JP4664485B2 - 三次元画像記録システム及び三次元画像記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元画像記録システム及び三次元画像記録方法に関し、特に、各種の医用画像診断装置により取得された三次元画像を記録する方法及び該画像を記録するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、X線CT装置、SPECT(Single Photon Emission CT)装置、あるいは核磁気共鳴イメージング(MRI)装置等その他の、いわゆる「三次元画像」を再構成することの可能な医用画像診断装置が提供されている。例えば上記MRI装置等によれば、被検体頭部の三次元分布画像や、また当該頭部から血管領域のみを抽出した三次元分布画像等を再構成することが可能であり、後者の場合、脳血管障害の診断に非常に有効な診断画像となる。
【0003】
ところで、上記三次元画像は、上記各医用画像診断装置により取得・収集された基礎となるデータに対し、各種の加工ないし演算処理を施すことによって取得される。そして、このように取得された三次元画像に対する各種処理(とりわけ、その表示処理や付加的処理(例えば回転処理等)等)は、高速CPUや大容量メモリ等を装備するとともに、三次元画像表示機能に特化されて開発され、各種の三次元観察をするための様々な機能を有する三次元画像表示装置(以下「3D・WS(ワークステーション)」という。)上で行われることが通常である。というのも、ここにいう各種処理は、いわゆる「重い」処理(メモリを大量に消費し、演算ステップ数が多い等)だからである。なお、このような3D・WSは一般に汎用性がなく、また、非常に高価なものとして認識されている。
【0004】
したがって、上記医用画像診断装置が、例えば病院内各所に点在しているような場合には、それら各々が上記3D・WSを有するのではなく、同各々がいわゆる「読影室」と呼ばれる部屋に設置された1台(ないし少数台、以下同じ。)の3D・WSを共有するような形となり、該各医用画像診断装置で取得された三次元画像に対する各種処理等は、当該1台の3D・WS上ですべて実施するような形態とされることが多い。
【0005】
なおよって、当該1台の3D・WSと上記各医用画像診断装置との間では、生の画像データをやり取り(特に、後者から前者へのデータ供給)する必要が生じ、そのやり取りは、例えば該画像データを搬送可能な記録媒体(例えば、CD−R、DVD等)に記録することにより、あるいはまた、該画像データをネットワーク(例えば、病院内LAN等)を介して送信することにより、等というようにして行われることになる。つまり、これら3D・WSと各医用画像診断装置は、いわば「三次元画像記録・再生システム」を構成するといえよう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した「三次元画像記録・再生システム」においては、次のような問題があった。すなわちまず、上述したように、三次元画像を搬送可能な記録媒体に記録する場合にあっては、該画像が非常に大きなサイズであるため、当該記録は画像本体のみに関し行われることが殆どであった。そして従来においては、このように記録された三次元画像を表示ないし観察するために上記3D・WSが必要となっていたのであるが、この場合、いわゆる通常のパソコン上では三次元観察をすることができない。なぜなら、該パソコンは、上記3D・WSに比べて一般に低速のCPU及び小容量のメモリを装備するのみで、かつ、三次元表示・観察するための特別な機能(具体的には、ソフト)を搭載するものではないからである。
【0007】
しかしながら一方で、上記通常のパソコン上で三次元観察することに対するニーズは高いと考えられる。というのも、例えばカンファレンスルームや各医師に対しては、各種ドキュメント作成等のためのパソコンが通常、設置ないし割り当てられている現状にあるから、これらパソコン上で三次元観察を実施することが可能であれば、わざわざ上記したような「読影室」等その他の特別な部屋に出かける必要もなく、いつでも三次元観察が可能であることにより、迅速な診断に資することになるからである。また、各医師等が学会等で三次元画像を提示しつつその所見を発表する等の際においても、上記通常のパソコン上における三次元表示が可能とされるならば、有用であることが明らかである。
【0008】
なお、いま述べたような点は、三次元の生の画像データを、ネットワークを介して送信する場合にも同様に当てはまる。すなわち、送信されるデータは、従来、画像本体のみに関し行われることから、たとえ上記通常のパソコンが前記ネットワークに接続されていたとしても、その三次元表示ないし観察を行うことはできなかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通常ないし汎用となるパソコン上においても三次元画像の表示を可能とするような三次元画像記録システム及び三次元画像記録方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段をとった。
