JP4665438B2 - 遊星歯車機構 - Google Patents

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Description

この発明は、サンギヤと、リングギヤと、これらサンギヤおよびリングギヤの間に配置した複数のピニオンギヤを回転自在に保持するキャリヤとを主たる要素とする遊星歯車機構に関するものである。
サンギヤおよびリングギヤおよびキャリヤの三要素を有する遊星歯車機構において、それらの三要素のうち、いずれかを入力要素とし、かつ他のいずれかを出力要素とし、さらに他の要素を固定要素とすることにより、遊星歯車機構を、減速装置、増速装置、反転装置などとして機能させることができる。またいずれか二つの要素を一体回転するように連結することにより、遊星歯車機構の全体を一体化させて、すなわち入力要素と出力要素とを直結状態にして回転させることができる。
このような遊星歯車機構の機能を利用した装置として、サンギヤと、このサンギヤの外側に配置されたリングギヤと、これらのサンギヤおよびリングギヤに噛合されたピニオンギヤを保持するキャリヤとを有した、いわゆるシングルピニオン形式の遊星歯車機構であって、それらサンギヤまたはリングギヤまたはキャリヤのいずれかを固定することにより電動機の回転速度を変速する変速機構を備えた動力伝達装置の一例が、特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されている変速機構では、キャリヤがケーシング側にスプライン嵌合により固定され、リングギヤの外周にそのリングギヤと一体回転するように形成された外歯に、ギヤ対およびデファレンシャルを介して車輪に連結されたカウンタギヤが噛合されている。したがって、外歯とカウンタギヤとの間、すなわちリングギヤとカウンタギヤとの間でトルクの伝達がおこなわれ、ピニオンギヤを介してリングギヤとサンギヤとの間でトルクの伝達がおこなわれるとともに、それらの間で回転速度が変速されるように構成されている。
特開2002−274201号公報
上記の特許文献1に記載されている遊星歯車機構において、カウンタギヤとリングギヤとの間でトルクが伝達される際にリングギヤやピニオンギヤあるいはキャリヤなどの各要素に作用する力のつり合いを、図2および図3に簡略化して示している。図2および図3において、サンギヤ1とリングギヤ2との間に複数のピニオンギヤ(ここでは、ピニオンギヤ3,4)が配置され、それらのピニオンギヤ3,4を保持しているキャリヤ5がケーシング6に対してスプライン7,8によって固定されている。また、リングギヤ2の外周面に形成された外歯9とカウンタギヤ10とが噛合されている。そして、リングギヤ2がその外周に嵌合させられた軸受11を介してケーシング6に支持されている。
このような使用形態では、リングギヤ2とカウンタギヤ10との噛み合い部に、トルクの伝達に伴う荷重F1が作用する。図2および図3では圧力角を無視して記載しているので、その荷重F1はサンギヤ1の中心とカウンタギヤ10の中心とを結んだ線に対して直角方向に作用する。ここで、図2は、仮にリングギヤ2やリングギヤ2を支持している軸受11が完全な剛体であるとした場合(すなわち理想状態)における各要素に作用する力のつり合いを示している。このような理想状態で荷重F1が作用すると、その荷重F1につり合う反力として、荷重F1が作用する方向と平行なリングギヤ外周部の法線方向に、軸受11の支持反力である荷重F2が作用する。また、リングギヤ2と各ピニオンギヤ3,4との各噛み合い部には、互いに均等な(互いにつり合う)荷重F3,F4が作用する(図2の(a))。
また、その場合、キャリヤ5には、各ピニオンギヤ3,4のピニオンピン3a,4aから受ける、互いにつり合う荷重F5,F6が作用し、キャリヤ5の外周部とケーシング6との各スプライン嵌合部には、互いにつり合う荷重F7,F8が作用する(図2の(b))。したがって、このような理想状態では、リングギヤ2とカウンタギヤ10との間のトルクの伝達に伴い、各ピニオンギヤ3,4には互いにつり合う力(F3,F4)が作用することになる。
