図面を参照して、本発明による接合装置制御装置の実施の形態を記載する。その接合装置制御装置10は、図1に示されているように、接合システムに適用されている。すなわち、その接合システムは、接合装置制御装置10と接合装置1とを備えている。接合装置1は、接合チャンバー2とロードロックチャンバー3とを備えている。接合チャンバー2とロードロックチャンバー3とは、内部を環境から密閉する容器である。接合装置1は、さらに、ゲートバルブ5を備えている。ゲートバルブ5は、接合チャンバー2とロードロックチャンバー3との間に介設されている。ゲートバルブ5は、接合装置制御装置10により制御されることにより、接合チャンバー2の内部とロードロックチャンバー3の内部とを接続するゲートを閉鎖し、または、そのゲートを開放する。ロードロックチャンバー3は、図示されていない蓋を備えている。その蓋は、ロードロックチャンバー3の外部と内部とを接続するゲートを閉鎖し、または、そのゲートを開放する。
ロードロックチャンバー3は、真空ポンプ4を備えている。真空ポンプ4は、接合装置制御装置10により制御されることにより、ロードロックチャンバー3の内部から気体を排気する。真空ポンプ4としては、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、油拡散ポンプが例示される。ロードロックチャンバー3は、さらに、搬送機構6を内部に備えている。搬送機構6は、接合装置制御装置10により制御されることにより、ゲートバルブ5を介してロードロックチャンバー3の内部に配置されたウェハを接合チャンバー2に搬送し、または、ゲートバルブ5を介して接合チャンバー2に配置されたウェハをロードロックチャンバー3の内部に搬送する。
接合チャンバー2は、真空ポンプ9を備えている。真空ポンプ9は、接合装置制御装置10により制御されることにより、接合チャンバー2の内部から気体を排気する。真空ポンプ9としては、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、油拡散ポンプが例示される。
接合チャンバー2は、さらに、位置合わせ機構12を備えている。位置合わせ機構12は、接合チャンバー2の内部でカートリッジ16を保持し、水平方向に平行移動可能に、かつ、鉛直方向に平行である回転軸を中心に回転移動可能にカートリッジ16を支持する。カートリッジ16は、概ね円盤状に形成され、上ウェハ7または下ウェハ8を載せるために利用される。位置合わせ機構12は、さらに、接合装置制御装置10により制御されることにより、カートリッジ16が水平方向に平行移動し、または、カートリッジ16が鉛直方向に平行である回転軸を中心に回転移動するように、カートリッジ16を駆動する。
接合チャンバー2は、さらに、圧接機構11と圧接軸17と静電チャック18と荷重計19とを備えている。圧接軸17は、接合チャンバー2に対して鉛直方向に平行移動可能に支持されている。静電チャック18は、圧接軸17の下端に配置され、位置合わせ機構12に対向する面に誘電層を備えている。静電チャック18は、接合装置制御装置10により制御されることにより、静電力によって上ウェハ7を保持する。圧接機構11は、接合装置制御装置10により制御されることにより、接合チャンバー2に対して鉛直方向に圧接軸17を平行移動させる。圧接機構11は、さらに、静電チャック18が配置される位置を測定し、その位置を接合装置制御装置10に出力する。荷重計19は、圧接軸17に印加される荷重を測定することにより、静電チャック18により保持されたウェハに印加される荷重を測定し、その荷重を接合装置制御装置10に出力する。
荷重計19は、接合装置制御装置10により制御されることによりゼロリセットされ、接合装置制御装置10により指示された測定レンジで静電チャック18に印加される荷重を測定する。たとえば、荷重計19は、図示されていない圧電体と変換器とA/Dコンバータとを備えている。その圧電体は、圧接軸17に設けられ、静電チャック18に印加される荷重に対応する電圧を出力する。その電圧は、その荷重に比例している。その変換器は、その圧電体から出力された電圧に対応する出力電圧を出力する。その出力電圧は、その圧電体により出力された電圧に概ね比例している。その変換器は、さらに、接合装置制御装置10によりゼロリセットされたときに、その圧電体から出力された電圧が下限値に等しいときにその出力電圧が0を示すように、校正される。その下限値は、接合装置制御装置10によりゼロリセットされたタイミングでその圧電体から出力された電圧である。その変換器は、さらに、その圧電体から出力された電圧が上限値に等しいときにその出力電圧が最大値を示すように、接合装置制御装置10により校正される。その上限値は、接合装置制御装置10により指示された測定レンジの最大値である。そのA/Dコンバータは、接合装置制御装置10により指示された測定レンジとその変換器から出力される出力電圧とに基づいて荷重を算出し、その荷重を接合装置制御装置10に出力する。その荷重は、その出力電圧に比例している。すなわち、その荷重は、その出力電圧が0であるときに0を示し、その出力電圧がその測定レンジの最大値を示すときにその測定レンジの最大値に対応する荷重を示している。
接合チャンバー2は、さらに、イオンガン14と電子源15とを備えている。イオンガン14は、静電チャック18が上方に配置されているときに、位置合わせ機構12と静電チャック18との間の空間に向くように配置されている。イオンガン14は、接合装置制御装置10により制御されることにより、位置合わせ機構12と静電チャック18との間の空間を通り、接合チャンバー2の内側表面に交差する照射軸に沿って、アルゴンイオンを加速して放出する。電子源15は、イオンガン14と同様にして、位置合わせ機構12と静電チャック18との間の空間に向くように配置されている。電子源15は、接合装置制御装置10により制御されることにより、位置合わせ機構12と静電チャック18との間の空間を通り、接合チャンバー2の内側表面に交差する他の照射軸に沿って、電子を加速して放出する。
