JP4665542B2 - 自動車の前部車体構造 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、フロントフェンダの縦壁状の内壁部に、下向きの外力に対して変形し易い脆弱部と、フード側端部に下向きの外力が作用した際にフロントフェンダを下方へ変位させるフェンダ下方移動手段とを設けた構成が開示されている。
また更に、本願請求項4の発明(第4の発明)は、前記第3の発明において、前記フード外端部と対向するフロントフェンダ内壁部の上部に、前記フード外端部との間に所定の間隙を設ける弾性部材が配設されていることを特徴としたものである。
この結果、フード外壁部の左右側端部およびその近傍に、車体前後方向へ延びる所定角度の折曲部が設けられ、該折曲部の車幅方向内側に、車幅方向外側下方へ傾斜する内側部分が設けられると共に、車幅方向外側には、前記内側部分よりも大きく外側下方へ傾斜する側端傾斜面部が形成されたデザインを採用した場合でも、フード上に跳ね上げられた歩行者がフード上に落下する際に該フードから受ける衝撃力を効果的に吸収することができるようになる。すなわち、自動車のデザイン性と、当該自動車の歩行者との接触や衝突を想定した場合における歩行者保護特性の確保とを、両立して実現することができる。
特に、脆弱部の具体的な構成について、フード内壁部が、前記折曲部に対応する部分に上方へ湾曲する湾曲部を有すると共に、該湾曲部の車幅方向内端から、該湾曲部の頂点よりも下方において略水平に車幅方向内側へ延びる水平面部を備えることで、前記湾曲部によって前記折曲部の内側部分と外側部分とで前記フードの断面高さが変化し、これにより、上方からの外力に対する脆弱部が形成されている。従って、フード全体の剛性低下を招くことなく、比較的簡単な構成で局部的な脆弱部を必要箇所に設けることができる。
また更に、本願の第4の発明によれば、前記第3の発明と同様の効果を奏することができる。特に、フード外端部と対向するフロントフェンダ内壁部の上部に、フード外端部との間に所定の間隙を設ける弾性部材が配設されているので、フロントフェンダ内壁部に前記傾斜面部を設けた場合について、フード閉時に、フード外端部がフロントフェンダの上端よりも下方に位置する所謂オーバランが生じて、車体前部の見映えが損なわれることを有効に防止できる。
図1は本実施形態に係る自動車の車体前部の概略構成を示す分解斜視図、図2は車体前部の側面説明図、図3はエンジンルームの部分斜視図である。
これらの図に示すように、前記自動車の車体前部には、エンジンルーム2の前端に略矩形フレーム状のシュラウドメンバ4が配設され、このシュラウドメンバ4は、車体前部の下部において車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム5により、側面を支持されている。フロントバンパユニット6(図1参照)は、これらフロントサイドフレーム5及び前記シュラウドメンバ4の前面に組み付けられる。
また、フロントフェンダ20の内方にはホイールハウスの内板9(ホイールハウスインナ:図2参照)が配設され、該ホイールハウスインナ9の上端側には、フロントサスペンション装置(不図示)を維持するサスタワー10が位置している。尚、ホイールハウスインナ9の下端側は、前記フロントサイドフレーム5に固定されている。
これらの図から良く分かるように、前記フロントフェンダ20は、例えば1枚ものの板材で構成された外壁部21と内壁部22とを有しており、この内壁部22の下端側は、所謂フードリッジとしてのサスタワー10の上面部に、例えばネジ部材(不図示)を用いて固定されている(図8及び図9参照)。そして、フード30が閉じられた状態では、当該フード30の側端部がフロントフェンダ内壁部22の上方に位置するように構成されている。
但し、フード30にこのような側端傾斜面部35を設けた場合、フード30に(特に、側端部及び/又はその近傍部分に)上方からの外力が作用した場合には、この側端傾斜面部35がより大きく下方外側へ傾斜している分だけ、フード30の左右側端部の下方への移動可能なスペースが制限されることになる。
この結果、フード外壁部31の左右側端部およびその近傍に内側部分よりも大きく外側下方へ傾斜する側端傾斜面部35を備えたデザインを採用した場合でも、フード30上に跳ね上げられた歩行者がフード30上に落下する際に該フード30から受ける衝撃力を効果的に吸収することができるようになる。すなわち、自動車のデザイン性と、当該自動車の歩行者との接触や衝突を想定した場合における歩行者保護特性の確保とを、両立して実現することができるのである。
