JP2002263105A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断層像の表示角度の拡大化とMモード像の画
質の向上との両立を図ることが可能な超音波診断装置を
提供すること。 【解決手段】 被検体に当接した超音波探触子から超音
波を送波して得られた計測走査線位置からのエコー信号
を受波する手段と、前記エコー信号から前記被検体のB
モード像及びMモード像を生成する手段と、前記Bモー
ド像及びMモード像の一方または両方を表示する手段と
を備えた超音波診断装置において、Mモード用サンプル
ラインをBモード像上の任意の方向に設定する手段と、
計測走査線位置の間に設定される仮想走査線位置におけ
るエコー信号を前記計測走査線位置でのエコー信号に基
づいてベクトル補間する手段と、前記計測走査線位置及
び仮想走査線位置でのエコー信号から前記サンプルライ
ン上のMモード像を再構築する手段とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波診断装置に
関し、特に、Mモード像ビームラインを走査線方向とは
無関係に選択可能とした超音波診断装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の循環器用超音波診断装置は、弁や
心臓壁の運動状態を詳細に観察するには任意の超音波ビ
ームライン上の画像データを横軸に時間、縦軸に深度で
表現したMモード像を利用して時間的な変化を観察して
いるが、Mモード用ビームラインはBモード像(断層
像)の走査線方向に限定されていた。
【0003】また、特開平55−103841号公報に
記載されるように、Mモード用ビームラインを任意の方
向に設定可能で、その任意の方向のビームライン上のM
モード像(任意方向Mモード像)を表示可能なものもあ
った。しかし、これによる任意方向Mモード像表示の場
合には、所定の表示速度を保つため、1枚の断層像に対
して1本のMモード像しか得ていなかった。
【0004】例えば、滑らかなMモード像を得るために
4kHzの繰り返し周波数(250μsecの繰り返し
周期)で90度表示のセクタ像(走査線本数は128本
と仮定する)を表示する場合のフレームレートは、1÷
(250μsec×128ライン)=31.25F/s
となる(ただし、F/sは1秒間当たりの画像枚数)。
【0005】横方向512本で表示されるMモード像が
2.5秒でスクロールされる場合に、連続したMモード
像を得るためには、Mモード像がスクロールする前に次
のMモード像を抽出・表示可能な状態になっている必要
があった。すなわち、横方向512本で表示されるMモ
ード像が2.5秒でスクロールされる場合には、2.5
sec÷512ライン=4.88msec/ラインとな
り、4.88msec毎にMモード像を抽出する必要が
あった。
【0006】そして、任意方向Mモード像の場合には、
1枚の断層像に対して1本のMモード像が得られること
から、4.88msec毎にMモード象を得るには20
5F/sのフレームレートが必要であった。このため
に、90度表示×(31.25F/s÷205F/s)
=13.7度表示となっていた。このように、従来の任
意方向Mモード像を表示可能な超音波診断装置は、任意
方向Mモード像を得る場合に、断層像の表示角度が狭く
なっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記従来
技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。前述
するように、従来の超音波診断装置は、任意方向Mモー
ド象を得る場合に、断層像の表示角度が狭くなるもの
で、このため、Mモード用ビームラインの任意方向の設
定が困難となり、設定の自由度を狭くして操作性を低下
させることとなっていた。
【0008】また、断層像の表示角度を広げた場合に
は、表示されるMモード像の連続性が損なわれるので、
Mモード像の画質が著しく低下してしまうという問題が
あった。
【0009】本発明の目的は、断層像の表示角度の拡大
化とMモード像の画質の向上との両立を図ることが可能
な超音波診断装置を提供することにある。
【0010】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らか
になるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0012】(1)被検体に超音波を送受波する超音波
