JP4673708B2 - 容器用着色ラミネート金属板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)金属板の片面または両面に,着色接着剤層と,少なくとも下層および表層の2層からなるポリエステル樹脂フィルムとを順次積層した複層樹脂フィルムを被覆してなる容器用着色ラミネート金属板であって,前記表層の厚みと前記下層の厚みとの比は,1:3〜1:30であり,前記着色接着剤層は,数平均分子量が2000〜6000のエポキシ樹脂を主成分とし,さらに,着色剤と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部の高エーテル化アミノ樹脂と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部のブロックイソシアネート化合物と,を含み,前記下層は,125℃における半結晶化時間が100秒以下であるポリエステル樹脂を主成分とし,前記表層は,融点が245℃以上の高融点ポリエステル樹脂を主成分とし,前記複層樹脂フィルムの前記下層には,複屈折が0.04以下である領域が前記着色接着剤層との接触界面からフィルムの厚み方向に4μm以上存在することを特徴とする,容器用着色ラミネート金属板。
(2)前記表層の高融点ポリエステル樹脂は,エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂であることを特徴とする,(1)に記載の容器用着色ラミネート金属板。
(3)前記表層の高融点ポリエステル樹脂は,テレフタル酸及び/又はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの重合で得られるポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする,(2)に記載の容器用着色ラミネート金属板。
(4)前記下層のポリエステル樹脂は,エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と,ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂とからなることを特徴とする,(1)に記載の容器用着色ラミネート金属板。
(5)前記エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と,前記ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂とは,80:20〜30:70の質量比で混合されていることを特徴とする,(4)に記載の容器用着色ラミネート金属板。
(6)前記ポリエステル樹脂フィルムの厚みは,6〜30μmであることを特徴とする,(1)に記載の容器用着色ラミネート金属板。
(7)前記着色接着剤層は,リン酸変性化合物とブロックフリーイソシアネート化合物のいずれか一方または双方をさらに含有することを特徴とする,(1)に記載の容器用着色ラミネート金属板。
(8)金属板の片面または両面に,ラミネートロールを用いて樹脂フィルムを熱圧着させるラミネート工程を含む容器用着色ラミネート金属板の製造方法において,前記樹脂フィルムは,(a)着色剤と,数平均分子量が2000〜6000のエポキシ樹脂と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部の高エーテル化アミノ樹脂と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部のブロックイソシアネート化合物と,を含有する着色接着剤層と,(b)エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と,ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂との混合物であり,125℃における半結晶化時間が100秒以下であるポリエステル樹脂を主成分とする下層と,(c)前記下層よりも高融点のポリエステル樹脂を主成分とする表層とを順次積層した複層樹脂フィルムであり,前記表層の厚みと前記下層の厚みとの比は,1:3〜1:30であり,前記複層樹脂フィルムの前記下層には,複屈折が0.04以下である領域が前記着色接着剤層との接触界面からフィルムの厚み方向に4μm以上存在し,前記ラミネート工程は,(A)前記ラミネートロール通過中の前記複層樹脂フィルムの前記金属板との接着面の温度を,前記ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の融点以上の温度とし,かつ,前記ラミネートロールによる熱圧着時間を10〜80ミリ秒間とする条件で,前記複層樹脂フィルムの前記着色接着剤層側の面を前記金属板に熱圧着させる工程と,(B)前記ラミネートロール通過後の前記金属板の温度150℃以上で0.5〜30秒間熱処理する工程と,を含むことを特徴とする,(1)に記載の容器用着色ラミネート金属板の製造方法。
(9)前記ラミネート工程における雰囲気のクリーン度は,10000以下であることを特徴とする,(8)に記載の容器用着色ラミネート金属板の製造方法。
(10)前記熱圧着時の面圧は,1〜30kgf/cm2であることを特徴とする,(8)に記載の容器用着色ラミネート金属板の製造方法。
