JP4672783B2 - 熱音響装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱音響装置に関し、特にカーボンナノチューブを利用した熱音響装置に関するものである。
一般的に、音響装置は信号装置及び音波発生器を含む。前記信号装置は、信号を前記音波発生器(例えばスピーカー)に伝送する。スピーカーは電気音響変換器として、電気信号を音に転換することができる。
動作原理により、スピーカーは、ダイナミックスピーカー、マグネティックスピーカー、静電気スピーカー、圧電スピーカーなどの多種がある。前記多種のスピーカーは、全て機械的振動によって音波を生じ、即ち、電気―機械力―音の変換を実現する。ここで、ダイナミックスピーカーが広く利用されている。
図21を参照すると、従来のダイナミックスピーカー100は、ボイスコイル102と、マグネット104と、コーン106と、を含む。前記ボイスコイル102は導電部品として、前記マグネット104の間に設置されている。前記ボイスコイル102へ電流を流す場合、前記ボイスコイル102による電磁場及びマグネット104による磁場の相互作用により、前記コーン106が振動して空気の圧力変動が連続して生じるので、音波を発生することができる。しかし、前記ダイナミックスピーカー100は、磁場の作用に依存している。
熱音響現象とは、音と熱が関わり合う現象であり、エネルギー変換とエネルギー輸送という2つの側面がある。熱音響装置に信号を転送すると、熱音響装置に熱が生じ、周辺の媒介へ伝播される。伝播された熱によって生じた熱膨張及び圧力波が原因で、音波が発生することができる。
H.D.Arnold、I.B.Crandall, "The thermophone as a precision source of sound", Phys. 1917年、第10巻, 第22−38頁、 Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、"Spinning continuous carbon nanotube yarns"、Nature、2002年、第419巻、p.801
非特許文献1に、熱音響現象によって製造されたサーモホン(thermophone)が掲載されている。ここで、厚さが7×10−5cmの白金片が熱音響部品として利用されている。しかし、厚さが7×10−5cmの白金片に対して、単位面積当たりの熱容量は2×10−4J/cm・Kである。白金片の単位面積当たりの熱容量が非常に高いので、白金片を利用したサーモホンは室外に利用される場合、音が非常に弱いという課題がある。
本発明は、前記課題を解決するために、軽型の熱音響装置を提供する。本発明の熱音響装置は、磁場に依存せず、機械的振動によらずに音を発生することができる。
本発明の装置は、信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、を含む。前記カーボンナノチューブ構造体が前記信号装置に接続されている。
前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が2×10−4J/cm・K以下である。
前記音波発生器の周波数応答範囲が1Hz〜100KHzである。
前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが分子間力で接続され、均一に分布されている。
前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが配向して配列されている。
前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが配向せず配列されている。
前記装置は少なくとも二つの電極を含み、前記少なくとも二つの電極が所定の距離で分離して、それぞれ前記音波発生器に電気的に接続されている。
信号装置と、カーボンナノチューブ構造体と、カーボンナノチューブ構造体に接触する媒介と、を含む。前記カーボンナノチューブ構造体が前記信号装置に接続されている。
前記カーボンナノチューブ構造体は前記媒介を加熱することにより音を発生する。
本発明の音響システムは、カーボンナノチューブ構造体を含む。本発明の音響システムにおいて、熱音響原理により前記カーボンナノチューブ構造体が音を発生する。
従来の技術と比べて、本発明の熱音響装置は次の優れた点がある。第一は、本発明の熱音響装置はカーボンナノチューブ構造体を含むので、従来のスピーカーと比べて、構成が簡単であり、軽型及び小型が実現できる。第二は、本発明の熱音響装置はカーボンナノチューブ構造体を加熱させて音波を発生するので、マグネットを利用する必要がない。第三は、カーボンナノチューブ構造体は、単位面積当たりの熱容量が小さく、比表面積が大きく、熱交換の速度が速いので、音を良好に発生することができる。第四は、カーボンナノチューブ構造体は薄いので、透明な音響装置を製造することができる。