探触子と、この超音波探触子を駆動するとともに前記被
検体からの複数方向から発生したエコー信号を受波する
手段と、前記エコー信号から前記被検体のBモード像及
びMモード像を生成する手段と、前記Bモード像及びM
モード像の少なくとも一方を表示する手段とを備えた超
音波診断装置において、前記表示手段に表示した画像上
に、Mモード用サンプルラインを設定する手段と、前記
サンプルライン上のMモード像を前記複数の方向から発
生したエコー信号の大きさと方向に基づく補間によって
求める手段とを備えた。
【0013】(2)前述した(1)に記載の超音波診断
装置において、前記Mモード用サンプルラインの設定手
段は、Bモード像に対するサンプルラインの傾斜角度、
又は/及びMモード像のスクロール速度に応じて、送受
波する超音波のビームフォーミング又は/及び前記仮想
走査線数を設定する手段を備えた。
【0014】前述した(1)及び(2)の手段によれ
ば、ベクトル補間手段が計測走査線位置の間に設定され
る仮想走査線位置でのエコー信号を計測走査線位置での
エコー信号に基づいてベクトル補間する。生成手段は、
この計測走査線位置と仮想走査線位置でのエコー信号か
ら被検体のBモード像を生成し、表示手段の表示面上に
表示させる。
【0015】ここで、設定手段によってMモード用サン
プルラインをBモード像上の任意の方向に設定し、この
設定値に基づいて、再構築手段が計測走査線位置及び仮
想走査線位置でのエコー信号からサンプルライン上のM
モード像を再構築する。再構築手段が、得られたMモー
ド像を表示手段の表示面上に表示させることによって、
実際の計測での走査線位置である計測走査線位置のエコ
ー信号に加えて、補間によって得られた仮想走査線位置
のエコー信号を使用したBモード及びMモード像の生成
が可能となるので、実際の計測でのフレームレートに対
する超音波像の生成用のフレームレートすなわち見かけ
上のフレームレートを大きくすることができる。その結
果、エコー信号から生成される超音波像の空間分解能を
向上することが可能となる。また、Mモード像の画質を
向上させた場合であっても、十分な表示角度の断層像を
表示させることが可能となるので、任意方向Mモードの
サンプルラインの設定自由度を大きくできる。
【0016】一方、Mモード像のスクロール速度を高速
化した場合であっても、実際の計測でのフレームレート
に対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくす
ることができるので、段差ノイズのないいわゆる連続し
たMモード像を表示することができる。また、Mモード
像のスクロールピッチを密にした場合であっても、実際
の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用の
フレームレートを大きくすることができるので、緻密な
任意方向Mモード像を表示させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、発明の実
施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明
する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図に
おいて、同一機能を有するものは同一符号を付け、その
繰り返しの説明は省略する。
【0018】(実施の形態1)図1は本発明の一実施の
形態である超音波診断装置の概略構成を説明するための
図であり、10は探触子、11は被検体、20は超音波
送受信部、30はA/D変換器、40は整相部、50は
信号処理部、51はローパスフィルタ、52はビーム補
間部、53は検波部、61は全ラインメモリ部、62は
画像メモリ読み込み選択部、63aはL側画像メモリ、
63bはR側画像メモリ、64は選択部、65はD/A
変換器、70は任意方向M像抽出部、71は1画像メモ
リ、72は任意方向M像再構築部、73は任意方向M像
ラインメモリ、80は任意方向M像ビーム設定部、90
は表示器を示す。ただし、ビーム補間部52を除く他の
機構は、周知の機構及び手段を用いる。
【0019】図1において、ビーム補間部52は、複数
の受信超音波ビームに対して信号処理を行うことによっ
て、時間的及び空間的に中間に位置する複数の超音波ビ
ーム(以下、「補間超音波ビーム」と記す)を生成する
手段であり、例えば、本実施の形態の超音波診断装置を
構成する情報処理装置上で動作するプログラムによって
実現可能である。なお、本実施の形態のビーム補間部5
