JP4669129B2 - 高分子電解質セメント - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、(a)金属陽イオン放出性の化合物および(b)一種以上の固体状態に変換可能な高分子電解質という少なくとも二種の反応パートナーを含む一成分または多成分の高分子電解質セメントに関し、ここに高分子電解質のうち少なくとも一つは少なくとも部分的に水溶性であり、かつ反応パートナー(a)および/または(b)の少なくとも一部は有機の表面被覆剤で覆われている。本発明はさらに、固体で存在する高分子電解質の配合成分の少なくとも一部から得られる粒状物に関し、ここに自己粒状化(autogenen Granulierung)の意味で、少なくとも反応パートナー(b)の一部は重要な粒状化剤として働き、粒状物は液状の配合成分と接触して再び一次粒子に崩壊する。さらに本発明は粒状物の調製法ならびに高分子電解質セメントの歯科材料としての使用に関する。
【0002】
本発明の意味において、高分子電解質とは、イオン解離できる基を持ったポリマーと理解でき、ポリマー鎖の構成要素または置換基が存在してもよく、その数はそのポリマーが少なくとも部分解離した形において少なくとも部分的に水溶性であるような数である。本発明の意味において、高分子電解質セメントとは高分子電解質を含む材料と理解できる。特に、この高分子電解質はキレート生成反応、特に好ましくは酸塩基反応/中和反応の意味で金属陽イオン放出性の化合物と反応することができなければならない。この反応は、凝結反応または短時間凝結として示される。この凝結と並んで、重合性の化合物およびこの化合物の重合に適した開始剤の添加によってさらに重合反応が進行できる。
【0003】
このような高分子電解質セメントは、例えばポリアルケン酸、特にポリアクリル酸と、酸化亜鉛または金属陽イオン放出性の、いわゆる塩基性のガラス粉末を水の存在で反応させることによって得られる。このセメントは、1967年以来ポリカルボキシレートセメントとして〔D.C.Smith,Biomaterial 19,467−478(1998)〕、また1969年以来(在来の)ガラスイオノマーセメント(ガラスポリアルケノエートセメント)として〔A.D.Wilson,B.E.Kent,DE2061513〕公知である。追加的に重合性の化合物ならびに適当な開始剤を含む高分子電解質セメントは、例えばプラスチック変性のガラスイオノマーセメント〔例えばR.Mathis,I.L.Ferracane,J.Dent,Res.66,113(Abstract51)(1987)を参照〕またはコンポマー〔例えばEP219058を参照〕である。
【0004】
上記の高分子電解質セメントは二成分ペースト−ペースト系および一成分ペースト系として処方することができる。しかし、普通は上記の高分子電解質セメントは粉末−液体系として処方される。この場合、高分子電解質は液状で存在してもよく、粉末の固体として混合されてもよい。高分子電解質の一部を粉末で、一部を液体で含む混合形態も公知である〔例えばGB−A−17880−72,DE−A−2319715を参照〕。少なくとも高分子電解質の一部が金属陽イオン放出性の化合物とともに存在する固体混合物は、「乾燥粉末混合物」として表される。
【0005】
高分子電解質の溶解によって追加の加工時間を要する場合や、溶解での高分子電解質の全量があまりにも多くて適当な粘度と加工時間を得ることができない場合は、固体の高分子電解質の粉末への添加が有利である。
【0006】
乾燥粉末混合物の欠点は、湿気、例えば空気中の湿気の進入によって、使用までの製品の貯蔵中に両方の反応パートナー、すなわち金属陽イオン放出性の化合物と高分子電解質の間の反応が起こり、セメント凝結を遅くすることである。従って、材料の凝結が貯蔵期間に依存して増加するので、高分子電解質セメントの確かな使用はもはや保証されない。
【0007】
このことは特にこの高分子電解質セメントの手混合法の場合に重要な役割を演ずる。何故なら、コスト意識のある使用者のためのこの製品は小分けされた材料でより多くの応用を実行できるように構想されているからである。そのために、乾燥粉末混合物は小さいコップに入れて供されるが、取り出しのたびに空気中の湿気が入り、凝結の遅延をひきおこす。その上、混合性は時がたつにつれて悪くなる。何故なら、空気中の湿気の存在で表面で進行する金属陽イオン放出性の化合物と高分子電解質との反応によって、強度の高い凝集物ができることがあり、その粉砕は、混合の際に高いエネルギーを与えること(Energieeintrag)によってのみ達成できるからである。
【0008】
貯蔵期間中一定の凝結は、乾燥粉末混合物への湿気の侵入の阻止により達成できる。これは包装費を高くすることによってのみ実現できる:例えば一度使用のために開発された混合カプセルに適するような高分子電解質セメントは、必要に応じ追加の乾燥クッションをもつアルミニウム複合箔中にブリスター包装される。この措置は凝結に確かに望ましい安定効果をもたらすが、製造に際して、またそれ故に消費者にとって明らかに高いコストがかかる。その上、消費者の絶えず上昇する環境意識の枠の中でコストのかかる包装製品の受け入れは低下する。
【0009】
また乾燥粉末混合物の製造および充填に際しては、空気中の湿気との接触をできるだけ少なく保つ特別の措置をとるべきである。さもないと、乾燥粉末混合物の初期の損害が起こり、乾燥粉末混合物の充填が困難になることがあり、それが加工コストを高くするからである。
【0010】
原則的に物質を環境の影響から守る別の可能性は、保護すべき物質に被膜を付けることである。
【0011】
医薬工業では、錠剤の製造に使用される有機の被膜材料は公知である〔H.P.Fiedler,医薬、化粧品および隣接領域のための助剤の辞典,Editio Cantor Verlag Aulendorf,4版,1996年,1498−1500頁〕。この被膜材料は錠剤の使用領域に応じて酸可溶性(胃で可溶)、アルカリ可溶性(腸で可溶)または水溶性である。この非常に広く使用される錠剤被膜材料の典型的な代表は、Roehm社のオイドラジット(登録商標)型である。オイドラジット(登録商標)L(耐酸性)は酸官能性のポリマーであり、オイドラジット(登録商標)E(酸可溶性)はアミノ基を有する〔H.P.Fiedler,医薬、化粧品および隣接領域のための助剤の辞典,Editio Canter Verlag Aulendorf,4版,1996年,596−598頁〕。同様に、アミノ官能性であるが水溶性であるのは、ISP社の製品コポリマー845であり、これは第3級アミノ基およびピロリドン基を有する。またセルロース誘導体に基づく被膜材料(例えばColorcon社のオパドリー(登録商標)II、Seppic社のセピフィルム)が公知である。多糖類をも含む共重合物、例えば(Colorcon社の)スレレアーゼは同様にこの目的に使用される(それぞれの販売元の製品カタログを参照)。
【0012】
