JP4665210B2 - 帯電防止性ポリオレフィンフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液性が相反する有機溶剤系インキと水系インキのいずれにおいても好適な印刷が可能で、経時によるブリード白化が少なく且つ透明性に優れた帯電防止性ポリオレフィンフィルムを得ることができる帯電防止剤と、この帯電防止剤を含有し、水系インキで又は有機溶剤系インキで印刷されてなるポリオレフィンフィルムに関するものである。
ポリオレフィンフィルムは商品の包装等に広く使用され、商品の製造業者にとって非常に重要なものであり、フィルムの透明性を良くする事により内容物を見えやすくする等の商品価値を高める事が要求されている。
かかる用途においては、通常その表面に印刷用インキによる印刷を施して用いられる場合が多く、ポリオレフィンフィルム表面への印刷はスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷及びグラビア印刷等の方法が用いられている。
通常ポリオレフィンフィルムには、埃の付着防止やフィルム加工時の静電気発生を防止する為に帯電防止剤を予め添加しておく方法が一般に行われているが、帯電防止剤はフィルム表面にブリードしていなければ効果が得られず、その反面、ブリードした帯電防止剤は印刷インキとフィルムとの間に存在する為、印刷インキのフィルムへの転移性を悪化させ、更にはブリード過多によるフィルムの透明性を損なう原因となり品質上問題となる場合がある。
このポリオレフィンフィルムにおける有機溶剤系インキ又は水系インキの印刷適性を改善する方法として、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、アミド系帯電防止剤を用いる方法が開示されている。又、特許文献4にはアミド系帯電防止剤と多価アルコール脂肪酸エステルの混合物を添加する方法が開示されている。
従来技術からでは必ずしもポリオレフィンフィルムに要求されている液性が相反する有機溶剤系インキ及び水系インキのいずれの印刷インキに対する印刷適性、帯電防止性、及び透明性等の諸物性が充分満足できているとは言えず、更なる改良が求められていた。
特開平1−287157号公報(第1−7頁) 特開平6−345904号公報(第1−9頁) 特開平7−164608号公報(第1−6頁) 特開平10−235816号公報(第1−7頁)
本発明の目的は、ポリオレフィンフィルムに対し、液性が相反する有機溶剤系インキ及び水系インキのいずれの印刷インキにおいてもフィルムへの印刷性が好適であり、帯電防止性に優れ、経時によるブリード白化が少なく且つ透明性に優れた帯電防止剤を安価に提供することである。更に本発明の目的は、かかる帯電防止剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物、該樹脂組成物からなるポリオレフィンフィルム、特に、フィルムの少なくとも一方の表面が、液性が相反する有機溶剤系インキ及び水系インキのいずれの印刷インキで印刷されてなる帯電防止性ポリオレフィンフィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、疎水基が2価以上の不飽和結合を有する3級アミンと脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体とを反応させたアミンエステル化合物を使用したところ、不飽和結合価数が2未満の3級アミンから合成されるアミンエステル化合物と比較して、得られたフィルムは液性が相反する有機溶剤系インキ及び水系インキのいずれの印刷インキのフィルムへの転移性に関して効果的に良好な結果が得られ、更に帯電防止性に優れ、経時によるブリード白化が少なく及び透明性にも優れたポリオレフィンフィルムが得られることを見いだし、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、下記一般式(A)で表される少なくとも1種の3級アミン1モルに、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその脂肪酸誘導体0.8モル〜1.5モルを反応させて得られるアミンエステル化合物よりなり、該アミンエステル化合物の10重量%以上は、R1が2価以上の不飽和結合を有する3級アミンのエステル化合物であることを特徴とする、帯電防止剤である。
Figure 0004665210
(R1は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜22の、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルケニル基であり、m及びnは1又は2の整数であり、且つ、m+nは2又は3である。)
また本発明は、かかる帯電防止剤をポリオレフィン樹脂に対し0.1〜2.0重量%含有することを特徴とする、ポリオレフィン樹脂組成物にも関する。
