しかしながら、上述の開閉自在な排紙トレイと、両面パスとの双方を備えた画像形成装置においては、排紙トレイのシート積載面上に排出されたシートの後端が両面パスに入り込んで、紙詰まりが発生するという問題があった。
すなわち、上述のような開閉自在な排紙トレイにおいては、シート積載面上に積載できるシートの枚数を多くするためには、分岐点からシート積載面までの落差を大きくする必要がある。一方、落差を大きくした場合には、分岐点に近い両面パスの入口近傍が大きく開口されてしまうため、シート積載面上に排出されたシートは、シート積載面の傾斜に沿って後端側に移動し、その後端が両面パスの入口近傍に進入して紙詰まりを起こすおそれがある。なお、紙詰まりを起こすと、排紙トレイからシートを取り出す際にシートの後端が入口近傍に引っかかって破損したり、また、両面パスの入口近傍に両面パスに導かれたシートを検知する検知センサが取り付けられている場合には、この検知センサが誤動作したりすることがある。
そこで、本発明は、開放時の排紙トレイ上に多くの枚数のシートを排出することができ、しかも排紙トレイ上に排出されたシートの後端が第2搬送パス(上述では両面パス)の入口近傍に入り込むことによる紙詰まりを防止するようにした画像形成装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明は、シートに画像を形成する画像形成部と、シート搬送方向に沿っての前記画像形成部の下流側に配設された分岐点を境に画像形成後のシートを上方にガイドする第1搬送パスと下方にガイドする第2搬送パスとを備えた画像形成装置に関する。この発明に係る画像形成装置は、前記分岐点の下方に設定された揺動中心を基準として、前記第1搬送パスの一部を構成する起立位置と、前記分岐点を越えて落下するシートを支持する排紙トレイを構成する倒伏位置との間を揺動する開閉可能なガイド・トレイユニットと、前記ガイド・トレイユニット上に設定された揺動中心を基準として、前記ガイド・トレイユニットの前記起立位置に対応して前記第2搬送パスの入口を開放する開放位置と、前記ガイド・トレイユニットの前記倒伏位置に対応して第2搬送パスの入口を閉鎖する閉鎖位置との間を揺動可能なシャッタと、を備える、ことを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置において、前記ガイド・トレイユニットは、前記起立位置に配置された状態において前記第1搬送パス内を搬送されるシートの一方の面をガイドする第1ガイド面を有し、前記第1ガイド面は、前記ガイド・トレイユニットが前記倒伏位置に配置された状態において前記分岐点を越えて落下してくるシートを支持するシート積載面を構成する、ことを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る画像形成装置において、前記シャッタは、前記ガイド・トレイユニットの起立位置に対応する前記開放位置に配置された状態において前記第2搬送パスの一部を構成して前記第1ガイド面に連続する第2ガイド面を有する、ことを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る画像形成装置において、前記シャッタは、前記第2ガイド面の裏面側に、前記閉鎖位置に配置された状態において前記シート積載面上に排紙されたシートの後端が前記第2搬送パスへ進入することを阻止するストッパを有する、ことを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る画像形成装置において、
前記ストッパは、前記シャッタが前記閉鎖位置に配置された状態において、前記分岐点を越えて落下するシートの後端をガイドする、ことを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に係る画像形成装置において、前記シャッタを、前記開放位置側から前記閉鎖位置側に向けて付勢する付勢部材を有する、ことを特徴としている。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る画像形成装置において、前記シャッタは、前記第2ガイド面における通紙幅方向の端部に、前記ガイド・トレイユニットの倒伏動作及び開放動作により画像形成装置本体側の一部に摺擦されるカムを有する、ことを特徴としている。