JP4673650B2 - カートリッジ交換式筆記具 - Google Patents

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本発明は、吸収体を内挿したカートリッジを、サインペンやマーキングペン等に交換可能に内蔵した、カートリッジ交換式筆記具に関するものである。
従来、この種の筆記具は、インキが消耗してしまえばインキの供給ができないため破棄されていたが、近年インキの消費のみにより全体を破棄することは、資源の有効利用や廃棄物処理の観点から問題視され、実開平6−3688号、特開2002−67573、実公昭50−12452号に開示されているように、レフィルや吸収体を交換できる筆記具や、インキを再供給できる交換式インキ筒等が既に提案されている。
しかしながら、前記実開平6−3688号に開示された筆記具では、レフィルの摘み部分が小さいためレフィル交換時の取り外しが困難であり、また仮に容器に対する係止をねじ等によって行うようにした場合であっても、中綿とペン芯の接触部分が螺合時に摩擦によってねじれてしまい、インキの均一なフローが得られなくなる。
また、特開2002−67573号に開示されている筆記具では、中綿交換時に中綿を後軸筒から後方へ引っ張り出さなければならないため、そこで手を汚す可能性がある。つまり、この構成は、両軸筒の接続部分に気密部を設けているため、中綿の外周面が非透過性皮膜で形成されているとしても、使用環境や落下衝撃による中綿両端からのインキの噴出しによって中綿外周面がインキで汚れていたり、交換時に手で摘んだ際の中綿両端からのインキの噴出しによって手を汚す可能性は十分に考えられる。
実公昭50−12452号に開示されている筆記具では、前記同様、使用環境や落下衝撃によって吸収体中のインキがインク筒から噴出し、交換用インク筒外周面がインキで汚れ、交換時に手を汚す可能性がある。また、外筒の内容積は固定されているため、インク貯留量を大にすることができるといっても、その量には制限がある。
実開平6−3688号 特開2002−67573号 実公昭50−12452号
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に着目してなされたもので、カートリッジ交換を容易に行うことができ、その際全く手を汚す可能性のないカートリッジ交換式筆記具を供給することを目的とする。また、カートリッジの太さは変えずに全長のみを長く設計することにより、内挿できる吸収体の容積を大きくでき、比例してインキの含有量も多くできるカートリッジ交換式筆記具を提供することを目的とする。さらに、スポイト等を用いて吸収体へインキを直接補充する際、軸筒がカートリッジを起立状態で維持できるスタンドの代わりに使用できるカートリッジ交換式筆記具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた、第1の発明のカートリッジ交換式筆記具は、ペン芯を嵌挿したホルダーと、吸収体を内挿し前記ホルダーと着脱可能としたカートリッジと、両端が開口した筒状の軸筒とからなる筆記具であって、前記ホルダーの後端に周設した気密部と前記カートリッジの前端に周設した気密部が着脱自在に密嵌し、軸筒の内周面に周設した段部とカートリッジの外周面に周設した段部が摺接し、前記軸筒の前端と前記ホルダーの後端が着脱自在に螺着固定したことを特徴とする。
第2の発明は、前記カートリッジを、前記カートリッジの太さを変えないで全長を長くすることにより前記カートリッジの容積を大きくした新しいカートリッジ、又は前記カートリッジの太さを変えないで全長を短くすることにより前記カートリッジの容積を小さくした新しいカートリッジに交換できることを特徴とする第1の発明に記載のカートリッジ交換式筆記具である。
第3の発明は、前記軸筒の後端端面を水平にしたことを特徴とする第1の発明に記載のカートリッジ交換式筆記具である。
本発明のカートリッジ交換式筆記具では、次のような効果を奏するものである。
1、カートリッジを交換する場合は、ホルダーから軸筒を取外し、カートリッジをホルダーから後方へ向かって取り外すだけの構成のため、カートリッジ交換を容易に行うことができる。
