JP4666734B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光電変換装置に関し、特に太陽光発電に使用される結晶半導体粒子を用いた光電変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
省シリコン原料の低コストな次世代太陽電池の出現が強く望まれている。省資源に有利な粒形もしくは球形のシリコン結晶粒子を用いる従来の光電変換装置を図2に示す(例えば特許第2641800号公報参照)。この光電変換装置は、基板1上に低融点金属層8を形成し、この低融点金属層8上に第1導電形の結晶半導体粒子3を配設し、前記結晶半導体粒子3上に第2導電形の非晶質半導体層7を上記低融点金属層8との間に絶縁層2を介して形成する光電変換装置が開示されている。
【0003】
また、特開昭61−124179号公報によれば、図3に示すように、上部アルミニウム箔11に開口11aを形成し、その開口11aにp形核10aの表面にn形表皮部10bを持つシリコン球10を配設し、このシリコン球10の裏側のn形表皮部10bを除去し、上部アルミニウム箔11の裏面側に絶縁層2を形成し、シリコン球9裏側のp形核10aとを接合する光電変換装置が開示されている。
【0004】
また、特公平8−34177号公報によれば、図4に示すように、基板1上に半導体微小結晶粒14を堆積させ、この半導体の微小結晶粒14を融解させて飽和させた上で徐々に冷却して半導体を液相エピタキシャル成長させることによって多結晶薄膜14を形成する方法が開示されている。なお、図4において12はSnなどの低融点金属膜、13はMoなどの高融点金属膜、15は第2導電形の多結晶あるいは非晶質半導体層、6は透明導電膜である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示す従来の光電変換装置によれば、第2導電形の半導体層7として非晶質半導体層を用いるため、非晶質半導体層7の光吸収が大きいことに起因して、膜厚を薄くしなければならず、半導体層7を粒子3の表面に沿って半導体層を形成するとき、位置による膜厚分布が生じ、膜厚が薄いと粒子3の全面を十分に覆うことができないため、粒子3の外郭に沿ったpn接合の形成が難しくなる。粒子3と絶縁層2を平面に研磨して露出させた後に半導体層7を形成することで被覆性の悪さを補う場合であっても、研磨工程や研磨屑を取り除く洗浄工程が増え、加えて粒の高さにバラツキがあるとき、pn接合面積がばらつき、十分な特性が得られない。その結果、高コスト、低変換効率になるという問題があった。
【0006】
また、図3に示す光電変換装置においては、p形中心核10aの上にn形表皮部10bをもつシリコン球10を製造する必要があること、およびアルミニウム箔11に開口11aを形成し、その開口11aにシリコン球10を押し込んで接合させる必要があることから、シリコン球10の球径に均一性が要求され、高コストになるという問題があった。
【0007】
また、図4に示す光電変換装置によれば、低融点金属膜12の成分が多結晶薄膜14へ混入して特性が落ち、絶縁体が無いために、上部電極6と下部電極13との間がショートしやすいという問題があった。
【0008】
本発明は上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は優れた特性の光電変換装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る光電変換装置は、一方の電極となる基板上に、第一導電形の結晶質半導体粒子を多数配設し、この結晶質半導体粒子間に絶縁物質を介在させ、この結晶質半導体粒子の上部に第二導電形の半導体層を形成した光電変換装置において、前記第二導電形の半導体層が少なくとも不純物添加濃度の異なる二層からなる。また、下部の第二導電形半導体層は、結晶質であり、膜厚が20〜100nmであり、不純物添加濃度が2×10 16 乃至5×10 18 atm/cm である。また、上部の第二導電形半導体層は、結晶質であり、膜厚が50〜500nmであるとともに前記下部第二導電形半導体層よりも厚く、不純物添加濃度が5×10 19 atm/cm 以上である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1において、1は基板、2は絶縁層、3は第一導電形の結晶質半導体粒子、4は下部第二導電形半導体層、5は上部第二導電形半導体層である。
【0016】
基板1としては、金属、セラミック、樹脂等が用いられる。基板1は下部電極を兼ねるために、特性として導電性を持つものであればよく、材質が金属の場合は基板1の構成は単層又は他の金属との複層がある。なお、基板1がセラミックや樹脂といった絶縁体の場合には、その表面に導電層を形成する必要がある。
【0017】