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に係る画像形成装置において、前記第2搬送パスにおける前記入口近傍の下流側にシートを検知する検知センサが配設されている、ことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、ガイド・トレイユニットは、起立位置に配置されて第1搬送パスの一部を構成するとともに、倒伏位置に配置されて排紙トレイを構成する。ここで、ガイド・トレイユニットは、分岐点の下方に揺動中心を有するため、起立位置から倒伏位置に移動されて排紙トレイを構成した場合には、第1搬送パスを開放するとともに、第2搬送パスの入口を開口することになる。また、排紙トレイ上に排出されたシートは、その後端が第2搬送パスの入口近傍に位置することになり、第2搬送パスに入り込むおそれがある。そこで、本発明では、ガイド・トレイユニットが倒伏位置に配置されるのに連動して、シャッタ部材が第2搬送パスの入口を閉じる閉鎖位置に配置される。これにより、排紙トレイ上に排出されたシートが第2搬送パスに入り込むことを防止することができる。一方、シャッタ部材は、ガイド・トレイユニットが起立位置に配置されるのに連動して開放位置に配置されて第2搬送パスの入口を開放する。したがって、シートが第2搬送パスに搬送されるのを阻害するおそれはない。
請求項2の発明によれば、ガイド・トレイユニットは、起立位置においてシートの一方の面をガイドする第1ガイド面と、倒伏位置においてシートを支持するシート積載面とを共通なものとすることができるので、その分、構成を簡略化させることができる。
請求項2の発明によれば、シャッタは、ガイド・トレイユニットが起立位置に配置された場合には、開放位置に配置されて第2搬送パスの一部を構成するので、開放位置に配置されたシャッタを収納するための特別なスペースを確保する必要がなく、その分、スペースを節約することができる。
請求項3の発明によれば、シャッタは、開放位置に配置された場合には、第2ガイド面が第1ガイド面に連続する第2搬送パスの一部を構成するので、開放位置に配置されるシャッタのために、特別な収納空間を確保する必要がない。
請求項4の発明によれば、シャッタは一方の面側に第2ガイド面が構成され、他方の面側(裏面側)ストッパが形成されているので、両者を個別な部材に設ける場合と比較して、構成を簡略化してスペース効率を高めることができる。
請求項5の発明によれば、ストッパは、落下するシートの後端のガイドとしても作用するので、ガイドを別個に設ける場合と比較して、構成を簡略化することができる。
請求項6の発明によれば、シャッタは、付勢部材により、開放位置側から閉鎖位置側に向けて付勢されているので、ガイド・トレイユニットの倒伏動作に伴って、付勢部材により開放位置から閉鎖位置に移動される。そして、閉鎖位置に配置された場合でも、付勢部材によって付勢されているので、簡単に第2搬送パスの入口を開放するおそれがない。
請求項7の発明によれば、シャッタは、ガイド・トレイユニットの倒伏動作及び起立動作に伴ってカムが画像形成装置本体側に摺擦されるので、滑らかな運動で開閉される。
請求項8の発明によれば、ガイド・トレイユニットを倒伏位置に配置して排紙トレイとして使用する場合、シャッタが第2搬送パスの入口を閉鎖するので、排紙トレイ上に積載されたシートの後端が入口から第2搬送パスに入り込んで検知センサを誤動作させることがない。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1,図2を参照して、本発明に係る画像形成装置10の構成及び動作の概略を説明する。これらの図に示す画像形成装置10は、電子写真方式、中間転写方式の4色フルカラーのプリンタである。なお、画像形成装置10としては、上述のプリンタ,複写機,ファクシミリ,及びこれらの複合機等がある。
図1,図2のうち、図1は、画像形成装置10全体の概観を示す図であり、前側の左斜め上方から見た斜視図である。以下の説明においては、特にことわらない限り、同図中の右上に矢印で示す方向を、それぞれ画像形成装置10の前後左右上下とする。また、図2は、画像形成装置10を、図1中の矢印X方向(左側面側)から見たときの縦断面を模式的に示す図である。