(11)前記ラミネートロールは,ゴムライニングロールであることを特徴とする,(8)に記載の容器用着色ラミネート金属板の製造方法。
一般に,缶用途では,意匠性も重要な要求特性となり,缶外面の色としては金色等の光輝色が好まれる傾向にある。金色等の光輝色は,光沢のある金属板上に,黄色顔料,赤色顔料で着色した透明フィルムをラミネートすることにより得られる。また,金色等の光輝色は,レトルト殺菌処理後にも変色しないことが要求される。
次に,缶内容物充填後のレトルト処理によっても優れた表面光沢と,高い透明度を保持する本実施形態に係るポリエステル樹脂フィルムについて説明する。
また,下層と表層とを含む複層ポリエステル樹脂フィルムの全厚みは,容器外面の適用環境に応じて適宜設定するが,6〜30μmであることが好ましい。複層ポリエステル樹脂フィルムの全厚みが6μm未満ではフィルムの生産性が著しく低下し,30μmを超えると,原料コストが上昇して経済的でないばかりか,曲率の小さな曲げ加工性が悪化するため,好ましくない。
次に,本実施形態に係る複層ポリエステル樹脂フィルムの製造方法について説明する。複層ポリエステル樹脂フィルムは,共押出し二軸延伸フィルムとして製造する。例えば,樹脂融点256℃のホモPETを表層に,樹脂融点226〜256℃のPETと220℃のPBT(ポリブチレンテレフタレート)とを混合したポリエステル樹脂を下層に使用する場合は,これら樹脂を共押出し,二軸延伸後,熱固定温度150〜210℃で熱処理して分子結晶化させ,原反フィルムを製造する。
上述したような構成を有する着色接着剤層は,着色剤を含有する接着剤を希釈溶剤で希釈調合して,ロールコータ方式,ダイコータ方式,グラビア方式,グラビアオフセット方式,スプレー塗装方式等の塗装手段により複層ポリエステル樹脂フィルムの下層側の面に塗布することにより形成することができる。その後,希釈溶剤を揮発,除去するために50〜180℃の温度で乾燥され,コイル状に巻き取られる。このようにして,本実施形態に係る複層樹脂フィルムが形成される。
上述したように製造された複層樹脂フィルムは缶外面側に用いられるが,缶内面側に用いるフィルムの構成については任意に選択できる。例えば,ポリエステルやポリオレフィンフィルムを用い,これらのフィルムに必要に応じて滑剤,酸化防止剤,熱安定化剤,紫外線吸収剤,顔料,可塑剤,帯電防止剤,結晶角剤等を配合しても良い。
次に,図1に基づいて,本実施形態に係る容器用着色ラミネート金属板の製造方法について詳細に説明する。なお,図1は,本実施形態に係る容器用着色ラミネート金属板の製造装置の概略的な構成を示す説明図である。
厚さ0.21mmのローモ板を,脱脂酸洗後,無水クロム酸とフッ化物を含むクロムめっき浴でクロムめっきし,中間リンス後,無水クロム酸とフッ化物を含む化成処理液で電解化成処理した金属板を基材とした。基材のクロムめっき量を,金属クロム付着量が100mg/m2,クロム水和酸化物量が12mg/m2となるように調整した。
上述したように製造した容器用着色ラミネート鋼板について,フィルム融着層の厚み,ラミネート後の表面粗度,レトルト熱処理後の外観,およびDRD缶レトルト密着性を評価した結果について説明する。
(1)フィルム融着層の厚み
ここでいうフィルム融着層の厚みとは,着色接着剤層と複層樹脂フィルムの下層の界面領域に形成される融解層厚みのことであり,具体的には,複屈折0.04以下の領域でフィルム融着が生じているものとして,複屈折0.04以下の領域の金属板との界面からの厚みを測定した。ここで,「複屈折0.04以下の厚み」は,フィルムを厚み方向に薄膜スライスしたサンプルとし,偏光顕微鏡で位相角θ,複屈折分布を求めることにより測定した。
(2)ラミネート後の表面粗度
ラミネート後のフィルムの平滑性をRaで評価することにより,ラミネート後の表面粗度で評価した。具体的には,接触式3次元粗さ計を用い,1mm角エリアを2μmピッチで測定し,中心線平均粗さRaを求めた。Raが50nm以下で平滑性が良好なものを○,Raが50nm超で平滑性が劣るものを×とした。
(3)レトルト熱処理後の外観
ラミネート金属板からΦ160mmの円板を打ち抜き,2段階の絞り加工で内径87mmのDRD缶(絞り缶)を得た。このDRD缶のフランジ部を幅2.5mmになる様にトリミングし,水を充填し,蓋を巻き締めた後,125℃で90分間のレトルト熱処理を行い,レトルト熱処理後の缶外観の変化を目視で判定した。具体的には,外観に変化が無かったものを○,僅かにレトルトブラッシングが発生したものを△,著しくレトルトブラッシングが発生したものを×とした。なお,レトルトブラッシングは,フィルム下層および着色接着剤の双方については,以下の外観評価で行った。
フィルム下層のレトルトブラッシングは,レトルト処理釜内で缶表面に蒸気が不均一に吹付けられ,ポリエステル融解分子の不均一再結晶化して,フィルム白濁として現われる。この場合は,金属板の金色表面を白濁フィルムで覆った外観不良となる。
着色接着剤のレトルトブラッシングは,レトルト処理時に接着剤が残留溶剤および水分を含んだ状態で硬化するため,硬化接着剤層が部分的かつ不均一に膨張し,金色が部分的に濁った褐色に変色する。この場合は,変色した金属板の上を透明フィルムが覆った外観不良となる。
(4)DRD缶レトルト密着性
(4)と同様に,製缶,フランジトリミングしたDRD缶を,125℃で90分間のレトルト熱処理し,レトルト熱処理後の缶のフランジ部のフィルム剥離を目視観察した。具体的には,フィルムの剥離が無かったものを○,フィルムの剥離があったものを×とした。
