JP4666793B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、Mモード像ビームラインを走査線方向とは無関係に選択可能とした超音波診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の循環器用超音波診断装置は、弁や心臓壁の運動状態を詳細に観察するには任意の超音波ビームライン上の画像データを横軸に時間、縦軸に深度で表現したMモード像を利用して時間的な変化を観察しているが、Mモード用ビームラインはBモード像(断層像)の走査線方向に限定されていた。
【0003】
また、特開平55−103841号公報に記載されるように、Mモード用ビームラインを任意の方向に設定可能で、その任意の方向のビームライン上のMモード像(任意方向Mモード像)を表示可能なものもあった。しかし、これによる任意方向Mモード像表示の場合には、所定の表示速度を保つため、1枚の断層像に対して1本のMモード像しか得ていなかった。
【0004】
例えば、滑らかなMモード像を得るために4kHzの繰り返し周波数(250μsecの繰り返し周期)で90度表示のセクタ像(走査線本数は128本と仮定する)を表示する場合のフレームレートは、1÷(250μsec×128ライン)=31.25F/sとなる(ただし、F/sは1秒間当たりの画像枚数)。
【0005】
横方向512本で表示されるMモード像が2.5秒でスクロールされる場合に、連続したMモード像を得るためには、Mモード像がスクロールする前に次のMモード像を抽出・表示可能な状態になっている必要があった。すなわち、横方向512本で表示されるMモード像が2.5秒でスクロールされる場合には、2.5sec÷512ライン=4.88msec/ラインとなり、4.88msec毎にMモード像を抽出する必要があった。
【0006】
そして、任意方向Mモード像の場合には、1枚の断層像に対して1本のMモード像が得られることから、4.88msec毎にMモード象を得るには205F/sのフレームレートが必要であった。このために、90度表示×(31.25F/s÷205F/s)=13.7度表示となっていた。このように、従来の任意方向Mモード像を表示可能な超音波診断装置は、任意方向Mモード像を得る場合に、断層像の表示角度が狭くなっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
前述するように、従来の超音波診断装置は、任意方向Mモード象を得る場合に、断層像の表示角度が狭くなるもので、このため、Mモード用ビームラインの任意方向の設定が困難となり、設定の自由度を狭くして操作性を低下させることとなっていた。
【0008】
また、断層像の表示角度を広げた場合には、表示されるMモード像の連続性が損なわれるので、Mモード像の画質が著しく低下してしまうという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、断層像の表示角度の拡大化とMモード像の画質の向上との両立を図ることが可能な超音波診断装置を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0012】
(1)被検体に超音波を送受波する超音波探触子と、この超音波探触子を駆動するとともに前記被検体からの複数方向から発生した計測ビーム信号を受波する手段と、前記複数方向の計測ビーム信号から前記被検体の断層像(Bモード像)及びMモード像を生成する画像生成手段と、前記生成されたBモード像及びMモード像の少なくとも一方を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された画像上に、Mモード用サンプルラインを設定するサンプルライン設定手段と、を備えた超音波診断装置において、前記Bモード画像の表示角度を設定する表示角度設定手段を備え、
前記画像生成手段は、前記設定された前記Bモード画像の表示角度に対応して前記複数方向の計測ビームを用いた補間演算によって前記Mモード像を生成するものであって、該複数方向の計測ビームの隣接する計測ビームと補間ビームの本数により予め設定される補間係数とから補間ビーム位置の受波信号を得る手段を備えた
【0015】
ここで、設定手段によってMモード用サンプルラインをBモード像上の任意の方向に設定し、この設定値に基づいて、再構築手段が計測走査線位置及び仮想走査線位置でのエコー信号からサンプルライン上のMモード像を再構築する。再構築手段が、得られたMモード像を表示手段の表示面上に表示させることによって、実際の計測での走査線位置である計測走査線位置のエコー信号に加えて、補間によって得られた仮想走査線位置のエコー信号を使用したBモード及びMモード像の生成が可能となるので、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートすなわち見かけ上のフレームレートを大きくすることができる。その結果、エコー信号から生成される超音波像の空間分解能を向上することが可能となる。また、Mモード像の画質を向上させた場合であっても、十分な表示角度の断層像を表示させることが可能となるので、任意方向Mモードのサンプルラインの設定自由度を大きくできる。
