JP3751144B2 - 新規システインプロテアーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性タン白質、例えば、プロタミン、ヒストン等を選択的に分解する基質特異性を有し、アルギニンに富んだ低分子のペプチドを容易に製造することができ、例えば、生理活性ペプチドとしての利用の如き医薬品分野、飲食品分野、その他のプロテアーゼ利用分野において有用なシステインプロテアーゼ及びその製法に関し、更に詳しくは、マダラ(鱈科)白子由来の新規なシステインプロテアーゼ及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から市販されているプロテアーゼは、例えば、プロタミン等の塩基性タン白質を分解することは困難であり、塩基性タン白質の分解方法としては塩酸を添加して加水分解することが行われている。しかし、この塩酸分解では、最終生産物に塩素化合物が混入する危険性があるうえ、アミノ酸単位にまで分解されてしまうため、分解産物は生理活性を失うという欠点がある。
【0003】
一方、塩基性タン白質によく作用するプロテアーゼとしては、例えば、細菌から単離されたサーモリシン(thermolysin)(EC 3.4.24.27)[Adv.Enzymol.41,179(1974)]、カビからのペニシロリシン(penicillolysin)[Agric.Biol.Chem.55,2191(1991)]が知られているが、これらの酵素はいずれも金属酵素であり、本発明の酵素とは本質的に異なる。また、魚の筋肉中より単離されたカテプシンB,L,H[Comp.Biochem.Physiol.96B,No.2,247(1990)及びComp.Biochem.Physiol.96B,No.4,733(1990)]が知られているが、本発明の酵素とは基質特異性が異なり、収量が少なく、工業的な実用性は乏しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した如き従来の技術におけるプロテアーゼを用いた方法では、塩基性タン白質を効率よく分解して、飲食品、医薬品等に有用な生理活性に優れた低分子のペプチドを得ることは困難である。そこで、安全性の要求される食品工業及び医薬品分野で利用できる生理活性ペプチドを安全かつ効率よく得ることができる、新規な塩基性タン白質分解酵素の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、食品とされる天然素材からの塩基性タン白質をよく分解する酵素のスクリーニングにつき鋭意研究を重ねた結果、鮭、鱒、鰊、鱈、鮪、鰹等の魚類の白子に強い分解活性があることを見出し、それから塩基性タン白質に作用する酵素を単離、精製し、その酵素的性質を解明し[Comp.Biochem.Physiol.117B,No.3,445(1997)及び、Biosci.Biotech.Biochem.,61,1405(1997)]、先に、鮭の白子から得られた新規なシステインプロテアーゼに関する特許出願を行なった(特願平8−255281号)。引き続きマダラの白子について研究を重ねた結果、今回、鮭の白子から得られた新規なシステインプロテアーゼと作用は類似するが、分子量、至適温度等が異なる明らかに別異で新規なシステインプロテアーゼを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明により得られる酵素は、新規なエンド型システインプロテアーゼであり、塩基性タン白質であるプロタミン、ヒストン等を選択的に分解する基質特性を有する。
【0007】
しかして、該酵素を用いることにより、プロタミン等の塩基性タン白質からアルギニンに富んだ生理活性ペプチドを容易に得ることができるほか、該酵素は、アンギオテンシンIのC末端His-Leuを切断し、アンギオテンシンIIに変換するアンギオテンシン変換酵素の作用も持つため、医薬品への応用が期待される。しかも、原料であるマダラの白子は、食用とされているもので安全であり、また、安価に入手できるため製造コストも低く、食品工業への応用に最適である。
【0008】
以下、本発明の酵素の製法、理化学的性質等について更に詳しく説明する。
【0009】
本発明により提供されるエンド型システインプロテアーゼはマダラの白子から採取することができ、生鮮品,冷凍品及び塩蔵品のいずれも利用することができる。
【0010】
