JP4668177B2 - コランダム結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、例えばレーザー発振材料、高硬度軸受材料、物性測定用標準材料、宝飾品および高付加価値日用品等に用いることが可能なコランダム結晶の製造方法に関するものである。
近年、天然に存在するような、結晶独自の立体形状を有する単結晶が、その未知なる特性から各分野で求められている。
コランダム結晶の製造方法としては、(1)酸素および水素炎中にコランダム結晶の原料粉末を落下させながら結晶粒を成長させる火炎溶融法(ベルヌーイ法)、(2)コランダム結晶の原料粉末を適当なフラックスに混合して坩堝で溶融し、溶液を徐冷しながら結晶を析出・成長させる、または溶液を坩堝の中で温度勾配を付けながら結晶を析出・成長させる、あるいはフラックスを蒸発させながら結晶を析出・成長させるフラックス法、(3)コランダム結晶の原料粉末を坩堝で溶融し、融液から結晶を引き上げるチョクラルスキー法、(4)コランダム結晶の原料粉末を成形した後、水素ガス雰囲気中、高温で長時間加熱して焼結する方法等が挙げられる。
上記(1)の火炎溶融法では、結晶の成長速度が速いため、高品質な結晶を得ることは困難であった。また、この方法では棒状の結晶が得られるため、実際にレーザー発振材料等に使用する際には、得られた棒状の結晶を所望の形状となるように切削する必要があり、さらにコランダム結晶は硬度が高いことからコストがかかるという問題があった。さらにまた、この方法により得られるコランダム結晶は不純物を含まないのに対し、天然のコランダム結晶は不純物を含むものであり、容易に判別することができるため、宝飾品としての価値が非常に低いという欠点もあった。
また、上記(3)のチョクラルスキー法は、純度の高い結晶を製造することが可能であるため、レーザー発振材料等に好適に用いることができるが、この方法では棒状の結晶が得られるため、上述したように実用化する際には、棒状の結晶を所望の形状となるように切削する必要があり、さらにコランダム結晶は硬度が高いことからコストがかかるという問題があった。さらにまた、この方法により得られるコランダム結晶は純度が高いために不純物を含まず、天然のコランダム結晶と大きく異なることから、宝飾品としての価値が非常に低いという欠点もあった。チョクラルスキー法は例えば特許文献1または特許文献2に開示されている。
さらに、上記(4)の成形後焼結する方法では、高温で長時間加熱しなければならず、膨大なエネルギーを必要とするため、コストがかかるという問題があった。焼結する方法は例えば特許文献3に開示されている。
一方、上記(2)のフラックス法では、フラックスとして酸化リチウム−酸化(フッ化)鉛、フッ化アルミニウム・ナトリウム、酸化リチウム−酸化タングステン−酸化(フッ化)鉛、酸化ビスマス−酸化ランタン−酸化(フッ化)鉛等を用いて、溶液を徐冷しながら結晶を析出・成長させることにより、板状の結晶が得られることが知られている。しかしながら、薄い板状の結晶しか得ることができず、実用化する際にコストがかかるという問題があった。フラックス法は例えば非特許文献1または非特許文献2に開示されている。
また、コランダム結晶の中でも、クロムが添加された濃赤色のコランダム結晶は一般にルビーと呼ばれるが、天然ルビーの産出量は比較的少ないことから、天然ルビーに近いコランダム結晶を安価に製造する方法が求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低コストでの実用化が可能な大型のコランダム結晶を製造することができるコランダム結晶の製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、原料およびフラックスを含有する第1試料を加熱し、上記フラックスを蒸発させて、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を析出および成長させる加熱・蒸発工程と、上記加熱・蒸発工程後に残存した試料から上記コランダム結晶を分離する分離工程とを有するコランダム結晶の製造方法であって、
上記加熱・蒸発工程は、加熱した上記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むことを特徴とするコランダム結晶の製造方法を提供する。
上記加熱・蒸発工程は、加熱した上記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むことを特徴とするコランダム結晶の製造方法を提供する。
本発明によれば、加熱・蒸発工程が試料供給工程を含むことから、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給しながら連続的にコランダム結晶を成長させることができるので、大型の結晶を製造することが可能である。また、フラックス蒸発法を用いることにより、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を製造することが可能であるため、レーザー発振材料等に使用する際に切削等の加工を施すことがなく、または切削等の加工を施す場合であっても六角両錐形の形状を利用して加工することができ、低コストでの実用化が可能なコランダム結晶を製造することができる。さらに、フラックス蒸発法では、天然のコランダム結晶に近い結晶を製造することができ、宝飾品等としての価値が高いものとすることができるという利点を有する。
上記発明においては、上記試料供給工程は、上記加熱・蒸発工程にて上記フラックスが完全に蒸発する前に行われることが好ましい。例えばフラックスが完全に蒸発した後に第2試料を供給した場合、第2試料の供給前に形成されたコランダム結晶と、このコランダム結晶を核として第2試料の供給後に成長したコランダム結晶と間に境界面が生じる可能性があるが、フラックスが完全に蒸発する前に第2試料を供給すれば、上記の境界面の発生を防止することができるので、境界面のない均一なコランダム結晶を得ることができるからである。
また上記発明においては、上記試料供給工程では、上記第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、上記第2試料が供給されることが好ましい。原料の過飽和状態を維持したまま第2試料を供給すれば、上述した境界面の発生を防止することができ、また、効率よく短時間で大型のコランダム結晶を製造することができるからである。
さらに本発明においては、上記試料供給工程が、複数回または連続的に行われることが好ましい。これにより、小さな坩堝を用いて大きなコランダム結晶を製造することができるので、設備コストを削減することができるからである。また、大型のコランダム結晶を効率的に製造することができるからである。
また本発明においては、上記フラックスはモリブデン化合物を含有することが好ましい。さらに、上記モリブデン化合物は、酸化モリブデン、もしくは加熱により酸化モリブデンを生成する化合物であることが好ましい。フラックスとしてこのようなモリブデン化合物を用いることにより、板状結晶または針状結晶ではなく、六角両錐形の結晶を選択的に製造することができるからである。
上記発明においては、上記フラックスは蒸発抑制剤を含有していてもよい。これにより、フラックスの蒸発速度が抑えられ、多核発生および結晶成長速度を抑制できるため、高品質なコランダム結晶を製造することが可能となるからである。