さらに本発明は、前述のポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンフィルム、特にその中で、少なくとも一方の表面が、有機溶剤系インキ及び/又は水系インキで印刷されているところのポリオレフィンフィルムにもまた関する。
本発明の帯電防止剤は、これを含有するポリオレフィン樹脂組成物、特に、ポリオレフィンフィルムについて、液性が相反する有機溶剤系インキと水系インキのいずれにおいても好適な印刷が可能で、経時によるブリード白化が少なく且つ透明性、及び優れた帯電防止性を発揮することができるという効果を奏する。
この効果発現の機構については明確に究明できてはいないが、印刷適性の向上、即ち印刷インキのフィルム表面への転移性は、有機溶剤系インキ又は水系インキ中の溶媒(ビヒクルも含む)とフィルム表面間の界面張力、及びインキ中に含まれる色料(顔料・染料)の濡れ性に大きく起因していると推測される。つまり、本発明の帯電防止剤は、フィルム表面にブリードアウトすると、その構造中の不飽和結合によりインキ中の溶媒とフィルム表面間の界面張力を大きく低下させ、同時にフィルムに対する色料の濡れ性を大きく向上させることにより、上記の効果を奏するものと推測される。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のアミンエステル化合物は、疎水基が2価以上の不飽和結合を有する3級アミンを10重量%以上含有するところの上記一般式(A)で表される3級アミンの1種または2種以上の1モルに対して直鎖又は分岐鎖を有する炭素数8〜22の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体を0.8モル〜1.5モル反応させたものである。
反応後に得られる本発明のアミンエステル化合物は、R1が炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基である場合、一般式として、例えば以下(A−1)、(A−2)、(A−3)のように与えられる。
Figure 0004665210
(式中、R2及びR3は、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数8〜22の脂肪酸のカルボン酸残基を表す。)
1がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基である場合には、反応後に得られる本発明のアミンエステル化合物の中には、R1中のヒドロキシ基にエチレンオキサイドが付加した構造の化合物も含まれ得る。
本発明のアミンエステル化合物は公知の方法により得ることができる。例えば加圧反応器中に1級アミンを仕込み、約150〜160℃の温度条件下でエチレンオキサイドを付加反応させて3級アミンを得る。その後、反応容器中へ得られた一般式(A)の3級アミンに対して脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体をエステル化させることにより本発明のアミン
エステル化合物が得られる。
一般式(A)におけるR1は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜22のアルキル基、アル
ケニル基、ヒドロキシアルキル基もしくはヒドロキシアルケニル基、又は2価以上の不飽和結合を有する基であって油脂を加水分解して得られる脂肪酸残基である。アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルケニル基のうち、好ましくは直鎖のアルケニル基である。
また、ここでいうところの油脂を加水分解して得られる脂肪酸残基とは、油脂を加水分解して得られる脂肪酸:R 1 −COOHからカルボキシル基を除いた炭化水素基を指す。
1の炭素数は8〜22であるが、好ましくは12〜18である。炭素数が8より小さ
いとフィルムがブロッキングし易くなり、逆に22を超えると経時によるブリード白化が生じ、透明性を損なう恐れがある。
本発明に係わるアミンエステル化合物は、R1が2価以上の不飽和結合を有する基であ
3級アミンのエステル化合物を全アミンエステル化合物に対し10重量%以上含有するが、好ましくは20.0重量%以上含有する。2価以上の不飽和結合を有する3級アミン
の割合に上限はないが、10重量%未満ではインキ転移性が低下する。
一般式(A)の3級アミンにおける不飽和結合を有する基R1の不飽和結合価数は2以
上であり、上限は特にないが、2未満のもののみ(価数1のもの、飽和結合のみのもの)では、印刷インキの転移性が低下する。
1が2価以上の不飽和結合を有する基である3級アミンを含有する一般式(A)で表される3級アミンの原料となる1級アミンは、種々の公知の方法により得ることができる。但し工業的な面を考慮すれば、油脂を出発原料とした下記の工程からなる方法が好ましい。
(1)油脂(加水分解)→R1−COOH
