JP3751086B2 - 新規システインプロテアーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性タン白質、例えば、プロタミン、ヒストン等を選択的に分解する基質特異性を有し、アルギニンに富んだ低分子のペプチドを容易に製造することができ、例えば、生理活性ペプチドとしての利用の如き医薬品分野、飲食品分野、その他のプロテアーゼ利用分野において有用なシステインプロテアーゼ及びその製法に関し、更に詳しくは、白子由来の新規なシステインプロテアーゼ及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から市販されているプロテアーゼは、例えば、プロタミン等の塩基性タン白質を分解することは困難であり、塩基性タン白質の分解方法としては塩酸を添加して加水分解することが行われている。しかし、この塩酸分解では、最終生産物に塩素化合物が混入する危険性があるうえ、アミノ酸単位にまで分解されてしまうため、分解産物は生理活性を失うという欠点がある。
【0003】
一方、塩基性タン白質によく作用するプロテアーゼとしては、例えば、細菌から単離されたサーモリシン(thermolysin)(EC 3.4.24.27)[Adv.Enzymol.41,179(1974)]、カビからのペニシロリシン(penicillolysin)[Agric.Biol.Chem.55,2191(1991)]が知られているが、これらの酵素はいずれも金属酵素であり、本発明の酵素とは本質的に異なる。また、魚の筋肉中より単離されたカテプシンB,L,H[Comp.Biochem.Physiol.96B,No.2,247(1990)及びComp.Biochem.Physiol.96B,No.4,733(1990)]が知られているが、、本発明の酵素とは基質特異性が異なり、収量が少なく、工業的な実用性は乏しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した如き従来の技術では、塩基性タン白質を効率よく分解して、飲食品、医薬品等に有用な生理活性に優れた低分子のペプチドを得ることは困難であった。そこで、安全性の要求される食品工業及び医薬品分野で利用できる生理活性ペプチドを安全かつ効率よく得ることができる、新規な塩基性タン白質分解酵素の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、食品とされる天然素材からの塩基性タン白質をよく分解する酵素のスクリーニングを鋭意繰り返し研究を重ねた結果、鮭、鱒、鰊、鱈、鮪、鰹等の魚類の白子に強い分解活性があることを見出し、それから塩基性タン白質に作用する酵素を単離、精製し、その酵素的性質を解明して、本発明を完成した。本発明により得られる酵素は、新規なエンド型システインプロテアーゼであり、塩基性タン白質であるプロタミン、ヒストン等を選択的に分解する基質特性を有する。
【0006】
しかして、該酵素を用いることにより、プロタミン等の塩基性タン白質からアルギニンに富んだ生理活性ペプチドを容易に得ることができるほか、該酵素は、アンギオテンシンIのC末端のHis-Leu間を切断し、アンギオテンシンIIに変換するアンギオテンシン変換酵素の作用も持つため、医薬品への応用が期待される。しかも、原料である魚類の白子は、食用とされているもので安全であり、また、安価に入手できるため製造コストも低く、食品工業への応用に最適である。 以下、本発明の酵素の製法、理化学的性質等について更に詳しく説明する。
【0007】
本発明により提供されるエンド型システインプロテアーゼは魚類の白子から採取することができ、採取することのできる魚類の白子としては、例えば、鮭、鱒、鰊、鱈、鮪、鰹等の魚類の白子を挙げることができるが,殊に,白子の重量が大きく、また、水揚げ量の多い鮭の白子が好適である。これら魚類の白子は,生鮮品,冷凍品及び塩蔵品のいずれも利用することができる。
【0008】
これら魚類の白子からエンド型システインプロテアーゼを分離採取する方法としては,例えば,鮭の白子を磨砕処理した後,磨砕物1重量部に対して通常約1〜約10重量部、好ましくは約3〜約8重量部の水もしくはpH約5〜7の緩衝液を加えて撹拌抽出し,好ましくは抽出液を再度pH約5〜6に調整した後、得られる抽出水層部を遠心分離し、脂肪を分離除去し,更にこの水層部をケイソウ土,セルロースなどの濾過助剤を用いて濾過し,清澄な粗酵素液を得る方法を例示することができる。
【0009】
得られる粗酵素液は,場合により、凍結濃縮,減圧濃縮,限外濾過などの適宜な濃縮手段を用いて、該酵素の活性低下をきたさない温度,例えば,約40℃以下の温度で濃縮することにより粗酵素濃縮物とすることができる。