また上記発明においては、上記蒸発抑制剤はアルカリ金属化合物であることが好ましい。さらに、上記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属酸化物、あるいは加熱によりアルカリ金属酸化物を生成する化合物であることが好ましい。これらの化合物を用いることにより、効果的にフラックスの蒸発を抑制することができ、高品質で大型のコランダム結晶を製造することができるからである。
さらに本発明においては、上記原料がクロム化合物を含んでいてもよい。クロムが添加されている赤色系、かつ大型のコランダム結晶を製造することができ、天然ルビーは希少価値の高いものであることから、高付加価値を有するコランダム結晶を提供することができるという利点を有するからである。
本発明によれば、加熱・蒸発工程中に試料供給工程が行われることにより、連続的にコランダム結晶を成長させることができるので、容易に大型の結晶を製造することが可能である。また、フラックス蒸発法を用いることにより六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を得ることができるので、レーザー発振材料等に使用する際には加工が容易であり、低コストでの実用化が可能なコランダム結晶を製造することが可能である。さらに、天然のコランダム結晶に近い結晶が得られるため、宝飾品等としての価値が高いコランダム結晶を製造することが可能である。
1 … 第1試料
2 … コランダム結晶
3 … 第2試料
4 … 加熱・蒸発工程後に残存した試料
11 … 坩堝
12 … 高温炉
2 … コランダム結晶
3 … 第2試料
4 … 加熱・蒸発工程後に残存した試料
11 … 坩堝
12 … 高温炉
以下、本発明のコランダム結晶の製造方法について詳細に説明する。
本発明のコランダム結晶の製造方法は、原料およびフラックスを含有する第1試料を加熱し、上記フラックスを蒸発させて、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を析出および成長させる加熱・蒸発工程と、上記加熱・蒸発工程後に残存した試料から上記コランダム結晶を分離する分離工程とを有するコランダム結晶の製造方法であって、上記加熱・蒸発工程は、加熱した上記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むことを特徴とするものである。
本発明のコランダム結晶の製造方法は、原料およびフラックスを含有する第1試料を加熱し、上記フラックスを蒸発させて、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を析出および成長させる加熱・蒸発工程と、上記加熱・蒸発工程後に残存した試料から上記コランダム結晶を分離する分離工程とを有するコランダム結晶の製造方法であって、上記加熱・蒸発工程は、加熱した上記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むことを特徴とするものである。
本発明のコランダム結晶の製造方法について図面を参照しながら説明する。図1は本発明のコランダム結晶の製造方法の一例を示す工程図である。図1に示すように、本発明のコランダム結晶の製造方法は、原料およびフラックスを含有する第1試料1を充填した坩堝11を高温炉12中に設置して加熱し、高温保持してフラックスを蒸発させ、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶2を析出および成長させる加熱・蒸発工程(図1(a)、(b))と、上記加熱・蒸発工程後に残存した試料4を適当な媒体に溶解させることにより上記コランダム結晶2を分離する分離工程(図1(c)、(d))とを有するものである。
本発明における加熱・蒸発工程では、あらかじめ第1試料1を加熱してフラックスを蒸発させてコランダム結晶2を析出させ(図1(a))、その後、原料およびフラックスを含有する第2試料3を坩堝11内に供給し(図1(b))、さらにフラックスを蒸発させることにより、コランダム結晶2を成長させる。このように、上記加熱・蒸発工程が、第2試料を坩堝内に供給する試料供給工程を含んでいることにより、連続的にコランダム結晶を成長させることができるので、本発明においては、大型のコランダム結晶を製造することができるという利点を有する。また、従来では製造されるコランダム結晶の大きさは用いる坩堝の大きさに依存し、大型のコランダム結晶を製造するためには大きな坩堝を用いる必要があり設備投資が膨大になるという不具合があったが、本発明においては小さな坩堝を用いた場合であっても、試料供給工程を例えば複数回行うことにより大型の結晶を製造することができるので、設備投資を削減することができるという利点を有する。
本発明は、フラックスの蒸発を駆動力として結晶成長を促すフラックス蒸発法を用いるものである。ここで、フラックス法について説明する。フラックス法とは、溶液法の一種であり、融剤法とも呼ばれるものである。フラックス法により結晶を成長させる際には、フラックスとなる適当な塩または酸化物と、溶質となる原料とを混合し、加熱溶融した後、溶液を徐冷あるいはフラックスを蒸発させながら過飽和状態をつくり、結晶を成長させる。この過飽和状態の形成方法の違いにより、フラックス蒸発法、フラックス徐冷法およびフラックス温度勾配法に大別される。
フラックス法を用いたコランダム結晶の製造方法としては、溶液を徐冷しながら過飽和状態をつくり結晶を成長させるフラックス徐冷法により、酸化リチウム−酸化(フッ化)鉛、酸化リチウム−酸化タングステン−酸化(フッ化)鉛、または酸化ビスマス−酸化ランタン−酸化(フッ化)鉛等の鉛系フラックスを用いて、板状結晶が得られることが知られている。しかしながら、この方法により得られる結晶は薄い板状結晶のみであり、大型で高品質な結晶を製造することは困難であった。したがって、レーザー発振材料等に使用する際には板状結晶を所望の形状に切削する必要があり、さらにコランダム結晶は高硬度を有することから、コストがかかるという不具合が生じていた。
このような問題がある一方で、フラックス法ではフラックス中に含まれる元素が不純物として結晶に含有される場合があるため、チョクラルスキー法等とは異なり、得られたコランダム結晶は不純物を含み、天然のコランダム結晶に近いものとすることができることから、宝飾品等としての価値が高いものが得られるという利点を有する。
本発明においては、フラックス蒸発法を用いることにより、例えば図2(a)に示すような六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を製造することが可能であるため、実用化する際の加工が容易であり、安価に高付加価値のコランダム結晶を提供することができる。また、フラックス蒸発法では、フラックスを蒸発させてコランダム結晶を析出および成長させ、残存した試料を適当な媒体に溶解させることによりコランダム結晶を分離することができることから、製造工程が簡便である。また上述したように、フラックス蒸発法では、コランダム結晶がフラックス中に含まれる元素を不純物として含有する場合があり、天然のコランダム結晶に近いものが得られるので、宝飾品等としての価値が高いコランダム結晶を製造することが可能である。
なお、本発明において、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶とは、図2(a)に示すような六角両錐形の結晶だけでなく、図2(b)に示すような六角両錐形の一部が欠け、他の結晶面が出現している結晶も含むものとする。
