JP4668923B2 - 耐熱合金および鉱質ウール製造法 - Google Patents

耐熱合金および鉱質ウール製造法 Download PDF

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Description

本発明は、非常に高い温度で使用される合金、特に溶融鉱質組成物を繊維化して鉱質ウールを製造する方法に用いる合金に関し、また、より一般的には酸化環境中(例えば溶融ガラス中)での高温での機械的強度を有する工具の製造のために方法で使用される合金に関し、更に、高温で使用できる、特にガラスまたは他の鉱質材料の高温精錬および/または転化のために物品、例えば鉱質ウール(ミネラルウール)を製造するための機械の部品を製造するためのコバルトベースの合金に関する。
内部遠心分離法と呼ばれる一つの繊維化法は、垂直軸周りに非常に高速で回転する軸対称部品のアセンブリー中に、液体ガラスを連続的に落とすことからなる。「スピナー」と呼ぶ1つの重要な部品は、「バンド」と呼ぶ壁にガラスを受け、このバンドは穴が貫通しており、ここから遠心力の作用でガラスが流れて、溶融繊維の形ですべての部分から漏れ出ていく。バンドの外壁に沿った下降ガス流を作り出す、スピナー外部の上に位置する環状バーナーは、これらの繊維を下方に偏向させて細くする。次に繊維はガラスウールの形で「固化」する。
スピナーは、熱的に(開始時と停止操作中および通常の使用中の熱ショック、成形品に沿った温度勾配)、機械的に(遠心力、およびガラスの流れによる腐食)、および化学的に(溶融ガラスによる酸化と腐食、およびスピナーの周りのバーナーによる高温ガス発生)、大きなストレスを受ける繊維化工具である。その主要な劣化モードは、垂直壁の高温クリープ変形;水平または垂直の割れの出現;および繊維化オリフィスのエロージョン(腐食摩耗)であり、これらは純粋かつ単純に部品の交換を必要とする。従って、これらの構成材料は、プロセスの技術的および経済的制約の範囲内で充分な長いプロセス稼動間中、耐性を持たなければならない。このために、延性、耐クリープ性、および耐食性および/または耐酸化性を有する材料が求められる。
これらの工具を製造するための種々の公知の材料は、炭化物の析出により強化されたニッケルベースまたはコバルトベースの超合金である。特に耐熱合金は合金のマトリックスに改良された高温固有機械強度を与える耐熱元素であるクロムとコバルトをベースにする。
すなわちWO-A-99/16919は、改良された高温での機械的性質を備え、特に以下の元素(合金の重量パーセント)を有するコバルトベースの合金を開示する:
Cr 26〜34%
Ni 6〜12%
W 4〜8%
Ta 2〜4%
C 0.2〜0.5%
Fe 3%未満
Si 1%未満
Mn 0.5%未満
Zr 0.1%未満
残部はコバルトと不可避不純物であり、タンタル/炭素モル比は約0.4対1である。
炭素含有量とタンタル含有量は、Cr7C3および(Cr,W)23C6の形の炭化クロムおよびタンタル炭化物TaCから実質的になる粒界炭化物の高密度な不連続ネットワークを合金中に形成するように選択されている。この選択により、合金の高温での機械的強度および耐酸化性を高め、温度が1080℃である溶融ガラスの繊維化を可能にする。
WO01/90429から、より高温で使用できるコバルトベースの合金が公知であり、この合金は、その粒界ゾーンがタンタル炭化物析出の多いミクロ組織のために、1100℃より高温、好ましくは1150℃より高温で、機械的強度と耐酸化性とが良好に両立する。これらの炭化物は、機械的強化相として作用し、非常に高い温度での粒界クリープに対抗し、かつ、酸化挙動に対する作用として、酸化により形成するTa2O5が元々のTaCの容積を完全に充填するので、粒界スペースへの侵略的媒体(液体ガラス、高温ガス)の浸透を防止する。下記の場合に、充分な量のタンタル炭化物が提供される。
● 中程度の炭素含有量(合金の約0.3〜0.55質量%、好ましくは約0.35〜0.5%質量%の合金)とし、かつ他のすべての炭化物が生成せずTaC炭化物の形成を促進するのに適した充分に高いタンタル含有量(Ta/Cモル比は0.9以上、好ましくは約1〜1.2)とした場合、