画像形成装置10は、図2に示すように、画像形成装置本体Mに対して装着される着脱自在なシート収納部材1と、このシート収納部材1の上方に配設されてシート(記録媒体としての普通紙、透明フィルム等)Pに画像を形成する画像形成部2と、シート収納部材1からシートPを搬送して画像形成部2に供給するシート搬送部3と、画像形成後のシートPを再度、画像形成部2に供給するシート再搬送部4とを備えている。ここで、画像形成装置本体Mとは、主に画像形成装置10を構成するフレーム(筐体)のことをいい、画像形成装置10を構成する各部材やユニットは、このフレームに取り付けられたり、着脱自在に装着されたりしている。
以下では、画像形成部2、シート収納部材1、シート搬送部3、シート再搬送部4の順に説明する。
画像形成部2は、図2に示すように、画像形成装置本体Mのほぼ中央に配設された像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)11と、この感光ドラム11の周囲に配設された帯電ローラ12、露光装置13、現像装置14、中間転写ベルト15、クリーニング装置21等を備えている。
感光ドラム11は、その外周面に例えばアモルファスシリコン(a−Si)の感光層を有していて、駆動手段(不図示)によって矢印R11方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
帯電ローラ12は、感光ドラム11の表面(外周面)を一様に帯電する。帯電ローラ12は、感光ドラム11表面に当接されていて、帯電バイアス印加電源(不図示)によって帯電バイアスが印加される。これにより、感光ドラム11表面は、所定の極性・電位に一様(均一)に帯電される。
露光装置13は、感光ドラム11表面に静電潜像を形成する。帯電後の感光ドラム11の表面は、レーザスキャナ等の露光装置13によって画像情報に基づく露光Lが行われ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
現像装置14は、静電潜像を現像する。現像装置14は、ロータリ14aと、このロータリ14aに搭載された4個の現像器、すなわち第1色目のイエロー(Y),第2色目のマゼンタ(M),第3色目のシアン(C),第4色目のブラック(K)の現像器14Y,14M,14C,14Kを有している。現像装置14は、感光ドラム11の表面に形成された静電潜像の現像に供される現像器、図2の例では第1色目のイエローの現像器14Yが、ロータリ14aの矢印R14方向の回転によって、感光ドラム11の表面に対向する現像位置に配置される。現像位置に配置されたイエローの現像器14Yは、感光ドラム11の表面の静電潜像にイエローのトナーを付着させてイエローのトナー像として現像する。
中間転写ベルト15は、感光ドラム11上のトナー像が転写される。中間転写ベルト15は、無端状(エンドレス)に形成されていて、4本のローラ、すなわちテンションローラ16、1次転写ローラ17、ガイドローラ18、駆動ローラ19に掛け渡されている。駆動ローラ19は、後述の2次転写ローラ22との間に中間転写ベルト15を挟み込む2次転写対向ローラとなっている。中間転写ベルト15は、その裏面側から1次転写ローラ17によって感光ドラム11に押圧されており、これにより感光ドラム11と中間転写ベルト15との間には、左右方向に長い帯状の1次転写ニップN1が形成されている。中間転写ベルト15は、駆動ローラ19が駆動手段(不図示)により、矢印R19方向に駆動回転されるのに伴って、矢印R15方向に回転(無端移動)する。上述の感光ドラム11の表面に形成されたイエローのトナー像は、1次転写ローラ17に1次転写バイアスが印加されることで、1次転写ニップN1において、中間転写ベルト15の表面に1次転写されて担持される。なお、本実施形態では、中間転写ベルト15は、テンションローラ16、1次転写ローラ17、ガイドローラ18、駆動ローラ19とともに、中間転写フレーム39に保持されて、全体として画像形成装置本体Mに対して着脱自在は中間転写ユニット20を構成している。