(2)R1−COOH+NH3→R1−COONH4
(3)R1−COONH4(加熱)→R1−CONH2+H2
(4)2R1−CONH2(触媒加熱)→R1−COONH4+R1−C≡N
(5)R1−C≡N+2H2→R1−NH2(1級アミン)
(6)R1−NH2(EO付加)→一般式(A)
この場合、出発原料は油脂になる為、油脂の種類によって一般式(A)におけるR1の不飽和結合価数及び炭素数も異なる。又油脂を構成する不飽和結合価数及び炭素数は一般的に複数の混在物である。
油脂としては、アーモンドナッツ油、アプリコット核油、アボガド油、アマニ油、いちい種子油、うめ種子油、オリーブ油、オレンジ種子油、カシューナッツ油、かぼちゃ種子油、キャッサバ種子油、クルミナッツ油、けし油、小麦胚芽油、米ぬか油、ごま油、ゴム核油、ゴレンジ種子油、サフラワー油、すいか種子油、スダチ種子油、大豆油、茶種子油、月見草種子油、ツンブ核油、コーン油、トマト種子油、菜種油、パームオレイン油、ひまわり油、綿実油、落花生油等の植物油脂、又はアヒル、鶏、豚等の動物油脂等が具体的に挙げられる。
アヒル、鶏、豚等の動物油脂等も特別な蒸留、精製等で2価以上の不飽和結合を有する基をもつ1級アミンを多量に得ることはできるが、工業的な経済性を考慮すると2価以上の不飽和結合を豊富に有する植物油脂が好ましく、特に大豆油、ひまわり油、菜種油、綿実油、落花生油が好ましい。
一般式(A)におけるm及びnはエチレンオキサイドの付加モル数を示すものであって、1又は2の整数であり、且つ、m+nは2又は3であるが、m+nが3を越えるとフィルムがブロッキングし易くなり、m+nが2より小さいと帯電防止性を損なってしまう。
本発明のアミンエステル化合物において上記一般式(A)とエステル化させる脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数8〜22の脂肪酸及び脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル等の脂肪酸誘導体である。
脂肪酸及び脂肪酸誘導体の炭素数は8〜22であるが、好ましくは12〜18が良い。炭素数が8より小さいとフィルムがブロッキングし易くなり、逆に炭素数が22を超えると経時によるブリード白化が生じ、透明性を損なってしまう恐れがある。
具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸メチルエステル、ステアリン酸エチルエステル等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を併用しても良いが、工業的な経済性を考慮するとラウリン酸、ステアリン酸が好ましい。
エステル化させる脂肪酸及び脂肪酸誘導体の反応モル比は、3級アミン1モルに対し0.8モル〜1.5モルであるが、更に好ましくは1.0モル〜1.2モルである。反応モル比が0.8モルより小さいとフィルム製膜時における発煙が激しくなる傾向があり、逆に反応モル比が1.5モルより大きいと帯電防止性が低下する。
本発明のアミンエステル化合物として具体的には、N,N−ジポリオキシエチレン(2)大豆油アルキルアミンモノラウレート、N,N−ジポリオキシエチレン(2)ひまわり油アルキルアミンモノラウレート、N,N−ジポリオキシエチレン(2)菜種油アルキルアミンモノステアレート、N,N−ジポリオキシエチレン(2.5)綿実油アルキルアミンモノステアレート、N,N−ジポリオキシエチレン(3)落花生油アルキルアミンモノステアレート等を例示することができるがこれに限定されるものではない。
本発明の帯電防止剤に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要により本発明以外の公知の帯電防止剤を含有させてもよい。本発明以外の公知の帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル、N,N−ジエタノールアルキルアミン、脂肪酸とジエタノールアミンによる縮合物、及び本発明の範囲外のアミンエステル化合物等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ポリグリセリンモノステアレート、ポリグリセリンモノオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノエルケート、ポリオキシエチレングリセリンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリプロピレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、N,N−ジエタノールラウリルアミン、N,N−ジエタノールステアリルアミン、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
