JP4263942B2 - 遠隔画像解析システムおよびその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、遠隔画像解析システムに関するものであり、特に、医療分野における画像データを転送することなく、遠隔操作によって各種画像処理をローカルにて実行させる、多階層データベースと連関した遠隔画像解析システムに関する。
【0002】
【従来技術】
近年の医療現場における画像診断機器の進歩は、めざましいものがある。特に、それら画像診断機器の高速化、高画質化の進展は顕著であり、コンピュータ技術の進展とも相まって、高精細な3次元画像の高速描画はもちろんのこと、術中のリアルタイム処理や、時系列的にデータを繋げることにより、4次元画像の利用も現実のものになっている。
【0003】
これに対し、CT画像を2次元投影して疑似X線画像(これをray-sum画像と呼ぶ。)を作成し、過去の胸部X線画像と現在のray-sum画像の差分を取る、若しくは、過去と現在のray-sum画像同士の差分を取ることにより、経時的差分画像を作成する経時的差分技術がある。この技術により、医療機器の進展や医療施設間の設備差を緩和することができる。(例えば、特許文献1参照のこと。)
【0004】
また、心臓のように動きのある臓器に対するCT撮像では、収縮期と拡張期の画像が混在することから、生成された断面画像は外形が不鮮明のとなるが、ピーク補完機能を付加することにより、極大ピークや極小ピーク等の所要のタイミングで、鮮明な像も描画できるようにした技術がある。(例えば、特許文献2参照。)
【0005】
また、超音波エコーによる腫瘍部の3D画像と胸部ライブビデオ画像を、スーパーインポーズ表示して、外科手術の執刀医に対しナビゲーションを行う、3Dの超音波エコー像を用いての乳癌外科手術のための術中ナビゲーション技術がある。(例えば、非特許文献1参照。)
【0006】
一方、マルチスライスCTから発生する多量の画像データを、構内ネットワークを介して結ばれた画像保管サーバに一括保管し、保管された画像データをCT本体からon demand観察はもちろんのこと、読影室における過去の画像参照用の高速三次元表示システムやその他の部署のパーソナルコンピュータからも利用できるようにした、マルチスライスCT画像保管伝送システムがある。(非特許文献2参照。)
【0007】
さらに、遠隔地の医師同士が双方の意思の端末に表示させる3次元画像の表示条件を設定した後、端末の3次元表示ステップにおいて設定した表示条件にしたがって立体表示を行うとともに、表示条件伝送ステップにおいて設定した表示条件を、立体表示コマンドを用いて相手の端末に伝送し、端末の3次元表示ステップにおいて設定した表示条件にしたがった立体表示を行う遠隔診療支援システムがある。このシステムを採用することにより、両端末の3次元表示を連携させることができ、各端末の操作者同士が、同じ3次元画像を参照しながら相談を行えるようになり、迅速かつ円滑な診断が可能になる。(例えば、特許文献3参照。)
【0008】
【特許文献1】
特開2002−219123号公報
【特許文献2】
特開2001−340330号公報
【特許文献3】
特開2001−118015号公報
【非特許文献1】
「コンピューター エイディット サージェリー(Computer Aided Surgery)」,Vol.4,pp.37-44(1999)
【非特許文献2】
日本放射線技術学会編「日本放射線技術学会雑誌」,Vol.56, No.12,pp.1470-1475(2000年12月20日)
【0009】
【解決すべき技術的課題】
こうした技術革新にもかかわらず、これらの画像解析技術の末端医療現場への普及は、遅々として進んでいない。その原因としては、解析等の画像処理には、豊富な経験と技術を要するものであるが、そういった技術を身につけた人材が末端の医療現場に著しく不足していること、また解析処理に用いる装置は、高価であり、医療現場への普及はかなり限定的であること、さらには、エンドユーザが既に存在する基盤技術を完全にはマスターしていないことなどが挙げられよう。
【0010】
これに対し、昨今の高速・大容量通信回線の普及につれて、医療用画像といった大規模データも、比較的簡単に担当医と専門医の間等で比較的簡便にコミュニケーションをとることが技術的にも経済的にも可能になりつつある。実際にも一般商用回線を使っての腹腔鏡下で胆のう摘出手術の遠隔指導が実施されるに至っている。
