JP4939148B2 - 反応装置、燃料電池システムおよび電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、反応装置、反応装置を備える燃料電池システム、燃料電池システムを備える電子機器に関する。
エネルギ変換効率の高いクリーンな電源として、酸素と水素との電気化学反応により電気エネルギを生成する燃料電池が、自動車および携帯機器に用いられている。水素は取扱いが困難であることから、貯留した水素を燃料電池に供給するのではなく、アルコールまたは炭化水素を貯留し、貯留したアルコールまたは炭化水素を反応させることによって、水素を主成分とするガスを生成し、燃料電池に供給しているものがある。この水素を主成分とするガスを生成するために、反応装置が用いられている。
従来の技術の反応装置は、たとえば特許文献1に示されている。特許文献1に示される反応装置は、有機化合物を改質して水素が得られる改質器を備えている。改質器は、改質された水素及び一酸化炭素を含む改質ガスを、より低温で反応を引き起こすCO変成器やCO除去器に供給している。
特開2005−166283号公報
特許文献1に示される反応装置では、改質器部とCO除去器(或いはCO変成器)とは互いに反応温度が異なるため、できるだけ改質器とCO除去器との間で熱伝導しないことが好ましい。しかし、熱伝導性の低い材料で改質器とCO除去器と、これらを連結する連結管を構成すると、各反応器を迅速に均一な温度に加熱できないといった問題があった。
本発明の目的は、高温反応部と低温反応部との間の熱の移動を抑制可能な反応装置、ならびにそれを備える燃料電池システムおよび電子機器を提供することである。
発明は、反応装置において、
高温反応室が形成される改質反応部と、
前記高温反応室よりも低温で化学反応が行なわれる低温反応室が形成される一酸化炭素除去反応部と、
前記改質反応部と前記一酸化炭素除去反応部とを連結する連結部と、
を備え、
前記改質反応部及び前記一酸化炭素除去反応部はセラミック基板を有し、前記改質反応部における前記セラミック基板または前記一酸化炭素除去反応部における前記セラミック基板の少なくとも一方は、前記連結部と連結されている周辺領域の前記セラミック基板の厚さ方向の断面積が中央領域の前記セラミック基板の厚さ方向の断面積より小さいことを特徴とする。
前記改質反応部及び前記一酸化炭素除去反応部は連続したセラミック基板上に形成され、
前記連結部の周辺領域における前記改質反応部と前記一酸化炭素除去反応部との間の距離は、前記周辺領域以外の領域における前記改質反応部と前記一酸化炭素除去反応部との間の距離よりも長いことが好ましい。
前記連結部は、前記改質反応部及び前記一酸化炭素除去反応部の少なくとも一方と連結される連結領域において、凹曲面状に形成されていることが好ましい。
また前記改質反応部は、水素を発生させる反応を行なうものでもよい
また本発明は、前記反応装置と、
前記反応装置によって生成された反応生成物を燃料として発電を行なう燃料電池とを備えることを特徴とする燃料電池システムである。
また本発明は、前記燃料電池システムを備えることを特徴とする電子機器である。
また本発明は、筐体に設けられた操作部および表示部と、
前記操作部からの入力情報に基づいて前記表示部の表示内容を制御する動作制御部と、
前記筐体内に収容され、前記操作部、前記表示部および前記動作制御部に電力を供給する前記燃料電池システムと、を備えることを特徴とする電子機器である。
本発明によれば、改質反応部と一酸化炭素除去反応部との間の熱の移動を抑制することができる。
また本発明によれば、反応装置によって生成された反応生成物を燃料として、燃料電池で発電を行なうことができるので、燃料電池に供給される気体燃料よりも取扱の容易な原料を、反応装置によって反応させ、その反応生成物を燃料電池の燃料とすることができる。したがって気体燃料よりも取扱の容易な原料を貯蔵しておくことによって、燃料電池で発電することができ、取扱の容易な燃料電池システムを実現することができる。
また本発明によれば、燃料電池システムで発電して駆動する電子機器を実現することができる。
また本発明によれば、操作部、表示部および動作制御部で必要な電力を、燃料電池システムで発電し、供給することができる。このように燃料電池システムで発電して駆動する電子機器を実現することができる。
図1は、本発明の実施の一形態の反応装置1を示す断面図である。図2は、反応装置1を示す斜視図である。図3は、反応装置1を備える燃料電池システム2のブロック図である。反応装置1は、原料を化学反応させて、反応生成物を生成するための装置である。本実施の形態では、反応装置1は、燃料電池システム2に設けられ、燃料電池3で発電に利用される燃料を生成するための改質装置として用いられる。
反応装置1は、組成に水素を含む化合物を有する燃料を改質して水素ガスを生成する高温反応部である改質器4と、高温反応部よりも低温の温度範囲で一酸化炭素を選択的に酸化反応する低温反応部である一酸化炭素除去器(以下「CO除去器」という)5と、連結部6とを備えている。改質器4とCO除去器5とは、互いに離間して配置され、連結部6によって連結されている。したがって反応装置1では、改質器4、連結部6およびCO除去器5が、この順に、第1方向xに並んで設けられている。改質器4、CO除去器5及び連結部6は、セラミック等の絶縁物や金属製の断熱パッケージ21に収納され、断熱パッケージ21と改質器4、CO除去器5及び連結部6との空間内は、大気圧より低く、好ましくは1Pa未満の圧力になっている。
改質器4およびCO除去器5の少なくとも一方、本実施の形態では両方が、セラミックスから成るセラミック領域11,12と、金属部品である金属材料、たとえばステンレス鋼から成る蓋体15,16とを組合せて構成される。セラミックスとしては、たとえば、アルミナ(Al)が主成分であるアルミナセラミックス(熱伝導率 16W/(m・K)、熱膨張係数 7×10−6/℃)およびAlおよびガラスが主成分であるガラスセラミックス(熱伝導率 2W/(m・K)、熱膨張係数 5.5×10−6/℃)などである。蓋体15,16となる金属材料としては、ステンレス鋼たとえばSUS304があり、熱伝導率は16.3W/(m・K)であり、室温〜100℃における熱膨張係数は17.3×10−6/℃である。連結部6は、セラミックスから成るセラミック領域13を含んで構成される。本実施の形態では、連結部6は、セラミック領域13だけから成る。「熱膨張係数」とは、線膨張係数を意味し、特に断らない限り、0〜1000℃の温度領域における平均熱膨張係数である。
図4は、改質器接合部材18および除去器接合部材20などが設けられた状態でセラミック基板14を示す斜視図である。図1および図2を併せて参照し、改質器4を構成するセラミック領域(以下「改質器セラミック領域」という)11と、CO除去器5を構成するセラミック領域(以下「除去器セラミック領域」という)12と、連結部6を構成するセラミック領域(以下「連結部セラミック領域」という)13とは、同一平面に沿って配置され、一体構造のセラミック基板14を構成している。つまり、セラミック基板14は、第1方向xおよびこの第1方向に垂直な第2方向yと平行な平面に沿って、改質器セラミック領域11、除去器セラミック領域12及び連結部セラミック領域13にわたって連続したセラミック層を、複数枚第3方向zに沿って積層してなる。
改質器セラミック領域11は、長辺が第2方向yと平行な長方形板状である。除去器セラミック領域12は、長辺が第1方向xと平行な長方形板状である。セラミック基板14は、第1方向xが長手方向となり、第2方向yが幅方向となる。改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の第2方向yの寸法は、互いに同一であり、連結部セラミック領域13の第2方向yの寸法は、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の第2方向yの寸法より小さい。したがってセラミック基板14は、厚み方向となる第3方向zに見て、改質器セラミック領域11から成る幅広部と、除去器セラミック領域12から成る幅広部との間に、連結部セラミック領域13から成る幅狭部を有している。第3方向zは、第1方向x及び第2方向yに沿った平面に対し直交している。
このように第2方向寸法yが小さい、連結部セラミック領域13は、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の第2方向yの端部同士を連結する構成であってもよいが、本実施の形態では、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の第2方向yの中央部同士を連結する構成である。このセラミック基板14における幅狭部となる連結部セラミック領域13は、少なくとも、セラミック基板14における幅広部となる改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12に接続される部分の外表面が凹曲面状に形成され、幅広部となる改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の外表面に滑らかに連なっている。本実施の形態では、連結部セラミック領域13は第2方向y両側の側面が凹曲面状、より詳細には円弧状の凹曲面状に形成され、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の第1方向xの端面に滑らかに連なっている。このように連結部セラミック領域13は、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12に比べて第2方向yの幅が狭く、比較的応力が集中しやすい構造となっているが、なだらかな曲面状であり、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12との各連結端部が中央部よりも幅広となっているため、応力が分散しやすくなり連結端部に応力が集中しないので、連結端部での損壊を抑制することができる。