● 比較的高い炭素含有量(約0.8〜1.2%、好ましくは約0.9〜1.1%)とし、かつタンタル対炭素のモル比Ta/Cが0.9未満で0.3以上、好ましくは0.35となるようなタンタル含有量とした場合。この場合のミクロ組織は、粒界にTaCのみが残るように、1150℃を超える高温で固溶体として溶け込み易いM23C6炭化物を含む粒界炭化物の非常に高密度なネットワークを有する。
ある例では合金は、繊維化スピナー中で約1200〜1240℃の温度でガラスを繊維化する工業的条件下で使用される。これは、スピナーの側面に沿う金属の温度が1160〜1210℃であることを意味する。スピナーの寿命は390時間に達した。
工業的生産では、特に玄武岩質ガラスを繊維化するために、生産条件の調整がより柔軟性にできるように、1200℃を超える温度範囲での機械的強度を確保することが望ましいようである。
本発明の目的は、高温での機械的強度が高く、1200℃以上の金属温度での作業を可能にする更に改良された合金を提供することである。
そこで本発明の目的は、モリブデンおよび/またはタングステンを含まず、炭化物の析出により強化されたクロム含有マトリックスを含み、酸化性媒体中での高温機械強度を有する合金であって、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムから選択される少なくとも1つの金属(M)の炭化物を含み、該炭化物は任意にタンタル(M')を更に含むことを特徴とする合金である。「Moおよび/またはWを含まない」という表現は、本説明において合金中のこれらの2つの元素のそれぞれの含有量パーセントが1%未満、典型的には0.1%未満であること、および更に詳しくはこれらの2つの元素のそれぞれは好ましくない不純物の形で存在することを意味する。
本発明は、タンタル以外の金属の炭化物が、非常に満足できる強化作用を有し、特に耐熱性合金の高温性能を改良するためにタンタル炭化物の完全なまたは部分的代替物として使用することができるという発見に基づく。
本発明に従って選択される金属Mの上記の炭化物は、高温に長時間(数百時間)暴露された時の耐久性が特徴であり、一方、同じ暴露条件下でタンタル炭化物は断片化して分散し材料中での強化作用が低下する。最初は「かぎ型」の典型的な形のこれらの炭化物の一部は、熱力学的に最も安定な状態に対応する球状になり、炭化物/マトリックス界面エネルギーを小さくする。この断片化は、マトリックス中の炭化物の部分的溶解を伴う。
WO01/90429に記載のように、機械的強度は1150〜1200℃およびそれ以上の高い繊維化温度でのスピナーの寿命において最も重要な因子である。すなわち強化析出物の上記温度での抵抗性は、材料の寿命を決定するのに決定的である。
ジルコニウム、ハフニウムおよびチタンの各炭化物は、高温での機械強度の観点から非常に優れた改良を与える。
非常に驚くべきことに本発明者らはまた、タンタルとTi、HfおよびZrのうちの他の金属Mとを含有する混合炭化物の方が、タンタルのみを含有する炭化物よりも、あるいは、後者がTiまたはZrの場合は他の金属のみを含有する炭化物よりも、温度安定性が高いことを見いだした。「高温に対する安定性」という用語は、一般的には「スクリプト(script)」構造の炭化物形態の維持を意味する。本実施態様は、得られる合金がまた良好な耐酸化性を示す、本発明の最も好適な実施態様である。
しかし炭化ハフニウムHfCは、他の炭化物MCより更に安定であり、炭化物(Ta,M)Cより安定である。この実施態様もまた有利である。
これらの混合炭化物は、改良された高温ミクロ組織をしており、(Ta,M)C炭化物の断片化が少なく希薄化が少ない。更にTaC炭化物へのTiの添加によりTaC炭化物が安定化する溜め、耐粒界クリープ性に非常に有用な微細2次(Ta,Ti)C炭化物が、マトリックス中に自然に析出する(一般に特殊な熱処理により得られる2次析出物は、同じ条件下で消失する傾向が大きい)。
