JP4672208B2 - 耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、劣化した既設の下水管きょの更生に使用する耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
劣化した既設の下水管きょの更生工法には、例えば、既設管きょの残存強度に期待する複合管方式と、既設管きょの残存強度を全く期待しない自立管方式とがある。
【0003】
複合管方式は、(1)既設管きょの内面に耐蝕性材料からなる管体を挿入する、(2)耐蝕性材料からなる帯体を巻き回して管体を形成して既設管きょ内に挿入する、(3)耐蝕性材料からなる帯体を既設管きょ内において巻き回して管体を形成する、(4)耐蝕性材料からなる帯体を既設管きょの管軸方向に並べて管体を形成する、などの方法によって既設管きょの内側にそれ自体高い強度を有していないが耐蝕性効果の優れた管体(耐蝕性管体)を挿入、または形成し、既設管きょと耐蝕性管体との間にモルタルまたはグラウトを充填して既設管きょと一体とする方式である。
【0004】
このような複合管方式では、前記のように既設管きょが一定の残存強度を有していることが前提条件となるが、次に述べる理由により一般に既設の下水管きょのコンクリート管体はかなりの劣化が進行している場合がほとんどであり、また、既存の管体の残存強度を詳細に調査することも困難である。また、複合管の強度確認も困難である。
【0005】
すなわち、下水管きょにおいて、コンクリート管体が腐食するメカニズムは、下記の4つの段階を経て起こっていると考えられている。まず、硫酸塩還元細菌の働きによって下水中の硫酸塩から硫化水素が生成され(第1段階)、これが気中に放散されて気相部の管きょ内壁の結露に溶け込み(第2段階)、そこで硫黄酸化細菌の働きによって硫酸が生成され(第3段階)、この硫酸によって管きょ気相部のコンクリートが腐食する(第4段階)。
【0006】
前記の第3段階で生成される硫酸は強酸であるため、大量の硫化水素が発生する環境でのコンクリート腐食は極めて急速に進行する。特に、分流方式の汚水幹線では常時大量の汚水が流下しているばかりでなく、管きょがほぼ密閉状態にあるため発生した硫化水素が充満して高濃度になる環境にあり、必然的にコンクリート腐食の進行が早いだけでなく、管体の腐食状況を調査することすら容易ではない。
【0007】
したがって、硫化水素に起因するコンクリート管体の腐食が発生しているような環境にある既設管きょの更生を実施しようとする場合、既存のコンクリート管体はかなりの劣化が進行している場合がほとんどであり、また、既存の管体の残存強度を詳細に調査することも困難である。よって、既存管の残存強度に期待する複合管方式の適用は困難な場合が多い。
【0008】
一方、自立管方式では、既設管きょ内に挿入または構築する更生管は、強度だけでなく耐硫酸性も要求される。従来から下水道管きょの管体としては主に鋼構造またはコンクリート構造が用いられてきているが、自然流下の管きょのように内圧がかからない管体に対しては、引っ張り強度は低いが圧縮強度が高いコンクリート構造が多く用いられている。
【0009】
よって、自立管方式の更生管においても新設管きょと同様の条件であるから、コンクリート構造のものを用いる方法が最も有力である。そして、更生管にコンクリート構造のものを採用する場合、従来のコンクリート構造のものに欠けていた耐硫酸性を付与する必要があり、そのための方法としては、例えば、(1)耐酸性コンクリートを使用する、(2)非耐酸性コンクリートに耐蝕性ライニングを施す、などがある。
【0010】
前記(1)の方法で使用する耐酸性コンクリートは、硫酸に侵されやすいカルシウム化合物を少なくすることにより耐酸性を向上させたものであり、コンクリート自体が優れた耐硫酸性を有している。
【0011】
(2)の方法は、非耐酸性コンクリートで作られた管体の内面に耐蝕性ライニングを付与するもので、管体をプレキャストコンクリートとする場合は、シート状の耐蝕性ライニング材を管体の内面型枠としてコンクリート一体に打設する方法や、コンクリート管体製作後にその内面に耐蝕性ライニングを施す方法とがある。
【0012】
ところで、一般に下水幹線を更生しようとする場合、一時的に水替えして既設管きょ内をドライな状態にすることは、容易ではなく、現実的には水替えすることができない場合が多い。
【0013】
そこで、下水が流下している状態で既設管きょを更生しようとする場合、前記(1)(2)のいずれの方法においても、更生管をプレキャスト製品として工場で予め製作し、これを既設管きょの内部に挿入または構築する方法をとることになるが、この場合に、問題となるのがプレキャスト製品であるリング同士の継ぎ目(リング間の目地)の耐蝕性である。