上ウェハ7は、互いに形状が合同である複数の矩形領域が形成されている。下ウェハ8は、上ウェハ7に形成される複数の矩形領域に対応する複数の矩形領域が形成されている。下ウェハ8の複数の矩形領域は、上ウェハ7と下ウェハ8とが設計通りに接合されたときに、上ウェハ7の複数の矩形領域にそれぞれ接合されるように、形成されている。下ウェハ8は、上ウェハ7と設計通りに接合された後に、その複数の矩形領域ごとに切断されることにより、複数のデバイスにそれぞれ形成されるように形成されている。
その複数のデバイスは、それぞれ、気密封止された空間が形成され、その空間の圧力に所定の真空度が要求されている。このようなデバイスとしては、マイクロマシン、圧力センサ、超小型モータなどが例示される。たとえば、下ウェハ8は、その複数の矩形領域の各々に隔壁部分とカンチレバー部分とが形成されている。その隔壁部分は、下ウェハ8がそのデバイスに形成されたときに、上ウェハ7の一部に接合され、その一部とともにその気密封止された空間を環境から隔離する隔壁の一部を形成している。そのカンチレバー部分は、下ウェハ8がそのデバイスに形成されたときに、その気密封止された空間に配置されるように、かつ、その空間で振動することができるように、形成されている。
図2は、接合装置制御装置10を示している。接合装置制御装置10は、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバルメモリドライブと入力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、接合装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置とインターフェースとを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより生成される情報を一時的に記録する。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、特に、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを接合装置制御装置10にインストールするときに利用される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより情報を生成し、その情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボードが例示される。そのインターフェースは、接合装置制御装置10に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、真空ポンプ4と搬送機構6と真空ポンプ9と圧接機構11と位置合わせ機構12とイオンガン14と電子源15と静電チャック18と荷重計19とを含んでいる。
接合装置制御装置10にインストールされるコンピュータプログラムは、接合装置制御装置10に複数の機能を実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、搬送部21と荷重測定部22と微分部23と荷重計制御部24と駆動部25と静電チャック制御部26と活性化部27と位置合わせ部28とを含んでいる。
搬送部21は、ゲートバルブ5を閉鎖する。搬送部21は、ゲートバルブ5が閉鎖されているときに、真空ポンプ4を用いてロードロックチャンバー3の内部に所定の真空度の予備雰囲気を生成し、または、ロードロックチャンバー3の内部に大気圧雰囲気を生成する。搬送部21は、ロードロックチャンバー3の内部にその所定の真空度の雰囲気が生成されているときに、ゲートバルブ5を開放し、または、ゲートバルブ5を閉鎖する。搬送部21は、ゲートバルブ5が開放されているときに、搬送機構6を用いてロードロックチャンバー3の内部に配置されているカートリッジ16を位置合わせ機構12に搬送し、または、搬送機構6を用いて位置合わせ機構12に保持されているカートリッジ16をロードロックチャンバー3の内部に搬送する。
荷重測定部22は、荷重計19を用いて、静電チャック18に印加される荷重を測定する。
微分部23は、荷重測定部22により測定された荷重に基づいて変化率を算出する。その変化率は、その荷重を時間で微分した値を示し、たとえば、荷重測定部22により所定の間隔で複数の荷重が測定されたときに、その複数の荷重のうちのある時刻で測定された荷重とその直前に測定された荷重との差をその間隔で割った商を示している。微分部23は、さらに、その算出された変化率の変化に基づいてタイミングを算出する。そのタイミングは、接触タイミングと解放タイミングとを含んでいる。
荷重計制御部24は、微分部23により算出される接触タイミングでゼロリセットされるように荷重計19を制御する。荷重計制御部24は、さらに、微分部23により算出されるタイミングに基づいて複数の測定レンジから1つの測定レンジを選択し、その選択された測定レンジを荷重計19に指示することにより、荷重計19を校正する。その複数の測定レンジは、接合荷重検知用測定レンジと接触検知用測定レンジとを含んでいる。その接合荷重検知用測定レンジの最大値は、上ウェハ7と下ウェハ8とが接合するときに必要である接合荷重より大きい荷重に対応し、その荷重が静電チャック18に印加されたときに荷重計19の圧電体から出力される電圧を示している。その接触検知用測定レンジの最大値は、その接合荷重検知用測定レンジの最大値より小さく、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触することを検知するときに必要である接触荷重より大きい荷重に対応し、その荷重が静電チャック18に印加されたときに荷重計19の圧電体から出力される電圧を示している。