【0010】
さらに、該濃縮液は、遠心分離し、その上澄み液をサンプル前処理用の陰イオン交換樹脂、例えばSEP−PAK QMA(ミリポア社製)、Q Sepharose(ファルマシアバイテク社製)など、あるいはアフィニテイカラム、例えば、Arginine Sepharose 4B(ファルマシアバイテク社製)などで溶出し、この溶出液について、例えば、Superose 12HR(ファルマシアバイテク社製)、Shodex PROTEIN KW−803(昭和電工社製)などのゲル濾過カラムを用いて活性画分を分取し、単一成分として分離精製することができる。
【0011】
本発明の魚類白子由来の新規なシステインプロテアーゼは、ペプチド及びタンパク質の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列を認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有するエンド型システインプロテアーゼであり、これまで知られていた塩基性タン白質に作用するプロテアーゼとは全く異なる新規な酵素である。
【0012】
以下、本発明のシステインプロテアーゼの酵素学的性質について説明する。
【0013】
(1) 酵素作用:
本発明の酵素はpH3乃至6.5の弱酸性下でペプチド及びタンパク質中の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列を認識して、該配列のC末端側を切断する。
【0014】
(2)基質特異性
本発明の酵素の低分子合成基質に対する基質特異性を下記表1に示す。
【0015】
【表1】
Figure 0003751086
【0016】
* MCAは4−メチルクマリル−7−アミド基、Bzはベンゾイル基、
Zはベンジルオキシカルボニル基、Sucはサクシニル基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基、そしてE(OBzl)はγ−ベンジル−L−グルタミン酸残基をそれぞれ表わす。
【0017】
**合成基質カルボベンゾキシ−アルギニル−アルギニル−4−メチルクマリル−7−アミド(以下、Z−Arg−Arg−MCAと表記することがある)に対する活性を100%とした場合の相対活性(%)。pH6.0及び30℃にて測定。
【0018】
酵素反応には、活性化剤である2−メルカプトエタノール(5mM)と、金属酵素の影響を除去するために、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(1mM)を添加した。
【0019】
表1の結果から明らかな如く、本発明の酵素は、カテプシンB、Lがよく分解するArg-MCAやBz-Arg-MCAをほとんど分解しないが、Lys-Arg及びArg-Arg配列をよく認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有する。
【0020】
また、本発明の酵素のように、Lys-Arg及びArg-Arg配列を認識し切断する特異性は、生体内のプロセシングに関与する酵素として認められているが、今まで見出されてきた酵素はすべて活性中心がセリンのプロテアーゼ群である。この点からも本発明の酵素がプロセシングの作用をもつ全く新規なシステインプロテアーゼであると言える。
【0021】
(3) 作用至適pH及び安定pH範囲
本発明の酵素を基質Z-Arg-Arg-MCAに作用させた場合のpHと酵素活性との関係を図1に示す。図1から明らかなように、本発明の酵素の至適pHは6である。また、各種pHのリン酸緩衝液(30℃)中での本発明の酵素の残存活性をプロットした図2から明らかなように、本発明の酵素の安定pH範囲はpH約3〜pH約6.5の範囲である。
【0022】
(4)作用至適温度及び熱安定性
本発明の酵素の作用至適温度及び熱安定性について測定した結果を図3及び図4に示す。反応はZ-Arg-Arg-MCAを基質とし、pH6.0のリン酸緩衝液(5mM 2-メルカプトエタノール+1mM EDTA)中にて行った。至適温度は10〜60℃における5分間の活性を測定することにより、また、熱安定性は上記の緩衝液にて希釈した酵素液をそれぞれの温度で10分又は30分間インキュベートした後、30℃にて活性を測定することにより決定した。
【0023】
その結果、本発明の酵素の作用適温の範囲は30℃〜40℃であり、また、至適温度は40℃であって、30℃以下の温度において安定であった。
【0024】
(5) pH、温度などによる失活の条件
本発明の酵素はpH8以上において30分、または70℃、30分間の加熱で完全に失活する。
【0025】
(6) 活性化剤及び阻害剤に対する影響