炭素の原子含有量に対する金属(または金属の合計)の原子含有量の比を1に近く維持することにより(これは大きくても良く、特に0.9〜2でもよい)、MCまたは(Ta,M)C炭化物を唯一の硬化相として使用することが好ましい。特に、1よりわずかに小さくても、生成されるいくつかの別の炭化物(炭化クロム)が、すべての温度での性質を損なうことは無いという意味で許容される。有利な比率の範囲は0.9〜1.5である。
MCまたは(Ta,M)C炭化物の量は、良好な高温での機械的挙動を得るのに充分でなければならない。これを達成するために、炭素含有量(従ってこれは金属含有量に関係する)は非常に高く(例えば0.6質量%)なければならない。しかし炭素含有量は0.2%と低くても、高温機械強度の大部分は維持される。
本発明の好適な合金は、コバルトベース、ニッケルベースもしくは鉄−ニッケルベースのマトリックスを有する。特に好適なものは、コバルトベースのマトリックスであり、これは充分に高い固相線温度と良好な高温での酸化挙動を保証する。これらの合金では、面心立方格子に結晶化したコバルトの樹枝状マトリックスから、および樹枝間スペース中に存在する共晶2相(Coマトリックス/炭化物)化合物から、ミクロ組織が形成される。この共晶合金の形態は、炭化物とマトリックスとが均質に絡み合ったものからなる。この共晶合金により提供される非常に強い粒界結合は、非常に高い温度で非常に良好な機械強度にとって極めて好ましい。
特に本発明の主題の一つは、クロム、ニッケルおよび炭素をも含有するコバルトベースの合金であり、これは実質的に以下の元素からなる(比率は合金の質量%で示す):
Cr 23〜34%
Ni 6〜12%
M=Zr、HfまたはTi 0.2〜7%
M'=Ta 0〜7%
C 0.2〜1.2%
Fe 3%未満
Si 1%未満
Mn 0.5%未満
残部はコバルトと不可避不純物である。
クロムは、これは部分的に固溶した状態で存在してマトリックスの固有の機械的強度に寄与し、ある場合には、粒内に微細分散したCr23C6型からなる炭化物(粒内耐クリープ性を提供する)としても存在し、または粒界に存在するCr7C3もしくはCr23C6型の炭化物の形で存在し、これは結晶粒が互いに滑るのを防ぎ、従って合金の粒界強化にも寄与する。クロムはまた、酸化性媒体に暴露された表面上の保護層を形成する酸化クロムの前駆体として、耐食性に寄与する。この保護層を形成し維持するのに必要なのは最小量のクロムである。しかしクロム含有量が高すぎると、剛性が大きくなり過ぎて、応力下での伸び率が小さくなりすぎ、これは高温の制約と相容れないため、高温での機械強度と靭性にとって有害である。
一般に、使用できる本発明の合金のクロム含有量は、23〜34質量%、好ましくは約26〜32質量%、および有利には約28〜30質量%である。
コバルト結晶構造を安定化させる元素として固溶した形で合金中に存在するニッケルは、合金の約6〜12質量%、有利には8〜10質量%の含有量の通常範囲内で使用される。
炭素は、金属炭化物析出物を形成するのに必要であり、合金の必須成分である。
炭素含有量は、合金中に存在する炭化物の量を直接決定する。これは、所望の最小の強化作用を得るために少なくとも0.2%であるが、合金が硬くなって強化相密度が大きすぎて機械加工が困難になることを防ぐために、多くても1.2%に制限される。かかる含有量で合金の延性が欠如すると、破断することなく変形(例えば熱による)することが妨害され、割れの伝播に対して充分な抵抗性を備えることを妨害する。
本発明の選択された炭化物形成金属は、以下に説明する利点を有する。
チタンはタンタルより標準的で安価な元素であるため、合金中で合金のコストに対する悪影響がタンタルより小さい。この元素はまた軽いという事実も有利である。
fccコバルトマトリックス中のチタンの溶解度の観点から、充分量のTiC炭化物を生成するには、合金の0.2〜5質量%の最小量のチタンが好ましいようである。約0.5〜4%、特に0.6〜3%のチタン含有量が有利なようである。
ジルコニウムとハフニウムは、ZrCまたはHfC共晶炭化物で強化されたコバルトベースの合金に、1300℃を超える固相線温度を有する良好な耐熱性を与える。これらはまた、高温例えば1300℃を超える温度でも、数十または数百時間に亘って非常に良好な安定性があり、TaC炭化物で強化された合金の機械的性質を損なうものより、断片化/希薄化現象が少ない。