すなわち、本発明の一形態は、一以上の医用画像診断装置、及び、該医用画像診断装置で取得された三次元画像生データに基づいて三次元画像表示を行うことの可能な三次元表示ソフトを有する三次元画像記録システムにおいて、前記三次元画像生データについてファイルごとに変換形式を設定し、前記三次元画像生データを各ファイルごとに設定された変換形式で変換して画像データを生成する変換手段と、前記ファイルごとに設定された前記変換形式に対応する三次元表示ソフトおよび前記変換手段によって生成された画像データを対応付けて、取り外し可能な記録媒体に書き込む記録手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
また、上述の同システムにおいて、前記記録媒体に記録される三次元表示ソフトの一部が、該ソフトが有する表示機能のうちの一種又は二種以上の機能であること、また、該ソフトが有する画像回転機能のうちの縦方向回転機能又は横方向回転機能であること、としてもよい。
【0012】
さらに、上述の同システムにおいて、前記変換形式は、階調変換、二値化変換、前記当初の三次元画像生データを一律に縮小すること及びその一部を抜き出すこと、並びに圧縮処理であること、としてもよい。
【0013】
またさらに、上述の同システムにおいて、前記記録媒体には、複数の前記三次元画像生データと、一つの前記三次元表示ソフトの全部又は一部とが記録されることとしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る三次元画像記録システムと三次元画像再生システムの組み合わせによる「三次元画像記録・再生システム」の全体構成を示す概要図である。なお、本実施形態においては、X線CT装置、SPECT装置、あるいはMRI装置等その他の各種医用画像診断装置により取得された「三次元画像」を記録・再生するシステムに関し説明を行うこととする。
【0015】
図1において、三次元画像記録システムは、X線CT装置1、SPECT装置2、MRI装置3及びX線画像装置4等からなる各種の医用画像診断装置と、3D・WS(ワークステーション)5から構成され、三次元画像記録・再生システムは、さらに複数のパソコン6を組み合わせ、通信線Cを介したネットワークを形成して構成されている。
【0016】
上記各種の医用画像診断装置1乃至4は、それぞれ三次元画像を生成することの可能なものであり、X線CT装置1は、被検体を透過することで吸収の度合いが空間的に変化したX線を検知することにより、SPECT装置2は、体内に投与し分布させた放射性同位体(RI)から発せられるガンマ線を検知することにより、MRI装置3は、核磁気共鳴信号を検知することにより、それぞれ被検体内の情報を取得し、これに基づき三次元画像を再構成することが可能となっている。なお、上記X線画像装置4としては、例えばCアーム等を備えたいわゆる「アンギオ装置」等を想定すればよい。また、本発明においては、以上の他、種々の医用画像診断装置を想定してよい。
【0017】
3D・WS5は、高速CPUや大容量メモリ、さらに場合によっては、画像処理専用のアクセラレータ等を装備するとともに、三次元画像表示機能に特化されて開発され、かつ各種の三次元観察をするための様々な機能(本発明にいう、「三次元表示ソフト」)を有する。
【0018】
ここに、「三次元画像表示機能」ないし「三次元観察するための様々な機能」とは、例えば、表示機能として、「サーフェスレンダリング(Suface Rendering)法」、「ボリュームレンダリング(Volume Rendering)法」、「MPR(Multi‐Plainer Reconstruction)法」、「MIP(Maximum Intensity Projection)法」、「MinIP(Minimum Intensity Projection)法」、「X−ray Projection法」、又は「VE(Virtual Endoscopy)法(仮想内視鏡表示法)」等の種々の公知の手法が挙げられ、また、三次元観察機能としては、いま述べた各手法により表示された三次元画像を、回転、拡大・縮小、移動等したり、表示条件(サーフェスレンダリング法の場合は閾値、ボリュームレンダリング法の場合は光学パラメータへの変換関数等)の変更等が可能なことが挙げられる。さらには、三次元距離計測、三次元ボリューム計測等の計測機能も有しており、様々な観察法・解析法により三次元画像を診断することができる。
【0019】