クリーニング装置21は、トナー像の1次転写後の感光ドラム11を清掃する。クリーニング装置21は、1次転写残トナー(1次転写時に中間転写ベルト15に転写されないで感光ドラム11の表面に残ったトナー)を払拭して除去するものである。1次転写残トナーが除去された感光ドラム11は、その後、第2色目のマゼンタの画像形成に供される。
上述の画像形成プロセス、すなわち帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの一連のプロセスが、イエロー以外の残りの3色であるマゼンタ,シアン,ブラックについても順次に行われて、中間転写ベルト15の表面にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの4色のトナー像が重ね合わされた状態で担持される。これら4色のトナー像は、後述するシート収納部材1からシート搬送部3によって搬送されたシートPに、2次転写ローラ22により、2次転写ニップN2において一括で2次転写される。
シート収納部材1は、図2に示すように、本実施形態では、給紙カセット23によって構成されている。給紙カセット23には、複数枚のシートPが積層状態で収納される。給紙カセット23は、画像形成装置本体Mの下部に前側(図2中の右側)から着脱できる。すなわち、装着状態の給紙カセット23は、画像形成装置本体Mの前側から矢印K1方向に引き抜くことができる。逆に、引き抜かれた状態の給紙カセット23は、画像形成装置本体Mの前側から矢印K2方向に挿入して装着することができるようになっている。画像形成装置本体Mに対する給紙カセット23の着脱は、シートPを補給する場合の外、シート再搬送部4にシートジャム(紙詰まり)が発生した場合も行われる。
シート搬送部3は、図2に示すように、給送ローラ24、搬送ローラ25、リタードローラ26、大径ローラ27、搬送ローラ28,29、レジストローラ対30等を備えている。上述の給紙カセット23内に収納されているシートPは、給紙ローラ24、搬送ローラ25、リタードローラ26によって1枚ずつ給送され、さらに、大径ローラ27、搬送ローラ28,29等によって、停止中のレジストローラ対30に搬送されて、斜行が矯正される。シートPはその後、中間転写ベルト15の表面の4色のトナー像にタイミングを合わせてレジストローラ対30が回転されることで、2次転写ニップN2に供給される。こうして2次転写ニップN2に供給されたシートPに対して、2次転写ローラ22に2次転写バイアスが印加されることにより、4色のトナー像が一括で2次転写される。なお、2次転写ローラ22は、トナー像の2次転写時以外は、中間転写ベルト15の表面から離間されている。
トナー像の2次転写後の中間転写ベルト15は、2次転写残トナー(シートPに転写されないで表面に残ったトナー)が、ベルトクリーナ31によって除去され、次のトナー像の1次転写及び2次転写に供される。
一方、トナー像の2次転写後のシートPは、定着装置32に搬送され、ここで定着ローラ33及び加圧ローラ34によって加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。トナー像の定着後のシートPは、搬送ローラ35,36、切換えフラッパ38、搬送ローラ対40、排出ローラ対41によって、画像形成装置本体Mの上面の排紙トレイ上に画像面(トナー像が定着された面)を下向きにした、いわゆるフェースダウンで排出される。以上で、1枚のシートPの片面(表面:第1面)に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
シート再搬送部4は、表面に画像形成されたシートPの裏面(第2面)にも画像形成する際に使用される。図2に示すようにシート再搬送部4は、下面ガイド43、シート再搬送路44、上流側の再搬送ローラ対45、下流側の再搬送ローラ対46等を備えており、装着状態の給紙カセット23の上方に配設されている。上述のシート再搬送路44は、再搬送されるシートPの上面側をガイドする上ガイド47と、下面側をガイドする下ガイド48とを有している。また、下面ガイド43の上流側には、シートPの通過によって矢印R49方向に傾斜するセンサフラグ49と、その傾斜を検知することでシートPを検知する検知センサ(不図示)が配設されている。なお、このセンサフラグ49は、定着装置32によって定着されたシートPを検知するためのセンサフラグとしても兼用されている。