本発明の実施例1における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブセグメントの模式図である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムの片のSEM写真である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブワイヤのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるねじれたカーボンナノチューブワイヤのSEM写真である。 本発明の実施例1における複数のカーボンナノチューブフィルム又は/及びカーボンナノチューブワイヤからなる織物の模式図である。 本発明の実施例1における熱音響装置の周波数応答曲線である。 本発明の実施例1における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例2における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例3における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例4における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例5における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における回路図である。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の音波発生方法のチャートである。 従来のスピーカーの模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(実施例1)
図1を参照すると、本発明の熱音響装置10は、信号装置12と、音波発生器14と、第一電極142と、第二電極144と、を含む。前記第一電極142及び第二電極144は所定の距離で離れるように、それぞれ前記音波発生器14に電気的に接続されている。且つ、前記第一電極142及び第二電極144はそれぞれ前記信号装置12に電気的に接続されている。前記第一電極142及び第二電極144により、前記信号装置12からの信号を前記音波発生器14へ転送する。
前記音波発生器14はカーボンナノチューブ構造体を含む。該カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量は、2×10−4J/cm・K以下であるが、1.7×10−6J/cm・Kであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブ構造体は、金属性のカーボンナノチューブを含む必要がある。前記カーボンナノチューブ構造体に、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配列されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向のカーボンナノチューブ構造体及び配向のカーボンナノチューブ構造体の二種に分類される。本実施例における非配向のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配列され、又は絡み合っている。配向のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向のカーボンナノチューブ構造体において、配向のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。
前記カーボンナノチューブ構造体は平板型であり、その厚さは0.5nm〜1mmに設けられている。前記カーボンナノチューブ構造体の比表面積が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が高くなる。前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が高くなるほど、前記熱音響装置の音圧が低くなることができる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。図2及び図3を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で端と端が接続された複数のカーボンナノチューブセグメント143を含む。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143は、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤(例えばアルゴン)に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルムの強靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量が高くなるので、その熱音響効果が高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルムの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。図4を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配列されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、10cm以上である。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配列されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配列されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