また、これら機能を実現するための、(被検体に関する)元となる画像データ(以下、「三次元画像生データ」という。)は、上記各種の医用画像診断装置1乃至4より供給されるが、本実施形態においては、該3D・WS5と各種医用画像診断装置1乃至4とを接続する通信線Cを介して(ネットワーク経由で)、これを行い得るようになっている。
【0020】
また、この3D・WS5には、例えばCR−R、DVD等の搬送可能な大容量の記録媒体Mに対するデータの記録、また該記録媒体Mからのデータの読み出しを行うことの可能な記録・読出装置5aが付設されている。
【0021】
一方、上記通信線Cに対しては、図1に示すように、複数のパソコン61、…、6nが接続されている。これらパソコン61、…、6nは、通常市販にて容易に手に入るものが想定され、上記3D・WSに比べて一般に低速のCPU及び小容量のメモリを装備し、かつ、三次元表示・観察するための特別な機能(具体的には、ソフト)を搭載するものではない(つまり、汎用である。)。ただし、これらパソコン61、…、6nには、上記3D・WS5と同様に、記録媒体Mに対するデータの記録及び該媒体Mからのデータの読み出しが可能な記録・読出装置61a、…、6naが接続されている。
【0022】
なお、本実施形態においては特に、上記記録・読出装置5aにおいて、記録媒体Mに対する三次元画像生データの記録、及び上記記録・読出装置61、…、6naにおいて、該記録媒体Mからの三次元画像生データの読み出しを行うことができ、かつ、記録・読出装置5aを介し記録され記録・読出装置61、…、6naを介し読み出された三次元画像生データに基づいて、三次元画像表示ないし観察を可能とするプログラム(以下「三次元再生ソフト」という。なお、これは本発明にいう「三次元表示ソフトの全部又は一部」に該当する。)の記録・読み出しが行われる点に特徴がある(後に詳述)。
【0023】
なおまた、本実施形態におけるパソコンとしては、上記したようにネットワークを形成するパソコン61、…、6nのみでなく、図1に示すように、通信線Cに接続されていない(いわゆる「スタンド・アローン」な)パソコン6xも存在する。ただし、このようなパソコン6xにも、上記と同様な記録・読出装置6xaが接続されている。
【0024】
また、通信線Cは、図1に示すように、外部との接続を図ることが可能となっている。ここにいう「外部」とは、例えばいわゆるインターネットを想定すればよく、その他、別の有線接続されたネットワークを想定してもよい。
【0025】
以下では、上記構成例となる本実施形態の三次元画像記録・再生システムの作用効果について説明する。なお、本発明は、三次元画像生データの記録又は送信のみを実施するのではなく、上記した三次元表示ソフトの全部又は一部たる三次元再生ソフトをも記録又は送信の対象とすることに特徴があるものであるから、以下では、この点を中心とした説明を行うものとする。
【0026】
まず、上記各種の医用画像診断装置1乃至4によって生成された三次元画像生データは、通信線C、つまりネットワークを経由して3D・WS5に転送され、この転送された三次元画像生データは、3D・WS5が内蔵する大容量メモリに記録される。3D・WS5は、このように転送されてきた三次元画像生データに基づいて、上述したような各種の表示機能及び観察機能を発揮することで(=三次元表示ソフトを働かせることで)、三次元画像表示ないし観察を行うことが可能であり、医師は、該画像表示に基づいて診断を実施することが可能となる。従来においては、ここまでは当然に可能であった。
【0027】
本実施形態においては、これより進んで、記録媒体Mに対し、上記三次元画像生データ、及び該三次元画像生データをパソコン6上で「再生」するための上記三次元表示ソフトの全部又は一部たる三次元再生ソフトの記録を行うことが可能である。
【0028】
すなわち、まず図2ステップS1にあるように、3D・WS5において、予め適当にプログラムされた「データ記録モード」に移行し、上記転送されきた各種の三次元画像生データの中から、記録媒体Mへの記録を行おうとするものの選択を実施する。より具体的には、3D・WS5として構成されているモニター上に例えば「SAVE」ボタンを表示し、該ボタンをマウス等の入力手段でクリックすること(データ記録モードへの移行)、及びこれに伴い表示される複数の画像ファイル(=複数の三次元画像生データ)の一を、やはりクリックすること(画像ファイルの選択)等によればよい(いずれも不図示)。
【0029】
以上の操作を終えると、次に、図2ステップS2乃至S9にあるように、選択された三次元画像生データとともに記録する三次元再生ソフトの態様(該再生ソフトに関する条件設定)をどのようなものとするか、また、該選択された三次元画像生データをどのような態様で記録(例えば後述のビット長減少や圧縮等)するか、を順次設定する工程に移る。これらの設定は、例えば図3に示すような、3D・WS5におけるモニター上の表示画面を通じて行われる。以下、これら各設定項目についての説明を行う。