【0011】
こうした情報ネットワーク技術の医療分野への浸透により、医療水準の均質化や高度医療の受診機会の水平化が図られ、前述の多次元画像解析技術の利用についても次第に拡大すると予想されるが、その一方で、医療用データは、患者本人のプライバシーと直結しており、いくらハッキングモニター等のセキュリティ手段が講じられるとしても、軽々に個々人の医療用データが公衆回線で通信されることに抵抗感が強いことも事実であり、これが最新の画像解析技術が医療現場に普及しない潜在的要因になっていると考えられる。
【0012】
幸いにして、我が国の医療機関の水準は、比較的ハードウェア面については充実しており、地方の医療機関であっても比較的高価な診断機器も自前で揃えることができる状況にあることからすれば、患者のプライバシーに直結している画像データを病院構内から出すことなしに自前で加工処理できればこの問題は相当緩和すると思われるが、残念ながら各医療機関が自前で最新の画像解析を実行するほどのソフトウェア面での能力が充実しているとは言い難い。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の医療現場の現状に鑑み、本発明者は、画像データを転送することなしに、各医療機関が各種画像解析処理を実行できるように、ソフトウェア面でサポートする手法に思い至った。すなわち、医療機関のハードウェア並びにソフトウェア構成に関する情報から、各医療機関が希望する画像処理を実行するために必要なコマンド群一式を外部から提供すれば、個々の画像データを病院外に持ち出すことなく、自前で画像データの加工処理が実現できる。
【0014】
以上の技術思想に基づく本発明は、上述の技術的課題を解決するものであって、次の技術的事項からなる。
本発明(1)は、入出力手段と、通信手段と、各種画像処理用ソフトウェアを格納し得る記憶手段と、該画像解析処理を実行するため演算手段とを備え、画像解析処理に供せられる画像データを撮影しうる測定機器と通信可能に接続した、複数の処理端末と、
前記複数の処理端末と、提供可能な画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を蓄積したソフトウェアデータベースのそれぞれと通信可能に接続した画像処理センターのホストコンピュータとを、
少なくとも含む遠隔画像解析システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記処理端末からの要求に対し、提供可能な画像処理項目を前記入出力手段に表示し少なくとも提供を希望する画像処理項目の選択を促す、ガイダンス手段と、
該ガイダンス手段からのガイダンスに沿って入力された前記画像解析処理項目と該処理端末に関する環境情報に基づいて、前記ソフトウェアデータベース手段から該画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を選択するソフトウェア選択手段と、
該選択された画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を要求のあった処理端末に対し送信しインストール処理を実行させる環境調整手段をさらに含み、
画像データの外部転送無しに、各処理端末において画像解析処理を実行可能としたことを特徴とする、遠隔画像解析システムである。
本発明(2)は、入出力手段と、通信手段と、各種画像処理用ソフトウェアを格納し得る記憶手段と、該画像解析処理を実行するため演算手段とを備え、画像解析処理に供せられる画像データを撮影しうる測定機器と通信可能に接続した、複数の処理端末と、
前記複数の処理端末と、前記処理端末が格納する画像解析処理用ソフトウェアについての環境情報を蓄積する環境情報データベースと、提供可能な画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を蓄積したソフトウェアデータベースのそれぞれと通信可能に接続した画像処理センターのホストコンピュータとを、
少なくとも含む遠隔画像解析システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記処理端末からの要求に対し、提供可能な画像処理項目を前記入出力手段に表示し少なくとも提供を希望する画像処理項目の選択を促す、ガイダンス手段と、
