JP4667686B2 - 光ファイバ母材の端部加熱・加工方法および光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置 - Google Patents

光ファイバ母材の端部加熱・加工方法および光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア部とその外周を覆うクラッド部からなるガラス化された光ファイバ母材を線引きして光ファイバを形成する前に行う、光ファイバ母材の加熱加工方法及びそれに用いる装置に関する。
より特定的には、本発明は、光ファイバの線引きに使用する光ファイバ母材の端部の形状を所定の形状に加工する、光ファイバ母材の端部を加熱・加工する加熱・加工方法、とそれに使用する光ファイバ母材の端部の加熱・加工装置に関する。
【0002】
【背景技術】
光ファイバは光通信、光計測などの用途に広く使用されている。
たとえば、単一モードの石英光ファイバは、直径10μmのコアと、このコアの外周に形成された直径125μmのクラッドと、このクラッドの外周に被着された樹脂被覆とを有する。コアには屈折率を高めるためのドーパントが導入されており、コアの屈折率はクラッドの屈折率より高い。
【0003】
そのような光ファイバは、光ファイバ母材を加熱線引きして形成する。光ファイバ母材は、光ファイバのコアに相当する部分であるコア部と、光ファイバのクラッドに相当する部分であるクラッド部とを有する。
コア部とその外周を覆うクラッド部からなる透明ガラス化された光ファイバ母材を加熱し線引して、たとえば、上述したコアとクラッドとを有する光ファイバを製造する場合、加熱はコア部の外周に位置するクラッド部から始まる。ところを加熱する初期は通常、コア部が光ファイバ母材の先端まで入っていない。光ファイバ母材内のコア部が光ファイバ母材の先端から露出し、かつ、線引き時の溶融変形部の形状になっていないと、線引きしてもすぐにはコアとクラッドとからなる正規の光ファイバは形成されない。そのため、光ファイバ母材を加熱して線引きする時は、事前に光ファイバ母材の端部の形状を線引き時の溶融変形部の形状にしておく必要がある。そのように端部を線引き時の溶融変形部の形状にした光ファイバ母材を加熱しながら線引きすると、無駄な線引きなしに、たとえば、直径10μmのコアと、このコアの外周に形成された直径125μmのクラッドとを有する正規の単一モードの光ファイバが形成される。
【0004】
このように、光ファイバの線引きに際しては、その前処理として、光ファイバ母材の端部を線引きのために好ましい形状、たとえば、線引き時の溶融変形部の形状に加工する処理が必要となる。
【0005】
本明細書において、この作業を光ファイバ母材の端部加熱・加工方法と呼び、その処理に使用する装置を光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置と呼ぶ。
【0006】
いかに迅速に、効率よく、コア部を光ファイバ母材の先端から露出させるかが、加熱炉などの設備の稼働率向上のためのキーポイントである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光ファイバ母材の端部の加熱・加工を高速度で行うと、屈折率を高めるためのドーパントを含有しているコア部の粘度とクラッド部の粘度が異なるため、コア部とクラッド部との外径比率に応じて線引きされず、光ファイバの直径が変動する。光ファイバの直径の乱れが大きくなると、線引きした光ファイバの外周(クラッドの外周)に紫外線硬化樹脂などを被覆したとき被覆の厚さが不均一になり、被覆の不良となり、さらに光ファイバの破断につながる。
【0008】
このような不具合を防ぐために、これまで、ガラス旋盤で光ファイバ母材の先端部を機械加工してコア部を光ファイバの端部から露出させる方法が試みられている。
しかしながら、この方法では光ファイバ母材の表面に機械加工時の切り屑が光ファイバ母材の端部に付着することがあり、付着した切り屑などが光ファイバの線引き時に影響して光ファイバの外径不良を引き起こすこともある。
【0009】
一方、光ファイバ母材の全体は、加熱炉において透明ガラス化後に1200〜1300℃に温度保持または加熱され、その後に、光ファイバの線引きのために、あるいは、線引きに備えた保管のために、加熱炉から常温の大気中に出される。
しかしながら、光ファイバ母材が加熱炉から大気中に出されて、光ファイバ母材の表面が急激に冷却されると、光ファイバ母材の表面に微少の歪みが残留することがあり、その残留歪みが線引き後の光ファイバの強度を低下させる傾向がある。
【0010】
本発明の目的は、光ファイバ母材に残留した微少な歪みを除去し、且つ、光ファイバの線引き工程の立ち上げ時間を短縮できる光ファイバ母材の端部を加熱・加工する方法(光ファイバ母材の端部加熱・加工方法)を提供することにある。
本発明の目的はまた、そのような光ファイバ母材の端部加熱・加工方法に使用する光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ファイバ母材の下端部を加熱溶融して光ファイバとして線引きするための形状に加工する光ファイバ母材の端部加熱・加工方法であって、
前記光ファイバ母材の下端部を前記光ファイバ母材の下端部を加熱させる加熱炉の加熱部の近傍に位置決めする光ファイバ母材位置決め工程と、前記光ファイバ母材の下端部を加熱して当該下端部を前記光ファイバの線引き時の溶融変形部の形状に加工する端部加工工程と、前記端部加工工程で生じた前記下端部の加工部のうち不要部分を除去する不要部分除去工程と、前記不要部分除去工程の後、前記不要部分が除去されて残った前記光ファイバ母材の下端部に不活性ガスを吹きつけて冷却する光ファイバ母材端部冷却工程と、を有する、光ファイバ母材の端部加熱・加工方法が提供される。
【0012】
好ましくは、前記端部加工工程において、前記光ファイバ母材の平行部の下端から前記不要部分が除去されて残った前記光ファイバ母材の先端部までの長さが、前記光ファイバを線引きする線引き工程の立ち上げ時間が最短時間に近づく長さになるように前記光ファイバ母材の下端部を加工する。
【0013】
好ましくは、前記光ファイバ母材を前記加熱炉から取り出す前に、前記光ファイバ母材全体を加熱し、その後、大気雰囲気においても熱歪みが生じない温度まで低下させる光ファイバ母材低温加熱工程を有する。
【0013】
好ましくは、前記光ファイバ母材低温加熱工程において、前記光ファイバ母材の全体を1100〜1300°Cに加熱し、その後、前記光ファイバ母材の加熱温度を600〜400°Cに低下させる。
【0014】
好ましくは、前記端部加工工程において、前記光ファイバ母材の前記下端部の周囲に上部から下部に向けて不活性シールガスを流す。
【0015】
好ましくは、前記光ファイバ母材位置決め工程前記光ファイバ母材が前記加熱炉に導入される前は、前記加熱炉内に下部から上部に向けて不活性シールガスを流す。
【0016】
好ましくは、前記不要部除去工程において、前記加熱炉の前記加熱部を外気から遮断し、加熱状態を保持した状態で前記不要部を前記加熱炉の外部へ排出する。
【0017】
