前述のように、カバーフィルム上に感光性樹脂組成物層が積層されてなる感光性ドライフィルムは、三次元微小成形体の製造に好適に用いられている。この感光性ドライフィルムは、通常、カバーフィルム上に感光性樹脂組成物の塗布層が形成され、この塗布層を乾燥して感光性樹脂組成物層とした後、得られた感光性樹脂組成物層の露出面に保護フィルムを積層することにより前記感光性樹脂組成物層を保護した構成にて、製品として供給されている。
前記構成の感光性ドライフィルムの使用に当たっては、まず、保護フィルムが剥離される。次に、保護フィルムの剥離によって露出した感光性樹脂組成物層をガラス基板に密着させることによって、ガラス基板上に感光樹脂組成物層を積層させる。この間、カバーフィルムは感光性樹脂組成物層から剥離しないので、ガラス基板上に感光樹脂組成物層とカバーフィルムとが順に積層された3層構造の積層体が形成される。
前記3層構造の積層体が形成された後は、前記積層体のガラス基板4側から化学線(例えば、405nm波長光)を感光性樹脂組成物層の厚み方向に所定のパターンに従って露光することによって、目的の三次元微小成形体の硬化潜像を感光性樹脂組成物層中に形成する。この露光工程においては、図1に示すように、まず、露光装置の土台5上に、前記積層体をそのカバーフィルム1が土台5に密着するようにして、載置する。その後、露光装置土台5の表面に形成されている吸着溝5a内を減圧状態にすることにより、土台5上に載置した積層体が位置ずれを生じないように、積層体を土台5に固定する。
前述のように3層構造の積層体を露光装置土台5上に確実に固定したら、積層体の上面に位置するガラス基板4の上から露光を行う。露光が完了したら、前記吸着溝5a内の減圧を解除して、土台5から積層体を取り外し、カバーフィルム1を剥離した後、現像処理を行うことにより、目的の三次元微小成形体が得られる。
ところで、前記露光工程において、ガラス基板4の上から露光した時に露光光は、ガラス基板4を透過し、感光性樹脂組成物層2に吸収されるが、露光量は三次元微小成形体のパターン形状を精密に潜像化するために感光性樹脂組成物層2の底部にまで十分到達する量に設定されている。そのため、露光光は、感光性樹脂組成物層2の底部、すなわちカバーフィルム1との界面を通過して、さらにカバーフィルム1から露光装置土台5の表面にまで到達することになる。その結果、露光光は、積層体の最下層に位置するカバーフィルム1を透過して露光装置土台5の表面に到達し、この露光装置土台5の表面から反射光が生じ、この反射光がカバーフィルム1を透過して、感光性樹脂組成物層2にまで入射することになる。
前記反射光の感光性樹脂組成物層2への入射によって、感光性樹脂組成物層2に形成されている硬化潜像の輪郭が乱される場合があり、さらに、反射光には土台5の吸着溝5aからの散乱光が含まれているため、感光性樹脂組成物層2中に吸着溝5aの硬化潜像が形成されてしまうに至る場合もある。これらの現象が生じると、現像後の三次元微小成形体のパターン形状の精度が低下してしまうことになる。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その課題は、パターン露光時に露光装置の土台表面からの反射光に起因する三次元微小成形体の成形精度低下を防止することのできる感光性ドライフィルムを用いた、三次元微小成形体の製造方法を提供することにある。
上述した課題を達成するために、本発明者らは、鋭意、実験、検討を重ねたところ、以下のような知見を得るに至った。
すなわち、三次元微小成形体を精度良く得るためには、感光性樹脂組成物に必要な露光量にて化学線を照射する必要があるため、露光量を低減することによって露光装置土台への化学線の入射を防止することはできない。したがって、カバーフィルムの化学線透過を防止すれば、化学線が露光装置土台表面に入射することがなくなる。しかしながら、カバーフィルムの化学線透過率が極度に低下してほぼ不透明となると、感光性樹脂組成物層とカバーフィルムとの界面で反射光が発生してしまう。
また、感光性ドライフィルムには、ガラス基板側からのパターン露光が行われるばかりでなく、カバーフィルム側から後露光と称される露光が必要に応じて行われる。そのため、カバーフィルムがほぼ不透明になると、この後露光が不可能となってしまうことになる。
前述の問題点を回避するためには、カバーフィルムの透過率を、ガラス基板側からのパターン露光の照射光が感光性樹脂組成物層を透過した後に露光装置土台表面に入射することがなく、かつカバーフィルム側からの後露光の照射光の感光性樹脂組成物層への透過が可能となる範囲に設定する必要がある。
本発明者らは、前記カバーフィルムの化学線透過率の好適な範囲を種々実験を重ねたところ、70%〜30%に設定すれば、良好な結果を得ることができることを確認した。また、この透過率の制御には、カバーフィルムの形成材料中に着色剤を添加することが好ましいことも確認された。
なお、このカバーフィルムの化学線透過率の制御には、感光性樹脂組成物層の透明性や光感度などの感光特性が大きく影響する。感光性樹脂組成物層の光感度が低いと、露光量を増やさなければならなくなり、カバーフィルムの化学線透過率もより低くしなければならなくなり、そうなると、後露光が困難になることになる。したがって、同時に感光性樹脂組成物層の光感度を向上する構成を考慮する必要がある。これに対して、感光性樹脂組成物の成分中の光重合開始剤として、ジアルキルベンゾフェノン系化合物およびヘキサアリールビスイミダゾール系化合物の少なくともいずれかを含有させれば、感光性樹脂組成物層の光感度を向上させることが可能である。また、感光性樹脂組成物の成分中の重合性モノマーとして、1分子中に4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物の少なくとも一種を含有させることによって、感光性樹脂組成物層の成形硬度を高めることができる。