しかしながら、実際には、リングギヤ2や軸受11は完全な剛体ではなく、外部からの力を受けることによって、たわみや変形、あるいは支持部のクリアランスによるがたなどが生じる。そこで、その場合における各要素に作用する力のつり合いを図3により説明すると、荷重F1が作用してリングギヤ2や軸受11にたわみや変形、あるいはがたなどが生じることによって、すなわち荷重F1が前記たわみや変形を生じさせるためあるいはリングギヤ2を前記がたの分移動させるために作用することによって、軸受11の支持反力が低下し、上記の理想状態での荷重F2よりも小さい荷重F2’となる。
そのため、リングギヤ2とカウンタギヤ10との噛み合い部に近い位置にあるピニオンギヤ3に作用する荷重F3’が、前記噛み合い部に遠い位置にあるピニオンギヤ4に作用する荷重F4’よりも大きくなり、それらの荷重F3’と荷重F4’との差が、荷重F2’の低下による荷重F1に対する反力の不足分を補う形で、各要素に作用する力がつり合うことになる(図3の(a))。
またその場合、キャリヤ5には、荷重F3’と荷重F4’との差に対応して、前記噛み合い部に近い位置にあるピニオンギヤ3のピニオンピン3aから受ける荷重F5’と、その荷重F5’よりも小さい、前記噛み合い部に遠い位置にあるピニオンギヤ4のピニオンピン4aから受ける荷重F6’とが作用する。また、キャリヤ5の外周部とケーシング6との各スプライン嵌合部には、前記噛み合い部に近い位置にあるスプライン嵌合部に作用する荷重F7’と、その荷重F7’よりも小さい、前記噛み合い部に遠い位置にあるスプライン嵌合部に作用する荷重F8’とが作用する(図3の(b))。
したがって、上記の特許文献1に記載されているような、カウンタギヤなどの外部部材とリングギヤとの間でトルクが伝達され、キャリヤがケースなどの固定部材に固定されて、複数のピニオンギヤを介してリングギヤとサンギヤとの間でトルクの伝達がおこなわれる遊星歯車機構においては、複数のピニオンギヤのうち、トルクの伝達部に近い位置に配置された特定のピニオンギヤに、トルクの伝達に伴う荷重が集中して(偏って)作用することになる。そのため、その特定のピニオンギヤに大きな荷重が掛かってしまい、これが原因となり遊星歯車機構の強度や耐久性が低下してしまう問題、もしくは、その特定のピニオンギヤの強度あるいは耐久性によって遊星歯車機構の全体としての強度や耐久性が制約されてしまう問題があった。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、外部部材との間でのトルク伝達に伴う荷重が特定の部材に偏って作用することを回避して全体としての強度や耐久性などの特性を向上させることのできる遊星歯車機構を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、サンギヤと、リングギヤと、これらサンギヤおよびリングギヤの間に配置した複数のピニオンギヤを回転自在に保持するキャリヤとを要素として備え、かつ前記キャリヤが所定の固定部位に対して回転しないように係合され、前記ピニオンギヤを介して前記サンギヤと前記リングギヤとの間でトルクを伝達するとともに、前記リングギヤとその外周側に配置された外部部材との間でトルクの伝達をおこなう遊星歯車機構において、前記キャリヤを前記固定部位に対して回り止めする係合部が、前記リングギヤと前記外部部材との間のトルク伝達部を含み前記キャリヤの円周方向における前記トルク伝達部でのトルクの伝達に伴う荷重の影響が大きくなる領域として予め設定した第1領域と、前記トルク伝達部を含まず前記キャリヤの円周方向における前記トルク伝達部でのトルクの伝達に伴う荷重の影響が前記第1領域よりも小さくなる領域として予め設定した第2領域とに設けられ、前記第1領域における前記係合部の回り止め方向での係合度合いが、前記第2領域における前記係合部の回り止め方向での係合度合いよりも低く設定されていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2領域に複数の前記ピニオンギヤが配置されていることを特徴とするものである。