【0014】
リング間目地に必要な機能は、外水圧に対する水密性能、リング間の結合および耐蝕性能である。リング同士は一般的には接合端部の外周部に設けたカラーで結合される。外水圧に対する水密性を確保するためには、通常は弾力性を有するゴム製のシール材が用いられるが、弾力性を有する材料の耐硫酸性には限界がある。したがって、外水圧に対するシール材およびリング間を結合するカラーなどの部材を、下水管きょの内部で生成される硫酸から保護する手段が必要となる。
【0015】
ところで、既設管きょの更生工法として、従来、例えば、特開平4−50592号公報があり、これは、硬質合成樹脂製のライニング筒体を結合するものであるが、結合手段は一方のライニング筒体の接合端面に形成したアリ型溝と、隣接の他方のライニング筒体の接合端面に形成した接合片を圧密嵌合するものであり、目地部には必要に応じて水密性を確保するためにパッキングを介在させる。
【0016】
また、特開2000−351156号公報には、合成樹脂製の管体の長さ方向両端部に凹凸嵌合部を設けた接合部の記載がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例は、管体、あるいは筒体が合成樹脂製であり、それ自体に形成した凹凸部を嵌合して、管体あるいは筒体自体同士を直接接合するものであり、外水圧に対するシール材およびリング間を結合するカラーなどの部材を別途使用するものではない。
【0018】
このため、外水圧に対するシール材およびリング間を結合する部材を、下水管きょの内部で生成される硫酸から保護する手段も必要なく、また、かかる保護手段として従来、確立されたものもなかったが、リングをプレキャストコンクリート製とする場合においては、例えば、リングの接合端面に形成した接合溝にジョイントリングを嵌合するような周知の手段では硫酸が目地部に侵入するおそれがあった。
【0019】
本発明の目的は前記事情に鑑みてなされたもので、リングをプレキャストコンクリート製とする場合に必要とされる外水圧に対するシール材およびリング間を結合するカラーなどの部材を、下水管きょの内部で生成される硫酸から保護することができる耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、耐蝕シール構造として、第1に、耐蝕止水板と、該耐蝕止水板の挿着部を有する耐蝕シール部材とから構成される耐蝕シール構造であって、耐蝕シール部材は耐蝕止水板を両側から挟み込む開閉自在な挟着片と、耐蝕止水板の抜け出しを防止する係止部とを有し、耐蝕止水板は前記係止部に係止する突部を備えることを要旨とするものである。
【0021】
第2に、耐蝕シール部材は、側方を開口部として断面コ字形の細長帯状に形成した本体に、該開口部内方で先端が対向して互いに押圧する開閉自在な挟着片を一体に形成したことを要旨とするものである。
【0022】
第3に、耐蝕シール部材は、可撓性合成樹脂製とすることを要旨とするものである。
【0023】
更生管として、第4に、プレキャストコンクリート製のリングの接合により構成され、既設管きょ内に配設する更生管において、リング間目地部を、耐蝕止水板と、該耐蝕止水板の挿着部を有する耐蝕シール部材とから構成される耐蝕シール構造であって、耐蝕シール部材は耐蝕止水板を両側から挟み込む開閉自在な挟着片と、耐蝕止水板の抜け出しを防止する係止部とを有し、耐蝕止水板は前記係止部に係止する突部を備える耐蝕シール構造とし、該耐蝕シール構造は、リングの接合端面に耐蝕止水板の挿着部を有する耐蝕シール部材を埋設し、前記挿着部に耐蝕止水板を挿入して目地部に耐蝕止水板を介装させることを要旨とするものである。
【0024】
第5に、更生管本体を、非耐酸性コンクリート製リングの内側に耐蝕性ライニングを施したものとし、該耐蝕シール部材を耐蝕性ライニングに連続させてリングの接合端面においてリングの内壁面側に配置することを要旨とするものである。
【0025】
第6に、耐蝕シール部材は、リングの内周面に周方向に施される帯状の耐蝕性ライニングの両外縁に長さ方向にそって一体に形成することを要旨とするものである。
【0026】
第7に、更生管本体を耐酸性コンクリート製とし、耐蝕シール部材はリングの接合端面において更生管本体の厚み幅の範囲内で同心円上に配置することを要旨とするものである。
【0027】