2の詳細は、後述する。
【0020】次に、図1に基づいて、本実施の形態の超
音波診断装置の動作を説明する。
【0021】まず、超音波送受信部20を構成する図示
しない周知のパルサ及び送信遅延回路で送波信号が生成
され、超音波探触子10に供給される。超音波探触子1
0では送波信号に応じた超音波が生成され、当該超音波
探触子10に当接される被検体11の内部に超音波ビー
ムとして送波される。このとき、被検体11の内部の音
響インピーダンスの異なる境界では、超音波ビームの一
部がエコーとして反射され、超音波探触子10で受波さ
れる。超音波探触子10を構成する図示しない振動子に
受波されたエコーは、各振動子によってエコーに応じた
電気信号(エコー信号、受波信号)に変換され、超音波
送受信部20に出力される。超音波送受信部20に入力
された受波信号は、周知の増幅器によって増幅された後
にA/D変換器30に出力され、デジタル信号すなわち
デジタルデータに変換される。デジタル信号に変換され
た受波信号は、整相部40に出力され、各チャンネルす
なわち各振動子の受波信号の位相を揃えた加算処理がな
された後に、信号処理部50に出力される。信号処理部
50では、まず、ローパスフィルタ51が整相部40か
らの受波信号から高周波の搬送波成分を除去する周知の
フィルタ処理をした後に、ビーム補間部52がフィルタ
処理後の受波信号から他のビーム位置(仮想走査線位
置)における受波信号を補間処理によって生成する。た
だし、ビーム補間部52の構成及び補間処理の詳細につ
いては、後述する。
【0022】フィルタ処理後の受波信号及び補間により
生成された受波信号は、検波部53に出力され、それぞ
れの受波信号から包絡線が検出され、全ラインメモリ部
61に格納される。このとき、本実施の形態の超音波診
断装置では、全ラインメモリ部61は、検波部53から
出力される包絡線データを画像データとして、超音波ビ
ームの1走査線毎(あるいは複数の走査線毎)に格納す
る。また、全ラインメモリ部61は、格納する画像デー
タの読み出しを1走査線毎(あるいは複数の走査線毎)
に行う構成となっている。特に、本実施の形態の超音波
診断装置では、全ラインメモリ部61から読み出された
画像データは、画像メモリ書き込み選択部62に出力さ
れると共に、断層像用すなわちBモード像用であるL側
画像メモリ63aに出力され格納される。このとき、画
像メモリ書き込み選択部62に任意方向M像抽出部70
が選択されている場合には、任意方向M像ラインメモリ
73から出力される画像データがR側画像メモリ63b
に出力されることとなる。一方、画像メモリ書き込み選
択部62が全ラインメモリ部61を選択している場合に
は、全ラインメモリ部61から読み出される画像データ
がR側画像メモリ63bに出力されることとなる。L側
画像メモリ63a及びR側画像メモリ63bにそれぞれ
格納された画像データは、選択部64によってそれぞれ
読み出されることとなるが、例えば、図示しない操作卓
から断層像表示が選択されている場合には、選択部64
はL側画像メモリ63aに格納される画像データのみを
読み出し、D/A変換器65に出力する。また、Mモー
ド像表示のみが選択されている場合には、選択部64は
R側画像メモリ63bに格納される画像データのみを読
み出し、D/A変換器65に出力する。また、断層像と
Mモード像との同時表示が選択されている場合には、選
択部64は、L側画像メモリ63a及びR側画像メモリ
63bにそれぞれ格納される画像データを読み出し、D
/A変換器65に出力する。D/A変換器65に入力さ
れた画像データは、ビデオ表示用のビデオ信号に変換さ
れ表示器90の表示画面上に表示される。
【0023】また、本実施の形態の超音波診断装置で
は、例えば、トラックボールやジョイスティック等の周
知の位置設定手段あるいはツマミキー等の周知の回転指
示手段からなる任意方向M像ビーム設定部80により、
図示しない検者が断層像上でMモード像のサンプルライ
ン(Mモードサンプルライン)を設定する構成となって
いる。1画像メモリ71、任意方向M像再構築部72及
び任意方向M像ラインメモリ73から構成される任意方
向M像抽出部70は、任意方向M像ビーム設定手段80
から出力されたサンプルラインに基づいて、このサンプ
ルラインにおけるMモード像を再構築し、画像メモリ書
き込み選択部62に出力する構成となっている。具体的
には、1画像メモリ71には全ラインメモリ部61から
順次1フレーム分の画像データが格納される構成となっ
ている。一方、任意方向M像再構築部72には、任意方