2、気密部がホルダーとカートリッジとの間に形成されているため、カートリッジの外周面はインキで汚れることがなく、よってカートリッジを交換する際カートリッジの外周面を手で触れても手が汚れることはない。
3、カートリッジをホルダーと密嵌する際、ねじ嵌合を行わないので、前後への移動はあっても、回転方向への移動はないため、ペン芯の後端と吸収体の前端の接触部分が、回転方向への摩擦によってねじれたり、よれたりすることがなく、よって商品設計時の所望のインキフローを得ることができる。
4、新しいカートリッジの前端をホルダーの後端開口部から挿入した際に、挿入距離が短く、気密部の密接距離が短い状態であったとしても、軸筒がホルダーと螺着される際、摺接部によって新しいカートリッジは前方へ押動されるため、気密部の密接距離は所望の設計距離で常に密嵌されることになる。
5、カートリッジの太さは変えずに全長のみを長く設計することにより、内挿できる吸収体の容積を大きくでき、比例してインキの含有量も多くできるため、使用者がよりインキ量の多いカートリッジに交換したい場合に有効である。
6、軸筒が、カートリッジを起立状態で維持できるスタンドの代わりとなるため、使用者はカートリッジを起立維持することに注意する必要がなくなり、よってインキ補充作業がし易いと共に作業に集中でき、手や作業周辺を汚す可能性を低減できる。
次に、本発明の第一の実施形態を図1、図2にて詳細に説明する。1は、前端にペン芯2を嵌挿する嵌挿孔を有し、後端が開口した先細筒状のホルダーで、後端内周面には溝状の気密部8aが周設され、後端外周面には雄ねじ部7aが形成されている。3は、前端が開口した有底略円筒状で、筒内にはインキを含浸させた繊維質からなる吸収体4が内挿され、外周面中央部には段部9bが、前端外周面の周囲には前記気密部8aの溝に合致する形状の気密部8bがそれぞれ周設されたカートリッジである。5は両端が開口した筒状で、前端内周面にはホルダー1の後端と着脱自在に螺着されるように雌ねじ部7bが形成され、内周面中央部には段部9aが周設された軸筒である。ペン芯2は、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維を原料とし、該原料を樹脂で固めたり、或いは焼結させた繊維質ペン芯を使用できる。吸収体4は、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維樹脂を使用でき、適宜ポリエチレンやポリプロピレン等の外皮を設けてもよい。
ホルダー1とカートリッジ3は気密部8で密嵌されている。気密部8はホルダー1の内周面に周設された気密部8aと、カートリッジ3の前端外周面に周設された気密部8bにより面で気密を取っている。カートリッジ3は、着脱可能にホルダー1に密嵌することで、新しいカートリッジ3への交換を可能としている。
接続部7は、軸筒5の前端内周面に形成した雌ねじ部7bと、ホルダー1の後端外周面に形成した雄ねじ部7aから形成されており、使用者の希望により適宜着脱自在に螺着される。カートリッジ3と軸筒5との間には、軸筒5がホルダー1に螺着される際に摺接する摺接部9が形成されている。摺接部9は軸筒5の内周面に周設された段部9aと、該段部9aと対向する位置に、カートリッジ3の外周面に周設した段部9bとで形成される。螺着されると同時に摺接部9が圧接し、カートリッジ3を前方に押し上げるため、気密部8の気密が確実なものとなる。
ここで、接続部7は、軸筒5に雄ねじ部を形成し、ホルダー1に雌ねじ部を形成して、使用者の希望により適宜着脱自在に螺着される構成でもよい。また、気密部8は別の構成でもよく、例えばカートリッジ3の前端内周面と、ホルダー1の対向位置に周設した凸状部周面とで気密を取ってもよい。