また本発明おいては、通常、上記加熱・蒸発工程前に、原料およびフラックスを攪拌して第1試料を調製する試料調製工程が行われる。
以下、このようなコランダム結晶の製造方法の各工程について説明する。
以下、このようなコランダム結晶の製造方法の各工程について説明する。
1.試料調製工程
本発明のコランダム結晶の製造方法においては、まずフラックスおよび原料を攪拌して第1試料を調製する試料調製工程が行われる。
本発明のコランダム結晶の製造方法においては、まずフラックスおよび原料を攪拌して第1試料を調製する試料調製工程が行われる。
上記フラックスおよび原料の攪拌方法としては、均一に攪拌することができる方法であれば特に限定はされないが、例えば乳鉢でフラックスおよび原料を十分に攪拌する方法を用いることができる。
本発明に用いられる第1試料は、フラックスおよび原料を含有するものである。以下、フラックスおよび原料について説明する。
(1)フラックス
本発明に用いられるフラックスは、後述する加熱・蒸発工程において蒸発するものであり、かつ後述する分離工程において適当な媒体に溶解するものであれば特に限定はされないが、モリブデン化合物を含有することが好ましい。上記フラックスがモリブデン化合物を含有することにより、板状または針状のコランダム結晶ではなく、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を選択的に製造することが可能となるからである。
本発明に用いられるフラックスは、後述する加熱・蒸発工程において蒸発するものであり、かつ後述する分離工程において適当な媒体に溶解するものであれば特に限定はされないが、モリブデン化合物を含有することが好ましい。上記フラックスがモリブデン化合物を含有することにより、板状または針状のコランダム結晶ではなく、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を選択的に製造することが可能となるからである。
このようなモリブデン化合物としては、酸化モリブデン、あるいは後述する加熱・蒸発工程において加熱することにより酸化モリブデンを生成する化合物を用いることができる。また、加熱により酸化モリブデンを生成する化合物としては、例えば炭酸モリブデン、硫酸モリブデン、硝酸モリブデン、モリブデン水酸化物、およびこれらの水和物等が挙げられる。本発明においては、上記の中でも、酸化モリブデンを用いることが好ましい。
また、本発明においては、上記フラックスが蒸発抑制剤を含有していてもよい。これにより、フラックスの蒸発速度が抑えられ、多核発生および結晶成長速度を抑制することができるため、高品質なコランダム結晶を製造することが可能となるからである。
一方、フラックスが上記蒸発抑制剤を含有しない場合は、核形成の速度が速く、核が多く形成されるため、多数のコランダム結晶を製造することができる。
上記蒸発抑制剤としては、フラックスの蒸発を抑制することができるものであり、かつ後述する分離工程において適当な媒体に溶解するものであれば特に限定はされないが、本発明においてはアルカリ金属化合物を用いることが好ましい。アルカリ金属化合物を用いることにより、効果的にフラックスの蒸発を抑制することができ、高品質で大型のコランダム結晶を製造することができるからである。
このようなアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属酸化物、あるいは後述する加熱・蒸発工程において加熱することによりアルカリ金属酸化物を生成する化合物を用いることができる。上記の加熱によりアルカリ金属酸化物を生成する化合物としては、例えば炭酸アルカリ金属、硫酸アルカリ金属、硝酸アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物、およびこれらの水和物等が挙げられる。本発明においては、上記の中でもLi2O、Na2OおよびK2Oからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を生成するものであることが好ましい。具体的には、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3等が挙げられる。
また、上記アルカリ金属化合物の含有量としては、アルカリ金属化合物のアルカリ金属原子のモル数が、上記第1試料の全モル数に対して40mol%以下、中でも30mol%以下、特に20mol%以下の範囲となるように含有されることが好ましい。本発明においては、フラックスの蒸発を駆動力として結晶成長が促されるため、アルカリ金属化合物の含有量が上記範囲より多い場合、結晶成長が妨げられる可能性があるからである。
(2)原料
次に、本発明に用いられる原料について説明する。本発明に用いられる原料としては、目的とするコランダム結晶の種類により異なるものである。
次に、本発明に用いられる原料について説明する。本発明に用いられる原料としては、目的とするコランダム結晶の種類により異なるものである。
ここで、コランダム結晶について説明する。コランダム結晶は三方晶系に属するコランダム構造を有している。このコランダム構造は、ほぼ六方最密充填した格子の六配位(八面体)位置の2/3を陽イオン(Al)が規則的に占有しており、陽イオン(Al)を中心としたAlO6八面体が一部で面を共有し、c軸方向に連結した構造をしている。コランダム(Al2O3)はアルミナ多形の中でも最も安定であり、このようなコランダム構造を有するコランダム結晶は、融点が約2050℃であり、高硬度(モース硬度9)を有し、耐薬品性、耐摩耗性および耐候性に優れている。また、高温環境下においても高い電気絶縁性を示す。上述した性質を有することから、コランダム結晶は計器用軸受、マイクロメス、光スイッチ素子、レーザー発振材料等に用いられている。
また、コランダム結晶は、Al2O3のAlの一部がCrまたはTiやFe等に置換されることにより、すなわちCrまたはTiやFe等の着色用添加物の種類により、色相が異なる結晶となることが知られている。例えば着色用添加物のないものは無色であり、また、着色用添加物として鉄およびチタンを添加したものは青色、ニッケルを添加したものは黄色、バナジウムを添加したものはアレキサンドライトカラー、ニッケル、チタンおよび鉄を添加したものは黄緑色、コバルトを添加したものは緑色となる。また例えば、着色用添加物としてクロムを添加したものは濃赤色、赤色、桃色、クロムおよびニッケル、あるいはクロム、ニッケルおよび鉄を添加したものはオレンジ色、クロム、チタンおよび鉄を添加したものは紫色となる。一般に、クロムが添加されている濃赤色のコランダム結晶はルビーと呼ばれ、このクロム添加の赤色系のコランダム結晶以外のコランダム結晶はサファイアと呼ばれており、上述した用途の他に、宝飾品として用いられている。
このように、本発明おいては、クロムまたは鉄やチタン等の着色用添加物の種類によって色相の異なるコランダム結晶が得られるものであり、それぞれの色相のコランダム結晶を形成するために用いられる原料は異なるものとなる。例えば、無色のコランダム結晶を形成する場合、原料としてはアルミニウム化合物があればよい。また、着色されたコランダム結晶を形成する場合は、さらに着色用添加物が加えられる。例えば、着色用添加物として鉄およびチタンが添加されているコランダム結晶を形成する場合、用いられる原料はアルミニウム化合物、鉄化合物およびチタン化合物である。また例えば着色用添加物としてクロムが添加されているコランダム結晶を形成する場合、原料としてはアルミニウム化合物およびクロム化合物があればよい。さらに例えば着色用添加物としてクロムおよびニッケルが添加されているコランダム結晶を形成する場合、原料としてはアルミニウム化合物、クロム化合物およびニッケル化合物が用いられる。以下、無色のコランダム結晶、鉄およびチタン添加のコランダム結晶、ならびにクロム添加のコランダム結晶を例に挙げて説明する。