向M像ビーム設定手段80から出力されたサンプルライ
ンの指示が入力されており、任意方向M像再構築部72
は断層像とMモード像のサンプルラインとの幾何学的な
位置関係に基づいて、1画像メモリ71に記憶されてい
る1フレーム分の画像データから任意方向Mモードデー
タを再構築する。この再構築された任意方向Mモードデ
ータは、任意方向M像ラインメモリ73に格納され、画
像メモリ書き込み選択部62に出力される。
【0024】このように、本実施の形態の超音波診断装
置では、例えば図2に示すように、ビーム補間部52が
それぞれ隣接するビーム位置R0とR1,R1とR2か
らの受波信号に基づいて、隣接するビーム位置R0とR
1及びビーム位置R1とR2との間に仮想的に設定され
るビーム位置である補間ビーム位置L1〜Ln及びLn
+1〜L2n(ただし、nは1以上の自然数)における
受波信号を補間演算によって内挿する構成となってい
る。すなわち、ビーム補間部52が実際に計測されたビ
ーム位置R0とビーム位置R1、及びビーム位置R1と
ビーム位置R2に対して、時間的及び空間的に中間に位
置する補間ビーム位置における受波信号を生成する構成
となっている。従って、本実施の形態の超音波診断装置
では、例えば、比較的に速い繰り返し周波数で超音波の
送受を行い、断層像の表示角度を広げた計測を行う場合
であっても、間隔が比較的広い送受波のビーム位置の間
のビーム位置における受波信号を補間演算によって内挿
する構成となっているので、Mモード像の画質を低下さ
せることなく、十分な表示角度の断層像表示を行うこと
ができる。
【0025】例えば、計測ビーム間に3本の補間ビーム
を内挿し、4kHzの繰り返し周波数でビーム本数すな
わち走査線本数128の90度表示のセクタ像を表示す
る場合のフレームレートは、1÷(250μsec×3
3ライン)=121F/sとなる。一方、前述するよう
に、横方向512本で表示されるMモード像が2.5秒
でスクロール表示される場合のセクタ像を表示する場合
のフレームレートは205F/sが必要となる。従っ
て、計測ビーム間に3本の補間ビームを内挿する場合に
は、90度×(121F/s÷205F/s)=53.
2度での断層像(Bモード像)の表示が可能となる。
【0026】また、計測ビーム間に7本の補間ビームを
内挿し、4kHzの繰り返し周波数でビーム本数すなわ
ち走査線本数128の90度表示のセクタ像を表示する
場合では、フレームレートは、1÷(250μsec×
17ライン)=235F/sとなる。従って、90度表
示が可能となる。
【0027】図3は本実施の形態のビーム補間部の概略
構成を説明するための図であり、101は超音波信号選
択部、101はラインメモリ、102は演算制御部、1
03は信号処理部を示す。
【0028】図3において、超音波信号選択部100
は、例えば、本実施の形態の超音波診断装置を構成する
情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能
であり、ローパスフィルタ51から出力される各ビーム
位置における受波信号を一旦ラインメモリ101に格納
すると共に、ラインメモリ101を検索してローパスフ
ィルタ51から入力されるビーム位置に隣接するビーム
位置における受波信号を読み込み、この読み込んだ受波
信号とローパスフィルタ51から入力される受波信号と
を共に信号処理部103に出力する構成となっている。
このとき、本実施の形態の超音波信号選択部100は、
後段の信号処理部103に出力する2つの受波信号(例
えば、ビーム位置R0受波信号とビーム位置R1の受波
信号)の深度が同じすなわち2つの受波信号が同時相と
なるように、ラインメモリ101からの受波信号の読み
出しを制御して、信号処理部103に受波信号を出力す
る構成となっている。
【0029】演算制御部102は、予め設定された補間
条件に基づいた補間定数を信号処理部103に供給する
手段であり、例えば、現在計測されたビーム位置R1と
先に計測されたビーム位置R0とから2本の補間ビーム
を内挿する場合には、演算制御部102は補間定数a,
b,c,dを出力する構成となっている。
【0030】信号処理部103は、例えば、本実施の形
態の超音波診断装置を構成する情報処理装置上で動作す
るプログラムによって実現可能であり、超音波信号選択
部100から入力される隣接ビーム位置における受波信
号から予め設定された補間ビーム位置における受波信号
を補間演算によって内挿する手段である。特に、本実施
の形態の信号処理部103は、演算制御部102から入