本発明の酵素を0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)中で各種活性化剤及び阻害剤とともに30℃で30分間前インキュベートしたものを用いて、合成基質Z-Arg-Arg-MCAに作用させたときの残存活性の変化を調べた。その結果を下記表2に示す。
【0026】
【表2】
Figure 0003751086
【0027】
* コントロールは活性化剤、阻害剤を添加しないときの酵素活性であり、表中の活性はこのコントロールを100としたときの相対活性で示す。
**各略記号の意味は次のとおりである。
【0028】
DTT:ジチオトレイトール
E−64:N−[N−(L−3−トランス−カルボキシシラン−2−カルボニル)−L−ロイシル]−アグマチン
PCMB:パラクロロマーキュリー安息香酸
PMSF:フェニルメタンスルフォニルフルオライド
TLCK:Nα−トシル−L−リジル−クロロメチルケトン
APMSF:4−(アミジノフェニル)メタンスルフォニルフルオラ イド
TPCK:N−トシルフェニルアラニルクロロメタン
ZPCK:ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルクロロメタン
この結果より、本発明の酵素は、DTT、2−メルカプトエタノール及びシスティン塩酸塩により活性は著しく増加することがわかる。このことから、本発明の酵素の活性中心には−SH基が関与していることが考えられる。また、E−64、モノヨード酢酸、TLCK、ロイペプチンにより完全に阻害されることから、本発明の酵素の活性中心はシステイン残基であると判断される。
【0029】
(7)力価測定法及び力価表示
力価の測定は,基質ペプチジル−4−メチル−クマリル−7−アミド(peptidyl-MCA)の加水分解により生成する蛍光性の7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)の量を蛍光光度計にて定量することによって行った。すなわち、酵素液20μlと、1mMのジチオスレイトール(DTT)及び1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)を混合し、30℃,20分間予熱の後,これにジメチルスルホオキシド(DMSO)に溶解した10mMのZ-Arg-Arg-MCAもしくはZ-Phe-Arg-MCAを5μl加え、すばやく混合し一定時間の蛍光の増加を測定する。
【0030】
蛍光は、F−3000型蛍光光度計(日立製)により、360nmの励起光を用いて、440nmで測定する。この際、反応液の液温が30℃になるようにセル槽の温度をコントロールする。
【0031】
酵素単位は,上記の条件で1秒間に1モルの7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)を生成することのできる酵素量を1酵素単位:1カタール(1kat)として算定し,酵素活性(kat/ml)として表わす。また、基質濃度と酵素の反応速度との関係よりKm:Michaelis定数及びVmax:最大速度を求める。さらに、最大速度とタン白濃度よりκcat:モル速度を求める。本発明の酵素のKm値、κcat、及びκcat/Kmを下記表3に示す。
【0032】
【表3】
Figure 0003751086
【0033】
(8) 精製方法
本発明の酵素は,前記した如く魚類の白子を脱脂後,水または緩衝液を用いて抽出された粗酵素液を限外濾過等により濃縮し、この濃縮液を前記したような陰イオン交換樹脂やゲル濾過カラムを用いて活性画分を単一成分に分離精製する。
【0034】
例えば、粗酵素濃縮物に1M酢酸緩衝液(pH5.0)を添加混合したのち遠心分離(15000rpm/5min.)し、その上澄液をサンプル前処理用デイスポーザブルカラムSEP−PAK QMA(ミリポア社製)を用いて20mM酢酸緩衝液と500mM塩化ナトリウム液の混液で溶出する。次にこの溶出液をSuperose12HR10/30(ファルマシアバイテク社製)を用いてゲル濾過し、活性画分を分離した後、その活性画分をArginine Sepharose4B(ファルマシアバイテク社製)を用いてアフィニティークロマトグラフィーし、活性画分を分解する。更に、その活性画分をShodex PROTEIN KW−803(昭和電工社製)を用いて単一成分に精製する。
【0035】
このようにして分画精製したシステインプロテアーゼ活性を示す画分をNative−PAGEにて電気泳動した結果を図5に示す。図5からも明らかな如く、本酵素画分は未変性の状態では均一のタン白質であることが確認される。精製方法の具体例は後記実施例1〜6に示すとおりである。
【0036】
(9)分子量
