では、研磨ヘッドの噴出口を複数設け、各噴出口からの流量に基づいて研磨ヘッドの傾きを測定している。そして、測定した研磨ヘッドの傾きに基づいて目標値を補正している。よって、対象物体が傾いている場合でも、精度よく研磨することができる。例えば、ステージ2に撓みが生じている場合でも、精度よく研磨することができる。これにより、ガラスステージなどの撓みやすい、あるいは撓みの大きいステージを用いることが可能になる。さらには、エアだまりやパーティクルの挟み込みなどによって発生する局所的、突発的な傾きに対しても有効である。
本実施の形態の研磨ヘッドの構成について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態にかかる研磨ヘッドの下面の構成を示す平面図である。すなわち、図4は、研磨ヘッドの対象物体と対向する面を示している。図4に示すように研磨ヘッド21の中央には、研磨部101が設けられている。この研磨部101の周りには複数の噴出口22が設けられている。ここでは、研磨ヘッド21の下面に噴出口22が4個設けられている。この4個の噴出口22をそれぞれ噴出口22a〜噴出口22dとする。噴出口22a〜22dは、同じ形状である。図4において、噴出口22aは、研磨ヘッド21の下面の左上隅の角近傍に設けられ、噴出口22bは、研磨ヘッド21の下面の左下隅の角近傍に設けられ、噴出口22cは、研磨ヘッド21の下面の右上隅の角近傍に設けられ、噴出口22bは、研磨ヘッド21の下面の右下隅の角近傍に設けられている。ここで、研磨ヘッド21の下面において、4個の噴出口22は対称的に設けられている。すなわち、4個の噴出口22の中心が研磨部101の下面の中心となる。4個の噴出口22の中心には、研磨部101の押圧部材102が配置される。そして、研磨ヘッド21内部のエア供給経路も4個の噴出口22a〜22dに対応してそれぞれ区分けされている。すなわち、研磨ヘッド21には、4つのエア供給経路が設けられており、噴出口22a〜22dに対してエアを別系統で供給する。研磨ヘッド21には噴出口22a〜22dに対応する4つのエア導入口が設けられ、それぞれ別々のエア供給経路でエアが供給される。なお、1つの噴出口22に対して他の噴出口から噴出されたエアの影響を防ぐため、各噴出口の領域を区切ってもよい。これにより、制御を簡易にすることができる。
具体的には、噴出口22aと噴出口22bはX方向において同じ位置に配設されている。また、噴出口22cと噴出口22dもX方向において同じ位置に配設されている。噴出口22aと噴出口22cとは、Y方向において同じ位置に配設されている。噴出口22bと噴出口22dとは、Y方向において同じ位置に配設されている。従って、噴出口22a〜22dがエアを噴出する噴出面、すなわち、対象物体3の表面が平坦な場合、噴出口22a〜22dはそれぞれ同じコンダクタンスとなる。従って、噴出口22a〜22dからは同じ流量のエアが噴出される。一方、対象物体の表面が傾いている場合、噴出口22a〜22dのコンダクタンスがばらつく。噴出口22a〜22dのコンダクタンスが異なる値を取り、噴出口22a〜22dからの流量に違いが生じる。従って、噴出口22a〜22dからの流量をそれぞれ測定することによって、対象物体3の表面に対する研磨ヘッド21の傾きを求めることができる。
次に、傾きを検出するための構成について図5を用いて説明する。図5は、研磨ヘッド及びそのエア供給経路の構成を示す図である。なお、図5において、実施の形態1で説明した構成と同様の構成については説明を省略する。また、実施の形態1で示した手順と同様の手順については説明を省略する。
