JP4665280B2 - 異方性導電フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、相対峙する回路間に介装し、回路間を加熱、加圧することによりこれら回路間を導電性粒子を介して導通すると共に、これら回路同士を接着固定する目的に使用される厚み方向にのみ導電性を付与する異方性導電フィルムに係り、特に、耐湿熱性に優れるため、電気特性、接着力の耐久性に優れ、また、接着力が強く、無接着剤タイプの2層フレキシブルプリント基板の非電極面のポリイミドに対しても高い接着力を発揮し、更に粘着性に優れるため、接着作業性も良好な異方性導電フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
異方性導電フィルムは、接着剤に導電性粒子が分散され、厚さ方向に加圧することにより厚さ方向に導電性が付与されるものであり、相対峙する回路間に介装し、回路間を加圧、加熱することにより回路間を導電性粒子を介して接続すると共に、これら回路間を接着固定する目的に使用され、厚み方向にのみ導電性を与えるものである。
【0003】
このような異方性導電フィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO(スズインジウム酸化物)端子とを接続する場合をはじめとして、種々の端子間に異方性導電膜を形成し、それにより該端子間を接着すると共に電気的に接合する場合に使用されている。
【0004】
従来の異方性導電フィルムは、一般にエポキシ系又はフェノール系樹脂と硬化剤を主成分とする接着剤に導電性粒子を分散させたもので構成され、中でも使用上の便宜等の点から接着剤としては1液型の熱硬化型のものが主流になっている。また、異方性導電フィルムとしては、高温高湿下でも安定した接続信頼性が得られるようにするため、種々の方法により接着強度の強化が図られているが、従来のエポキシ系又はフェノール系樹脂を用いた異方性導電フィルムは、接着力が低く、また粘着性がないために作業性が悪く、しかも耐湿耐熱性にも問題があった。
【0005】
ところで、従来、フレキシブルプリント基板としては、ポリイミドフィルム/接着剤/銅箔から構成される3層基板が普及していたが、最近に至って、耐熱性、難燃性、耐折性及び柔軟性などの要求により、接着剤層を無くしたポリイミドフィルム/銅箔から構成される2層フレキシブルプリント基板が多用されるようになってきた。
【0006】
しかし、この2層フレキシブルプリント基板のエッチング面(非電極面)のポリイミドは接着性が悪く、エポキシ系等の従来品では十分な接着力を得ることができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決し、耐湿熱性に優れるため、電気特性、接着力の耐久性に優れ、また、接着力が強く、無接着剤タイプの2層フレキシブルプリント基板の非電極面のポリイミドに対しても高い接着力を発揮し、更に粘着性に優れるため、接着作業性も良好な異方性導電フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子が接着剤層中に分散された異方性導電フィルムにおいて、該接着剤が、溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とする光硬化性接着剤であり、該ポリエステル不飽和化合物100重量部に対して炭化水素樹脂を1〜200重量部含有することを特徴とする。
【0009】
溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とする光硬化性接着剤であれば、次のような良好な結果を得ることができる。
1) 耐湿耐熱性に優れ、高温高湿下で長時間保持した後においても、異方性導電フィルムの特性を有効に発揮し、耐久性に優れている。
2) リペア性が良好である。
3) 従来品に比べ、安定して高い接着性を発揮し、特に従来品では接着困難であった無接着剤タイプ2層フレキシブルプリント基板の非電極面のポリイミドに対し高い接着性を発揮する。
4) エポキシ系等の従来品は、150℃以上の加熱が必要であったが、本発明によれば、130℃以下、特に100℃以下で硬化接着も可能であり、UV硬化性とすることができるため、更に低温での硬化接着が可能である。
5) 従来用いられているエポキシ系、フェノール系の異方性導電フィルムは、粘着性がなく、フィルムが電極に粘着力で仮止めしにくく、剥がれ易く、作業性が悪いが、本発明の異方性導電フィルムは、仮止め時の粘着力が高いため、作業性が良好である。
【0010】
本発明の異方性導電フィルムは、ポリエステル不飽和化合物100重量部に対して光増感剤を0.1〜10重量部、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びエポキシ基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物を0.5〜80重量部、シランカップリング剤を0.01〜5重量部含有することが好ましい。
【0011】
また、導電性粒子の配合量はポリエステル不飽和化合物に対して0.1〜15容量%であることが好ましく、その好適な平均粒径は0.1〜100μmである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明において、接着剤の主成分となる溶剤(ここで、溶剤とは例えば、アセトン、MEK、酢酸エチル、酢酸セロソルブ、ジオキサン、THF、ベンゼン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100等の有機溶剤を指す。)に可溶なポリエステル不飽和化合物は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させることによって得られる不飽和ポリエステルと、溶剤に可溶な飽和共重合ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基を導入した化合物などのラジカル反応硬化性のポリエステル不飽和化合物である。即ち、本発明に係るポリエステル不飽和化合物とは
(1) 不飽和ポリエステル化合物
(2) 飽和ポリエステルに(メタ)アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基を導入した化合物
の2種類である。
【0014】
ここで、溶剤に可溶な飽和共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールを主たる構成成分とし、全酸成分の5〜50モル%のフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の酸成分及び/又は全アルコール成分の5〜50モル%の量で1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール等のアルコール成分を1種又は2種以上で共重合したものである。