さらに、請求項3の発明は、サンギヤと、リングギヤと、これらサンギヤおよびリングギヤの間に配置した複数のピニオンギヤを回転自在に保持するキャリヤとを要素として備え、かつ前記キャリヤが所定の固定部位に対して回転しないように係合され、前記ピニオンギヤを介して前記サンギヤと前記リングギヤとの間でトルクを伝達するとともに、前記リングギヤとその外周側に配置された外部部材との間でトルクの伝達をおこなう遊星歯車機構において、前記キャリヤを前記固定部位に対して回り止めする係合部が、前記キャリヤの周方向で前記リングギヤと前記外部部材との間のトルク伝達部に相対的に近くかつ前記キャリヤの該係合部の回り止め方向への移動を相対的に大きく許容することにより係合度合いが低い第1領域と、前記キャリヤの周方向で前記トルク伝達部に相対的に遠くかつ前記移動を相対的に小さく許容することによりもしくは前記移動を許容しないことにより前記第1領域よりも係合度合いが高い第2領域とを備えていることを特徴とするものである。
そして、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記第2領域に、複数の前記ピニオンギヤのうちの一部の複数の前記ピニオンギヤが配置されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、遊星歯車機構のリングギヤとそのリングギヤの外周側に配置された外部部材との間でトルクの伝達がおこなわれる場合に、そのトルクの伝達に伴う荷重の影響が大きい第1領域におけるキャリヤと固定部位との係合度合いが、トルクの伝達に伴う荷重の影響が小さい第2領域におけるキャリヤと固定部位との係合度合いよりも低く設定される。換言すれば、前記第1領域におけるキャリヤと固定部位との係合部の移動許容度合いが、前記第2領域におけるキャリヤと固定部位との係合部の移動許容度合いよりも高く設定される。そのため、リングギヤと外部部材との間でのトルク伝達に伴う荷重が、各ピニオンギヤに分散されて、もしくは均等化されて作用することになり、その荷重が特定のピニオンギヤに偏って作用することを回避し、遊星歯車機構全体としての強度や耐久性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、トルクの伝達に伴う荷重の影響が大きい第1領域よりも、トルクの伝達に伴う荷重の影響が小さく、キャリヤと固定部位との係合度合いが高く設定される第2領域に、複数のピニオンギヤが配置される。そのため、キャリヤと固定部位との係合度合いが高く設定されることによりピニオンギヤに作用する荷重が大きくなる第2領域において、その荷重を複数のピニオンギヤに分散させることができ、特定のピニオンギヤに偏って荷重が作用することを回避し、遊星歯車機構全体としての強度や耐久性を向上させることができる。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする遊星歯車機構12の一例を図4により簡単に説明すると、図4において、遊星歯車機構12はいわゆるシングルピニオン形式の遊星歯車機構であり、サンギヤ13と、このサンギヤ13と同心円上に配置されたリングギヤ14と、サンギヤ13およびリングギヤ14に噛合された複数のピニオンギヤ(ここでは、ピニオンギヤ15,16)を回転自在に保持しているキャリヤ17とを主な要素とする公知の構成のものである。そのリングギヤ14は、所定の固定部、例えばケーシング18に軸受19を介して回転自在に支持されている。
