JP4673679B2 - 水素製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用の水素製造装置に係り、特に担持した触媒によって所望の反応を進行させるための水素製造装置に関する。
従来から、触媒を利用したリアクターが種々の分野で使用されており、目的に応じて最適な設計がなされている。
一方、近年、地球環境保護の観点で二酸化炭素等の地球温暖化ガスの発生がなく、また、エネルギー効率が高いことから、水素を燃料とすることが注目されている。特に、燃料電池は水素を直接電力に変換できることや、発生する熱を利用するコジェネレーションシステムにおいて高いエネルギー変換効率が可能なことから注目されている。これまで燃料電池は宇宙開発や海洋開発等の特殊な条件において採用されてきたが、最近では自動車や家庭用分散電源用途への開発が進んでおり、また、携帯機器用の燃料電池も開発されている。
上記の携帯機器用の燃料電池では小型化が必須であり、炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素ガスを生成する改質器の小型化が種々検討されている。例えば、金属基板、シリコン基板、セラミックス基板等にマイクロチャネルを形成し、このマイクロチャネル内に触媒を担持した水素製造装置、あるいは、筐体内部に触媒を担持した水素製造装置が開発されている(特許文献1)。
特開2002−252014号公報
従来の水素製造装置では、触媒を担持させた後に原料導入管、ガス排出管を配設する際、これらを装着するための穴部をマイクロチャネルの基体や筐体の蓋部材等に形成し、この穴部に原料導入管、ガス排出管を挿入しロウ付けにより固着することが行われていた。
しかし、原料導入管、ガス排出管の取り付け部からの漏れを防止するために、上記の穴部は、原料導入管やガス排出管よりも若干小径のものを形成し、リーマー加工によって開口径を微調整して、原料導入管やガス排出管の外径に合わせる必要があった。また、穴部から挿入した原料導入管、ガス排出管をロウ付けにより固着する前に、所望の挿入深さとなる位置で仮止めする作業が必要であるが、安定した仮止めが難しく、このため、ロウ付けの作業性も悪く、作業に要する時間が長いという問題があった。また、原料導入管、ガス排出管が固着保持される部位は、蓋部材や基体の厚さに相当する狭い部位であるため、原料導入管、ガス排出管の保持強度が低いという問題もあった。
また、高温条件下で実施するロウ付けにより、担持されている触媒が劣化する場合もあり、製造工程管理が難しいという問題もあった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、小型で高効率の触媒反応を可能とする水素製造装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、溝部を備えた反応容器と、該反応容器の前記溝部を封止するように配設された蓋部材と、該蓋部材に設けられた原料導入口とガス排出口と、前記原料導入口から前記反応容器内に先端部を挿入して装着された原料導入管と、前記ガス排出口から前記反応容器内に先端部を挿入して装着されたガス排出管と、前記反応容器内に配設された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒と、を有し、前記原料導入管と前記ガス排出管は、円筒部と、該円筒部の所望部位に配設された鍔部と、該鍔部から一方の方向の前記円筒部に形成された内外貫通孔とを備え、前記円筒部のうち前記内外貫通孔が形成された部位を前記反応容器内に挿入し、前記鍔部が前記蓋部材表面に固着されたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記原料導入管と前記ガス排出管は、前記内外貫通孔を複数備えているような構成とした。
本発明の他の態様として、複数の前記内外貫通孔は、前記円筒部中心から異なる方向に開口しているような構成とした。
また、本発明は、溝部を備え該溝部を封止するように重ねられ固着された2以上の反応容器と、最上段の前記反応容器の前記溝部を封止するように配設された蓋部材と、該蓋部材に設けられた原料導入口とガス排出口と、最下段を除く各段の前記反応容器に前記蓋部材の前記原料導入口と同一位置となるように設けられた原料導入口と、最下段を除く各段の前記反応容器に前記蓋部材の前記ガス排出口と同一位置となるように設けられたガス排出口と、前記蓋部材の前記原料導入口から各段の前記原料導入口を貫通して最下段の前記反応容器内に達するように先端部を挿入して装着された原料導入管と、前記蓋部材の前記ガス排出口から各段の前記ガス排出口を貫通して最下段の前記反応容器内に達するように先端部を挿入して装着されたガス排出管と、前記反応容器内に配設された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒と、を有し、前記原料導入管と前記ガス排出管は、円筒部と、該円筒部の所望部位に配設された鍔部と、該鍔部から一方の方向の前記円筒部に各段の前記反応容器に対応するように形成された内外貫通孔とを備え、前記円筒部のうち前記内外貫通孔が形成された部位を前記反応容器内に挿入し、前記鍔部が前記蓋部材表面に固着されたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記原料導入管と前記ガス排出管は、各段の前記反応容器に対応する位置に前記内外貫通孔を複数備えているような構成とした。