20 複層樹脂フィルム(缶外面用フィルム)
22 着色接着剤層
24 下層(PET+PBT)
26 表層(PET)
30 缶内面用フィルム
42,44 ラミネートロール
50 ウォータークエンチ
Claims (8)
- 金属板の片面または両面に,着色接着剤層と,少なくとも下層および表層の2層からなるポリエステル樹脂フィルムとを順次積層した複層樹脂フィルムを被覆してなる容器用着色ラミネート金属板であって,
前記表層の厚みと前記下層の厚みとの比は,1:3〜1:30であり,
前記着色接着剤層は,数平均分子量が2000〜6000のエポキシ樹脂を主成分とし,さらに,着色剤と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部の高エーテル化アミノ樹脂と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部のブロックイソシアネート化合物と,を含み,
前記下層は,125℃における半結晶化時間が100秒以下であるポリエステル樹脂を主成分とし,
前記表層は,融点が245℃以上の高融点ポリエステル樹脂を主成分とし,
前記複層樹脂フィルムの前記下層には,複屈折が0.04以下である領域が前記着色接着剤層との接触界面からフィルムの厚み方向に4μm以上存在する,
ことを特徴とする,容器用着色ラミネート金属板。 - 前記表層の高融点ポリエステル樹脂は,エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂であることを特徴とする,請求項1に記載の容器用着色ラミネート金属板。
- 前記表層の高融点ポリエステル樹脂は,テレフタル酸及び/又はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの重合で得られるポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする,請求項2に記載の容器用着色ラミネート金属板。
- 前記下層のポリエステル樹脂は,エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と,ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂とからなることを特徴とする,請求項1に記載の容器用着色ラミネート金属板。
- 前記エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と,前記ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂とは,80:20〜30:70の質量比で混合されていることを特徴とする,請求項4に記載の容器用着色ラミネート金属板。
- 前記ポリエステル樹脂フィルムの厚みは,6〜30μmであることを特徴とする,請求項1に記載の容器用着色ラミネート金属板。
- 前記着色接着剤層は,リン酸変性化合物とブロックフリーイソシアネート化合物のいずれか一方または双方をさらに含有することを特徴とする,請求項1に記載の容器用着色ラミネート金属板。
- 金属板の片面または両面に,ラミネートロールを用いて樹脂フィルムを熱圧着させるラミネート工程を含む容器用着色ラミネート金属板の製造方法において,
前記樹脂フィルムは,(a)着色剤と,数平均分子量が2000〜6000のエポキシ樹脂と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部の高エーテル化アミノ樹脂と,前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部のブロックイソシアネート化合物と,を含有する着色接着剤層と,(b)エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂と,ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂との混合物であり,125℃における半結晶化時間が100秒以下であるポリエステル樹脂を主成分とする下層と,(c)前記下層よりも高融点のポリエステル樹脂を主成分とする表層とを順次積層した複層樹脂フィルムであり,
前記表層の厚みと前記下層の厚みとの比は,1:3〜1:30であり,
前記複層樹脂フィルムの前記下層には,複屈折が0.04以下である領域が前記着色接着剤層との接触界面からフィルムの厚み方向に4μm以上存在し,
前記ラミネート工程は,
(A)前記ラミネートロール通過中の前記複層樹脂フィルムの前記金属板との接着面の温度を,前記ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステル樹脂の融点以上の温度とし,かつ,前記ラミネートロールによる熱圧着時間を10〜80ミリ秒間とする条件で,前記複層樹脂フィルムの前記着色接着剤層側の面を前記金属板に熱圧着させる工程と,
(B)前記ラミネートロール通過後の前記金属板の温度150℃以上で0.5〜30秒間熱処理する工程と,
を含むことを特徴とする,請求項1に記載の容器用着色ラミネート金属板の製造方法。
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