また、リングギヤ14の外周面に外歯20が形成されている。さらに、リングギヤ14の外周側の所定位置に、この発明の外部部材に相当するカウンタギヤ21が配置されている。そして、このカウンタギヤ21とリングギヤ14における外歯20とが噛合している。したがってこれらの歯の噛合部分が、トルク伝達位置になっており、その円周方向での位置はほぼ一定の変化しない位置となっている。
図4に示す遊星歯車機構12は、キャリヤ17を固定要素としたものであり、そのキャリヤ17はケーシング18に対して、所定の係合手段22を介して非回転状態に連結されている。この係合手段22は、キャリヤ17をケーシング18に対して回り止めするように係合するためのものであって、その係合部の回り止め方向(すなわちキャリヤ17の円周方向)での係合度合いを高低に調整して設定できる構造となっている。
このような構造の係合手段22として、必要に応じて種々のものを採用することができる。例えば、係合部の回り止め方向への移動を許容する欠け歯のあるスプライン、あるいは係合部の回り止め方向への移動を許容する大きな溝幅を持ったスプラインや、バネあるいはゴムなどの弾性部材を内蔵したリング状の支持部材などを採用することができる。
上記の遊星歯車機構12では、キャリヤ17が固定要素となっているので、サンギヤ13とリングギヤ14とのいずれか一方が入力要素となり、他方が出力要素となるが、いずれの場合であっても、リングギヤ14とカウンタギヤ21との間でトルクが伝達される。その際に、リングギヤ14やピニオンギヤ15,16やキャリヤ17などの各要素に作用する力のつり合い、あるいはその際のリングギヤ14やキャリヤ17の挙動などを図1に示している。なお、この図1は前述した図2および図3と同様に簡略化して記載してある。ここに示す例は、複数のピニオンギヤ、すなわちここでは二つのピニオンギヤ15,16がサンギヤ13を挟んだ対称位置に配置され、それらのピニオンギヤ15,16を保持しているキャリヤ17を、ケーシング18に対して回転しないように係合した状態に維持するための係合手段であるスプライン23が設けられている。また、リングギヤ14の外周面に形成された外歯20とカウンタギヤ21とが噛合されている。そして、リングギヤ14がその外周に嵌合させられた軸受19を介してケーシング18に支持されている。
図1に示すように、リングギヤ14が例えば相対的に左回転してその外歯20がカウンタギヤ21に噛み合っているとすると、それらの歯の噛み合い部、すなわちリングギヤ14とカウンタギヤ20との間のトルク伝達部Aにおいて、それらの間のトルク伝達に伴う荷重f1が図1での右方向に向けて生じる。ここで、この発明による遊星歯車機構では、上記のような荷重f1が作用する場合に、その荷重f1が特定のピニオンギヤだけに偏って作用してしまうことを回避できるように構成されている。すなわち、前述したように、キャリヤ17をケーシング18に対して回り止めするように係合するためのスプライン23が、荷重f1の影響を受ける割合の大小に応じて、その係合部の回り止め方向での係合度合いが高低に異なるように設定されている。
具体的には、トルク伝達部Aを含む領域αにおける係合度合いが、トルク伝達部Aを含まない領域βにおける係合度合いよりも低く設定されている。すなわち、トルク伝達部Aを含み、そのトルク伝達部Aにおいて作用する荷重f1の影響を受ける割合が相対的に大きい領域αにおけるスプライン23が、キャリヤ17とケーシング18との係合部の回り止め方向への移動を十分に許容する嵌合状態(すなわち係合度合いが低い状態)とされているのに対して、トルク伝達部Aを含まず、そのトルク伝達部Aにおいて作用する荷重f1の影響を受ける割合が相対的に小さい領域βにおけるスプライン23が、キャリヤ17とケーシング18との係合部の回り止め方向への移動をほぼ許容しない程度の嵌合状態(すなわち係合度合いが高い状態)とされている。