絶縁層2は、正極負極の分離を行うために設ける。例えばSiO2、Al23、PbO、ZnO等を任意な成分とするガラススラリ−を用いて形成する。絶縁層2の膜厚は結晶半導体粒子3の平均粒径の2/3以下で1μm以上がより好適である。絶縁層2の膜厚が結晶半導体粒子3の2/3以上になると、pn接合の形成領域が小さくなり、キャリアを効率よく集めることができなくなるため、好ましくない。また、絶縁層2の膜厚が1μm以下のとき、基板1と結晶質と非晶質混在の半導体層4との間の絶縁が不十分となり、基板1と結晶質と非晶質混在の半導体層4とが接触し、ショートの原因となるため好ましくない。
【0018】
第一導電形の結晶半導体粒子3は、Si、Geにp形を呈するB、Al、Ga等、またはn形を呈するP、As等が微量含まれているものである。半導体粒子3の形状としては多角形を持つもの、曲面を持つもの等があるが、例えば後述の絶縁体層2上から半導体粒子3を押し込んで基板1に接触させる際に、絶縁体層2を効率よく押しのけるために曲面を持つもの特に球状であるものがよい。粒径分布としては均一、不均一を問わないが、均一の場合は粒径を揃えるための工程が必要になるため、より安価にするためには不均一の場合が有利である。また、粒子3の粒径は10〜500μmがよく、10μm未満では押しつける際に押しつけ治具に絶縁層2が付着して半導体粒子3の表面を汚染するため好ましくない。500μmを越えると従来型の平面板の光電変換装置で使用される半導体原料の使用量と変わらなくなり、半導体原料の節約の意味で粒子を適用する利点がなくなる。
【0019】
下部第二導電形半導体層4は、触媒CVD法、VHF−CVD法、プラズマCVD法等で例えばシラン化合物の気相にn形を呈するリン系化合物の気相、又はp形を呈するホウ素系化合物の気相を微量導入して形成する。下部第2導電形半導体層4は結晶質であることが望ましい。下部第2導電形半導体層4が非晶質の場合、光吸収が大きいため結晶半導体粒子3へ到達する光量が減少して変換効率が低下する。ただし、結晶化率80%以上であれば影響はなく、結晶粒径にも依存しない。下部第二導電形半導体層4はpn接合特性を重視した設計とし、不純物添加濃度は2×1016atm/cm3以上、5×1018atm/cm3以下が好ましい。不純物添加濃度が2×1016atm/cm3以下のときは直列抵抗が大きくなって変換効率が低下するため不適当であり、5×1018atm/cm3以上のとき漏れ電流が大きくなって変換効率が低下するため不適当である。下部第二導電形半導体層4は半導体粒子3の表面に沿って形成し、接合を光入射表面近傍かつ粒子形状に沿って形成することが望ましい。半導体粒子3表面に沿って接合を形成することで、結晶質半導体粒子3の内部のどの位置で生成したキャリアも効率よく集めることができる。下部第二導電形半導体層4を凹凸のある形状に成膜するとき、膜厚が薄すぎると粒子表面に沿って粒子の露出部をすべて覆うことが難しくなる。反対に膜厚を厚くしすぎると被覆性は良好となるが、半導体層4の光吸収による損失が大きくなって変換効率が低下する。膜厚は20〜100nmが好適である。20nm以下の膜厚のとき被覆性が悪化し、半導体粒子3と上部第二導電形半導体層5が直接接触するために漏れ電流が大きくなって変換効率が低下するため好ましくない。また、100nm以上の場合、直列抵抗が大きくなって変換効率が低下すること、タクトが低下すること、材料費が増大することにより、高コストとなるため好ましくない。
【0020】
上部第二導電形半導体層5は、下部第二導電形半導体層4と同様、触媒CVD法、VHF−CVD法、プラズマCVD法等で例えばシラン化合物の気相にn形を呈するリン系化合物の気相、又はp形を呈するホウ素系化合物の気相を微量導入して形成する。上部第2導電形半導体層5は結晶質であることが望ましい。上部第2導電形半導体層5が非晶質の場合、光吸収が大きいため結晶半導体粒子3へ到達する光量が減少するため変換効率が低下する。ただし、結晶化率80%以上であれば影響はなく、結晶粒径にも依存しない。上部第二導電形半導体層5は導電性を重視した設計とし、不純物添加濃度は1×1019atm/cm3以上が好ましい。不純物添加濃度が5×1019atm/cm3以下のとき直列抵抗が大きくなって変換効率が低下するため不適当である。上部第二導電形半導体層5は補助電極としても機能し、各々の粒状結晶半導体にて発生した光電流を集め金属電極まで運ぶ役割を担う。補助電極として必要となるシート抵抗(例えば100Ω/cm2以下)を得るためには膜厚を厚くしなければならず、膜厚を厚くすると上部第二導電形半導体層5での光吸収が大きくなって変換効率が低下するため適当ではない。膜厚は50〜500nmが好適である。50nm以下の膜厚ではシート抵抗が大きくなって変換効率が低下するため好ましくない。また500nm以上になると光吸収による損失が大きくなって変換効率が低下するため好ましくない。
【0021】