前記カーボンナノチューブ構造体は、一つのカーボンナノチューブセグメントを含む。図5を参照すると、前記カーボンナノチューブセグメントにおけるカーボンナノチューブは、相互に平行し、所定の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブセグメントにおいて、少なくとも一本のカーボンナノチューブの長さは、前記カーボンナノチューブセグメントの全長と同じである。従って、前記カーボンナノチューブセグメントの一次元の寸法は、前記カーボンナノチューブの長さによって制限されている。前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブセグメントを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブセグメントは、分子間力で結合されている。前記カーボンナノチューブセグメントの厚さは、0.5nm〜100μmである。
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含む。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの熱容量は、2×10−4J/cm・K以下であり、5×10−5J/cm・Kであることが好ましい。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は4.5nm〜1cmである。図6を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤは、端と端が接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。図7を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれた線状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記カーボンナノチューブワイヤ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤは平行に並列され、又は交叉して織られ、又はねじれていることができる。図8に複数のカーボンナノチューブワイヤ146からなる織物が示されている。該織物の対向する両端に、それぞれ第一電極142及び第二電極144を設置する。前記第一電極142及び第二電極144は前記カーボンナノチューブワイヤ146と電気的に接続されている。
前記カーボンナノチューブ構造体は柔軟であるので、前記カーボンナノチューブ構造体を多種の形状に形成でき、さらに、前記カーボンナノチューブ構造体を硬い絶縁体又は柔軟な絶縁体(例えば旗又は布)の表面に設置することができる。前記カーボンナノチューブ構造体が設置された旗は風にはためく場合、前記音波発生器14として利用されることができる。前記カーボンナノチューブ構造体が設置された布は、MP3のようなプレーヤーとして音楽を再生することができる。さらに、前記カーボンナノチューブ構造体が設置された布を利用することにより、身体障害者(例えば聴覚障害を持ち者)を助けることができる。
前記音波発生器14に利用したカーボンナノチューブ構造体の一部が破裂した場合でも、前記カーボンナノチューブ構造体により音波を発生することもできる。これに対して、従来のスピーカーの振動板又はコーンが損害した場合、音波を発生することができない。
図1に示されるように、本実施例の音波発生器14はカーボンナノチューブ構造体を含む。前記カーボンナノチューブ構造体はカーボンナノチューブフィルムを含む。該カーボンナノチューブフィルムにおいて、カーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。前記音波発生器14の長さは3cmであり、その幅は3cmであり、その厚さは50nmである。前記音波発生器14が薄く(厚さが10μm以下)設けられる場合、該音波発生器14は優れた透明性を有する。従って、前記透明な音波発生器14を利用することにより、透明な熱音響装置を製造することができる。前記透明な熱音響装置は、例えば携帯電話又はLCDの表面に設置されることができる。又は、前記透明な熱音響装置は絵の表面に貼ることができる。前記透明な音波発生器14を利用することにより、熱音響装置は小型及び軽型であるという優れた点がある。
前記第一電極142及び第二電極144は金属、導電接着剤、カーボンナノチューブ、ITOのいずれかの導電材料からなる。本実施例において、前記第一電極142及び第二電極144は棒状の金属電極である。前記音波発生器14はそれぞれ前記第一電極142及び第二電極144に電気的に接続されている。前記音波発生器14に利用したカーボンナノチューブ構造体は接着性を有するので、前記音波発生器14を直接前記第一電極142及び第二電極144に接着させることができる。さらに、前記第一電極142及び第二電極144は、導電線149によってそれぞれ前記信号装置12の両端に接続されている。
前記第一電極142又は第二電極144と前記音波発生器14とを良好に電気的に接続させるために、前記第一電極142又は第二電極144と前記音波発生器14との間に導電性接着層(図示せず)を設置することもできる。前記導電性接着層は、前記音波発生器14の表面に設置されることができる。前記導電性接着層は銀ペーストからなる。