駆動部25は、静電チャック18が平行移動するように、圧接機構11を制御する。駆動部25は、さらに、静電チャック18が所定の位置に到達するタイミングを算出し、そのタイミングで静電チャック18が停止するように、圧接機構11を制御する。駆動部25は、さらに、荷重測定部22により測定された荷重が所定の荷重に到達するタイミングを算出し、そのタイミングで静電チャック18が停止するように、圧接機構11を制御する。
駆動部25は、さらに、微分部23により算出されたタイミングに基づいて複数の速度から1つの速度を選択する。その複数の速度は、高速下降と低速下降と極低速下降と極低速上昇と低速上昇と高速上昇とを含んでいる。その高速下降は、高速で静電チャック18が位置合わせ機構12に接近することを示している。その低速下降は、その高速下降の速さより遅い低速で静電チャック18が位置合わせ機構12に接近することを示している。その極低速下降は、その低速下降の速さより遅い極低速で静電チャック18が位置合わせ機構12に接近することを示している。その極低速上昇は、極低速で静電チャック18が位置合わせ機構12遠ざかることを示している。その低速上昇は、その極低速上昇の速さより速い低速で静電チャック18が位置合わせ機構12遠ざかることを示している。その高速上昇は、その低速上昇の速さより速い高速で静電チャック18が位置合わせ機構12遠ざかることを示している。駆動部25は、さらに、その選択された速度で静電チャック18が一定に移動するように圧接機構11を制御する。
静電チャック制御部26は、さらに、微分部23により算出された接触タイミングで静電チャック18が上ウェハ7を保持するように、静電チャック18を制御する。
活性化部27は、ゲートバルブ5が閉鎖されているときに、真空ポンプ9を用いて接合チャンバー2の内部に所定の真空度の接合雰囲気を生成する。活性化部27は、さらに、接合チャンバー2の内部にその接合雰囲気が生成されているときに、イオンガン14を用いて上ウェハ7と下ウェハ8との間に向けてアルゴンイオンを放出する。活性化部27は、さらに、そのアルゴンイオンが放出されている最中に、電子源15を用いて上ウェハ7と下ウェハ8との間に向けて電子を放出する。
位置合わせ部28は、静電チャック18が上ウェハ7を保持し、位置合わせ機構12が下ウェハ8を保持しているときに、上ウェハ7と下ウェハ8とが所定の距離まで接近するように圧接機構11を制御する。位置合わせ部28は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とがその所定の距離に離れているときに、上ウェハ7に対する下ウェハ8の水平方向の位置が所定の位置に配置されるように、位置合わせ機構12を制御する。
本発明による接合方法の実施の形態は、その接合システムにより実行される。接合装置制御装置10は、まず、ゲートバルブ5を閉鎖した後に、真空ポンプ9を用いて接合チャンバー2の内部に真空雰囲気を生成し、ロードロックチャンバー3の内部に大気圧雰囲気を生成する。ユーザは、ロードロックチャンバー3の蓋を開放し、2つのカートリッジ16をロードロックチャンバー3の内部に配置し、ロードロックチャンバー3の蓋を閉鎖する。その2つのカートリッジ16のうちの一方のカートリッジ16は、上ウェハ7が載せられ、その2つのカートリッジ16のうちの他方のカートリッジ16は、下ウェハ8が載せられている。接合装置制御装置10は、ロードロックチャンバー3の蓋が閉鎖された後に、ロードロックチャンバー3の内部に真空雰囲気が生成するように真空ポンプ9を制御する。
接合装置制御装置10は、ロードロックチャンバー3の内部に真空雰囲気が生成された後に、ゲートバルブ5を開放し、搬送機構6を用いて上ウェハ7が載っているカートリッジ16を位置合わせ機構12に配置する。接合装置制御装置10は、カートリッジ16が位置合わせ機構12に配置された後に、上ウェハ吸着シーケンスを実行することにより、上ウェハ7を静電チャック18に保持させる。
接合装置制御装置10は、上ウェハ7が静電チャック18に保持された後に、搬送機構6を用いて下ウェハ8が載っているカートリッジ16を位置合わせ機構12に配置する。接合装置制御装置10は、カートリッジ16が位置合わせ機構12に配置された後に、ゲートバルブ5を閉鎖して、真空ポンプ9を用いて接合チャンバー2の内部に所定の真空度の接合雰囲気を生成する。
接合装置制御装置10は、その接合雰囲気が生成された後に、イオンガン14を用いて上ウェハ7と下ウェハ8との間に向けてアルゴンイオンを所定の活性化時間だけ放出する。そのアルゴンイオンは、上ウェハ7のうちの下ウェハ8に対向する表面に照射され、下ウェハ8のうちの上ウェハ7に対向する表面に照射される。このとき、そのアルゴンイオンは、上ウェハ7の表面に形成される酸化物等を除去し、上ウェハ7の表面に付着している不純物を除去し、上ウェハ7のうちの下ウェハ8に対向する表面を活性化する。そのアルゴンイオンは、さらに、下ウェハ8の表面に形成される酸化物等を除去し、下ウェハ8の表面に付着している不純物を除去し、下ウェハ8のうちの上ウェハ7に対向する表面を活性化する。