これらの被膜材料で耐湿性を得るために、製造業者はそれに必要な被膜の厚さへの助言を与える。例えば、Roehm社は耐湿性の錠剤被膜の製造に約10μmの被膜の厚さを推奨し、これは1平方センチメートル当たり約1ミリグラムの被膜材料に相当する(Roehm社のオイドラジット(登録商標)の製品カタログ)。従って、高分子電解質セメントの微粉砕した粉末成分(比表面積:1グラム当たり約3平方メートル)の上に推奨された被膜の厚さを達成するためには、これは粉末1グラム当たり約30グラムの被膜材料で被覆されねばならない。
【0013】
これは被膜材料の組成に本質的な影響を及ぼす。この場合特に重要なのは、表面の被覆に挙げられた材料の場合、高分子電解質セメントの反応の意味において非反応性の添加剤が問題であることを知るべきである。すでに初期の実験が再三再四示してきたのは、高分子電解質セメントにおいては一般に非反応性の添加剤が数パーセントの濃度で既に性質、特に機械的数値、例えば圧縮強度または曲げ強度の低下をもたらすことであった。
【0014】
DE3610844およびDE3610845は、アルミン酸カルシウム系の歯科用セメントのための表面被膜材料を記載している。これは高分子電解質セメントとは反対に、キレート形成または中和によってでなく、水和によって硬化する。塩基性の媒体中のこのセメントは、酸の関与なしに硬化するので、被覆材料の耐酸性についての要求は高分子電解質セメントに課せられる要求とは比較できない。本明細書で表面の被覆に使用されるポリマーは単に水溶性であり、水和に使用される水性の反応溶液中でも10%の濃度まで増粘剤として使用される。
【0015】
従って本発明の課題は、湿気に対して非常に安定で、そのため普通の保存性の範囲において状態も凝結も変化せず、容易に製造でき、充填でき混合できる高分子電解質セメントを提供することである。できれば、そのために個々の包装材技術的な措置を採ることなく、また圧縮強度または曲げ強度のような機械的数値を低下させることなしにである。
【0016】
本発明により、この課題は請求の範囲に記載するように一成分または多成分の高分子電解質セメントおよび/または粒状物によって解決される。
【0017】
意外にも、表面の被覆によって、金属陽イオン放出性の化合物および/または高分子電解質の少なくとも一部は当業者に公知の高分子電解質セメントとは対照的に、普通の保存性の範囲において凝結も状態も変化しない、湿気の接触に対して非常に安定な高分子電解質セメントを製造することができ、結果的に、その使用性は好ましくない影響を受けず、その機械的な数値は、当業者に公知の高分子電解質セメントのそれに匹敵する。
【0018】
意外にも、この方法はさらに加工機械への高分子電解質セメントの粘着を減らし、凝結の経過は有利に短縮される。
【0019】
本発明の意味において表面被覆材料の特徴は、これらが、固い核(高分子電解質セメントの反応性成分)の表面上に溶液から析出した被膜形成性の材料であるということであり、これはその後、核との強固な化学的結合なしに少なくとも部分的に覆う。高分子電解質セメントの反応の範囲において、この表面被覆材料は核から再度溶け出すことができ、貯蔵中にそれが核を湿気の影響から守るものであるのが好ましい。
【0020】
高分子電解質セメントの反応性成分の表面と化学的結合を形成する反応性材料(例えば、DE3941629、DE19526224またはDE19605272に記載されているようなシラン化剤)は本発明の意味での表面被覆材料ではない。
【0021】
好ましいのは、その毒物学的に問題のないことに基づいて既に医薬工業において被覆材料として使用されている被膜形成材料である(上記参照)。特に好ましいのはポリマーの被膜形成材料、特に10000以上のモル質量を有するものである。この場合特に適切なのは水性の酸性媒体に充分に高い溶解性をもつポリマーであり、その結果充分速やかに反応性の成分を遊離し、このようにして凝結反応のいかなる重大な遅延も起きない。遅延は1分、特に30秒を越えないのが好ましい。
【0022】
このような要求は、効果的な防湿の要求とは矛盾する。意外にも、反応性の成分に対し3%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満(高分子電解質セメントの重量に関して)の濃度に塗布した場合、被膜コーティングを40〜200μmの厚さにした本来公知の被膜形成材料はこの要求をも満たすことが分かった。
【0023】
0.2ないし10m2 /g、好ましくは0.5ないし5m2 /g、特に好ましくは1ないし3m2 /gという高い比表面積に基づいて、これは数nmの膜厚にしか当たらず、従って医薬工業において普通であるそれより係数にして1000〜50000以下である。高い溶解性を保証するためには、胃液可溶性の錠剤被膜材料が好ましく、この場合特に好ましいのはアミノ官能性の共モノマーを含むポリマーである。このポリマーはそのままでも、中和または部分中和した形でも使用できる。この場合、中和にはどんな酸も使用できる。しかし、好ましいのは有機酸であり、特に好ましいのはカルボン酸、特に高分子電解質セメントに周知のように混合できる酸、例えばヒドロキシカルボン酸、特に酒石酸またはクエン酸である。
【0024】
意外にも、本発明の課題を解決するには錠剤の製造に使用される有機の被膜材料について医薬工業のそれより明らかに少ない被覆が推奨され、充分であることが分かった。0.01ないし3重量%、好ましくは0.1ないし2重量%、非常に特に好ましくは0.2ないし1.5重量%の範囲の被覆であっても安定な系を与える。この濃度範囲では、被覆に使用される材料はその他のセメントの性質にとって重大ではない。上記の重量%の表示は表面被覆の材料の総重量に基づくものである。
【0025】
高分子電解質セメントは一成分または多成分に処方できる。これは、高分子電解質セメントの構成成分がセメントの一成分または多成分中に別々に包装されて提供されるということを意味している。これは個々の反応パートナーが互いに別々に貯蔵されねばならない場合に必要である。何故なら、さもないとそれらの間に起こる反応が高分子電解質セメントの貯蔵安定性に悪い影響を与えるからである。例えば、ガラスイオノマーセメント(GIZ)中の三つの反応パートナー、すなわち塩基性ガラス粉末、ポリアルケン酸および水は反応が起こらないように互いに別々に保存される。それゆえ、ガラスイオノマーは少なくとも二成分で提供される:一つの成分は塩基性ガラス粉末およびポリアルケン酸を、第二の成分は水を含むことができる。ポリアルケン酸は部分的にまたは完全に水の中にあることができる。両成分の混合のあと、凝結が始まる。両方の反応パートナー(a)および(b)が少なくとも部分的に同じ成分の中に存在するときだけ、この両方の反応パートナーの間の反応に基づく貯蔵安定性の問題が考慮される。同じ成分の中に存在する反応パートナー(a)および(b)の少なくとも一部が有機の表面被覆材料で表面を被覆されるとき、それは本発明によって有利である。
【0026】
凝結が起こるためには、反応パートナーとして水が必要である。必要量はこの場合反応パートナーに依存してかなり変化し得る。本発明の高分子電解質セメント自体は水を含まず、反応に必要な水は周辺、例えば患者の口から得ることも可能である。これは例えば上記のコンポマーの材料の種類がそうである。両方の反応パートナー(a)および(b)の間の凝結は水なしには進行しないので、例えば光硬化性のコンポマーも一成分に処方できる。金属陽イオン放出性の化合物と反応パートナー(b)との間の反応は、ここでは重合性の化合物とこの化合物の重合に適した開始剤の添加によってさらに進む重合反応に比べて、副次的な意味をもつ必要水量(患者の口からの)と同じである。