本発明の他の態様として、各段の前記反応容器に位置する複数の前記内外貫通孔は、前記円筒部中心から異なる方向に開口しているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記鍔部は前記蓋部材表面にレーザー溶接によって固着されているような構成とした。
本発明の水素製造装置は、1段、あるいは多段の反応容器内に先端部を挿入して装着された原料導入管とガス排出管が、鍔部において蓋部材に固着されているので、機械的な保持強度が高く、また、蓋部材や反応容器に形成する原料導入口とガス排出口の開口径は原料導入管やガス排出管を構成する円筒部よりも大きくてもよく、リーマー加工が不要であり、また、鍔部を蓋部材に当接させるだけで装着時の仮止めを確実に容易に行うことができ、さらに、原料導入管とガス排出管の装着時に触媒の劣化を生じることが防止できるという効果が奏される。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の水素製造装置の実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示される水素製造装置のA−A線における拡大縦断面図である。図1および図2において、本発明の水素製造装置1は、蓋部材2と、2段の反応容器4,7とを備えている。図3は、このような水素製造装置1を構成する蓋部材2と反応容器4,7を離間させた状態を示す斜視図である。
蓋部材2は方形状の板部材であり、原料導入口3aとガス排出口3bを対角の位置に有している。
また、反応容器4と反応容器7は、それぞれ溝部4Aと溝部7Aを備えており、溝部7Aを封止するように反応容器4と反応容器7が重ねられ固着されている。上段の反応容器4には、蓋部材2の原料導入口3aと同一位置となるように原料導入口5aが、蓋部材2のガス排出口3bと同一位置となるようにガス排出口5bが設けられている。尚、上記の同一位置とは、反応容器4と反応容器7が重ねられている上下方向において開口中心が一致することを意味する。
上記の蓋部材2の原料導入口3aには、反応容器4の原料導入口5aを貫通して最下段の反応容器7内に先端部が達するように原料導入管11が挿入して装着されている。また、蓋部材2のガス排出口3bには、反応容器4のガス排出口5bを貫通して最下段の反応容器7内に先端部が達するようにガス排出管21が挿入して装着されている。
また、反応容器4,7内には、触媒担持層6,8がそれぞれ配設されており、これらの触媒担持層6,8には触媒Cが担持されている。
図4は、上記の水素製造装置1を構成する原料導入管11とガス排出管21の斜視図である。原料導入管11とガス排出管21は、それぞれ円筒部12,22と、この円筒部12,22の所望部位に配設された鍔部13,23を備えている。鍔部13から一方の方向の円筒部12には、上段の反応容器4に対応する内外貫通孔14a,14bと、下段の反応容器7に対応する内外貫通孔15a,15bがそれぞれ形成されている。また、鍔部23から一方の方向の円筒部22には、上段の反応容器4に対応する内外貫通孔24a,24bと、下段の反応容器7に対応する内外貫通孔25a,25bがそれぞれ形成されている。そして、原料導入管11は、円筒部12のうち内外貫通孔14a,14b,15a,15bが形成された部位を反応容器4,7内に挿入し、鍔部13が蓋部材2表面に固着されている。また、ガス排出管21は、円筒部22のうち内外貫通孔24a,24b,25a,25bが形成された部位を反応容器4,7内に挿入し、鍔部23が蓋部材2表面に固着されている。
原料導入管11の鍔部13と蓋部材2との接合、ガス排出管21の鍔部23と蓋部材2との接合は、例えば、レーザー溶接により行うことができる。これにより、触媒担持層6,8に担持された触媒Cの劣化を生じることなく原料導入管11とガス排出管21を装着することができる。