これらマダラの白子からエンド型システインプロテアーゼを分離採取する方法としては,例えば,白子を磨砕処理した後,磨砕物1重量部に対して、通常約1〜約10重量部、好ましくは約3〜約8重量部の水もしくはpH約5〜7の緩衝液を加えて撹拌抽出し,好ましくは抽出液を再度pH約5〜6に調整した後、得られる抽出水層部を遠心分離し、脂肪を分離除去し,更にこの水層部をケイソウ土,セルロースなどの濾過助剤を用いて濾過し,清澄な粗酵素液を得る方法を例示することができる。
【0011】
得られる粗酵素液は,場合により、凍結濃縮,減圧濃縮,限外濾過などの適当な濃縮手段を用いて、該酵素の活性低下をきたさない温度,例えば,約40℃以下の温度で濃縮することにより粗酵素濃縮物とすることができる。
【0012】
さらに、該濃縮液は、硫酸アンモニウム塩析、陰イオン交換樹脂、例えばResource Q、Q Sepharose(ファルマシアバイテク社製)など、あるいはアフィニテイカラム、例えば、Arginine Sepharose 4B(ファルマシアバイテク社製)などで分離・溶出し、この溶出液について、例えば、Superose 12、Superdex 75(ファルマシアバイテク社製)などのゲル濾過カラムを用いて活性画分を分取し、単一成分として分離精製することができる。
【0013】
本発明のマダラ白子由来の新規なシステインプロテアーゼは、先に出願した鮭白子由来の新規なシステインプロテアーゼと同様、ペプチド及びタンパク質の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列を認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有するエンド型システインプロテアーゼであり、これまで知られていた塩基性タン白質に作用するプロテアーゼとは全く異なる新規な酵素である。
【0014】
以下、本発明のシステインプロテアーゼの酵素学的性質について説明する。
【0015】
(1) 酵素作用:
本酵素はpH3乃至6.0の弱酸性下でペプチド及びタンパク質の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列を認識して、該配列のC末端側を切断する。
【0016】
(2)基質特異性
本発明のシステインプロテアーゼの低分子合成基質に対する基質特異性を下記表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003751144
【0018】
*MCAは4−メチルクマリル−7−アミド基、Bzはベンゾイル基、Zはベンジルオキシカルボニル基、Sucはサクシニル基、そしてBocはt−ブチルオキシカルボニル基をそれぞれ表わす。
【0019】
**合成基質ベンジルオキシカルボニル−アルギニル−アルギニル−4−メチルクマ リル−7−アミド(以下、Z-Arg-Arg-MCAと表記することがある)に対する活性を100%とした場合の相対活性(%)。pH6及び30℃にて測定。
【0020】
酵素反応には、活性化剤であるシステイン塩酸塩(2mM)を添加した。
【0021】
表1の結果から明らかな如く、本発明の酵素は、カテプシンB、Lがよく分解するArg-MCAやBz-Arg-MCAをほとんど分解しないが、Lys-Arg及びArg-Arg配列をよく認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有する。
【0022】
また、本発明の酵素のように、Lys-Arg及びArg-Arg配列を認識し切断する特異性は、生体内のプロセシングに関与する酵素として認められているが、今まで見出されてきた酵素はすべて活性中心がセリンであるプロテアーゼ群である。この点からも本発明の酵素が生体内プロセシングの作用をもつ新規なシステインプロテアーゼであると言える。
【0023】
(3) 作用至適pH及び安定pH範囲
本発明のシステインプロテアーゼを基質Z-Arg-Arg-MCAに作用させた場合のpHと酵素活性との関係を図1に示す。図1から明らかなように、本発明のシステインプロテアーゼの至適pHは6である。また、各種pHの酢酸緩衝液(30℃)中での本発明の酵素の残存活性をプロットした図2から明らかなように、本発明の酵素の安定pH範囲はpH約3〜pH約6の範囲である。
【0024】
(4)作用至適温度及び熱安定性
本酵素の作用至適温度及び熱安定性について測定した結果を図3及び図4に示す。反応はZ-Arg-Arg-MCAを基質とし、pH6の酢酸緩衝液(2mM システイン塩酸塩)中にて行った。至適温度は20〜80℃における5分間の活性を測定することにより、また、熱安定性は上記の緩衝液にて希釈した酵素液をそれぞれの温度に10分及び30分インキュベートした後、30℃にて活性を測定することにより決定した。
【0025】