請求項1記載の本発明によれば、耐蝕止水板は耐蝕シール部材の挟着片により、両側から挟み込まれるから、耐蝕シール部材に容易に挿着できる。挿着後は、耐蝕止水板に設けてある突部が耐蝕シール部材の係止部に係止する。これにより、耐蝕止水板が耐蝕シール部材から抜け出ることが阻止される。
【0028】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、耐蝕シール部材は、挟着片を本体に一体に成形でき、容易に製造できるとともに、簡単な構造で耐蝕止水板を確実に挟着できる。
【0029】
請求項3記載の本発明によれば、前記作用に加えて、耐蝕シール部材は可撓性合成樹脂製とすることで、その材質の有する弾性を利用して開閉自在な挟着片を容易に作製できる。
【0030】
請求項4記載の本発明によれば、更生管を構成するリングのリング間目地部は、接合端面に埋設した耐蝕シール部材に形成してある挿着部に、耐蝕止水板が挿入されるから、リング間目地部には耐蝕止水板が介装し、耐蝕シール構造となる。よって、下水管きょ内部で生成される硫酸がリング間目地部に侵入することを阻止し、外水圧からの水密性を確保するためのシール材やカラーなどの結合部材も硫酸から保護される。
【0031】
請求項5記載の本発明によれば、前記作用に加えて、更生管本体を非耐酸性コンクリート製リングの内側に耐蝕性ライニングを施したものとした場合は、耐蝕シール部材を耐蝕性ライニングに連続させることで、リングの接合端面においてリングの内壁面側に容易かつ効率よく配置することができ、リングの内側から外側に向けて目地部に侵入した硫酸が、リングの外側の外水圧からの水密性を確保するためのシール材やカラーなどの結合部材に達することを確実に阻止できる。
【0032】
請求項6記載の本発明によれば、前記作用に加えて、耐蝕シール部材は、リングの内周面に周方向に施される帯状の耐蝕性ライニングの両外縁に長さ方向にそって一体に形成したから、更生管本体が非耐酸性コンクリート製の場合に、リングの内側に耐蝕性ライニングを施せば、これにともない耐蝕シール部材も施すことができ、施工性がよい。また、耐蝕シール部材を耐蝕性ライニングと同時に一体成形できるから、製作も容易であり、耐蝕シール部材と耐蝕性ライニングとの間に継ぎ目が生じないから耐蝕機能も向上する。
【0033】
請求項7記載の本発明によれば、請求項4記載の本発明の作用に加えて、更生管本体を耐酸性コンクリート製とした場合は、耐蝕シール部材はリングの接合端面において更生管本体の厚み幅の範囲内で同心円上に配置することにより、リングの内側から目地部に侵入した硫酸がリングの外側の外水圧からの水密性を確保するためのシール材やカラーなどの結合部材に達することを確実に阻止できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管の第1実施形態を示す要部である目地部の縦断正面図、図2は本発明の既設管きょの更生管を使用する自立管方式による更生方法の一例を示す縦断正面図で、自立管方式による更生方法の概略から説明する。
【0035】
自立管方式による更生工法は、劣化した下水管きょなどの既設管きょ1内に、クレーン3で吊り下げたプレキャストコンクリート製のリング5を立坑4から搬入し、立坑4の下方でリング5を順次結合しながら、既設管きょ1内に押し込んでいく元押し工法であり、複数のリング5の結合により更生管2を既設管きょ1内に構築する。そして、更生管2の挿入後、更生管2と既設管きょ1との間の隙間にグラウト材を充填して更生管2と既設管きょ1との一体化を図る。
【0036】
本発明の更生管2は、かかる自立管方式による既設管きょの更生工法に使用するもので、図3にも示すように複数の非耐酸性コンクリートによるプレキャスト製のリング5の結合により構成される。各リング5の構成を説明すると、リング5間の結合構造として、図1、図4にも示すように一方の接合端面の外周部にカラー6の一部を予め挿着しておく。このカラー6は例えば鋼製とし、コンクリート打設時に同時に埋設により固定しておく。
【0037】
リング5の他方の接合端面の外周部には前記カラー6が装着される溝7を形成する。
【0038】
下水管きょ内で生成される硫酸から更生管2を保護するための耐蝕シール構造として、図1、図5に示すように例えば熱可塑性合成樹脂の押し出し成形による耐蝕性シートライニング9を配設する。この耐蝕性シートライニング9は、リング5の内周面に周方向に配設されるものであり、この帯状の耐蝕性ライニング9の両外縁に長さ方向にそって該耐蝕性シートライニング9と一体に耐蝕シール部材10を形成し、この耐蝕シール部材10をリング5の接合端面の内周面側に配設する。
【0039】