またセラミック基板14は、改質器セラミック領域11、除去器セラミック領域12および連結部セラミック領域13の厚み寸法となる第3方向zの寸法が同一となるように形成されてもよいし、異なるように形成されてもよい。図には、同一の寸法で示しているが、本実施の形態では、幅狭部となる連結部セラミック領域13の第3方向zの寸法が、幅広部となる改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の第3方向zの寸法に比べて小さくなるように形成されている。本実施形態では、連結部セラミック領域13は、第3方向zから見ると、図2に示すように、より詳細には円弧状の凹曲面状となるように形成され、改質器セラミック領域11と連結している端面の第2方向yの寸法および除去器セラミック領域12と連結している端面の第2方向yの寸法が、連結部セラミック領域13の中央部での第2方向yの寸法よりも長く且つ第1方向xに沿って延在する側面が滑らかに連なっている。
図5は、改質器蓋体15を示す斜視図である。図1、図2および図4を併せて参照し、改質器4を構成する蓋体(以下「改質器蓋体」という)15およびCO除去器5を構成する蓋体(以下「除去器蓋体」という)16は、セラミック基板14の厚み方向一方側に設けられる。セラミック基板14の厚み方向は、第3方向zでもある。改質器蓋体15は、改質器セラミック領域11に接合され、改質器セラミック領域11の上方の空間を封止しており、除去器蓋体16は、除去器セラミック領域12に接合され、除去器セラミック領域12の上方の空間を封止している。
改質器蓋体15は、一方に開放する略直方体の筐体状であり、全周に延びる周壁と周壁の一方を塞ぐ天板とを有している。改質器蓋体15は、図1では図示を省略するが図2に示すように、外向きのフランジ部が形成される開放端部17を改質器セラミック領域11側に向けて設けられる。改質器セラミック領域11の厚み方向一方側の表面部には、改質器セラミック領域11の外周部に全周にわたって延びる環状の接合部材(以下「改質器接合部材」という)18が設けられている。改質器蓋体15は、開放端部17が改質器接合部材18を介して改質器セラミック領域11に接合されている構造となっている。
図6は、除去器蓋体16を示す斜視図である。図1、図2および図4を併せて参照し、除去器蓋体16は、一方に開放する略直方体の筐体状であり、全周に延びる周壁と周壁の一方を塞ぐ天板とを有している。除去器蓋体16は、図1では図示を省略するが図2に示すように、外向きのフランジ部が形成される開放端部19を除去器セラミック領域12側に向けて設けられる。除去器セラミック領域12の厚み方向一方側の表面部には、除去器セラミック領域12の外周部に全周にわたって延びる環状の接合部材(以下「除去器接合部材」という)20が設けられている。除去器蓋体16は、開放端部19が除去器接合部材20を介して除去器セラミック領域12に接合されている構造となっている。
改質器接合部材18および除去器接合部材20は、たとえば鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金(熱膨張係数 10×10−6/℃)或いは鉄-ニッケル(Fe-Ni)合金(熱膨張係数 12×10−6/℃)などから成る。改質器接合部材18および除去器接合部材20の熱膨張係数(0〜1000℃の温度領域における平均熱膨張係数)は、それぞれ改質器蓋体15および除去器蓋体16の熱膨張係数と、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の熱膨張係数との間の値である。改質器接合部材18は、改質器セラミック領域11にろう付け等により接合され、改質器蓋体15は、改質器接合部材18にシーム溶接などの溶接やろう付け等により接合される。除去器接合部材20は、除去器セラミック領域12にろう付け等により接合され、除去器蓋体16は、除去器接合部材20にシーム溶接などの溶接やろう付け等により接合される。このように改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12に、改質器蓋体15および除去器蓋体16がそれぞれ接合されて、改質器4および除去器5に内部空間がそれぞれ形成される。
図7は、熱拡散部材である改質器フィン25が設けられた状態で改質器隔壁26を示す斜視図である。図8は、熱拡散部材である除去器フィン27が設けられた状態で除去器隔壁28を示す斜視図である。図9は、改質器蓋体15および除去器蓋体16を取除いた状態で反応装置1を示す斜視図である。図1および図4を併せて参照して、改質器4およびCO除去器5の少なくとも一方、本実施の形態では両方に、内部空間を仕切る隔壁26,28がそれぞれ設けられている。改質器4に設けられる隔壁(以下「改質器隔壁」という)26およびCO除去器5に設けられる隔壁(以下「除去器隔壁」という)28は、長辺が第2方向yと平行な略長方形状である。
改質器セラミック領域11の厚み方向一方側の表面部に、改質器接合部材18の内方側に改質器接合部材18から離間して隔壁支持台(以下「改質器隔壁支持台」という)29が設けられている。改質器隔壁支持台29は、全周にわたって延びる環状の部材である。改質器隔壁26は、改質器セラミック領域11と平行に配置され、外周部が改質器隔壁支持台29を介して改質器セラミック領域11に接合されている。改質器隔壁26が設けられることによって、改質器4には、改質器隔壁支持台29より内方の熱発生部である改質器燃焼室30と、改質器隔壁支持台29より外方の高温反応室である改質反応室31とが形成される。改質反応室31は、収容部に相当する。改質器燃焼室30と改質反応室31とは、改質器隔壁26を介して隣接している。改質器燃焼室30は、改質器接合部材18から内方へ離間して形成されている。
除去器セラミック領域12の厚み方向一方側の表面部に、除去器接合部材20の内方側に除去器接合部材20から離間して隔壁支持台(以下「除去器隔壁支持台」という)33が設けられている。除去器隔壁支持台33は、全周にわたって延びる環状の部材である。除去器隔壁28は、除去器セラミック領域12と平行に配置され、外周部が除去器隔壁支持台33を介して除去器セラミック領域12に接合されている。除去器隔壁28が設けられることによって、CO除去器5には、除去器隔壁支持台33より内方の熱発生部である除去器燃焼室34と、除去器隔壁支持台33より外方の低温反応室である除去反応室35とが形成される。除去反応室35は、収容部に相当する。除去器燃焼室34と除去反応室35とは、除去器隔壁28を介して隣接している。除去器隔壁支持台33は、CO除去器5における改質器4寄りの領域に設けられており、除去器燃焼室34は、CO除去器5における改質器4寄りの領域に形成されている。また除去器燃焼室34は、除去器接合部材20から内方へ離間して形成されている。
改質器隔壁26および除去器隔壁28は、改質器蓋体15および除去器蓋体16と同一の材料であるステンレス鋼や、鉄-ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル合金等の金属から成り、改質器隔壁支持台29および除去器隔壁支持台33は、改質器接合部材18および除去器接合部材20と同一の材料である鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金等から成る。改質器隔壁支持台29および除去器隔壁支持台33の熱膨張係数(0〜1000℃の温度領域における平均熱膨張係数)は、改質器隔壁26および除去器隔壁28の熱膨張係数と、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12の熱膨張係数との間の値である。改質器隔壁支持台29は、改質器セラミック領域11にろう付け等により接合され、改質器隔壁26は、改質器隔壁支持台29にシーム溶接などの溶接やろう付け等により接合される。除去器隔壁支持台33は、除去器セラミック領域12にろう付け等により接合され、除去器隔壁28は、除去器隔壁支持台33にシーム溶接などの溶接やろう付け等により接合される。
また図1に示すように、改質器セラミック領域11の厚み方向一方側の表面における改質器隔壁支持台29との接合部位は、凹状に陥没している。あるいは、改質器セラミック領域11の改質器隔壁支持台29の内方側における改質器セラミック領域11の厚み方向一方側の表面は、凸状に隆起している。あるいは、改質器隔壁支持台29の高さ寸法である第3方向zの寸法は、改質器接続部材18の高さ寸法である第3方向zの寸法よりも小さく形成されている。このような構成によって、改質器燃焼室30の厚み方向寸法、すなわち第3方向zの寸法を小さくし、原料を改質器燃焼室30を規定する内表面に接触しやすくすることができる。したがって改質器燃焼室30を規定する内表面に触媒を被着させておくことによって、触媒に接触しやすくし、反応効率を高くすることができる。
さらに図4には図示を省略するが図1に示すように、改質器燃焼室30には、改質器セラミック領域11上において仕切部材(以下「改質器仕切部材」という)32が設けられ、除去器燃焼室34には、除去器セラミック領域12上において仕切部材(以下「除去器仕切部材」という)36が設けられている。改質器仕切部材32は、第2方向yに延びる部材であり、改質器仕切部材32が設けられることによって、改質器燃焼室30に、第2方向yに蛇行する流路が形成される。除去器仕切部材36は、第2方向yに延びる部材であり、除去器仕切部材36が設けられることによって、改質器燃焼室30に、第2方向yに蛇行する流路が形成される。改質器仕切部材32および除去器仕切部材36は、改質器隔壁支持台29と同一の材料である鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金等から成る。改質器仕切部材32は、改質器セラミック領域11にろう付け等により接合され、除去器仕切部材36は、除去器セラミック領域12にろう付け等により接合されている。