また、上部第二導電形半導体層5の膜厚は下部第二導電形半導体層4の膜厚よりも厚いことがより好ましい。下部第二導電形半導体層4の膜厚が厚い場合、直列抵抗が大きくなって変換効率が低下する。下部第二導電形半導体層4の膜厚は被覆性が良好となる下限の膜厚とし、上部第二導電形半導体層5の膜厚は直列抵抗を下げるため下部第二導電形半導体層4の膜厚よりも厚くすることが好ましい。
【0022】
また、下部第2導電形半導体層と上部第2導電形半導体層の間に中間の不純物添加濃度を有する中間半導体層を設けても同様の効果が得られた。さらに下部から上部へ連続的に濃度勾配を設けた場合であっても同様の効果が得られた。
【0023】
さらに上部第二導電形半導体層5の上に保護膜を設けてもよい。保護膜として、窒化珪素、酸化チタン等をスパッタリング法やプラズマCVD法等で形成する。多重反射効果、反射防止効果、耐候性改善などの役割を持たせることも可能である。
【0024】
【実施例】
次に、本発明の光電変換装置について具体例を説明する。
まず、基板1上に絶縁層2を形成する。基板1にはアルミニウムを用いた。絶縁層2はガラスペーストを用いて50μm形成した。次に、その上に平均直径100μmの多結晶p形シリコン粒子3を密に1層配置した。次に、絶縁層2の軟化点以上に加熱し、前記シリコン粒子3を絶縁層2に沈み込ませ、基板1と接触させた。次に、シリコン粒子3と絶縁層2の上に下部n形結晶シリコン層4を形成した。下部n形結晶シリコン層4中へのリン添加濃度は1×1017atm/cm3とした。下部n形結晶シリコン層4の構造と膜厚を変化させて特性を調べた結果を表1に示す。その上に上部n形結晶シリコン層5を100nm形成した。
上部n形シリコン層4中へのリン添加濃度は3×1020atm/cm3とした。その上に窒化珪素からなる保護膜を500nm形成した。
【0025】
また、比較例として、n形結晶シリコン層を単一層とし、下部n形シリコン層無しのサンプルも作製して同様に表1にまとめた。
【0026】
【表1】
Figure 0004666734
【0027】
上記結果から分かるように、下部n形結晶シリコン層の構造は結晶質がよく、膜厚は20〜100nmが好適である。下部n形結晶シリコン層が無いとき、高い不純物濃度を持つ上部n形結晶シリコン層とp形シリコン粒子が直接接合するために漏れ電流が大きくなって変換効率が大幅に低下する。
【0028】
次に、下部n形シリコン層の構造を結晶質、膜厚を50nmで固定し、上部n形シリコン層の構造と膜厚を変化させて評価した結果を表2にまとめた。
【0029】
【表2】
Figure 0004666734
【0030】
上記結果から分かるように、上部n形結晶シリコン層の構造は結晶質がよく、膜厚は50〜500nmが好適である。上部n形結晶シリコン層が無いとき、直列抵抗が大きくなって変換効率が低下するため好ましくない。つまり、単一濃度のn形結晶シリコン層を用いる場合、不純物濃度を下げると直列抵抗が大きくなり、不純物濃度を上げると漏れ電流が大きくなるため、両立させることが難しい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光電変換装置によれば、基板上に第一導電形の結晶半導体粒子を多数配置し、この結晶半導体粒子上に第二導電形の半導体層を形成し、この第二導電形の半導体層と上記基板との間に絶縁体を介在させた光電変換装置において、上記第二導電形の半導体層が少なくとも不純物添加濃度が異なる二層からなり、下部の第二導電形半導体層の不純物添加濃度を上部の第二導電形半導体層の不純物添加濃度よりも低くすることにより、高い変換効率が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の光電変換装置構造を示す断面図である。
【図2】従来の光電変換装置の例を示す断面図である。
【図3】従来の光電変換装置の例を示す断面図である。
【図4】従来の光電変換装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・ 基板
2・・・・・ 絶縁層
3・・・・・ 結晶半導体粒子
4・・・・・ 下部半導体層
5・・・・・ 上部半導体層

Claims (1)

  1. 一方の電極となる基板上に、第一導電形の結晶質半導体粒子を多数配設し、この結晶質半導体粒子間に絶縁物質を介在させ、この結晶質半導体粒子の上部に第二導電形の半導体層を形成した光電変換装置において、
    前記第二導電形の半導体層が少なくとも不純物添加濃度の異なる二層からなり、
    下部の第二導電形半導体層は、結晶質であり、膜厚が20〜100nmであり、不純物添加濃度が2×10 16 乃至5×10 18 atm/cm であり、
    上部の第二導電形半導体層は、結晶質であり、膜厚が50〜500nmであるとともに前記下部第二導電形半導体層よりも厚く、不純物添加濃度が5×10 19 atm/cm 以上であることを特徴とする光電変換装置。
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