上述のシート再搬送部4において、表面にトナー像が定着されたシートPは、その後端が搬送ローラ35,36、切換えフラッパ38を通過した時点で、切換えフラッパ38が切り換えられ、さらに搬送ローラ対40が逆転され、搬送ローラ36,37が回転されることにより、下面ガイド43、シート再給送路44に導かれて表裏反転される。そして、再搬送ローラ対45,46によって、上述のレジストローラ対30に搬送され、片面(第1面)の場合と同様にして裏面(第2面)にトナー像が2次転写され、さらに定着された後、排紙トレイに排出される。以上で、1枚のシートPの両面に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
ここで、画像形成装置本体Mの右側の大径ローラ27の上方には、手差し給紙を行う際に使用される手差し給紙ローラ50が配設されている。手差し給紙時には、図1に示す開閉カバー51をその下端側の揺動中心52を中心に上端側を手前(前側)に引くように開放すると、開放状態の開閉カバー51が手差し給紙トレイとして作用し、その上面に手差しするシートPをセットできるようになる。なお、この開閉カバー51は、ジャム処理やメンテナンス等のために、中間転写ユニット20やシート搬送部(搬送ユニット)3を画像形成装置本体Mから引き抜く際にも開放される。また、図2に示すように、中間転写ユニット20の上方には、トナー補給容器53が配設されている。トナー補給容器53は、現像装置14の各色の現像器14Y,14M,14C,14Kに補給される各色のトナーがそれぞれ個別に収納されている。これら各色のトナーは、必要に応じて、トナー補給装置54により各色の現像器14Y,14M,14C,14Kに補給されるようになっている。
次に、図3〜図9を参照して、本発明の特徴を説明する。このうち、図3は、ガイド・トレイユニット60の起立位置A1、及びシャッタ61の開放位置B1を説明する図である。図4は、ガイド・トレイユニット60の倒伏位置A2、及びシャッタ61の閉鎖位置B2を説明する図である。図5は、ガイド・トレイユニット60が倒伏位置A2に配置された場合に、仮にシャッタ61が開放位置B1に配置されたままだと、両面パス(第2搬送パス)P2の入口が大きく開口されてしまうようすを説明する図である。図6は図3における分岐点S近傍の拡大模式図である。ここで分岐点Sとは、図6における定着装置32の下流側において排紙パス(第1搬送パス)P1と両面パス(第2搬送パス)P2とが分かれる箇所のことをいい、以下の説明では、搬送ローラ36の中心近傍が分岐点Sに相当するものとして説明を行う。図7は開閉動作途中のガイド・トレイユニット60及びシャッタ61を説明する拡大模式図である。図8は図4における分岐点S近傍の拡大模式図である。そして、図9はシャッタ61の構成を説明する斜視図である。
図3〜図5に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体Mの後側面M1側に、ガイド・トレイユニット60及びシャッタ61を備えている。ガイド・トレイユニット60は、ほぼ板状に構成されていて、基端側(図3中では下端側、図4中では右端側)の揺動中心62を基準として、画像形成装置本体Mによって揺動自在(開閉自在)に支持されている。この揺動中心は、画像形成装置本体M側における分岐点S(搬送ローラ36)の下方に設定されている。ガイド・トレイユニット60は、揺動中心62を基準に揺動(開閉)して、図3に示す起立位置A1と図4に示す倒伏位置A2との間を揺動することができる。
ガイド・トレイユニット60は、図3に示す起立位置A1に配置された状態では、排紙パスP1の一部を構成してシートPをガイドし、また図4に示す倒伏位置A2に配置された状態では、排紙されたシートPを下方から支持する排紙トレイを構成する。