好ましくは、前記加熱部の下部に位置する不要部を切り離す不要部切り離し手段と、前記不要部切り離し手段の下部に位置し、切り離された不要部を収容する不要部収容部と、前記不要部収容部の下に位置し、前記不要部を前記加熱炉の外部に排出する不要部排出手段と、前記加熱炉の加熱部と、前記不要部排出手段との間に、これらの間を開閉自在に仕切る仕切り手段と、前記不要部収容部の内部を不活性ガスでパージするガスパージ手段とを有し、前記不要部収容部は前記仕切り手段と不要部排出手段との間に位置する光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置を用い、
前記不要部除去工程は、前記仕切り手段を閉じて前記加熱部を外気から隔離させ、前記不要部排出手段を開けて前記不要部収容部に収容されている前記不要部を外部に排出し、前記不要部排出手段を閉じて前記不要部収容部を外気から隔離し、前記ガスパージ手段を駆動して前記不要部収容部から外気を排出し、前記仕切り部を開けて前記加熱部と前記不要部収容部とを連通させる
【0018】
好ましくは、前記不要部除去工程において、前記光ファイバの線引き開始から目標の線引き速度に到達するまでの間に線引される前記光ファイバ母材分を残して不要部を除去する。
【0019】
好ましくは、ファイバ母材の端部を加熱炉内で加熱溶融して光ファイバとして線引きするための形状に加工する光ファイバ母材の端部加熱・加工装置であって、
前記加熱炉の上部に位置し、前記光ファイバ母材を前記加熱炉に導入し、その昇降位置の位置決めを行う吊り下げ手段と、前記加熱炉に導入された前記光ファイバ母材の下端部を加熱する第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段を制御して、前記光ファイバ母材の端部を線引きするための形状に加工する制御手段と、前記第1の加熱手段の下部に位置し、前記光ファイバ母材の下端部の加工部のうち不要部を切り離す不要部切り離し手段前記不要部切り離し手段の下に位置し、前記不要部を前記加熱炉の外部に排出する不要部排出手段と、を有する、光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置が提供される。
【0020】
好ましくは、前記不要部切り離し手段の下部に位置し、切り離された不要部を収容する不要部収容部をさらに有する。
【0021】
好ましくは、前記不要部収容部には当該不要部収容部内を冷却する冷却手段が
設けられている。
【0022】
好ましくは、前記第1の加熱手段の上部に位置し、前記加熱炉内に導入された前記光ファイバ母材の下端部より上の部分を加熱する第2の加熱手段をさらに有する。
【0023】
好ましくは、前記第1の加熱手段と、前記不要部排出手段との間に、これらの間を開閉自在に仕切る仕切り手段と、前記不要部収容の内部を不活性ガスでパージするガスパージ手段と、をさらに有し、前記不要部収容は前記仕切り手段と前記不要部排出手段との間に位置している。
【0024】
好ましくは、前記第1の加熱手段はカーボン抵抗炉である。
【0025】
【発明の実施の形態】
第1実施の形態
図1は本発明の光ファイバ母材の端末部の加熱・加工装置の第1の実施の形態としての加熱炉の主要部を図解した縦断面図である。
【0026】
図1に図解した加熱炉1は、本発明の第2の加熱手段としての上部加熱炉2と本発明の第1の加熱手段としての下部加熱炉3とを備えた炉体4を備えている。炉体4内には、ガラス化された光ファイバ母材7が支持棒7aで支持されて収容されている。支持棒7aはその上部に位置する吊り下げ機構12によって支持されている。支持棒7aと吊り下げ機構12とが本発明の吊り下げ手段を構成している。
【0027】
下部加熱炉3の下部にはガスノズル8が設けられている。下部チャンバー9が本発明の不要部収容部に該当する。
下部チャンバー9の肉厚内には、冷却水の如き冷却媒体を流す冷却部11が設けられている。冷却部11が本発明の冷却手段に該当する。
【0028】
ガスノズル8の下部には下部チャンバー9が設けられている。複数のガスノズル8は、炉体4の下部に設けられており、後で述べる加工された光ファイバ母材7の下部を冷却する。ガスノズル8が本発明の冷媒排出手段に該当する。
下部チャンバー9の下部はシャッター10が設けられている。炉体4の下部のガスノズル8の下に連設されて設けられた下部チャンバー9の下端は、シャッター10で開閉される。シャッター10が本発明の仕切り手段に該当する。
【0029】
ガラス化された光ファイバ母材7は、コア部5とその外周を覆うクラッド部6とを有する。
本明細書において述べる処理の後に行われる光ファイバの線引き工程において、光ファイバ母材7が加熱されて線引きが行われると、コア部5が、たとえば、直径10μmのコアになり、クラッド部6が直径125μmのクラッドとなる。その後、線引きされた光ファイバに紫外線硬化樹脂などの被覆が施される。
【0030】
本発明の光ファイバ母材の端部の加熱・加工装置として、加熱炉1の他に制御手段15が設けられている。制御手段15は、基本制御動作として、上部加熱炉2および下部加熱炉3の加熱制御を行う。さらに、制御手段15はガスノズル8の冷媒噴射制御、および、吊り下げ機構12の昇降および回転制御を行う。制御手段15は、たとえば、マイクロコンピュータを内蔵しており、マイクロコンピュータが上述した制御処理を行う。
【0031】
図1に図解した、加熱炉1および制御手段15は、本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置の1例として、光ファイバ母材7を加熱線引きして光ファイバを形成する前処理として、光ファイバ母材7の端部を所定の形状に形成し、かつ、冷却歪みを防止するために用いる。
【0032】
図2を参照して加熱炉1および制御手段15を用いて行う本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法の実施の形態について述べる。
【0033】
図2は図1に図解した加熱炉1および制御手段15によって行われる工程を図解したフロー図である。
【0043】
ステップ1:光ファイバ母材搬入工程
コア部5とクラッド部6とを有するガラス化した光ファイバ母材7を支持棒7aで支持し、吊り下げ機構12を駆動して、炉体4の内部に下降させて、光ファイバ母材7を図1に図解のように炉体4に搬入する。特に、光ファイバ母材7の下部が下部加熱炉3の近傍に位置するように光ファイバ母材7を炉体4の内部に配設する。制御手段15は、吊り下げ機構12を駆動制御して上記動作を遂行する。
【0034】
ステップ2:光ファイバ母材下端部加工工程
制御手段15で下部加熱炉3を駆動し、炉体4内に吊下げ配置した光ファイバ母材7の端部を下部加熱炉3で加熱する。
なお、ステップ2〜ステップ4の工程と同時に、ステップ5として述べる上部ヒータ2による光ファイバ母材7の下端部より上部の光ファイバ母材全体の加熱を行うことが望ましいが、ステップ5の動作は後述する。
【0035】
ステップ2において、制御手段15は、光ファイバ母材7の下端部が加熱溶融した形状変化が起こる温度に下部ヒータ3を加熱制御する。その温度は、たとえば、1900〜2100°Cである。
【0036】
好ましくは、光ファイバ母材7の下部の溶融加工中は、制御手段15により支持棒7aを支持している吊り下げ機構12を調整して、下部加熱炉3の適当な位置に光ファイバ母材7の下端の加熱溶融部が位置するように該光ファイバ母材7を上下する。
【0037】
ステップ3:不要部の除去工程