本実施の形態では、噴出口22a〜22dのそれぞれに対して異なるエア供給経路が設けられている。すなわち、噴出口22aの研磨ヘッド用配管25aと、噴出口22bの研磨ヘッド用配管25bと、噴出口22cの研磨ヘッド用配管25cと、噴出口22dの研磨ヘッド用配管25dとが、タンク26に接続されている。さらに本実施の形態では、研磨ヘッド用配管25a〜25dのそれぞれに対応して、研磨ヘッド用レギュレータ41a〜41dと、研磨ヘッド用流量計24a〜24dとが設けられている。すなわち、タンク26と噴出口22aとの間の研磨ヘッド用配管25aには、研磨ヘッド用流量計24a及び研磨ヘッド用レギュレータ41aが接続されている。研磨ヘッド用流量計24aは研磨ヘッド用レギュレータ41aよりも研磨ヘッド21側に設けられている。すなわち、タンク26に接続された研磨ヘッド用配管25aは、研磨ヘッド用レギュレータ41aによって、供給圧を調整されている。そして、研磨ヘッド用レギュレータ41aによって供給圧が調整された気体の流量は研磨ヘッド用流量計24aによって測定される。また、噴出口22b〜22dのそれぞれのエア供給経路についても、噴出口22aに対するエア供給経路と同様の構成を有している。すなわち、タンク26と噴出口22b〜22dとの間の研磨ヘッド用配管25b〜25dには、研磨ヘッド用流量計24b〜24d及び研磨ヘッド用レギュレータ41a〜41dが対応して接続されている。なお、噴出口22c及び噴出口22dのエア供給経路については、噴出口22a及び噴出口22bのエア供給経路と同様であるため、図4では、研磨ヘッド用配管25c及び研磨ヘッド用配管25dの一部については省略している。研磨ヘッド用レギュレータ41a〜41dには、例えば精密レギュレータを用いることができる。ここで、レギュレータ41a〜41dによって噴出口22a〜噴出口22dへの供給圧が等しくなるよう設定されている。
さらに、参照ヘッド31までのエア供給経路にも、参照ヘッド用流量計34及び参照ヘッド用レギュレータ42が設けられている。すなわち、参照ヘッド用配管35には、参照ヘッド用流量計34及び参照ヘッド用レギュレータ42が設けられている。参照ヘッド用レギュレータ42は例えば、精密レギュレータである。参照ヘッド用流量計34は参照ヘッド用レギュレータ42よりも参照ヘッド31側に設けられている。すなわち、タンク26に接続された参照ヘッド用配管35は、参照ヘッド用レギュレータ42によって、供給圧を調整されている。そして、参照ヘッド用レギュレータ42によって供給圧が調整された気体の流量は参照ヘッド用流量計34によって測定される。
ここで、研磨ヘッド用レギュレータ41a〜41d及び参照ヘッド用レギュレータ42は同じ供給圧力に設定されている。従って、対象物体3が傾いていない状態では、研磨ヘッド用流量計24a〜24dが同じ測定値となる。そして、参照ヘッド用流量計34の測定値と、研磨ヘッド用流量計24a〜24dの測定値の平均値とが等しくなった時点で下降を停止する。これにより、対象物体3の表面と研磨ヘッド21の下面とが平行な状態で研磨を行なうことができる。
一方、対象物体3に対して研磨ヘッド21が傾いていると、供給圧が等しいため、研磨ヘッド用流量計24a〜24dの測定値が異なった値となる。すなわち、噴出口22a〜22dの周辺のコンダクタンスが変化するため、それぞれのエア供給経路で流量に違いが生じる。研磨ヘッド用流量計24a〜24dの上流と下流との差圧が異なるものとなり、噴出するエアの流量にばらつきが生じる。従って、研磨ヘッド用流量計24a〜24bの測定値に基づいて研磨ヘッド21の傾きを測定することができる。すなわち、研磨ヘッド用流量計24a〜24bの測定値の差が、基板に対する研磨ヘッド21の傾きの角度に対応する。よって、各測定信号の差を算出することによって、研磨ヘッド21の傾きを測定することができる。
例えば、図5に示す状態では、対象物体3が傾いて、噴出口22aが噴出口22bよりも対象物体3に近くなっている。すなわち、噴出口22aのエアギャップが噴出口22bのエアギャップよりも狭くなっている。従って、コンダクタンスに違いが生じ、噴出口22aからの流量が、噴出口22bの流量よりも小さくなるはずである。測定値に違いによって傾きを検出することができる。
