JP4668245B2 - 偏心管 - Google Patents

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本発明は、偏心管に関する。
従来より、湯水混合栓を給湯配管および給水配管に接続する部分に偏心管が用いられている。この偏心管は、一端に湯水混合栓に対する接続部、他端に配管に対する接続部を形成し、両接続部の中心がずれるように配置されており、この偏心管を用いることにより、壁面に形成された給湯配管および給水配管の間隔が湯水混合栓側の湯流入口および水流入口の間隔と異なる場合にも、これを接続可能としている。
また、特許3280584号公報に示されるように、前記偏心管を熱伝導性が小さい合成樹脂製のカバーによって被覆することにより、見栄えを良くすると共に、給湯側の偏心管によるやけどを防止することが行われている。
ところが、近年は湯水混合栓をユニットバスのような通常の壁面とは異なる部分に取り付けることが行われる。このため、給湯配管や給水配管の取付け深さ位置がユニットバスの壁の厚さ等の種々の原因で異なる場合があり、これによって前記カバーと壁面との間に隙間が生じて見栄えが悪くなる。そこで、現状では偏心管と壁面との間にカバーとは別途に、カサ状のテーパ面を有する座金を取付けることが行われている。
本発明の目的は、簡潔な構成で見栄えが良く、かつ給湯時のやけどを効果的に予防できる偏心管を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の偏心管は、一端に湯水混合栓に対する接続部、他端に配管に対する接続部を形成し、両接続部の中心がずれるように配置されてなる偏心管本体と、
分離可能である2つの半割り体からなり、偏心管本体の外側面に沿う形状のガイド溝を有することで、偏心管本体に対して摺動自在に被覆し、かつ壁面との間の隙間を無くすことができる樹脂製カバーと、
この樹脂製カバーに設けられ、前記2つの半割り体を組み付けたときに係合する係合片とを有し、
さらに、
前記係合片は湯水混合栓側と配管側に設けられており、
湯水混合栓側の前記係合片が、一方の半割り体に形成された突起と、この突起が嵌合するよう他方の半割り体に形成された凹入部とを含むとともに、
配管側の前記係合片が、一方の半割り体に形成された段部と、この段部に係合するよう他方の半割り体に形成されたフックとを含むことを特徴としている。
上記構成の偏心管を用いることにより、偏心管本体を用いて配管の間隔が異なっていても湯水混合栓を取付け可能であると共に、壁面に対する配管の深さ位置が異なる場合であっても、カバーを適宜摺動させて、壁面との間に隙間を無くすことができる。加えて、カバーは樹脂製であるから熱伝導率が低く、カバーの表面は高温になることがない。したがって、使用者は給湯側のカバーに触れることがあってもやけどを負うことがない。
また、カバーは2つの半割り体に分離可能であるから、偏心管本体のほゞ全体を覆うことができ、カバー取付け用の切り欠きが偏心管本体の一面を大きく露出させることがないと共に、取り付け作業が極めて容易となる。つまり、偏心管本体の配管を連結した後に、簡単な作業でカバーを取り付けることで偏心管の見栄えが良くなると共に、やけどの発生をより確実に予防できる。
加えて、前記2つの半割り体の組み付け状態は前記係合片によって確実に保持できるので、一度決めたカバー体の位置は容易にずれることがなく、施工後も長期に渡って見栄えの良い状態を保つことがてきる。さらに、カバーは偏心管本体の外側面に沿う形状のガイド溝を有するので、前記摺動を安定して行うことができると共に、施工後の安定性や堅牢性を増すことができる。
前記偏心管本体が、前記配管に対する接続部に連通する第1流路と、前記湯水混合栓に対する接続部に連通する第2流路と、偏心管本体の側面方向から形成された両流路間の連通流路と、この連通流路内に形成された弁座と、この弁座に当接するように連通流路内において螺合する流量調整弁と、同連通流路内において螺合するストレーナとを有し、偏心管本体の側面に配置された連通流路の開放端部にほゞ面一に設けた一つの調整部から前記流量調整弁を用いた流量調整とストレーナの交換を可能とすると共に、前記カバーが前記連通流路の開放端部のみを外部に露出させるための開口を有する場合には、カバーを取り付けたままの状態でストレーナの交換や流量調整を容易に行なうことができると共に、これによって露出する偏心管本体の部分を必要最小限に抑えることができる。