光ファイバ母材7のうち、クラッド部6部分が先端が、図1に図解のように、溶融して垂れ下がる。このように垂れ下がったクラッド部分は、自重により光ファイバ母材7の本体分から破断して、下部チャンバー9内に落下する。
下部チャンバー9に落下した不要部(余剰部分)はチャンバー9の肉厚部に形成された冷却部11により所定温度以下に冷却された後に、制御手段15の制御によりシャッター10を開いて外部に排出する。
【0038】
ステップ4:加工部の冷却工程
ステップ3における不要部が切り離された光ファイバ母材7の端部の加熱加工部に対して、制御手段15の制御のもと図1に図解したガスノズル8から高速度で窒素またはアルゴン等の不活性ガスを吹き付けて、加熱溶融部を冷却する。このような冷却を行うと、光ファイバ母材7の端部加熱溶融部の粘度が小さいため変形し易い下端部の形状を固定することができる。
【0039】
ステップ6:母材下部加工繰り返し工程
図3は光ファイバ母材7の下部を一度溶融加工したときの下部形状を示す。図3に例示した光ファイバ母材7の端部の形状は、クラッド部6が円錐状に長く伸び、コア部5が光ファイバ母材7の端部から露出していない。この形状では、下端部の長さが長くて、線引きなどのための光ファイバ母材7の搬送に不便である。さらにコア部5が端部から露出していないし、線引き時の溶融変形部の形状ではない。そのため、光ファイバに線引きする際にも立ち上げ時に光ファイバの外径が定常状態になるまでに時間がかかる。光ファイバ母材7の平行部を線引きするまでは光ファイバの外径が安定しない。
線引き時の溶融変形部の形状としては、たとえば、そのような形状を言う。
このようなクラッド部の溶融加工部分が上述した不要部(余剰部分)に相当する。
【0040】
そこで、本実施の形態においては、制御手段15の制御により、光ファイバ母材7の下部を複数回溶融加工して光ファイバ母材の端部の形状を、線引き時の溶融変形部の形状になるまで加工する。すなわち、制御手段15により上記「S1:光ファイバ母材搬入工程」〜「S4:加工部冷却工程」を複数回繰り返して、図3に図解した鋭角な形状の光ファイバ母材7の端部の不要部を、図4に例示したように、コア部5の先端が露出し、線引き時の溶融変形部の形状に近似した形状に加工する。
【0041】
そのため、制御手段15は、吊り下げ機構12を制御して支持棒7aに支持されている光ファイバ母材7を、不要部が除去された分だけ、炉体4において所定距離下降させる。その位置において、制御手段15は、下部加熱炉3とを制御して、光ファイバ母材7の端部の溶融加工を行う。この処理を複数回繰り返す。
通常、光ファイバ母材7を下降させる距離は、処理回数が多くなるにつれて少なくする。その距離は制御手段15に事前に記憶させておくことができる。あるいは、加熱炉1に下部加熱炉3の内部を監視する撮像装置を設け、撮像装置の検出信号を制御手段15に入力して制御手段15が画像処理して図4に図解した形状になったことを確認して自動的に停止させることもできる。
【0042】
そのような繰り返し処理を行うことにより、図4に示すように光ファイバ母材7の下部先端を短くする。勿論、この形状では、光ファイバ母材7の下部先端から、すなわち、溶融して丸みを帯びたクラッド部6の先端から、コア部5が露出しており、線引き時の溶融変形部の形状に近似した形状をしている。図4に図解した端部形状の光ファイバ母材7を加熱溶融して線引きすると、無駄なく、かつ、品質が均一の、たとえば、直径が10μmのコアと、その外周に位置する直径125μmのクラッドからなる光ファイバが形成される。
【0043】
外径130mm、長さ1.5mの光ファイバ母材7を用いた場合、図4に例示した光ファイバ母材7の下端の直径Dは、15〜25mm、好ましくは約20mm程度位が線引き開始時の光ファイバの引出しに都合がよい。さらに、図4において光ファイバ母材7の平行部の下端から光ファイバ母材7の下端までの長さLは、次工程である線引き工程の立ち上げ時間が最短時間に近づくように設定される。具体的な例を述べると、長さLは150〜300mm程度が好ましい。
【0044】
光ファイバ母材7の下端が上記の如き形状になると、光ファイバの線引き立ち上げ時(線引き初期)の加熱時間後には、たとえば、線引き立ちあげから数十分程度後には目的とする光ファイバ母材7の平行部での線引きが行われるようになる。すなわち、本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法を実施すると、その後の線引き工程の処理時間が短縮できる。
【0045】
なお、上述した「母材下部加熱加工繰り返し工程」の処理を、多数回行うと、時間がかかるので、2〜3回で図4に示す形状にするのが効率的である。その制御は制御手段15で行う。このような形状になるまでの加工時間は、約2時間程度である。
【0046】
上述した「母材下部加熱加工繰り返し工程」の終了の判定方法としては、上述した回数で判定する方法、撮像装置を用いる方法の他、種々の方法をとることができる。たとえば、そのような方法としては、人間が光ファイバ母材7の下端を目視して判断して制御手段15に指示して繰り返し処理を停止する方法をとることができる。
【0047】
ステップ5:光ファイバ母材全体の加熱
制御手段15は、ステップ2〜ステップ4、ステップ6の動作と平行して上部ヒータ2による光ファイバ母材7の下端部より上部の光ファイバ母材7全体の加熱を行うことが望ましい。その理由としては、光ファイバ母材の上部加熱炉2による光ファイバ母材7の上部の高温加熱によって、この処理の前工程である光ファイバ母材7のガラス化時に光ファイバ母材内部に残留していたヘリウムガスが本加熱中に光ファイバ母材7から排出するので、線引き中に光ファイバの外径変動がなくなる。また、線引きされた光ファイバの強度の低下を抑制することができる。さらに、ヘリウムガスの排出は線引きした光ファイバの損失低下を防止する。
【0048】
制御手段15は、下部加熱炉3の加熱温度を上部加熱炉2の加熱温度より高く駆動制御する。たとえば、上部加熱炉2による加熱は1100〜1300°C程度であるが、光ファイバ母材7の下部は下部加熱炉3で1900〜2100℃に加熱して溶融加工する。
【0049】
ステップ7:光ファイバ母材の取り出し工程
光ファイバ母材7を取り出し工程は、下記に述べる、(1)光ファイバ母材全体低温加熱工程と、(2)光ファイバ母材の取り出し工程からなる。
【0050】
(1)光ファイバ母材全体低温加熱工程
光ファイバ母材7の端部が図4に例示した線引き時の溶融変形部の形状に近似した形状になった後、光ファイバ母材7を加熱炉1から大気中に取り出す前に、(a)加熱炉1の内部において光ファイバ母材7全体を加熱し、(b)その後、ゆっくりと冷却する。すなわち、加熱により光ファイバ母材7を加熱した後の光ファイバ母材7の内部応力歪みを解放した後、光ファイバ母材7の温度と大気の温度との差が急冷却に伴う光ファイバ母材7の歪みが再び起きない程度まで光ファイバ母材7の温度を低下させる。この温度制御は、制御手段15により上部ヒータ2を制御して行う。この工程が母材低温加熱工程である。
【0051】
そのような低温加熱温度としては、光ファイバ母材7が軟化しない温度である。たとえば、制御手段15は、初期温度として、上部加熱炉2を制御して温度1100〜1300°C程度で光ファイバ母材7を加熱して、その後、この初期温度より十分低い温度、たとえば、光ファイバ母材7の温度が600℃以下、好ましくは、600〜400°C程度になるように上部加熱炉2を制御する。このような温度から光ファイバ母材7を大気雰囲気において自然冷却させると、光ファイバ母材7に応力歪みが起きない。