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明にかかる三次元微小成形体の製造方法は、少なくともカバーフィルムと該カバーフィルム上に形成された感光性樹脂組成物層とから構成される感光性ドライフィルムの前記感光性樹脂組成物層を透明基板上に積層し、前記カバーフィルムが露光装置と密着するように、前記感光性ドライフィルムが積層された前記透明基板を前記露光装置上に載置し、前記透明基板側から所定のパターンに従って化学線を照射することによって三次元微小成形体の硬化潜像を前記感光性樹脂組成物層の内部に形成し、前記感光性ドライフィルムから前記カバーフィルムを剥離した後、前記感光性樹脂組成物層の未硬化部分を現像液により溶解除去する三次元微小成形体の製造方法であって、前記カバーフィルムにおける前記化学線の透過率が70%〜30%に設定されていることを特徴とする。
前記構成において、前記カバーフィルムが着色剤を含有しており、該着色剤の含有により前記化学線透過率が70%〜30%に調整されていてもよい。なお、前記化学線としては、カラーフィルター用マスク等をマスクとして使用できるというコスト面からも、405nm波長光が好適に用いられる。
前記感光性樹脂組成物が、成分中の光重合開始剤として、ジアルキルベンゾフェノン系化合物およびヘキサアリールビスイミダゾール系化合物の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
また、前記感光性樹脂組成物が、成分中の重合性モノマーとして、1分子中に4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物の少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明にかかる製造方法で用いられる感光性ドライフィルムは、露光装置土台に接触するカバーフィルムの化学線透過率が適度に制御され、ガラス基板側から行われるパターン露光の照射光が感光性樹脂組成物層を透過した後、露光装置土台表面に入射することを防止することができる。従って、この感光性ドライフィルムを用いることによって、露光装置を用いた露光時に露光装置土台の表面から反射光が生じることがなく、また、カバーフィルム側から行われる後露光の感光性樹脂組成物層への透過も妨げることがないため、パターン露光によって感光性樹脂組成物層中に生じる硬化潜像のパターン精度が低下することがない。その結果、三次元微小成形体のリソグラフィー成形を高精度に実現することができる。
前述のように、本発明にかかる三次元微小成形体の製造方法は、少なくともカバーフィルムと該カバーフィルム上に形成された感光性樹脂組成物層とから構成される感光性ドライフィルムの前記感光性樹脂組成物層を透明基板上に積層し、前記カバーフィルムが露光装置と密着するように、前記感光性ドライフィルムが積層された前記透明基板を前記露光装置上に載置し、前記透明基板側から所定のパターンに従って化学線を照射することによって三次元微小成形体の硬化潜像を前記感光性樹脂組成物層の内部に形成し、前記感光性ドライフィルムから前記カバーフィルムを剥離した後、前記感光性樹脂組成物層の未硬化部分を現像液により溶解除去する三次元微小成形体の製造方法であって、前記カバーフィルムにおける前記化学線の透過率が70%〜30%に設定されていることを特徴とする。
前記カバーフィルムの構成材料としては、溶剤耐性を有する従来と同様の材料、例えば、膜厚15〜125μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムが挙げられる。これらの内で、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いることができる。このポリエチレンテレフタレートフィルムを始めとした前記フィルム材料に着色剤を均一に含有させることにより、カバーフィルムの化学線(405nm波長光)透過率が70%〜30%に調整される。
なお、カバーフィルムと感光性樹脂組成物層間、または保護フィルムと感光性樹脂組成物層間においては、特性を損なわない範囲で他の層が存在していても良い。他の層としては接着層、酸素バリア層、離型層等が挙げられる。
前記感光性樹脂組成物層を構成する感光性樹脂組成物の組成としては、例えば、透明な三次元微小成形体を製造する場合には、少なくとも一つの官能基を有する重合性モノマーを主成分とする樹脂成分と、光重合開始剤とを含有してなることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、より詳しくは、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを少なくとも有することが、好ましい。これら(A)成分、(B)成分、(C)成分について、以下に詳述する。
アルカリ可溶性樹脂(A)
前記アルカリ可溶性樹脂(A)としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、フェノールノボラック系樹脂、クレゾールノボラック系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の点からは(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、次に挙げるモノマーを重合あるいは共重合させたものを用いることができる。なお、これら重合性モノマーは、後述する(B)成分として配合することもできる。このような重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、エチレン性不飽和カルボン酸、その他の共重合可能なモノマーを好適に用いることができ、具体的にはスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等を挙げることができる。中でも、透明性の面からベンジルメタクリレートが好適に用いられる。
