JP4668397B2 - 新規な酸性プロテアーゼ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイタケ由来の新規な阻害剤非感受性酸性プロテアーゼに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸性プロテアーゼはタンパク質のペプチド結合を酸性領域において特異的に加水分解する酵素であり、食品産業において広く利用されている。このような酸性プロテアーゼは糸状菌、酵母、細菌などの微生物により広く生産されることが知られている。しかし、タコウキン科(Polyporaceae)のキノコであるマイタケからは未だ見いだされていない。
【0003】
調味料の製造では塩酸による加水分解を行っていたが、ほとんどアミノ酸単位まで分解されてしまうこと、副産物としてのヒューマスや中和により多量の食塩が生成するという欠点がある。近年、微生物由来のプロテアーゼを用いることにより減塩志向の食生活にあった調味料が製造されている。
また、チーズの製造には、ミルク中にあるκ-カゼイン分子のPhe105-Met106間のペプチド結合を加水分解し凝乳させる。このために古くから子牛レンネットが用いられてきたが、現在コスト、供給の安定性の面で糸状菌由来の酵素であるエンドチア パラスィチィカ(Endothia parasitica aspartic proteinase)、ムコール プシラス種リント(Mucor pusillus aspartic proteinase)およびリゾムコール ミーヘイ NRRL 3420(Rhizomucor miehei aspartic proteinase)にとってかわられつつある。
【0004】
一方近年ペプチドの多彩な生理活性が注目される様になってきた。
例えばブラジキニンは、アミノ酸9個からなるペプチドであり、哺乳類にあっては血漿中にある不活性な前駆タンパク(キニノーゲン)から、カリクレインなどのキニノゲナーゼにより遊離され、血圧降下、平滑筋収縮などの薬理活性を発現し、痛みをもたらし炎症時の化学伝達物質の一つと考えられる。
更にアンジオテンシンは、レニンが血漿中のアンジオテンシノーゲンに働いて遊離される血圧上昇作用をもつペプチドで、レニンにより不活性なデカペプチド、アンジオテンシンIが生じ、さらにC末端のジペプチドが変換酵素により切断されて活性をもつオクタペプチド、アンジオテンシンIIが生じる。これらホルモン様活性ペプチドおよび前駆体を分解することにより薬理活性が調節される。
この様な生理活性ペプチドを得るためのタンパク質を分解するプロテアーゼの研究も盛んに行われるようになってきている。
タンパク質を酸性プロテアーゼで分解すると、あらゆるペプチドおよびアミノ酸が生成し、また、酸性条件での反応によって、他の微生物の繁殖を抑制し加工することが可能になる。さまざまなペプチド断片は、それぞれが甘、酸、苦、旨味に加え渋味やコク味を有し、食品の呈味上重要であり、また単独または糖との共存下の加熱により特有の風味を与える。
また、ブラジキニン、トリプシノーゲンやアンジオテンシンIのようなペプチドホルモンおよび前駆体を分解することにより薬理活性の調節が期待される。
現在、糸状菌由来の凝乳酵素が工業化されており、本酵素の凝乳活性を利用することにより、チーズ製造およびマイタケそのものを利用した新規乳製品への応用に利用できる。
このような状況下、入手容易で且つ多様な特性を持った種々の酸性プロテアーゼの開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
酸性プロテアーゼであって、阻害剤に対して非感受性のもので、しかもその材料が容易に入手でき、安全なものを開発することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はタンパク質を分解するプロテアーゼ、就中、酸性プロテアーゼに注目し、基質特性が広く且つ阻害物質に非感受性の酸性プロテアーゼを得るべく鋭意研究を行った結果、以下のような新規酸性プロテアーゼを得ることが出来本発明を完成した。即ち本発明は
(1)配列番号1の配列を有する酸性プロテアーゼ
(2)下記の性質を有する酸性プロテアーゼ