このような本発明の水素製造装置1では、原料導入管11から供給された原料は、円筒部12の内部流路12aを流れ、内外貫通孔14a,14bを経由して上段の反応容器4内へ、内外貫通孔15a,15bを経由して下段の反応容器7内へ導入される。そして、反応容器4,7の内部において触媒Cの存在の下で所望の反応が行われ、生成された水素は、内外貫通孔24a,24b、および内外貫通孔25a,25bからガス排出管21の円筒部22に流入し、円筒部22の内部流路22aを流れてガス排出管21から回収される。
水素製造装置1を構成する蓋部材2、反応容器4,7は、加工が容易で、かつ、接合が容易な金属材料を選択することができ、例えば、ステンレス基板、銅基板、アルミニウム基板、チタン基板、鉄基板、鉄合金基板等であってよい。
蓋部材2の厚み、反応容器4,7の厚み、溝部4A,7Aの容積は、水素製造装置1の大きさ、使用する金属材料の熱容量、熱伝導率等の特性等を考慮して適宜設定することができる。
また、原料導入管11、ガス排出管21は、加工が容易で、かつ、接合が容易な金属材料を選択することができ、例えば、蓋部材2、反応容器4,7と同じ金属材料であってよい。原料導入管11とガス排出管21を構成する円筒部12,22の外径、内径(内部流路12a,22aの太さ)、長さは、水素製造装置1の大きさ等を考慮して適宜設定することができる。また、鍔部13,23の直径、厚みは、使用する金属材料の強度等を考慮して適宜設定することができる。さらに、円筒部12に設ける内外貫通孔14a,14b、15a,15b、円筒部22に設ける内外貫通孔24a,24b、25a,25bの開口径は、例えば、100〜1000μmの範囲で適宜設定することができる。
触媒担持層6,8は、例えば、金属酸化膜とすることができる。この金属酸化膜は、反応容器4,7の金属材料に対して陽極酸化を施したり、ベーマイト処理を施すことにより形成することができる。また、アルミナ溶射によりアルミナ被膜を形成することもできる。
また、触媒Cとしては、従来から水素製造に使用されているCu−Zn系触媒、Pt系触媒等の公知の触媒を使用することができる。
本発明では、原料導入管、ガス排出管において各段の反応容器に位置する複数の内外貫通孔を、円筒部中心から異なる方向に開口したものとしてもよい。図5は、このような原料導入管11の例を示す斜視図である。図5に示されるように、原料導入管11の円筒部12には、上段の反応容器4に対応する内外貫通孔14a,14bが円筒部中心からの方向a,bが角度θをなすように形成されている。また、下段の反応容器7に対応する内外貫通孔15a,15bも、円筒部中心からの方向a,bが角度θをなすように形成されている。この例では、内外貫通孔14a,14b、および内外貫通孔15a,15bが、円筒部12の軸方向で異なる位置となっているが、例えば、図6に示すように、内外貫通孔14a,14b、内外貫通孔15a,15bが、円筒部12の軸方向の同じ位置で角度θをなすように形成されていてもよい。また、ガス排出管21も同様の構造とすることができる。尚、上記の角度θは、反応容器4,7の容積、溝部4A,7Aの形状、原料の導入速度等を考慮して適宜設定することができる。
上記のような原料導入管11を使用することにより、図7に示すように、原料を所望の方向で反応容器4,7内に導入することができ、反応効率を向上させることができる。また、同様の構造を有するガス排出管21を使用することにより、生成したガスを効率良く回収することができる。
さらに、本発明では、図8に示すように、反応容器4,7内に独立した触媒担持体31を配設してもよい。この触媒担持体31は、例えば、図9に示されるように、波型に折り曲げられた金属基体32と、この金属基体32を覆う触媒担持層33(金属酸化膜)と、触媒担持層33に担持された触媒Cで構成されたものとすることができる。金属基体32は、陽極酸化により触媒担持層33(金属酸化膜)を形成することが可能なAl、Si、Ta、Nb、V、Bi、Y、W、Mo、Zr、Hf等、ベーマイト処理により触媒担持層33(金属酸化膜)を形成することが可能なCu、ステンレス、Fe、Al等を使用することができる。また、アルミナ溶射によって触媒担持層33(金属酸化膜)を形成する場合には、金属基体32の材質には制限はない。
尚、上述の水素製造装置は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、原料導入管、ガス排出管において各段の反応容器に対応して形成された内外貫通孔の数は、図示例では2個であるが、1個であってもよく、また、3個以上であってもよい。
さらに、反応容器の段数は図示例では2段であるが、3段以上であってもよく、また、図10に示すように、1段の反応容器7′を備える水素製造装置1′であってもよい。
また、原料導入管、ガス排出管の先端部は、図示例では最下段の反応容器の底部に当接しているが、底部に当接しないものであってもよい。この場合、原料導入管、ガス排出管の円筒部の先端は、内部流路が露出したものであってもよく、また、閉じているものであってもよい。