改質器隔壁26または改質器仕切部材32には、表面に、改質器燃焼室30で行われるべき燃焼反応を促進させるために、触媒が被着されている。また除去器隔壁28または除去器仕切部材36には、表面に、除去器燃焼室34で行われるべき燃焼反応を促進させるために、触媒が被着されている。改質器隔壁26や改質器仕切部材32に被着される触媒は、たとえば改質触媒CuZnO/Alであり、除去器隔壁28や除去器仕切部材36に被着される触媒は、たとえば除去触媒Pt/Alである。
また図1に示すように、除去器セラミック領域12の厚み方向一方側の表面における除去器隔壁支持台33との接合部位は、凹状に陥没している。あるいは、除去器セラミック領域12の除去器隔壁支持台33の内方側における除去器セラミック領域12の厚み方向一方側の表面は、凸状に隆起している。あるいは、除去器隔壁支持台33の高さ寸法である第3方向zの寸法は、除去器接続部材20の高さ寸法である第3方向zの寸法よりも小さく形成されている。このような構成によって、除去器燃焼室34の厚み方向寸法、すなわち第3方向zの寸法を小さくし、原料を除去器燃焼室34を規定する内表面に接触しやすくすることができる。したがって除去器燃焼室34を規定する内表面に触媒を被着させておくことによって、触媒に接触しやすくし、反応効率を高くすることができる。
また図1に示すように、改質反応室31には、図7に示すような複数のフィン(以下「改質器フィン」という)25が、改質器隔壁26と改質器蓋体15の天板との間に、設けられている。各改質器フィン25は、第1および第3方向x,zに延びる長方形板状のフィンであり、長手方向を第1方向xに配置して、第2方向yに間隔をあけて並べて設けられる。各改質器フィン25は、交互に第1方向xへずれて配置されている。この改質器フィン25によって、改質反応室31に形成される流路である改質反応室31の内部空間が仕切られ、改質反応室31に、改質器燃焼室30に改質器隔壁26を介して隣接し、第1方向xに振幅があるように蛇行する流路が形成される。
各改質器フィン25は、改質器隔壁26に、接合されて立設されている。各改質器フィン25は、図1には図示を省略するが図7および図9に示すように改質器隔壁26側の端部37が垂直に屈曲され、鉤状に形成されている。各改質器フィン25は、鉄-ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、ステンレス鋼等から成り、鉤状の端部37でスポット溶接され、改質器隔壁26に立設される。各改質器フィン25は、改質器隔壁26の表面を除く改質反応室31を規定する内表面から離間している。つまり、各改質器フィン25の上部と改質器蓋体15の内面との間にわずかな隙間が設けられている。このため、改質器4が例えば280℃〜350℃に加熱されるときに、金属でできている改質器フィン25が第3方向zに熱膨張したとしても、熱膨張による応力で改質器フィン25が改質器蓋体15を押すことがなく、同様に、改質器蓋体15が熱膨張によって改質器フィン25側にある程度撓んだとしても改質器蓋体15が改質器フィン25を押してしまうことがないので、改質器蓋体15或いは改質器フィン25が破損や変形することを防止し、さらに、改質器蓋体15がセラミック領域11から外れてしまったり、改質器接合部材18で接合されている接合部で流体がリークするような隙間が生じることを防止できる。
各改質器フィン25には、両面に、改質反応室31で行われるべき化学反応を促進させるために、触媒が被着されている。このため、流路の左右を区切る改質器フィン25によって流体が効率的に触媒に接することができるので速やかに反応を促進することができる。また改質器隔壁26にも改質器フィン25と同じ触媒が設けられることでさらに触媒の担持量が増え、改質器蓋体15の天板の内面に改質器フィン25と同じ触媒が設けられることでより触媒の担持量を増やすことができる。このように改質器フィン25、改質器隔壁26及び改質器蓋体15はいずれも上述した金属部品でできているために熱伝搬性に優れ、速やかに触媒を加熱し、効率的に反応を引き起こすことができる。
各改質器フィン25に被着される触媒は、たとえば、銅(Cu)/酸化亜鉛(ZnO)系触媒である。Cu/ZnO系触媒としては、Cu成分をZnO成分に担持させた触媒であってもよいし、Cu成分とZnO成分とを酸化アルミニウム(Al)に担持させた触媒であってもよい。また、Cu/ZnO系触媒に白金族元素を含有させたものでもよい。白金族元素としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)が挙げられる。
また図1に示すように、除去反応室35には、図8に示すような複数のフィン(以下「除去器フィン」という)27が、除去器燃焼室34が設けられる改質器4寄りの領域で、除去器隔壁28と除去器蓋体16の天板との間に、設けられている。各除去器フィン27は、第2および第3方向y,zに延びる長方形板状のフィンであり、長手方向を第2方向yに配置して、第1方向xに間隔をあけて並べて設けられる。各除去器フィン27は、交互に第2方向yへずれて配置されている。この改質器フィン27によって、除去反応室35に形成される流路である除去反応室35の内部空間が仕切られ、除去反応室35に、除去器燃焼室34に除去器隔壁28を介して隣接し、第2方向yに振幅があるように蛇行する流路が形成される。
各除去器フィン27は、除去器隔壁28に、接合されて立設されている。各除去器フィン27は、図1には図示を省略するが図8および図9に示すように除去器隔壁28側の端部38が垂直に屈曲され、鉤状に形成されている。各除去器フィン27は、各改質器フィン25と同一の材料である鉄-ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、ステンレス鋼等から成り、鉤状の端部38でスポット溶接され、除去器隔壁28に立設される。各除去器フィン27は、除去器隔壁28の表面を除く除去反応室35を規定する内表面から離間している。つまり、各除去器フィン27の上部と除去器蓋体16の内面との間にわずかな隙間が設けられている。このため、CO除去器5が例えば150℃〜200℃に加熱されるときに、金属でできている除去器フィン27が第3方向zに熱膨張したとしても、熱膨張による応力で除去器フィン27が除去器蓋体16を押すことがなく、同様に、除去器蓋体16が熱膨張によって除去器フィン27側にある程度撓んだとしても除去器蓋体16が除去器フィン27を押してしまうことがないので、除去器蓋体16が除去器セラミック領域12から外れてしまったり、除去器蓋体16或いは除去器フィン27が破損や変形することを防止し、さらに除去器接合部材20で接合されている接合部或いは除去器隔壁支持台33で接合されている接合部で流体がリークするような隙間が生じることを防止できる。
さらに図1および図4に示すように、除去反応室35には、CO除去器5における改質器4と反対寄りの領域、したがって除去器燃焼室34が形成される領域に改質器4と反対側で隣接する領域に、複数の補助フィン40が設けられている。各補助フィン40は、第2および第3方向y,zに延びる長方形板状のフィンであり、長手方向を第2方向yに配置して、第1方向xに間隔をあけて並べて設けられる。各補助フィン40は、交互に第2方向yへずれて配置されている。この補助フィン40によって、除去反応室35に形成される流路である除去反応室35の内部空間が仕切られ、除去反応室35に、各除去器フィン27によって形成される流路に連なり、第2方向yに振幅があるように蛇行する流路が形成される。この各補助フィン40によって形成される流路は、除去器燃焼室34には隣接していない。
除去器セラミック領域12の厚み方向一方側の表面部には、除去器接合部材20の内方側に除去器接合部材20から離間し、かつ除去器隔壁支持台33から改質器4と反対方向へ離間して、複数の補助フィン支持台44が設けられている。各補助フィン支持台44は、第1および第2方向x,yに延びる略長方形の板状の部材であり、長手方向を第2方向yに配置して、第1方向xに間隔をあけて並べて設けられる。各補助フィン支持台44は、各補助フィン40と同様に、交互に第2方向yへずれて配置されている。補助フィン支持台44は、改質器接合部材18および除去器接合部材20ならびに改質器隔壁支持台29および除去器隔壁支持台33と同一の材料である鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)合金から成り、除去器セラミック領域12にろう付け等により接合されている。
各補助フィン40は、補助フィン支持台44に、接合されて立設されている。各補助フィン40は、図1には図示を省略するが図4および図9に示すように補助フィン支持台44側の端部45が垂直に屈曲され、鉤状に形成されている。各補助フィン40は、各改質器フィン25および各除去器フィン27と同一の材料である鉄-ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、ステンレス鋼等から成り、鉤状の端部45でスポット溶接され、補助フィン支持台44に立設される。各補助フィン40は、補助フィン支持台44の表面を除く除去反応室35を規定する内表面から離間している。したがって各補助フィン40は、除去器蓋体16から内方に退避し、わずかに離間している。このため、CO除去器5が例えば150℃〜200℃に加熱されるときに、金属でできている補助フィン40が第3方向zに熱膨張したとしても、熱膨張による応力で補助フィン40が除去器蓋体16を押すことがなく、同様に、除去器蓋体16が熱膨張によって補助フィン40側にある程度撓んだとしても除去器蓋体16が補助フィン40を押してしまうことがないので、除去器蓋体16がセラミック基板14から外れてしまったり、接合部で流体がリークするような隙間が生じることを防止できる。