【0027】
水は本発明の高分子電解質セメント中に0〜30重量%、好ましくは0〜25重量%存在する。この場合、一般にコンポマーは全くまたはさしたる量の水を含まない。プラスチック変性のガラスイオノマーセメントは、好ましくは3〜12重量%、特に好ましくは5〜10重量%の水を含む。ガラスイオノマーセメントおよびポリカルボキシラートセメントは、特に好ましくは5〜25重量%の水を含む。例えば或るGIZは5〜20重量%、好ましくは8〜15重量%の水を含む。上記の重量%の表示は、特記のない限りいずれも、高分子電解質セメントの総重量に対するものである。
【0028】
本発明の意味における金属陽イオン放出性の化合物としては、貯蔵中に金属陽イオンを放出し、次にキレート形成反応の意味において反応パートナー(b)と反応できるすべての物質が考えられる。この場合、放出される陽イオンは多価であるのが好ましく、特に2価および3価が好ましい。このような化合物は粉末の形の高分子電解質セメントのために高分子電解質セメントにとって普通であるような穀粒の大きさに製造される〔例えばDE−A−2061513を参照〕。
【0029】
金属陽イオン放出性の化合物の例は金属塩、特に金属酸化物および金属水酸化物であり、特に好ましいのはアルカリ土金属、例えばCaO、MgO、Ca(OH)2 、Mg(OH)2 およびZnOの群からのもの、ある種の微細分散した金属、例えば微細分散した亜鉛など(US−A−3,028,247)および塩基性ガラス粉末であり、これはとりわけ2価および3価のイオン、例えばCa2+、Sr2+、Ba2+、La2+、Y3+、Al3+の割合を通じて水の存在において反応パートナー(b)と反応するのに適している(例えばDE−A−2061513、EP−A−0023−13、EP−A−0241277参照)。その他の例は金属陽イオン放出性のケイ酸塩、例えば地層ケイ酸塩、例えばモンモリロン石、ベントナイト、またはケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸ナトリウムアルミニウム、およびゼオライト、さらにモレキュラーシーブがある。
【0030】
本発明の高分子電解質セメントは、好ましくは全組成に基づいて15ないし85重量%、特に好ましくは18ないし80重量%、全く特に好ましくは50ないし70重量%の比率で金属陽イオン放出性の化合物を含む。
【0031】
本発明で使用される高分子電解質(b)は、イオン解離できる基を有したポリマーであり、その基はポリマー鎖の置換基であっても良く、その数は少なくともポリマーがその(部分的に)解離した形態において少なくとも部分的に水溶性であるために大きい。この場合、特に−COOH、−OH、−PO(OH)2 、−OPO(OH)2 、−SO2 (OH)のような置換基が適している。特に好ましいのは有機のポリ酸(DE−A−2061513)、たとえばアクリル酸、メタクリル酸のポリマーおよび共重合物(EP−A−0024056)、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸、ホスホン酸(EP−A−0340016、GB−A−2291060)である。さらに、より多くの高分子電解質の存在においては、水不溶性の高分子電解質も高分子電解質セメント中に存在できる。前提は単に、少なくとも一つの高分子電解質が上記の定義によって少なくとも部分的に水溶性でなければならないということである。
【0032】
「固体状態に変換可能」とは、本発明の意味においては高分子電解質がそれ自体室温で固体であるか、少なくともその一部または完全の解離した形において固体であることと理解されるべきである。
【0033】
高分子電解質はキレート形成反応、好ましくは酸−塩基反応/中和反応の意味において金属陽イオン放出性の粉末成分と反応できなければならない。
【0034】
さらに、固体状態に変換できない高分子電解質も同様に高分子電解質セメント中に存在できるが、本発明によるさらに多成分の解質も高分子電解質セメントの他の成分の中の金属陽イオン放出性の化合物からは区別される。
【0035】
本発明の高分子電解質セメントは、少なくとも部分的に水溶性の固体状態に変換可能な高分子電解質を、好ましくは0.5ないし30重量%、特に好ましくは2ないし25重量%、全く特に好ましくは5ないし20重量%の比率で含む。
【0036】
本発明によれば、反応パートナー(a)および/または(b)の少なくとも一部は有機の表面被覆材料で被覆される。この場合、医薬工業で公知の有機の被膜材料が使用され、それは錠剤の製造にも使用される(上記参照)。
【0037】
表面被覆は非常に色々な材料および方法で行うことができる。ポリマー化合物を使うのが好ましい。例えば、糖溶液、ポリアクリレートおよびメタクリレート、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、他のセルロース誘導体、またはポリエチレングリコールを主剤とした溶液が使用される〔ウルマンの工業化学辞典、Verlag Chemie、Weinheim、4版、1979年、18−155頁以降、H.P.Fiedler、医薬、化粧品および隣接領域のための助剤の辞典,Editio Cantor出版社,Aulendorf,4版,1996年,1498−1500頁を参照〕。有機の表面被覆材料の場合、少なくとも部分的に酸可溶性の表面被覆材料を使うのが特に好ましい。有機の表面被覆材料の場合、いわゆる胃液可溶性の表面被覆材料またはその塩を使うのが全く特に好ましい。被覆材料として特に適しているのは、例えばアミノ基をもつポリマー(例えばRoehm社のオイドラジット(登録商標))であり、これはアミンの形でも、また例えば酒石酸で中和した形でも使用できる(下記参照)。また多糖類に基づくポリマー材料、例えばオパドリー(登録商標)、またはセルロース誘導体に基づくもの、例えばスレレアーゼ(Surelease)またはセピフィルムも同様に良い結果を与える。
【0038】
この製品の種類の重要な代表例を下記の表に示す。これらの材料は、本発明の意味においての表面被覆材料として模範的なものを挙げたものである。
【0039】
【表1】
Figure 0004669129
【0040】
【表2】
Figure 0004669129
【0041】
上記文献に記載された表面被覆材料のほとんどは、有機溶媒中に表面被覆のために充分可溶性であるので、有機溶媒の取り扱いに普通な爆発防止のための予防措置を行わねばならない。これは表面被覆材料を水溶性の形にすることにより単純化できる。これは例えば表面被覆材料への極性またはイオン性の基の導入のような普通の措置によって達成できる。そのためには酸性または塩基性の基の中和が特に適している。例えば、オイドラジット(登録商標)Eは、その酒石酸塩である表面被覆のために充分に水溶性であるオイドラジット(登録商標)−E−Salzに変換することができ、この結果、表面被覆に溶媒として水を使用できるので、表面被覆の際に爆発防止のための予防措置を不要とすることができる。