本発明は、メタノールの改質、一酸化炭素の酸化除去等の反応からなる水素製造の用途に利用することができる。
本発明の水素製造装置の実施形態を示す斜視図である。 図1に示される水素製造装置のA−A線における拡大縦断面図である。 図1に示される水素製造装置を構成する蓋部材と反応容器を離間させた状態を示す斜視図である。 本発明の水素製造装置を構成する原料導入管とガス排出管の斜視図である。 本発明の水素製造装置を構成する原料導入管の他の例を示す斜視図である。 本発明の水素製造装置を構成する原料導入管の他の例を示す斜視図である。 本発明の水素製造装置を構成する反応容器内での原料導入管からの原料の流れを説明するための図である。 本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す斜視図である。 図8に示される水素製造装置に用いられる触媒担持体を示す部分図断面図である。 本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1,1′…水素製造装置
2…蓋部材
3a,5a…原料導入口
3b,5b…ガス排出口
4,7,7′…反応容器
4A,7A…溝部
6,8…触媒担持層
11…原料導入管
12…円筒部
13…鍔部
14a,14b,14c,14d…内外貫通孔
21…ガス排出管
22…円筒部
23…鍔部
24a,24b,24c,24d…内外貫通孔
31…触媒担持体
33…触媒担持層
C…触媒

Claims (7)

  1. 溝部を備えた反応容器と、該反応容器の前記溝部を封止するように配設された蓋部材と、該蓋部材に設けられた原料導入口とガス排出口と、前記原料導入口から前記反応容器内に先端部を挿入して装着された原料導入管と、前記ガス排出口から前記反応容器内に先端部を挿入して装着されたガス排出管と、前記反応容器内に配設された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒と、を有し、前記原料導入管と前記ガス排出管は、円筒部と、該円筒部の所望部位に配設された鍔部と、該鍔部から一方の方向の前記円筒部に形成された内外貫通孔とを備え、前記円筒部のうち前記内外貫通孔が形成された部位を前記反応容器内に挿入し、前記鍔部が前記蓋部材表面に固着されたものであることを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記原料導入管と前記ガス排出管は、前記内外貫通孔を複数備えていることを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
  3. 複数の前記内外貫通孔は、前記円筒部中心から異なる方向に開口していることを特徴とする請求項2に記載の水素製造装置。
  4. 溝部を備え該溝部を封止するように重ねられ固着された2以上の反応容器と、最上段の前記反応容器の前記溝部を封止するように配設された蓋部材と、該蓋部材に設けられた原料導入口とガス排出口と、最下段を除く各段の前記反応容器に前記蓋部材の前記原料導入口と同一位置となるように設けられた原料導入口と、最下段を除く各段の前記反応容器に前記蓋部材の前記ガス排出口と同一位置となるように設けられたガス排出口と、前記蓋部材の前記原料導入口から各段の前記原料導入口を貫通して最下段の前記反応容器内に達するように先端部を挿入して装着された原料導入管と、前記蓋部材の前記ガス排出口から各段の前記ガス排出口を貫通して最下段の前記反応容器内に達するように先端部を挿入して装着されたガス排出管と、前記反応容器内に配設された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒と、を有し、前記原料導入管と前記ガス排出管は、円筒部と、該円筒部の所望部位に配設された鍔部と、該鍔部から一方の方向の前記円筒部に各段の前記反応容器に対応するように形成された内外貫通孔とを備え、前記円筒部のうち前記内外貫通孔が形成された部位を前記反応容器内に挿入し、前記鍔部が前記蓋部材表面に固着されたものであることを特徴とする水素製造装置。
  5. 前記原料導入管と前記ガス排出管は、各段の前記反応容器に対応する位置に前記内外貫通孔を複数備えていることを特徴とする請求項4に記載の水素製造装置。
  6. 各段の前記反応容器に位置する複数の前記内外貫通孔は、前記円筒部中心から異なる方向に開口していることを特徴とする請求項5に記載の水素製造装置。
  7. 前記鍔部は前記蓋部材表面にレーザー溶接によって固着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の水素製造装置。
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