合金中のジルコニウムの量は、0.2〜5%、有利には0.4〜3%、特に0.5〜1.5%であってよい。
ハフニウムは、非常に強力な炭化物形成元素であり、同じ原子含有量ではタンタルより高密度の炭化物ネットワークを生成する。これは、HfCの方が炭化物形成のエンタルピーが低いという事実による。そのためHfは多量に生成するので、マトリックス組成中にはハフニウムが完全に不在である。
ハフニウムの量は、0.2〜7%、好ましくは約0.2〜5%、特に0.4〜5%、および特別に約1.5〜4.5%でってよい。
HfC炭化物は非常に安定であり、1200℃で長時間(100時間を超える)暴露した後も変化せず、断片化もマトリックス中への溶解も観察されない。
HfC炭化物で強化された合金が許容されるミクロ組織を有するためには、Hf/C比が1未満であるか、またはある場合には0.5に近いことが好ましい。耐酸化性についても同じことが言える。
これらの合金の他の大きな利点は耐熱性であり、合金の溶融開始はTaCで強化された合金は最大40℃の上昇がある。
上記したように、タンタルがZrまたはTiで置換された混合炭化物は、改良された高温安定性を示し、TaがHfで置換されたものは優れた高温安定性を示す。
任意に合金中に存在するタンタルは、コバルトマトリックス中に部分的に固溶した状態であり、この重い原子は局所的に結晶格子をひずませ、機械的荷重下における転位の運動を妨害またはピン止めしてマトリックスの固有強度に寄与する。本発明において金属Mとの混合炭化物の生成を可能にする最少タンタル含有量は、約0.5%、好ましくは約1%、および非常に好ましくは約1.5%、更には2%である。タンタル含有量の上限は約7%になるように選択される。タンタル含有量は、好ましくは約2〜6%、特に1.5〜5%である。タンタル含有量は非常に好ましくは5%未満、または4.5%未満もしくは更に4%未満である。タンタル含有量が少ないと2つの利点がある。すなわち、合金の全体的コストを大きく低下させ、また該合金の機械加工を容易にする。タンタル含有量が大きいと、合金はより硬くなり、すなわち成形がより困難になる。
合金がタンタルとジルコニウムを同時に含有する場合は、ジルコニウム含有量を非常に低くして、少量のタンタルを代替させることが好ましい。
本発明の合金は、他の通常成分元素または不可避不純物を含有してもよい。一般にこれは以下を含む:
● ケイ素:合金の製錬と鋳造における溶融金属の脱酸剤として、1質量%未満の量;
● マンガン:脱酸剤として、0.5質量%未満の量で;
● 鉄:材料の性質を損なうことのない3質量%以下の含有量で;
● 合金の必須成分に随伴して不純物として導入される他の元素(「不可避不純物」)の合計含有量は、代表的には合金組成の1質量%未満とすることが有利である。
本発明の合金は、好ましくはCe、La、B、Y、Dy、Reおよび他の希土類元素を含まない。
反応性の高い元素を含有する本発明で使用される合金は、鋳造により、特に少なくとも部分的に不活性な雰囲気中で誘導溶解および砂型鋳造により形成される。
鋳造の後に、任意に熱処理が行われ、この熱処理温度は繊維化温度より高くてよい。
本発明のもう一つの主題は、本発明の主題である上記合金を用いた鋳造による物品の製造方法である。
この方法は、鋳造後および/または熱処理後またはその最中に、少なくとも1つの冷却工程、例えば空気冷却、特に室温に戻すことを含む。
この方法は更に、鋳造後に鍛造工程を含んでもよい。
本発明の合金は、高温で機械的ストレスのかかるすべての種類の部品、および/または酸化性もしくは腐食性媒体中で操作することが必要なすべての種類の部品を製造するのに使用される。本発明の主題はまた、特に鋳造により、本発明の合金から製造されるかかる物品である。
かかる応用としては、ガラスの高温精錬または転化で使用できる物品、例えば鉱質ウールの製造のための繊維化スピナーの製造がある。