【0042】
表面被覆は文献に記載された方法によって行うことができる。それによって本発明を制限することなく、例示的に二三の方法を以下に示すこととする。
【0043】
まず、被覆すべき固体を適当な溶媒に解かした表面被覆材料と一緒に粥状の粘度に練り、つぎに強い剪断下にパワーユニット中で均一に混合する。この場合、パワーユニットとしてはニーダーまたは種々のタイプのミキサーが対象となる。つぎに表面被覆した材料を乾燥し、場合により篩にかける。
【0044】
本発明による高分子電解質セメントは、普通の助触媒または遅延剤を含んでもよい。助触媒の例は、例えば酢酸のような短鎖の有機酸、例えばエチルアルコールのようなアルコール、例えば酢酸亜鉛のような塩である。遅延剤の例は、例えばグリセリンのような有機トリオール、例えばトリエタノールアミンのような二三の有機アミノアルコールである(US−A−3,028,247)。
【0045】
ガラスイオノマーセメントの場合は、適切な凝結の達成のためにキレート形成剤の添加が特別の意味をもつ(DE−A−2319715)。そのためには、多数の化合物、なかでもキレート形成をもたらす水酸基またはカルボキシル基あるいはその両方を含むようなものが対象となる。特に優れた結果は、酒石酸またはクエン酸で、特に5重量%の含有量で得られる。金属キレートの形での添加も望ましい効果を示す。
【0046】
本発明の意味において、本発明の高分子電解質セメントには0ないし10重量%、好ましくは0ないし5重量%のそのような化合物、好ましくは酒石酸が存在する。
【0047】
さらに、凝結速度は金属陽イオン放出性の化合物の表面の処理によっても調節できる。例えば、ガラスイオノマーセメントの凝結速度は塩基性のガラスの焼き戻し〔Clinical Material,12,113-115頁(1993年)〕または塩基性のガラスの酸による表面処理の継続時間〔DE−A−2929121〕の影響を受ける。この凝結反応の他に、本発明の高分子電解質セメントには、重合性の化合物およびこの化合物の重合に適した開始剤の添加によってさらに重合反応を進行できる。
【0048】
この場合、上記の意味での重合性の化合物とは、重合反応を行い得る化合物と理解される。そのような化合物は例えば金属陽イオン放出性の化合物と反応できる追加の置換基、例えば−COOH基を有してもよい。反応パートナー(a)および(b)から成る凝結反応系による親水性の基質との適合性のためには、重合性の化合物が親水性を有することが好ましい。使用される重合性および/または凝結性の化合物の例は:
【0049】
(i)エチレン不飽和化合物:
ビニル−、ビニルエーテル−、アクリート−、メタクリレート−化合物、それらは水酸基を含んでもよい;アクリートおよびメタクリレート、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−またはi−プロピル、(メタ)アクリル酸n−:i−またはtert−ブチルおよび(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールおよびアイコサンジオールのジ(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコール、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸のエステル、例えばトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリル酸;α−シアノアクリル酸;クロトン酸;肉珪酸;ソルビン酸;(メタ)アクリルアミド例えばブチルビニルエーテル;モノ−N−ビニル−化合物、例えばN−ビニルピロリドン。特に好ましいのはビスヒドロキシメチルトリシクロ(5.2.1.02,6 )−デカンのジアクリル−およびジメタクリルエステル;2,2−ビス−4(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルプロパン(bis−GMA);3,6−ジオキサオクタメチレンジメタクリレート(TEDMA);7,7,9−トリメチル−4,13−ジオキソ−3,14−ジオキサ−5,12−ジアザヘキサデカン−1,16−ジオキシ−ジメタクリレート(UDMA)である。
【0050】
(ii)一般式(ii−a)のエポキシド
【0051】
【化1】
Figure 0004669129
【0052】
上式にて、
Zは、0ないし22個のC原子をもつ脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに一つ以上のC原子はO、C=O、−O(C=)−、SiR2 および/またはNRで置換されてもよく、ここにRは1ないし7個のC原子をもつ脂肪族の基であり、ここに一つ以上のC原子はO、C=Oおよび/または−(C=O)−−で置換されてもよく、
Aは、1ないし18個のC原子をもつ脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに一つ以上のC原子はO、C=O、−O(C=)−、SiR2 および/またはNRで置換されてもよく、ここにRは1ないし7個のC原子をもつ脂肪族の基であり、ここに一つ以上のC原子はO、C=Oおよび/または−(C=O)−で置換されてもよく、
1 、B2 、D、Eは互いに独立してH原子または1ないし9個のC原子をもつ脂肪族の基であり、ここに一つ以上のC原子はO、C=O、−O(C=)−、SiR2 および/またはNRで置換されてもよく、ここにRは1ないし7個のC原子をもつ脂肪族の基であり、ここに一つ以上のC原子はO、C=Oおよび/または−(C=O)−で置換されてもよく、
nは2ないし7、
mは1ないし10、
pは1ないし5、
qは1ないし5および
xはCH2 、SまたはOである。
【0053】
これらの化合物およびその製造の可能性はDE−A−19648283またはWO95/30402に記載されている。
【0054】
考えられるのはまた、一般式(ii−b)のエポキシドであり、
【0055】
【化2】
Figure 0004669129
【0056】
上式にて、
A、A’は互いに独立して0ないし13個のC原子をもつ分枝なしまたは分枝した脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに一つ以上のC原子はO、C=O、O(C=O)、Si、N、Sで置換されてもよく、
B1、B1’、B2、B2’は互いに独立してH、0ないし6個のC原子をもつ分枝なしまたは分枝した脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに一つ以上のC原子はO、(C=O)、O(C=O)、Si、N、Sで置換されてもよく、
F、F’は互いに独立して0ないし10個のC原子をもつ分枝なしまたは分枝した脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに一つ以上のC原子はO、(C=O)、O(C=O)、Si、N、Sで置換されてもよく、