(a) 酸性プロテアーゼ特異的阻害剤に対して非感受性である。
(b) 作用及び基質特異性:タンパク質およびペプチドに特異的に作用し、そのペプチド結合を切断して、低分子量のオリゴペプチドおよびアミノ酸を生成する。
(c) 安定pH:4℃、20時間の処理条件において、pH 1.4〜6.0で安定である。
(d) 安定温度:pH 3.0、20分間の処理条件において50℃まで安定である。
(e) 分子量:約43,000(SDS電気泳動法)、約40,000(ゲル濾過法)である。
(f) 等電点:約4.0〜5.5(等電点電気泳動法)である。
【0007】
(3)マイタケ由来である請求項1又は2記載の酸性プロテアーゼ。
(4)(1)、(2)または(3)で表される酸性プロテアーゼを含有する組成物。
(5)マイタケの破砕汁液、搾汁液、若しくは水抽出液を、塩析若しくは溶媒沈殿処理し、得られた塩析物若しくは沈殿物を緩衝液に溶解し、ついでクロマトグラフィーで処理することを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載の酸性プロテーゼの製造方法。
【0008】
本発明の酸性プロテアーゼは、酸性プロテアーゼの特異的阻害剤であるペプスタチン、ジアゾアセチルDL-ノルロイシンメチルエステル(DAN)、1,2-エポキシ-3-パラニトロフェノキシ-プロパン(EPNP)では阻害されず、他の阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ベスタチン、フェニルメタンスルフォニルフルオライド(PMSF)、キモスタチンなどに対しても阻害されない。
【0009】
本発明の新規酸性プロテアーゼの基質特性は広く、カゼイン、ヘモグロビン、各種タンパク質およびペプチド塩基性タンパク質であるプロタミン、インシュリン、ブラジキニン、トリプシノーゲンやアンジオテンシンIのようなホルモン様活性ペプチドおよび前駆体も加水分解するため、調味料や、医薬品製造などにも応用が可能であり、広範囲の工業分野で利用され得る。
また、スキムミルクが基質の場合では、pH 5.5で凝乳活性を有し、カードを生成させることができるので、乳製品製造にも利用可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
マイタケから本発明による酸性プロテアーゼを採取、精製するためには、既知の方法を単独もしくは併用して利用することができる。
生マイタケの破砕汁液若しくは搾汁液をホモジナイズ後遠心分離して得た上清を得るか、又は生若しくは乾燥マイタケを水に浸浸して抽出液を得る。こうして得られた上清又は抽出液中に含まれる酸性プロテアーゼは塩析、イオン交換クロマトグラフィー、限外濾過、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、その他の各種クロマトグラフィーを、単独もしくは併用して、精製することができる。
【0011】
本発明において、マイタケはマイタケ(舞茸)(Grifola frondosa) 、白マイタケ(Grifola albicans) 、チョレイマイタケ(Grifola umbellata)、トンビマイタケ(Grifola gigantea)等を包含しいずれも用いることが出来る。又これらマイタケ類の子実体及び菌糸体いずれも用いる事が出来るが、最近ではマイタケ(Grifola frondosa)子実体が人工栽培されていて、容易に入手できること、および発明者等の研究の結果酸性プロテアーゼは主に子実体に多く含まれていることが分かり、子実体を使用するのが好ましい。
またマイタケは採取したての生のもの、半乾燥品、乾燥品何れも使用しうる。半乾燥品、乾燥品を使用する場合は水による抽出を行う。生マイタケを使用する場合は、破砕汁液若しくは搾汁液を用いることもできるし、水抽出液として使用も可能である。
【0012】
水としては、イオン交換水、精製水、蒸留水、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液が使用しうるが、天然水、水道水も場合によっては使用しうる。