接合装置制御装置10は、そのアルゴンイオンが放出されている最中に、電子源15を用いて上ウェハ7と下ウェハ8との間に向けて電子を放出する。その電子は、上ウェハ7と下ウェハ8とに照射される。上ウェハ7と下ウェハ8とは、そのアルゴンイオンの照射により、チャージアップされ、すなわち、正電荷に帯電する。その電子は、そのアルゴンイオンの照射によりチャージアップされた上ウェハ7の電荷を中和し、下ウェハ8の電荷を中和する。
接合装置制御装置10は、そのアルゴンイオンの照射が終了した後に、上下ウェハ圧接シーケンスを実行することにより、上ウェハ7と下ウェハ8とが接合された1枚の接合ウェハを形成する。
接合装置制御装置10は、その上下ウェハ圧接シーケンスが実行された後に、ゲートバルブ5を開放し、搬送機構6を用いてその接合ウェハが載っているカートリッジ16をロードロックチャンバー3の内部に搬送する。接合装置制御装置10は、カートリッジ16がロードロックチャンバー3に搬送された後に、ゲートバルブ5を閉鎖する。
接合装置制御装置10は、ゲートバルブ5が閉鎖された後に、ロードロックチャンバー3の内部に大気圧雰囲気を生成する。ユーザは、ロードロックチャンバー3の内部に大気圧雰囲気が生成された後に、ロードロックチャンバー3の蓋を開放し、その接合ウェハをロードロックチャンバー3から取り出す。ユーザは、その接合ウェハを上ウェハ7(下ウェハ8)に形成される複数の矩形領域ごと切断することにより、その接合ウェハから複数のデバイスを作製する。
図3は、その上ウェハ吸着シーケンスを示している。接合装置制御装置10は、上ウェハ7が載っているカートリッジ16が位置合わせ機構12に配置されたときに、まず、荷重計19の測定レンジとして接触検知用測定レンジが適用されるように、荷重計19を制御し、静電チャック18と上ウェハ7とが所定の距離(例示:2mm)だけ離れる所定の位置まで静電チャック18が高速に下降するように、圧接機構11を制御する(ステップS1)。接合装置制御装置10は、静電チャック18がその所定の位置まで下降した後に、静電チャック18が低速で下降するように、圧接機構11を制御する(ステップS2)。接合装置制御装置10は、静電チャック18が低速で下降している最中に、荷重計19を用いて静電チャック18に印加される荷重を測定し、その荷重の変化率を算出する(ステップS3)。
接合装置制御装置10は、その変化率に基づいて接触タイミングを算出する(ステップS4)。接合装置制御装置10は、その接触タイミングで荷重計19がゼロリセットされるように荷重計19を制御する。接合装置制御装置10は、さらに、その接触タイミングで静電チャック18が停止するように圧接機構11を制御し、静電チャック18が上ウェハ7を保持するように静電チャック18を制御する(ステップS5)。
接合装置制御装置10は、静電チャック18が上ウェハ7を所定時間だけ保持した後に、上ウェハ7とカートリッジ16とが所定の距離だけ離れる所定の位置まで静電チャック18が低速に上昇するように、圧接機構11を制御する(ステップS6)接合装置制御装置10は、静電チャック18が所定の位置まで上昇した後に、静電チャック18が高速で上昇するように、圧接機構11を制御する(ステップS7)。
図4は、その上下ウェハ圧接シーケンスを示している。接合装置制御装置10は、上ウェハ7と下ウェハ8とにアルゴンイオンが照射された後に、まず、荷重計19の測定レンジとして接触検知用測定レンジが適用されるように、荷重計19を制御し、上ウェハ7と下ウェハ8とが所定の距離だけ離れる所定の位置まで静電チャック18が高速に下降するように、圧接機構11を制御する(ステップS11)。接合装置制御装置10は、静電チャック18が高速で下降した後に、上ウェハ7と下ウェハ8との水平面内の相対位置が設計通りに接合されるように、位置合わせ機構12を用いて下ウェハ8を駆動する。
接合装置制御装置10は、上ウェハ7と下ウェハ8とが位置合わせされた後に、静電チャック18が低速で下降するように、圧接機構11を制御する(ステップS12)。接合装置制御装置10は、静電チャック18が低速で下降している最中に、荷重計19を用いて静電チャック18に印加される荷重を測定し、その荷重の変化率を算出する(ステップS13)。接合装置制御装置10は、その変化率に基づいて接触タイミングを算出する(ステップS14)。接合装置制御装置10は、その接触タイミングで荷重計19がゼロリセットされるように、かつ、その接触タイミングで荷重計19の測定レンジとして接合荷重検知用測定レンジが適用されるように、荷重計19を制御する。接合装置制御装置10は、さらに、その接触タイミングで静電チャック18が極低速で下降するように圧接機構11を制御する(ステップS15)。
接合装置制御装置10は、静電チャック18が低速で下降している最中に、荷重計19を用いて静電チャック18に印加される荷重を測定する。接合装置制御装置10は、その荷重が接合荷重に到達する接合タイミングを算出し、その接合タイミングで静電チャック18が停止するように圧接機構11を制御する(ステップS16)。上ウェハ7と下ウェハ8とは、このような動作により接合され、1枚の接合ウェハに形成される。
接合装置制御装置10は、静電チャック18が停止してから所定の接合時間が経過した後に、荷重計19の測定レンジとして接触検知用測定レンジが適用されるように荷重計19を制御し、静電チャック18がその接合ウェハを解放するように静電チャック18を制御し、静電チャック18が極低速で上昇するように圧接機構11を制御する(ステップS17)。接合装置制御装置10は、静電チャック18が極低速で上昇している最中に、荷重計19を用いて静電チャック18に印加される荷重を測定し、その荷重の変化率を算出する(ステップS18)。接合装置制御装置10は、その変化率に基づいて解放タイミングを算出する(ステップS19)。接合装置制御装置10は、その解放タイミングで静電チャック18が低速で上昇するように、圧接機構11を制御する(ステップS20)。接合装置制御装置10は、さらに、その接合ウェハと静電チャック18とが所定の距離だけ離れる所定の位置まで静電チャック18が低速で上昇するように、圧接機構11を制御する。接合装置制御装置10は、静電チャック18がその所定の位置まで上昇した後に、静電チャック18が高速で上昇するように、圧接機構11を制御する(ステップS21)。