Dは、1ないし15個のC原子をもつ分枝なしまたは分枝した脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに少なくとも一つのC原子はSiGG’、SiGまたはSiで置換されており、一つ以上のC原子はO、(C=O)、O(C=O)、NまたはSで置換されてもよく、
G、G’は互いに独立してH、0ないし8個のC原子をもつ分枝なしまたは分枝した脂肪族、脂環族または芳香族の基またはこれらの基の組み合わせであり、ここに一つ以上のC原子はO、(C=O)、O(C=O)、Si、N、Sで置換されてもよく、
nおよびmは互いに独立して0、1、2または3であり、n+mは2ないし6である。
そしてここにエポキシドのモル質量またはエポキシドの混合物のモル質量は、250ないし1000g/モルである。
【0057】
これらの分子およびその製造法はドイツ特許出願(Sipox)に記載されている。
【0058】
(iii)開環メタセシスによって重合可能な下記の構造をもつモノマーまたはポリマー:
・ M−An
上式にて、
Mは、Hまたは線状、分枝、環状または多環状の有機または有機金属基である。有機基はN、O、Si、P、Sの群から選ばれた0〜10個のヘテロ原子をもつC1 〜C30アルキル、C6 〜C20アリール、C7 〜C30アルカリルまたはC3 〜C30シクロアルキルであり、nの数はAのための結合点である。有機金属基は、上記の有機基の他にさらに線状、分枝、環状または多環状の無機性の骨格を含む。
【0059】
好ましい基Mは、
【0060】
【化3】
Figure 0004669129
【0061】
であってよく、条件として、QはO、S、SO2 または線状、分枝または環状のC1 〜C20アルキル基であり、これはフッ素化されてもよく、mは1〜20の整数であり、Tは線状、分枝または環状の飽和または不飽和のC1 〜C20炭化水素基であり、qは3〜20の整数である。
【0062】
Aは、一般式
・ C−D
の不飽和の環状または多環状の有機基であり、ここにCはH、またはN、O、Si、P、Sの群から選ばれた0〜10個のヘテロ原子および0〜10個のカルボニル基をもつ線状の分枝または環状の飽和または不飽和の有機C1 〜C20基であり、しかも
Dは、シクロブテニル、シクロペンテニルまたは環系の別の位置にさらにある、特徴づけられた選択された一般式
【0063】
【化4】
Figure 0004669129
【0064】
の不飽和基であり、上式にて、
1 、R2 、R3 はH、またはN、O、Si、P、Sの群の0〜10個のヘテロ原子および0〜10個のカルボニル基をもつ線状の分枝または環状の飽和または不飽和の有機C1 〜C20基であり、
XはO、NH、Sまたは飽和または不飽和のC1 〜C30の炭化水素基である。
【0065】
開環メタセシス重合も文献に記載されている(Comprehensive Polymer Sci.;4;109〜142頁)。
【0066】
重合性の化合物は、本発明の高分子電解質セメント中に0ないし30重量%、好ましくは0ないし20重量%まで含まれてよく、コンポマーおよびプラスチック変性のガラスイオノマーセメント中には例えば7ないし15重量%まで含まれてよい。
【0067】
場合によっては、開始剤として例えば熱−、冷−および/または光重合のための触媒を添加してもよい。この場合、熱重合のためには例えば、ジベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、tert.−ブチルパーオクトエートまたはtert.−ブチルパーベンゾエートのような過酸化物、およびα,α’−アゾビス(イソブチロエチルエステル)、ベンズピナコールおよび2,2’−ジメチルベンズピナコールが使用できる。光開始剤としては、UV−および/または可視光による照射によって重合を起こすすべての物質を使用できる。これには例えばジアゾニウム化合物(US−A−3,205,157)、スルホニウム化合物(US−A−4,173,476)、ヨードニウム化合物(US−A−4,264,703、US−A−4,394,403)またはビスアリルホスフィノキシド(EP−A−184095)が挙げられる。その他の光開始剤は例えば、α−ジケトン、例えば好ましくは9,10−フェナンスレンキノン、ジアセチル、フリル、アニシル、4,4’−ジクロロベンジル、4,4’−ジアルコキシベンジルおよびカンファーキノンである。陽イオン性の光硬化のための開始剤は、例えばDE−A−19736471に記載された化合物である。その他の陽イオン性の重合開始剤は、DE−A−2515593およびWO96/13538に記載されている。冷重合のためには過酸化物/アミン系または過酸化物/スルフィツル酸および/またはバルビツル酸系から成るラジカル発生性の開始剤系、例えばN,N−ジメチル対称キシリジンおよびN,N−ジメチル−p−トルイジンとベンゾイル−またはラウロイルパーオキシドが適している。
【0068】
開環メタセシスによる重合のために添加できる触媒は、例えばラジカル発生剤または陽イオン発生剤およびWO96/23829またはvan der Schaaf、Hafner、Muehlebachの「Angewandte Chemie」,1996年,108,1974〜1977頁に記載された化合物である。
【0069】
重合反応のために添加できる普通の助触媒は、例えば酸化的に作用する添加剤、例えばヒドロパーオキシド(例えばクメンヒドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド)、パーエステル(例えばtert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルイソノナノエート)または無機の酸化剤(たとえば過硫酸カリウム、過硼酸ナトリウム)または他のラジカル発生性の添加剤、例えばジアリールヨードニウム化合物、芳香族アミン、アルキルアミンまたは芳香族アルキルアミンである。
【0070】
開始剤、触媒および前記の項に記載した助触媒などは、本発明による高分子電解質セメントに0〜1重量%まで含有させることができる。
【0071】
さらに、本発明による高分子電解質セメントは助剤、例えば色素、顔料、レントゲン造影剤、流動性向上剤、チクソトロピー剤、ポリマー性の増粘剤または安定剤を含むことができる。歯科材料用の普通の充填剤は、例えばガラス粉および石英粉、プラスチック粉末、焦性の高分散珪酸ならびにこれらの成分の混合物である。これらの他の添加剤は本発明による高分子電解質セメントに0〜60重量%まで含まれる。
【0072】
上記の充填剤はまた、例えばオルガノシランまたはオルガノシロキサンによる処理または水酸基のアルコキシ基へのエーテル化によっても疎水性にできる。
【0073】
特別の態様においては、本発明による高分子電解質セメントの固体状で存在する成分の少なくとも一部を粉末状、粒状および/または錠剤状にすることができる。
【0074】