また、カバーから露出させる部分は調整部を形成した連通流路の開放端部のみの必要最小部分であり、調整部は連通流路に埋設されることにより、その開放端部にほゞ面一に位置する流量調整弁と、ストレーナの端部によって形成されたものであるから、使用者がこの部分に容易に接触することがなく、それだけやけどの発生を防止できる。
以上説明したように、本発明の偏心管は、ユニットバスなどの壁面にも容易に取り付けることができると共に、見栄えが良く、しかも、やけど防止効果を有するものである。加えて、その構成が簡単であるから製造コストを削減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、それによって本発明は限定を受けるものではない。
図1において、Aは湯水混合栓であって、湯流入口B、水流入口Cから流入する湯,水を適宜混合してシャワー・止水・吐水の切換えが可能な流量調整バルブDおよび湯温調整ハンドルEの操作によって温水を適当な割合で混合し、所望の温水をシャワーあるいは吐出口(図示せず)から吐水させるようにしている。
図1において、1aは給湯側偏心管、1bは給水側偏心管であり、両者1a,1bは同一構造を有している。そして給湯側偏心管1aは、給湯配管(図示せず)および湯水混合栓Aの湯流入口B間に設置されて湯流路を形成する一方、給水側偏心管1bは給水配管(図示せず)および湯水混合栓Aの水流入口C間に設置されて水流路を形成する。なお、以下の説明において、給湯側偏心管1aと給水側偏心管1bを区別しない場合には単に偏心管1という。
図2は偏心管1の構成を拡大して示す図である。
図2において、2は一端に湯水混合栓に対する接続部3、他端に配管に対する接続部4を形成し、両接続部3,4の中心が例えば5mm程度ずれるように配置されてなる偏心管本体であって、5は2つの半割り体6,7に分離可能であると共に、偏心管本体2の外側面2aに沿う形状のガイド溝7aを有することで、偏心管本体2に対して摺動自在に被覆する合成樹脂からなるカバーである。
また、8はこのカバー5と偏心管本体2の間に位置して、前記半割り体6,7を組み付けたときに弾性変形することで、偏心管本体2に対するカバー5の摺動位置を摩擦によって保持する軟質合成樹脂からなる位置保持部材の一例として、偏心管本体2の外周面の接続部3の近傍に、カバー2の摺動方向に等間隔に並べて形成された溝9に嵌合する複数のOリングである。
なお、本例ではOリング8および溝9の数を4つとして説明しているが、本発明はその数を限定するものではない。また、区別が必要なときは各Oリング8を8a〜8dの符号によって表す。
前記偏心管本体2は、その内部に接続部4に連通する第1流路10と、接続部3に連通する第2流路11と、両流路10,11間の連通流路12に弁座13とを形成し、かつ、偏心管本体2がこの弁座13に当接する流量調整弁14と、両流路10,11間の連通流路12に位置するストレーナ15とを組み付けてなり、偏心管本体2の側面に設けた一つの調整部16から前記流量調整弁14を用いた流量調整とストレーナ15の交換を可能とすると共に、前記カバー5がこの調整部16を外部に露出させるための開口6aを有する。また、前記接続部3には金属製の袋ナット17をフランジ部材18によって係合させる。
前記第1流路10は偏心管本体2の図示下方から斜め上方向にドリルなどの刃具を用いて掘削成形した流路10aおよび真上方向に掘削成形した流路10bとからなり、第2流路11は、図示上方から真下方向に掘削成形してなり、連通流路12は前記流路10aに直角方向に連通するように側面から斜め下方向に掘削成形した小径の流路12aと、第2流路11に連通するように側面から横方向に掘削成形した流路12bと、流路12bに連通すると共に流路12aと同軸方向に掘削成形した大径の流路12cと、この流路12cと同軸方向に掘削成形した更に大径の流路12dとからなる。