その他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステルの例示化合物をフマレートに代えたフマル酸エステル類、マレエートに代えたマレイン酸エステル類、クロトネートに代えたクロトン酸エステル類、イタコネートに代えたイタコン酸エステル類、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、イソプレン、クロロプレン、3−ブタジエン、ビニル−n−ブチルエーテル等を挙げることができる。
上記モノマーの重合体・共重合体のほかに、セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、さらに、これらセルロース誘導体とエチレン性不飽和カルボン酸や(メタ)アクリレート化合物等との共重合体を用いることができる。さらに、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドとの反応生成物であるポリブチラール樹脂などのポリビニルアルコール類、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、β,β−ジメチル−β−プロピオラクトンなどのラクトン類が開環重合したポリエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール単独または二種以上のジオール類と、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸などのジカルボン酸類との縮合反応で得られたポリエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコールなどのポリエーテル類、ビスフェノールA、ヒドロキノン、ジヒドロキシシクロヘキサン等のジオール類と、ジフェニルカーボネート、ホスゲン、無水コハク酸等のカルボニル化合物との反応生成物であるポリカーボネート類が挙げられる。上記(A)成分は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、アルカリ現像性の見地からは、カルボキシル基を含有させることが好ましい。このような(A)成分は、例えば、カルボキシル基を有するモノマーとその他のモノマーをラジカル重合させることにより製造することができる。この場合、(メタ)アクリル酸を含有させることが好ましい。
光重合性化合物(B)
前記光重合性化合物(B)は、いわゆる重合性モノマーであって、分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有することを特徴とする。この光重合性化合物(B)は、好ましくは「4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物(B−1)」を含有する。この化合物(B−1)を含有することにより、三次元微小成形体の硬度を永久膜に適した値まで高めることができる。
上記「4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物(B−1)」としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。
上記(B−1)の配合量は、アルカリ可溶性樹脂(A)の固形分100質量部に対して、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは40〜80質量部である。
前記光重合性化合物(B)は、さらにビスフェノール骨格を有する化合物(B−2)を含有させることが好ましい。この化合物(B−2)を含有することにより、反応性が向上する。
上記ビスフェノール骨格を有する化合物(B−2)としては、例えばビスフェノールA型化合物、ビスフェノールF型化合物、ビスフェノールS型化合物が挙げられる。本発明ではビスフェノールA型化合物の中の2,2−ビス[4−{(メタ)アクリロキシポリエトキシ}フェニル]プロパンが好ましいものとして挙げられる。具体的には、例えば、2,2−ビス[4−{(メタ)アクリロキシジエトキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−{(メタ)アクリロキシトリエトキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−{(メタ)アクリロキシペンタエトキシ}フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−{(メタ)アクリロキシデカエトキシ}フェニル]プロパンなどが挙げられるが、これら例示に限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記光重合性化合物(B)は、その他公知な重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物を含有してもよい。例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を含有してもよい。さらに、上記(A)成分中に配合し得るとして例示したモノマーを含有させることもできる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。
上記グリシジル基含有化合物としては、例えば、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、この例示に限定されるものではない。