【0016】
一方、Mモード像のスクロール速度を高速化した場合であっても、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくすることができるので、段差ノイズのないいわゆる連続したMモード像を表示することができる。また、Mモード像のスクロールピッチを密にした場合であっても、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくすることができるので、緻密な任意方向Mモード像を表示させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態である超音波診断装置の概略構成を説明するための図であり、10は探触子、11は被検体、20は超音波送受信部、30はA/D変換器、40は整相部、50は信号処理部、51はローパスフィルタ、52はビーム補間部、53は検波部、61は全ラインメモリ部、62は画像メモリ読み込み選択部、63aはL側画像メモリ、63bはR側画像メモリ、64は選択部、65はD/A変換器、70は任意方向M像抽出部、71は1画像メモリ、72は任意方向M像再構築部、73は任意方向M像ラインメモリ、80は任意方向M像ビーム設定部、90は表示器を示す。ただし、ビーム補間部52を除く他の機構は、周知の機構及び手段を用いる。
【0019】
図1において、ビーム補間部52は、複数の受信超音波ビームに対して信号処理を行うことによって、時間的及び空間的に中間に位置する複数の超音波ビーム(以下、「補間超音波ビーム」と記す)を生成する手段であり、例えば、本実施の形態の超音波診断装置を構成する情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能である。なお、本実施の形態のビーム補間部52の詳細は、後述する。
【0020】
次に、図1に基づいて、本実施の形態の超音波診断装置の動作を説明する。
【0021】
まず、超音波送受信部20を構成する図示しない周知のパルサ及び送信遅延回路で送波信号が生成され、超音波探触子10に供給される。超音波探触子10では送波信号に応じた超音波が生成され、当該超音波探触子10に当接される被検体11の内部に超音波ビームとして送波される。このとき、被検体11の内部の音響インピーダンスの異なる境界では、超音波ビームの一部がエコーとして反射され、超音波探触子10で受波される。超音波探触子10を構成する図示しない振動子に受波されたエコーは、各振動子によってエコーに応じた電気信号(エコー信号、受波信号)に変換され、超音波送受信部20に出力される。超音波送受信部20に入力された受波信号は、周知の増幅器によって増幅された後にA/D変換器30に出力され、デジタル信号すなわちデジタルデータに変換される。デジタル信号に変換された受波信号は、整相部40に出力され、各チャンネルすなわち各振動子の受波信号の位相を揃えた加算処理がなされた後に、信号処理部50に出力される。信号処理部50では、まず、ローパスフィルタ51が整相部40からの受波信号から高周波の搬送波成分を除去する周知のフィルタ処理をした後に、ビーム補間部52がフィルタ処理後の受波信号から他のビーム位置(仮想走査線位置)における受波信号を補間処理によって生成する。ただし、ビーム補間部52の構成及び補間処理の詳細については、後述する。
【0022】
フィルタ処理後の受波信号及び補間により生成された受波信号は、検波部53に出力され、それぞれの受波信号から包絡線が検出され、全ラインメモリ部61に格納される。このとき、本実施の形態の超音波診断装置では、全ラインメモリ部61は、検波部53から出力される包絡線データを画像データとして、超音波ビームの1走査線毎(あるいは複数の走査線毎)に格納する。また、全ラインメモリ部61は、格納する画像データの読み出しを1走査線毎(あるいは複数の走査線毎)に行う構成となっている。特に、本実施の形態の超音波診断装置では、全ラインメモリ部61から読み出された画像データは、画像メモリ書き込み選択部62に出力されると共に、断層像用すなわちBモード像用であるL側画像メモリ63aに出力され格納される。このとき、画像メモリ書き込み選択部62に任意方向M像抽出部70が選択されている場合には、任意方向M像ラインメモリ73から出力される画像データがR側画像メモリ63bに出力されることとなる。一方、画像メモリ書き込み選択部62が全ラインメモリ部61を選択している場合には、全ラインメモリ部61から読み出される画像データがR側画像メモリ63bに出力されることとなる。L側画像メモリ63a及びR側画像メモリ63bにそれぞれ格納された画像データは、選択部64によってそれぞれ読み出されることとなるが、例えば、図示しない操作卓から断層像表示が選択されている場合には、選択部64はL側画像メモリ63aに格納される画像データのみを読み出し、D/A変換器65に出力する。また、Mモード像表示のみが選択されている場合には、選択部64はR側画像メモリ63bに格納される画像データのみを読み出し、D/A変換器65に出力する。また、断層像とMモード像との同時表示が選択されている場合には、選択部64は、L側画像メモリ63a及びR側画像メモリ63bにそれぞれ格納される画像データを読み出し、D/A変換器65に出力する。D/A変換器65に入力された画像データは、ビデオ表示用のビデオ信号に変換され表示器90の表示画面上に表示される。