該ガイダンス手段からの案内に沿って選択された前記画像解析処理項目と前記環境情報データベース手段からの該処理端末に関する環境情報に基づいて、前記ソフトウェアデータベース手段から該画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を選択するソフトウェア選択手段と、
該選択された画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を要求のあった処理端末に対し送信しインストール処理を実行させる環境調整手段をさらに含み、
画像データの外部転送無しに、各処理端末において画像解析処理を実行可能としたことを特徴とする、遠隔画像解析システムである。
本発明(3)は、前記画像データが医療用画像であることを特徴とする、本発明(1)又は発明(2)の何れか1発明の遠隔画像解析システムである。
本発明(4)は、前記ホストコンピュータは、
各種疾患についての症例を検索可能に格納した症例データベースとも通信可能に接続し、
前記処理端末より要求された画像解析処理項目の実行に必要とされる情報を収集する、前記症例データベースから関係症例データを抽出する症例抽出手段と、抽出された関係症例データに対し統計処理を施し、前記要求された処理の実行に必要とされる情報を導出する統計処理手段とをさらに備えることを特徴とする、本発明(1)〜(3)の何れか1発明の遠隔画像解析システムである。
また、本発明(5)は、前記ホストコンピュータは、
前記症例抽出手段により抽出された該当する症例データについて、前記統計処理手段により、症例データ項目毎の標準値を算出し、又は該算出された標準値に最も近似する症例データを探索し、該症例データの該患者名が特定不可能となるように匿名化処理を施して、代表症例データを導出する代表症例データ導出手段をさらに備え、
前記処理端末からの入力項目に基づき、該代表症例データを、要求のあった処理端末に対し、前記ソフトウェアの実行に必要とされる情報に付加して送信し、前記処理端末で事前に精度検証を実行できるようにしたことを特徴とする、本発明(3)又は本発明(4)の何れか1発明の遠隔画像解析システムである。
本発明(6)は、前記ホストコンピュータには、要求のあった処理端末に対し送信するコマンド群を含むソフトウェア及びそのソフトウェアの実行に必要とされる情報に応じて、サービス料を見積、請求および決済を実行する課金手段をさらに備えていることを特徴とする、本発明(1)〜本発明(5)の何れか1発明の遠隔画像解析システムである。
本発明(7)は、入出力手段と、通信手段と、各種画像処理用ソフトウェアを格納し得る記憶手段と、該画像解析処理を実行するため演算手段とを備え、画像解析処理に供せられる画像データを撮影しうる測定機器と通信可能に接続した、複数の処理端末と、
前記複数の処理端末と、提供可能な画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を蓄積したソフトウェアデータベースのそれぞれと通信可能に接続した画像処理センターのホストコンピュータとを、
少なくとも含むハードウェア構成上で、次の工程を実行し、画像データの外部転送無しに、各処理端末において画像解析処理を実行可能としたことを特徴とする、遠隔画像解析方法である。
前記処理端末からの要求に対し、提供可能な画像処理項目を前記入出力手段に表示し少なくとも提供を希望する画像処理項目の選択を促す、ガイダンス工程と、
該ガイダンスに沿って入力された前記画像解析処理項目と該処理端末に関する環境情報に基づいて、前記ソフトウェアデータベース手段から該画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を選択するソフトウェア選択工程と、
該選択された画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を要求のあった処理端末に対し送信しインストール処理を実行させる環境調整工程と、
該送信されたコマンド群を含むソフトウェアと該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を該処理端末の演算手段により実行させる実行工程。
本発明(8)は、入出力手段と、通信手段と、各種画像処理用ソフトウェアを格納し得る記憶手段と、該画像解析処理を実行するため演算手段とを備え、画像解析処理に供せられる画像データを撮影しうる測定機器と通信可能に接続した、複数の処理端末と、