前記信号装置12は、電気信号装置、直流電流脈動信号装置、交流電流装置、電磁波信号装置(例えば、光学信号装置、レーザー)のいずれかの一種である。前記信号装置12から前記音波発生器14へ転送された信号は、例えば、電磁波(例えば、光学信号)、電気信号(例えば、交流電流、直流電流脈動信号、オーディオ電気信号)又はそれらの混合信号である。前記信号はカーボンナノチューブ構造体に受信されて熱として放射される。熱の放射によって周辺媒介(環境)の圧力強度が変化するので、検出可能信号を発生することができる。前記熱音響装置10をイヤホンに利用した場合、前記入力信号はAC電気信号又はオーディオ電気信号である。前記熱音響装置10を光音響スペクトルデバイスに利用した場合、前記入力信号は光学信号である。本実施例において、前記信号装置12は光音響スペクトルであり、入力信号は電気信号である。
異なるタイプの前記信号装置12に対して、前記第一電極142及び第二電極144の設置は選択的である。例えば、前記信号装置12からの信号が電磁波又は光である場合、前記信号装置12は前記第一電極142及び第二電極144を利用せず、信号を前記音波発生器14に転送することができる。
前記信号装置12において、前記音波発生器14の前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含み、単位面積の熱容量が小さいので、前記音波発生器14で生じた温度波により周辺の媒介に圧力振動を発生できる。前記音波発生器14のカーボンナノチューブ構造体に信号(例えば、電気信号)を転送すると、信号強度及び/又は信号によって前記カーボンナノチューブ構造体に熱が生じる。温度波の拡散により、周辺の空気が熱膨張されて音が生じる。これに対しては、従来のスピーカーにおいて振動板の機械振動によって生じた圧力波により音を発生させる原理と大きく異なる。前記入力信号が電気信号である場合、前記熱音響装置10は、電気―熱―音の変換方式によって作動するが、前記入力信号は光学信号である場合、前記熱音響装置10は、光―熱―音の変換方式によって作動する。前記光学信号のエネルギーは前記音波発生器14で吸収されて、熱として放射される。熱の放射によって周辺媒介(環境)の圧力強度が変化するので、検出可能信号が発生することができる。
図9は本発明の実施例1における熱音響装置の周波数応答曲線である。この場合、50Vの交流電気信号を前記カーボンナノチューブ構造体に提供する。前記熱音響装置10の性能を検出するために、前記音波発生器14と5cmの距離で分離して、前記音波発生器14の一側に対向してマイクロホンを設置する。図9から、前記熱音響装置10の周波数応答範囲が広く、音圧レベルが高いことが理解できる。前記熱音響装置10の音圧レベルは50dB〜105dBである。前記熱音響装置10熱音響装置10に4.5Wの電圧を印加する場合、前記熱音響装置10の周波数応答範囲は、1Hz〜100KHzである。前記熱音響装置10の高調波歪みは非常に小さく、例えば、500Hz〜40KHzの範囲においてわずか3%に達することができる。
前記熱音響装置10の前記カーボンナノチューブ構造体は、五本の前記カーボンナノチューブワイヤを含む場合、隣接する前記カーボンナノチューブワイヤの間の距離は1cmであり、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は50μmである。前記カーボンナノチューブ構造体に50Vの交流電気信号を転送する場合、前記熱音響装置10で生じた音圧レベルは50dB〜100dBである。前記熱音響装置10熱音響装置10に4.5Wの電圧を印加する場合、前記熱音響装置10の周波数応答範囲は、100Hz〜100KHzである。
さらに、前記カーボンナノチューブ構造体が優れた機械強度及び強靭性を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体を、所望の形状及び寸法に設けることが可能であり、これにより、多数の所望の形状及び寸法の熱音響装置10を得ることが可能である。前記熱音響装置10は、例えば音響システム、携帯電話、MP3、MP4、TV、コンピューターなどに利用できる。
(実施例2)
図10を参照すると、本実施例の熱音響装置20は、信号装置22と、音波発生器24と、第一電極242と、第二電極244と、第三電極246と、第四電極248と、を含む。本実施例の熱音響装置20の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例1との異なる点は、本実施例の熱音響装置20は四つの電極(第一電極242、第二電極244、第三電極246、第四電極248)を含むことである。前記四つの電極は棒状であり、それぞれ所定の距離で分離して設置されている。前記音波発生器24は前記四つの電極を囲むように、前記四つの電極に電気的に接続されている。さらに、前記第一電極242及び第三電極246は第一導電線249で前記信号装置22の一つの端部に電気的に並列接続されている。前記第二電極244及び第四電極248は第二導電線249’で前記信号装置22のもう一つの端部に電気的に並列接続されている。前記電極を前記信号装置22に並列接続させるので、前記熱音響装置20に印加される電圧が低い。
図11を参照すると、前記四つの電極は同じ平面に設置されることができる。この場合、前記四つの電気に制限されず、前記熱音響装置20に複数の電極を設置することができる。
(実施例3)
図12を参照すると、本実施例の熱音響装置30は、信号装置32と、音波発生器34と、第一電極342と、第二電極344と、を含む。本実施例の熱音響装置30の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例1との異なる点は、本実施例の熱音響装置20は支持体36を含むことである。前記音波発生器34は前記支持体36の表面に設置される。前記音波発生器34の形状により、前記支持体36の形状を設ける。前記支持体36は平面又は/及び湾曲面である。前記支持体36は、スクリーン、壁、机、ディスプレイのいずれか一種である。前記音波発生器34は前記支持体36と接触することができる。