図5は、その上下ウェハ圧接シーケンスで、荷重計19により測定された荷重の変化を示している。その変化31は、その上下ウェハ圧接シーケンスが開始したときにその荷重が0を示すことを示し、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触していないことを示している。変化31は、さらに、接触タイミング33以降にその荷重が増加することを示し、接触タイミング33に上ウェハ7と下ウェハ8とが接触したことを示している。変化31は、さらに、接合タイミング34以降にその荷重が接合荷重32を示すことを示し、上ウェハ7と下ウェハ8とが接合荷重32で圧接されていることを示している。変化31は、さらに、接合タイミング34から所定の接合時間だけ経過したタイミング35でその荷重が減少することを示している。変化31は、さらに、タイミング35の後の解放タイミング36以降にその荷重が0を示すことを示し、上ウェハ7と下ウェハ8とから形成された接合された接合ウェハが静電チャック18に接触していないことを示している。
すなわち、変化31は、図4の上下ウェハ圧接シーケンスのステップS16で、接合装置制御装置10がその荷重が接合荷重32に到達する接合タイミング34を算出し、静電チャック18が停止するように圧接機構11を制御することを示している。
図6は、その上下ウェハ圧接シーケンスで、荷重計19により測定された荷重に基づいて算出された変化率の変化を示している。その変化41は、その上下ウェハ圧接シーケンスが開始するときにその変化率が0を示すことを示している。変化41は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触し始めたときにその変化率が増加することを示している。変化41は、さらに、そのタイミングの後の接触タイミング44でその変化率が接触検知用閾値42より小さい状態から接触検知用閾値42より大きい状態に変化することを示している。接触タイミング44は、接触タイミング33に概ね一致している。変化41は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了したときにその変化率が接触検知用閾値42より大きい一定の正の値を示すことを示し、接触タイミング44の後のタイミングで上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了することを示している。
変化41は、さらに、圧接のために静電チャック18が停止し始めたとき、その変化率が減少することを示している。変化41は、さらに、静電チャック18が停止しているときに、その変化率が0を示すことを示している。変化41は、さらに、静電チャック18が上昇し始めたときに、その変化率が減少することを示している。変化41は、さらに、静電チャック18が上昇しているときに、その変化率が一定の負の値を示すことを示している。変化41は、さらに、その接合ウェハと静電チャックとが離れ始めたときに、その変化率が増加することを示している。変化41は、さらに、そのタイミングの後の解放タイミング45でその変化率が解放検知用閾値43より小さい状態から解放検知用閾値43より大きい状態に変化することを示している。解放タイミング35は、解放タイミング45に概ね一致している。変化41は、さらに、その接合ウェハが静電チャック18から離れたときにその変化率が0を示すことを示し、解放タイミング45の後のタイミングでその接合ウェハが静電チャック18から離れることを示している。
すなわち、変化41は、図4の上下ウェハ圧接シーケンスのステップS14で、接合装置制御装置10が、その変化率が接触検知用閾値42より小さい状態から接触検知用閾値42より大きい状態に変化する接触タイミング44を算出し、静電チャック18が移動する速度が接触タイミング44で低速下降から極低速下降に変化するように圧接機構11を制御することを示している。変化41は、さらに、その上下ウェハ圧接シーケンスのステップS19で、接合装置制御装置10が、その変化率が解放検知用閾値43より小さい状態から解放検知用閾値43より大きい状態に変化する解放タイミング45を算出し、静電チャック18が移動する速度が解放タイミング45で極低速上昇から低速上昇に変化するように圧接機構11を制御することを示している。
図7は、その上下ウェハ圧接シーケンスで、静電チャック18が配置される位置の変化を示している。その変化50は、その上下ウェハ圧接シーケンスが開始するときに静電チャック18が高速で下降することを示している。変化50は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とが所定の距離だけ離れる所定の位置まで静電チャック18が下降したタイミング51で、静電チャック18が高速下降から低速下降に減速することを示している。変化50は、さらに、タイミング51の後の接触タイミング52で、静電チャック18が低速下降から極低速下降に減速することを示している。接触タイミング52は、図6の接触タイミング44に概ね一致している。