該耐蝕シール部材10は、一例として、図5に示すように、本体を、側方を開口部に形成した断面コ字形の細長帯状に形成し、先端が開口部内方で対向して互いに押圧する開閉自在な一対の挟着片12a、12bを本体と一体に形成したもので、挟着片12a、12bは、後述の耐蝕止水板を両側から挟み込む。
【0040】
この挟着片12a、12bの中間部を開閉自在に当接させて耐蝕止水板の挟着部13とし、該挟着部13の奥は挟着片12a、12bを相互に離間させて耐蝕止水板の端部の収納溝部14とし、挟着部13の前方も挟着片12a、12bを相互にハ字形に離間させて、開口部が幅広で奥にいくにしたがい狭まるように、耐蝕止水板の導入部15に形成した。また、挟着部13の収納溝部14の側に耐蝕止水板の抜け出しを防止する係止段部16を形成する。図中17は、挟着片12a、12bが開くための移動スペースとして空間を示す。
【0041】
耐蝕止水板11は耐蝕性の材料で作られ、図5に示すように、両側に断面矢尻形状の係止突条11aを設けた帯状体である。
【0042】
かかる耐蝕性シートライニング9およびこれと一体にその両側に形成した耐蝕シール部材10を、リング5の接合端面の内周面側に配設するには、耐蝕性シートライニング9およびこれと一体にその両側に形成した耐蝕シール部材10を所定の寸法に切断して、リング5の内側型枠に円周方向に巻き回し、シートの継ぎ目部分を接着、溶着または機械的に接合して連続させ、その後、コンクリートを打設してリング5と一体化する。
【0043】
この場合、耐蝕性シートライニング9の表面は平滑に形成するが、図1に示すように裏面にはコンクリートとの一体性を確保するための突起9aを形成しておくとよい。
【0044】
次に、リング5を接合して更生管2を構成する方法について説明する。リング5、5を互いに相対させ、それぞれのリング5に設けてある耐蝕シール部材10に耐蝕止水板11の両端部を挿着する。この場合、耐蝕シール部材10の導入部15は入口が幅広に形成してあるから容易に挿入できる。
【0045】
そして、耐蝕止水板11の先端をさらに挟着部13に挿し入れることで耐蝕止水板11の先端で挟着片12a、12bが押し広げられ相互に開いて、耐蝕止水板11の先端が収納溝部14に挿入される。この状態で図7に示すように、耐蝕止水板11の途中が挟着部13で両側から挟着片12a、12bで押さえられて耐蝕シール部材10に固定される。
【0046】
よって、管きょ内部で生成されてリング5間の目地部に侵入した硫酸は、耐蝕シール部材10の導入部15に侵入した後、耐蝕止水板11を伝って気相部から液相部に落下し、汚水に溶け込んで事実上無害となる。
【0047】
耐蝕性シートライニング9および耐蝕止水板11の継ぎ目18は、耐蝕性上での弱点となるが、下水幹線においては常時汚水が流下している液相部分は硫化水素によっては腐食しないから、図6に示すように継ぎ目18を更生管2の最下端に位置するように施工することにより、常時液相部内に位置させることができ、耐蝕上の弱点となることを回避できる。
【0048】
また、耐蝕止水板11は、挟着部13で両側から押さえられて固定されるが、図7に示すように施工誤差を吸収するために、図7、図8に示すように挟着部13と耐蝕止水板11の先端の係止突条11aとの間の距離a1 、a2 と、目地部の最大目開きbとの関係が、a1 +a2 >bとなるように設定しておくとよい。
【0049】
この場合、耐蝕止水板11の先端部分は収納溝部14内で移動するが、耐蝕止水板11の先端に形成してある係止突条11aが、係止段部16に係止することで、耐蝕止水板11が耐蝕シール部材10から抜け出ることが阻止される。
【0050】
目違いに対しては、耐蝕シール部材10の導入部15の開口部が幅広に形成してあるから、図9に示すようにこの幅分で吸収できる。
【0051】
リング5の外側は、カラー6で相互に結合され、カラー6が取り付けられていない側の接合端部は、溝7に挿着した耐外水圧用シール8で止水される。そして、このカラー6によるリング結合構造と、耐外水圧用シール8による外水圧に対する水密性を確保するためのシール構造とは、前記耐蝕シール部材10と耐蝕止水板11とによる耐蝕シール構造によって下水管きょ内で生成される硫酸から保護される。
【0052】
図10は第2実施形態を示し、リング5自体を耐酸性コンクリートで製作した場合であり、第1実施形態に比較して更生管2の内周面を耐蝕性シートライニング9で被覆する必要がなく、耐蝕シール部材10のみを配設すればよい。耐蝕シール部材10の配設位置は、カラー6によるリング結合構造と、耐外水圧用シール8による外水圧に対する水密性を確保するためのシール構造とを下水管きょ内で生成される硫酸から保護するためのものとして、リング5の接合端面において管きょの中心軸から等距離の同心円上とする。