上述のように複数の流路10a,10b,11,12a〜12bを掘削成形することにより、複雑に入り組んだ各流路10〜12を形成し、流路12aと流路12cの間に形成される段部に流量調整弁14が当接する弁座13を形成し、流路12cと流路12dとの間に形成される段部にストレーナ15が当接させることができる。つまり、複雑に入り組んだ各部を比較的容易かつ正確に形成することができるので、製造コストを引き下げると共に質の良い偏心管本体2を形成することができる。
次いで、流路12c内に設けた雌ねじに対して前記流量調整弁14を螺合し、流路12d内に設けた雌ねじに対してストレーナ15を螺合することにより、流通流路12内に流量調整弁14とストレーナ15を同芯円状に埋設する。つまり、ストレーナ15と流量調整弁14を偏心管本体2の側面の同じ方向から取り付けているので、一つの調整部16から前記流量調整弁14を用いた流量調整とストレーナ15の交換を可能としている。また、この調整部16は開放端部12eにほゞ面一に形成する(むしろ、調整部16は開放端部12eから幾らか凹んだ状態で埋設させる)ことができる。
つまり、調整部16が開放端部12eから突出していないので、使用者は意識しないかぎり調整部16に接触することがなく、それだけやけどに対する安全性を高めることができる。加えて、連通流路12が形成された開放端部12がカバー5の開口6aから露出しているので、ストレーナ15の交換や流量調整弁14の調節などのメンテナンスを容易に行うことができる。なお、やけどに対する安全性をさらに高めるために開口6aに蓋を設けることや、カバー5に開口6aを無くして偏心管本体2の全体を覆うようにしてもよい。
なお、本例では偏心管本体2を金属によって形成しているので、堅牢性に優れているが、強度が十分であれば偏心管本体2を硬質の合成樹脂によって形成してもよい。この場合、接続部4の雄ねじ部4aを金属によって形成する。つまり、偏心管本体2の大部分が合成樹脂によって形成される場合には、流路10〜12を流通する熱湯からの熱が外部に漏出することを極力少なくすることができ、やけどの発生を防止できる。
図3,4は前記カバー5の構成を示す断面図および平面図であり、図5,6は2つの半割り体6,7を組み付ける方法を説明する図である。これらの図に示すように、前記半割り体6には適所に突起6bを形成し、これが半割り体7の凹入部7bに嵌合する。また、半割り体7には適所にフック7cを形成し、これが半割り体6の段部6cに合する。すなわち、半割り体6,7は組み付けたときにこの組み付け状態を強固に保持するように合するための係合片19,20を有する。
また、図5,6に示すように、前記2つの半割り体6,7の組み付けに際して、半割り体7の内側面におけるガイド溝7aが、偏心管本体2の側面2aに沿う形状に形成されている。したがって、偏心管本体2に対する半割り体7の摺動を安定して行うことができ、カバー5の組み付け操作が容易となる。
また、半割り体6,7の組み付けによって、図2に拡大して示すように、Oリング8が弾性変形し、このOリング8と半割り体6,7の縁部6d,7dとの間における大きな摩擦を生み出す。すなわち、Oリング8と縁部6d,7dとの間の摩擦によってカバー5の摺動位置を固定して、その位置決めを行うことができる。なお、図2の拡大図に示す例では、縁部6dがちょうどOリング8aの位置と重なるので、Oリング8は縁部6dに押されて弾性変形し、両者6d,8aの摩擦抵抗が大きくなり、その位置ズレを阻止することができる。
図7はカバー5の取付け例を示す図である。図7(A)は比較的厚い壁21に偏心管1を取り付けた場合、図7(B)は比較的薄い壁22に偏心管1を取り付けた場合を示している。
図7(A)に示す壁21はその厚みW1 が比較的厚いので、拡大図に示すように、半割り体6の縁部6aがOリング8a,8bの間に位置する状態で、カバー5の一端部5aは壁21にちょうど当接する。一方、図7(B)に示す壁22はその厚みW2 が比較的薄いので、拡大図に示すように、半割り体6の縁部6aがOリング8c,8dの間に位置する状態で、カバー5の一端部5aは壁22にちょうど当接する。
すなわち、壁21,22の厚さW1 ,W2 に関係なく、どんな厚さの壁21、22であってもカバー5を壁面に密着させることができるので、見栄えがよく、かつ、やけど防止の機能を持たせることができる。