【0030】
まず、図2ステップS2では、上記で選択された三次元画像生データとともに、そもそも三次元再生ソフトの記録を行うかどうか、を設定することが可能である。この場合において、「三次元再生ソフトの記録を行わない」を選択するならば、従来の技術と全く同様に、記録媒体Mには三次元画像生データのみが記録されることとなる。なお、このような選択は、図3に示す最上段の行におけるYES・NOチェックボックスのいずれかを、3D・WS5における上記マウス等によりクリックすること等で行われる。また、「記録を行わない」と選択した場合、全設定処理は終了する(図2ステップS2からステップENDへ)。
【0031】
一方、上記において、「三次元再生ソフトを記録する」を選択する場合には、続いてその細目に関する設定を行う。この細目とは、具体的に例えば、「画像(三次元画像生データ)ごとに再生モードを変更するかどうか」、「再生モードをどうするか」、あるいは「三次元観察機能をどうするか」等の設定に関する。
【0032】
ここで「再生モード」とは、上述した三次元画像表示機能のことをいい、より具体的には、これも上述したように、「サーフェスレンダリング法」、「ボリュームレンダリング法」、…、「VE法」の各種手法のことをいう。したがって、図2ステップS4における「再生モードの選択・設定」ということは、「三次元画像生データをどのような手法で三次元表示するか」ということと同義であり、該ステップS4では、その旨に係る選択・設定を行う。なお、この選択においては、複数の再生モードを選択するようにしてよい。つまり、一つの三次元画像生データに対し、複数の三次元再生ソフトが付随するような形式としても問題はない。また、このような選択は、図3に示す上から三段目における各チェックボックスのいずれかをクリックすることにより行われる。
【0033】
もっとも、本実施形態においては、図2ステップS4に至る前に、いま記録を行おうとしている記録媒体Mが新規のものである場合には、図2ステップS3において、「画像ごとに再生モードを変更するかどうか」に係る選択を行うようになっている。この処理の意味は、次のようである。すなわち、ここで「画像ごとに…変更する」を選択すると、いま、記録を行おうとしている新規の記録媒体Mについて、記録されていく一つ一つの三次元画像生データの各々に対し、上記再生モードの一つ(又は二つ以上)を設定することができる。一方、「画像ごとに…変更しない」のであれば、当該記録媒体Mが、図2ステップS4で選択された再生モードの一つ(又は二つ以上)に固定される、つまり当該記録媒体Mが当該再生モードにより、いわば「初期化」されることになる(図2ステップS31)。
【0034】
これを図示すれば、例えば図4のようになり、図4(a)では、「変更する」が選択されたことにより、記録された複数の三次元画像生データ3D1、3D2、…、3Dmごとに、好みの再生モード・ファイル(これは「画像再生ソフト」そのものといっても殆どよい。以下同じ。なお後述。)RP1、…、RPmが対になった、あるいは該データ3D1、…、3Dmに該ファイルRP1、…、RPmを付随させた形のデータ構造となり、図4(b)では、「変更しない」が選択されたことにより、一つの固定された再生モード・ファイルRP1の下に、複数の三次元画像生データ3D1、3D2、…、3Dnが記録されていく形のデータ構造となる。
【0035】
ちなみに、図4(c)では、図4(a)のような場合において、三次元画像生データ3D2につき、二つの再生モード・ファイルRP2及びRP21を付随させた形のデータ構造が示されている。また、図4(d)では、同様にして、二つの再生モード・ファイルRP1及びRP11が記録されたデータ構造が示されている(このような場合が許されることは、既述した)。なお、これらのような場合であっても、図4(c)は、本発明にいう、三次元画像生データと三次元再生ソフトとが「対になって記録される」という意味に含まれ、また、図4(d)における再生モード・ファイルRP1及びRP11は、本発明にいう「一つの…三次元表示ソフトの全部又は一部」に含まれることとなるのは言うまでもない。
【0036】
さて、以上のような選択が新規の記録媒体Mに対して実施されることにより、次のような効果が奏される。すなわち、図4(a)(あるいは図4(c))のようなデータ構造によれば、三次元画像生データ3D1、3D2、…、3Dmの各々の趣旨に応じた三次元再生を実行することができる(例えば三次元画像生データ3D1についてはVE法が望まれ、同データ3D2についてはボリュームレンダリング法が望まれる等)反面、図4(b)(あるいは図4(d))のようなデータ構造によれば、図4(a)のような画像ごとの再生を行うことはできないが、同図から明らかな通り、より多くの三次元画像生データ3D1、3D2、…、3Dn(n>m)を記録することが可能となる。つまり、いずれも相応の特徴点を有するものであるが、装置使用者にとってみれば、新規の記録媒体Mに関し、上記二つの使用形態の中から望ましいものを設定することができるのは便利である。