(無色のコランダム結晶)
本発明において、無色のコランダム結晶を形成する場合、原料としてはアルミニウム化合物があればよい。
本発明において、無色のコランダム結晶を形成する場合、原料としてはアルミニウム化合物があればよい。
上記アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム、あるいは後述する加熱・蒸発工程において加熱することにより酸化アルミニウムを生成する化合物を用いることができる。上記の加熱により酸化アルミニウムを生成する化合物としては、例えば水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。本発明においては、中でも酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
本発明において、上記原料の含有量としては、原料のモル数が上記第1試料の全モル数に対して10mol%以下であることが好ましい。原料の含有量が上記範囲より多い場合、上記フラックスに原料が溶解しにくくなり、結晶成長が妨げられる可能性があるからである。また、原料が少量でも含有されていれば結晶は形成されるため、原料の含有量の下限値としては特に限定されない。
(鉄およびチタン添加のコランダム結晶)
本発明において、鉄およびチタン添加の青色に着色されたコランダム結晶を形成する場合、用いられる原料はアルミニウム化合物、鉄化合物およびチタン化合物である。
本発明において、鉄およびチタン添加の青色に着色されたコランダム結晶を形成する場合、用いられる原料はアルミニウム化合物、鉄化合物およびチタン化合物である。
上記鉄化合物としては、後述する加熱・蒸発工程において溶融するものであれば特に限定はされないが、加熱により鉄イオンを生成する化合物であることが好ましい。上記の加熱により鉄イオンを生成する化合物としては、例えば酸化鉄、水酸化鉄、硫酸鉄、炭酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄、クエン酸鉄、リン酸鉄、フッ化鉄、ヨウ化鉄、シュウ酸鉄、およびこれらの水和物等が挙げられる。中でも、本発明においては酸化鉄を用いることが好ましい。この場合、上記酸化鉄における鉄の価数は、2価であっても3価であってもよく、また2価および3価の鉄が混在していてもよい。
また、上記チタン化合物としては、後述する加熱・蒸発工程において溶融するものであれば特に限定はされないが、加熱によりチタンイオンを生成する化合物であることが好ましい。上記の加熱によりチタンイオンを生成する化合物としては、例えば酸化チタン、窒化チタン、チタンテトライソプロポキシド、シュウ酸チタン、硫化チタン、臭化チタン、塩化チタン、およびこれらの水和物等が挙げられる。中でも、本発明においては酸化チタンを用いることが好ましい。この場合、上記酸化チタンにおけるチタンの価数としては2価、3価および4価が挙げられる。チタンの価数は、単一であってもよく、混在していてもよい。
アルミニウム化合物と、鉄化合物およびチタン化合物との混合比としては、コランダム結晶が着色されるだけの鉄化合物およびチタン化合物が添加されていれば特に限定はされない。例えば原料として酸化アルミニウム、酸化鉄および酸化チタンを用いた場合、酸化鉄および酸化チタンの合計添加量は、酸化アルミニウムの重量に対して5重量%以下となるように混合すればよく、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下となるように混合する。上記の混合比を上記範囲とすることにより、コランダム結晶が鮮やかな青色に着色されるからである。
さらに、鉄化合物とチタン化合物との混合比としては、鉄およびチタンの価数によっても異なるが、通常は鉄元素とチタン元素との重量比がFe:Ti=1:0.05〜20となるように混合する。中でも1:0.07〜15、特に1:0.1〜10となるように混合することが好ましい。上記の混合比を上記範囲とすることにより、鮮やかな青色を発色するコランダム結晶を得ることができるからである。
なお、アルミニウム化合物および原料の含有量については、上記無色のコランダム結晶の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(クロム添加のコランダム結晶)
本発明において、クロム添加の赤色系に着色されたコランダム結晶を形成する場合、用いられる原料はアルミニウム化合物およびクロム化合物である。
本発明において、クロム添加の赤色系に着色されたコランダム結晶を形成する場合、用いられる原料はアルミニウム化合物およびクロム化合物である。
上記クロム化合物としては、後述する加熱・蒸発工程において溶融するものであれば特に限定はされないが、加熱によりクロムイオンを生成する化合物であることが好ましい。上記の加熱によりクロムイオンを生成する化合物としては、例えば酸化クロム、水酸化クロム、硫酸クロム、炭酸クロム、硝酸クロム、およびこれらの水和物等が挙げられる。中でも、本発明においては酸化クロムを用いることが好ましい。
アルミニウム化合物とクロム化合物との混合比としては、コランダム結晶が着色されるだけのクロム化合物が添加されていれば特に限定はされない。例えば原料として酸化アルミニウムおよび酸化クロムを用いた場合、酸化クロムの添加量は、酸化アルミニウムの重量に対して5重量%以下となるように混合すればよく、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下となるように混合する。上記の混合比を上記範囲とすることにより、コランダム結晶が鮮やかな濃赤色、赤色または桃色に着色されるからである。
なお、アルミニウム化合物および原料の含有量については、上記無色のコランダム結晶の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(その他)
本発明において、ニッケル、バナジウムまたはコバルトが添加されているコランダム結晶を形成する場合は、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物を用いればよい。
本発明において、ニッケル、バナジウムまたはコバルトが添加されているコランダム結晶を形成する場合は、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物を用いればよい。
ニッケル化合物としては、後述する加熱・蒸発工程において溶融するものであれば特に限定はされないが、加熱によりニッケルイオンを生成する化合物であることが好ましい。上記の加熱によりニッケルイオンを生成する化合物としては、例えば酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、塩化ニッケル、水酸化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硝酸ニッケル、酸化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、硫酸ニッケル、およびこれらの水和物等が挙げられる。中でも、酸化ニッケルを用いることが好ましい。この場合、上記酸化ニッケルにおけるニッケルの価数としては、2価であっても3価であってもよく、また2価および3価のニッケルが混在していてもよい。