前記複数の処理端末と、前記処理端末が格納する画像解析処理用ソフトウェアについての環境情報を蓄積する環境情報データベースと、提供可能な画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を蓄積したソフトウェアデータベースのそれぞれと通信可能に接続した画像処理センターのホストコンピュータとを、
少なくとも含むハードウェア構成上で、次の工程を実行し、画像データの外部転送無しに、各処理端末において画像解析処理を実行可能としたことを特徴とする、遠隔画像解析方法である。
前記処理端末からの要求に対し、提供可能な画像処理項目を前記入出力手段に表示し少なくとも提供を希望する画像処理項目の選択を促す、ガイダンス工程と、
該案内に沿って選択された前記画像解析処理項目と前記環境情報データベースからの該処理端末に関する環境情報に基づいて、前記ソフトウェアデータベース手段から該画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を選択するソフトウェア選択工程と、
該選択された画像解析処理用ソフトウェア及び該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を要求のあった処理端末に対し送信しインストール処理を実行させる環境調整工程と、
該送信されたコマンド群を含むソフトウェアと該ソフトウェアの実行に必要とされる情報を該処理端末の演算手段により実行させる実行工程。
本発明(9)は、前記画像データが医療用画像であることを特徴とする、本発明(7)又は本発明(8)の何れか1発明の遠隔画像解析方法である。
本発明(10)は、前記ホストコンピュータは、各種疾患についての症例を検索可能に格納した症例データベースとも通信可能に接続し、
前記処理端末より要求された画像解析処理項目の実行に必要とされる情報を収集する、前記症例データベースから関係症例データを抽出する症例抽出工程と、抽出された関係症例データに対し統計処理を施し、前記要求された処理の実行に必要とされる情報を導出する統計処理工程とをさらに含むことを特徴とする、本発明(7)〜本発明(9)の何れか1発明の遠隔画像解析方法。
本発明(11)は、前記症例抽出工程により抽出された症例データについて、前記統計処理工程により、症例データ項目毎の標準値を算出する、又は該算出された標準値に最も近似する症例データを探索し、該症例データの該患者名が特定不可能となるように匿名化処理を施して、代表症例データを導出する代表症例データ導出工程と、
前記処理端末からの入力項目に基づき、該代表症例データを、要求のあった処理端末に対し、前記ソフトウェアの実行に必要とされる情報に付加して送信し、前記処理端末で事前に精度検証を実行する精度検証工程とを含むことを特徴とする、本発明(9)又は本発明(10)の何れか1発明の遠隔画像解析方法。
本発明(12)は、前記要求のあった処理端末に対し送信するコマンド群及びインストールするソフトウェアに応じて、サービス料を見積、請求および決済を実行する課金工程をさらに含むことを特徴とする、本発明(7)〜本発明(11)の何れか1発明の遠隔画像解析方法。
本発明(13)は、本発明(7)〜本発明(12)の何れか1発明の遠隔画像解析方法をコンピュータにより読み取り可能に記録した記憶媒体。
本発明(14)は、本発明(7)〜本発明(12)の何れか1発明の遠隔画像解析方法を伝送する伝送媒体。
【0015】
ここで、本発明における「コマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェア」等の用語は、以下の意味にて使用される。
【0016】
「コマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェア」とは、画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群の総称であり、例えば、画像解析項目が「フラクタル解析」についていえば、その解析に必要とされる「コマンド群」とは、具体的に、その一連の処理アルゴリズムやその処理に付随するサービス機能、すなわち、画像の2値化、ボックスカウンティング法または相似関数法、次元の計算、グラフ表示、グラフのExel形式保存などを意味する。
【0017】
なお、本発明の詳細な説明では、「制御コード」という用語も使用しているが、ここでの「制御コード」とは、該コマンドの中身、すなわちプログラム自体を指すための用語として使用している。但し、本システムの制御コード個々は、オープンリソースでない、すなわち、未公開プログラムであるので、該制御コードの内容については、機能的記載をもって説明せざるを得ないため、前記「コマンド群」と該「制御コード」とは、厳密には区別できない場合が生じる。