【0023】
また、本実施の形態の超音波診断装置では、例えば、トラックボールやジョイスティック等の周知の位置設定手段あるいはツマミキー等の周知の回転指示手段からなる任意方向M像ビーム設定部80により、図示しない検者が断層像上でMモード像のサンプルライン(Mモードサンプルライン)を設定する構成となっている。1画像メモリ71、任意方向M像再構築部72及び任意方向M像ラインメモリ73から構成される任意方向M像抽出部70は、任意方向M像ビーム設定手段80から出力されたサンプルラインに基づいて、このサンプルラインにおけるMモード像を再構築し、画像メモリ書き込み選択部62に出力する構成となっている。具体的には、1画像メモリ71には全ラインメモリ部61から順次1フレーム分の画像データが格納される構成となっている。一方、任意方向M像再構築部72には、任意方向M像ビーム設定手段80から出力されたサンプルラインの指示が入力されており、任意方向M像再構築部72は断層像とMモード像のサンプルラインとの幾何学的な位置関係に基づいて、1画像メモリ71に記憶されている1フレーム分の画像データから任意方向Mモードデータを再構築する。この再構築された任意方向Mモードデータは、任意方向M像ラインメモリ73に格納され、画像メモリ書き込み選択部62に出力される。
【0024】
このように、本実施の形態の超音波診断装置では、例えば図2に示すように、ビーム補間部52がそれぞれ隣接するビーム位置R0とR1,R1とR2からの受波信号に基づいて、隣接するビーム位置R0とR1及びビーム位置R1とR2との間に仮想的に設定されるビーム位置である補間ビーム位置L1〜Ln及びLn+1〜L2n(ただし、nは1以上の自然数)における受波信号を補間演算によって内挿する構成となっている。すなわち、ビーム補間部52が実際に計測されたビーム位置R0とビーム位置R1、及びビーム位置R1とビーム位置R2に対して、時間的及び空間的に中間に位置する補間ビーム位置における受波信号を生成する構成となっている。従って、本実施の形態の超音波診断装置では、例えば、比較的に速い繰り返し周波数で超音波の送受を行い、断層像の表示角度を広げた計測を行う場合であっても、間隔が比較的広い送受波のビーム位置の間のビーム位置における受波信号を補間演算によって内挿する構成となっているので、Mモード像の画質を低下させることなく、十分な表示角度の断層像表示を行うことができる。
【0025】
例えば、計測ビーム間に3本の補間ビームを内挿し、4kHzの繰り返し周波数でビーム本数すなわち走査線本数128の90度表示のセクタ像を表示する場合のフレームレートは、1÷(250μsec×33ライン)=121F/sとなる。一方、前述するように、横方向512本で表示されるMモード像が2.5秒でスクロール表示される場合のセクタ像を表示する場合のフレームレートは205F/sが必要となる。従って、計測ビーム間に3本の補間ビームを内挿する場合には、90度×(121F/s÷205F/s)=53.2度での断層像(Bモード像)の表示が可能となる。
【0026】
また、計測ビーム間に7本の補間ビームを内挿し、4kHzの繰り返し周波数でビーム本数すなわち走査線本数128の90度表示のセクタ像を表示する場合では、フレームレートは、1÷(250μsec×17ライン)=235F/sとなる。従って、90度表示が可能となる。
【0027】
図3は本実施の形態のビーム補間部の概略構成を説明するための図であり、101は超音波信号選択部、101はラインメモリ、102は演算制御部、103は信号処理部を示す。
【0028】
図3において、超音波信号選択部100は、例えば、本実施の形態の超音波診断装置を構成する情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能であり、ローパスフィルタ51から出力される各ビーム位置における受波信号を一旦ラインメモリ101に格納すると共に、ラインメモリ101を検索してローパスフィルタ51から入力されるビーム位置に隣接するビーム位置における受波信号を読み込み、この読み込んだ受波信号とローパスフィルタ51から入力される受波信号とを共に信号処理部103に出力する構成となっている。このとき、本実施の形態の超音波信号選択部100は、後段の信号処理部103に出力する2つの受波信号(例えば、ビーム位置R0受波信号とビーム位置R1の受波信号)の深度が同じすなわち2つの受波信号が同時相となるように、ラインメモリ101からの受波信号の読み出しを制御して、信号処理部103に受波信号を出力する構成となっている。
【0029】