このように測定信号の差に基づいて傾きを測定する。そして、測定された傾きに基づいて目標値を補正する。すなわち、測定された傾きに応じて目標値の設定を変化させる。具体的には、傾きの値と補正量とを予め設定しておく。すなわち、傾斜角度と補正量が予め対応付けて記憶させておく。そして、下降中に測定した傾きに応じて、補正量を決定する。この補正量に応じて、Q1/Q2の目標値を補正する。このとき、流量Q1は、例えば、研磨ヘッド用流量計21a〜21dの和あるいは平均とすることができる。そして、補正した目標値に到達した時点で、下降を停止する。これにより、停止位置を補正することができるため、実際の研磨量が目標値に近くなり、より正確な研磨を行なうことができる。なお、下降中に傾きが変動する場合、補正量も下降距離に応じて変動する。この場合、傾きを測定しながら、下降を行う。そして、補正量の変動に応じてを目標値をフィードバック制御しながら研磨を行う。これにより、より高い精度で研磨量を調整することができる。このように、本実施の形態の構成によって、研磨量の制御をより正確に行うことができる。従って、対象物体3を正確に加工することができ、欠陥修正をより確実に行うことができる。
なお、エア供給経路の数は4つに限られるものではなく、2つ以上であればよい。すなわち、エア供給経路毎に、複数の噴出口を設ける。従って、複数のエア供給経路から供給された気体が供給経路毎に異なる噴出口から噴出される。そして、複数のエア供給経路に対応する複数の流量計及び複数のレギュレータを設ける。複数の流量計からの測定信号に基づいて、傾きを検出する。もちろん、1つの流量計に対して複数の噴出口が設けられていても良い。すなわち、1つのエア供給経路から供給されたエアが複数の噴出口から噴出される構成としてもよい。このように、複数の研磨ヘッド用流量計24a〜24dの測定値に基づいて、目標値をフィードバック制御することにより、傾きの変動による研磨量のずれを補正することができる。なお、上記の説明では噴出口22aと噴出口22bが配列されている方向について説明したが、供給経路を3系統以上にすることによって、X方向及びY方向の傾きに対して補正することができる。
発明の実施の形態3.
本実施の形態では実施の形態2で測定した加工ヘッドの傾きを調整している。すなわち、実施の形態2では、測定した傾きに基づいて研磨量を調整したが、本実施の形態ではアクチュエータを用いて傾きを調整している。この傾き調整手段の構成について図6を用いて説明する。なお、実施の形態1及び実施の形態2で説明した構成については説明を省略する。
本実施の形態でも、実施の形態2と同様に噴出口22が4つ設けられ、それぞれの噴出口に対して、異なる供給経路で気体が供給される。本実施の形態では、傾きを調整するためのアクチュエータ43a、43bが研磨ヘッド21に対して設けられている。このアクチュエータ43a、43bは、図4で示した噴出口22a、22bに対応して設けられている。例えば、アクチュエータ43aは噴出口22aの上に設けられ、アクチュエータ43bは噴出口22bの上に設けられる。さらに、噴出口22c、22dの上にもアクチュエータ43c、43dが設けられているが、これらについては省略して図示している。従って、アクチュエータ43a〜43dは噴出口22a〜22dに対応して4つ設けられる。なお、このアクチュエータ43は、例えば、昇降機構11の一部に固定され、昇降機構11の昇降動作とともに、昇降する。複数のアクチュエータ43はそれぞれ研磨ヘッド21の上面の異なる位置に設けられている。なお、実施の形態2と同様に各供給経路の配管に対して、それぞれ、レギュレータを設けても良い。