力される補間計数に基づいた受波信号の補間を行う。
【0031】次に、図4に本実施の形態のビーム補間部
の詳細構成を説明するための図を示し、以下、図4に基
づいて本実施の形態のビーム補間部の動作を説明する。
ただし、図4の(a)は補間ビーム数が2本の場合を示
しており、図4の(b)は補間ビーム数が3本の場合を
示している。ただし、以下の説明では、説明を簡単にす
るために、最新のビーム位置R1と、このビーム位置R
1に隣接するビーム位置R0との間に設定される2本あ
るいは3本の補間ビームを内挿する場合について説明す
る。
【0032】図4において、401は乗算器、402は
加算器を示しており、特に、401aは第1の乗算器、
401bは第2の乗算器、401cは第3の乗算器、4
01dは第4の乗算器、401eは第5の乗算器、40
1fは第6の乗算器、402aは第1の加算器、402
bは第2の加算器、402cは第3の加算器を示す。
【0033】図4の(a)に示す信号処理部103で
は、第1〜4の乗算器401a〜401dは、超音波信
号選択部100から出力される最新の計測値であるビー
ム位置R1の受波信号あるいは前回の計測値であるビー
ム位置R0の受波信号と、演算制御部102から出力さ
れる補間定数a〜dとのベクトル積を計算する周知のベ
クトル演算器である。また、第1,2の加算器402
a,402bは、それぞれ第1の乗算器401aからの
出力と第2の乗算器401bからの出力とのベクトル和
を計算する、あるいは第3の乗算器401cからの出力
と第4の乗算器401dからの出力とからベクトル和を
計算する周知のベクトル演算器である。
【0034】本実施の形態のビーム補間部52では、超
音波信号選択部100に現在の計測値であるビーム位置
R1の受波信号が入力されている場合、超音波信号選択
部100はこの入力されるビーム位置R1の受波信号を
ラインメモリ101に格納すると共に、信号処理部10
3に出力する。このとき、超音波信号選択部100は、
ラインメモリ101を検索して、前回の計測値であるビ
ーム位置R0の受波信号を読み出し、ビーム位置R1の
受波信号の出力に同期して、ビーム位置R0の受波信号
を信号処理部103に出力する。特に、本実施の形態の
超音波信号選択部100は、ビーム位置R0の受波信号
を第1の乗算器401aと第3の乗算器401cとに出
力し、ビーム位置R1の受波信号を第2の乗算器401
bと第4の乗算器401dに出力する。このとき、超音
波信号選択部100からの受波信号の出力は、前述する
ように、各ビーム位置での受波信号の深度が同じすなわ
ち2つの受波信号が同時相となる。また、演算制御部1
02からは第1〜4の乗算器401a〜401dにそれ
ぞれ順番に補間係数a〜dが出力される。従って、第1
の乗算器401aからはビーム位置R0の受波信号と補
間係数aとのベクトル積aR0が、第2の乗算器401
bからはビーム位置R0の受波信号と補間係数bとのベ
クトル積bR1が、第3の乗算器401cからはビーム
位置R0の受波信号と補間係数cとのベクトル積cR0
が、第4の乗算器401dからはビーム位置R1の受波
信号と補間係数dとのベクトル積dR1がそれぞれ出力
される。
【0035】また、本実施の形態の信号処理部103で
は、第1の乗算器401aからの出力値と、第2の乗算
器401bからの出力値とは、第1の加算器402aに
入力され、第1の加算器402aの出力値aR0+bR
1が第1の補間ビーム位置における受波信号として、ビ
ーム補間部52の後段に接続される検波部53に出力さ
れる。第3の乗算器401cからの出力値と、第4の乗
算器401dからの出力値とは、第2の加算器402b
に入力され、第2の加算器402bの出力値cR0+d
R1が第2の補間ビーム位置における受波信号として、
ビーム補間部52の後段に接続される検波部53に出力
される。この後に、例えば、図示しない切換スイッチを
介して、超音波信号選択部100からビーム位置R1に
おける受波信号が後段の検波部53に出力される。
【0036】このように、本実施の形態のビーム補間部
52は、実際の計測がなされるビーム位置R0,R1,
R2での受波信号と、これら実際の計測がなされたビー
ム位置との間に内挿される補間ビーム位置での受波信号
とを順番に後段の検波手段53に出力する構成となって
いるので、ビーム補間部52の構成を除く他の構成は、
従来の超音波診断装置と同様の構成とできる。
【0037】一方、図4の(b)に示すように、補間ビ
ームの本数を3本とする場合には、ベクトル乗算器を第