また、バナジウム化合物としては、後述する加熱・蒸発工程において溶融するものであれば特に限定はされないが、加熱によりバナジウムイオンを生成する化合物であることが好ましい。上記の加熱によりバナジウムイオンを生成する化合物としては、例えば炭化バナジウム、塩化バナジウム、酸化バナジウム、酸化硫酸バナジウム、酸化シュウ酸バナジウム、およびこれらの水和物等が挙げられる。中でも、酸化バナジウムを用いることが好ましい。この場合、上記酸化バナジウムにおけるバナジウムの価数としては3価、4価および5価が挙げられる。バナジウムの価数は、単一であってもよく、混在していてもよい。
さらに、コバルト化合物としては、後述する加熱・蒸発工程において溶融するものであれば特に限定はされないが、加熱によりコバルトイオンを生成する化合物であることが好ましい。上記の加熱によりコバルトイオンを生成する化合物としては、例えば臭化コバルト、塩化コバルト、クエン酸コバルト、フッ化コバルト、グルコン酸コバルト、水酸化コバルト、ヨウ化コバルト、硝酸コバルト、シュウ酸コバルト、酸化コバルト、リン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、硫酸コバルト、硫化コバルト、およびこれらの水和物等が挙げられる。中でも、本発明においては、クエン酸コバルト、フッ化コバルト、グルコン酸コバルト、水酸化コバルト、ヨウ化コバルト、シュウ酸コバルト、酸化コバルト、リン酸コバルト、ステアリン酸コバルトを用いることが好ましい。特に、酸化コバルト、水酸化コバルト、ステアリン酸コバルト、リン酸コバルトを用いることが好ましい。この場合、上記コバルト化合物におけるコバルトの価数としては、2価であっても3価であってもよく、また2価および3価のコバルトが混在していてもよい。
上述したニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物の添加量としては、コランダム結晶が着色されるだけの量が添加されていれば特に限定はされない。
本発明においては、上述したアルミニウム化合物と、鉄化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物とを種々に組み合わせて用いることができ、これらの化合物の混合比としてはコランダム結晶の用途に応じて適宜選択される。
また本発明においては、着色用添加物として、クロムと、鉄、チタン、ニッケル、バナジウムおよびコバルトからなる群から選択される少なくとも1種の元素とが添加されているコランダム結晶を製造することもできる。この場合は、原料として、上述したアルミニウム化合物およびクロム化合物の他に、鉄化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物を用いればよい。
この鉄化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物の添加量としては、コランダム結晶が着色されるだけの量が添加されていれば特に限定はされない。
本発明においては、上述したアルミニウム化合物およびクロム化合物と、鉄化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物とを種々に組み合わせて用いることができ、これらの化合物の混合比としてはコランダム結晶の用途に応じて適宜選択される。
(3)その他
本発明においては、上記第1試料に不純物を含有させてもよい。これにより、天然に近い結晶を製造することができ、宝飾品等としての価値が高いコランダム結晶が得られるからである。
本発明においては、上記第1試料に不純物を含有させてもよい。これにより、天然に近い結晶を製造することができ、宝飾品等としての価値が高いコランダム結晶が得られるからである。
2.加熱・蒸発工程
次に、本発明のコランダム結晶の製造方法における加熱・蒸発工程について説明する。本発明における加熱・蒸発工程は、上記第1試料を加熱し、上記フラックスを蒸発させて、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を析出および成長させる工程である。また、本発明における加熱・蒸発工程は、加熱した上記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むものである。
次に、本発明のコランダム結晶の製造方法における加熱・蒸発工程について説明する。本発明における加熱・蒸発工程は、上記第1試料を加熱し、上記フラックスを蒸発させて、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を析出および成長させる工程である。また、本発明における加熱・蒸発工程は、加熱した上記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むものである。
本工程においては、例えば図1(a)に示すように上記試料調製工程にて調製した第1試料1を坩堝11内に充填して蓋をかぶせ、高温炉12中に設置する。次いで、最高保持温度まで昇温し、その温度にて所定時間保持することにより、第1試料1中のフラックスが蒸発し、このフラックスの蒸発を駆動力として核生成および結晶成長が促される。これにより、第1試料1中でコランダム結晶2が析出して成長する。本発明においては、このコランダム結晶を成長させる過程で、例えば図1(b)に示すように、坩堝11内に第2試料3を供給する試料供給工程が行われるので、コランダム結晶2を連続して成長させることができ、より大型のコランダム結晶を製造することが可能となる。
上記試料供給工程は、後述する分離工程前に行われるものであれば特に限定されるものではないが、上記フラックスが完全に蒸発する前に行われることが好ましい。例えば、フラックスが完全に蒸発した後に第2試料を供給した場合、第2試料の供給前に形成されたコランダム結晶と、このコランダム結晶を核として第2試料の供給後に成長したコランダム結晶と間に境界面が生じる可能性があるからである。フラックスが完全に蒸発する前に第2試料を供給すれば、上記の境界面の発生を防止することができるので、境界面のない均一なコランダム結晶を得ることができる。
また、本発明における試料供給工程では、第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、第2試料が供給されることが特に好ましい。第1試料中の原料の過飽和状態を維持したまま第2試料を供給すれば、上述した境界面の発生を防止することができ、また、効率よく短時間で大型のコランダム結晶を製造することができるからである。上記原料の過飽和状態を維持するには、後述するように、第1試料中のフラックスの蒸発速度と、第2試料の供給速度とを適宜調整すればよい。
本発明においては、試料供給工程は複数回行われるか、または連続的に行われることが好ましい。これにより、小さな坩堝を用いて大きなコランダム結晶を製造することができるので、設備コストを削減することができるからである。また、大型のコランダム結晶を効率的に製造することができるからである。
上記試料供給工程が複数回行われる場合、この回数としては特に限定されるものではなく、目的とするコランダム結晶の大きさによって適宜選択される。また、一度に供給する第2試料の供給量としては特に限定されるものではないが、上述したように第1試料中の原料の過飽和状態を維持できるような量であることが好ましい。例えば、第2試料の供給量を少量にすることにより、第1試料中の原料の過飽和状態を維持することができる。