図3に示すように、ガイド・トレイユニット60が起立位置A1に配置された場合には、定着装置32の下流側に設定されている分岐点Sを境に、上方に延びる第1搬送パスとしての排紙パスP1と下方に延びる第2搬送パスとしての両面パス(再給紙パス)P2とが構成されている。排紙パスP1は、分岐点Sのすぐ下流側に斜め後方に立ち上がり、その後ほぼ真上に立ち上がり、最下流側は斜め前方に立ち上がって排紙ローラ対41に到っている。すなわち、排紙パスP1は、全体としては、図3に示すように、後側に凸状に緩やかに湾曲するように構成されている。この排紙パスP1は、画像形成装置本体M側に設けられて、シートPの表面(第1面:シートPのうちのトナー像が形成された面)をガイドするガイド面63と、ガイド・トレイユニット60側に設けられて適宜な間隙を介してガイド面63に対面する第1ガイド面64とによって構成されている。ガイド・トレイユニット60側の第1ガイド面64は、シートPの裏面(第2面:シートPのうちのトナー像が形成されていない側の面)をガイドすることになる。画像形成後のシートP、すなわち表面(第1面)にトナー像が定着されたシートPは、分岐点Sを通過し、切換えフラッパ38に導かれて排紙パスP1に進入し、排紙パスP1にガイドされながら搬送ローラ対40等によって上方に搬送され、排出ローラ対41によって、フェースダウンで排紙トレイ42上に排出される。
図3に示すように、両面パスP2は、分岐点Sから下方に延びるように構成されている。両面パスP2は、搬送ローラ36から斜め前方に下降し、下面ガイド43、シート再搬送路44等を経由して画像形成部2に到る。両面パスP2における入口、すなわち両面パスP2における分岐点Sのすぐ下流側に位置する部分は、上述のガイド・トレイユニット60の第1ガイド面64の下端の一部64aと、画像形成装置本体M側の、分岐点Sの下方に位置するガイド面65との間に形成されている。表面の画像形成につづいて裏面にも画像形成されるシートPは、前述のように、表面にトナー像が定着された後、その後端が搬送ローラ35,36、切換えフラッパ38を通過した時点で、切換えフラッパ38が切り換えられ、さらに搬送ローラ対40が逆転され、搬送ローラ36,37が回転されることにより、両面パスP2の入口に進入し、さらに、下面ガイド43、シート再給送路44、レジストローラ対30等を経由して、再度、画像形成部2に供給されることになる。
このように、ガイド・トレイユニット60が起立位置A1に配置された状態においては、分岐点Sの上方には、排紙パスP1が形成され、また、下方には両面パスP2が形成される。そして、表面にトナー像が形成されたシートPは、排紙パスP1を経由して、上方の排紙トレイ42にフェースダウンで排出され、あるいは、裏面にもトナー像が形成される場合には、表面にトナー像が形成された後、両面パスP2に搬送され、画像形成部2において裏面にも画像形成された後、排紙パスP1を介して排紙トレイ42上に排出されることになる。
ガイド・トレイユニット60は、図4,図8に示す倒伏位置A2に配置された状態においては、フェースアップ用の排紙トレイを構成するとともに、排紙パスP1を開放し、かつ後述するシャッタ61によって両面パスP2の入口を閉鎖するようにしている。
倒伏位置A2に配置されたガイド・トレイユニット60は、排紙トレイとして作用し、その上面は、シート積載面66となる。なお、このシート積載面66は、上述の第1ガイド面64と同一のものである。シート積載面66は、全体として上方が凹状に緩やかに湾曲した曲面状に形成されていて、基端側(画像形成装置本体Mに近い側)が先端側(画像形成装置本体Mから遠い側)よりも低くなっている。これは、シート積載面66上に排出されたシートPを落下させることなく、良好に積載するためである。また、ガイド・トレイユニット60は、上述のように、揺動中心62が分岐点Sの下方に設けてあって、倒伏位置A2においては、分岐点Sからシート積載面66までの落差が大きくなるようにしている。これは、シート積載面66上に積載できるシートPの枚数を増やすためである。画像形成後のシートP、すなわち定着装置32によってトナー像が定着されたシーPは、分岐点Sを越えて落下するようにしてガイド・トレイユニット60のシート積載面66上に載置される。