変化50は、さらに、接触タイミング52の後の接合タイミング53で、静電チャック18が停止することを示している。接合タイミング53は、図5の接合タイミング34に概ね一致している。変化50は、さらに、接合タイミング53から接合時間だけ経過したタイミング54で、静電チャック18が極低速で上昇することを示している。タイミング54は、図5のタイミング35に概ね一致している。変化50は、さらに、タイミング54の後の解放タイミング55で、静電チャック18が極低速上昇から低速上昇に加速することを示している。変化50は、さらに、解放タイミング55の後のタイミング56で、静電チャック18が低速上昇から高速上昇に加速することを示している。
荷重計19は、様々な事象により出力値がドリフトすることがある。その事象としては、電子源15から放出された電子により荷重計19に電荷が帯電することが例示される。図8は、そのドリフトされた荷重の変化の例を示している。その変化61は、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触していない期間63に、その荷重が徐々に増加することを示している。変化61は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触した接触タイミング62以降にその荷重が増加することを示している。変化61は、さらに、その荷重が接合荷重32に到達した接合タイミング64以降に、上ウェハ7と下ウェハ8とが接合荷重32で圧接されていることを示している。変化61は、さらに、接合タイミング64から所定の接合時間だけ経過したタイミング65でその荷重が減少することを示している。変化61は、さらに、その接合ウェハが静電チャック18から解放された解放タイミング65以降にその荷重が0を示すことを示している。
本発明による接合装置制御装置の比較例は、荷重計19により測定された荷重に基づいて上ウェハ7と下ウェハ8とが接触する接触タイミングを算出する。たとえば、その比較例は、その荷重が接触検知用閾値より小さい状態からその接触検知用閾値より大きい状態に変化する接触タイミングを算出し、その接触タイミングで静電チャック18が低速下降から極低速下降に減速するように圧接機構11を制御する。
このような比較例の接合装置制御装置は、変化61に示されるようなドリフトされた荷重が測定されたときに、その荷重が接触検知用閾値66より小さい状態から接触検知用閾値66より大きい状態に変化する接触タイミング67を算出する。ここで、変化61は、上ウェハ7と下ウェハ8とが実際に接触する真の接触タイミング62が接触タイミング67と異なっていることを示している。すなわち、変化61は、このような比較例の接合装置制御装置が、変化61に示されるような荷重が測定されたときに、上ウェハ7と下ウェハ8とが実際に接触する接触タイミングを正確に算出することができないことを示している。変化61は、さらに、接触タイミング67が真の接触タイミング62より前のタイミングを示すことを示している。このとき、その比較例の接合装置制御装置は、真の接触タイミング62より前の接触タイミング67で静電チャック18が低速下降から極低速下降に減速する。このため、変化61は、その比較例の接合装置制御装置がその上下ウェハ圧接シーケンスを実行する時間を無駄に長時間化していることを示している。
図9は、変化61が示す荷重の変化率の変化を示している。その変化71は、その上下ウェハ圧接シーケンスが開始してから上ウェハ7と下ウェハ8とが接触し始めるまでにその変化率が接触検知用閾値42より小さい正の値を示すことを示している。変化71は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触し始めたときにその変化率が増加することを示している。変化71は、さらに、そのタイミングの後の接触タイミング72でその変化率が接触検知用閾値42より小さい状態から接触検知用閾値42より大きい状態に変化することを示している。変化71は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了したときにその変化率が接触検知用閾値42より大きい一定の正の値を示すことを示し、接触タイミング72の後のタイミングで上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了することを示している。
変化71は、さらに、圧接のために静電チャック18が停止し始めたとき、その変化率が減少することを示している。変化71は、さらに、静電チャック18が停止しているときに、その変化率が0を示すことを示している。変化71は、さらに、静電チャック18が上昇し始めたときに、その変化率が減少することを示している。変化71は、さらに、静電チャック18が上昇しているときに、その変化率が解放検知用閾値43より小さい一定の負の値を示すことを示している。変化71は、さらに、その接合ウェハと静電チャックとが離れ始めたときに、その変化率が増加することを示している。変化71は、さらに、そのタイミングの後の解放タイミング73でその変化率が解放検知用閾値43より小さい状態から解放検知用閾値43より大きい状態に変化することを示している。変化71は、さらに、その接合ウェハが静電チャック18から離れたときにその変化率が0を示すことを示し、解放タイミング45の後のタイミングでその接合ウェハが静電チャック18から離れることを示している。