従って本発明の他の主題は、溶融鉱質材料の流れが繊維化スピナーに注がれ、この繊維化スピナーの周囲バンドに多数のオリフィスが貫通しており、このオリフィスを介して溶融鉱質材料が漏れ出て、次にガスの作用により細くなりウールになる、内部遠心分離により鉱質ウールを製造する方法であって、スピナー中の鉱質材料の温度は少なくとも1200℃であり、繊維化スピナーは上記で得られた合金から製造されることを特徴とする方法である。
従って本発明の合金は、液相線温度Tliqが約1130℃以上、例えば1130〜1200℃、特に1170℃以上であるガラスなどの溶融鉱質組成物を繊維化することを可能にする。
一般にこれらの溶融鉱質組成物は、Tliq〜Tlog2.5の温度範囲(スピナーに達する溶融組成物について)(ここでTlog2.5は、溶融組成物は102.5ポアズ(dPa.s)の粘度を有する温度である)、典型的には約1200℃またはそれ以上、例えば1240〜1250℃またはそれ以上で繊維化される。
これらの鉱質組成物のうちで、多量の鉄を含有する組成物が好ましく、この組成物は繊維化部材の成分金属に関してより腐食性が小さい。
すなわち本発明の方法は、特にクロムについて酸化性であり、表面に確立されたCr2O3保護酸化物層を修復し再構成できる鉱質材料の組成物を有利に使用する。この点で、実質的に第二鉄型(Fe2O3酸化物)、特にFeO/(FeO+Fe2O3)比で表される酸化状態IIとIIIのモル比が約0.1〜0.3、特に0.15〜0.20である鉄を含有する組成物を使用することが好ましい。
鉱質組成物は、酸化鉄の量(「総鉄量」と呼ぶ量、従来から当量のFe2O3型で表される総鉄含有量)が少なくとも3%、好ましくは少なくとも4%、特に約4〜12%、特に少なくとも5%に対応する、酸化クロムの速い再構成速度を可能にする高鉄含有量を有することが有利である。上記酸化還元範囲内でこれは、第二鉄イオンFe2O3単独の含有量として少なくとも2.7%、好ましくは少なくとも3.6%に対応する。
かかる組成物は特にWO-99/56525で公知であり、以下の成分を含むことが有利である:
SiO2 38〜52%、好ましくは40〜48%
Al2O3 17〜23%
SiO2+Al2O3 56〜75%、好ましくは62〜72%
RO (CaO+MgO) 9〜26%、好ましくは12〜25%
MgO 4〜20%、好ましくは7〜16%
MgO/CaO ≧0.8、好ましくは≧1.0、または≧1.15
R2O (Na2O+K2O) ≧2%
P2O5 0〜5%
総鉄 (Fe2O3) ≧1.7%、好ましくは≧2%
B2O3 0〜5%
MnO 0〜4%
TiO2 0〜3%
WO-00/17117から公知の他の組成物は、本発明の方法に特に適している。
これらは以下の質量%の含有量が特徴である:
SiO2 39〜55%、好ましくは40〜52%
Al2O3 16〜27%、好ましくは16〜25%
CaO 3〜35%、好ましくは10〜25%
MgO 0〜15%、好ましくは0〜10%
Na2O 0〜15%、好ましくは6〜12%
K2O 0〜15%、好ましくは3〜12%
R2O (Na2O+K2O) 10〜17%、好ましくは12〜17%
P2O5 0〜3%、好ましくは0〜2%
総鉄 (Fe2O3) 0〜15%%、好ましくは4〜12%
B2O3 0〜8%、好ましくは0〜4%
TiO2 0〜3%、
MgOは0〜5%であり、R2O≦13.0%である時は特に0〜2%である。
一実施態様においては、組成物は酸化鉄含有量が5〜12%であり、特に5〜8%である。これにより、鉱質ウールブランケットの耐火性を達成する。
本発明を主に鉱質ウールの製造に関して説明したが、これは、炉の成分または付属品、ブッシング、またはフィーダーを製造するための、特に繊維ガラス(ヤーンまたはストランド)およびパッケージングガラスの製造のためのガラス産業一般に適用される。
ガラス産業以外では本発明は、酸化性および/または腐食性媒体中において、特に高温で、高い機械的強度を有する必要がある非常に広範囲の物品に適用される。