前記支持体36は、ダイヤモンド、ガラス、石英のような固い材料、又はプラスチック、樹脂、織物のような柔軟な材料からなる。前記支持体36は熱絶縁性を有し、前記音波発生器34で生じた熱を吸収することができない。さらに、前記支持体36と前記音波発生器34と接触する表面が粗く設けられることが好ましい。これにより、前記音波発生器34と周辺の触媒と接触する面積を増加することができる。前記カーボンナノチューブ構造体は比表面積が大きいので、前記音波発生器34は直接前記支持体36に接着できる。
前記音波発生器34及び前記支持体36を良好に接続させるために、前記音波発生器34及び前記支持体36の間に接着層(図示せず)を設置することができる。前記接着層は、前記音波発生器34の表面に設置されることができる。本実施例において、前記導電な接着層は銀ペーストからなる。
前記第一電極342及び第二電極344は、前記音波発生器34の同じ表面に設置され、又はそれぞれ前記音波発生器34の対向する表面に設置されている。前記二つの電極に制限されず、前記熱音響装置20に複数の電極を設置することができる。前記信号装置32は導電線349によって前記音波発生器34に接続されている。
(実施例4)
図13を参照すると、本実施例の熱音響装置40は、信号装置42と、音波発生器44と、支持体46と、第一電極442と、第二電極444と、第三電極446と、第四電極448と、を含む。本実施例の熱音響装置30の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例3との異なる点は、前記音波発生器44は前記支持体46を囲むように設置されることである。前記支持体46は、例えば、立方体、錐体、円筒状のような三次元又は二次元の構造である。本実施例において、前記支持体46は円筒状であり、第一電極442と、第二電極444と、第三電極446と、第四電極448とは、それぞれ所定の距離で分離して、前記音波発生器44に電気的に接続される。第一電極442、第二電極444、第三電極446、第四電極448は前記信号装置42と接続する方式は、実施例1と同じである。勿論、前記四つの電気に制限されず、前記熱音響装置40に複数の電極を設置することができる。
(実施例5)
図14を参照すると、本実施例の熱音響装置50は、信号装置52と、音波発生器54と、支持体56と、第一電極542と、第二電極544と、を含む。本実施例の熱音響装置50の構成、特性、機能は、実施例3の熱音響装置30と同じである。本実施例と実施例3との異なる点は、前記音波発生器54の一部を前記支持体56に設置することにより、前記音波発生器54及び前記支持体56から音収集のスペースを形成することである。前記スペースは、閉鎖的な空間又は開放的な空間である。前記支持体56はU形又はL形である。前記熱音響装置50は二つ以上の前記支持体56を含むことができる。前記支持体56は、木、プラスチック、金属、ガラスのいずれか一種である。図14を参照すると、本実施例において、前記支持体56はL形であり、前記音波発生器54は前記支持体の第一端562から前記第二端564に延伸するので、前記音波発生器54及び前記支持体56から音収集のスペースを形成することができる。前記第一電極542及び第二電極544は前記音波発生器54の表面に設置され、且つ前記信号装置52に電気的に接続されている。これにより、前記音波発生器54が生じた音は、前記支持体56の内壁で反射されるので、前記熱音響装置50の音響機能を高めることができる。
(実施例6)
図15及び図16を参照すると、本実施例の熱音響装置60は、信号装置62と、音波発生器64と、支持体56と、二つの電極642と、電力増幅器66と、を含む。本実施例の熱音響装置60の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例1との異なる点は、本実施例の熱音響装置60は電力増幅器66を含むことである。前記電力増幅器66は前記信号装置62と電気的に接続されている。さらに、前記信号装置62は、信号出力装置(図示せず)を含み、該信号出力装置は前記信号装置62と電気的に接続されている。前記電力増幅器66により、前記信号装置62からの信号パワーを増幅させて、前記音波発生器64へ転送することができる。前記電力増幅器66は二つの出力部664及び入力部662を含む。前記入力部662は前記信号装置62に電気的に接続され、前記出力部664は前記音波発生器64に電気的に接続されている。
図17を参照すると、前記熱音響装置60に交流電流を提供する場合、前記音波発生器64の出力信号の周波数は入力信号の周波数より二倍程度高くなることができる。この原因は、前記音波発生器64に交流電流が流れ、前記音波発生器64は正電流及び負電流で交替して加熱させるので、二倍の周波数温度振動及び二倍の周波数音圧が生じる。従って、従来の電力増幅器(例えば、バイポーラ増幅器)を利用する場合、出力信号(人声又は音楽)が入力信号の二倍程度になるので、変に聞こえる。
