JP4669740B2 - 焦電型赤外線ガス検知器 - Google Patents
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Description
この焦電型赤外線センサ50から出力される電圧信号(センサ出力信号)は、電界効果型トランジスタ52に起因する直流成分にこの直流成分に比して微弱な焦電素子51からの交流成分が重畳されたものであり、この状態のまま出力するのであれば、ガス応答に係る信号成分(交流成分)を十分に高い信頼性をもって検出することができないことから、コンデンサCと抵抗R3とが直列接続されてなるフィルタ回路56によって、センサ出力信号における直流成分を除去し、その後、増幅器57によって、設定されたゲインで増幅されて出力される。
しかしながら、このようなフィルタ回路56においては、抵抗R3が抵抗値が高いものであるため、コンデンサCの充・放電に長時間を要し、出力が安定化するまでに長時間を要する、すなわち起動時間が遅い、という問題がある。
前記信号処理回路は、前記センサ出力信号における直流成分を除去するフィルタ回路と、このフィルタ回路によって直流成分が除去されたセンサ出力信号の信号レベルを所定の基準電位となるよう昇圧するブースト回路とを有し、
前記フィルタ回路は、コンデンサCと、このコンデンサCの出力側に直列に接続された、抵抗値の高い高抵抗R3およびこの高抵抗R3に比して抵抗値が十分に低い低抵抗R4とにより構成されており、
当該ブースト回路は、フィルタ回路における高抵抗R3および低抵抗R4を介して直流バイアスをガス応答信号に印加する基準電圧電源と、フィルタ回路における高抵抗R3に対して並列に接続された、前記フィルタ回路を互いに時定数が異なる2つの状態間で相互に切り換えるスイッチ素子を有し、焦電型赤外線センサの起動時においては、スイッチ素子が動作状態とされてフィルタ回路がコンデンサCと低抵抗R4とによる時定数の小さい状態に設定され、当該焦電型赤外線センサが起動されてから所定時間が経過した後に、スイッチ素子が非動作状態とされてフィルタ回路がコンデンサCと高抵抗R3および低抵抗R4とによる時定数の大きい状態に切り換えられ、
スイッチ素子が動作状態とされた状態におけるフィルタ回路の時定数が、スイッチ素子が非動作状態とされた状態におけるフィルタ回路の時定数の20%以下となる状態に設定されていることを特徴とする。
この焦電型赤外線ガス検知器は、導入される被検ガスに含まれる検知対象ガスの濃度に応じたガス検知信号を出力するガス検知部10と、焦電型赤外線ガス検知器における各構成部に適宜の動作指令信号を発すると共にガス検知部10から出力されるセンサ出力信号に対して所定の信号処理を行う信号処理回路30を含む制御部20とを備えている。
ガスセル11には、複数のガス流入出口11Aが互いに赤外線光源12の光軸方向(図1において左右方向)に離間して並ぶよう形成されている。
具体的には、電界効果型トランジスタ36が非動作状態(ブースト回路OFF状態)にあるときには、フィルタ回路31は、コンデンサCと高抵抗R3および抵抗R4とにより構成されてなる、時定数τ1が大きい状態とされ、一方、電界効果型トランジスタ36が動作状態(ブースト回路ON状態)にあるときには、高抵抗R3が短絡されることにより、フィルタ回路31がコンデンサCと抵抗R4とによって構成されてなる、時定数τ2が小さい状態とされる。
フィルタ回路31の具体的な一構成例を示すと、コンデンサCとして静電容量が22μFであるもの、高抵抗R3として抵抗値が200kΩであるもの、抵抗R4として抵抗値が1kΩであるものを用いることができ、このような構成のフィルタ回路31においては、電界効果型トランジスタ36が非動作状態とされた状態における時定数τ1が4.4秒、電界効果型トランジスタ36が動作状態とされた状態における時定数τ2が0.02秒である。
この焦電素子16から出力される電流信号は、内部抵抗R1により電圧信号に変換されて、電界効果型トランジスタ18のゲートに印加されることにより、電界効果型トランジスタ18のソースからドレインに向けてドレイン電流が流れ、これにより、ソース電圧が受信抵抗R2に発生し、このソース電圧がセンサ出力信号として出力される。ここに、赤外線センサ15から出力されるセンサ出力信号は、上述したように、ガスセル11に導入されている被検ガス中の検知対象ガスの濃度に応じた波高値を有する、直流成分に交流成分が重畳されたものである。