すなわち、荷重のドリフトによる変化率の増加は、一般的に、接触・解放による変化率の増加に比較して、十分に小さい。このため、変化71は、変化61に示されるようなドリフトがある荷重が測定された場合であっても、図4の上下ウェハ圧接シーケンスのステップS14で、接合装置制御装置10が、上ウェハ7と下ウェハ8とが実際に接触したタイミングに概ね一致する接触タイミング72を算出することができることを示している。変化71は、さらに、変化61に示されるようなドリフトがある荷重が測定された場合であっても、その上下ウェハ圧接シーケンスのステップS19で、接合装置制御装置10が、その接合ウェハが静電チャック18から実際に解放されたタイミングに概ね一致する解放タイミング73を算出することができることを示している。
接合装置制御装置10は、その上ウェハ吸着シーケンスを実行するときに、その上下ウェハ圧接シーケンスと同様にして、接触タイミングと解放タイミングとを算出し、その接触タイミングと解放タイミングとを用いて接合装置1を制御する。すなわち、接合装置制御装置10は、図3の上ウェハ吸着シーケンスのステップS4で、その変化率が接触検知用閾値42より小さい状態から接触検知用閾値42より大きい状態に変化する接触タイミングを算出する。
本発明による接合方法によれば、接合装置制御装置10は、上ウェハ7と静電チャック18とが接触するタイミングとをより正確に算出することができ、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触するタイミングとをより正確に算出することができ、静電チャック18が接合ウェハを解放するタイミングとをより正確に算出することができる。このため、本発明による接合方法によれば、接合装置制御装置10は、上ウェハ7をより高速に取り扱うことができ、その接合ウェハをより高速に取り扱うことができる。その結果、本発明による接合方法によれば、接合装置制御装置10は、上ウェハ7と下ウェハ8とをより高速に接合することができる。さらに、本発明による接合方法によれば、接合装置制御装置10は、上ウェハ7と下ウェハ8とが活性化されてから接合されるまでの時間を短縮することができ、上ウェハ7と下ウェハ8との接合の品質を向上させることができ、その接合により作製される製品の品質を向上させることができる。
本発明による接合方法によれば、接合装置制御装置10は、接触・解放を検出するときとウェハを接合するときとで、荷重計19の測定レンジを切り換えている。このような切り換えによれば、接合装置1は、静電チャック19に接触センサを別途設けることなく、ウェハを接合する荷重を測定するための既存の荷重計19を用いて、その接触・解放を検出することができる。本発明による接合方法によれば、さらに、接合装置制御装置10は、その接触タイミングごとに荷重計19をゼロリセットしている。このようなゼロリセットよれば、荷重計19は、常時に、静電チャック18に印加される荷重をより正確に測定することができる。その結果、接合装置制御装置10は、上ウェハ7と下ウェハ8とを接合するときに、所定の接合荷重をより正確に印加することができ、その接合により作製される製品の品質を向上させることができる。
なお、その接触タイミングと解放タイミングとは、その変化率の変化に基づいてその接触タイミングと解放タイミングとに到達する前に推測することもできる。このとき、接合装置制御装置10は、その推測された接触タイミングと解放タイミングとに所定の動作を開始するように、接合装置1を制御する。このような動作であっても、その変化率に所定の変化が出現した直後に所定の動作を開始することと同様にして、上ウェハ7またはその接合ウェハをより高速に取り扱うことができ、その結果、上ウェハ7と下ウェハ8との接合の品質を向上させることができ、その接合により作製される製品の品質を向上させることができる。
本発明による接合装置制御装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態における微分部23が他の微分部に置換されている。その微分部は、荷重測定部22により測定された荷重を時間で2階微分した変化率を算出する。すなわち、その変化率は、荷重測定部22により所定の間隔で複数の荷重が測定されたときに、第1商と第2商とをその間隔で割った商を示しているその第1商は、その複数の荷重のうちのある時刻で測定された第1荷重とその時刻の直前に測定された第2荷重との差をその間隔で割った商を示している。その第2商は、その複数の荷重のうちのその第2荷重の直前に測定された第3荷重と第2荷重との差をその間隔で割った商を示している。その微分部は、さらに、その算出された変化率の変化に基づいて接触タイミングと解放タイミングとを算出する。
図10は、図5の変化31が示す荷重を2階微分した変化率の変化を示している。その変化81は、その上下ウェハ圧接シーケンスが開始するときにその変化率が0を示すことを示している。変化81は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触し始めたときにその変化率が増加することを示している。変化81は、さらに、そのタイミングの後の接触タイミング84でその変化率が接触検知用閾値82より小さい状態から接触検知用閾値82より大きい状態に変化することを示している。変化81は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了したときにその変化率が0を示すことを示し、接触タイミング84の後のタイミングで上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了することを示している。