ポリオレフィン樹脂もしくはポリオレフィンフィルムに対する本発明のアミンエステル化合物の配合量は、0.1重量%〜2.0重量%が好ましく、更に好ましくは0.5重量%〜1.0重量%である。配合量が0.1重量%以下では帯電防止性が劣る。又2.0重量%を越えても帯電防止性に大きな向上はなく、むしろ経時によるブリード白化が生じ、透明性を損なう。
ポリオレフィン樹脂もしくはポリオレフィンフィルムに対する本発明のアミンエステル化合物の配合方法は、公知の方法で行われる。具体的には高濃度のマスターバッチを別に作製し、フィルムを得るまでの任意の工程で混合しても良いし、ポリオレフィンパウダーとあらかじめ混合しても良い。
本発明のポリオレフィンフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤や通常ポリオレフィンフィルムに用いられる各種添加剤や充填剤を付加成分として添加することができる。
本発明のポリオレフィンは特に限定されず公知のものが用いられる。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、前記α−オレフィン同士の共重合体、前記α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体とα−オレフィンとの共重合体、及びこれらの混合物等である。前記のα−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体としては、酢酸ビニル、マレイン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等を挙げることが出来る。
本発明のポリオレフィンフィルムは単層フィルムでも2種類以上の樹脂を積層した積層フィルムでもよい。
本発明の一態様として、ポリオレフィンフィルムの少なくとも一方の表面が印刷インキで印刷されたものがある。ポリオレフィンフィルム表面への印刷は通常使用されるスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷やグラビア印刷などの方法が用いることができる。
本発明のフィルムに適用される有機溶剤系及び水系インキの組成としては例えば、溶剤、着色剤、樹脂バインダー及び必要によりその他の添加剤からなる。有機溶剤系インキの溶剤は、脂肪族炭化水素系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。一方水系インキは、溶剤として水が用いられる他、アルコール類、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等の低級アルコールを併用しても良く、これらに特に制限はない。又両系統のインキ共に着色剤として一般的な無機及び有機顔料が使用でき、例えば溶解性及び不溶解性アゾ系、フタロシアニン系、ナフトール系等の有機顔料や酸化チタン、炭酸カルシウム、弁柄、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
インキに使用される樹脂バインダーとしては、スチレン−アクリル酸系、スチレン−マレイン酸系等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジン変性樹脂等で安定なインキと製造できるものであれば良く、単独又は併用して用いることができる。その他添加剤としてワックス類、消泡剤、分散剤等を使用しても良い。又印刷時のインキの粘度調整として有機溶剤系インキには上記溶剤、及び水系インキには水、アルコール類を併用した希釈剤を使用しても良い。
而して、本発明の帯電防止剤がポリオレフィンフィルムに含まれる場合、上述したようなインキ中の溶媒とフィルム表面間の界面張力が大きく低下し、同時にフィルムに対する色料の濡れ性は大きく向上する。この傾向は、本発明の帯電防止剤の構造中の不飽和結合の価数が1価よりも2価、3価と価数が大きくなるにつれて、又より高い価数のものの比率が高くなるにつれて顕著になり、更に有機溶剤インキよりも表面張力の大きい水性インキの方に効果が現れやすい。
本発明のポリオレフィンフィルムに対し、上記の有機溶剤系インキ又は水系インキを用いて公知の印刷機により印刷を行う場合、印刷に先立ちフィルム表面をコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の公知の方法により表面の活性化処理を行うとインキのなじみや接着性を向上できる為、何らかの方法で表面の活性化処理を行うことが望ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<1>分析方法
本発明のアミンエステル化合物を合成する前に、油脂より誘導された1級アミンの一般式(A)にいうR1の組成分析をガスクロマトグラフィー(GC)により具体的に下記の方法によって実施した。
カラム:20%DEGS/UniportB(60〜80メッシュ、3m×3m)
カラム温度:200℃、注入口温度280℃
検出器:FID.