本発明の酵素の未変性状態での分子量は、Shodex PROTEIN KW−803によるゲル濾過での保持時間より推定を行ったところ、約67,000であった。また、本発明の酵素にドデシル硫酸ナトリウム塩(SDS)とβ−メルカプトエタノールを加え、熱湯にて約3分間加熱し、酵素タンパクを変性させた後、その相対分子量を不連続のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動法(SDS−PAGE)(Nature 227,680,1970)により求めたところ、図6に示した如く約22,300であった。以上の結果より、本発明の酵素は、天然では分子量22,300のサブユニットが3個結合して構成されていることがわかる。
【0037】
(10)等電点
等電点電気泳動により等電点を測定したところ、本発明の酵素の等電点は図7で明らかな如く、3.9であった。
【0038】
以上の如く、本発明の酵素は作用至適pHが6、安定pH範囲がpH3〜6.5であり、カテプシンBにやや近い性質も示すが、Bz-Arg-MCAを分解しない点や、Z-Phe-Arg-MCAよりもZ-Arg-Arg-MCAをはるかによく分解する点などカテプシンBとは明確に異なる特異性を有する。さらに、カテプシンBの分子量(ゲル濾過による)は25,000(ヒト由来)あるいは29,000(サケ筋肉由来)であり、本発明の酵素の67,000よりかなり小さく、また、等電点は、カテプシンBは4.5〜5.5(ヒト及びサケ筋肉由来)であり、本発明の酵素の等電点3.9とは異なる。
【0039】
以上の理由により、本発明の酵素は従来既知のプロテアーゼとは別異の新規なシステインプロテアーゼであると考えられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明の酵素の製造について更に具体的に説明する。
【0041】
実施例1
25℃の軟水1kgに生の白鮭の白子(宮城県産)250gを添加し、ミキサー等でホモジナイズした。この液を遠心分離(5000G×20分間)し、上層の水溶液900gを得た。更に、この水溶液をケイソウ土濾過し、抽出液880gを得た。この抽出液のpH6.0におけるZ−Arg−Arg−MCAを基質とする酵素活性を測定した結果、78nkat/mlであった(以下、この抽出液を「サケ白子システインプロテアーゼ1」と称する)。
【0042】
実施例2
実施例1で得られたサケ白子システインプロテアーゼ1の880gに硫酸アンモニウム155gを徐々に加え、かき混ぜて溶解させた後4℃で15時間静置した。次いで、遠心分離により不溶物を除き分離液890gを得た。この分離液に硫酸アンモニウム343gを加えて溶解し、4℃で15時間静置後遠心分離を行い、析出沈殿物3gを得た。この沈殿物をpH6.0のリン酸緩衝液12mlに溶解し、得られた溶液を透析チューブ(Union Carbide corp.社製)を用いて同じ緩衝液で透析処理して脱塩を行った。その結果、酵素液18.3gを得た。この酵素液のpH6.0におけるZ−Arg−Arg−MCAを基質とする酵素活性を測定した結果、1200nkat/mlであった(以下、この抽出液を「サケ白子システインプロテアーゼ2」と称する)。
【0043】
実施例3
実施例2で得られたサケ白子システインプロテアーゼ2の0.5gをpH6.0の酢酸緩衝液にて平衡化したセップパックバックAccell QMA 2g(日本ウオーターズ・リミテッド社製)に供し、同緩衝液で塩化ナトリウム濃度が0〜0.6Mまでのグラジエントを行い、本発明の酵素活性をもつ画分5mlを得た。さらに同操作を10回繰り返し50mlの同画分を得た。この分画物の活性は85nkat/ml;31nkat/mgであった(以下、この抽出液を「サケ白子システインプロテアーゼ3」と称する)。
【0044】
実施例4
実施例3で得られたサケ白子システインプロテアーゼ3の50mlを限外濾過膜(ウルトラフリー15:日本ミリポア社製)にて10倍に濃縮したものを0.5mlづつ、pH6.0の酢酸緩衝液(含50mM塩化ナトリウム)にて平衡化した直径1.0cm×30cmのSuperose 12(ファルマシアバイテク社製)に供し、同緩衝液にて溶出を行い、本発明の酵素活性をもつ画分7mlを得た。この分画物の活性は50nkat/ml;191nkat/mgであった(以下、この抽出液を「サケ白子システインプロテアーゼ4」と称する)。
実施例5
実施例4で得られたサケ白子システインプロテアーゼ4を限外濾過膜(ウルトラフリーCLプラス:日本ミリポア社製)にて5倍に濃縮したものを、pH5.0の酢酸緩衝液にて平衡化した直径1.0cm×10cmのArginine Superose 4B(ファルマシアバイテク社製)に供し、同緩衝液で塩化ナトリウム濃度0〜0.6Mまでグラジエントを行い、本酵素活性をもつ画分5mlを得た。この分画物の活性は、47nkat/ml;555nkat/mgであった(以下、この抽出液を「サケ白子システインプロテアーゼ5」と称する)。