【0052】
上記加熱加工温度雰囲気から上記低温加熱温度に推移させるには、好ましくは、まず、光ファイバ母材7の端部の溶融加工のための下部加熱炉3の温度1900〜2100℃を上部加熱炉2の温度1100〜1300°Cの近傍まで低下させて、上部加熱炉2および下部加熱炉3の全体の炉体4の内部温度をほぼ同じにして(1100〜1300°C)、その後、上部加熱炉2および下部加熱炉3を制御した低温加熱温度(600〜400°C)まで一定の温度勾配で低下させることが望ましい。制御手段15は、上部加熱炉2および下部加熱炉3の温度制御を上記の温度になるように制御する。
【0053】
なお、この低温加熱工程において、制御手段15は、光ファイバ母材7の加工部も下部加熱部3から離れて上部加熱部2で加熱されるよように、吊り下げ機構12を駆動して光ファイバ母材7全体を少し上昇させることが望ましい。
そのような低温加熱時間は、たとえば、2〜3時間である。
【0054】
なお、このような低温加熱工程は、光ファイバ母材7の下部を加工する工程とは独立に行うことができる付加的な工程である。この工程は本願発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法から除くこともできる。
【0055】
(2)光ファイバ母材の取り出し工程
上述した低温加熱工程の処理が終了したら、光ファイバ母材7を加熱炉1から排出する。この排出方法としては、制御手段15の制御により、支持棒7aに支持されている光ファイバ母材7を加熱炉1の上部から排出する。
以上により、本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法の処理は終了する。
【0056】
上述した工程のうち、本発明の光ファイバ母材加工工程(方法)の基本工程として、ステップ2の光ファイバ母材端部加工工程、ステップ3の不要部除去工程、ステップ4の加工部冷却工程となる。
光ファイバ母材加工工程(方法)として、必要に応じて、ステップ6の繰り返し工程を行う。さらに、ステップ5の光ファイバ母材全体の加熱工程を上記工程と並行して行うことが望ましい。
【0057】
上述した光ファイバ母材の端部加熱・加工方法によれば、加工された光ファイバ母材7を用いて光ファイバを線引きした場合、光ファイバの線引き当初から光ファイバ母材7(クラッド部)の中央部にコア部が位置しているので、予定通りの線引きが行われ、高速線引き時でも光ファイバの断線が少なくなる。したがって、本発明による形成された光ファイバ母材7を使用すれば、線引き立ち上げ時間も短縮でき、線引きされた光ファイバの破断も少ない。
【0058】
本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法によれば、光ファイバ母材の下部形状を一定にできるので、光ファイバ母材7の搬送及び線引き条件が安定する。
上述した本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法において、ステップ5として示した、光ファイバ母材全体を加熱する工程を行った場合、光ファイバ母材の上部加熱炉2による光ファイバ母材7の上部全体の加熱によって、この処理の前工程である光ファイバ母材7のガラス化時に光ファイバ母材内部に残留していたヘリウムガスが本加熱中に光ファイバ母材7から排出するので、線引き中に光ファイバの外径変動がなくなる。また、線引きされた光ファイバの強度の低下を抑制することができる。さらに、ヘリウムガスの排出により線引きした光ファイバの損失増加が防止できる。
【0059】
上述した本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法は、上述した効果を奏する処理、すなわち、図2に図解したステップ1〜ステップ7の処理が同じ加熱炉1を用いて一貫して行えるので、作業効率が高く、熱効率もよい。
【0060】
本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法によれば、光ファイバ母材7の上部全体を加熱する上部加熱炉2と、光ファイバ母材7の下端部を加熱する下部加熱炉3とを分離しており、光ファイバ母材7の下端部のみを加熱する下部加熱炉3の加熱温度を上部加熱炉2の加熱温度より高くしているので、光ファイバ母材7全体を加熱する場合に比較して加熱時問が短縮される。
【0061】
本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法の実施に際しては、上述した実施の形態には限定されない。以下、その変形態様を述べる。
【0062】
母材下部加工工程および母材下部加工繰り返し工程における加熱中に、制御手段15が吊り下げ機構12を駆動して、光ファイバ母材7をその軸心の回りに回転させる。そうすると、上部加熱炉2および下部加熱炉3に包囲された光ファイバ母材7の円周方向の加熱が均一化され易いので、光ファイバ母材7の下端の加熱溶融部の形状が安定する。
【0063】
さらに好ましくは、下部加熱炉3を上下方向に複数個に分割して構成し、制御手段15はそれぞれの複数個の下部加熱炉に対して垂直方向に温度勾配を持たせるように制御する。このようにすることによって、光ファイバ母材7の下部の加工をさらに効率良く行うことができる。
【0064】
図1に図解した加熱炉1においては、上部加熱炉2と下部加熱炉3とを併用した場合について述べたが、上述したように、ステップ5として述べた光ファイバ母材7上部全体の加熱工程は付加的な工程であるから、ステップ5の工程を行わないときは、上部加熱炉2を排除して構成にすることができるか、ステップ5において制御手段15による上部加熱炉2の温度制御をしないでもよい。
【0065】
上述した図4において光ファイバ母材7の下端の直径D、および、平行部の下端から光ファイバ母材7の下端までの長さLは例示であり、光ファイバ母材7の外径が異なれば、これらの値は異なる場合がある。
【0066】
以上の例示においては、光ファイバ母材7を単一モードの光ファイバの線引きする場合を前提して述べたが、本発明により端部の形状が加工された光ファイバ母材7は、単一モードの光ファイバに限らず、その他の光ファイバ、たとえば、偏波面保存型光ファイバ、分布定数型光ファイバなどにも適用できる。
【0067】
第2実施の形態
本発明の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法および光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置の第2実施の形態について述べる。
上述したように、本発明の第1実施の形態の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法は、光ファイバ母材を光ファイバに線引きするときに効率のよい光ファイバ母材の端部形状に加工することを目的の1つとしている。本発明の第2実施の形態は、第1実施の形態をさらに改良したものである。
【0068】
第2実施の形態(第1の形態)
図5は本発明の第2実施の形態の第1の形態としての光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置の部分図である。