粒状物とは、粒子粒(Granulatkoernern)の沈降による堆積物と理解される。粒子粒は、粉末または粉末粒子から成る接合された非対称の調和性のない幾何学的形態をもつ凝集体または集積物であり、一般的に粉末混合物よりも良い流動性をもつ〔ウルマンの工業化学事典、Verlag Chemie、4版、1979年、18〜157頁以降〕。この粒の表面は球形、桿状または円筒状でもよいが、凹凸があり小骨状である〔H.P.Fiedler,医薬、化粧品および隣接領域のための助剤の辞典,Editio Cantor出版社 Aulendorf,4版,1996年,722頁〕。
【0075】
粉末の実際の取り扱いにおいて、粒状化は、微粉状の製品の微分散の状態に比べて多くの長所を持っている。特に、微粉末放出による環境の悪化、定義された流動性、製造と充填における簡単な取り扱いおよび迅速な分散または溶解は、そのような製品の使用をかなり向上させる〔Rumpf,化学技師技術30または46〕。
【0076】
それによって微分散の粉末は粒状物にできるが、個々の核の間の付着力が必要である。付着力は、例えば焼結、化学反応、硬化性の接着剤のような固体の架橋または個々の粒子の間の結晶化によって発生する。その他の結合の可能性は自由に動く液体表面の界面張力、付着力および凝集力、固体部分の間の引力または形の決まった結合である。
【0077】
医薬工業においてはいわゆる「接着粒状化」が広く行われている。得られた粒状物は、そのままで添加されるか、又は錠剤化に再加工される。接着剤の粒状化に際しては、結合剤(接着剤、粒状化助剤)として被膜被覆の製造の場合に似た化合物が添加される。表に記載した化合物の他に添加できるものとしては、例えばゼラチン、澱粉、アルギン酸塩がある〔F.Gstirner,薬剤の原料および方法,Ferdinand Enke出版社,シュトウットガルト,1960年,25ページ以降、P.H.Listら薬剤形態学,4版,Wissenshaftliche出版社,シュトウットガルト,1985年,84ページ以降〕。
【0078】
本発明による高分子電解質セメントを粉末液体系の形にすると(上記参照)、混合はしばしば非常に困難になる。何故なら、粉末は非常に大きい表面をもち、それが混合を非常に面倒にするからである。その上、良い機械的性質のためにしばしば要求される高い粉末液体の比率においては、多量の粉末とごく僅かな量の液体が使用される。粒子の容積に対して比較的小さい液体の容積と濡らされるべきセメントの高い比表面積によって、混合の経過は困難になる。
【0079】
粒状化によって粉末の液体による濡れは加速される。何故なら、粒状化において粉末は互いに密に結合し、それによって多孔性の構造が生じるからである。この構造によって、液体は毛管力に基づいて粒状物中に濡れて吸収され、それが混合時間をかなり短縮する。
【0080】
歯科用途用の粒状物の使用は、既にJP−A−06321724号、JP−A−53023190号、DE−A−3511721号に示されてきた。アルギン酸塩‐成形物質の粒状化が記載されているDE−A−3511721号には粒状化助剤が記載されており、これなしでは、粒状化を行うことができない。その上、粒状化材料については、本発明による少なくとも部分的に表面に層を成した材料ではない。
【0081】
粒子結合体を製造するのに通常使用される粒状化助剤は、本発明のシステム中には添加することはできない。というのは、このために必要な量が、硬化した高分子電解質セメントの物理的特性、特に凝結反応にマイナスの影響を及ぼすことになるからである(上記参照)。
【0082】
例えばオイドラジット(Eudragit)(登録商標)Eは、その粘着力に基づき薬剤工業において通常の粒状化助剤として添加される。その際、オイドラジット(登録商標)‐濃度は、粒状物に対して5〜10重量%の範囲内で変動する。オイドラジット(登録商標)の濃度が小さいと、制限された粘着力によって所望の粒状物、即ち微細成分にはならず、所望の効果を得るには大きすぎるものとなる。
【0083】
本発明によれば、高分子電解質セメントの固体の形態である調合成分の少なくとも一部分から成る粒状物が準備される。この際、‐自己粒状化という意味において‐本質的な粒状化剤として、前記反応相手方(b)の少なくとも一部が用いられ、しかも、この粒状物が、再び一次粒子中にて液体の調合成分と接触して崩壊し、その結果、高分子電解質セメントの液体状及び固体状成分が、機械的エネルギーの導入によって互いに容易に親密に混合することができる。
【0084】
この際、機械的エネルギーの導入は、様々に行うことができる。手による混合の方法では、エネルギー導入は例えばスパチュラーによって行われ、一回塗布カプセルの場合には、自動混合装置でのカプセルの振とうによって行われる。
【0085】
本発明による形成物の長所は、本発明の高分子電解質セメントの減少した混合時間などである。このことは、市場に存在している自動混合システムにおいて、一回塗布カプセル中に包装した高分子電解質セメントの混合時間の短縮をもたらし、粒状での提供形態である本発明の高分子電解質セメントのいわゆる「手練り法(Handmischvarianten)」の場合の混合の明らかな軽減をもたらす。
【0086】
「自己粒状化(autogener Granulierung)」とは、本発明の意味においては、粒状化が実質的に、粒状化助剤を更に添加することなく起こることをいう。むしろ、粒状化助剤としては、少なくとも部分的に粉体混合物中に存在する高分子電解質を用いる。
【0087】
それによって、驚くべきことに、2つの本来互いに反応性のある物質を、これらの間の反応を生じさせることなく粒状化させることができる。それゆえ、本発明の粒状体は、製造の際に取り立てて言うほどの量の粒状化助剤は添加されず、従ってこの粒状体は、かなりの量の通常の粒状化助剤を含有していない点で非常に優れている。
【0088】
凝結反応を分離するために、上記の粒状体は液体と混合される。粒状体の毛細管による非常に速い水吸収によって、この粒状体を、再び一次粒子になるまで粉砕し、その結果、小さな被膜強度が保証される。この際、この液体は吸収され、混合が容易となる。
【0089】
本発明の粒状体は、歯科用途用としては、10〜1000μmの間の平均粒径を有していることが好ましく、50〜500μmの間が特に好ましい。
【0090】
技術状況において、粒状体を製造するための数多くの公知の方法が記載されている(例えば〔技術化学のウルマンス百科事典、化学出版、ワインハイム、第4版、1979年、第18〜157頁以降〕)。その際、通常の方法は、湿潤‐、融解‐及び乾燥粒状化である。これらの方法は、原則的には本発明の粒状体を製造するのに適している。
【0091】
特に好ましいのは、溶剤又は溶剤混合物を用いた湿潤粒状化を実施することであり、この際、反応パートナー(b)の少なくとも一部が、(a)と(b)の両方の間の反応を生じることなく溶解し、粒状化の後で除去される。この湿潤粒状化は、特に高い多孔質を生じさせ、これによって、混合時間がうまく減少される。溶剤の添加により、粒状化の際に、重合酸が溶解され、これにより粒状体への結合が行われる。この場合、溶剤の選択は、重合酸が溶解され、もちろん反応が生じない状態とならなければならない。湿潤粒状化のために添加される溶剤は、極性特性を有していることが特に好ましい。非常に特に好ましいのは、添加される溶剤混合物の場合、短鎖のアルコール類である。この粒状化混合物は、混合器中に溶剤を添加することにより製造される。この溶剤は、粒状化後に改めて蒸発される。