さらに具体的に説明すると、領域αにおけるスプライン23の係合部が、係合部材として機能しない程度に、その歯幅に対して溝幅が十分に大きい状態(例えばその部分にいわゆる欠け歯のあるスプラインを適用したのと同様の作用を持つ状態)に設定されているのに対して、領域βにおけるスプライン23の嵌合状態が、スプライン23の歯幅と溝幅とが、例えば一般的なスプラインの嵌め合いとなるような所定の寸法にそれぞれ設定されている。したがって、上記の領域αがこの発明おける第1領域に相当し、領域βがこの発明における第2領域に相当していて、領域αにおけるスプライン23の回り止め方向での係合度合いが、領域βにおけるスプライン23の回り止め方向での係合度合いよりも低くなるように、スプライン23各部の歯および溝が形成されている。
図1において、上記のようにトルク伝達部Aにおいて荷重f1が作用すると、領域αにおけるスプライン23が、前記回り止め方向への移動を許容する状態、すなわち前記回り止め方向での係合度合いが低い状態に設定されていることによって、キャリヤ17が図1での左右方向、すなわち図1の(b)において矢印V3で示す方向に移動可能となり、領域βにおける前記回り止め方向での係合度合いが高いスプライン23の嵌合部Bを回転中心として、キャリヤ17が、時計回りの方向、すなわち図1の(b)において矢印V4で示す方向に回転移動する。また、このようにキャリヤ17が移動可能となることによって、リングギヤ14も図1での左右方向、すなわち図1の(a)において矢印V1で示す方向に移動可能となり、トルク伝達部Aを回転中心として、リングギヤ14が、反時計回りの方向、すなわち図1の(a)において矢印V2で示す方向に回転移動する。
このように、トルク伝達部Aにおいて荷重f1が作用する場合にリングギヤ14が矢印V2の方向への回転移動が許容されることによって、荷重f2すなわち軸受19の支持反力の低下が抑制される。その結果、複数のピニオンギヤ15,16の間で特定のピニオンギヤに偏って荷重が作用することが回避される。すなわち、トルク伝達部Aにおいて荷重f1が作用した際に、リングギヤ14が矢印V2の方向に移動されながら軸受19の支持反力を受けることによって、その支持反力すなわち荷重f2が荷重f1とほぼつり合う状態となって、それぞれの荷重f1,f2がリングギヤ14に作用する。そのため、その際のトルクの伝達に伴って各ピニオンギヤ15,16に作用する荷重f3,f4も、ほぼ互いにつり合う荷重となる(図1の(a))。
また、このときキャリヤ17が上記の各ピニオンギヤ15,16のピニオンピン15a,16bから受ける荷重f5,f6も、ほぼ互いにつり合う荷重となる。そしてその際に、スプライン23の嵌合部Bには荷重f7が作用するが、キャリヤ17のいんろう継手部27(後述の図6参照)の支持反力として荷重f8が作用し、キャリヤ17の各部に作用する荷重がほぼつり合い状態となる(図1の(b))。
上記のような、前記領域αにおいて前記回り止め方向への移動を許容する大きな溝幅を持ったスプライン23を備えたキャリヤ17およびケーシング18の例を、図5および図6に示している。図5の(a)は、その外周部にスプライン23の歯が形成されたキャリヤ17の構成を示す図であり、図5の(b)は、そのキャリヤ17のスプライン23の歯が嵌合されるスプライン23の溝が形成されたケーシング18の構成を示す図である。
図5の(a)において、5個のピニオンギヤ24,25,26,27,28がキャリヤ17により回転自在に保持されていて、そのキャリヤ17の外周部に、いずれも同じ形状のスプライン23の歯29aないし歯29jが形成されている。一方、図5の(b)においては、ケーシング18の内部であって、カウンタギヤ21と噛合されるリングギヤ14の同心円上にキャリヤ17の収容部30が形成されていて、その収容部30の内周部分に、スプライン23の溝31aないし溝31eと、溝32aないし溝32eとが、それらの溝幅が異なって形成されている。すなわち、領域α内に位置する溝31aないし溝31eが、スプライン23の回り止め方向での係合度合いを低めるために、その溝幅が歯29aないし歯29jの歯幅に対して十分に大きな値(歯29aないし歯29jと溝31aないし溝31eとが係合部材として機能しない程度)となるように形成されている。そして、領域β内に位置する溝32aないし溝32eが、スプライン23の回り止め方向での係合度合いを、上記の溝31aないし溝31eによる係合度合いよりも高めるために、その溝幅が歯29aないし歯29jの歯幅に対して一般的なスプラインの嵌め合いとなるように形成されている。