【0069】
図5に図解した光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置20は、加熱加工炉21と、切断機23と、切断部取り出し室25と、シャッター27と、図解しないガスノズルとを有する。さらに端部加熱・加工処理装置20は制御手段35を有する。
図5に図解した端部加熱・加工処理装置20は、図1に図解した加熱炉1とを対比すると、図5の加熱加工炉21が図1の下部加熱炉3に対応しており本発明の第1の加熱手段に該当する。図1の下部チャンバー9が図5の切断部取り出し室25に対応しており、本発明の不要部収容部に該当する。図1のシャッター10が図5のシャッター27に対応しており、本発明の不要部排出手段に該当する。図1のガスノズル8が図5には図解しないガスノズルに対応しており、本発明の冷媒排出手段に該当する。図5の制御手段35が図1の制御手段15に対応している。
【0070】
図5に図解した制御手段35も、基本的に、図2に図解した工程の制御処理を行う。すなわち、図5に図解した端部加熱・加工処理装置20も、図2に図解した諸工程、すなわち、S1:光ファイバ母材搬入工程、S2:母材下部加工工程、S3:不要部除去工程、S4:加工部冷却工程、および、S6:繰り返し工程が行われる。もちろん、第2実施の形態においても、必要に応じて、ステップ5の光ファイバ母材上部全体加熱工程をこれらの工程と並行して行うこともできる。さらに、第2実施の形態において、ステップ7の光ファイバ母材の取り出し工程を行うこともできる。
【0071】
図5の端部加熱・加工処理装置20には切断機23が付加されている。図1に図解した光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置においては不要部は自重による自然落下により下部チャンバー9に収容される構造をしていたが、図5に図解した光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置において、切断機23で不要部を光ファイバ母材7の本体部分から切り離す構造をしている。不要部の切断は、切断機23を光ファイバ母材7の本体に大きな衝撃を与えない程度の力を不要部に与えて、不要部を光ファイバ母材7の本体から切り離す。
【0072】
図5に図解した端部加熱・加工処理装置20は、図1に図解した加熱炉1における、本発明の第2の加熱手段に該当する上部加熱炉2、炉体4、支持棒7a、吊り下げ機構12が図解されていないが、図5の端部加熱・加工処理装置20においても、支持棒7aに該当する支持棒、吊り下げ機構12に該当する吊り下げ機構が設けられている。また、図5に図解した光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置において、必要に応じて、加熱加工炉21の上部に図1に図解した上部加熱炉2に該当する本発明の第2の加熱手段を設けることができる。さらに、切断部取り出し室25の側壁に、下部チャンバー9と同様、冷却部を設けることができる。
【0073】
したがって、図5に図解した端部加熱・加工処理装置20においても、不使用部分の除去を切断機23を付加した他は、第1実施の形態と同様に光ファイバ母材7の端部形状を加工することができる。
なお、第2実施の形態は、特に、光ファイバ母材7の端部形状の加工をいかにするを重点的に述べる。
【0074】
本願発明者は、図1に図解した加熱炉1および図5に図解した端部加熱・加工処理装置20には下記に列挙する不具合を改善すべき事項を見いだした。
第1の不具合は、図4に図解したように、不使用部を全て廃棄すると、光ファイバの線引き初期段階の加速時に、特性が安定しない期間に線引きした光ファイバが無駄になることである。図6を参照しその詳細を述べる。
【0075】
図6は光ファイバの線引き工程における時間経過に伴う線速および光ファイバの長さの変化を図解したグラフである。横軸は時間経過を示し、縦軸は線速および光ファイバの長さを示す。曲線CV1は線速SPEEDを示し、曲線CV2は光ファイバの長さLENGTH(km)を示す。縦軸の記号VRは目標線速を示し、記号TACCは加速時間を示している。
【0076】
本願発明者の調査によれば、光ファイバの線引きの加速時(加速時間TACC)に消費する光ファイバの長さは一定の値Fになることが判明した。この状態の光ファイバは直径が不安定なので、実用に供さない。このように線引き初期段階において無駄になる光ファイバ母材の部分を不使用分として廃棄してしまうと、光ファイバ母材の無駄が起こる。したがって、第1実施の形態において述べたように、不使用分と考えられる光ファイバ母材を全て廃棄する必要はない。
【0077】
第2の不具合は、加熱加工炉21と切断部取り出し室25とが連続しているから、切断機23が光ファイバ母材7から切り離した不使用部分をシャッター27を開いて外部に排出したとき、外気が切断部取り出し室25に混入する。その場合に加熱加工炉21をカーボン抵抗炉で構成しており、そのカーボン抵抗炉を加熱した状態のとき、カーボン加工炉が損傷し、損傷したカーボンが光ファイバ母材7の表面に付着する。このようなダストが光ファイバ母材7に付着した場合光ファイバが破断し易くなる問題は上述した。そのようなカーボン抵抗炉の損傷を防止するには、カーボン抵抗炉の温度が十分低下するまで待てばよいが、そうすると加工時間が非常に長くなる。
【0078】
図7を参照して光ファイバ母材の表面に付着する異物を調査した結果について述べる。図7は図5に図解した端部加熱・加工処理装置20の加熱加工炉21周辺の部分拡大図である。図7は加熱加工炉21周辺のガスの流れGと温度分布をも示している。
【0079】
光ファイバ母材7の表面に付着する異物は、光ファイバ母材7が溶解するときに発生するSiO2の蒸気、およびカーボン抵抗炉からのカーボン微粒子またはカーボンとSiO2が反応して生成したSiCである。そのような異物が光ファイバ母材7の表面に付着する異物付着領域は、加熱加工炉21の上下の光ファイバ母材7の温度がある温度θ以下、たとえば、θ=1100°C以下の部分であることが判った。すなわち、異物付着領域としては、図7に図解したように、加熱加工炉21の下端部(下付着部)DP1と、加熱加工炉21の上部(上付着部)DP2である。下端部DP1に付着した異物は端部形状加工の後廃棄されるから問題はないが、上付着部DP2に付着した異物の対策を講ずる必要がある。
【0080】
図7における記号P0は線引き開始位置を示している。
【0081】
図8および図9を参照して光ファイバ母材7の直径aと、加熱位置と加工後の端部形状との相関関係についての調査結果を述べる。図8は図7と同様、図5に図解した端部加熱・加工処理装置20の加熱加工炉21周辺の部分拡大図である。図8は特に、加熱加工炉21と光ファイバ母材7の端部の位置関係を図解した図である。
図9は加熱加工炉21に挿入された光ファイバ母材7の位置と光ファイバ母材7の直径との関係を示したグラフである。
【0082】
図8において、加熱加工炉21の上端部を加熱基準位置A(座標軸Lの原点に相当する位置)とし、熱加工前の光ファイバ母材7の有効部分開始位置をP2とし、加熱基準位置Aと有効部分開始位置P2との間の長さを挿入長さL1とする。
【0083】