改質器フィン25、除去器フィン27及び補助フィン40の熱伝導率は、17〜24W/(m・K)である。
各除去器フィン27および各補助フィン40には、両面に、除去反応室35で行われるべき化学反応を促進させるために、触媒が被着されている。このため、流路の左右を区切る除去器フィン27によって流体が効率的に触媒に接することができるので速やかに反応を促進することができる。また各補助フィン40にも除去器フィン27と同じ触媒が設けられることによって、反応を一層速やかに促進することができ、また触媒の担持量を増やすことができる。また除去器隔壁28にも除去器フィン27と同じ触媒が設けられることでさらに触媒の担持量が増え、除去器蓋体16の天板の内面に除去器フィン27と同じ触媒が設けられることでより触媒の担持量を増やすことができる。このように除去器フィン27、除去器隔壁28及び除去器蓋体16はいずれも上述した金属部品でできているために熱伝搬性に優れ、速やかに触媒を加熱し、効率的に反応を引き起こすことができる。
各除去器フィン27に被着される触媒は、たとえば、Pt系触媒である。これらの触媒を用いることによって、COを選択的に酸化することができる。Pt系触媒としては、PtをAlに担持させた触媒であってもよいし、PtとPt以外の白金族元素とをAlに担持させた触媒であってもよい。Pt以外の白金族元素としては、Ru、Rh、Pd、Os、Irが挙げられる。
各改質器フィン25および各除去器フィン27は、いずれか一方だけが設けられる構成であってもよいが、本実施の形態では、各改質器フィン25および各除去器フィン27の両方が設けられている。また各除去器フィン27が設けられない構成である場合、各補助器フィン40は、設けられてもよいし、設けられなくてもよい。
また図1に示すように、改質器セラミック領域11および除去器セラミック領域12に、それぞれヒータ48及びヒータ49が設けられている。ヒータ48及びヒータ49は、それぞれ改質器セラミック領域11内及び除去器セラミック領域12内において、改質器4およびCO除去器5に対向する位置に設けられている。このため、ヒータ48及びヒータ49は、それぞれ直接改質器4およびCO除去器5を加熱することができる。特に、改質燃焼室30および除去器燃焼室34に後述するオフガスが到達していなくても、改質器4およびCO除去器5をそれぞれ反応を引き起こす温度に加熱することができる。なお、改質器4およびCO除去器5への加熱温度がともに同じでよければ、改質器セラミック領域11、除去器セラミック領域12および連結部セラミック領域13にわたって内蔵される一体構造のヒータであってもよい。
ヒータ48及びヒータ49は、ともに電力が供給されると速やかに発熱する、いわゆる発熱抵抗体であり、改質反応室31および除去反応室35がそれぞれ所定の温度になるように、発生させた熱を改質反応室31および除去反応室35に供給することができる。ヒータ48及びヒータ49は、燃料電池システム2の起動時に、つまり燃料電池3に水素が供給される前に電圧が印加されることによって、それぞれ改質反応室31および除去反応室35を改質反応及び一酸化炭素除去反応を引き起こす温度に速やかに加熱する。
図10は、図1の切断面線S10−S10から見たセラミック基板14の断面図である。図10には、セラミック基板14に形成される流路50の一例を示す。セラミック基板14には、内部に、改質器4およびCO除去器5における化学反応に関連する流体が流下する流路(以下「基板内部流路」という)50が形成されている。この基板内部流路50は、流体に前処理を施すための流路であり、この前処理には、予備加熱および気化が含まれる。
基板内部流路50は、第1〜第8流路51〜58を有している。第1〜第8流路51〜58は、互いに連通しないように、独立して形成されている。第1〜第8流路51〜58は、図10の例のように、基本的に第3方向zに垂直な平面に沿って第1および第2方向x,yに延びる部分を有し、平面的に拡がる流路であってもよいが、第1〜第3方向x〜zに延びる部分を有し、3次元的に拡がる立体的な流路であってもよい。図10に示す例では、第1〜第8流路51〜58は、セラミック基板14の厚み方向となる第3方向zの同一の層域において、第1および第2方向x,yに互いにずれた位置に形成され、互いに連通しないように形成されているが、互いに第3方向zにずれた位置に形成されて、互いに連通しないように形成されてもよい。
第1流路51は、改質反応の原料を気化する原料気化器となる原料気化流路であり、気化された原料を改質反応室31に供給する流路である。第1流路51は、入口51aが除去器セラミック領域12における管路接続領域で開口し、除去器セラミック領域12内で第2方向yに振幅があるように蛇行し、連結部セラミック領域13を通過して改質器セラミック領域11に延び、改質器セラミック領域11内で第2方向yに振幅があるように蛇行し、出口51bが改質器セラミック領域11の改質反応室31に臨む厚み方向一方側の表面部で開口している。第1流路51は、出口51bで、各改質器フィン25によって形成される改質反応室31における流路の上流側端部に接続されている。また第1流路51は、少なくとも、第3方向zに垂直な平面に投影して見たとき、改質燃焼室30および除去器燃焼室34が設けられる領域内で蛇行するように、形成されている。
ここで管路接続領域とは、改質反応の原料を供給源から反応装置1に導くための配管22等から成る管路や、反応装置1で生成した生成物を燃料電池3に燃料として供給するための管路、除去反応室35におけるCO除去反応に必要な原料を供給源から導く管路、燃焼反応の原料を供給源から導く管路、改質器燃焼室30における燃焼反応によって生成される生成物を排出場所に導くための管路、燃焼反応の原料を供給源から導く管路、改質器燃焼室30における燃焼反応によって生成される生成物を排出場所に導くための管路を、反応装置1に接続するための領域をいう。
このような管路接続領域は、例えば、除去器セラミック領域12の厚み方向他方側の表面部の領域に設けるのが好ましい。すなわち、管路接続領域を高温反応を行なう改質器セラミック領域11に設けるよりも、改質反応よりも低温の温度範囲で反応する除去器セラミック領域12に設けた方が、管路と除去器セラミック領域12との接続部の熱膨張差によって生じる応力を低減でき、接続部が破損するのを有効に抑制できる。
第1流路51の入口51aには、改質反応の原料を供給源から導く管路が接続されている。原料気化器で必要な熱量は、原料を原料の沸点程度に加熱するのに要する熱量であり、原料がメタノール水溶液であれば、100℃〜120℃程度に加熱されていれば十分である。このため、第1流路51の周囲が、セラミックのような比較的金属よりも熱伝導率の低い材料でできていても十分加熱できる。また第1流路51は、第3方向zから平面視すると、原料気化器よりも高温で反応する改質器4及びCO除去器5と重なっており、改質器4及びCO除去器5をそれぞれ加熱する改質器燃焼室30や除去器燃焼室34の余熱や、ヒータ48、49での余熱で原料を気化することができ、またセラミック基板14のように薄い基板に収容できる。
第2流路52は、改質反応室31における改質反応によって生成される生成物(水素)及び一酸化炭素を含む流体を、除去反応室35に導く流路である。第2流路52は、入口52aが改質器セラミック領域11の改質反応室31に臨む厚み方向一方側の表面部で開口し、連結部セラミック領域13を通過して除去器セラミック領域12に延び、出口52bが除去器セラミック領域12の除去反応室35に臨む厚み方向一方側の表面部で開口している。第2流路52は、入口52aで、各改質器フィン25によって形成される改質反応室31における流路の下流側端部に接続され、出口52bで、各除去器フィン27および各補助フィン40によって形成される一連の除去反応室35における流路の上流側端部に接続されている。この第2流路52は、改質反応室31と、除去反応室35とを連通させる連通路であり、連結部6を通過するように形成されている。
第3流路53は、除去反応室35におけるCO除去反応によって、改質反応室31における改質反応によって生成される生成物から一酸化炭素が除去されて、最終的に生成される生成物を、反応装置1から外に送出するための流路である。第3流路53は、除去器セラミック領域12に厚み方向となる第3方向zに延びて形成され、入口53aが除去器セラミック領域12の除去反応室35に臨む厚み方向一方側の表面部で開口し、出口が管路接続領域で開口しセラミック基板14を貫通している。第3流路53は、入口53aで、各除去器フィン27および各補助フィン40によって形成される一連の除去反応室35における流路の下流側端部に接続されている。第3流路53の出口53bには、反応装置1で生成した生成物を、燃料電池3に燃料として供給するための配管22が接続されている。
第4流路54は、除去反応室35におけるCO除去反応に必要な原料(酸素あるいは空気)を、除去反応室35に供給する流路であり、第4流路54によって除去反応室35に供給される原料は、第2流路52によって改質反応室31から導かれる生成物と混合される。第4流路54は、入口54aが管路接続領域で開口し、除去器セラミック領域12内で第2方向yに振幅があるように蛇行し、除去器セラミック領域12の除去反応室35に臨む厚み方向一方側の表面部で開口している。第4流路54は、出口54bで、各除去器フィン27および各補助フィン40によって形成される一連の除去反応室35における流路の上流側端部に接続されている。また第4流路54は、少なくとも、第3方向zに垂直な平面に投影して見たとき、除去器燃焼室34が設けられる領域内で蛇行するように、形成されている。第4流路54の入口54aには、改質反応室31から導かれる生成物と混合し、除去反応室35におけるCO除去反応に必要な原料を、供給源から導く管路が接続されている。