そして、これらのスプライン23の歯29aないし歯29eが、それぞれスプライン23の溝31aないし溝31eに、スプライン23の歯29fないし歯29jが、それぞれスプライン23の溝32aないし溝32eに嵌合されることによって、キャリヤ17がケーシング18に対して回転しないように係合される。したがって、リングギヤ14とカウンタギヤ21との間のトルク伝達部Aを含まない領域βに、上記の5個のピニオンギヤのうち、ピニオンギヤ24,25,26の複数のピニオンギヤが配置されることになる。このように、トルクの伝達に伴う荷重f1の影響が小さく、キャリヤ17とケーシング18との係合度合いが高く設定される領域βに、複数のピニオンギヤ24,25,26が配置されることによって、荷重f1の影響をそれらの複数のピニオンギヤ24,25,26に効果的に分散させることができる。
また、図6は、上記のようなキャリヤ17を有する遊星歯車機構12とケーシング18の一部との構成を示す断面図である。図6において、キャリヤ17は、領域βにおけるスプライン23の嵌合部Bにおいてケーシング18とスプライン嵌合されているとともに、印ろう継手部33においてもケーシング18と印ろう嵌合されている。
以上のように、この発明に係る上記の遊星歯車機構12では、リングギヤ14とカウンタギヤ21との間でのトルクの伝達に伴って作用する荷重f1の影響を考慮して、スプライン23各部の嵌合状態を異ならせることによって、前記のトルク伝達部Aを含む領域αにおける係合度合いが、前記のトルク伝達部Aを含まない領域βにおける係合度合いよりも低く設定される。そのため、そのトルクの伝達に伴なって複数の各ピニオンギヤ15,16に作用する荷重が、特定のピニオンギヤだけに偏って作用してしまうことを回避し、各ピニオンギヤ15,16に掛かる荷重を均等化することができる。その結果、特定のピニオンギヤの強度や耐久性などの特性が、遊星歯車機構の全体の強度や耐久性などの特性を制約することがなく、遊星歯車機構全体としての強度や耐久性を向上させることができる。
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、上記の具体例では、リングギヤとカウンタギヤとのトルク伝達部を含む第1領域(領域α)と、そのトルク伝達部を含まない第2領域(領域β)との二つの領域に対して、キャリヤと所定の固定部材(ケーシング)との係合部の回り止め方向での係合度合いが高低に異なるように設定されている例を示しているが、前記トルクの伝達状態に応じて三つ以上の複数の領域を設定し、それぞれの領域に対して前記係合度合いを適宜に設定して、前記トルクの伝達に伴って複数のピニオンギヤに作用する荷重が均等に分散されるようにすることもできる。
また、上記の具体例では、キャリヤが所定の固定部材(ケーシング)に対して回転しないように係合するための手段が、前記第1領域において、前記係合部の回り止め方向への移動を許容する大きな溝幅を持ったスプラインにより構成されている例を示しているが、例えば、前記第1領域において、前記係合部の回り止め方向への移動を許容する欠け歯のあるスプラインによって構成することもできる。あるいは、前記第2領域において、ボルトやピンなどの締結用機械要素などを用いてキャリヤが所定の固定部材に対して回転しないように係合されるものであってもよい。
さらに、前記第2領域においては、通常のスプライン嵌合により、あるいは上記のボルトやピンなどの締結用機械要素などを用いてキャリヤが所定の固定部材に対して回転しないように係合され、前記第1領域においては、例えばバネあるいはゴムなどの弾性部材を内蔵したリング状の支持部材などを用いて前記係合部の回り止め方向への移動を許容するように係合されるものであってもよい。この場合は、複数のピニオンギヤに掛かる荷重を均等化することができると同時に、キャリヤの振動を弾性部材で吸収できるので、遊星歯車機構の全体としての振動や騒音を防止もしくは抑制することができる。