【0037】
なお、図4において、再生モード・ファイルRP1、…、RPnの容量及び三次元画像生データ3D1、…、3Dnの容量を、それぞれ粗く、16MB程度及び10MB程度であると想定すれば、記録媒体Mが容量640MBのCD−Rである場合には、図4(a)のような場合には、約24枚程度の三次元画像生データ3D1、…、3D24が、図4(b)のような場合には、約62枚程度の三次元画像生データ3D1、…、3D62が、それぞれ記録可能となろう。ただし、実際の三次元画像生データ3Dnのサイズ、あるいは再生モード・ファイルRPnのサイズは、具体的・現実的に種々である(本実施形態における、いま述べているような各種設定によっても変動するし、また、それこそが本実施形態の目するところでもある。)から、いま述べた記録可能枚数は単なる目安に過ぎない。
【0038】
また、最初に述べたように、上記した「画像ごとに…変更する又はしない」に係る選択を行い得るのは、「新規(=未記録)の」記録媒体Mについてである。つまり、既に何らかの三次元画像生データが記録されている記録媒体Mについては、それが新規であったときに、上記図4(a)又は(b)いずれかのデータ構造が決定されているから、当該記録媒体Mに対し、新たに三次元画像生データを記録する際には、当該記録媒体Mの既決定データ構造に則した形での記録が自動的に選択されることになる(=図2ステップS3処理は省略され、特に、図4(b)であるような場合には、図2ステップS4処理も省略される。)。
【0039】
次に、図2ステップS5にあるように、「三次元観察機能をどうするか」に関する設定を行う。ここに、「三次元観察機能」とは、上記したように、表示された三次元画像を、回転、拡大・縮小、移動等したり、各種の表示条件を変更したりする機能のことをいう。本実施形態においては特に、回転機能に関し、例えば図3の上から四段目のチェックボックスに示されているように、「すべての機能を記録」、「縦横回転に限る」、「縦方向のみの回転に限る」、「横方向の回転のみに限る」のチェックボックス(メニュー)を用意している。むろん、本発明においては、その他の選択項目を設定してもよい。
【0040】
さて、上記三次元再生ソフトに関する設定を終えると次に、「三次元画像生データの記録条件をどのようにするか」に関する設定を行う。
【0041】
具体的にはまず、図2ステップS6にあるように、「三次元画像生データのビット長を減少するか否か」に関する設定を行う。これは、三次元画像生データを何ら変換することなく記録するか(オリジナル記録)、当該データのビット長を少なくするか(ビット長減少記録)のどちらかを選択することを意味する。なお、この選択は、図3の上から五段目のチェックボックスに示されている。
【0042】
さらに、「ビット長減少記録」を選択した場合には、上記図2ステップS4において如何なる再生モードが選択されているかに応じて、どのような「ビット長減少」を実施するかを選択することが可能である。すなわち例えば、どのような再生モードが選択されていても(=常時)選択できるLUT(Look Up Table)変換(階調変換)、サーフェスレンダリング法が選択されている時のみ選択可能な「2値化変換」、ボリュームレンダリング法が選択されている時のみ選択可能な「光学パラメータへの変換」がある。このうち、LUT変換、光学パラメータへの変換の場合は、16ビットの画素を8ビットに、ビット長減少することができ、2値化変換の場合には16ビットの画素を1ビット(なぜなら、「サーフェス」を表現するためには、“1”か“0”かのみの情報があればよいからである。)に、ビット長減少することができる。
【0043】
いずれにしても、これらの設定によれば、三次元画像生データのデータ・サイズを縮小することが可能となり、結果、記録媒体Mへ、より多くの(変換された後の)三次元画像生データを記録することができる。
【0044】
なお、この選択においては、図3におけるような表示画面において、「ビット長減少記録」が選択(チェック)された際に、選択可能な変換方式がいわゆる「アクティブ表示」されるような形態(図3では、再生モードとして「ボリュームレンダリング法」が選択されているから、「光学パラメータへの変換」のチェックボックスは「アクティブ」であるが、「二値化変換」のチェックボックスは「ノン・アクティブ」である表示態様を例示している。)としてもよいし、また、当該選択可能な変換方式を表示する別ウインドウが開かれるような形態(不図示)としてもよい。また、これに代えて、LUT変換、2値化変換及び光学パラメータへの変換に関する設定は、三次元画像生データ等の記録媒体Mへの実際の記録作業前にレビューを行うようにし、設定の可否(例えば、「サーフェスレンダリング法」で「光学パラメータへの変換」が選択された等の場合には、否)が確認されるようになっていてもよい。いずれにしても、これらによれば、誤選択・誤設定するおそれがなくなることが明らかである。