【0092】
乾燥粒状化は、本発明の粒状体を製造するための更に別の好ましい方法である。この際、粒状化される物質は、機械的エネルギーの導入により貝殻状物(Schuelpen)にプレスされる。このプレス加工品は、後の粉砕段階にて粉砕器中で粉砕される。この際に生成した破壊粒状物は等級分けされる。所望の限度から外れた粒径を有した粒状体は、改めて貝殻状物にプレスされる。必要とする粒径スペクトルを有した粒状体は充填に誘導される。
【0093】
本発明の範囲においては、予め表面被覆せずに粒状化を行うだけでも、貯蔵安定性の改良が得られることが明らかとなった。
【0094】
そのため、問題になっているものは、少なくとも2つの反応パートナー、即ち(a)少なくとも1種の金属陽イオン‐放出性の化合物と、(b)1種又はそれ以上の、固体状態に変換可能な高分子電解質とを含有した一成分又は多成分の高分子電解質セメントであって、この際、前記高分子電解質の少なくとも1種が、少なくとも部分的に水溶解性であり、(自己粒状化の意味において)前記反応パートナー(b)の少なくとも一部が、高分子電解質セメントの固体形態である調合成分の少なくとも一部を粒状化させるための実質的な粒状化剤として用いられている。
【0095】
本発明の高分子電解質セメント及び粒状体は、歯科材料の製造、特に充填材料、固定材料、基礎充填材料(Unterfuellungsmaterialien)、歯根構成‐(Stumpfaufbau-)及び修復材料〔A.D.ウィルソン、J.W.マクリーン、ガラスイオノマーセメント、エキス出版‐GmbH、ベルリン1998年〕、歯内治療用材料、特に正(ortho-)及び逆行的(retrograde)充填用のもの〔EP−C−0469573〕、裂溝密封(Fissurenversiegelungs)材料〔J.W.マクリーン、A.D.ウィルソン、Br.Dent.J.136巻、第269〜276頁、1974年〕、顎整形外科用の固定材料〔H.W.シーホーザー、スイス月刊誌、Zahnmed.97巻、第344〜347頁、1987年〕又は、開いた分岐(offene Furkationen)用の充填材料〔C.ヒュースケンス、C.マター‐グリュッター、F.ルッツ、スイス月刊誌、Zahnmed.105巻、第216〜221頁、1995年〕を製造するのに使用できる。
【0096】
本発明の高分子電解質セメント及び/又は粒状体は、通常は、混合カプセル、薬包、チューブ及びガラスなどの容器内に充填される。包装に設けられる容器に応じて、混合用及び/又は塗布用の種々の器具が使用される。
【0097】
【実施例】
表面被覆 (Oberflaechenbeschichtung)
以下の実施例は、種々の本発明の高分子電解質セメントを記載している。本発明の実施例2〜10と同様にして実施例1(対照)を製造し、本発明の実施例12と同様にして、有機表面被覆剤を添加せずに実施例11(対照)を製造した。同様に、実施例12aは比較のために役立つ。
【0098】
全ての実施例において、市販の製品の金属陽イオン‐放出性の化合物及び溶液を添加した(ESPEデンタルAG)。ケタック‐モラー(登録商標)‐粉末は、ガラスイオノマーセメント用のガラスを含有しており、デュレロン(登録商標)‐粉末は、ポリカルボキシレートセメント用のZnOを含有している。
【0099】
この金属陽イオン‐放出性の化合物の被覆については、前記被覆剤を、表に挙げられている溶剤中に溶解させた。この溶剤の濃度はそれぞれ、上記粉末が溶剤によって視覚的に濡れるようにして調整した。実験用ミキサー内で上記粉末を充分に混合させた後、これを約100℃にて約3時間乾燥させた。
【0100】
上記粉末を、被覆せずに、又は被覆した後に、乾燥した酸と筒状回転体にて約30分間混合した。ガラスイオノマーセメントについての実験では、アクリル‐及びマレイン酸から成るコポリマー(ケタック‐モラー(登録商標)‐液体)を添加し、ポリカルボキシレートセメントについての実験では、純粋なポリアクリル酸(デュレロン(登録商標)‐液体)を添加した。最終混合物における被覆剤の種類と濃度(金属陽イオン‐放出性の化合物に対する)、並びにポリアルケン酸の濃度が、表1に示されている。
【0101】
凝結を測定するために、共に固体の形態であって、しかも同質に混合した反応パートナーと、金属陽イオン‐放出性の化合物と高分子電解質とを、上述の粉末‐液体比率(P/F)にて、表1に示された液体と混合し、レオメータータイプキューロメーター(シャウベリー)にて凝結を測定した。表に挙げられている値は、凝結開始(ta )にて記載されている。表2及び図1〜3は、相対湿度50%、23℃における貯蔵の場合の凝結の経過を表している。
【0102】
オイドラジット(登録商標)E‐酒石酸塩の製造は、45gのオイドラジット(登録商標)Eを、水溶液中の11gの酒石酸で中和することにより行った。
【0103】
実施例12a(対照)
95%のケタック‐モラーガラス粉末と、5%のオイドラジットE‐酒石酸塩とから成る混合物を、ケタック‐モラー‐液体と凝結させる。このセメント混合物の強い硬化のために、粉末‐液体の割合はわずか2.4に調整することができる。表3に記載されている機械的特性は、対照セメントに対しての明らかの差異を示しているのと同様に、本発明による濃度範囲にて被覆されたセメントに対しても明らかの差異を示している。
【0104】
【表3】
Figure 0004669129
【0105】
【表4】
Figure 0004669129
【0106】
このような実験の結果は、実施例2〜10及び12の本発明の高分子電解質セメントが、この方法の測定精度(+/−15秒)の範囲内で非常に優れた貯蔵安定性を示す一方、比較例の両方が、すでに4週間後に凝結時間の明らかな増加を示し、この増加は更に貯蔵する間にも続くことを示している。
【0107】
その他、具体的に、以下の表3から、例えば実施例1(比較例)に比べて本発明の実施例6の場合には、表面被覆剤によって機械的数値が、マイナスの影響を受けないことがわかる。圧縮強度及び曲げ強度の測定のために必要な試験体は、ISO規格9917に従って、あるいはISO規格4049に関連したESPE‐特殊規格に従って、MPaにて測定した。ISO4049と相違して(15*2*2mmの容量を有する試験体)、12*2*2mmの容量を有する試験体を使用した。
【0108】
【表5】
Figure 0004669129
【0109】
これらの試験結果は、本発明の高分子電解質セメントを用いた場合に、表面が被覆されていない対照材料に比べて、表面被覆剤により機械的数値がマイナスの影響を受けることなく、良好な貯蔵安定性が得られることを示している。
【0110】
粒状化
実施例13
18部のポリ酸と100部のガラス粉末とから成り、実施例7と同様に表面を被覆した自己粒状化粉末混合物を製造し、この中に12部のイソプロパノールを添加し、製薬混合器内で2、3分均質化した。所望の粒径範囲に調整するには、湿った混合物を、引き続いて300〜500μmの網目口径の篩にかけた。溶媒は、引き続いて100℃で約2時間乾燥させることにより除去した。