また、上記試料供給工程が連続的に行われる場合、第2試料の供給速度としては、コランダム結晶の成長を妨げないような速度であれば特に限定はされないが、上記フラックスの蒸発速度とほぼ同一であることが好ましい。フラックスの蒸発速度と第2試料の供給速度とをほぼ同一とすることにより、第1試料中の原料の過飽和状態を維持したまま第2試料を供給することが可能となるからである。
本工程においては、第1試料を最高保持温度まで昇温し、その温度にて所定時間保持することにより、フラックスを蒸発させてコランダム結晶を析出および成長させるものである。この最高保持温度としては、上記第1試料が溶融する温度であれば特に限定はされないが、具体的には950℃〜1300℃、中でも975℃〜1250℃、特に1000℃〜1200℃の範囲内であることが好ましい。
上記最高保持温度に設定する際の昇温速度としては、上記第1試料を均一に加熱することができる速度であれば特に限定はされない。さらに、上記最高保持温度にて保持する時間としては、結晶を析出させることができる時間であれば特に限定はされない。
また、上記試料供給工程にて第2試料を供給する際の坩堝内の第1試料の温度としては特に限定されるものではないが、上述したように第1試料中の原料の過飽和状態を維持できるような温度であることが好ましい。具体的には、上述した第1試料の最高保持温度の範囲内となるように設定することが好ましい。
一方、上記試料供給工程にて第2試料を供給する際の第2試料の温度としては特に限定されるものではないが、あらかじめ加熱して所定の温度となるように設定しておくことが好ましい。第2試料の温度が所定の温度より低いと、結晶を成長させるために第1試料および第2試料をその原料が過飽和状態となる温度まで再度加熱する必要があり、コスト的に不利になる場合があるからである。さらには、上記第2試料の温度としては、上述したように、第2試料を供給する際に第1試料中の原料の過飽和状態を維持できるような温度であることが好ましく、具体的には、第2試料中の原料が過飽和状態となる直前の温度となるように設定することが好ましい。第2試料の温度を、第2試料中の原料が過飽和状態となる温度に設定すると、第1試料への供給前に第2試料中で核発生が起こる可能性があり、大型の結晶を得ることが困難となるからである。このような温度とするには、例えば上述した第1試料の最高保持温度より低い温度、もしくは、フラックスの蒸発温度より低い温度やアルミニウム化合物の溶融温度より低い温度等に設定することができる。
さらに、上記試料供給工程後は、第1試料および第2試料を最高保持温度にて所定時間保持することにより、フラックスを蒸発させてコランダム結晶を成長させるものである。この最高保持温度としては、上述した第1試料の最高保持温度および保持時間と同様である。また、最高保持温度にて保持する時間としては、結晶を十分に成長させることができる時間であれば特に限定はされない。
本発明に用いられる第2試料中に含有されるフラックスとしては、上記第1試料中のフラックスと同一であっても異なっていてもよいが、通常は同一のフラックスを用いることとする。ここで、フラックスが同一であるとはフラックスとして用いる化合物が同一であることを意味するものである。例えば第1試料のフラックスとして酸化モリブデンおよび炭酸リチウムを用いた場合、第2試料のフラックスとしても酸化モリブデンおよび炭酸リチウムを用いることを意味する。また、フラックスであるモリブデン化合物およびアルカリ金属化合物等の含有量は、第1試料と第2試料とで同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明に用いられる第2試料中に含有される原料としては、上記第1試料中の原料と同一であっても異なっていてもよい。ここで、原料が同一であるとは原料として用いる化合物が同一であることを意味するものである。例えば第1試料の原料として酸化アルミニウム、酸化鉄および酸化チタンを用いた場合、第2試料の原料としても酸化アルミニウム、酸化鉄および酸化チタンを用いることを意味する。また例えば第1試料の原料として酸化アルミニウムおよび酸化クロムを用いた場合、第2試料の原料としても酸化アルミニウムおよび酸化クロムを用いることを意味する。このように第1試料および第2試料中の原料を同一とした場合、色相が同一であるコランダム結晶を得ることができる。一方、第1試料および第2試料中の原料が異なる場合、第1試料を用いて形成したコランダム結晶と、第2試料を用いて形成したコランダム結晶とでは色相が異なるため、部分的に色相の異なるコランダム結晶を得ることができる。
また、原料の含有量は、第1試料と第2試料とで同一であってもよく、異なっていてもよいが、上述したように第1試料中の原料の過飽和状態を維持できるように第2試料中の原料の含有量を適宜選択することが好ましく、具体的には坩堝内の原料の濃度がほぼ一定となるように第2試料中の原料の含有量を調整することが好ましい。また、例えば第2試料を一度に多量に供給する場合、第1試料中の原料の過飽和状態を維持するには、第2試料中の原料の含有量は上述した試料調製工程の欄に記載した範囲の中でも多い方が好ましい。第2試料中の原料の含有量が少なすぎると、坩堝内の原料の濃度が低くなるおそれがあるからである。一方、第2試料を少量供給する場合、第2試料中の原料の含有量は上述した試料調製工程の欄に記載した範囲であれば特に限定されるものではない。
さらに、第1試料および第2試料中に含有される原料が同一であり、それぞれの原料中のアルミニウム化合物に対する着色用添加物の混合比が異なる場合、色相は同一であるが、色の濃度が異なるコランダム結晶が成長するため、部分的に色の濃淡があるコランダム結晶を得ることができる。
なお、第2試料に含有される原料およびフラックスに用いられる材料については、上記試料調製工程の欄に記載した第1試料のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明においては、第1試料および第2試料中のフラックスを蒸発させた後、通常は残存した試料を冷却するものである。
上記の残存した試料を冷却する際には、例えば図1(b)に示すような高温炉12から坩堝11を取り出し、図1(c)に示すように室温となるまで残存した試料4が充填された坩堝11を冷却する。冷却方法としては、室温になるまで冷却することができる方法であればよく、坩堝を放冷する方法等が挙げられる。
本発明においては、上述したように試料供給工程は後述する分離工程前に行われるものであればよいことから、第1試料を上記のように冷却した後に、上記試料供給工程が行われてもよい。この場合、上述した境界面を有するコランダム結晶が得られることになる。
なお、上述した境界面は、目視、電子顕微鏡、光学顕微鏡、EPMA(電子線マイクロアナライザー)、またはXPS(X線光電子分光分析)などにより構造面あるいは組成面から確認することができる。
本発明に用いられる坩堝としては、上述した最高保持温度に耐えうるものであり、上記第1試料および第2試料との反応性が低いものであれば特に限定はされないが、通常は白金坩堝を用いることとする。このように、本発明に用いられるコランダム結晶の製造装置のなかでも第1試料および第2試料が接触する部分は、上述したように、最高保持温度に耐え、第1試料および第2試料との反応性が低いものであることが好ましいことから、坩堝だけでなく、その他の第1試料および第2試料が接触する部分も白金により構成されていることが好ましい。