一般にこれらの合金は、化学産業における高温(1200℃を超える)熱処理炉、熱交換器、または反応槽の操作または運転のための、耐熱合金から製造された任意の型の固定または移動部品を製造するのに使用される。すなわち、例えば、ホットファンブレード、燃焼支持体、炉装入装置などに使用される。これらはまた、高温酸化性雰囲気中での運転を目的とする任意の型の抵抗加熱要素の製造、および陸上、海上、航空の輸送媒体のエンジンのタービンブレード、または輸送媒体以外の任意の応用、例えば発電所に使用されるタービン部品を製造するのに使用される。
すなわち本発明の主題の一つは、上記の合金から製造される物品の酸化性雰囲気中の少なくとも1200℃の温度での使用である。
本発明は以下の例と添付の図1〜3により例示される:
まず、金属Mのみを含有する炭化物により強化されるコバルトベースの合金を例示する。
これらの実施例1〜5を以下の表1に示す(含有量は質量%である):
Figure 0004668923
ニオブ、ジルコニウムまたはハフニウム炭化物を含有するこれらの合金のミクロ組織は視覚的に、タンタル炭化物を含有する同様の合金に非常によく似ている(比較合金は後述される)。これらの元素は、本来好ましい良好な粒界結合である「スクリプト」形態の共晶炭化物を形成する。
実施例1と2の合金は、1200℃の温度に長時間、典型的には100時間暴露されても、そのミクロ組織は実質的に変化せず、炭化物は強化相としての作用を維持する。ミクロ組織の安定性以外に、これらの合金は、比較合金より少ない炭化物形成元素量で、比較合金と同等の密度を有する炭化物のネットワークを有している。更に強化相の実質的な増強が観察される。比較合金の場合の1338℃と比較して、実施例1の合金の溶融開始は1374℃であり、実施例2のそれは1380℃である。
チタン炭化物を含有する実施例3と4の合金について、得られたミクロ組織もまた満足できるものであり、TiC炭化物は比較合金のTaC炭化物に完全に匹敵するそのスクリプト形状によって、良好な粒界結合が可能である。Ti/C原子比が1より大きい実施例4の場合、ミクロ組織は比較合金のTaC炭化物より低い希薄度を有して、極めて安定である。
実施例5の合金はまた、1200℃で100時間後のある程度のミクロ組織安定性を特徴とするが、実施例1と2の合金より少し低い。
第2に、チタンとタンタルを同時に含有する炭化物により強化されたコバルトベースの合金を例示する。
この系の相平衡状態図(その1つを図1に示す)は、実験データとモデル化データから決定された。この図は、ある温度(1300℃等温断面)について、コバルト/TaTiCベースの合金中のチタンとタンタル含有量の関数として観察される相を示す(その組成は常に以下の元素を含有する(質量%):Cr=28.34;Ni=8.68;C=0.4)。目的は、材料の最も高い可能な固相線温度を与えるこれらの2つの金属の濃度範囲を決定することである。この図は、非常に限定された完全に固体(マトリックス+TaC+TiC)の範囲を示す。この組成範囲の以下の例を選択した。
実施例6
以下の組成の合金を調製した。
Cr 28.4%
Ni 8.7%
C 0.4%
Ti 1.5%
Ta 3%
以下の残存元素を有する。
Fe <3%
Si <1%
Mn <0.5%
Zr <0.1%
その他合計 <1%
残部はコバルトからなる。
ミクロ組織の熱安定性を以下の処理により解明した。
● 合金試料を1200℃の温度で100時間加熱し、次に水で冷却してミクロ組織を「凍結」させた。
試料の組織を走査電子顕微鏡を使用して観察した。その結果、粒界構造に高密度なネットワーク状に分布した(Ta,Ti)C炭化物を含有されており、またマトリックス中には、粒界クリープに対する抵抗性に非常に有用な微細な2次(Ta,Ti)C炭化物の析出が確認された。このミクロ組織は、高温(1200℃で100時間)への暴露により影響を受けず、チタンを含有するTaC炭化物は完全に安定であり、比較例のタンタル炭化物により強化された合金のTaC炭化物よりはるかに安定であった。炭化物のほとんどを構成するTiを含有するこれらのTaC炭化物は、高温でほとんど乱れないミクロ組織((Ta,Ti)C炭化物の断片化と希薄化がほとんど無い)を有した。
試験は、これらの炭化物の非常に高い耐熱性を証明し、これらの固相線温度は1350℃の領域であった。