次に、以上のように構成された本発明の第一の実施形態の使用方法を詳細に説明する。使用者はキャップ6を外してペン芯2を露出し筆記するが、吸収体4内に含浸されたインキを全て消費してしまった場合、カートリッジ3を新しいカートリッジ3に交換することができる。カートリッジ3を交換する場合は、まず、ホルダー1から接続部7で螺着された軸筒5を取外し、次に着脱可能にホルダー1に密嵌されているカートリッジ3を、ホルダー1から後方へ向かって取り外す。そして、新しいカートリッジ3から、保管時のインキ蒸発を防ぐために密嵌させた蓋(図示せず)を取外し、新しいカートリッジ3の前端をホルダー1の後端開口部から挿入し、ペン芯2の後端に吸収体4の前端を当接させ、次に、新しいカートリッジ3の気密部8bとホルダー1の気密部8aを面接触させ気密部8で密嵌させる。そして、先程取り外した軸筒5に、新しいカートリッジ3を内挿させながら、軸筒5の前端の雌ねじ部7bとホルダー1の後端の雄ねじ部7aを当接させて接続部7とし螺着する。ここで、新しいカートリッジ3に密嵌させた蓋とは、保管時にインキの蒸発を防ぐため新しいカートリッジ3の前端外周面を覆うキャップ状の蓋のことである。また、同様の効果を有する蓋として他にも前端面を接合するシール状のものも使用できる。この場合は材質としてアルミと合成樹脂との積層フィルムが使用でき、外周の一部にツマミ部を設けると取外しに便利である。
ここで、気密部8において、新しいカートリッジ3とホルダー1との密嵌状態が不完全な場合は、新しいカートリッジ3と軸筒5との間に形成された摺接部9によって補正される。ここでいう密嵌が不完全な状態とは、ホルダー1の内周面に周設された気密部8aと、カートリッジ3の前端外周面に周設された気密部8bの面接触が不十分な状態をいう。もし、新しいカートリッジ3の前端をホルダー1の後端開口部から挿入した際に、挿入距離が短く、気密部8aと気密部8bとの気密が不十分な状態であったとしても、軸筒5がホルダー1と螺着される際、軸筒5の内周面に周設された段部9aと、カートリッジ3の外周面に周設した段部9bとが摺接し、カートリッジ3は前方へ押動されるため、気密部8aと気密部8bとの気密は確実なものとなる。ここで摺接とは、滑りながら接することをいい、カートリッジ3と軸筒5は、段部9aと段部9bとが滑りながら接しているため、軸筒5がホルダー1と螺着される際に、カートリッジ3を回転させず前方にのみ押動する。
このように構成されたものは、気密部8がカートリッジ3とホルダー1との間に形成されているため、カートリッジ3の外周面はインキで汚れることがなく、よってカートリッジ3を交換する際、カートリッジ3の外周面を手で触れても手を汚すことはない。また、カートリッジ3は、ホルダー1と密嵌する際、前後への移動はあっても、回転方向への移動はないため、ペン芯2の後端と吸収体4の前端の接触部分が、回転方向への摩擦によってねじれたり、よれたりすることがなく、よって商品設計時の所望のインキフローを得ることができる。
次に、本発明の第二の実施形態を図3にて詳細に説明する。尚、ここでは、前記した第一の実施形態と異なる点のみ説明する。31は前記カートリッジ3同様、前端が開口した有底略円筒状で、前端外周面に気密部8bが、外周面中央部には段部9bが周設され、筒内にインキを含浸させた繊維質からなる吸収体4が内挿されたカートリッジである。カートリッジ31は、第一の実施形態のカートリッジ3と比べ、太さは変えずに全長のみを長く設計されている。それにより、カートリッジ31に内挿できる吸収体4の容積が大きくでき、比例してインキの含有量も多くなる。また、太さは変えずに全長のみを短くすることも可能である。その際は、容積が小さくなるので、比例してインキの含有量も少なくなる。
以上のように構成された本発明の第二の実施形態の使用方法は、第一の実施形態と概ね同様であるが、本実施形態は、特に使用者がよりインキ量の多いカートリッジ31に交換したい場合に有効である。そして、このように構成されたものは、軸筒5が後端も開口した筒状のため、軸筒5内にカートリッジ31を内挿しても、長くなった部分は、軸筒5の後端から外に向かって露出でき弊害は生じない。つまり、軸筒5の影響を受けずに、カートリッジ3のみの変更で、吸収体の容積を大きくすることができる。
次に、本発明の第三の実施形態を図4にて詳細に説明する。尚、ここでは前記第二の実施形態のときと同様、第一の実施形態と異なる点のみ説明する。両端が開口した筒状の軸筒5の後端端面51を水平に形成する。これにより、前記軸筒5は、後端下向きに起立させたとき起立状態を維持することができる。