その結果、本酵素の作用適温の範囲は40℃〜60℃であり、至適温度は60℃であり、30℃以下あるいは70℃以上の温度においてその活性は50%以下であった。
【0026】
(5) pH、温度などによる失活の条件
pH8以上において30分、または50℃、30分間の加熱でほぼ完全に失活する。
【0027】
(6) 活性化剤及び阻害剤に対する影響
本発明の酵素を0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)中で各種活性化剤及び阻害剤とともに30℃で30分間前インキュベートしたものを用いて、合成基質Z-Arg-Arg-MCAに作用させたときの残存活性の変化を調べた。その結果を下記表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003751144
【0029】
*コントロールは活性化剤、阻害剤を添加しないときの酵素活性で、表中の活性はこのコントロールを100としたときの相対活性で示す。
【0030】
**各略記号の意味は次ぎのとおりである。
【0031】
Figure 0003751144
ZPCK:ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルクロロメタンこの結果より、本発明の酵素は、システイン塩酸塩、DTT及び2−メルカプトエタノールにより活性は著しく増加することがわかる。このことから、本発明の酵素の活性中心には−SH基が関与していることが考えられる。また、E−64、N−エチルマレイミド、PCMB、ヨード酢酸アミド、TLCK、TPCK、ZPCK、ロイペプチンにより完全に阻害されることから、本発明の酵素の活性中心はシステイン残基であると判断される。また、金属プロテアーゼの特異的阻害剤であるオルトーフェナンスロリンにより完全に阻害されることから、鮭白子由来のシステインプロテアーゼ(以下、ミルトパインと略称することがある)と類似の活性中心構造をもつことが予想される。
【0032】
(7)力価測定法及び力価表示
力価の測定は,基質ペプチジル−4−メチル−クマリル−7−アミド(peptidyl-MCA)の加水分解により生成する蛍光性の7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)の量を蛍光光度計にて定量することによって行った。すなわち、酵素液20μlと、2mMのシステイン塩酸塩を含む0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)を混合し、30℃,20分間予熱の後,これにジメチルスルホオキシド(DMSO)に溶解した10mMのZ-Arg-Arg-MCAもしくはBoc-Leu-Arg-Arg-MCAもしくはBoc-Leu-Lys-Arg-MCAもしくはBoc-Gln-Arg-Arg-MCAを5μl加え、すばやく混合し一定時間の蛍光の増加を測定する方法にて行った。また、本酵素のカイネティクパラメーターKm及びVmaxは、Hanes−Woolf Plotを用いて測定した。
【0033】
蛍光は、F−2000型蛍光光度計(日立製)により、360nmの励起光を用いて、440nmで測定する。この際、反応液の液温が30℃になるようにセル槽の温度をコントロールする。
【0034】
酵素単位は,上記の条件で1秒間に1モルの7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)を生成することのできる酵素量を1酵素単位:1カタール(1kat)として算定し,酵素活性(kat/ml)として表わす。また、Hanes−Woolf Plotをとることにより、Km:Michaelis定数及びVmax(最大速度)を求める。さらに、E−64を用いた活性部位滴定法にて測定した本酵素の酵素濃度(0.127μM)と酵素の反応速度との関係よりκcat(モル速度)を求める。本発明の酵素のKm値、κcat、及びκcat/Kmを下記表3に示す。
【0035】
【表3】
Figure 0003751144
【0036】
(8) 精製方法
本発明のシステインプロテアーゼは、前記した如くマダラの白子を脱脂後、水または緩衝液を用いて抽出された粗酵素液を限外濾過等により濃縮し、この濃縮液を前記したような硫酸アンモニウムによる塩析、陰イオン交換樹脂やゲル濾過カラムを用いることで活性画分を単一成分に分離精製する。例えば、粗酵素濃縮物に20%飽和量の硫酸アンモニウムを添加溶解後遠心分離し、その上澄液にさらに70%飽和量の硫酸アンモニウムを添加溶解後遠心分離し沈殿を得る。この沈殿を透析後、陰イオン交換樹脂であるQ Sepharose(ファルマシアバイテク社製)を用いて活性画分を分画する。次に、この活性画分をSuperose12 10/30(ファルマシアバイテク社製)を用いてゲル濾過し、活性画分を分離した後、その活性画分をArginine Sepharose4B(ファルマシアバイテク社製)を用いてアフィニティークロマトグラフィーし、活性画分を分画する。更に、その活性画分をResource Q(ファルマシアバイテク社製)を用いて単一成分に精製する。