3.分離工程
次に、本発明のコランダム結晶の製造方法における分離工程について説明する。本発明における分離工程は、上記加熱・蒸発工程後に残存した試料からコランダム結晶を分離する工程である。
次に、本発明のコランダム結晶の製造方法における分離工程について説明する。本発明における分離工程は、上記加熱・蒸発工程後に残存した試料からコランダム結晶を分離する工程である。
上記加熱・蒸発後の坩堝においては、例えば図1(c)に示すように試料4がコランダム結晶2を取り込んで残存している。本工程においては、この残存した試料を適当な媒体に溶解させることにより、コランダム結晶のみを容易に分離することができる。
上記の残存した試料を溶解させるために用いる媒体としては、コランダム結晶に影響を及ぼさず、コランダム結晶以外の残存した試料を溶解させることができるものであれば特に限定はされないが、例えば冷水、温水、熱水等を挙げることができる。
4.コランダム結晶
次に、本発明により製造されたコランダム結晶について説明する。
本発明においては、上述したようにフラックス蒸発法を用いてコランダム結晶を製造するものであり、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶が得られることから、本発明により製造されたコランダム結晶は、六角両錐形に由来する結晶面を有することとなる。このような六角両錐形に由来する結晶面としては、例えば{113}面、{012}面、{104}面、{110}面、{101}面、{116}面、{211}面、{122}面、{214}面、{100}面、{125}面、{223}面、{131}面、{312}面等を挙げることができる。
次に、本発明により製造されたコランダム結晶について説明する。
本発明においては、上述したようにフラックス蒸発法を用いてコランダム結晶を製造するものであり、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶が得られることから、本発明により製造されたコランダム結晶は、六角両錐形に由来する結晶面を有することとなる。このような六角両錐形に由来する結晶面としては、例えば{113}面、{012}面、{104}面、{110}面、{101}面、{116}面、{211}面、{122}面、{214}面、{100}面、{125}面、{223}面、{131}面、{312}面等を挙げることができる。
なお、上記結晶および結晶面はX線回折装置を用いてそれぞれ同定および測定することができる。この際、三方晶系、a=4.759Å、c=12.993Åとし、同定の際にはJCPDS No.46−1212と比較する。
本発明において、例えば{101}面とは、(101)面と等価な全ての面、すなわち(101)面および(011)面、あるいはその倍数である(202)面、(022)面、(303)面、(033)面、(404)面および(044)面などを意味するものとし、他の所定の結晶面についても同様とする。
本発明により製造されたコランダム結晶は、上述の結晶面を有することにより、従来の製造方法によって製造されたコランダム結晶とは区別される。例えばチョクラルスキー法により製造されたコランダム結晶は複雑な結晶形状を有しておらず、切削等の加工を施しても特定の結晶面を有するように加工することはほとんど不可能である。また、フラックス徐冷法により製造されたコランダム結晶は板状結晶であり、{001}面を優位な結晶面とするが、上述したような六角両錐形の結晶に由来する結晶面を有するように加工することは通常不可能である。
本発明により製造されたコランダム結晶は、上述したように六角両錐形を基本形状とするものであればよく、上述の結晶面以外の結晶面を有していてもよい。
また、本発明においては、上述したように原料として用いる化合物を適宜選択することにより、色相の異なるコランダム結晶を製造することができるものである。したがって、本発明により製造されたコランダム結晶は、無色であってもよく、あるいは鉄化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物等の着色用添加物を用いることにより着色されたものであってもよい。また、クロム化合物と、鉄化合物、チタン化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物またはコバルト化合物等との着色用添加物を用いることにより、濃赤色、赤色、桃色、オレンジ色、紫色等の種々の色相を有するものとなる。コランダム結晶の色としては、上述した着色用添加物の種類および添加量により異なるので、特に限定はされない。
なお、コランダム結晶中に、着色成分であるクロム、鉄、チタン、ニッケル、バナジウムまたはコバルト等の元素が添加されていることは、EPMA(電子線マイクロアナライザー)、XPS(X線光電子分光分析)、EDX(エネルギー分散型X線分析)により確認することができる。
また、本発明により製造されたコランダム結晶の組成は、化学量論的なものに限らず、化学量論的な組成からずれているものであってもよい。本発明においては、フラックス蒸発法によりコランダム結晶を製造するものであり、コランダム結晶にフラックス中に含まれる元素が不純物として含有される場合があるからである。なお、コランダム結晶中の不純物の含有量は、通常1mol%以下と極微量である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するもの、またはそれらの均等物は、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
まず、第1試料として、酸化アルミニウム(1.5g)、酸化鉄(0.004g)、酸化チタン(0.004g)、酸化モリブデン(28.5g)および炭酸リチウム(1.5g)を秤量し、乳鉢に入れた。次いで、第2試料として、酸化アルミニウム(3.0g)、酸化鉄(0.008g)、酸化チタン(0.008g)、酸化モリブデン(57.0g)および炭酸リチウム(3.0g)を秤量し、別の乳鉢に入れた。この第1試料および第2試料をそれぞれの乳鉢中で、約20分間乾式混合した。その後、第1試料を白金坩堝に充填し、第2試料を白金製の上部供給装置に充填し、上部供給装置に接続された蓋を白金坩堝にかぶせた。電気炉内に温度勾配を設け、白金坩堝を毎時45℃の速度で1100℃まで加熱し、上部供給装置を毎時45℃の速度で900℃まで加熱した。その後、白金坩堝が1100℃まで達した後、900℃に加熱した第2試料を、第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、毎時0.05g〜0.5gの供給速度で白金坩堝中に添加した。第2試料を上記の供給速度で30時間添加した後、第2試料の供給を停止し、その温度で10時間保持した。保持後、電気炉から坩堝を取り出し、室温まで放冷した。室温まで冷却した坩堝を温水中に入れ、鉄・チタン添加のコランダム結晶を分離・回収した。得られた結晶は、六角両錐形を基本形状とした立体形状を有し、青色透明であった。
[実施例1]