演算制御部102は、予め設定された補間条件に基づいた補間数を信号処理部103に供給する手段であり、例えば、現在計測されたビーム位置R1と先に計測されたビーム位置R0とから2本の補間ビームを内挿する場合には、演算制御部102は補間数a,b,c,dを出力する構成となっている。
【0030】
信号処理部103は、例えば、本実施の形態の超音波診断装置を構成する情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能であり、超音波信号選択部100から入力される隣接ビーム位置における受波信号から予め設定された補間ビーム位置における受波信号を補間演算によって内挿する手段である。特に、本実施の形態の信号処理部103は、演算制御部102から入力される補間数に基づいた受波信号の補間を行う。
【0031】
次に、図4に本実施の形態のビーム補間部の詳細構成を説明するための図を示し、以下、図4に基づいて本実施の形態のビーム補間部の動作を説明する。ただし、図4の(a)は補間ビーム数が2本の場合を示しており、図4の(b)は補間ビーム数が3本の場合を示している。ただし、以下の説明では、説明を簡単にするために、最新のビーム位置R1と、このビーム位置R1に隣接するビーム位置R0との間に設定される2本あるいは3本の補間ビームを内挿する場合について説明する。
【0032】
図4において、401は乗算器、402は加算器を示しており、特に、401aは第1の乗算器、401bは第2の乗算器、401cは第3の乗算器、401dは第4の乗算器、401eは第5の乗算器、401fは第6の乗算器、402aは第1の加算器、402bは第2の加算器、402cは第3の加算器を示す。
【0033】
図4の(a)に示す信号処理部103では、第1〜4の乗算器401a〜401dは、超音波信号選択部100から出力される最新の計測値であるビーム位置R1の受波信号あるいは前回の計測値であるビーム位置R0の受波信号と、演算制御部102から出力される補間数a〜dとのベクトル積を計算する周知のベクトル演算器である。また、第1,2の加算器402a,402bは、それぞれ第1の乗算器401aからの出力と第2の乗算器401bからの出力とのベクトル和を計算する、あるいは第3の乗算器401cからの出力と第4の乗算器401dからの出力とからベクトル和を計算する周知のベクトル演算器である。
【0034】
本実施の形態のビーム補間部52では、超音波信号選択部100に現在の計測値であるビーム位置R1の受波信号が入力されている場合、超音波信号選択部100はこの入力されるビーム位置R1の受波信号をラインメモリ101に格納すると共に、信号処理部103に出力する。このとき、超音波信号選択部100は、ラインメモリ101を検索して、前回の計測値であるビーム位置R0の受波信号を読み出し、ビーム位置R1の受波信号の出力に同期して、ビーム位置R0の受波信号を信号処理部103に出力する。特に、本実施の形態の超音波信号選択部100は、ビーム位置R0の受波信号を第1の乗算器401aと第3の乗算器401cとに出力し、ビーム位置R1の受波信号を第2の乗算器401bと第4の乗算器401dに出力する。このとき、超音波信号選択部100からの受波信号の出力は、前述するように、各ビーム位置での受波信号の深度が同じすなわち2つの受波信号が同時相となる。また、演算制御部102からは第1〜4の乗算器401a〜401dにそれぞれ順番に補間係数a〜dが出力される。従って、第1の乗算器401aからはビーム位置R0の受波信号と補間係数aとのベクトル積aR0が、第2の乗算器401bからはビーム位置R0の受波信号と補間係数bとのベクトル積bR1が、第3の乗算器401cからはビーム位置R0の受波信号と補間係数cとのベクトル積cR0が、第4の乗算器401dからはビーム位置R1の受波信号と補間係数dとのベクトル積dR1がそれぞれ出力される。
【0035】
また、本実施の形態の信号処理部103では、第1の乗算器401aからの出力値と、第2の乗算器401bからの出力値とは、第1の加算器402aに入力され、第1の加算器402aの出力値aR0+bR1が第1の補間ビーム位置における受波信号として、ビーム補間部52の後段に接続される検波部53に出力される。第3の乗算器401cからの出力値と、第4の乗算器401dからの出力値とは、第2の加算器402bに入力され、第2の加算器402bの出力値cR0+dR1が第2の補間ビーム位置における受波信号として、ビーム補間部52の後段に接続される検波部53に出力される。この後に、例えば、図示しない切換スイッチを介して、超音波信号選択部100からビーム位置R1における受波信号が後段の検波部53に出力される。
【0036】
このように、本実施の形態のビーム補間部52は、実際の計測がなされるビーム位置R0,R1,R2での受波信号と、これら実際の計測がなされたビーム位置との間に内挿される補間ビーム位置での受波信号とを順番に後段の検波手段53に出力する構成となっているので、ビーム補間部52の構成を除く他の構成は、従来の超音波診断装置と同様の構成とできる。
【0037】