変化81は、さらに、圧接のために静電チャック18が停止し始めたとき、その変化率が一時的に減少することを示している。変化81は、さらに、静電チャック18が停止しているときに、その変化率が0を示すことを示している。変化81は、さらに、静電チャック18が上昇し始めたときに、その変化率が一時的に減少することを示している。変化81は、さらに、静電チャック18が上昇しているときに、その変化率が0を示すことを示している。変化81は、さらに、その接合ウェハと静電チャックとが離れ始めたときに、その変化率が増加することを示している。変化81は、さらに、そのタイミングの後の解放タイミング85でその変化率が接触検知用閾値82より小さい状態から接触検知用閾値82より大きい状態に変化することを示している。変化81は、さらに、その接合ウェハが静電チャック18から離れたときにその変化率が0を示すことを示し、解放タイミング85の後のタイミングでその接合ウェハが静電チャック18から離れることを示している。
すなわち、変化81は、図4の上下ウェハ圧接シーケンスのステップS14で、その接合装置制御装置が、その変化率が接触検知用閾値82より小さい状態から接触検知用閾値82より大きい状態に変化する接触タイミング84を算出し、静電チャック18が移動する速度が接触タイミング84で低速下降から極低速下降に変化するように圧接機構11を制御することを示している。変化81は、さらに、その上下ウェハ圧接シーケンスのステップS19で、その接合装置制御装置が、その変化率が接触検知用閾値82より小さい状態から接触検知用閾値82より大きい状態に変化する解放タイミング85を算出し、静電チャック18が移動する速度が解放タイミング85で極低速上昇から低速上昇に変化するように圧接機構11を制御することを示している。
図11は、ドリフトがある荷重を2階微分した変化率の変化を示し、図8の変化31が示す荷重を2階微分した変化率の変化を示している。その変化91は、その上下ウェハ圧接シーケンスが開始するときにその変化率が概ね0を示すことを示している。変化91は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8とが接触し始めたときにその変化率が増加することを示している。変化91は、さらに、そのタイミングの後の接触タイミング94でその変化率が接触検知用閾値82より小さい状態から接触検知用閾値82より大きい状態に変化することを示している。変化91は、さらに、上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了したときにその変化率が0を示すことを示し、接触タイミング94の後のタイミングで上ウェハ7と下ウェハ8との接触が完了することを示している。
変化91は、さらに、圧接のために静電チャック18が停止し始めたとき、その変化率が一時的に減少することを示している。変化91は、さらに、静電チャック18が停止しているときに、その変化率が0を示すことを示している。変化91は、さらに、静電チャック18が上昇し始めたときに、その変化率が一時的に減少することを示している。変化91は、さらに、静電チャック18が上昇しているときに、その変化率が0を示すことを示している。変化91は、さらに、その接合ウェハと静電チャックとが離れ始めたときに、その変化率が増加することを示している。変化91は、さらに、そのタイミングの後の解放タイミング95でその変化率が接触検知用閾値82より小さい状態から接触検知用閾値82より大きい状態に変化することを示している。変化91は、さらに、その接合ウェハが静電チャック18から離れたときにその変化率が0を示すことを示し、解放タイミング95の後のタイミングでその接合ウェハが静電チャック18から離れることを示している。
すなわち、荷重のドリフトによるその変化率の増加は、一般的に、接触・解放によるその変化率の増加に比較して、十分に小さい。このため、変化91は、変化61に示されるようなドリフトがある荷重が測定された場合であっても、図4の上下ウェハ圧接シーケンスのステップS14で、その接合装置制御装置が、上ウェハ7と下ウェハ8とが実際に接触したタイミングに概ね一致する接触タイミング94を算出することができることを示している。変化91は、さらに、変化61に示されるようなドリフトがある荷重が測定された場合であっても、その上下ウェハ圧接シーケンスのステップS19で、その接合装置制御装置が、その接合ウェハが静電チャック18から実際に解放されたタイミングに概ね一致する解放タイミング95を算出することができることを示している。
このため、このような接合装置制御装置は、既述の実施の形態の接合装置制御装置10と同様にして、上ウェハ7またはその接合ウェハをより高速に取り扱うことができ、その結果、上ウェハ7と下ウェハ8との接合の品質を向上させることができ、その接合により作製される製品の品質を向上させることができる。
なお、本発明による接合装置制御装置は、さらに、その荷重をn階微分(nは、3以上の自然数。)した変化率を用いて接触タイミングと解放タイミングを算出することができる。このような変化率は、荷重のドリフトによる増加が接触・解放による増加に比較して十分に小さい。このため、このような接合装置制御装置は、既述の実施の形態の接合装置制御装置10と同様にして、上ウェハ7またはその接合ウェハをより高速に取り扱うことができ、その結果、上ウェハ7と下ウェハ8との接合の品質を向上させることができ、その接合により作製される製品の品質を向上させることができる。このとき、その荷重をn階微分した変化率は、一般的に、nが大きいほど、その荷重に含まれるノイズにより大きく増減する。すなわち、その接触タイミングの誤差と解放タイミングの誤差とは、nが大きいほど、大きくなる可能性が大きい。このため、その接触タイミングと解放タイミングとを算出するために適用される変化率としては、その荷重を1階微分した変化率が好ましい。