合金の高温での機械的抵抗性を、3点曲げ耐クリープ試験で1250℃の温度で31MPaの負荷で評価した。試験は幅30mmで厚さ3mmの平行六面体試験片について行い、負荷は37mm離れた支持体の中間に与えた。図3のグラフに示すように、試験片の変形を時間の関数として追跡した。機械的抵抗性は一般にクリープ速度で表される。
合金は、比較例の100% TaC合金の3.5μm/hと比較して、1.1μm/hの垂れ速度で変形した。
耐酸化性は1200℃の熱重量分析試験で評価した。放物線酸化常数Kp 値として190×10-12g2.cm-4.s-1が得られ、これに対して比較例の合金はKp値が96.5×10-12g2.cm-4.s-1であった。
酸化挙動は、この温度範囲で有害ではない程度(材料の品質を決定するのは機械的抵抗性である)までは、比較合金と比較してほとんど低下しない。従ってこれらの2つの性質の均衡は、ほとんど実施例6の合金の方にある。
実施例7
表2に示すように実施例6とは異なる組成を有する同じタイプの別の合金を調製した。
Figure 0004668923
実施例7のミクロ組織は実施例6と同様である。
合金の高温での機械的抵抗性を、上記したように3点曲げ耐クリープ試験で1250℃の温度で31MPaの負荷で評価した。クリープ速度は3.2μm/hであり、比較例の合金に対してすでに10%の低下である。
熱重量分析試験で追跡したこの実施例7の酸化挙動は、比較例の合金の場合よりわずかに速く、1220℃で100時間にわたって、比較例の96.5×10-12g2.cm-4.s-1に対して、136×10-12g2.cm-4.s-1であった。
1300℃で行った熱重量分析試験は、放物線の法則と6倍上昇した定数を有するかなりの酸化挙動の持続を示し、これは固相線より数十度低い試験温度について極めて妥当である。
これらの合金6と7はまた空気中の循環酸化により試験した。これらの試験は、各最大1200℃まで上昇し、次に24時間維持し、次に空気冷却して、試料の重量を測定するサイクルを10サイクル行い、重量消失の計算は単位面積当たりで行った。合金6と7は、比較例の合金と同様の挙動をした。
比較例
以下の組成を有するWO01/90429の実施例1の合金を再現した:
Cr 28.3%
Ni 8.68%
C 0.37%
Ta 5.7%
W 0%
以下の残存元素を有する:
Fe <3%
Si <1%
Mn <0.5%
Zr <0.1%
その他合計 <1%
残部はコバルトからなる。
この合金は、ほとんどタンタル炭化物からなる粒界相による強化が特徴であった。
機械的抵抗性を図3に示し、ここで1200℃の温度で31MPaの負荷の3点曲げクリープの合金の変形を示す。挙動は実施例6の合金で得られたものと同様であったが、後者の場合温度は1250℃であった。
次にジルコニウムとタンタルを含有する炭化物により強化したコバルトベースの合金を例示する。
この系の相平衡状態図(その1つを図2に示す)は、実験データとモデル化データから求めた。図は、ある温度(1300℃等温断面)について、コバルト/TaZrCベースの合金中のタンタルとジルコニウム含有量の関数として観察される相を示す(その組成は常に以下の元素を含有する(質量%):Cr=28.34;Ni=8.68;C=0.4)。目的は、材料の最も高い可能な固相線温度を与えるこれらの2つの金属の濃度範囲を決定することであった。この図は、非常に限定された完全に固体(マトリックス+TaC+ZrC)の範囲を示す。この組成範囲の以下の例を選択した。
実施例8〜12
製造した種々の合金(以下の表3はその化学的組成を示す)について行った試験は、ZrC炭化物による利点(耐熱性と優れたミクロ組織安定性)と、TaC炭化物の利点(低製造コストと優れた高温酸化性)と組合わされる。
Figure 0004668923
これらの合金の耐熱性を、比較例と比較できるようにDTA(示差熱分析)により試験した。合金の溶融開始は一般に少なくとも1350℃であり、実施例8の合金の場合は1366℃で、比較例の場合は1340℃であった。
これらの合金のミクロ組織は有利である。