一方、図4の(b)に示すように、補間ビームの本数を3本とする場合には、ベクトル乗算器を第1〜6の乗算器401a〜401fの6台とし、ベクトル加算器を第1〜3の加算器402a〜402cの3台とすると共に、演算制御部102から第1〜第6の加算器にそれぞれ補間係数a〜fを出力することによって、前述する図4の(a)に示すビーム補間部52と同じ動作によって、第1の補間ビーム位置での受波信号aR0+bR1、第2の補間ビーム位置での受波信号cR0+dR1、及び第3の補間ビーム位置での受波信号eR0+fR1をそれぞれ得ることが可能となる。
【0038】
図5は本実施の形態の超音波診断装置における隣接するビーム位置でのビームフォーミングを説明するための図であり、特に、図5の(a)はビームの集束を細くした場合のビームフォーミングであり、図5の(b)はビームの集束を緩やかにした場合のビームフォーミングである。
【0039】
図5の(b)に示すように、本実施の形態の超音波診断装置では、図5(a)に示す細いビームを使用した場合に比較して、ビームの集束を緩やかにしているので、隣接する走査線間での相関を大きくすることが可能となる。すなわち、ビーム補間部52による隣接するビーム位置における受波信号から、それぞれの間に位置する補間ビーム位置における受波信号を内挿する際の相関を大きくすることが可能となるので、内挿によって得られる補間ビーム位置の受波信号の空間分解能を向上することができると共に、S/N比を向上することができる。ただし、超音波ビームの補間によって、超音波走査線本数を増加し見かけ上のフレームレートを向上させる効果を得る場合や、超音波走査線密度を密にする場合には、演算制御部102によって超音波ビームフォーミングの集束度合いや超音波ビーム補間係数を変更することによって実現可能である。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態の超音波診断装置では、実際に計測されたビーム位置である計測走査線の間に設定される補間ビーム位置である仮想走査線位置でのエコー信号すなわち受波信号を、ビーム補間部52を構成する信号処理部103が、計測ビーム位置での受波信号と演算制御部102からの補間係数とをベクトル乗算した後に、それぞれをベクトル加算することによってベクトル補間する。検波部53はそれぞれの受波信号から包絡線を検出し、全ラインメモリ部61に格納する。ここで、全ラインメモリ部61からL側画像メモリ63aに画像データを読み出し格納することによって、選択部64及びD/A変換器65を介して表示器90の表示画面上に断層像が表示されることとなる。
【0041】
ここで、任意方向M像ビーム設定部80によって、Mモード用サンプルラインをBモード像上の任意の方向に設定し、このサンプルラインに基づいて、任意方向M像抽出部70を構成する任意方向M像再構築部72が、計測ビーム位置及び補間ビーム位置での受波信号からサンプルライン上のMモード像を再構築し、任意方向M像ラインメモリ73に出力し格納する。任意方向M像ラインメモリ73から画像メモリ書き込み選択部62を介してR側画像メモリ63bにMモード画像が格納され、さらに、選択部64及びD/A変換器65を介して表示器90の表示画面上にMモード像を表示させることによって、実際の計測での計測ビーム位置での受波信号に加えて、補間によって得られた補間ビーム位置での受波信号を使用したBモード像及びMモード像の生成が可能となるので、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートすなわち見かけ上のフレームレートを大きくすることができる。その結果、受波信号から生成される超音波像の空間分解能を向上することが可能となる。また、Mモード像の画質を向上させた場合であっても、十分な表示角度の断層像を表示させることが可能となるので、任意方向Mモードのサンプルラインの設定自由度を大きくできる。
【0042】
一方、Mモード像のスクロール速度を高速化した場合であっても、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくすることができるので、段差ノイズのないいわゆる連続したMモード像を表示することができる。また、Mモード像のスクロールピッチを密にした場合であっても、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくすることができるので、緻密な任意方向Mモード像を表示させることができる。
【0043】
本実施の形態では、2本以上の複数本のビーム信号を重ね合せて、その重ね合せたビーム信号から補間ビームを生成するので、ノイズレベルが低下することとなり、実効的にS/M比が向上できる。
【0044】
なお、本実施の形態の超音波診断装置では、ビーム補間部52が前後のビーム位置における受波信号に基づいて、内挿演算によって補間ビーム位置における受波信号を生成する構成としたが、これに限定されることはなく、例えば、外挿演算によって、補間ビーム位置における受波信号を補間する構成としてもよいことはいうまでもない。
【0045】