そして、上記の具体例では、この発明を、シングルピニオン形式の遊星歯車機構に適用した例を示しているが、例えばダブルピニオン形式、あるいはその他の形式の遊星歯車機構にこの発明を適用した場合においても、上記と同様の作用・効果を得ることができる。
この発明に係る遊星歯車機構における荷重の作用状態を説明するための模式図である。 理論上の遊星歯車機構における荷重の作用状態を説明するための他の模式図である。 従来の遊星歯車機構における荷重の作用状態を説明するための他の模式図である。 この発明に係る遊星歯車機構の一例を示すスケルトン図である。 この発明に係る遊星歯車機構のキャリヤとケーシングとの係合状態を説明するための模式図である。 この発明に係る遊星歯車機構のキャリヤとケーシングとの係合状態を説明するための他の模式図(断面図)である。
符号の説明
12…遊星歯車機構、 13…サンギヤ、 14…リングギヤ、 15,16…ピニオンギヤ、 17…キャリヤ、 18…ケーシング、 19…軸受、 20…外歯、 21…カウンタギヤ、 23…スプライン。

Claims (4)

  1. サンギヤと、リングギヤと、これらサンギヤおよびリングギヤの間に配置した複数のピニオンギヤを回転自在に保持するキャリヤとを要素として備え、かつ前記キャリヤが所定の固定部位に対して回転しないように係合され、前記ピニオンギヤを介して前記サンギヤと前記リングギヤとの間でトルクを伝達するとともに、前記リングギヤとその外周側に配置された外部部材との間でトルクの伝達をおこなう遊星歯車機構において、
    前記キャリヤを前記固定部位に対して回り止めする係合部が、前記リングギヤと前記外部部材との間のトルク伝達部を含み前記キャリヤの円周方向における前記トルク伝達部でのトルクの伝達に伴う荷重の影響が大きくなる領域として予め設定した第1領域と、前記トルク伝達部を含まず前記キャリヤの円周方向における前記トルク伝達部でのトルクの伝達に伴う荷重の影響が前記第1領域よりも小さくなる領域として予め設定した第2領域とに設けられ、
    前記第1領域における前記係合部の回り止め方向での係合度合いが、前記第2領域における前記係合部の回り止め方向での係合度合いよりも低く設定されていることを特徴とする遊星歯車機構。
  2. 前記第2領域に複数の前記ピニオンギヤが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の遊星歯車機構。
  3. サンギヤと、リングギヤと、これらサンギヤおよびリングギヤの間に配置した複数のピニオンギヤを回転自在に保持するキャリヤとを要素として備え、かつ前記キャリヤが所定の固定部位に対して回転しないように係合され、前記ピニオンギヤを介して前記サンギヤと前記リングギヤとの間でトルクを伝達するとともに、前記リングギヤとその外周側に配置された外部部材との間でトルクの伝達をおこなう遊星歯車機構において、
    前記キャリヤを前記固定部位に対して回り止めする係合部が、前記キャリヤの周方向で前記リングギヤと前記外部部材との間のトルク伝達部に相対的に近くかつ前記キャリヤの該係合部の回り止め方向への移動を相対的に大きく許容することにより係合度合いが低い第1領域と、前記キャリヤの周方向で前記トルク伝達部に相対的に遠くかつ前記移動を相対的に小さく許容することによりもしくは前記移動を許容しないことにより前記第1領域よりも係合度合いが高い第2領域とを備えていることを特徴とする遊星歯車機構。
  4. 記第2領域に、複数の前記ピニオンギヤのうちの一部の複数の前記ピニオンギヤが配置されていることを特徴とする請求項3に記載の遊星歯車機構。
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