【0045】
続いて、図2ステップS7及びS8にあるように、やはり「三次元画像生データの記録条件をどのようにするか」に関する設定である、「三次元画像生データの画像サイズを縮小するか」に関する設定(図2ステップS7)と、「注目領域を抽出するか」に関する設定(図2ステップS8)を行う。
【0046】
ここにまず、「画像サイズ」ないしその「縮小」とは、字義通り、当該三次元画像を表示した場合における画像の大きさないしその縮小を意味しており、上述した「ビット長」ないしその「減少」とは本質的な意味合いが異なる。また、その縮小の程度は、画像全体につき一律であり、具体的には「1/2縮小」、「1/4縮小」等から選択することができる。さらに、具体的な縮小処理の内容としては、例えば「1/2縮小」が選択された場合には、画像マトリックス(=「三次元画像生データ」を、ある座標系を念頭にした上で表現したもの)中、隣接する8ボクセル分を平均化して、1ボクセルとする等の処理を経るようにすればよい。なお、図3においては、「画像サイズを縮小しない」が選択された結果、縮小の程度を選択するチェックボックス(「1/2縮小」ボタン等)が、ノンアクティブ表示されている例が示されている。
【0047】
一方、「注目領域を抽出する」とは、画像の大きさがオリジナルよりも小さくなることは上記「画像サイズの縮小」と同様であるが、この場合においては、該オリジナルの(大きさの)画像の中の、所定の部位のみ切り出して、記録媒体Mへの記録対象とすることを意味する。つまり、三次元画像生データの一部を抜き出して記録対象とする、というに等しい。なお、この場合において、「注目領域を抽出する」が選択されたときには、いま記録しようとしている三次元画像生データの(全体についての)三次元表示を実際に実行し、それについて、装置使用者が任意の領域ないしウインドウを設定する(抜き出す)ことにより(不図示)、「注目領域」を設定するような態様が最も好適である。
【0048】
いずれにしても、これらの設定において、「画像サイズを縮小する」、あるいは「注目領域を抽出する」を選択することにより、上述したビット長減少記録と同様、(該縮小ないし抽出後(変換後)の)三次元画像生データのデータ・サイズを小さくすることができ、結果、記録媒体Mに対して、より多くの三次元画像生データを記録することができる。
【0049】
最後に、図2ステップS9にあるように、「圧縮をするか否か」に関する設定を行う。ここで、「圧縮する」を選択した場合には、よく知られているように、三次元画像生画像データを可逆圧縮するか、又は非可逆圧縮するか、のいずれかを選択することが可能である。なおまた、「圧縮する」が選択された場合には、記録媒体Mに対し、解凍用のプログラムも同時に記録しておく。これもまた、三次元画像生データのデータ・サイズを縮小するのに役立つ。
【0050】
以上までの設定を終えれば、後は、図3の最下段に示されているような、実際の記録実行を行うか否かに係るボタンにおける、「YESボタン」をクリックすることにより、記録媒体Mへの三次元生画像データ及び三次元再生ソフトの記録が、上記各種設定に基づいて行われることになる。
【0051】
なお、その記録形式(データ構造)は、例えば、既に示した図4と略同様なものとなる。この点、図4における例示は、「再生モード・ファイル」RP1、…、RPnと三次元画像生データ3D1、…、3Dnとのデータ構造であったが、上でも述べたように、「再生モード・ファイルRP1、…、RPn」とは、「三次元再生ソフトRP1、…、RPn」と言い換えてもよいからである。
【0052】
より詳しく言えば、上記にいう「三次元観察機能をどうするか」(図2ステップS5)は、三次元再生ソフトに関する設定(=該ソフトを構成する設定情報)であるにもかかわらず、「独立」の設定工程として残ることになるが、そのデータ構造は、図4(a)及び(b)に則して、図5(a)及び(b)のように表すことができる。すなわちこの図において、各三次元画像生データ3D1、…、3Dnの各々には、上記三次元観察機能の如何(縦回転のみ等)に関する設定情報V1、…、Vnが付された形で記録されることになる。なお、図2においてそのステップS5を排除した形態を想定する場合や、上記図2ステップS3において該ステップS5に関する設定をも同時に行うような(=図2ステップS3中、「再生モード」を「再生モード及び三次元観察機能」と読み替えるような)形態を想定する場合には、もはや図4(a)及び(b)中の符号RP1、…、RPnを、「三次元再生ソフトRP1、…、RPn」と考えることに関し何の障害もないこととなる。