また、本実施の形態の超音波診断装置では、Bモード像とMモード像との両方の超音波像を表示器90の表示面上に表示させる構成としたが、例えば、Bモード像あるいはMモード像の何れか一方の超音波像のみを表示させる構成としてもよいことはいうまでもない。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0048】
(1)実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートすなわち見かけ上のフレームレートを大きくすることができる。
【0049】
(2)受波信号から生成される超音波像の空間分解能を向上することが可能となる。
【0050】
(3)Mモード像の画質を向上させた場合であっても、十分な表示角度の断層像を表示させることが可能となるので、任意方向Mモードのサンプルラインの設定自由度を大きくできる。
【0051】
(4)Mモード像のスクロール速度を高速化した場合であっても、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくすることができるので、段差ノイズのないいわゆる連続したMモード像を表示することができる。
【0052】
(5)Mモード像のスクロールピッチを密にした場合であっても、実際の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくすることができるので、緻密な任意方向Mモード像を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施の形態の超音波診断装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の本実施の形態の超音波診断装置における計測ビーム位置と補間ビーム位置との関係を説明するための図である。
【図3】本実施の形態のビーム補間部の概略構成を説明するための図である。
【図4】本実施の形態のビーム補間部の詳細構成を説明するための図である。
【図5】本実施の形態の超音波診断装置における隣接するビーム位置でのビームフォーミングを説明するための図である。
【符号の説明】
10は探触子、11は被検体、20は超音波送受信部、30はA/D変換器、40は整相部、50は信号処理部、51はローパスフィルタ、52はビーム補間部、53は検波部、61は全ラインメモリ部、62は画像メモリ読み込み選択部、63aはL側画像メモリ、63bはR側画像メモリ、64は選択部、65はD/A変換器、70は任意方向M像抽出部、71は1画像メモリ、72は任意方向M像再構築部、73は任意方向M像ラインメモリ、80は任意方向M像ビーム設定部、90は表示器、101は超音波信号選択部、101はラインメモリ、102は演算制御部、103は信号処理部、401は乗算器、402は加算器

Claims (5)

  1. 被検体に超音波を送受波する超音波探触子と、
    この超音波探触子を駆動するとともに前記被検体からの複数方向から発生した計測ビーム信号を受波する手段と、
    前記複数方向の計測ビーム信号から前記被検体の断層像(Bモード像)及びMモード像を生成する画像生成手段と、
    前記生成されたBモード像及びMモード像の少なくとも一方を表示する表示手段と、
    前記表示手段に表示された画像上に、Mモード用サンプルラインを設定するサンプルライン設定手段と、
    を備えた超音波診断装置において、
    前記Bモード画像の表示角度を設定する表示角度設定手段を備え、
    前記画像生成手段は、前記設定された前記Bモード画像の表示角度に対応して前記複数方向の計測ビームを用いた補間演算によって前記Mモード像を生成するものであって、該複数方向の計測ビームの隣接する計測ビームと補間ビームの本数により予め設定される補間係数とから補間ビーム位置の受波信号を得る手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記補間ビーム位置の受波信号を得る手段は、前記隣接する計測ビームに前記補間係数を乗じる乗算器と、前記乗算器により乗じられた前記隣接する計測ビームのそれぞれを加算して補間ビーム位置の受波信号を得る加算器とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記補間ビーム位置の受波信号は、隣接する計測ビームを互いに密に重ねて形成される細い計測ビームよりも前記複数方向の計測ビームの集束を緩やかにするような太い計測ビームから得ることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  4. 前記表示角度設定手段は、前記超音波の送受信繰り返し周波数とフレームレートにより設定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
  5. 前記補間演算に用いる補間係数は、前記計測ビーム信号に加える仮想ビーム(仮想走査線)信号に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
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