そして、このセンサ出力信号は、フィルタ回路31によって直流成分が除去されると共に、その信号レベルが基準電圧電源32から所定の大きさの電圧が印加されることにより基準電位までブースト(昇圧)された後、増幅器40によって、設定された増幅率(ゲイン)で増幅されて出力される。
その後、A/D変換手段22によってデジタル信号(A/D値)に変換され、これにより得られたデジタル信号に対して特定の信号処理を施して、例えば表示用の指示出力値が算出される。
具体的に説明すると、赤外線センサ15の起動直後においては、マイコン37からのブースト信号(ゲート電圧)が電界効果型トランジスタ36のゲートGに印加されることにより、電界効果型トランジスタ36のソースSからドレインDに向かって電流が流れる状態、すなわち電界効果型トランジスタ36がON状態(導通状態)とされ、高抵抗R3が短絡される。
そこで、上記構成の赤外線ガス検知器においては、赤外線センサ15が起動されてから所定時間例えば3秒間経過した後に、ブースト回路35における電界効果型トランジスタ36に対するゲート電圧の印加が停止されて、フィルタ回路31がその時定数が大きい状態となるよう切り換えられる。この状態においては、高抵抗R3および抵抗R4との合成抵抗とが十分に大きいことから、ガス応答信号は十分な信号幅を有するものとなる。
ブースト回路35の動作時間(ブースト時間)は、例えば0.1〜10秒間であることが好ましく、これにより、所要の出力の立ち上がり特性を確実に得ることができる。
具体的には、例えばブースト回路を有さない信号処理回路(時定数が4.4秒)であれば、図5に示すように、赤外線センサの起動時間に例えば40秒以上必要であったが、本発明に係る信号処理回路によれば、例えばブースト時間を例えば3秒に設定した場合には、赤外線センサ15の起動後5秒以内でセンサ出力を安定させることができる。
例えば、ブースト回路を構成するスイッチ素子は、電界効果型トランジスタ(FET)に限定されるものではなく、例えばバイポーラトランジスタ、アナログスイッチ、メカニカルリレーなどを用いることができる。
11 ガスセル
11A ガス流入出口
12 赤外線光源
15 焦電型赤外線センサ
16 焦電素子
17 電流電圧変換回路
18 電界効果型トランジスタ
20 制御部
21 光源駆動回路
22 A/D変換手段
23 マイコン
24 D/A変換手段
30 信号処理回路
31 フィルタ回路
32 基準電圧電源
35 ブースト回路
36 電界効果型トランジスタ
37 マイコン
40 増幅器
G ゲート
S ソース
D ドレイン
C コンデンサ
R1 内部抵抗
R2 受信抵抗
R3、R4 抵抗
R5 プルダウン抵抗
50 焦電型赤外線センサ
51 焦電素子
52 電界効果型トランジスタ
53 赤外線光源
55 信号処理回路
56 フィルタ回路
57 増幅器
Claims (2)
- 焦電型赤外線センサから出力されるセンサ出力信号に対して所定の信号処理を行う信号処理回路を備えた焦電型赤外線ガス検知器において、
前記信号処理回路は、前記センサ出力信号における直流成分を除去するフィルタ回路と、このフィルタ回路によって直流成分が除去されたセンサ出力信号の信号レベルを所定の基準電位となるよう昇圧するブースト回路とを有し、
前記フィルタ回路は、コンデンサCと、このコンデンサCの出力側に直列に接続された、抵抗値の高い高抵抗R3およびこの高抵抗R3に比して抵抗値が十分に低い低抵抗R4とにより構成されており、
当該ブースト回路は、フィルタ回路における高抵抗R3および低抵抗R4を介して直流バイアスをガス応答信号に印加する基準電圧電源と、フィルタ回路における高抵抗R3に対して並列に接続された、前記フィルタ回路を互いに時定数が異なる2つの状態間で相互に切り換えるスイッチ素子を有し、焦電型赤外線センサの起動時においては、スイッチ素子が動作状態とされてフィルタ回路がコンデンサCと低抵抗R4とによる時定数の小さい状態に設定され、当該焦電型赤外線センサが起動されてから所定時間が経過した後に、スイッチ素子が非動作状態とされてフィルタ回路がコンデンサCと高抵抗R3および低抵抗R4とによる時定数の大きい状態に切り換えられ、
スイッチ素子が動作状態とされた状態におけるフィルタ回路の時定数が、スイッチ素子が非動作状態とされた状態におけるフィルタ回路の時定数の20%以下となる状態に設定されていることを特徴とする焦電型赤外線ガス検知器。 - ブースト回路におけるスイッチ素子が動作状態とされる時間が0.1〜10秒間であることを特徴とする請求項1に記載の焦電型赤外線ガス検知器。
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