ところで、ガイド・トレイユニット60が倒伏位置A2に配置されると、両面パスP2の入口が大きく開口されてしまう。ガイド・トレイユニット60は、上述のように、シート積載面66上へのシートPの積載枚数を増加させるべく、揺動中心62が分岐点Sの下方に設定されている。このため、ガイド・トレイユニット60が倒伏位置A2に配置された場合には、ガイド・トレイユニット60によって回転自在に支持された搬送ローラ40a(図2参照)が、画像形成装置本体M側の搬送ローラ40bから離間され、また、両面パスP2の入口を構成する第1ガイド面64の下端の一部64aが、画像形成装置本体M側のガイド面65から遠く離れて、入口を大きく開口することになる(図5参照)。さらに、シート積載面66上に排出されたシートPは、その後端が入口近傍に位置するとともに、シート積載面66がシートPの後端側が低く傾斜しているので、シートPの後端が入口に進入して紙詰まりを発生させるおそれがある。このような紙詰まりが発生すると、シート積載面66上からシートPを取り出す際に、シートPを破損させたり、また入口近傍に配設されているセンサフラグ49を不要に移動させて検知センサを誤検知させたりすることがある。
そこで、本発明においては、ガイド・トレイユニット60の起立位置A1及び倒伏位置A2に対応させて、シャッタ61をそれぞれ開放位置B1及び閉鎖位置B2に配置するようにしている。そして、シャッタ61は、開放位置B1に配置されたときに、両面パスP2の入口を開放し、一方、閉鎖位置B2に配置されたときに、両面パスP2の入口を閉鎖して、シート積載面66上のシートの後端が両面パスP2の入口に入り込むのを防止している。以下、この点について詳述する。
図6に示すように、シャッタ61は、起立位置A1に配置された状態のガイド・トレイユニット60における基端側でかつ前端側において、ガイド・トレイユニット60により揺動自在に支持されている。図9にシャッタ61単体の斜視図を示す。図9に示すように、シャッタ61は、ガイド板70と、このガイド板70の裏面側に設けた複数のリブ71と、ガイド板70の表面側に設けたカム72とを有している。
このうちガイド板70は、左右方向に長い長方形の板状に形成されている。左右方向の長さは、画像形成に係るシートPのうちの通紙幅が最大のシートPのその通紙幅よりも長く設定されている。ガイド板70は、シャッタ61が図6に示す開放位置B1に配置されたときに、その上面が第2ガイド面73となって、両面パスP2の一部を構成する。リブ71はガイド板70の裏面に直交する向きに突設されており、ガイド板70の左右方向に沿って多数配設されている。リブ71の、ガイド板とほぼ平行な端縁は、ストッパ71aになっている。このストッパ71aは、図8に示すように、シャッタ61が閉鎖位置B2に配置されたときに、シートPがガイド・トレイユニット60のシート載置面66に載置された後には、シートPの後端が両面パスP2の入口に入り込むのを阻止する。このストッパ71aは、図8に示すように、搬送ローラ35,36から排出されてシート積載面66に積載されるシートPの後端をガイドするガイド部としても作用する。ガイド板70の第2ガイド面73における左右方向の両端部近傍には、それぞれ同形のカム72が突設されている。カム72は、そのカム面72aが緩やかに湾曲する曲面に形成されていて、ガイド・トレイユニット60の開閉動作に伴って、画像形成装置本体M側のガイド面65に摺擦されるようになっている。上述のリブ71における図6中の右端側には、ガイド・トレイユニット60に保持された軸74が左右方向に貫通されている。シャッタ61はこの軸74によって揺動自在に支持されている。また、この軸には、捩じりばね(不図示)が装着されている。捩じりばねは、一方の端部がガイド・トレイユニット60に係合され、また他方の端部がシャッタ61に係合されていて、シャッタ61全体を図6に示す開放位置B1から図8に示す閉鎖位置B2へ向けて(図6〜図8中の時計回り。ガイド・トレイユニット60の開放方向とは逆の方向)に付勢している。図7,図8に示すように、ガイド・トレイユニット60には、シャッタ61の開放位置B1を規制する規制部75が設けてあり、図6に示すように、ガイド・トレイユニット60が起立位置A1に配置されたときには、シャッタ61は、カム72が画像形成装置本体M側のガイド面65によって捩じりばねの付勢力に抗して反時計回りに付勢され、ガイド板70の裏面が規制部75に当接することで開放位置B1に配置される。言い換えると、シャッタ61は、ガイド板70の裏面を規制部75に当接させ、かつカム72を画像形成装置本体M側のガイド面65に当接させることで、両面パスP2の間隙を適宜に設定している。
図6〜図8を参照して、上述構成の画像形成装置10の動作、主に、ガイド・トレイユニット60及びシャッタ61の動作を説明する。