図8において、実線で示した光ファイバ母材7は加工後の光ファイバ母材7を示しており、破線で示した光ファイバ母材7は加工中の光ファイバ母材7を示している。
【0084】
図9において、横軸は加熱位置Lを示し、縦軸は光ファイバ母材7の直径aを1.0に規格化した値を示す。横軸の記号Aは加熱基準位置を示し、記号P0は図7に示した線引き開始位置を示す。
【0085】
図8および図9に図解したように、加工後の光ファイバ母材7の端部形状は、加熱位置に対して光ファイバ母材7の直径aが一定になり、光ファイバ母材7の有効部分開始位置P2が決定される。
【0086】
図10A〜図10Cは、有効部分開始位置P2と、加速終了後の位置P1と、線引き開始位置P0との関係を示すグラフである。図10Aは、加速終了後の位置P1が有効部分開始位置P2より下に位置している場合を示しており、図10Bは加速終了後の位置P1と有効部分開始位置P2とが一致している場合を示しており、図10Cは図10Aと逆に加速終了後の位置P1が有効部分開始位置P2より上に位置している場合を示している。図10A〜図10Cにおいて記号P0は線引き開始位置を示している。
【0087】
図11は光ファイバ母材の直径aと挿入長さL1との関係を示すグラフである。図11の実線で示した曲線は図10Bに図解した、加速終了後の位置P1と有効部分開始位置P2とが一致する、光ファイバ母材7の直径aと挿入長さL1との関係を示している。この曲線の上(横)に位置する状態が図10Aに該当しており、曲線の下に位置する状態が図10Cに該当している。
【0088】
図11の特性は、線引き後の光ファイバの体積と、光ファイバ母材7の体積との比較から求めた。
【0089】
図12は挿入長さL1と、加速終了後の位置P1および有効部分開始位置P2との関係を示すグラフである。図12に示す結果は、直径a1の光ファイバ母材7について、図11から求めた最適な挿入長さL1(a1)前後で光ファイバ母材7の挿入長さを変化させて、加速終了後の位置P1と有効部分開始位置P2との相対位置を調べた結果である。有効部分開始位置P2が加速終了後の位置P1の上にある場合をプラスにとってある。
この実験によれば、図11から求めた挿入長さL1(a1)の時、加速終了後の位置P1と有効部分開始位置P2とが一致することが確認できた。
【0090】
上述したことを整理する。図6を参照して述べたように線引き開始から加速終了までの光ファイバの長さF(km)が一定になること、および、図8および図9を参照して述べた相関関係を考慮すると、光ファイバ母材7の直径aが判れば、図11の特性を参照して挿入長さL1を求めることにより、加速終了直後から正規の形状の光ファイバを線引きすることができる、光ファイバ母材の端部加熱・加工条件が判る。
【0091】
第2実施の形態(第2形態)
第2実施の形態の第2形態は上述した知見を反映させたものである。
【0092】
図13は第2実施の形態の第2形態の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置20Aの構成図である。
【0093】
端部加熱・加工処理装置20Aは、加熱加工炉21と、切断機23と、切断部取り出し室25と、シャッター27と、図解しないガスノズルと、炉内ガス排出ポート24と、真空ゲートバルブ26と、パージガス供給ポート28と、パージガス排出ポート29とを有する。端部加熱・加工処理装置20Aは制御手段35を有する。
【0094】
端部加熱・加工処理装置20Aには、図5に図解した端部加熱・加工処理装置20における加熱加工炉21、切断機23、切断部取り出し室25、シャッター27、および、図解しないガスノズルに加えて、炉内ガス排出ポート24、真空ゲートバルブ26、パージガス供給ポート28およびパージガス排出ポート29が付加されている。
【0095】
もちろん、図13の端部加熱・加工処理装置20Aにも、図5の端部加熱・加工処理装置20と同様、図1に図解した上部加熱炉2、炉体4、支持棒7a、吊り下げ機構12などを設けることができる。
【0096】
端部加熱・加工処理装置20Aにおいて、炉内ガス排出ポート24、真空ゲートバルブ26、パージガス供給ポート28およびパージガス排出ポート29は、加熱加工炉21がカーボン抵抗炉の場合に、上述した大気の混入によるカーボン抵抗炉の損傷を防止するために設けられたものである。
【0097】
図13の制御手段35は光ファイバ母材7の端部の形状を、光ファイバの線引きに好適な条件に加工制御する。
上記カーボン抵抗炉の損傷を防止つつ、第2実施の形態の第2形態の光ファイバの線引きに好適な光ファイバ母材の端部の形状を加工する方法について述べる。
【0098】
図13に図解した制御手段35は、基本的に図1に図解した制御手段15と同様、図2に図解した、諸工程を行う。
ただし、第2実施の形態の第2形態においては、後述するように、ステップ2の母材端部加工工程における処理が改良され、ステップ3の不要部除去工程における処理が改良され、ステップ7の光ファイバ母材の取り出し工程内の(a)母材低温加熱工程および(b)光ファイバ母材7の取り出し工程が時間短縮のため改良されている。
【0099】
シールガス制御
光ファイバ母材7に異物が付着することを防止するため、ステップ2の母材下部加工工程内のシールガス制御について述べる。
【0100】
図14は、図5に図解した端部加熱・加工処理装置20における加熱加工炉周辺のガスの流れと温度分布を示した図7と同様、図13に図解した端部加熱・加工処理装置20における加熱加工炉周辺のガスの流れと温度分布を示した部分拡大図である。
【0101】
図15は図13および図14に図解した加熱加工炉21の近傍の上部シールガス供給ポートを図解した図である。この上部シールガス供給ポートは幅2mmのスリットを加熱加工炉21の周方向から配置したものである。
【0102】
光ファイバ母材7が炉体の内部に挿入されて光ファイバ母材7の端部が加熱加工されるとき、加熱加工炉21の上部口の全周から、光ファイバ母材7の直径方向に、図15に図解した上部シールガス供給ポートを用いて、アルゴンガスなどの不活性ガスを上部シールガスとして吹きつける。それとともに、加熱加工炉21の下部からポンプなどで強制的に上部シールガスを排気させて、加熱加工炉21内のシールガスの流れを下降させる。これにより、図7を参照して述べた上付着領域DP2付近に異物が上昇してくることはなく、加熱加工炉21内で発生した異物は、加熱加工炉21の下部に排出される。
【0103】
上部シールガスの流量と加熱加工炉21の下部の排気流量は、光ファイバ母材7と、加熱加工炉21の上内径とのクリアランス(間隙)シールガスの流速、排気流量によって変化する。
排気流量は排気ガスに含まれるCO2濃度が上昇しはじめる流量よりいくぶん少ない流量とした。上部シールガス流量と排気流量とをバランスさせながら上部シールガスの流量を増加させていった結果、光ファイバ母材7と加熱加工炉21の内径とのクリアランスが30mmの場合、上部シールガスの流量が60SLM以上あれば、光ファイバ母材7の表面には異物が付着しないことが確認できた。
【0104】
光ファイバ母材7の加熱加工炉21の内径とのクリアランスCと上部シールガス流量との関係を考察するため、図16に図解したように、加熱加工炉21の上部に円環状(ドーナッツ状)のガラス板40をおいてクリアランスCを変化させた。その結果を図17に示す。クリアランスCを狭めると上部シールガスの流量を少なくすることができる。