好ましい精製法を示せば以下の通りである。マイタケを破砕若しく圧搾後、ホモジナイズし、塩類添加による塩析、溶媒添加による濃縮沈殿若しくは酸性沈殿等いずれかの操作を行い、得られた塩析物若しくは沈殿物を緩衝液に溶解し、ついで陽イオン交換クロマトグラフィー及び陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過或いは疎水性クロマトグラフィーで処理することにより得ることができる。緩衝液としてはクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液等が使用しうる。
塩析における塩類としては硫安、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が使用しうるし、溶媒添加による濃縮沈殿ではアセトン、低級アルコール等が使用しうる。
【0013】
陽イオン交換クロマトグラフィーでは、RESOUCE S(ファルマシア バイオテク製)、SP TOYOPEARL 650M(東ソー製)などを用いることができる。
陰イオン交換クロマトグラフィーでは、RESOUCE Q(ファルマシア バイオテク製)、HiTrap Q(ファルマシア バイオテク製)、DEAE TOYOPEARL 650M(東ソー製)、Super Q TOYOPEARL 650M(東ソー製)などを用いることができる。
【0014】
ゲル濾過クロマトグラフィーでは、Superose 12(ファルマシア バイオテク製)、Super SW 3000(東ソー製)、TOYOPEARL HW-50(東ソー製)などを用いることができる。
以上操作は室温以下好ましくは4〜10℃で行うのが好ましい。
酵素の性質
本発明による阻害剤非感受性酸性プロテアーゼの性質は以下に示される通りである。なお、以下において活性測定法とは次の方法をいうものとする。
【0015】
(活性測定法)
カゼイン2%溶液1ml、50mM クエン酸緩衝液(pH 3.0)0.95mlを0.05mlの酵素溶液と混合し、30℃、20分間反応させた後、2.5mlのトリクロロ酢酸混合溶液(0.11Mトリクロロ酢酸、0.22M 酢酸ナトリウム、0.33M 酢酸)を加え攪拌、放置後、上清0.5mlを2.5mlの0.4M 炭酸ナトリウム溶液に加えさらに6倍希釈したフェノール試薬を0.5ml添加攪拌後、室温で20分間放置し、660nmの吸光度を測定する。上記の測定条件下で1秒間に1molのチロシンに相当する吸光度を増加させる酵素量を、酵素活性1単位(1katal)と定義する。
【0016】
(凝乳活性測定法)
0.67M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.6)にスキムミルク、CaCl2を加え最終的に10mM CaCl2含有10%スキムミルク溶液(pH 5.5)とし、この1mlを35℃で10分間加温後、0.1ml酵素溶液を添加攪拌後、カードの形成の時間を測定する。上記の測定条件下で基質1mlを1分でクロッティングする酵素量を、酵素活性1単位(1U)と定義する。
【0017】
(1)作用および基質特異性
カゼイン、ヘモグロビン、プロタミンなどのタンパク質に作用し、そのペプチド結合をエンド的に加水分解することによりオリゴペプチドおよびアミノ酸を生成する。インシュリン、ブラジキニン、アンジオテンシンIに関しては、基質:酵素溶液が400:1(モル比)になるよう50mM クエン酸緩衝液(pH 3.0)に溶解し、37℃で1時間、20時間加温後、高速液体クロマトグラフィー(島津)によりペプチドを分取、プロテインシークエンサーModel 473A(パーキンエルマー アプライドバイオシステムズ)に供した結果を図1に示した。また、上記の凝乳酵素活性測定法に準じ測定した結果、凝乳酵素活性を有することが判明した。またトリプシン前駆体であるトリプシノーゲンを分解し、トリプシンに変換するトリプシノーゲン活性化作用を有することが判明した。
【0018】
(2)至適pHおよび安定pH
上記の活性測定法に基づき、本酵素に及ぼすpHの影響を調べた。なお緩衝液として至適pHでは、0.2M メキュルバイン緩衝液を使用した。図2に活性の最大値を100とした場合の各pHにおける相対活性を示した。図2により本酵素の至適pHは30℃において2.8であることが分かる。