【0015】
このような飽和共重合ポリエステルへの(メタ)アクリロキシ基の導入方法としては、
(1) イソシアネートアルキル(メタ)アクリレートを前記飽和共重合ポリエステルの水酸基と反応させる方法、
(2) アルキル(メタ)アクリレートと前記飽和共重合ポリエステルの水酸基とのエステル交換反応による方法、
(3) ジイソシアネート化合物とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によるイソシアナートアルキル(メタ)アクリレートを前記飽和共重合ポリエステルの水酸基と反応させる方法
を採用することができる。
【0016】
本発明においては、異方性導電フィルムの物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿性、耐候性、架橋速度等)の改良や調節のために、樹脂組成物にアクリロキシ基、メタクリロキシ基又はエポキシ基を有する反応性化合物(モノマー)を配合することが好ましい。この反応性化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基のほかに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。多官能架橋助剤としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。また、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリマーをアロイ化することによって同様の効果を得ることができる。
【0017】
これらの反応性化合物は1種又は2種以上の混合物として、前記ポリエステル不飽和化合物100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜70重量部添加して用いられる。この配合量が80重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0018】
本発明においては、樹脂組成物の光硬化のために、光によってラジカルを発生する光増感剤を配合するが、この光増感剤(光重合開始剤)としては、ラジカル光重合開始剤が好適に用いられる。ラジカル光重合開始剤のうち、水素引き抜き型開始剤としてベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、4−(ジエチルアミノ)安息香酸エチル等が使用可能である。また、ラジカル光重合開始剤のうち、分子内開裂型開始剤としてベンゾインエーテル、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α―ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンが、また、α―アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1が、またアシルフォスフィンオキサイド等が用いられる。これらの光増感剤は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0019】
このような光増感剤はポリエステル不飽和化合物100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部配合される。
【0020】
本発明に係る樹脂組成物には、接着促進剤としてシランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
【0021】
これらのシランカップリング剤の添加量は、ポリエステル不飽和化合物100重量部に対し通常0.01〜5重量部で充分である。
【0022】
また、本発明に係る樹脂組成物には、加工性や貼り合わせ性等の向上の目的で炭化水素樹脂を添加する。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでもよい。天然樹脂系では、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂の他、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コバル、シェラックを用いてもよい。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0023】
このような炭化水素樹脂の添加量は、ポリエステル不飽和化合物100重量部に対して1〜200重量部、好ましくは1〜100重量部である。
【0024】
以上の添加剤のほか、本発明に係る樹脂組成物には、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、加工助剤等を本発明の目的に支障をきたさない範囲で用いてもよい。
【0025】
導電性粒子としては、電気的に良好な導体であれば良く、種々のものを使用することができる。例えば、銅、銀、ニッケル等の金属ないし合金粉末、このような金属又は合金で被覆された樹脂又はセラミック粉体等を使用することができる。また、その形状についても特に制限はなく、りん片状、樹枝状、粒状、ペレット状等の任意の形状をとることができる。
【0026】
なお、導電性粒子は、弾性率が1.0×107〜1.0×1010Paであるものが好ましい。即ち、プラスチックフィルムを基材とする液晶フィルムなどの被接着体の接続で異方性導電フィルムを使用する場合、導電性粒子として弾性率の高いものを用いると、被接着体にクラックが生じるなどの破壊や圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックなどが発生し、安定した導通性能を得ることができない恐れがあるため、上記弾性率範囲の導電性粒子を用いることが推奨される。これにより、被接着体の破壊を防止し、圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックの発生を抑制し、導電性粒子の接触面積を広くすることが可能になって、より安定した信頼性の高い導通性能を得ることができる。なお、弾性率が1.0×107Paより小さいと、粒子自身の損傷が生じ、導通特性が低下する場合があり、1.0×1010Paより大きいと、スプリングバックの発生が生じる恐れがある。このような導電性粒子としては、上記のような弾性率を有するプラスチック粒子の表面を前述の金属又は合金で被覆したものが好適に用いられる。
【0027】
本発明において、このような導電性粒子の配合量は、前記ポリエステル不飽和化合物に対して0.1〜15容量%であることが好ましく、また、この導電性粒子の平均粒径は0.1〜100μmであることが好ましい。このように、配合量及び粒径を規定することにより、隣接した回路間で導電性粒子が凝縮し、短絡し難くなり、良好な導電性を得ることができるようになる。
【0028】