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等との付加反応物、トリス[(メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート]ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
この(B)成分の配合量(固形分量)は、アルカリ可溶性樹脂(A)の固形分100質量部に対して、20〜120質量部が好ましい。(B)成分が少なすぎると感度の低下等がみられ、一方、多すぎると塗膜性に劣る。
以上、本発明に用いる感光性樹脂組成物の樹脂成分について説明したが、望ましくは、重合性モノマーとして、1分子中に4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物、ビスフェノール骨格を有する化合物を含有させる。これら重合性モノマーを含有することによって、得られる三次元微小成形体の硬度を永久膜に適した値にまで高めることが可能となる。
光重合開始剤(C)
前記光重合開始剤(C)としては、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物(C−1)または/およびジアルキルベンゾフェノン系化合物(C−2)を含むことが好ましい。これら光重合開始剤は、特にレジスト表面における光吸収特性に優れているので、背面露光を行った場合にも高い表面形成精度を実現することができる。また、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物(C−1)を有することにより、特に密着性、解像性に優れた効果を奏することができる。
前記ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物(C−1)は、イミダゾール環の3個の炭素原子に結合する水素原子がすべてアリール基(置換・非置換を含む)に置換したイミダゾールの2量体化合物を意味する。具体的には、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2,2−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−ヨードフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロルナフチル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロルフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロル−p−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジブロムフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロムフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロルフェニル)ビイミダゾールなどが挙げられる。中でも2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体が好ましく用いられる。
上記光重合開始剤(C−1)の組成物中の配合量は、アルカリ可溶性樹脂(A)の固形分100質量部に対して、1〜30質量部、より好ましくは5〜15質量部である。1質量部以上30質量部以下では良好な感度が得られる。
前記ジアルキルベンゾフェノン系化合物(C−2)としては、具体的には、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジトメキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メチルエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましく用いられる。
上記光重合開始剤(C−2)の組成物中の配合量は、アルカリ可溶性樹脂(A)の固形分100質量部に対して、0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部である。0.1質量部以上5質量部以下ではレンズ形成性が良好である。
前記感光性樹脂組成物は、その成形後に得られる前記三次元微小成形体に必要な特性を妨げない限りにおいて、さらに上述した以外の光重合開始剤を含んでいてもよい。そのような光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4'−メチルジメチルスルフィド、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−イソアミル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、等のアクリジン誘導体、クマリン系化合物、などが挙げられる。
上記光重合開始剤(C)の組成物中の配合量は、アルカリ可溶性樹脂(A)の固形分1
00質量部に対して、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
その他の成分
前記感光性樹脂組成物には、上記成分の他に粘度調整などの目的のために必要に応じて、アルコール類、ケトン類、酢酸エステル類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、石油系溶剤などの希釈用の有機溶剤を適宜加えることができる。