【0037】
このようにして分画精製したシステインプロテアーゼ活性を示す画分をNative−PAGEにて電気泳動した結果を図5に示す。図5からも明らかな如く、本酵素画分は未変性の状態では均一のタン白質であることが確認される。精製方法の具体例は後記実施例1〜5に示すとおりである。
【0038】
(9)分子量
本発明の酵素の未変性状態での分子量は、Superose12によるゲル濾過での保持時間より推定を行ったところ、約54,000であった。また、変性後の相対分子量を非連続のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動法(SDS−PAGE)(Nature 227,680,1970)により求めたところ、図6に示した如く約72,000であった。
【0039】
(10)等電点
等電点電気泳動により等電点を測定したところ本発明の酵素の等電点は図7で明らかな如く、5.22であった。
【0040】
以上の如く、本発明の酵素は作用至適pHが6、安定pH範囲がpH3〜6であり、カテプシンBにやや近い性質も示すが、Bz-Arg-MCAを分解しない点や、Z-Phe-Arg-MCAよりもZ-Arg-Arg-MCAをはるかによく分解する点などカテプシンBとは明確に異なる特異性を有し、前記したように、鮭白子のミルトパインと類似の性質を示す。さらに、カテプシンBの分子量(ゲル濾過)は25,000(ヒト由来)あるいは29,000(サケ筋肉由来)であり、本発明の酵素の72,000よりかなり小さく、鮭白子のミルトパインの分子量(22,300)とも大きく異なることが確認された。
【0041】
以上の理由により、本発明の酵素は従来既知のプロテアーゼとは別異の新規なシステインプロテアーゼであると考えられる。
【0042】
以下、実施例により本発明について更に具体的に説明する。
【0043】
【実施例】
実施例1
25℃の軟水4.5kgに生のマダラの白子(北海道産)1.5kgを添加し、pHを6.0に調整後ミキサー等でホモジナイズした。この液を遠心分離(5000G×20分間)し、上層の水溶液5.35kgを得た。更に、この水溶液をケイソウ土濾過し、抽出液5.30kgを得た。この抽出液のpH6.0におけるカルボベンゾキシ−アルギニル−アルギニル−4−メチルクマリル−7−アミド(Z−Arg−Arg−MCA)を基質とする酵素活性を測定した結果、65nkat/mlであった(以下、この抽出液を「タラ白子システインプロテアーゼ1」と称する)。
【0044】
実施例2
実施例1で得られたタラ白子システインプロテアーゼ1の5.30kgに硫酸アンモニウム604gを徐々に加え、かき混ぜて溶解させた後、4℃で15時間静置した。次いで、遠心分離により沈殿を除き分離液5.74kgを得た。この分離液に硫酸アンモニウム1870gを加えて溶解し、4℃で15時間静置後遠心分離を行い、析出沈殿物12.3gを得た。この沈殿物をpH6.0の酢酸緩衝液40mlに溶解し、得られた溶液を透析チューブ(Union Carbide corp.社製)を用いて同じ緩衝液で透析処理して脱塩を行った。その結果、酵素液62.0gを得た。この酵素液のpH6.0におけるZ−Arg−Arg−MCAを基質とする酵素活性を測定した結果、5.32μkat/mlであった(以下、この抽出液を「タラ白子システインプロテアーゼ2」と称する)。
【0045】
実施例3
実施例2で得られたタラ白子システインプロテアーゼ2の1.0gをpH6.0の酢酸緩衝液にて平衡化した直径1.6cm×10cmのQ Sepharose(ファルマシアバイテク社製)に供し、同緩衝液で塩化ナトリウム濃度が0〜1.0Mまでのグラジエント溶出を行い、本発明の酵素活性をもつ画分8mlを得た。この分画物の活性は708nkat/ml;1395kat/kgであった。(以下、この抽出液を「タラ白子システインプロテアーゼ3」と称する)。
【0046】
実施例4
実施例3で得られたタラ白子システインプロテアーゼ3の50mlを限外濾過膜(ウルトラフリー15:日本ミリポア社製)にて10倍に濃縮したものを0.5mlづつ、pH6.0の酢酸緩衝液(含200mM塩化ナトリウム)にて平衡化した直径1.0cm×30cmのSuperose 12(ファルマシアバイテク社製)に供し、同緩衝液にて溶出を行い、本発明の酵素活性をもつ画分7mlを得た。この分画物の活性は684nkat/ml;3750kat/kgであった(以下、この抽出液を「タラ白子システインプロテアーゼ4」と称する)。