図6に示すように、ガイド・トレイユニット60が起立位置A1に配置されている場合には、シャッタ61はこれに対応して開放位置B1に配置される。すなわち、シャッタ61は、捩じりばねによる図6中の時計回りの付勢力に抗して、画像形成装置本体M側のガイド面65に押されて規制部75に押し付けられて開放位置B1に配置される。これにより、シャッタ61は、両面パスP2の入口を開放するとともに、そのガイド板70の表面が第2ガイド面73となって両面パスP2の一部を構成する。この状態において、分岐点Sの上方には、排紙パスP1が構成され、一方、分岐点Sの下方には両面パスP2が構成される。したがって画像形成後のシートPを、排紙パスP1を介して図3に示すフェースダウン用の排紙トレイ42に排出することができ、また、画像形成後のシートPを、両面パスP2を介して再度、画像形成部2に供給することができる。
図7は、ガイド・トレイユニット60の開放動作中の状態を説明する図であり、図6に示す起立位置A1と図8に示す倒伏位置A2とのほぼ中間にある状態を示している。ガイド・トレイユニット60を、起立位置A1から揺動中心62を基準として矢印R60方向開放していくと、シャッタ61の揺動中心となる軸74は、画像形成装置本体M側のガイド面65から徐々に離間し、これに伴って、両面パスP2の入口が徐々に開口されていく。これに対してシャッタ61は、捩じりばねによって時計回りに付勢されているので、そのカム72が画像形成装置本体M側のガイド面65に摺擦されながら、時計回りに回転していく。これにより、ガイド板70が徐々に両面パスP2の入口を塞いでいく。そして、ガイド・トレイユニット60が図8に示す倒伏位置A2に配置されたときには、シャッタ61が両面パスP2の入口の開口部を閉塞する。この状態では、排紙パスP1が開放され、両面パスP2の入口が閉鎖される。一方、ガイド・トレイユニット60がフェースアップ用の排紙トレイとして作用する。画像形成後のシートP、すなわちトナー像定着後のシートPは、搬送ローラ35,36により、分岐点Sを越えてガイド・トレイユニット60のシート積載面66に落下するようにして排出される。この際、シートPは、その後端が、入口を閉鎖しているシャッタ61のリブ71によってガイドされながら落下する。また、シートPは、シート積載面66に載置された後には、シート積載面66が基端側が下方に傾斜していることに基づき、後端側に滑るように移動して、後端をリブ71に突き当てて整合される。この際、両面パスP2の入口は、シャッタ61によって確実に閉鎖されているので、シートPの後端が両面パスP2の入口に入り込むおそれはない。そして、シートPの後端が両面パスP2の入口に進入することが阻止されるので、シートPの進入に起因する紙詰まりや、センサフラグ49の誤動作を防止することができる。また、シャッタ61は、閉鎖位置B2に配置された状態においても、捩じりばねによって画像形成装置本体Mに押し付けるように付勢されているので、不要に開放されることはない。
ガイド・トレイユニット60を図8に示す倒伏位置A2から図6に示す起立位置A1に移動させる際は、ガイド・トレイユニット60及びシャッタ61は、上述とは逆の動作で、それぞれ起立位置A1に配置され、また開放位置B1に配置される。また、シャッタ61は、ガイド・トレイユニット60の起立位置A1に対応して開放位置B1に配置された際に、両面パスP2の一部を構成するので、開放位置B1に配置されたシャッタ61を収納するための特別なスペースを確保する必要がない。
以上の説明では、画像形成装置10が電子写真方式の画像形成部2を有する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成部としては任意の方式を採用することができる。例えば、インクジェット方式、熱転写方式、ドットインパクト方式、静電記録方式等の任意の方式を採用することができる。
2……画像形成部、10……画像形成装置、60……ガイド・トレイユニット、61……シャッタ、62……揺動中心、64……第1ガイド面、66……シート積載面、71a……ストッパ、72……カム、73……第2ガイド面、A1……起立位置、A2……倒伏位置、B1……開放位置、B2……閉鎖位置、P……シート、P1……排紙パス(第1搬送パス)、P2……両面パス(第2搬送パス)、S……分岐点