上記希釈用の有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ベンジルアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、メチルラクテート、エチルラクケート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレンブリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、メチルブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート等のほか、「スワゾール」(丸善石油化学(株)製)、「ソルベッツ」(東燃石油化学(株)製)等の製品名で入手可能な石油系溶剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、その他に、密着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、表面張力改質剤、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤、増感剤などの添加剤を適宜添加することができる。
前記感光性樹脂組成物として最も好ましい上記アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)との組み合わせは、(A)成分としてベンジルメタクリレートとメタクリル酸の質量比80:20の共重合体平均分子量8万の樹脂、(B)成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、(C)成分として2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体及び、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンを選択した組成物である。背面露光感度、透明性、解像性、三次元微小成形体の硬度すべてにおいて良好であるためである。
前記感光性ドライフィルムは、前記着色カバーフィルム上に上記感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂組成物層を設けたものである。その使用にあたっては、ガラス基板の上に露出した感光性樹脂組成物層を重ねることによって、ガラス基板上に感光性樹脂組成物層を容易に設けることができる。
この感光性ドライフィルムを使用することにより、ガラス基板の上に直接感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂層を形成する場合と比較して、膜厚均一性および表面平滑性の良好な層を形成することができる。
着色カバーフィルム上に感光性樹脂組成物層を形成するに際しては、感光性樹脂組成物を調整し、アプリケーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーターなどを用いて、着色カバーフィルム上に乾燥膜厚が10〜100μmとなるよう感光性樹脂組成物を塗布する。特にロールコーターは、膜厚の均一性に優れ、かつ厚い膜が効率よく形成できるため好ましい。
前記感光性ドライフィルムでは、感光性樹脂組成物層の上にさらに保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムにより保護されることにより、貯蔵、搬送、および取り扱いが容易となる。また、予め製造しておき、使用期限はあるものの所定期間を貯蔵しておくことができる。従って、光学的に透明な三次元微小成形体の製造に際し、即座に使用することができ、成形体形成工程の効率化を図ることができる。この保護フィルムとしては厚さ15〜125μm程度のポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンフィルムなどが好適である。また、シリコーンをコーティングまたは焼き付けしたフィルムがより好ましい。
この感光性ドライフィルムを用いて三次元微小成形体を作製するには、まず、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥がし、露出した感光性樹脂組成物層側をガラス基板にあてて、基板上に感光性ドライフィルムを被着させる。被着に際しては、通常、基板をあらかじめ加熱しておき、この上に感光性ドライフィルムを置いて押圧する、いわゆる熱圧着方式が採用される。
次いで、前述の図1を用いて説明すると、着色カバーフィルム1、感光性樹脂組成物層2、ガラス基板4とからなる積層体を、露光装置の土台5上に着色カバーフィルム1が密着するように、固定する。その後、ガラス基板4側から、目的の三次元微小成形体(例えば、マイクロレンズ)の厚みプロフィールに比例して照射光量(露光量)を変化させつつガラス基板4の平面方向に沿ってガラス基板4に垂直方向に化学線を照射(露光)する。化学線としては、具体的には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク灯、キセノンランプ等の紫外線や、h線、エキシマレーザ、X線、電子線等を用いることができる。なお、カラーフィルター用マスクがマスクとして利用できる点からも、405nmの化学線が好ましい。この露光によって、感光性樹脂組成物層中に目的の三次元微小成形体の硬化潜像が形成される。この硬化潜像の硬化表面は、本発明の感光性組成物が有する光感度特性により精度良く形成される。これは、特にマイクロレンズなどの表面形状の精度が要求される三次元微小成形体の硬化潜像形成にとって重要なことである。
この露光工程において、本発明の感光性ドライフィルムのカバーフィルム1は、着色されているため、感光性樹脂組成物層2を透過した化学線は、この着色カバーフィルム1によって土台5表面への透過を阻止される。その結果、露光に用いられた化学線が土台5表面から反射してパターン精度を低下させることが防止される。