1〜6の乗算器401a〜401fの6台とし、ベクト
ル加算器を第1〜3の加算器402a〜402cの3台
とすると共に、演算制御部102から第1〜第6の加算
器にそれぞれ補間係数a〜fを出力することによって、
前述する図4の(a)に示すビーム補間部52と同じ動
作によって、第1の補間ビーム位置での受波信号aR0
+bR1、第2の補間ビーム位置での受波信号cR0+
dR1、及び第3の補間ビーム位置での受波信号eR0
+fR1をそれぞれ得ることが可能となる。
【0038】図5は本実施の形態の超音波診断装置にお
ける隣接するビーム位置でのビームフォーミングを説明
するための図であり、特に、図5の(a)はビームの集
束を細くした場合のビームフォーミングであり、図5の
(b)はビームの集束を緩やかにした場合のビームフォ
ーミングである。
【0039】図5の(b)に示すように、本実施の形態
の超音波診断装置では、図5(a)に示す細いビームを
使用した場合に比較して、ビームの集束を緩やかにして
いるので、隣接する走査線間での相関を大きくすること
が可能となる。すなわち、ビーム補間部52による隣接
するビーム位置における受波信号から、それぞれの間に
位置する補間ビーム位置における受波信号を内挿する際
の相関を大きくすることが可能となるので、内挿によっ
て得られる補間ビーム位置の受波信号の空間分解能を向
上することができると共に、S/N比を向上することが
できる。ただし、超音波ビームの補間によって、超音波
走査線本数を増加し見かけ上のフレームレートを向上さ
せる効果を得る場合や、超音波走査線密度を密にする場
合には、演算制御部102によって超音波ビームフォー
ミングの集束度合いや超音波ビーム補間係数を変更する
ことによって実現可能である。
【0040】以上説明したように、本実施の形態の超音
波診断装置では、実際に計測されたビーム位置である計
測走査線の間に設定される補間ビーム位置である仮想走
査線位置でのエコー信号すなわち受波信号を、ビーム補
間部52を構成する信号処理部103が、計測ビーム位
置での受波信号と演算制御部102からの補間係数とを
ベクトル乗算した後に、それぞれをベクトル加算するこ
とによってベクトル補間する。検波部53はそれぞれの
受波信号から包絡線を検出し、全ラインメモリ部61に
格納する。ここで、全ラインメモリ部61からL側画像
メモリ63aに画像データを読み出し格納することによ
って、選択部64及びD/A変換器65を介して表示器
90の表示画面上に断層像が表示されることとなる。
【0041】ここで、任意方向M像ビーム設定部80に
よって、Mモード用サンプルラインをBモード像上の任
意の方向に設定し、このサンプルラインに基づいて、任
意方向M像抽出部70を構成する任意方向M像再構築部
72が、計測ビーム位置及び補間ビーム位置での受波信
号からサンプルライン上のMモード像を再構築し、任意
方向M像ラインメモリ73に出力し格納する。任意方向
M像ラインメモリ73から画像メモリ書き込み選択部6
2を介してR側画像メモリ63bにMモード画像が格納
され、さらに、選択部64及びD/A変換器65を介し
て表示器90の表示画面上にMモード像を表示させるこ
とによって、実際の計測での計測ビーム位置での受波信
号に加えて、補間によって得られた補間ビーム位置での
受波信号を使用したBモード像及びMモード像の生成が
可能となるので、実際の計測でのフレームレートに対す
る超音波像の生成用のフレームレートすなわち見かけ上
のフレームレートを大きくすることができる。その結
果、受波信号から生成される超音波像の空間分解能を向
上することが可能となる。また、Mモード像の画質を向
上させた場合であっても、十分な表示角度の断層像を表
示させることが可能となるので、任意方向Mモードのサ
ンプルラインの設定自由度を大きくできる。
【0042】一方、Mモード像のスクロール速度を高速
化した場合であっても、実際の計測でのフレームレート
に対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくす
ることができるので、段差ノイズのないいわゆる連続し
たMモード像を表示することができる。また、Mモード
像のスクロールピッチを密にした場合であっても、実際
の計測でのフレームレートに対する超音波像の生成用の
フレームレートを大きくすることができるので、緻密な
任意方向Mモード像を表示させることができる。
【0043】本実施の形態では、2本以上の複数本のビ
ーム信号を重ね合せて、その重ね合せたビーム信号から
補間ビームを生成するので、ノイズレベルが低下するこ