【0053】
耐蝕シール部材10、耐蝕止水板11の構成は第1実施形態と同様である。
【0054】
図11は耐蝕シール部材10の他の例を示し、挟着片12a、12bを図5に示した例よりも短く形成し、先端を挟着部13とした。
【0055】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管は、リングをプレキャストコンクリート製とする場合に必要とされる外水圧に対するシール材およびリング間を結合するカラーなどの部材を、下水管きょの内部で生成される硫酸から保護することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管の第1実施形態を示す目地部の縦断正面図である。
【図2】 本発明の既設管きょの更生管を使用する自立管方式による更生方法の一例を示す縦断正面図である。
【図3】 本発明の既設管きょの更生管の全体斜視図である。
【図4】 本発明の耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管の第1実施形態を示す縦断正面図である。
【図5】 本発明の耐蝕シール構造およびその構造を有する既設管きょの更生管の第1実施形態を示す目地部の耐蝕シール構造部分の分解縦断正面図である。
【図6】 本発明の既設管きょの更生管の縦断側面図である。
【図7】 本発明の既設管きょの更生管の第1実施形態を示す目地部の耐蝕シール構造部分の縦断正面図である。
【図8】 本発明の既設管きょの更生管の第1実施形態を示す目地部の耐蝕シール構造部分の目開き状態の縦断正面図である。
【図9】 本発明の既設管きょの更生管の第1実施形態を示す目地部の耐蝕シール構造部分の目違い状態の縦断正面図である。
【図10】 本発明の既設管きょの更生管の第2実施形態を示す目地部の縦断正面図である。
【図11】 本発明の既設管きょの更生管の耐蝕シール部材の他の例を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1…既設管きょ 2…更生管
3…クレーン 4…立坑
5…リング 6…カラー
7…溝 8…耐外水圧用シール
9…耐蝕性シートライニング 9a…突起
10…耐蝕シール部材 11…耐蝕止水板
11a…係止突条
12a、12b…挟着片 13…挟着部
14…収納溝部 15…導入部
16…係止段部 17…空間
18…継ぎ目
Claims (7)
- 耐蝕止水板と、該耐蝕止水板の挿着部を有する耐蝕シール部材とから構成される耐蝕シール構造であって、耐蝕シール部材は耐蝕止水板を両側から挟み込む開閉自在な挟着片と、耐蝕止水板の抜け出しを防止する係止部とを有し、耐蝕止水板は前記係止部に係止する突部を備えることを特徴とする耐蝕シール構造。
- 耐蝕シール部材は、側方を開口部として断面コ字形の細長帯状に形成した本体に、該開口部内方で先端が対向して互いに押圧する開閉自在な挟着片を一体に形成した請求項1に記載の耐蝕シール構造。
- 耐蝕シール部材は、可撓性合成樹脂製とする請求項1または請求項2に記載の耐蝕シール構造。
- プレキャストコンクリート製のリングの接合により構成され、既設管きょ内に配設する更生管において、リング間目地部を、耐蝕止水板と、該耐蝕止水板の挿着部を有する耐蝕シール部材とから構成される耐蝕シール構造であって、耐蝕シール部材は耐蝕止水板を両側から挟み込む開閉自在な挟着片と、耐蝕止水板の抜け出しを防止する係止部とを有し、耐蝕止水板は前記係止部に係止する突部を備える耐蝕シール構造とし、該耐蝕シール構造は、リングの接合端面に耐蝕止水板の挿着部を有する耐蝕シール部材を埋設し、前記挿着部に耐蝕止水板を挿入して目地部に耐蝕止水板を介装させることを特徴とする既設管きょの更生管。
- 更生管本体を、非耐酸性コンクリート製リングの内側に耐蝕性ライニングを施したものとし、該耐蝕シール部材を耐蝕性ライニングに連続させてリングの接合端面においてリングの内壁面側に配置する請求項4記載の既設管きょの更生管。
- 耐蝕シール部材は、リングの内周面に周方向に施される帯状の耐蝕性ライニングの両外縁に長さ方向にそって一体に形成する請求項4または請求項5に記載の既設管きょの更生管。
- 更生管本体を耐酸性コンクリート製とし、耐蝕シール部材はリングの接合端面において更生管本体の厚み幅の範囲内で同心円上に配置する請求項4記載の既設管きょの更生管。
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