同様に本酵素のpH安定性について図3に示した。なお緩衝液としては200mM KCl/HCl(pH 1.0-2.0)、酢酸(pH 2.0-6.0)、リン酸(pH 6.0-7.5)、トリス/HCl(pH 7.5-9.0)を使用した。本酵素を各pHの緩衝液中に30℃で20時間保持した後、その残存活性の最大値を100とした相対活性として示した。
図3から、本酵素は上記処理条件下においてpH 1.4-6.0までのpH領域で安定であることが分かる。
【0019】
(3)至適温度および安定温度
上記活性測定法に準じて、本酵素に及ぼす温度の影響を調べた。図4に最大活性を100とした場合の各温度における相対活性を示した。図4から、本酵素の至適温度は40℃であることが分かる。
また本酵素を50mMクエン酸緩衝液(pH 3.0)に添加し、20-70℃の範囲の各条件下で10分間保持した後、その残存活性を測定した。その結果を図5に示した。図5により本酵素は、50℃まで安定であることが分かる。
【0020】
(4)分子量
本酵素の分子量をゲル濾過クロマトグラフィーおよびSDS電気泳動法により測定したところ、それぞれ分子量は約40,000、約43,000であった。
(5)等電点
本酵素の等電点を等電点電気泳動法により測定したところ、等電点は約4.0-5.5であった。
(6)比活性
本酵素の比活性を活性測定法に準じて測定した。なお、タンパク質濃度はブラッドフォード法によって測定し、酵素は電気泳動的に均一な精製標品を使用した。その結果、本酵素の比活性はカゼインを基質とした場合、0.22(kat/kg タンパク)であった。
本酵素の凝乳活性の比活性を凝乳活性測定法に準じて測定した。その結果、本酵素の比活性はスキムミルクを基質とした場合、88.1(U/mg タンパク)であった。
【0021】
(7)阻害
酸性プロテアーゼ特異的阻害剤であるペプスタチン、ジアゾアセチルDL-ノルロイシンメチルエステル(DAN)、1,2-エポキシ-3-パラニトロフェノキシ-プロパン(EPNP)と一般的な酵素阻害剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、オルトフェナンスロリン、ベスタチン、E-64、N-エチルマレイミド、パラクロロマーキュリーベンゾエイト(PCMB)、フェニルメタンスルフォニルフルオライド(PMSF)、キモスタチン、L-1-クロロ-3-[4-トシルアミド]-4-フェニル-2-ブタノン(TPCK)、ヨード酢酸についてこれらが本酵素の活性に及ばす影響を調べた。各阻害剤を所定濃度となるように50mM クエン酸緩衝液(pH3.0)に溶解し、本酵素を添加後4℃で30分間処理を行った。次いで処理溶液を分取して活性測定法に準じて、その残存活性を測定した。ジアゾアセチルDL-ノルロイシンメチルエステル(DAN)は、本酵素:DAN:銅が1:40:30のモル比で1,2-エポキシ-3-パラニトロフェノキシ-プロパン(EPNP)は、本酵素100μgに0.5mgのEPNPを添加し、それぞれ96時間までの経時変化を測定した。残存活性は阻害剤無添加で同様に処理した対照を100とした相対値で示した。この結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】
上記表1におけるEPNP及びDANの濃度は、上記(7)阻害の項に記載された通りである。
(8)N末端アミノ酸配列
酵素液を電気泳動に供し、そのゲルをPVDF膜に転写後、本酵素のバンドの部分のみを切り出しプロテインシークエンサー Model 473A(パーキンエルマー アプライドバイオシステムズ)で分析し決定した。その配列を配列表の配列番号1に示す。N-末端より15残基目まで決定できた。このアミノ酸配列についてデータベース(BLAST)に登録されている配列との相同性検索を行ったが相同性があるものは見つからなかった。
【0024】
(実施例1) 精製酵素の調整