第5流路55は、燃焼反応の原料を改質器燃焼室30に供給する流路である。第5流路55は、入口55aが管路接続領域で開口し、除去器セラミック領域12内で第2方向yに振幅があるように蛇行し、連結部セラミック領域13を通過して改質器セラミック領域11に延び、改質器セラミック領域11内で第2方向yに振幅があるように蛇行し、出口55bが改質器セラミック領域11の改質器燃焼室30に臨む厚み方向一方側の表面部で開口している。第5流路55は、出口55bで、改質器仕切部材32によって形成される改質器燃焼室30における流路の上流側端部に接続されている。また第5流路55は、少なくとも、第3方向zに垂直な平面に投影して見たとき、改質燃焼室30および除去器燃焼室34が設けられる領域内で蛇行するように、形成されている。第5流路55の入口55aには、燃焼反応の原料を供給源から導く管路が接続されている。
第6流路56は、改質器燃焼室30における燃焼反応後の流体を、反応装置1から排出すための流路である。第6流路56は、入口56aが改質器セラミック領域11の改質器燃焼室30に臨む厚み方向一方側の表面部で開口し、連結部セラミック領域13を通過して除去器セラミック領域12に延び、出口56bが管路接続領域で開口している。第6流路56は、入口56aで、改質器仕切部材32によって形成される改質器燃焼室30における流路の下流側端部に接続されている。第6流路56の出口56bには、改質器燃焼室30における燃焼反応によって生成される生成物を、排出場所に導くための管路が接続されている。
第7流路57は、燃焼反応の原料を除去器燃焼室34に供給する流路である。第7流路57は、入口57aが管路接続領域で開口し、除去器セラミック領域12内で第2方向yに蛇行し、出口57bが除去器セラミック領域12の除去器燃焼室34に臨む厚み方向一方側の表面部で開口している。第7流路57は、出口57bで、除去器仕切部材36によって形成される除去器燃焼室34における流路の上流側端部に接続されている。また第7流路57は、少なくとも、第3方向zに垂直な平面に投影して見たとき、除去器燃焼室34が設けられる領域内で蛇行するように、形成されている。第7流路57の入口57aには、燃焼反応の原料を供給源から導く管路が接続されている。
第8流路58は、除去器燃焼室34における燃焼反応後の流体を、反応装置1から排出するための流路である。第8流路58は、入口58aが除去器セラミック領域12の除去器燃焼室34に臨む厚み方向一方側の表面部で開口し、出口58bが管路接続領域で開口している。第8流路58は、入口58aで、除去器仕切部材36によって形成される除去器燃焼室34における流路の下流側端部に接続されている。第8流路58の出口58bには、改質器燃焼室30における燃焼反応によって生成される生成物を、排出場所に導くための管路が接続されている。入口51a、54a、55a、57a、出口53b、56b、58bはそれぞれ配管22が連結され、各配管22は、断熱パッケージ21の気密性を維持するように断熱パッケージ21を貫通し、後述する原料容器60や燃料電池3等に連結されている。またヒータ48及びヒータ49に電圧を供給する配線も断熱パッケージ21の気密性を維持するように断熱パッケージ21を貫通している。断熱パッケージ21が金属等の導電性部材である場合、ヒータ48及びヒータ49に電圧を供給する配線が断熱パッケージ21を介してショートしないように、配線によって断熱パッケージ21が貫通された貫通孔において、配線の周囲をセラミック、低融点ガラス等の絶縁材料で封止することが好ましい。
ヒータ48、49が設けられるとともに、基板内部流路50が形成されるセラミック基板14は、複数のセラミック層が積層されて形成されている。このセラミック基板14は、複数枚の焼結前の素材、たとえばグリーンシートを積層した積層体を、焼結することによって成形される。焼結前の素材としては、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、ガラスセラミックス粉末(ガラス粉末とフィラー粉末の混合物)などが挙げられる。ヒータ48、49は、焼結前の素材を積層するときに、素材間にヒータ48、49を挟込むように積層し、焼結することによってセラミック基板14に内蔵される。また焼結前の素材の適宜箇所に、孔または溝を形成し、このような孔または溝を形成した素材を含めて積層後、焼結することによって、セラミック基板14の内部に複雑な内部流路50が形成される。
図1、図3および図10を参照して、燃料電池システム2は、原料を貯留する原料容器60と、原料容器60に貯留される原料を化学反応させて水素を生成する前述の反応装置1と、酸素と水素との電気化学反応により発電する燃料電池3とを備える。原料容器60に貯留される原料は、メタノール、エタノールなどのアルコールおよびガソリンなどである化学組成に水素原子を含む化合物(以下「水素化合物」という)と、水とである。水素化合物と、水とは、原料容器60内で、別々の空間で貯留されている。本実施形態では、原料としてメタノールが用いられる。
反応装置1では、供給源となる原料容器60に貯留されるメタノールと水とが混合された状態で、第1流路51の入口に導かれ、第1流路51を流下する間に気化され、改質反応室31に供給される。改質反応室31では、化学反応式(1),(2)に示すように、メタノールと水との混合気体を水素に改質する改質反応を行う。
CHOH+HO→3H+CO …(1)
+CO→HO+CO …(2)
燃料電池3に供給される流体に一酸化炭素が含まれていると、燃料電池3に設けられている触媒等に悪影響を及ぼすので、一酸化炭素を除去するために、改質反応室31で生成された生成物が、第2流路52によって除去反応室35に導かれる。除去反応室35では、化学反応式(3)に示すように、改質反応室30で生成された生成物の混合気体中の一酸化炭素を、第4流路54によって、原料として供給される酸素によって選択的に酸化させて、一酸化炭素を除去する。この酸化反応がCO除去反応である。酸素は、周囲の空気を取込むことによって、この空気に含まれる酸素が利用される。したがって第4流路54は、反応装置1の外部の空間を供給源として利用し、空気を取込んで供給する。
2CO+O→2CO …(3)
改質反応室31における改質反応によって生成される生成物、したがって水素と二酸化炭素と一酸化炭素から、除去反応室35における酸化反応によって一酸化炭素が除去されて、最終的に生成される生成物、したがって水素と二酸化炭素とが、第3流路53を経て反応装置1から送出され、燃料電池3に供給される。
低温反応室である除去反応室35は、高温反応室である改質反応室31に比べて、低い温度で反応を行う反応室である。改質反応室31では、たとえば350℃の温度で反応を行い、除去反応室35では、たとえば150℃の温度で反応を行う。
燃料電池3は、触媒微細粒子を担持した燃料極と、触媒微粒子を担持した空気極と、燃料極と空気極との間に介在されたフィルム状の固体高分子電解質膜と、を備えている。燃料電池3の燃料極には、反応装置1から水素と二酸化炭素との混合気体が供給され、燃料電池3の空気極には、外部からの空気が供給されている。燃料極において、電気化学反応式(4)に示すように、混合気体中の水素は、燃料極の触媒粒子の作用を受けて水素イオンと電子とに分離されている。水素イオンは、固体高分子電解質膜を通じて酸素極に伝導し、電子は燃料極により取り出されている。酸素極において、電気化学反応式(5)に示すように、酸素極に移動した電子と、空気中の酸素と、固体高分子電解質膜を通過した水素イオンとが反応して水が生成されている。
→2H+2e …(4)
2H+1/2O+e→HO …(5)
燃料電池3では、このような電気化学反応により発電する。
改質器燃焼室30では、改質反応室31での改質反応を促進させるための熱を発生させる。また、改質器燃焼室30で発生する熱は、基板内部流路50に供給される。これによって、基板内部流路50を流下する原料が加熱される。改質器燃焼室30には、第5流路55によって、水素と酸素とを含む流体が原料として供給される。改質器燃焼室30で燃焼される水素は、改質反応室31および除去反応室35を経て生成される生成物に含まれる水素のうち、燃料電池3で電気化学反応を引き起こさずに残った水素、すなわち燃料電池3から排出されるガスであるオフガス中の未反応の水素を利用することができる。この場合、改質反応室31および除去反応室35から燃料電池を経由して水素が供給される。このとき除去反応室35で生成される二酸化炭素も一緒に供給されてもよいし、水素だけを生成物から抽出して供給するようにしてもよい。また酸素は、除去反応室35における酸化反応に利用される酸素と同様に、周囲の空気を取込むことによって、この空気に含まれる酸素が利用される。この燃焼反応によって生成される生成物である燃焼排ガスは、第6流路56を介して、外部に排出される。このように改質器燃焼室30は、燃料電池3から排出されるオフガス中の未反応の水素を再利用するため、燃焼するまでに時間がかかってしまうが、燃料電池システム2の起動時に、つまり燃料電池3に水素が供給される前にヒータ48が速やかに改質反応を引き起こす程度に改質反応室31を加熱することができるので燃料電池3は速やかに発電することができる。
また除去器燃焼室34では、除去反応室35での酸化反応を促進させるための熱を発生させる。また、除去器燃焼室34で発生する熱は、基板内部流路50に伝搬される。これによって、基板内部流路50を流下する原料が加熱される。除去器燃焼室34には、第7流路57によって、水素と酸素とを含む流体が原料として供給される。除去器燃焼室34で燃焼される水素は、改質反応室31および除去反応室35を経て生成される生成物に含まれる水素のうち、燃料電池3で電気化学反応を引き起こさずに残った水素であるオフガス中の未反応の水素を利用することができる。この場合、改質反応室31および除去反応室35から燃料電池3を経由して水素が供給される。このとき除去反応室35で生成される二酸化炭素も一緒に供給されてもよいし、水素だけを生成物から抽出して供給するようにしてもよい。また酸素は、除去反応室35における酸化反応に利用される酸素と同様に、周囲の空気を取込むことによって、この空気に含まれる酸素が利用される。この燃焼反応によって生成される生成物である燃焼排ガスは、第8流路58を介して、外部に排出される。このように除去器燃焼室34は、燃料電池3から排出されるオフガス中の未反応の水素を再利用するため、燃焼するまでに時間がかかってしまうが、燃料電池システム2の起動時に、つまり燃料電池3に水素が供給される前にヒータ49が速やかに一酸化炭素除去反応を引き起こす程度に除去反応室35を加熱することができるので燃料電池3は速やかに発電することができる。