まず、第1試料として、酸化アルミニウム(1.5g)、酸化鉄(0.004g)、酸化チタン(0.004g)、酸化モリブデン(28.5g)および炭酸リチウム(1.5g)を秤量し、乳鉢に入れた。次いで、第2試料として、酸化アルミニウム(3.0g)、酸化鉄(0.008g)、酸化チタン(0.008g)、酸化モリブデン(57.0g)および炭酸リチウム(3.0g)を秤量し、別の乳鉢に入れた。この第1試料および第2試料をそれぞれの乳鉢中で、約20分間乾式混合した。その後、第1試料を白金坩堝に充填し、第2試料を白金製の上部供給装置に充填し、上部供給装置に接続された蓋を白金坩堝にかぶせた。電気炉内に温度勾配を設け、白金坩堝を毎時45℃の速度で1100℃まで加熱し、上部供給装置を毎時45℃の速度で900℃まで加熱した。その後、白金坩堝が1100℃まで達した後、900℃に加熱した第2試料を、第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、毎時0.05g〜0.5gの供給速度で白金坩堝中に添加した。第2試料を上記の供給速度で30時間添加した後、第2試料の供給を停止し、その温度で10時間保持した。保持後、電気炉から坩堝を取り出し、室温まで放冷した。室温まで冷却した坩堝を温水中に入れ、鉄・チタン添加のコランダム結晶を分離・回収した。得られた結晶は、六角両錐形を基本形状とした立体形状を有し、青色透明であった。
[実施例2]
まず、第1試料として、酸化アルミニウム(1.5g)、酸化クロム(0.008g)、酸化モリブデン(28.5g)および炭酸リチウム(1.5g)を秤量し、乳鉢に入れた。次いで、第2試料として、酸化アルミニウム(3.0g)、酸化クロム(0.016g)、酸化モリブデン(57.0g)および炭酸リチウム(3.0g)を秤量し、別の乳鉢に入れた。この第1試料および第2試料をそれぞれの乳鉢中で、約20分間乾式混合した。その後、第1試料を白金坩堝に充填し、第2試料を白金製の上部供給装置に充填し、上部供給装置に接続された蓋を白金坩堝にかぶせた。電気炉内に温度勾配を設け、白金坩堝を毎時45℃の速度で1100℃まで加熱し、上部供給装置を毎時45℃の速度で900℃まで加熱した。その後、白金坩堝が1100℃まで達した後、900℃に加熱した第2試料を、第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、毎時0.05g〜0.5gの供給速度で白金坩堝中に添加した。第2試料を上記の供給速度で30時間添加した後、第2試料の供給を停止し、その温度で10時間保持した。保持後、電気炉から坩堝を取り出し、室温まで放冷した。室温まで冷却した坩堝を温水中に入れ、クロム添加のコランダム結晶を分離・回収した。得られた結晶は、六角両錐形を基本形状とした立体形状を有し、濃赤色透明であった。
まず、第1試料として、酸化アルミニウム(1.5g)、酸化クロム(0.008g)、酸化モリブデン(28.5g)および炭酸リチウム(1.5g)を秤量し、乳鉢に入れた。次いで、第2試料として、酸化アルミニウム(3.0g)、酸化クロム(0.016g)、酸化モリブデン(57.0g)および炭酸リチウム(3.0g)を秤量し、別の乳鉢に入れた。この第1試料および第2試料をそれぞれの乳鉢中で、約20分間乾式混合した。その後、第1試料を白金坩堝に充填し、第2試料を白金製の上部供給装置に充填し、上部供給装置に接続された蓋を白金坩堝にかぶせた。電気炉内に温度勾配を設け、白金坩堝を毎時45℃の速度で1100℃まで加熱し、上部供給装置を毎時45℃の速度で900℃まで加熱した。その後、白金坩堝が1100℃まで達した後、900℃に加熱した第2試料を、第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、毎時0.05g〜0.5gの供給速度で白金坩堝中に添加した。第2試料を上記の供給速度で30時間添加した後、第2試料の供給を停止し、その温度で10時間保持した。保持後、電気炉から坩堝を取り出し、室温まで放冷した。室温まで冷却した坩堝を温水中に入れ、クロム添加のコランダム結晶を分離・回収した。得られた結晶は、六角両錐形を基本形状とした立体形状を有し、濃赤色透明であった。
Claims (10)
- 原料およびフラックスを含有する第1試料を加熱し、前記フラックスを蒸発させて、六角両錐形を基本形状とするコランダム結晶を析出および成長させる加熱・蒸発工程と、前記加熱・蒸発工程後に残存した試料から前記コランダム結晶を分離する分離工程とを有するコランダム結晶の製造方法であって、
前記加熱・蒸発工程は、加熱した前記第1試料に、原料およびフラックスを含有する第2試料を供給する試料供給工程を含むことを特徴とするコランダム結晶の製造方法。 - 前記試料供給工程は、前記加熱・蒸発工程にて前記フラックスが完全に蒸発する前に行われることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記試料供給工程では、前記第1試料中の原料の過飽和状態を維持するように、前記第2試料が供給されることを特徴とする請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記試料供給工程が、複数回または連続的に行われることを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第3項までのいずれかの請求の範囲に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記フラックスは、モリブデン化合物を含有することを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第4項までのいずれかの請求の範囲に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記モリブデン化合物は、酸化モリブデン、もしくは加熱により酸化モリブデンを生成する化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第5項までのいずれかの請求の範囲に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記フラックスは、蒸発抑制剤を含有することを特徴とする請求の範囲第5項または請求の範囲第6項に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記蒸発抑制剤は、アルカリ金属化合物であることを特徴とする請求の範囲第7項に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属酸化物、あるいは加熱によりアルカリ金属酸化物を生成する化合物であることを特徴とする請求の範囲第8項に記載のコランダム結晶の製造方法。
- 前記原料がクロム化合物を含むことを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第9項までのいずれかの請求の範囲に記載のコランダム結晶の製造方法。
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JPS6317297A (ja) * | 1986-07-07 | 1988-01-25 | Matsushima Kogyo Co Ltd | ルビ−単結晶の製造方法 |
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Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6081083A (ja) * | 1983-10-06 | 1985-05-09 | Seiko Epson Corp | フラツクス法による単結晶の合成方法 |
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