以上のように構成された本発明の第三の実施形態の使用方法を詳細に説明する。インキを再供給する方法として、前述した新しいカートリッジ3に交換する方法以外に、カートリッジ3に内挿した吸収体4へ、スポイト等を用いてインキを直接補充する方法も考えられる。その際カートリッジ3を直接手に持ってインキを補充すると、インキが飛散して手に付着する可能性がある。また、インキは補充容器等からスポイトで吸い上げて補充することが多いため、一人で作業する場合手数が不足し、補充容器を転倒させたり、カートリッジ3を横向きに置くことによる周囲へのインキ汚れ等、不測の事態が発生する可能性が十分に考えられる。
そこで、本発明の第三の実施形態では、使用者は吸収体4内に含浸したインキを全て消費してしまった場合、カートリッジ3に内挿した吸収体4へインキを直接補充するために、まず、ホルダー1から接続部7で螺着された軸筒5を取外し、軸筒5の後端側を下向きにして起立させて卓上等へ載置する。次に着脱可能にホルダー1に密嵌されているカートリッジ3を、ホルダー1から後方へ向かって取り外す。そして、カートリッジ3を起立状態で載置された前記軸筒5の筒内に挿入する。その際、前記カートリッジ3の前端が上方を向くように、軸筒5にはカートリッジ3の後端側から挿入する。これにより、軸筒5がカートリッジ3のスタンドとなり、手を離してもカートリッジ3は開口した前端を上向きにして、起立した状態を維持する。この状態で、カートリッジ3に内挿された吸収体4へ、補充容器等からスポイトで吸い上げたインキを直接補充する。カートリッジ3をスタンドとなる軸筒5に起立させることで、使用者はカートリッジ3を起立維持することに注意する必要がなくなり、インキ補充する作業のみに集中でき、前述したような作業周辺を汚す可能性を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態として第一、第二、第三の実施形態を説明してきたが、本発明は前記した実施の形態に限定されるものではない。
本発明第一の実施形態の中央切欠正面図 本発明第一の実施形態の気密部分拡大断面図 本発明第一の実施形態のカートリッジを交換する状態を示した中央切欠正面図 本発明第二の実施形態の中央切欠正面図 本発明第三の実施形態の中央切欠正面図
符号の説明
1 ホルダー
2 ペン芯
3、31 カートリッジ
4 吸収体
5 軸筒
51 後端端面
6 キャップ
7 接続部
7a 雄ねじ部
7b 雌ねじ部
8、8a、8b 気密部
9 摺接部
9a、9b 段部

Claims (3)

  1. ペン芯(2)を嵌挿したホルダー(1)と、吸収体(4)を内挿し前記ホルダー(1)と着脱可能としたカートリッジ(3)と、両端が開口した筒状の軸筒(5)とからなる筆記具であって、前記ホルダー(1)の後端に周設した気密部(8a)と前記カートリッジ(3)の前端に周設した気密部(8b)が着脱自在に密嵌し、軸筒(5)の内周面に周設した段部(9a)とカートリッジ(3)の外周面に周設した段部(9b)が摺接し、前記軸筒(5)の前端と前記ホルダー(1)の後端が着脱自在に螺着固定したことを特徴とするカートリッジ交換式筆記具。
  2. 前記カートリッジ(3)を、
    前記カートリッジ(3)の太さを変えないで全長を長くすることにより前記カートリッジ(3)の容積を大きくした新しいカートリッジ(31)、又は前記カートリッジ(3)の太さを変えないで全長を短くすることにより前記カートリッジ(3)の容積を小さくした新しいカートリッジ(31)に交換できることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ交換式筆記具。
  3. 前記軸筒(5)の後端端面(51)を水平にしたことを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ交換式筆記具。
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