反応装置1の稼動開始初期の段階では、改質器燃焼室30および除去器燃焼室34における燃焼反応を行いにくく、これを補助するためにヒータ48、49が設けられている。ヒータ48、49は、したがって少なくとも反応装置1の稼動開始初期に運転されるが、それ以降において運転される構成でもよい。このヒータ48、49は、第3方向zに垂直な平面に投影して見たとき、それぞれ改質器燃焼室30および除去器燃焼室34が設けられる領域に設けられる。ヒータ48、49は、基板内部流路50よりも厚み方向一方側に設けられてもよいが、本実施の形態では、基板内部流路50よりも厚み方向他方側に設けられている。
本実施形態によれば、反応装置1は、改質器4とCO除去器5とを備えるので、改質器4における高温での改質反応と、CO除去器5における低温でのCO除去反応とを行うことができる。改質器4とCO除去器5とは、第2方向yの幅が改質器4やCO除去器5の第2方向yの幅よりも狭い連結部6を介して連結されているだけなので相互の熱移動が少ないため、互いに熱的な影響を受けにくくすることができ、改質器4における高温での化学反応と、CO除去器5における低温での化学反応とを、好適に実現することができる。さらに、改質器4が、セラミック領域11と金属製の改質器蓋体15とを組合せて構成され、CO除去器5が、セラミック領域12と除去器蓋体16とを組合せて構成される。セラミックスは、耐熱性および耐腐食性に優れ、金属やシリコン等に比べて熱伝導率が低いので、セラミック領域11,12を用いることによって、耐熱性および耐食性に優れ、外部に熱を漏らしにくい、好適な反応装置を実現することができる。また金属は、加工性に優れており、複雑な形状を容易に形成することができる。したがってセラミック領域11,12と改質器蓋体15および除去器蓋体16とを組合せることによって、耐熱性および耐食性に優れ、外部に熱を漏らしにくく、かつ化学反応を促進させやすい複雑な形状を有する内部構造の、好適な反応装置を実現することができる。
また、本実施形態では、改質器4およびCO除去器5がともに、セラミック領域11,12と改質器蓋体15および除去器蓋体16とを組合せて構成されているので、より好適な反応装置を実現することができる。改質器4およびCO除去器5のいずれか一方がセラミック基板と金属性の部品とを組合せて構成されていても、好適な反応装置を実現することができる。
またセラミック基板14は、複数の層構造の素材を焼結して成形されており、焼結前の素材でヒータ48、49を挟むようにした状態で、焼結成形することによって、ヒータ48、49を内蔵してセラミック基板14を製造することができるので、セラミック基板14の成形時に、同時にヒータ48、49を内蔵することができ、製造工数を少なくし、製造を容易にすることができる。そして、セラミック基板14は金属に比べて保温性に優れているのでヒータ48、49の熱を効率的に放熱することができる。
改質器4には、改質反応室31と改質器燃焼室30が改質器隔壁26を介して隣接している。これによって改質器燃焼室30で発生させた熱を、改質反応室31に容易に供給することができる。また、CO除去器5には、除去反応室35と除去器燃焼室34が除去器隔壁28を介して隣接している。これによって除去器燃焼室34で発生させた熱を、除去反応室35に容易に供給することができる。したがって改質反応室31および除去反応室35で原料を化学反応させるにあたって、原料に熱を効率よく供給することができる。
改質器隔壁26に接合されて改質反応室31における流路を形成する改質器フィン25が設けられる。このように改質器隔壁26に接合される改質器フィン25は、熱発生部である改質器燃焼室30で発生される熱が改質器隔壁26を介して伝わりやすく、このフィンによって流路を形成することによって、流路内の原料に熱を効率よく供給することができる。また除去器隔壁28に接合されて除去反応室35における流路を形成する除去器フィン27が設けられる。このように除去器隔壁28に接合される除去器フィン27は、熱発生部である除去器燃焼室34で発生される熱が除去器隔壁28を介して伝わりやすく、このフィンによって流路を形成することによって、流路内の原料に熱を効率よく供給することができる。
また、本実施形態では、上記のような改質器フィン25および除去器フィン27がともに隔壁上に形成されているので、より好適な反応装置を実現することができる。改質器フィン25および除去器フィン27のいずれか一方が隔壁上に形成されていても、好適な反応装置を実現することができる。
さらに改質器フィン25は、改質器4の改質器隔壁26の表面を除く改質器4を規定する内表面、たとえば改質器蓋体15から離間している。これによって改質器フィン25から、改質器隔壁26以外の改質器4を形成する部材に、熱が伝わりにくくし、熱が外部に漏れてしまうことを防ぐことができる。さらに、改質器フィン25と改質器蓋体15との距離は、0.05mm以上0.3mm以下が好ましい。これによって、上述の熱が外部に漏れてしまうという効果を充分に発揮することができる。
除去器フィン27は、CO除去器5の除去器隔壁28の表面を除くCO除去器5を規定する内表面、たとえば除去器蓋体16から離間している。これによって除去器フィン27から、除去器隔壁28以外のCO除去器5を形成する部材に、熱が伝わりにくくし、熱が外部に漏れてしまうことを防ぐことができる。さらに、除去器フィン27と除去器蓋体16との距離は、0.05mm以上0.3mm以下が好ましい。これによって、上述の熱が外部に漏れてしまうという効果を充分に発揮することができる。
フィンは、スポット溶接によって隔壁に接合されているので、フィンを容易に隔壁に設けることができる。
セラミック基板14内部に、改質器14およびCO除去器15における化学反応に関連する流体が流下する基板内部流路50が形成され、化学反応に関連する流体、たとえば水素がこの流路50を流下するように構成することによって、その化学反応に関連する流体に前処理を含む処理を行うことができる。この処理は、特に限定されるものではないが、一例を挙げるならば、たとえば予備加熱、気化などの前処理である。
セラミック基板14は、複数のセラミック層が積層されて形成されている。このようなセラミック基板14は、各セラミック層の素材を積層し、焼結して成形される。したがって各セラミック層の素材に、溝、孔などを形成しておいて、積層し、焼結することによって、内部に外部から密に仕切られる流路が形成されるセラミック基板を実現することができる。
反応装置1は、改質器4、CO除去器5および連結部6の各セラミック領域11,12,13は、一体構造のセラミック基板14から成る。これによって部品点数を少なくし、組立を容易にすることができるとともに、高い強度が得られる。しかもセラミック基板14は、改質器4およびCO除去器5をそれぞれ構成する各幅広部に、連結部6を構成する幅狭部を有している。このようにして改質器4およびCO除去器5を連結する連結部6の断面積を小さくすることができる。したがって改質器4とCO除去器5との間の熱の移動を小さく抑えることができる。
図11は、図1における切断面線S11−S11から見たセラミック基板14の断面図である。図12は、改質器接合部材18および除去器接合部材20などが設けられた状態のセラミック基板14を、セラミック基板14の厚み方向z他方側から見て示す斜視図である。セラミック基板14の積層されたセラミック層のうち、ヒータ48、49の各上下面に接する層は、それぞれ改質器4とCO除去器5との距離が、連結部6と連結されている周辺領域(以下「連結部周辺領域」ということがある)71,73では距離L1と長く、連結部6から遠い部分、具体的には改質器4およびCO除去器5の連結部周辺領域71,73以外の領域では、ヒータ48、49に接している上層より上の層における改質器4とCO除去器5との距離L2と等しく、距離L1より短く設定されるように凹部46,46が設けられている。これによって改質器4の連結部周辺領域71を除く残余の領域のうち、第2方向yにおいてCO除去器5に対向する端部対向領域80に、CO除去器5側に突出する突出部90が形成される。改質器4の連結部周辺領域71に設けられる各凹部46は、連結部6に連なる第1曲部85の曲率半径が、突出部90に連なる第2曲部86の曲率半径よりも相対的に小さくなるように形成される。
凹部46が設けられることによって、連結部周辺領域71,73における改質器4とCO除去器5との間の距離L1は、連結部周辺領域71,73を除く残余の領域のうち、第2方向yにおいて互いに対向する端部対向領域80,81における改質器4とCO除去器5との間の距離L2よりも長くなる。「連結部周辺領域71,73における改質器4とCO除去器5との間の距離」とは、改質器セラミック領域11の連結部周辺領域71に設けられる凹部46のうち除去器セラミック領域12に対向する表面部において、除去器セラミック領域12の連結部周辺領域73の改質器セラミック領域11に対向する表面部から最も離隔した距離のことである。「端部対向領域80,81における改質器4とCO除去器5との間の距離」とは、改質器セラミック領域11の端部対向領域80に形成される突出部90の除去器セラミック領域12に対向する表面部と、除去器セラミック領域12の端部対向領域81の改質器セラミック領域11に対向する表面部との距離のことである。