本発明の異方性導電フィルムは、このような導電性粒子を接着剤中に分散させてなるものであるが、この接着剤としては、メルトインデックス(MFR)が1〜3000、特に1〜1000、とりわけ1〜800であることが好ましく、また、70℃における流動性が105Pa・s以下であることが好ましく、従って、このようなMFR及び流動性が得られるように前記ポリエステル不飽和化合物や各種添加剤の配合を適宜調整することが望ましい。
【0029】
本発明の異方性導電フィルムは、前記ポリエステル不飽和化合物樹脂を前述の添加剤、導電性粒子と所定の配合で均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダーロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状に成膜することにより製造される。なお、成膜に際しては、ブロッキング防止、被着体との圧着を容易にするため等の目的で、エンボス加工を施してもよい。
【0030】
このようにして得られた異方性導電フィルムを被着体と貼り合わせるには、常法、例えば、熱プレスによる貼り合わせ法や、押出機、カレンダーによる直接ラミネート法、フィルムラミネーターによる加熱圧着法等の手法を用いることができる。
【0031】
また、各構成成分を部材(セパレーター)に何ら影響を及ぼさない溶媒に均一に溶解させ、部材(セパレーター)の表面に均一に塗布し、他の被着体(ポリイミド・銅箔等)を仮圧着した後、熱硬化又は光硬化させることにより接着することもできる。
【0032】
本発明の異方性導電フィルムにおける硬化条件としては、熱硬化の場合は、用いる有機過酸化物の種類に依存するが、通常70〜170℃、好ましくは70〜150℃で、通常10秒〜120分、好ましくは20秒〜60分である。
【0033】
また、光増感剤を用いる光硬化の場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザー光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、数十秒〜数十分程度である。
【0034】
また、硬化促進のために、予め積層体を40〜120℃に加温し、これに紫外線を照射しても良い。
【0035】
この場合、上記接着時の加圧で、加圧方向(フィルム厚さ方向)に導電性が生じるが、この加圧力は適宜選定され、通常3MPa、特に2〜3MPaの加圧力とすることが好ましい。
【0036】
なお、本発明の異方性導電フィルムは、フィルム厚さ方向に10Ω以下、特に5Ω以下の導電性を有し、面方向の抵抗は106Ω以上、特に109Ω以上であることが好ましい。
【0037】
本発明の異方性導電フィルムは、例えばFPCやTABと液晶パネルのガラス基板上のITO端子との接続など、種々の端子間の接続に使用されるなど従来の異方性導電フィルムと同様の用途に用いられ、硬化時に架橋構造が形成されると共に、高い接着性、特に金属との優れた密着性と、優れた耐久性、耐熱性が得られる。
【0038】
特に、本発明の異方性導電フィルムは、従来品では接着困難であった無接着剤タイプ2層フレキシブルプリント基板の非電極面のポリイミドに対しても高い接着性を発揮するため、この用途に有効に用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1〜2、参考例1〜3、比較例1,2
表1に示すポリエステル樹脂を各々トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒に溶かし40重量%溶液を調製し、各ポリエステル樹脂100重量部に対して表1に示す成分を表1に示す量で混合し、これをバーコーターによりセパレーターであるポリテレフタル酸エチレン上に塗布し、幅2mm、厚さ20μmのフィルムを得た。なお、比較例2では、従来のエポキシ系熱硬化樹脂系異方性導電フィルムを用いた。
【0041】
得られたフィルムを無接着剤タイプ2層フレキシブルプリント基板と透明電極ガラスとの接着用として、セパレータを剥離してモニターで位置決めをし、光硬化タイプではハロゲンランプで30秒間光照射し、熱硬化タイプでは130℃で30秒間、2MPaにおいて加熱圧着した。
【0042】
得られたサンプルについて、接着直後と、温度85℃,湿度85%で600時間保持する耐湿熱試験後において、引張試験機による90°剥離試験(50mm/min)により接着力を測定すると共に、デジタルマルチメータにより厚み方向の導通抵抗と面方向の絶縁抵抗を測定し、結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
表1の結果から明らかなように、溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とする光硬化性接着剤よりなる本発明の異方性導電フィルムによれば、初期から湿熱耐久後まで安定した電気特性と接着力を得ることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、耐湿熱性に優れるため、電気特性、接着力の耐久性に優れ、また、接着力が強く、無接着剤タイプの2層フレキシブルプリント基板の非電極面のポリイミドに対しても高い接着力を発揮し、更に粘着性に優れるため、接着作業性も良好な異方性導電フィルムが提供される。
Claims (6)
- 導電性粒子が接着剤層中に分散された異方性導電フィルムにおいて、
該接着剤が、溶剤に可溶なポリエステル不飽和化合物を主成分とする光硬化性接着剤であり、該ポリエステル不飽和化合物100重量部に対して炭化水素樹脂を1〜200重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。 - 請求項1において、該接着剤が該ポリエステル不飽和化合物100重量部に対して光増感剤を0.1〜10重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1又は2において、該接着剤が該ポリエステル不飽和化合物100重量部に対して、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びエポキシ基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物を0.5〜80重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該接着剤が該ポリエステル不飽和化合物100重量部に対してシランカップリング剤を0.01〜5重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該導電性粒子の配合量が該ポリエステル不飽和化合物に対して0.1〜15容量%であることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該導電性粒子の平均粒径が0.1〜100μmであることを特徴とする異方性導電フィルム。
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