ととなり、実効的にS/M比が向上できる。
【0044】なお、本実施の形態の超音波診断装置で
は、ビーム補間部52が前後のビーム位置における受波
信号に基づいて、内挿演算によって補間ビーム位置にお
ける受波信号を生成する構成としたが、これに限定され
ることはなく、例えば、外挿演算によって、補間ビーム
位置における受波信号を補間する構成としてもよいこと
はいうまでもない。
【0045】また、本実施の形態の超音波診断装置で
は、Bモード像とMモード像との両方の超音波像を表示
器90の表示面上に表示させる構成としたが、例えば、
Bモード像あるいはMモード像の何れか一方の超音波像
のみを表示させる構成としてもよいことはいうまでもな
い。
【0046】以上、本発明者によってなされた発明を、
前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本
発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能で
あることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下
記の通りである。
【0048】(1)実際の計測でのフレームレートに対
する超音波像の生成用のフレームレートすなわち見かけ
上のフレームレートを大きくすることができる。
【0049】(2)受波信号から生成される超音波像の
空間分解能を向上することが可能となる。
【0050】(3)Mモード像の画質を向上させた場合
であっても、十分な表示角度の断層像を表示させること
が可能となるので、任意方向Mモードのサンプルライン
の設定自由度を大きくできる。
【0051】(4)Mモード像のスクロール速度を高速
化した場合であっても、実際の計測でのフレームレート
に対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくす
ることができるので、段差ノイズのないいわゆる連続し
たMモード像を表示することができる。
【0052】(5)Mモード像のスクロールピッチを密
にした場合であっても、実際の計測でのフレームレート
に対する超音波像の生成用のフレームレートを大きくす
ることができるので、緻密な任意方向Mモード像を表示
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本実施の形態の超音波診断装置の概略
構成を説明するための図である。
【図2】本発明の本実施の形態の超音波診断装置におけ
る計測ビーム位置と補間ビーム位置との関係を説明する
ための図である。
【図3】本実施の形態のビーム補間部の概略構成を説明
するための図である。
【図4】本実施の形態のビーム補間部の詳細構成を説明
するための図である。
【図5】本実施の形態の超音波診断装置における隣接す
るビーム位置でのビームフォーミングを説明するための
図である。
【符号の説明】
10は探触子、11は被検体、20は超音波送受信部、
30はA/D変換器、40は整相部、50は信号処理
部、51はローパスフィルタ、52はビーム補間部、5
3は検波部、61は全ラインメモリ部、62は画像メモ
リ読み込み選択部、63aはL側画像メモリ、63bは
R側画像メモリ、64は選択部、65はD/A変換器、
70は任意方向M像抽出部、71は1画像メモリ、72
は任意方向M像再構築部、73は任意方向M像ラインメ
モリ、80は任意方向M像ビーム設定部、90は表示
器、101は超音波信号選択部、101はラインメモ
リ、102は演算制御部、103は信号処理部、401
は乗算器、402は加算器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に超音波を送受波する超音波探触
    子と、この超音波探触子を駆動するとともに前記被検体
    からの複数方向から発生したエコー信号を受波する手段
    と、前記エコー信号から前記被検体のBモード像及びM
    モード像を生成する手段と、前記Bモード像及びMモー
    ド像の少なくとも一方を表示する手段とを備えた超音波
    診断装置において、 前記表示手段に表示した画像上に、Mモード用サンプル
    ラインを設定する手段と、前記サンプルライン上のMモ
    ード像を前記複数の方向から発生したエコー信号の大き
    さと方向に基づく補間によって求める手段とを備えたこ
    とを特徴とする超音波診断装置。
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