このように構成されるため、セラミック基板14の改質器セラミック領域11における連結部6と連結されている周辺領域71の第3方向zの厚さが、改質器セラミック領域11におけるその他の領域、例えば中央領域72の第3方向zの厚さより薄くなっている。したがって、ヒータ48、49に接するセラミック層は、改質器セラミック領域11の寸法が第1方向xにおいて短くなり、相対的に連結部セラミック領域13の寸法が第1方向xにおいて長くなる。また、改質器セラミック領域11は、連結部周辺領域71における第2方向y及び第3方向zに平行な平面における断面積、つまり改質器セラミック領域11の厚さ方向の断面積が、中央領域72における厚さ方向の断面積よりも小さく設定されているので、CO除去器5のヒータ49より高温に加熱される改質器4のヒータ48の熱や、CO除去器5の除去器燃焼室34より高温に加熱される改質器4の改質器燃焼室30の熱が、連結部セラミック領域13を介してCO除去器5に伝搬することを抑制することができる。
また、セラミック基板14の積層されたセラミック層のうち、ヒータ48、49の各上下面に接する層は図11に示す構造に限らず、図13のようにしてもよい。すなわち、それぞれ改質器4とCO除去器5との距離が、連結部6に近い部分すなわち連結部周辺領域71,73では距離L3と長く、連結部6から遠い部分、具体的には端部対向領域80,81では、ヒータ48、49に接している上層より上の層における改質器4とCO除去器5との距離L2(距離L3より短い)と等しく設定されるように、改質器セラミック領域11に凹部46,46が設けられ、除去器セラミック領域12に凹部47,47が設けられているようにしてもよい。改質器セラミック領域11に凹部46が設けられることによって前述の図11に示す場合と同様に突出部90が形成され、除去器セラミック領域12に凹部47が設けられることによって、CO除去器5の端部対向領域81に、改質器4側に突出する突出部91が形成される。CO除去器5の連結部周辺領域73に設けられる各凹部47は、連結部6に連なる第1曲部87の曲率半径が、突出部91に連なる第2曲部88の曲率半径よりも相対的に小さくなるように形成される。
改質器セラミック領域11に凹部46,46が設けられ、除去器セラミック領域12に凹部47,47が設けられることによって、連結部周辺領域71,73における改質器4とCO除去器5との間の距離L3は、連結部周辺領域71,73を除く残余の領域のうち、端部対向領域80,81における改質器4とCO除去器5との間の距離L2よりも長くなる。このため、セラミック基板14の改質器セラミック領域11における連結部6と連結されている周辺領域71の第3方向zの厚さが、改質器セラミック領域11におけるその他の領域、例えば中央領域72の第3方向zの厚さより薄くなるとともに、セラミック基板14の除去器セラミック領域12における連結部6と連結されている周辺領域73の第3方向zの厚さが、除去器セラミック領域12におけるその他の領域、例えば中央領域74の第3方向zの厚さより薄くなる。したがって、ヒータ48、49の上下に接する各セラミック層は、それぞれ改質器セラミック領域11及び除去器セラミック領域12の寸法が第1方向xにおいて短くなり、相対的に連結部セラミック領域13の寸法が第1方向xにおいて長くなる。改質器セラミック領域11は、連結部周辺領域71における第2方向y及び第3方向zに平行な平面における断面積、つまり改質器セラミック領域11の厚さ方向の断面積が、中央領域72における厚さ方向の断面積よりも小さく設定され、そして、除去器セラミック領域12は、連結部周辺領域73における第2方向y及び第3方向zに平行な平面における断面積、つまり除去器セラミック領域12の厚さ方向の断面積が、中央領域74における厚さ方向の断面積よりも小さく設定されているので、CO除去器5のヒータ49より高温に加熱される改質器4のヒータ48の熱や、CO除去器5の除去器燃焼室34より高温に加熱される改質器4の改質器燃焼室30の熱が、連結部セラミック領域13を介してCO除去器5に伝搬することを抑制することができる。
なお上述では、改質器4、或いは改質器4及びCO除去器5において、連結部6近傍のセラミック領域に凹部を設け、連結部6近傍の断面積を小さくするとともに連結部6の長さを長くすることによって改質器4とCO除去器5との温度差を容易に保持できるようにしたが、同様にCO除去器5のみに連結部6近傍のセラミック領域に凹部を設け、連結部6近傍の断面積を小さくするとともに連結部6の長さを長くするようにしてもよい。
セラミック基板14における幅狭部、つまり連結部6の少なくとも各幅広部に接続される部分、つまり、改質器4及びCO除去器5に接続される部分は角がないように凹曲面状に形成され、各幅広部の外表面に滑らかに連なっている。これによってセラミック基板14に外力が作用した場合に、各幅広部と幅狭部との接続部位における応力が集中しないように分散することができ、セラミック基板14の強度を高くすることがでできる。
また熱膨張係数等の特性が異なる材質から成るセラミック領域11,12と改質器蓋体15および除去器蓋体16とを組合せるにあたって、セラミック領域11,12と改質器蓋体15および除去器蓋体16とを良好に接合するために、接合部材18,20が用いられる。このように接合部材18,20を用いることによって、セラミック領域と金属部品とを容易にかつ強固に接合することができる。
接合部材18,20の熱膨張係数が、改質器蓋体15および除去器蓋体16の熱膨張係数とセラミック領域11,12の熱膨張係数の間にある。したがってセラミック領域11,12と改質器蓋体15および除去器蓋体16とを直接接合する場合の接合部に発生する熱応力に比べ、セラミック領域11,12と接合部材18,20との接合部、改質器蓋体15および除去器蓋体16と接合部材18,20との接合部に発生する熱応力を小さく抑えることができる。したがってセラミック領域と金属部材との接合強度を高くすることができる。
また、支持台29,33の熱膨張係数が、隔壁26,28の熱膨張係数とセラミック領域11,12の熱膨張係数の間にある。したがってセラミック領域11,12と隔壁26,28とを直接接合する場合の接合部に発生する熱応力に比べ、セラミック領域11,12と支持台29,33との接合部、隔壁26,28と支持台29,33との接合部に発生する熱応力を小さく抑えることができる。したがってセラミック領域と隔壁との接合強度を高くすることができる。
改質器燃焼室30は、改質器接合部材18から内方に離間して形成されている。これによって改質器燃焼室30が改質器接合部材18に対して断熱されて形成され、改質器燃焼室30で発生する熱が外部に漏れにくくすることができる。また改質器燃焼室30を、改質器接合部材18から離間させて形成することによって、改質器セラミック領域11と改質器蓋体15とを改質器接合部材18を介して接合するときに、改質器燃焼室30を形成する部材に外力が加わってしまうことを防止することができる。また、除去器燃焼室34も、改質器燃焼室30同様、除去器接合部材20に対して断熱されて形成され、除去器燃焼室34で発生する熱が外部に漏れにくくすることができ、除去器燃焼室34を形成する部材に外力が加わってしまうことを防止することができる。
接合部材18、20の内方側において、セラミック基板14表面が、凸状に隆起している。これによって改質器燃焼室30および除去器燃焼室34の厚み方向寸法を小さくし、原料を改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を規定する内表面に接触しやすくすることができる。したがって改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を規定する内表面に触媒を被着させておくことによって、触媒に接触しやすくし、反応効率を高くすることができる。しかも接合部材18,20の厚みを小さくしなくてもよく、接合部材18,20の強度が低下してしまうことが防がれる。
セラミック基板14表面の接合部材18,20との接合部は、凹状に陥没している。これによって改質器燃焼室30および除去器燃焼室34の厚み方向寸法を小さくし、原料を改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を規定する内表面に接触しやすくすることができる。したがって改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を規定する内表面に触媒を被着させておくことによって、触媒に接触しやすくし、反応効率を高くすることができる。しかも接合部材18,20の厚みを小さくしなくてもよく、接合部材18,20の強度が低下してしまうことが防がれる。
接合部材18,20から内方に離間して形成される改質器燃焼室30および除去器燃焼室34は、セラミック基板14に、接合部材18,20の内方側で、隔壁支持台29,33を介して隔壁を接合することによって構成されている。このような構成によって、接合部材18,20から内方に離間して、改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を形成することができる。
隔壁支持台29,30の高さ寸法は、接続部材18,20の高さ寸法よりも小さい。これによって改質器燃焼室30および除去器燃焼室34の厚み方向寸法を小さくし、原料を改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を規定する内表面に接触しやすくすることができる。したがって改質器燃焼室30および除去器燃焼室34を規定する内表面に触媒を被着させておくことによって、触媒に接触しやすくし、反応効率を高くすることができる。しかも接合部材18,20の厚みを小さくしなくてもよく、接合部材18,20の強度が低下してしまうことが防がれる。
改質器4は、水素を発生させる化学反応を行なう反応部である。したがって反応装置1では、水素を生成することができる。CO除去器5は、一酸化炭素を除去する反応を行なう反応部である。したがって反応装置1を用いることによって、一酸化炭素が供給先に供給されてしまうことを防ぐことができる。