そして、本例の場合、縁部6aの幅が2つのOリング8の間に位置するところで係合しているが、このときもOリング8が弾性変形することにより、偏心管本体2に対するカバー5の摺動位置は確実に保持することができる。すなわち、使用者がカバー5に触れることがあっても、カバー5の摺動位置が容易に動かないので、カバー5の一端部5aが壁21,22から離れて見栄えが悪くなることはない。
なお、本例では前記Oリング8a〜8dを設ける間隔が、縁部6aの厚さと同じとか、これよりも狭い間隔に設定してある。これによって、偏心管本体2に対するカバー5の摺動位置は無段階に設定可能であり、どの位置においてもほゞ同じ力で位置決めすることが可能である。しかしながら、ユニットバスに使用される壁21,22の厚さの規格に合わせたカバー5の取付け位置をほゞ固定するようにOリング8の取付け位置を設定してもよい。
さらに、本例は設けるOリング8の数を限定するものではない。すなわち、もっと多くのOリング8を並べて配置しても、溝9だけ多数形成してOリング8の数を1つにしても良い。また、Oリング8の変わりに、縁部6d,7dまたは偏心管本体2の側面に軟質合成樹脂からなる突起などの位置保持部材を形成してもよい。
何れにしても、軟質合成樹脂からなるOリング8(位置保持部材)は、半割り体6,7の組み付けによって弾性変形することで、大きな摩擦力を生み出すので、偏心管本体2に対するカバー5の位置決めを確実に行うことができる。そして、半割り体6,7の組み付け状態は係合片20(6c,7c),19(6b,7b)によって確実に保持できるので、一度決めたカバー5の位置は容易にずれることがない。
本発明の偏心管を用いた例の全体構成を示す図である。 前記偏心管の内部の構成を示す断面図である。 前記偏心管のカバーの構成を示す断面図である。 前記カバーの平面図である。 前記偏心管の分解斜視図である。 前記組み付け方法を説明する図である。 前記偏心管を壁に取り付けた状態を示す図である。
1 偏心管
2 偏心管本体
2a 偏心管本体の外側面
3 湯水混合栓に対する接続部
4 配管に対する接続部
5 樹脂製カバー
6,7 半割り体
6a 開口
6b 突起
6c 段部
7a ガイド溝
7b 凹入部
7c フック
8 Oリン
9 溝
10 第1流路
11 第2流路
12 連通流路
12e 連通流路の開放端部
13 弁座
14 流量調整弁
15 ストレーナ
16 調整部
19,20 係合片
A 湯水混合栓

Claims (2)

  1. 一端に湯水混合栓に対する接続部、他端に配管に対する接続部を形成し、両接続部の中心がずれるように配置されてなる偏心管本体と、
    分離可能である2つの半割り体からなり、偏心管本体の外側面に沿う形状のガイド溝を有することで、偏心管本体に対して摺動自在に被覆し、かつ壁面との間の隙間を無くすことができる樹脂製カバーと、
    この樹脂製カバーに設けられ、前記2つの半割り体を組み付けたときに係合する係合片とを有し、
    さらに、
    前記係合片は湯水混合栓側と配管側に設けられており、
    湯水混合栓側の前記係合片が、一方の半割り体に形成された突起と、この突起が嵌合するよう他方の半割り体に形成された凹入部とを含むとともに、
    配管側の前記係合片が、一方の半割り体に形成された段部と、この段部に係合するよう他方の半割り体に形成されたフックとを含むことを特徴とする偏心管。
  2. 前記偏心管本体が、
    前記配管に対する接続部に連通する第1流路と、
    前記湯水混合栓に対する接続部に連通する第2流路と、
    偏心管本体の側面方向から形成された両流路間の連通流路と、
    この連通流路内に形成された弁座と、
    この弁座に当接するように連通流路内において螺合する流量調整弁と、
    同連通流路内において螺合するストレーナとを有し、
    偏心管本体の側面に配置された連通流路の開放端部にほゞ面一に設けた一つの調整部から前記流量調整弁を用いた流量調整とストレーナの交換を可能とすると共に、
    前記カバーが前記連通流路の開放端部のみを外部に露出させるための開口を有する請求項1に記載の偏心管。
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