【0053】
さて、このようにして記録・作成された記録媒体Mは、図1に示したパソコン61、…、6n又は6xに接続されていた記録・読出装置61a、…、6na又は6xaに装着可能である。そして、これらパソコン61、…、6n又は6xでは、当該装着された記録媒体Mから三次元画像生データ及び三次元再生ソフトを読み出すことにより、三次元画像の表示を行うことが可能となる。また、記録媒体M上の三次元再生ソフトに関し、上記設定において、観察機能が併せて記憶されている場合には、当該機能を活用した三次元画像の観察を行うこともできる。なお、具体的には、パソコン61、…、6n又は6xにおける適当な入力手段(例えばマウス等)により、三次元画像生データのファイル一覧が表示される画面において、そのうちの一つを選択(例えばダブルクリック)することにより、自動的に対応する三次元再生ソフトが立ち上がって(図5参照)、当該選択された画像を再生するような構成としておけばよい。
【0054】
このように本実施形態における三次元画像記録・再生システムにおいては、従来、高価な3D・WS5の上でのみ三次元画像の表示ないし観察を実施することが可能であったところ、より能力の劣る、通常の、ないしは汎用のパソコン61、…、6n又は6x上であっても、これを実施することができる。このことは、記録媒体Mに対し、三次元画像生データの記録のみではなく、三次元再生ソフトをも記録することによって、実現される。
【0055】
なお、上記実施形態では、記録・読出装置5aにおける記録媒体Mへの記録、及び、記録・読出装置61a、…、6na又は6xaにおける記録媒体Mからの読み出し、の両作用を通じて、パソコン61、…、6n又は6xでの三次元画像の表示ないし観察が可能とされていたが、ネットワークを形成するパソコン61、…、6nについては、3D・WS5との間に、必ずしも記録媒体Mを介在させる必要はない。すなわち、この場合においては、上記各種設定を経て決定された内容を、記録媒体Mに記録するのではなく、これを通信線Cを介して直接に各パソコン61、…、6nに送信するようにしてもよい。また、通信線Cは外部とも接続されていたから、必要に応じ、当該内容を外部に送信することも可能である。このような形態であっても、汎用のパソコン61、…、6n等において三次元画像表示等が行い得ることに変わりはなく、該形態も本発明の範囲内にある。
【0056】
また、上記では、三次元再生ソフトに関する各種設定が行われることを通じて、3D・WS5が本来有する機能、すなわち三次元表示ソフトの「一部」のみが、記録媒体Mに記録されるような形態(いわば「部分コピー」される形態)となっていたが、場合によっては、当該三次元表示ソフトの「全部」が、記録媒体Mに対し記録されるような形態(いわば「全部コピー」される形態)であってもよい。むろんこの場合においては、記録媒体Mがそれを許容するだけの容量を有することを前提とする。
【0057】
さらに、本発明は、上記実施形態で挙げられた(あるいは図3に示された)、三次元再生ソフト及び三次元画像生データに関する設定項目に限定されるものではない。例えば、上では述べられなかったが、元の画像が例えばカラーで表示可能な場合であっても、記録媒体Mへの記録にあたっては、「白黒のみとするか否か」、等といった設定項目を加えることも可能である。
【0058】
さらに加えて、上記実施形態では、記録媒体Mの具体例として、CD−R及びDVDが利用されることが示されていたが、本発明はこれに限らず、例えばMO(光磁気ディスク)、光ディスク等を利用する形態であっても当然に適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の三次元画像記録方法、三次元画像記録システムは、汎用のパソコン上であっても、三次元画像の表示ないし観察を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る三次元画像記録・再生システムの構成例を示す概要図である。
【図2】 三次元画像生データ記録及び三次元再生ソフト記録に関する設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】 三次元画像生データ記録及び三次元再生ソフト記録に関する設定を実際に実行する設定画面の表示例を示す説明図である。
【図4】 記録媒体内におけるデータ構造例を示す図であって、(a)は、画像ごとに再生モードを変更する場合のデータ構造例を、(b)は画像ごとに再生モードを変更しない場合のデータ構造例を、(c)は(a)における三次元画像生データ3D2において二つの再生モードが設定された場合のデータ構造例を、それぞれ示す。