さらに、反応装置1によって生成された反応生成物を燃料として、燃料電池3で発電を行なうことができるので、燃料電池3の燃料よりも取扱の容易な原料を、反応装置1によって反応させ、その反応生成物を燃料電池3の燃料とすることができる。したがって燃料電池3の燃料よりも取扱の容易な原料を貯蔵しておくことによって、燃料電池3で発電することができ、取扱の容易な燃料電池システムを実現することができる。
図13は、燃料電池システム2が搭載される電子機器70の一例を示す斜視図である。図14は、電子機器70の電気的構成を示すブロック図である。電子機器70は、筐体61に設けられた操作部62および表示部63と、操作部62からの入力情報に基づいて表示部63の表示内容を制御する動作制御部64と、筐体61内に収容され、操作部62、表示部63および動作制御部64に、電力を供給する燃料電池システム3と、を備える。このような電子機器3は、たとえば算術演算に用いられる電子計算機である。
また燃料電池システム2を搭載する電子機器は、図13および図14に示すような電子計算機に限定されるものではなく、デジタルカメラ、携帯電話機器、ノート型パソコン、腕時計、PDA、その他の電子機器であってもよい。燃料電池システム2は、少なくとも原料容器60を除く構成が、電子機器の筐体の内方に設けられ、原料容器60は、電子機器の原料容器60を除く部分に着脱可能に設けられている。原料容器60も、電子機器の筐体の内方に設けられていてもよい。原料容器60は、電子機器の原料容器60を除く部分に装着された場合、原料容器60の原料がポンプによって反応装置1に供給可能に構成されている。
上記実施形態によれば、操作部62、表示部63および動作制御部64で必要な電力を、燃料電池システム2で発電し、供給することができる。このように燃料電池システムで発電して駆動する電子機器を実現することができる。
また、操作部62および表示部63を備えていない電子機器であってもよく、燃料電池システム2を搭載することによって、燃料電池システムで発電して駆動する電子機器を実現することができる。
前述の実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、構成を変更することができる。たとえば反応装置1は、水素を生成する反応以外の反応に用いられてもよい。
また前述の実施の形態では、反応装置1は、高温反応部である改質器4の高温反応室である改質反応室31における反応によって生成される生成物を、低温反応部であるCO除去器5の低温反応室である除去反応室35に導いて反応させるように構成される。本発明の反応装置はこれに限定されず、たとえば低温反応部の低温反応室における反応によって生成される生成物を、高温反応部の高温反応室に導いて反応させるように構成されてもよい。
また前述の実施の形態では、改質器蓋体15および除去器蓋体16は同一の材料から成るが、これに限定されず、異なる材料によって形成されてもよい。改質器蓋体15および除去器蓋体16が異なる材料から成る場合、改質器接合部材18の熱膨張係数は、改質器蓋体15の熱膨張係数と改質器セラミック領域11の熱膨張係数との間の値に選ばれ、除去器接合部材20の熱膨張係数は、除去器蓋体16の熱膨張係数と除去器セラミック領域12の熱膨張係数との間の値に選ばれる。
また前述の実施の形態では、改質器蓋体15と改質器セラミック領域11との間には改質器接合部材18が介在されるが、これに限定されず、改質器蓋体15と改質器接合部材18との間、および改質器接合部材18と改質器セラミック領域11との間のいずれか一方または両方には、さらに1つまたは複数の接合部材が介在されてもよい。また除去器蓋体16と除去器セラミック領域12との間には除去器接合部材20が介在されるが、これに限定されず、除去器蓋体16と除去器接合部材20との間、および除去器接合部材20と除去器セラミック領域12との間のいずれか一方または両方には、さらに1つまたは複数の接合部材が介在されてもよい。
また前述の実施の形態では、各改質器フィン25は、スポット溶接によって改質器隔壁26に接合されるが、これに限定されず、他の接合方法、たとえば接着剤による接着またはろう付けによって接合されてもよい。また各除去器フィン27は、スポット溶接によって除去器隔壁28に接合されるが、これに限定されず、他の接合方法、たとえば接着剤による接着またはろう付けによって接合されてもよい。
また前述の実施の形態では、各改質器フィン25と改質器隔壁26とは、別々の部材によって構成されるが、これに限定されず、一体構造であってもよい。また各除去器フィン27と除去器隔壁28とは、別々の部材によって構成されるが、これに限定されず、一体構造であってもよい。
また前述の実施の形態では、改質器蓋体15は改質器接合部材18を介して改質器セラミック領域11に接合されるが、これに限定されず、改質器接合部材18を介さずに改質器セラミック領域11に直接接合されてもよい。また除去器蓋体16は除去器接合部材20を介して除去器セラミック領域12に接合されるが、これに限定されず、除去器接合部材20を介さずに除去器セラミック領域12に直接接合されてもよい。
基板内部流路50は、蛇行していてもしていなくてもよい。また、改質器4やCO除去器5の寸法は本実施形態に限定されない。例えば、改質器4およびCO除去器5の互いの第2方向y寸法が異なっていてもよく、改質器4の平面視の面積とCO除去器5の平面視の面積とは同じでも、改質器4の方が大きくてもよい。
本発明の実施の一形態の反応装置1を示す断面図である。 反応装置1を示す斜視図である。 反応装置1を備える燃料電池システム2のブロック図である。 改質器接合部材18および除去器接合部材20などが設けられた状態でセラミック基板14を示す斜視図である。 改質器蓋体15を示す斜視図である。 除去器蓋体16を示す斜視図である。 熱拡散部材である改質器フィン25が設けられた状態で改質器隔壁26を示す斜視図である。 熱拡散部材である除去器フィン27が設けられた状態で除去器隔壁28を示す斜視図である。 改質器蓋体15および除去器蓋体16を取除いた状態で反応装置1を示す斜視図である。 図1の切断面線S10−S10から見たセラミック基板14の断面図である。 図1の切断面線S11−S11から見たセラミック基板14の断面図である。 改質器接合部材18および除去器接合部材20などが設けられた状態のセラミック基板14を、セラミック基板14の厚み方向z他方側から見て示す斜視図である。 変形例における図1の切断面線S11−S11から見たセラミック基板14の断面図である。 燃料電池システム2が搭載される電子機器70の一例を示す斜視図である。 電子機器70の電気的構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 反応装置
2 燃料電池システム
3 燃料電池
4 改質器
5 CO除去器
6 連結部
11 改質器セラミック領域
12 除去器セラミック領域
13 連結部セラミック領域
14 セラミック基板
15 改質器蓋体
16 除去器蓋体
17,19 開放端部
18 改質器接合部材
20 除去器接合部材
25 改質器フィン
26 改質器隔壁
27 除去器フィン
28 除去器隔壁
29 改質器隔壁支持台
30 改質器燃焼室
31 改質反応室
32 改質器仕切部材
33 除去器隔壁支持台
34 除去器燃焼室
35 除去反応室
36 除去器仕切部材
37,38,45 端部
40 補助フィン
44 補助フィン支持台
48,49 ヒータ
50 基板内部流路
51 第1流路
52 第2流路
53 第3流路
54 第4流路
55 第5流路
56 第6流路
57 第7流路
58 第8流路
60 原料容器
61 筐体
62 操作部
63 表示部
64 動作制御部
70 電子機器

Claims (7)

  1. 高温反応室が形成される改質反応部と、
    前記高温反応室よりも低温で化学反応が行なわれる低温反応室が形成される一酸化炭素除去反応部と、
    前記改質反応部と前記一酸化炭素除去反応部とを連結する連結部と、
    を備え、
    前記改質反応部及び前記一酸化炭素除去反応部はセラミック基板を有し、前記改質反応部における前記セラミック基板または前記一酸化炭素除去反応部における前記セラミック基板の少なくとも一方は、前記連結部と連結されている周辺領域の前記セラミック基板の厚さ方向の断面積が中央領域の前記セラミック基板の厚さ方向の断面積より小さいことを特徴とする反応装置。
  2. 前記改質反応部及び前記一酸化炭素除去反応部は連続したセラミック基板上に形成され、
    前記連結部の周辺領域における前記改質反応部と前記一酸化炭素除去反応部との間の距離は、前記周辺領域以外の領域における前記改質反応部と前記一酸化炭素除去反応部との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
  3. 前記連結部は、前記改質反応部及び前記一酸化炭素除去反応部の少なくとも一方と連結される連結領域において、凹曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反応装置。
  4. 前記改質反応部は、水素を発生させる反応を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反応装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の反応装置と、
    前記反応装置によって生成された反応生成物を燃料として発電を行なう燃料電池とを備えることを特徴とする燃料電池システム。
  6. 請求項に記載の燃料電池システムを備えることを特徴とする電子機器。
  7. 筐体に設けられた操作部および表示部と、
    前記操作部からの入力情報に基づいて前記表示部の表示内容を制御する動作制御部と、
    前記筐体内に収容され、前記操作部、前記表示部および前記動作制御部に電力を供給する請求項に記載の燃料電池システムと、を備えることを特徴とする電子機器。
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