【0111】
実施例14(対照)
本発明による実施例13と同様の粉末混合物であるが、表面被覆も粒状化も行わなかった。
実施例13及び14に従って得られた高分子電解質セメントの物理的特性を充分に検討するために、ISO規格9917に従って、粉末と液体(17重量%の酒石酸を含む水)を3.8の比率にて混合した。表4には、本発明による実施例13の高分子電解質セメントの抜粋した物理的特性が、実施例14(対照)の高分子電解質セメントの相当する特性及び、更には以下の実施例15(対照)と対照されている。
【0112】
【表6】
Figure 0004669129
【0113】
粒状化していない混合物(実施例14(対照))は、ガラス容器中で貯蔵した場合に混合分離現象を示し、その結果、使用する前に製品を振とうさせなければならない。この際、激しい粉末発生が生じて、その結果、粉末を取り去った場合に実験容器がたびたび粉末で汚れる。この粉末と液体との混合は、機械的エネルギーの高められた導入によってのみ達成できる。
【0114】
それに対して、前記の粒状物(本発明の実施例13)は、ガラス容器内で混合分離現象を示さない。この粒状物は飛散せず、良好に取り出すことができ、非常にうまく調合できる。これは、水と混合した際に非常に素早く濡れ、非常に薄い被膜を生じた。この粒状化した高分子電解質セメントは、全ての必要条件を満たしている。
【0115】
更に、比較例13及び14(対照)から得られた粉末と液体(17重量%の酒石酸を含む水)との混合時間を調査した。そのために、380mgの粉末と100mgの液体をそれぞれ、混合ブロック上で重量測定した。この時間測定は、液滴が粉末と接触した際に開始し、粉末周囲がなくなって均質なセメントが得られる際に終了する。この調査データは、表5に記載されている。
【0116】
【表7】
Figure 0004669129
【0117】
この実験の結果は、本発明による粒状物が、均質に混合された高分子電解質セメントが得られるまでの混合時間を明らかに短縮させることを示している(60%以上の時間短縮)。これは、実施例14(対照)に比べて、粒状物の液体とのかなり良好な濡れ性によるものである。
【0118】
実施例15(対照)
実施例14(対照)からの粉末混合物を製薬混合器内に入れ、粒状化された粉末混合物に対して5%のオイドラジット(登録商標)Eと共に粒状化した。引き続いて、300〜500μmの網目口径の篩にて篩分けし、本発明の実施例13と同様にして所望の粒径に調整した。100℃で乾燥させることにより溶媒を再度除去した。この粒状化された粉末を、実施例13及び14に記載されるようにして混合し、得られた高分子電解質セメントを試験した。測定したデータが表4に示されている。
【0119】
実施例14(対照)からの、表面処理されずに、しかも粒状化されていない粉末との比較から、粒状化された粉末混合物に対して約5%の粒状化助剤(上記参照)という粒状化に推奨される最小量であっても、高分子電解質セメントの物理的特性が非常に悪くなることがわかる。このことは、本発明の粒状体を得るのに、通常の粒状化剤の添加が適していないことを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】被覆なしのガラス(実施例1)と比較したオイドラジット(登録商標)で被覆したガラス(実施例2ないし7)の加工時間および貯蔵時間を示す図である。
【図2】被覆なしのガラス(実施例1)と比較した他の被膜材料で被覆したガラス(実施例8ないし10)の加工時間および貯蔵時間を示す図である。
【図3】被覆なしの酸化亜鉛(実施例11)と比較した、オイドラジット(登録商標)で被覆した酸化亜鉛(実施例12)の加工時間及び貯蔵時間を示す図である。

Claims (10)

  1. 少なくとも2つの反応パートナー:
    (a)少なくとも1種の金属陽イオン‐放出性の化合物、及び
    (b)1種又はそれ以上の高分子電解質で、当該高分子電解質がそれ自体室温で固体であるもの、
    を含有した一成分又は多成分の高分子電解質セメントであって、この際、前記高分子電解質の少なくとも1種が、少なくとも部分的に水溶解性であり、前記反応パートナー(a)及び/又は(b)の少なくとも一部が、有機表面被覆剤によって少なくとも部分的に覆われており、この際、前記有機表面被覆剤が被膜形成材料であり、しかも表面被覆される前記反応パートナー(a)及び/又は(b)の総重量に対して0.01〜3重量%の量にて存在していること、及び、前記の反応パートナー(a)及び(b)の両方が、少なくとも部分的に、前記高分子電解質セメントの同一の成分中に存在することを特徴とする一成分又は多成分の高分子電解質セメント。
  2. 同一の成分中に存在する前記の反応パートナー(a)及び/又は(b)の少なくとも一部が、有機表面被覆剤によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質セメント。
  3. 前記の有機表面被覆剤が、少なくとも部分的に酸溶解性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子電解質セメント。
  4. 固体の形態で存在する前記成分の少なくとも一部が、粉末状化された、粒状化された及び/又は錠剤化された形態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質セメント。
  5. 10〜1000μmの間の平均粒径を有する粒状体の形態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質セメント。
  6. 少なくとも部分的に水溶解性である高分子電解質で、当該高分子電解質がそれ自体室温で固体であるものの1種又はそれ以上の少なくとも一部を粒状化剤として用い、しかも、前記粒状化剤で、粒状化される成分の表面を少なくとも部分的に覆うこと、及び、
    溶剤又は溶剤混合物を用いた湿潤粒状化として実施され、前記反応パートナー(b)の少なくとも一部が、(a)と(b)との間の反応を生じることなく溶解し、粒状化の後で除去されるか、あるいは、乾燥粒状化として実施されるかのいずれかであることを特徴とする、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載される高分子電解質セメントを製造するための方法。
  7. 湿潤粒状化のために添加される溶剤が、極性特性を有していることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質セメントの、歯科材料を製造するための使用。
  9. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質セメントを含有した容器。
  10. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質セメントを含有した塗布装置。
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