前処理:1級アミンを蟻酸とホルムアルデヒドにて過熱反応させる。
上記条件にて測定を行い、検出ピークの面積比によって組成比を算出した。実施例及び比較例で使用した1級アミンの組成比を表1に示した。
<2>アミンエステル化合物の合成
アミンエステル化合物Aの合成(大豆油誘導体)
ガラス製オートクレーブ中に、大豆油より誘導した1級アミン1モルを仕込み、N2置換を行い、さらに、155℃、2時間にてエチレンオキサイド2.0モルを付加し、その後、得られた化合物1.0モルにラウリン酸0.8モルを反応させ、N2ガスを導入しつつ、160℃に昇温して4時間エステル化を行ない、本発明のアミンエステル化合物Aを合成した。得られたアミンエステル化合物Aを後記のテストに供する。
アミンエステル化合物B〜E及び比較アミンエステル化合物A' 、B'の合成
アミンエステル化合物Aと同様にアミンエステル化合物B〜E及び比較アミンエステル化合物A' 、B'の合成を表2に示した処方により実施した。得られたアミンエステル化合物B〜E及び比較アミンエステル化合物A' 、B'についても、後記のテストに供する。
表2中の記号は以下の意味である。反応させた脂肪酸及び脂肪酸誘導体の炭素数組成(%)の欄の「C12=98」はラウリン酸を98%含むことを意味し;「C18*=98」はステアリン酸メチルエステルを98%含むことを意味し;「C16/C18=35/65」はパルミチン酸35%とステアリン酸65%含むことを意味し;「C18=98」はステアリン酸を98%含むことを意味する。
Figure 0004665210
Figure 0004665210
<3>本発明以外の帯電防止剤の合成
本発明以外の帯電防止剤(1)の合成
ガラス製オートクレーブ中に、大豆油脂より誘導した1級アミン1モルを仕込み、N2置換を行い、さらにエチレンオキサイド2.0モルを155℃、2時間にて付加して本発明以外の帯電防止剤(1)を合成した。得られた帯電防止剤(1)を後記のテストに供する。
本発明以外の帯電防止剤(2)の合成
ガラス製オートクレーブ中に、グリセリン1モルと工業用ステアリン酸を1.3モルを仕込み、N2ガスを導入すると同時に塩基性触媒下200℃に昇温して5時間エステル化を行ない、グリセリンステアリン酸エステルを得た。得られたグリセリンステアリン酸エステルを分子蒸留法によりジエステル分を除去し、モノエステル含有量が95%のグリセリンモノステアリン酸エステルである本発明以外の帯電防止剤(2)を合成し、これを後記のテストに供する。
<4>帯電防止剤の配合比
本発明のアミンエステル化合物、及び本発明以外の帯電防止剤(1)又は(2)を表3の如く配合し、実施例1〜6の帯電防止剤及び比較例1〜3の帯電防止剤を得た。得られた実施例1〜6の帯電防止剤及び比較例1〜3の帯電防止剤を後記のテストに供した。
<5>評価フィルムの作製
メルトフローレート3.0g/10分、結晶化度97%の結晶性ポリプロピレンに実施例1〜6の帯電防止剤及び比較例1〜3の帯電防止剤を表3の含有量で配合し、更にアンチブロッキング剤として粒径2.0μmのシリカを0.1重量%加えて溶解混合した。この樹脂をT−ダイより押し出し、テンター法二軸延伸機により厚さ20μmの延伸フィルムを得た。尚、表面には、常法に従いヌレ指数が40mN/mとなるようにコロナ放電処理を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示した。
<6>評価方法
フィルムの評価は、下記の方法によって行った。
(1)ブリード白化、透明性評価
コロナ放電処理したフィルムから試験片を切り出し、温度23℃相対湿度50%の恒温恒湿条件下に14日間放置したのち、HAZE測定装置(TC-HIIIDPK:東京電色製)にてHAZE値を測定した。数値が小さい程、透明性が優れていることを示す。HAZE(%)は以下の基準で評価した。
2% 以下 ・・・ ◎(優)
2%〜3% ・・・ ○(良)
3%〜5% ・・・ △(可)
5% 以上 ・・・ ×(不良)
(2)帯電防止性(表面固有抵抗値)