比較合金より実施例11の合金のより大きな構造安定性が認められ、1200℃で100時間後に再度炭化物のからみ合いが観察された。
例えば実施例11の合金は、ZrC−TaC混合炭化物の高密度樹枝状ネットワークを有し、これは1200℃で100時間にわたっても、より安定で断片化が少なく、より良好な機械的挙動を保証し、酸化挙動は比較例の合金と同等であった(1200℃で100時間にわたってKpは、TaC強化合金の場合の96.5×10-12g2.cm-4.s-1に対して、93.6×10-12g2.cm-4.s-1)。
最後にハフニウムとタンタルを含有する炭化物により強化されたコバルトベースの合金を例示する。
実施例13〜15
Figure 0004668923
これらの合金は、(Hf+Ta)/C比が1に等しい。
これらの3つの合金について得られた炭化物ネットワークは有利な形態を有し、ハフニウムの量がタンタルより多いほど顕著であった。
これらの合金の場合に、非常に良好な組織安定性が観察された。炭化物ネットワークは、1200℃で100時間後も完全なようであった。
これらの合金の耐熱性を、比較例と比較できるようにDTAにより試験した。実施例13の合金の溶融開始は、比較例の1340℃と比較して1382℃であり、実施例14は1366℃であった。従ってタンタルの半分をハフニウムで置換すると溶融開始が少なくとも26℃上昇し、これは小さくはない。
実施例14の合金の高温での機械的抵抗性を、1200℃の温度で31MPaの負荷の3点曲げクリープ抵抗で評価した。結果を図3に示す。
合金の挙動は、試験の前半では比較例に近いが、時間経過に伴い変形曲線は比較例の合金の曲線からは大きく離れていくことが認められる。
図1は、本発明の合金のファミリーの相平衡状態図を示す。 図2は、本発明の合金のファミリーの相平衡状態図を示す。 図3は、種々の合金の機械的性質の比較を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 化物の析出により強化されたクロム含有マトリックスを含み、酸化性媒体中で高温での機械的強度を有する合金であって、
    チタ炭化物またはチタン炭化物およびタンタル炭化物を含み
    質量%で、以下の元素:
    Cr 23〜34%
    Ni 6〜12%
    Ti 0.5〜5%
    Ta 0〜7%
    C 0.2〜1.2%
    残部 コバルトおよび不可避不純物、
    からなることを特徴とする合金。
  2. コバルトまたはニッケルまたは鉄−ニッケルに基づくマトリックスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の合金。
  3. 金属/炭素のモル比 (Ti+Ta)/Cが0.9〜2であることを特徴とする、請求項1または2に記載の合金。
  4. タンタル含有量は1〜7%であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の合金。
  5. 造により、請求項1〜のいずれか1項に記載の合金から製造される、ガラスの高温精錬または転化で使用される物品。
  6. 合金が鋳造された後、鍛造操作を受けた請求項に記載の物品。
  7. 鉱質ウールの製造のための繊維化スピナーからなる、請求項5または6に記載の物品。
  8. 適当な鋳型への溶融合金の鋳造を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の物品の製造方法。
  9. 溶融鉱質材料の流れが繊維化スピナーに注がれ、該繊維化スピナーの周囲バンドに開口した多数のオリフィスを介して溶融鉱質材料が漏れ出て、次にガスの作用により細くされてウールになる、内部遠心分離により鉱質ウールを製造する方法であって、スピナー中の鉱質材料の温度は少なくとも1200℃であり、繊維化スピナーは請求項1〜のいずれかのコバルトベースの合金から製造されることを特徴とする方法。
  10. 溶融鉱質材料は、1130℃以上の液相線温度を有することを特徴とする、請求項の方法。
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