アクチュエータ43は、処理装置12からの信号によって伸縮し、研磨ヘッド21に対して鉛直方向の力を与える。例えば、アクチュエータ43a、43bが伸長すると、研磨ヘッド21に対して鉛直下方に力を加わる。また、アクチュエータ43a、43bが短縮すると、研磨ヘッド21には、鉛直上方に力が加わる。そして、アクチュエータ43の伸縮距離に応じて加わる力の大きさが変化する。ここで、複数のアクチュエータ43は研磨ヘッド21の異なる位置に配設されている。従って、アクチュエータ43により研磨ヘッド21に与えられる力を独立して制御することによって、傾きを調整することができる。
例えば、図6に示すように、対象物体3が傾いている場合、噴出口22aのエアギャップが,噴出口22bのエアギャップよりも狭くなっている。この場合、研磨ヘッド用流量計24a、24bの測定値に違いが生じる。流量計の測定値に違いによって傾きを検出することができる。従って、アクチュエータ43aを伸長させ、アクチュエータ43bを短縮させる。これにより、研磨ヘッド21に位置に応じて、異なる方向に力が加わる。例えば、噴出口22aの位置では、鉛直下方に力が加わり、噴出口22bの位置では鉛直上方に力が加わる。噴出口22aのエアギャップと噴出口22bのエアギャップが等しくなるようアクチュエータ43を制御する。これにより、研磨ヘッド21を対象物体3の表面に対して水平にすることができる。
なお、上記の説明ではアクチュエータ43a、43bの制御について説明したが、アクチュエータ43c、43dについても同様に制御することができる。4つの研磨ヘッド用流量計24a〜24dの測定値が等しくなるようにアクチュエータ43の伸縮を制御する。これにより、傾きを調整することができ、対象物体3の表面と研磨ヘッド21の下面とを平行にすることができる。
このとき、鉛直上方に加わる力と鉛直下方に加わる力が等しくなるようにする。すなわち、アクチュエータによって加わる力の合成が0となるようにする。そして、研磨ヘッド用流量計24a〜24dの測定値と測定値参照ヘッド31の測定値の比に基づいて下降を停止させる。これにより、研磨量を精度よく制御することができる。ここで、アクチュエータの数は、流量計の数と同数にして、異なる供給経路の噴出口に対応する位置にアクチュエータを配設することが好ましい。これにより、傾き調整を容易に行うことができる。このように、複数の研磨ヘッド用流量計24から測定信号に基づいてアクチュエータ43から研磨ヘッド51に与えられる力を制御することによって、傾きを調整することができる。
実施の形態1〜3の構成によれば、研磨量を正確に制御することができる。さらに、対象物体3と研磨ヘッド21との距離が一定になるよう制御されているため、外部の振動等があった場合でも、精度よく研磨することができる。さらに対象物体3の表面に微細な凹凸がある場合でも、研磨ヘッド21の下面で平均化されるため、均一に研磨することができる。また、研磨ヘッド21の下面には、剛性を高くするため、エアギャップ間のエアを吸引する吸引部を設けてもよい。さらに、Q1/Q2の目標値を変えるだけで目標ギャップを変えることができるため、目標ギャップの設定を容易に行うことができる。
なお、実施の形態1〜3では、研磨ヘッド21を下降させたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、接触式の測定プローブなどを下降させることができる。もちろん、非接触式の測定プローブであってもよい。さらには、光学装置における対物レンズなど光学部品を昇降させてもよい。例えば、上記の昇降機構は、コンフォーカル光学系などで、高さ方向に対物レンズを移動させる構成を有する光学装置に好適である。また、光学プローブなど、その他のプローブを下降させてもよい。また、表示装置や半導体装置などに用いられるパターン基板の製造工程において、上記の研磨装置で欠陥を修正する。これにより、パターン基板の生産性を向上することができる。