【0047】
実施例5
実施例4で得られたタラ白子システインプロテアーゼ4を限外濾過膜(ウルトラフリーCLプラス:日本ミリポア社製)にて5倍に濃縮したものを、pH6.0の酢酸緩衝液にて平衡化した直径0.64cm×3cmのResource Q(ファルマシアバイテク社製)に供し、同緩衝液で塩化ナトリウム濃度0〜1.0Mまでグラジエントを行い、本酵素活性をもつ画分5mlを得た。この分画物の活性は、392nkat/ml;2100kat/kgであった(以下、この抽出液を「タラ白子システインプロテアーゼ5」と称する)。
【0048】
このタラ白子システインプロテアーゼ5の酵素的性質は前記のとおりである。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、他のプロテアーゼでは分解しにくかった塩基性タン白質をよく分解し、安全性の要求される食品や医薬品分野等で有用な生理活性ペプチドの製造等に応用可能なエンド型システインプロテアーゼを、安価に入手できる魚類のマダラの白子から得ることができる。また、本発明の酵素はプレホルモン変換酵素の作用も持つため、今後の医薬品への応用が考えられる重要な酵素である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素の至適pH範囲の測定結果を示すグラフである。
【図2】本発明の酵素の安定pH範囲の測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明の酵素の至適温度範囲の測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明の酵素の安定温度範囲の測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の酵素のポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動(Native−PAGE)図である。
【図6】本発明の酵素のSDS−ポリアクリルアミドスラブゲル電気泳動(SDS−PAGE)図である。
【図7】本発明の酵素の等電点を求めた等電点電気泳動の測定結果である。

Claims (2)

  1. ペプチド及びタンパク質中の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列をよく認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有し、分子量が約72,000(SDS−PAGEによる)であり、等電点が5.22であることを特徴とするエンド型システインプロテアーゼ。
  2. 次の理化学的性質
    (1)酵素作用
    弱酸性下で特に塩基性タンパク質もしくはペプチドをよく加水分解する
    (2)基質特異性
    ペプチド及びタンパク質の一次構造におけるLys−Arg及びArg−Arg配列をよく認識して、該配列のC末端側を切断する基質特異性を有する
    (3)至適pH:pH6(基質としてZ−Arg−Arg−MCAを用いて測定、ここでZはベンジルオキシカルボニル基であり、MCAは4−メチルクマリル−7−アミド基である)
    (4)安定pH範囲:pH3〜6のpH域で安定である(基質としてZ−Arg−Arg−MCAを用いて測定)
    (5)作用適温の範囲:40〜60℃
    (6)pH8以上において30分または50℃、30分でほぼ完全に失活する
    (7)阻害、活性化及び安定化
    ジチオトレイトール、2−メルカプトエタノール、システイン塩酸塩により活性化され、N−[N−(L−3−トランス−カルボキシラン−2−カルボニル)−L−ロイシル]−アグマチン、N−エチルマレイミド、パラクロローマーキュリー安息香酸、ヨード酢酸アミド、オルトーフェナンスロリン、Nα−トシル−L−リジル−クロロメチルケトン、N−トシル−フェニルアラニルクロロメタン、ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニルクロロメタン、ロイペプチンにより完全に阻害される
    (8)分子量:約72,000(SDS−PAGEによる)、約54,000(ゲル濾過による)
    (9)等電点:5.2(等電点電気泳動により)
    を有する請求項1記載のエンド型システインプロテアーゼ。
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