マイタケ(Grifola frondosa)森産業株式会社市販種菌M-51株の子実体を破砕、ホモジナイズし遠心分離後、この上清の30%−80% 硫安分画塩析物を遠心分離し回収した。この沈殿を10mM クエン酸緩衝液(pH 3.0)に溶解し、セルロースチューブを用いて同緩衝液に対し透析を行った。 透析後、その透析内液を10mM クエン酸緩衝液(pH 3.0)で平衡化した陽イオン交換クロマトグラフィーであるSP-TOYOPEARL 650Mカラムに通じて酵素を吸着させ、0〜0.3M NaClの濃度勾配で溶出させた。活性画分を透析後、20mM酢酸緩衝液(pH 5.0)で平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィーであるSuperQ-TOYOPEARL 650Mカラムに通じて酵素を吸着させ、0〜0.3M NaClの濃度勾配で溶出させた。活性画分を透析後、20mM 酢酸緩衝液(pH 5.0)で平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィーであるRESOUCE Qカラムに通じて酵素を吸着させ、0〜0.1M NaClの濃度勾配で溶出させた。この活性画分を透析後同カラムに酵素を吸着させ、pH 5.0〜4.0までのpH勾配で溶出させた。上記一連の精製により得た酵素は、SDS電気泳動的にもゲル濾過的にもそれぞれ単一バンドおよび単一ピークを示し、酵素タンパク質として均一であることが確認された。
【0025】
(実施例2) 精製酵素の調整
マイタケ(Grifola frondosa)森産業株式会社市販種菌M-51株の子実体を破砕、ホモジナイズし遠心分離後、この上清の30%−80% 硫安分画塩析物を遠心分離し回収した。この沈殿を20mM 酢酸緩衝液(pH 5.0)に溶解し、セルロースチューブを用いて同緩衝液に対し透析を行った。透析後、20mM 酢酸緩衝液(pH 5.0)で平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィーであるHiTrap Qカラムに通じて酵素を吸着させ、0〜0.5M NaClの濃度勾配で溶出させた。活性画分を100mM 塩化ナトリウムを含んだ20mM 酢酸緩衝液(pH 5.0)で平衡化したゲル濾過クロマトグラフィーであるSuperose 12カラムで分画し、活性画分を20mM 酢酸緩衝液(pH 5.0)で透析し、同緩衝液で平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィーであるRESOUCE Qカラムに通じて酵素を吸着させ、0〜0.1M NaClの濃度勾配で溶出させた。この活性画分を透析後同カラムに酵素を吸着させ、pH 5.0〜4.0までのpH勾配で溶出させた。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、酸性プロテアーゼ阻害剤に対して非感受性の新規な酸性プロテアーゼが、マイタケから抽出・精製することができ、調味料、医薬品製造、乳製品製造等に利用することができる。
【0027】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】インシュリン、アンジオテンシンI、ブラジキニンを示す図。
【図2】至適pHを示す図。
【図3】pH安定性を示す図。
【図4】至適温度を示す図。
【図5】安定温度を示す図。
Claims (3)
- 下記の性質を有するマイタケ由来の酸性プロテアーゼ。
(a)酸性プロテアーゼ特異的阻害剤に対して非感受性である。
(b)作用及び基質特異性:カゼイン、ヘモグロビン、各種タンパク質およびペプチド塩基性タンパク質であるプロタミン、インシュリン、ブラジキニン、トリプシノーゲン、アンジオテンシンIおよびそれらの前駆体を加水分解する。
(c)安定pH:4℃、20時間の処理条件において、pH1.4〜6.0で安定である。
(d)安定温度:pH3.0、20分間の処理条件において50℃まで安定である。
(e)分子量:43,000(SDS電気泳動法)、40,000(ゲル濾過法)である。
(f)等電点:4.0〜5.5(等電点電気泳動法)である。 - 請求項1記載の酸性プロテアーゼを含有する組成物。
- マイタケの破砕汁液、搾汁液、若しくは水抽出液を、塩析若しくは溶媒沈殿処理し、得られた塩析物若しくは沈殿物を緩衝液に溶解し、ついでクロマトグラフィーで処理することを特徴とする請求項1記載の酸性プロテアーゼの製造方法。
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