これにより、前記脆弱部33が十分に変形し折曲部34が略水平となる前に、フード内壁部32の側端部の近傍部分がフロントフェンダ内壁部22やサスタワー10の上部に先当たりして、下方への移動が阻害されることが有効に防止されている。
一方、図4にも示されるように、フード30の外端部と対向するフロントフェンダ内壁部22の上部には、フード30の外端部との間に所定の間隙を設ける弾性部材として、例えばゴム製のバンプラバー25が、フロントフェンダ内壁部22の前記内壁傾斜面部23に沿うようにして配設されている。
本実施形態の場合、前述のように、ランプレンズ7が通常の車両に比してかなり後方へ延びるデザインとされている関係上、このランプレンズ7に対応した領域では、フロントフェンダ内壁部22の上部に所要の部品を取り付けるために、取付ブラケット28が設けられており、前記従来公知のストップラバー29はこのブラケット28上に支障なく取り付けることができる。この取付ブラケット28の上方を覆うために、樹脂製のカバー27が配設されている。尚、図4は、この樹脂製カバー27を取り外した状態で、前記バンプラバー25を示したものである。
また、このとき、フード30の外端部と対向するフロントフェンダ内壁部22の上部に、フード30の外端部との間に所定の間隙を設ける弾性部材25が配設されているので、フロントフェンダ内壁部22に前述のような内壁傾斜面部23を設けた場合について、フード30を閉じた際に、フード30の外端部がフロントフェンダ20の上端よりも下方に位置する所謂オーバランが生じて、車体前部の見映えが損なわれることを有効に防止できるのである。
20 フロントフェンダ
21 フロントフェンダ外壁部
22 フロントフェンダ内壁部
23 (フロントフェンダの)内壁傾斜部
25 バンプラバー
30 フード
31 フード外壁部
32 フード内壁部
32a (フード内壁部の)外端部
32b (フード内壁部の)外側水平部
32c (フード内壁部の)内壁傾斜面部
32d (フード内壁部の)湾曲部
33 脆弱部
34 折曲部
35 側端傾斜面部
Hc,He フードの断面高さ
Claims (4)
- 外壁部と内壁部とを有し車体前部のエンジンルームの上方を覆うフードと、外壁部と内壁部とを有し前記エンジンルームの側方に位置するフロントフェンダと、該フロントフェンダの前記内壁部の下端部が上部に固定されるフードリッジとを備え、前記フードが閉じられた状態で当該フードの側端部が前記フロントフェンダの内壁部の上方に位置するように構成された自動車の前部車体構造であって、
フード外壁部の側端部近傍に、車体前後方向へ延びる所定角度の折曲部が設けられ、
該折曲部の車幅方向内側に、車幅方向外側下方へ傾斜する内側部分が設けられると共に、車幅方向外側には、前記内側部分よりも大きく外側下方へ傾斜する側端傾斜面部が形成されており、
フード内壁部が、前記折曲部に対応する部分に上方へ湾曲する湾曲部を有すると共に、該湾曲部の車幅方向内端から、該湾曲部の頂点よりも下方において略水平に車幅方向内側へ延びる水平面部を備えることで、前記湾曲部によって前記折曲部の内側部分と外側部分とで前記フードの断面高さが変化し、これにより、上方からの外力に対する脆弱部が形成されており、
前記フードの側端部及び/又はその近傍に上方から所定値以上の外力が作用すると、前記脆弱部が変形して前記フードが所定量下方へ移動する、
ことを特徴とする自動車の前部車体構造。 - 前記フード内壁部は、フード外壁部の側端部との間でヘム部を形成する外端部と、該外端部の内側から略水平に延びる水平面部と、該水平面部の内端から前記フード外壁部の側端傾斜面部に略沿って前記湾曲部まで延びる傾斜面部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の自動車の前部車体構造。
- フロントフェンダ内壁部が、前記フードの車幅方向外側のフード外端部と下方から対向する部位において、下方に向かうに連れて内方へ傾斜する傾斜面部を備え、該傾斜面部の車幅方向内側の端部が、前記フード外端部よりも車幅方向内側に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部車体構造。
- 前記フード外端部と対向するフロントフェンダ内壁部の上部に、前記フード外端部との間に所定の間隙を設ける弾性部材が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の自動車の前部車体構造。
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