【0105】
なお、光ファイバ母材7の端部を加熱加工するとき以外、すなわち、光ファイバ母材7が炉体に挿入されていないときは(図2におけるステップ1の光ファイバ母材搬入工程の前)、上部シールガスのみではシール効果が不十分であり、大気か加熱加工炉21に流入する。そこで、光ファイバ母材7が炉体に導入される前は、上部シールガスの代わりに、加熱加工炉21の下部からシールガスを上部に向けて流して炉体内を上昇流にした。
【0106】
不要部の除去
図13に図解したように、切断部取り出し室25と加熱加工炉21との間に真空ゲートバルブ26が設けられている。切断機23により光ファイバ母材7の端部の不要部(不使用部分)が光ファイバ母材7から切り離されると、図解のごとく、切断部取り出し室25に落下して留まる。
不要部を切断部取り出し室25の外部に排出する場合、制御手段35は真空ゲートバルブ26を閉じ、シャッター27を開いたとき外気が加熱加工炉21に流入しないようにしておく。その後、制御手段35はシャッター27を開け、不要部を外部に排出させる。不要部が外部に排出された後、制御手段35はシャッター27を閉め、パージガス供給ポート28から不活性ガスを切断部取り出し室25に導入し、パージガス排出ポート29から排出させて切断部取り出し室25の内部を不活性ガスによって十分パージする。
【0107】
このガスパージ処理後、制御手段35は真空ゲートバルブ26を開けて、次の不要部が切断部取り出し室25に落下することを可能にする。
このように、真空ゲートバルブ26によって加熱加工炉21と外部とを遮断し、パージガス供給ポート28およびそ29を用いた切断部取り出し室25内の不活性ガスパージを行うことにより、加熱加工炉21を昇温した状態で光ファイバ母材7の不要部の排出が可能となり、処理時間が短縮できた。
【0108】
不要部の切り離し位置
図18(A)〜(C)は光ファイバ母材7の端部の不要部の切り離し位置を図解した図である。
図18Aは、図2に図解したステップ2:母材下部加工工程における加熱加工状態の光ファイバ母材7の端部形状を示す図である。
図18Bは本発明の第1実施の形態における不要部の切断位置を示す図である。
図18Cは本発明の第2実施の形態における不要部の切断位置を示す図である。
図18A〜図18Cにおいて、線引き開始位置P0、加速終了後の位置P1、有効部分開始位置P2の位置関係を示している。
光ファイバ母材7はコア部5とクラッド部6とで構成されている。
【0109】
図18Bに示した第1実施の形態による光ファイバ母材7の端部形状と、図18Cに示した第2実施の形態の第2形態の光ファイバ母材7の端部形状とを比較すると、図18Cにおいては、図6を参照して述べたように、線引き開始から加速終了段階までに品質が規格に満たない一定の長さの光ファイバが製造されることを考慮して、その部分が該当する光ファイバ母材7の端部を残して切り離している。
【0110】
この切り離し位置は、光ファイバ母材7の加熱加工炉21における加熱位置によって制御できる。したがって、制御手段35は、図1に図解した吊り下げ機構12を駆動制御して加熱加工炉21に対する光ファイバ母材7の端部位置を適切に位置決めして、図18Cに図解した切り離し位置で光ファイバ母材7の端部を切り離す。
【0111】
このようにして切り離された光ファイバ母材7を用いて光ファイバに線引きすると、図6に図解したように、線引き開始から加速終了して目標の線引き速度に到達するまでの期間は、不要部の線引きが行われ、目標の線引き速度に到達した時は所定の直径の光ファイバ母材7から線引きされる。その結果、光ファイバ母材7の無駄が無くなる。
【0112】
第2実施の形態の第2形態として、第1実施の形態との相違を中心に述べた。
したがって、説明を省略した部分については第1実施の形態が適用できる。
【0113】
【発明の効果】
第2実施の形態によれば、第1実施の形態に対して下記の特徴および効果を有する。
(1)光ファイバ母材7の無駄がなくなる。
(2)異物の付着が非常に減少する。その結果、高品質の光ファイバが製造できる。
(3)不要部の排出のために加熱加工炉21の温度を低下させる必要がなく、光ファイバ母材7の端部加工時間が短縮する。
【0114】
【産業上の利用可能性】
本発明により加工された光ファイバ母材は、その後、光ファイバに線引きされ、そのようにして形成された光ファイバは各種の光通信、光計測などに適用される。
【0115】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の光ファイバ母材の端末部の加熱・加工装置の第1実施の形態としての加熱炉の縦断面図である。
【図2】 図2は図1に図解した加熱炉を用いた本発明の第1実施の形態としての光ファイバ母材の端末部の加熱・加工方法を示すフロー図である。
【図3】 図3は光ファイバ母材の下部の溶融加工後の第1の形態を示す縦断面図である。
【図4】 図4は光ファイバ母材の下部の溶融加工後の第2の形態を示す縦断面図である。
【図5】 図5は本発明の光ファイバ母材の端末部の加熱・加工装置の第2実施の形態の第1の形態加熱炉の縦断面図である。
【図6】 図6は光ファイバの線引き工程における時間経過に伴う線速および光ファイバの長さの変化を図解したグラフである。
【図7】 図7は図5に図解した端部加熱・加工処理装置の加熱加工炉周辺のガスの流れと温度分布を示した部分拡大図である。
【図8】 図8は図5に図解した端部加熱・加工処理装置の加熱加工炉と光ファイバ母材の端部の位置関係を図解した図である。
【図9】 図9は加熱加工炉に挿入された光ファイバ母材の位置と光ファイバ母材の直径との関係を示したグラフである。
【図10】 図10(A)〜(C)は、有効部分開始位置P2と、加速終了後の位置P1と、線引き開始位置P0との関係を示すグラフである。
【図11】 図11は光ファイバ母材の直径(a)と挿入長さ(L1)との関係を示すグラフである。
【図12】 図12は光ファイバ母材の挿入長さ(L1)と、加速終了後の位置(P1)および有効部分開始位置(P2)との関係を示すグラフである。
【図13】 図13は本発明の光ファイバ母材の端末部の加熱・加工装置の第2実施の形態の第2の形態加熱炉の縦断面図である。
【図14】 図14は、図5に図解した端部加熱・加工処理装置における加熱加工炉周辺のガスの流れと温度分布を示した図7と同様、図13に図解した端部加熱・加工処理装置における加熱加工炉周辺のガスの流れと温度分布を示した部分拡大図である。
【図15】 図15は図13および図14に図解した加熱加工炉の近傍の上部シールガス供給ポートを図解した図である。
【図16】 図16はクリアランスと上部シールガス流量との関係を求めるためにガラス基板をクリアランスに装着した図である。
【図17】 図17はクリアランスCと上部シールガス流量との関係を示したグラフである。
【図18】 図18(A)〜(C)は光ファイバ母材の端部の不要部の切り離し位置の図解した図である。
【符号の説明】
1 加熱炉
2 上部加熱炉(第2の加熱手段)
3 下部加熱炉(第1の加熱手段)
4 炉体
5 コア部
6 クラッド部
7 光ファイバ母材
7a 支持棒
8 ガスノズル
9 下部チャンバー
10 シャッター
11 冷却部
12 吊り下げ機構
15 制御手段
20,20A 端部加熱・加工処理装置
21 加熱加工炉
23 切断機