【図5】 記録媒体内におけるデータ構造例を示す図であって、(a)は、画像ごとに再生モードを変更する場合であって、かつ三次元画像生データの各々に三次元観察機能に関する設定情報が付されたデータ構造例を、(b)は画像ごとに再生モードを変更しない場合であって、かつ三次元画像生データの各々に三次元観察機能に関する設定情報が付されたデータ構造例を、それぞれ示す。
【符号の説明】
1 X線CT装置
2 SPECT装置
3 MRI装置
4 X線画像撮影装置
5 3Dワークステーション(三次元画像表示装置)
5a 記録・読出装置(記録装置)
61、…、6n又は6x パソコン
61a、…、6na又は6xa 記録・読出装置(読出装置)
C 通信線
M 記録媒体
Claims (11)
- 一以上の医用画像診断装置、及び、該医用画像診断装置で取得された三次元画像生データに基づいて三次元画像表示を行うことの可能な三次元表示ソフトを有する三次元画像記録システムにおいて、
前記三次元画像生データについてファイルごとに変換形式を設定し、前記三次元画像生データを各ファイルごとに設定された変換形式で変換して画像データを生成する変換手段と、
前記ファイルごとに設定された前記変換形式に対応する三次元表示ソフトおよび前記変換手段によって生成された画像データを対応付けて、取り外し可能な記録媒体に書き込む記録手段と、
を備えていることを特徴とする三次元画像記録システム。 - 前記記録媒体に記録される三次元表示ソフトの一部は、該三次元表示ソフトにおける、前記三次元画像生データに基づく複数種の表示機能のうちの一種又は二種以上の機能であることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記記録媒体に記録される三次元表示ソフトの一部は、該三次元表示ソフトにおける、前記三次元画像生データに基づいて表示された三次元画像を回転させる機能のうちの縦方向回転機能又は横方向回転機能であることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記変換形式は、階調変換であることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記変換形式は、二値化変換であることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記変換形式は、前記当初の三次元画像生データを一律に縮小することであることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記変換形式は、前記当初の三次元画像生データの一部を抜き出すことであることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記変換形式は、圧縮処理であることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 前記記録媒体には、複数の前記三次元画像生データと、一つの前記三次元表示ソフトの全部又は一部とが記録されることを特徴とする請求項1記載の三次元画像記録システム。
- 一以上の医用画像診断装置、及び、該医用画像診断装置で取得された三次元画像生データに基づいて三次元画像表示を行うことの可能な三次元表示ソフトを有する三次元画像記録システムにおいて、
前記三次元画像生データ及び前記三次元表示ソフトの全部又は一部を送信することの可能な通信線と、
前記三次元画像生データについてファイルごとに変換形式を設定し、前記三次元画像生データを各ファイルごとに設定された変換形式で変換して画像データを生成する変換手段と、
前記ファイルごとに設定された前記変換形式に対応する三次元表示ソフトおよび前記変換手段によって生成された画像データを対応付けて、前記通信線を介して送信する送信手段と、
を備えていることを特徴とする三次元画像記録システム。 - 一以上の医用画像診断装置で取得された三次元画像生データに基づいて三次元画像表示を行うことの可能な三次元表示ソフトを有する三次元画像記録システムで実行される三次元画像記録方法であって、
前記三次元画像生データのための複数の変換形式を表示するステップと、
前記表示された複数の変換形式の中から選択された変換形式で、前記三次元画像生データについてファイルごとに変換形式を設定し、各ファイルごとに設定された変換形式で変換して画像データを生成する変換ステップと、
前記ファイルごとに設定された前記変換形式に対応する三次元表示ソフトおよび前記変換ステップによって生成された画像データを対応付けて、取り外し可能な記録媒体に書き込む記録ステップと、
を含むことを特徴とする三次元画像記録方法。
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