前記電力増幅器66は、増幅信号(例えば、電圧信号)及びバイアス電圧を前記音波発生器64に提供して、入力信号を減少することができる。図16を参照すると、前記電力増幅器66はA級の電力増幅器であり、第一レジスタR1と、第二レジスタR2と、第三レジスタR3と、コンデンサと、三極管と、を含む。前記三極管は、ベースBと、エミッタEと、コレクターCと、を含む。前記コンデンサは前記信号装置62の信号出力端及び前記三極管のベースBに接続されている。ADC電圧Vcc及び前記第一レジスタR1は、前記三極管のベースBに接続されている。前記三極管のバースBは、前記第二レジスタR2に接続されている。前記エミッタEは前記電力増幅器66の一つの出力部664に電気的に接続されている。DC電圧Vccは前記電力増幅器66のもう一つの出力部664に電気的に接続されている。前記コレクターCは前記第三レジスタR3に接続されている。前記電力増幅器66の二つの出力部664はそれぞれ前記二つの電極642に接続されている。前記レジスタR2及びレジスタR3はそれぞれ接地されている。
前記音波発生器64に複数の電極が電気的に接続されることができる。隣接する前記電極は、前記電力増幅器66の異なる端部664に接続されている。前記電極を設置しない場合、前記電力増幅器66の二つの出力部664は、導電線により前記音波発生器64に電気的に接続されている。
図15を参照すると、前記信号装置62からの信号の周波数を減少するために、周波数低減回路69を設置する。前記周波数低減回路69は、例えば信号周波数を半分に低減させた後、前記信号を前記電力増幅器66へ転送することができる。前記電力増幅器66は例えば従来の電力増幅器であり、増幅した電圧信号及びバイアス電圧を前記音波発生器64に提供しない。前記周波数低減回路69は電力増幅器66に集積して設置されることができる。
(実施例6)
図18及び図19を参照すると、本実施例の熱音響装置60は実施例5と比べて、複数の音波発生器64と検量器68とを含む。前記検量器68は前記電力増幅器66の入力部662又は出力部664に接続されている。図18を参照すると、前記検量器68は前記電力増幅器66の出力部664に接続される場合、前記検量器68は前記電力増幅器66からの増幅した信号を、複数の周波数帯域のサブ信号に分け、前記サブ信号をそれぞれ前記複数の音波発生器64に転送する。図19を参照すると、前記検量器68は前記電力増幅器66の入力部662に接続される場合、前記熱音響装置60は複数の電力増幅器66を含む。前記検量器68は前記信号装置62からの信号を、複数の周波数帯域のサブ信号に分かり、前記サブ信号をそれぞれ前記複数の電力増幅器66に転送する。各々の前記電力増幅器66は、一つの音波発生器64に対応している。
図20を参照すると、音波を発生させる方法は、カーボンナノチューブ構造体を提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブ構造体に信号を転送して、前記カーボンナノチューブ構造体に熱が生じる第二ステップと、熱が前記カーボンナノチューブ構造体に接触する媒介へ放射される第三ステップと、熱音響効果が発生する第四ステップと、を含む。
前記第一ステップにおいて、前記カーボンナノチューブ構造体は、前記熱音響装置10に利用したカーボンナノチューブ構造体と同じである。前記第二ステップにおいて、前記信号は、少なくとも二つの電極により前記信号装置に転送される。前記第三及び第四ステップにおいて、前記カーボンナノチューブ構造体に生じた熱は、周辺の媒介を加熱させる。周辺の媒介を繰り返して加熱させることにより、音波が発生できる。上述は熱音響効果というものである。
10 熱音響装置
100 スピーカー
102 ボイスコイル
104 マグネット
106 コーン
12 信号装置
14 音波発生器
142 第一電極
143 カーボンナノチューブセグメント
144 第二電極
145 カーボンナノチューブ
146 カーボンナノチューブワイヤ
149 導電線
20 熱音響装置
22 信号装置
24 音波発生器
242 第一電極
244 第二電極
246 第三電極
248 第四電極
249 第一導電線
249’ 第二導電線
30 熱音響装置
32 信号装置
34 音波発生器
342 第一電極
344 第二電極
349 導電線
36 支持体
40 熱音響装置
42 信号装置
44 音波発生器
442 第一電極
444 第二電極
446 第三電極
448 第四電極
449 導電線
50 熱音響装置
52 信号装置
54 音波発生器
542 第一電極
544 第二電極
549 導電線
56 支持体
562 第一端
564 第二端
60 熱音響装置
62 信号装置
64 音波発生器
66 電力増幅器
662 入力部
664 出力部
69 周波数低減回路

Claims (3)

  1. 電気信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、を含み、
    前記カーボンナノチューブ構造体が前記電気信号装置に接続されていて、
    前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが分子間力で接続され、均一に分布されていて、
    前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが配向して配列されていることを特徴とする装置。
  2. 前記音波発生器の周波数応答範囲が1Hz〜100KHzであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 前記装置は少なくとも二つの電極を含み、
    前記少なくとも二つの電極が所定の距離で分離して、それぞれ前記音波発生器に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
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