【0045】
実施例6
実施例5で得られたサケ白子システインプロテアーゼ5の5mlを限外濾過膜(ウルトラフリーCLプラス:日本ミリポア社製)にて10倍に濃縮したものを、pH6.0の酢酸緩衝液(含50mM塩化ナトリウム)にて平衡化した直径0.8cm×30cmのShodex PROTEIN KW−803(昭和電工社製)に供し、同緩衝液にて溶出を行い、本発明の酵素活性をもつ画分3mlを得た。この分画物の活性は、23nkat/ml;1151nkat/mgであった(以下、この抽出液を「サケ白子システインプロテアーゼ6」と称する)。このサケ白子システインプロテアーゼ6の酵素的性質は前記のとおりである。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、他のプロテアーゼでは分解しにくかった塩基性タン白質をよく分解し、安全性の要求される食品や医薬品分野等で有用な生理活性ペプチドの製造等に応用可能なエンド型システインプロテアーゼを、安価に入手できる鮭、鱒、鰊、鱈、鮪、鰹等の魚類の白子から得ることができる。また、本発明の酵素はアンギオテンシン変換酵素の作用も持つため、今後の医薬品への応用が考えられる重要な酵素である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素の至適pH範囲の測定結果を示すグラフである。
【図2】本発明の酵素の安定pH範囲の測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明の酵素の至適温度範囲の測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明の酵素の安定温度範囲の測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の酵素のポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動(Native-PAGE)図である。
【図6】本発明の酵素のSDS−ポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動(SDS−PAGE)図である。
【図7】本発明の酵素の等電点を求めた等電点電気泳動の測定結果である。

Claims (2)

  1. ペプチド及びタンパク質の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列を認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有し、分子量が約67,000(ゲル濾過法による)であり、等電点が3.9であることを特徴とするエンド型システインプロテアーゼ。
  2. 次の理化学的性質
    (1)酵素作用
    弱酸性下で塩基性タンパク質もしくはペプチドをよく加水分解する
    (2)基質特異性
    ペプチド及びタンパク質の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列を認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有する(3)至適pH:pH6.0(基質としてZ−Arg−Arg−MCAを用いて測定、ここでZはベンジルオキシカルボニル基であり、MCAは4−メチルクマリル−4−アミド基である)
    (4)安定pH範囲:pH3〜6.5のpH域で安定である(基質としてZ−Arg−Arg−MCAを用いて測定)。
    (5)作用適温の範囲:30〜40℃
    (6)pH8以上において30分または70℃、30分で完全に失活する。
    (7)阻害、活性化及び安定化
    ジチオトレイトール、2−メルカプトエタノール、システイン塩酸塩により活性化され、N−[N−(L−3−トランス−カルボキシラン−2−カルボニル)−L−ロイシル]−アグマチン、モノヨード酢酸、Nα−トシル−L−リジル−クロロメチルケトン、ロイペプチンにより完全に阻害される
    (8)分子量:約67,000(ゲル濾過法による)、約22,300(SDS−PAGEによる)
    天然では分子量22,300のサブユニットが3個結合し、構成されている
    (9)等電点:3.9(等電点電気泳動による)
    を有する請求項1記載のエンド型システインプロテアーゼ。
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