25 切断部取り出し室
26 真空ゲートバルブ
27 シャッター
28 パージガス供給ポート
29 パージガス排出ポート
35 制御手段

Claims (15)

  1. ファイバ母材の下端部を加熱溶融して光ファイバとして線引きするための形状に加工する光ファイバ母材の端部加熱・加工方法であって、
    前記光ファイバ母材の下端部を前記光ファイバ母材の下端部を加熱させる加熱炉の加熱部の近傍に位置決めする光ファイバ母材位置決め工程と、
    前記光ファイバ母材の下端部を加熱して当該下端部を前記光ファイバの線引き時の溶融変形部の形状に加工する端部加工工程と、
    前記端部加工工程で生じた前記下端部の加工部のうち不要部分を除去する不要部分除去工程と、
    前記不要部分除去工程の後、前記不要部分が除去されて残った前記光ファイバ母材の下端部に不活性ガスを吹きつけて冷却する光ファイバ母材端部冷却工程と、
    を有する、光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  2. 前記端部加工工程において、前記光ファイバ母材の平行部の下端から前記不要部分が除去されて残った前記光ファイバ母材の先端部までの長さが、前記光ファイバを線引きする線引き工程の立ち上げ時間が最短時間に近づく長さになるように前記光ファイバ母材の下端部を加工する、
    請求項1に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  3. 前記光ファイバ母材を前記加熱炉から取り出す前に、前記光ファイバ母材全体を加熱し、その後、大気雰囲気においても熱歪みが生じない温度まで低下させる光ファイバ母材低温加熱工程を有する、
    請求項1または2に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  4. 前記光ファイバ母材低温加熱工程において、
    前記光ファイバ母材の全体を1100〜1300°Cに加熱し、
    その後、前記光ファイバ母材の加熱温度を600〜400°Cに低下させる、
    請求項3に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  5. 前記端部加工工程において、前記光ファイバ母材の前記下端部の周囲に上部から下部に向けて不活性シールガスを流す、
    請求項1〜4のいずれか1に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  6. 前記光ファイバ母材位置決め工程前記光ファイバ母材が前記加熱炉に導入される前は、前記加熱炉内に下部から上部に向けて不活性シールガスを流す、
    請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  7. 前記不要部除去工程において、前記加熱炉の前記加熱部を外気から遮断し、加熱状態を保持した状態で前記不要部を前記加熱炉の外部へ排出する、
    請求項1〜6のいずれかに記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  8. 前記加熱部の下部に位置する不要部を切り離す不要部切り離し手段と、前記不要部切り離し手段の下部に位置し、切り離された不要部を収容する不要部収容部と、前記不要部収容部の下に位置し、前記不要部を前記加熱炉の外部に排出する不要部排出手段と、前記加熱炉の加熱部と、前記不要部排出手段との間に、これらの間を開閉自在に仕切る仕切り手段と、前記不要部収容部の内部を不活性ガスでパージするガスパージ手段とを有し、前記不要部収容部は前記仕切り手段と不要部排出手段との間に位置する光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置を用い、
    前記不要部除去工程は、前記仕切り手段を閉じて前記加熱部を外気から隔離させ、
    前記不要部排出手段を開けて前記不要部収容部に収容されている前記不要部を外部に排出し、
    前記不要部排出手段を閉じて前記不要部収容部を外気から隔離し、
    前記ガスパージ手段を駆動して前記不要部収容部から外気を排出し、
    前記仕切り部を開けて前記加熱部と前記不要部収容部とを連通させる
    請求項7に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理方法。
  9. 前記不要部除去工程において、前記光ファイバの線引き開始から目標の線引き速度に到達するまでの間に線引される前記光ファイバ母材分を残して不要部を除去する、
    請求項1〜8のいずれかに記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工方法。
  10. ファイバ母材の端部を加熱炉内で加熱溶融して光ファイバとして線引きするための形状に加工する光ファイバ母材の端部加熱・加工装置であって、
    前記加熱炉の上部に位置し、前記光ファイバ母材を前記加熱炉に導入し、その昇降位置の位置決めを行う吊り下げ手段と、
    前記加熱炉に導入された前記光ファイバ母材の下端部を加熱する第1の加熱手段と、
    前記第1の加熱手段を制御して、前記光ファイバ母材の端部を線引きするための形状に加工する制御手段と
    前記第1の加熱手段の下部に位置し、前記光ファイバ母材の下端部の加工部のうち不要部を切り離す不要部切り離し手段
    前記不要部切り離し手段の下に位置し、前記不要部を前記加熱炉の外部に排出する不要部排出手段と、
    を有する、光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置。
  11. 前記不要部切り離し手段の下部に位置し、切り離された不要部を収容する不要部収容部をさらに有する、
    請求項10に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置。
  12. 前記不要部収容部には当該不要部収容部内を冷却する冷却手段が設けられている、
    請求項11に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置。
  13. 前記第1の加熱手段の上部に位置し、前記加熱炉内に導入された前記光ファイバ母材の下端部より上の部分を加熱する第2の加熱手段をさらに有する、
    請求項10〜12のいずれか1に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置。
  14. 前記第1の加熱手段と、前記不要部排出手段との間に、これらの間を開閉自在に仕切る仕切り手段と、
    前記不要部収容の内部を不活性ガスでパージするガスパージ手段と、
    をさらに有し、
    前記不要部収容は前記仕切り手段と前記不要部排出手段との間に位置している、
    請求項11〜13のいずれか1に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置。
  15. 前記第1の加熱手段はカーボン抵抗炉である、
    請求項10〜14のいずれか1に記載の光ファイバ母材の端部加熱・加工処理装置。
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