コロナ放電処理した印刷前のフィルムから所定の試験片を調整し、JIS−K−6911に準じ、試験片のコロナ放電処理面の表面固有抵抗値(超絶縁計P−616:川口電気製作所製)を測定した。数値が小さい程、帯電防止性が優れていることを示す。表面固有抵抗値(Ω)は以下の基準で評価した。
11 以下 ・・・ ◎(優)
11〜12 ・・・ ○(良)
12〜13 ・・・ △(可)
13 以上 ・・・ ×(不良)
(3)印刷適性評価(インキ転移性)
フィルムのコロナ放電処理面にグラビア印刷機を用いて、有機溶剤系インキ及び水系インキを印刷しフィルム表面とのインキ転移性を評価した。
転移性評価は印刷表面を光学顕微鏡にて観察し、以下の基準でハジキ・インキの転移量を評価した。
◎ : ハジキがまったく見られず、インキの転移量も多い
○ : 殆どハジキが見られず、多少インキの転写量も多い
△ : 多少ハジキが見られ、インキの転写量は普通
× : ハジキが多く、インキの転写量も少ない
××: 非常にハジキが多く、インキの転写量も少ない
有機溶剤系インキとして東洋インキ製造(株)製「LPスーパー」を専用の希釈溶剤を用いて固形分濃度20〜30重量%に希釈したものを使用した。
水系インキとして東洋インキ製造(株)製「アクワエコール」を専用の希釈溶剤を用いて固形分濃度20〜30重量%、アルコール濃度30%以下に希釈したものを使用した。
Figure 0004665210
表3に示すように、実施例1〜6の本発明のアミンエステル化合物を含有したポリオレフィンフィルムは液性が相反する有機溶剤系インキと水系インキのいずれにおいてもインキの転移性が向上し、更に帯電防止性に優れ、経時によるブリード白化が少なく且つ透明性に優れた性能を発揮することができる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(A)で表される少なくとも1種の3級アミン1モルに、直鎖又は分岐鎖を有する炭素数8〜22の脂肪酸及び/又はその脂肪酸誘導体0.8モル〜1.5モルを反応させて得られるアミンエステル化合物よりなり、該アミンエステル化合物の10重量%以上は、R1が2価以上の不飽和結合を有する基である3級アミンのエステル化合物である
    ことを特徴とする、帯電防止剤。
    Figure 0004665210
    (R1は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜22の、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキ
    シアルキル基もしくはヒドロキシアルケニル基、又は2価以上の不飽和結合を有する基であって油脂を加水分解して得られる脂肪酸残基であり、m及びnは1又は2の整数であり、且つ、m+nは2又は3である。)
  2. アミンエステル化合物の20重量%以上は、一般式(A)におけるR1が2価以上の不飽
    和結合を有する3級アミンのエステル化合物であることを特徴とする、請求項1記載の帯電防止剤。
  3. 一般式(A)で表される3級アミンが植物油脂から誘導されたものであることを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の帯電防止剤。
  4. 植物油脂が、大豆油、ひまわり油、菜種油、綿実油及び落花生油からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項3記載の帯電防止剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の帯電防止剤をポリオレフィン樹脂に対し0.1〜2.0重量%含有することを特徴とする、ポリオレフィン樹脂組成物。
  6. 請求項5記載のポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンフィルム。
  7. 請求項5記載のポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンフィルムであって、その少なくとも一方の表面が、有機溶剤系インキ及び/又は水系インキで印刷されているポリオレフィンフィルム。
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