上記露光後、積層体を土台5から取り上げ、カバーフィルム1を剥がし、現像を行って感光性樹脂組成物層の未露光部を選択的に除去し、露光部の感光性樹脂層が残留したパターン(例えば、レンズ形状)を形成する。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱を行うことにより、成形体をさらに硬化させることが望ましい。
以下に、本発明にかかる三次元微小成形体の製造方法の実施例を示す。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
(実施例および比較例)
カバーフィルム、感光性樹脂組成物層、保護フィルムから構成される感光性ドライフィルムを用いて、マイクロレンズを作成した。前記感光性樹脂組成物の組成は、ベンジルメタクリレート:メタクリル酸の質量比80:20の共重合体(平均分子量80,000 50質量%MEK溶液)、ジペンエリスリトールヘキサアクリレート(1分子中に4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物(B−1))、NK−エステル BPE−100(新中村化学社製、ビスフェノール骨格を有する化合物(B−2))、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体(C−1)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C−2)、であった。
前記ベンジルメタクリレートおよびメタクリル酸は、マイクロレンズとしての透明性を確保するためのポリマー成分である。また、前記ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびビスフェノール骨格を有する化合物は、永久膜としての硬度をマイクロレンズに相応しい程度に高めるためのモノマー成分である。また、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体はヘキサアリールビスイミダゾール系光重合開始剤であり、前記4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンは露光波長405nm(水銀h線)に反応するラジカル重合系のジアルキルベンゾフェノン系光重合開始剤である。これら感光性樹脂組成物の組成分割合は、以下のようであった。
(感光性樹脂組成物の組成)
ベンジルメタクリレート:メタクリル酸の質量比80:20の共重合体(平均分子量80,000 50質量%MEK溶液)・・・・・固形分換算で100質量部
ジペンエリスリトールヘキサアクリレート(1分子中に4官能以上の重合可能なエチレン不飽和基を有する化合物(B−1))・・・・・60質量部
NK−エステル BPE−100(新中村化学社製、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノール骨格を有する化合物(B−2))・・・・・20質量部
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体・・・・・10質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン・・・・・0.7質量部
前記感光性樹脂組成物を下記表1に示す405nm波長光に対する透過率が異なる4種類のカバーフィルム(透明ポリエチレンテレフタレートフィルム:厚み20μm)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、乾燥させて感光性樹脂組成物層を形成した。それぞれの上に保護フィルム(ポリエチレン:厚み20μm)を貼り付けて、4種類の感光性ドライフィルム(実施例1)、(実施例2)、(実施例3)、(比較例1)を得た。
前記感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥がし、感光性樹脂組成物層を露出させ、その露出面をガラス基板上に密着させた。この積層体を露光装置の土台上に固定した。この固定においては、カバーフィルムが土台に密着するようにした。従って、ガラス基板が最上面に位置した。
前記ガラス基板側に楕円形状のマイクロレンズを実現する為のパターンが形成された(透過光量を等比的に連続して変化させた)マスクを重ね、露光装置の光源でガラス基板側から405nm波長光照射した。この時の露光強度はガラス基板表面で50mJ/cm2・secで、照度は13kW/cm2であった。
露光後、光マスクを剥離し、カバーフィルムをガラス基板から剥がし取り、30℃に調整した1%濃度の炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液中に240秒間浸漬し、感光性樹脂組成物層の未硬化部分を溶解させて除去した。この炭酸ナトリウム水溶液による現像処理後、感光性樹脂組成物層を純水を用いて60秒間洗浄した。その後、パターンに硬化された感光性樹脂組成物層の硬化度を高めるために、130℃で1時間の加熱処理を行った。
前述のようにして得られた樹脂製の3種類の三次元微小成形体のパターン形状の目視による外観検査と、成形体への土台5の吸着溝5aの写り込み(土台からのハレーション)の有無を確認した。その結果を表1に示した。
なお、評価基準は下記の通り。
ハレーション
有り・・・感光性樹脂組成物層に吸着溝が写り込んでいる。
なし・・・感光性樹脂組成物層に吸着溝が写り込んでいない。
パターン形状
不良・・・所望の(等比的に連続して変化した)レンズ形状が形成されていない。
良好・・・所望の(等比的に連続して変化した)レンズ形状が形成されている。
表1から明らかなように、三次元微小成形体用感光性ドライフィルムのカバーフィルムの化学線(405nm波長光)透過率を70%〜30%の間に制御することにより、露光工程において露光装置の土台からのハレーションを防止することができることが確認できる。