【0018】
【実施の形態】
まず、本発明のシステム構成の概略を、図1に示す。すなわち、本発明は、ホストコンピュータであるところのアプリケーション提供サーバを中心として構成され、症例画像を記録した記録媒体チェンジャーと、磁気共鳴断層撮影装置やコンピュータ断層撮影装置といった医用画像生成装置と、さらに各専門医等の操作端末であるところのPC端末と通信回線によって結合しており、LANを形成している。
【0019】
一方、該アプリケーション提供サーバは、構外の端末ともインターネット等の公衆通信回線等によって結合しており、病院といった機関の垣根を超えてアプリケーションを提供できる。
【0020】
なお、アプリケーション提供サーバの構成については、図2に例示され、保管サーバユニットとデータコントロールユニットの2つのユニットから構成される。
【0021】
そして、保管サーバユニットは、収集医用画像データ、症例別画像データ、目的別ソフトウェア、参照用3次元および4次元画像データ、登録ユーザデータ、バグレポート管理データの6つのデータ群から構成されている。なお、医用画像診断装置で撮影された画像データ等は保管サーバユニットに送信され、関係のデータ群をリアルタイムで更新し保管される。
【0022】
一方、データコントロールユニットは、必要とされるコマンド群を選択して送信するためのユニットで、画像処理・解析対象選択機能、ヘルプ・ガイダンス機能、新規・登録ユーザ認証機能、目的別ソフトウェアダウンロード機能、コマンドベース画像処理・解析機能、対象症例データベース参照機能の6つの機能を備えている。
【0023】
そして、アプリケーション提供サーバにリクエストがあった場合、例えば、図3に例示される画像解析及び解析支援メニューのメッセージ画面が、リクエストのあった端末に対して出力される。
【0024】
この事例では、まず、画像処理の対象となる患部領域を特定し、その患部領域において提供可能なメニューとそのガイダンスが表示される。プルダウン型の表示が望ましい。そして、アクセスのあった端末のソフトウェア構成を入手し、そのメニューの実行に際して更にインストールの必要なアプリケーションソフト等が検出される。図3中では、ドットによって表示されている。
【0025】
そして、その該当項目のガイダンスに従って所望のメニュー項目をクリックするだけで、処理の実行に必要とされる制御コードやアプリケーション送付とがインストールされ、画像処理や解析処理が実行できる環境が整う。
【0026】
更に、本発明のシステムでは、既に用意されている処理・解析メニューでは、診断サービス等に不十分である場合には、対象症例データベースを参照して、補完する機能を備えている。すなわち、対象症例データベースに検索可能に記録された各データ項目の中からアクセス者が必要とするデータ項目について、検索し、そのデータを統計処理して必要とするデータを入手することができ、このカスタマイズされたデータを用いて、処理・解析が実行できるように構成されている。
【0027】
実際に使用したシステム構成を以下に示す。まず、本システムに加入する端末は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)と称される医用画像通信の標準規格に準拠しており、各機関の端末及びホストコンピュータは、QR機能(Query and Retrieveの略)という画像の送受信機能を標準装備している。そのほか、本実施例のシステムでは、次のようなコマンド群およびアプリケーションが用意されており、各種サービスの提供が可能となっている。
【0028】
(DICOM Print)
DICOMプリントは、DICOM規格によるPrint(フィルミング)機能の統一規格である。
【0029】
(データ保存(静止画;jpeg,bmp,xpm)(動画;avi))
DICOM規格画像をJpegやWindows(登録商標)用のBitmapおよびxpmフォーマットに変換して保存が可能であり、動画に対してはAVIファイル出力機能も装備している。
【0030】
(VIEWER機能(モダリティ別画像比較、マルチ表示ディスプレイ、シネ表示、複数患者連続表示及び解析))
画像表示法については、画面を複数分割して連続画像表示したり、過去画像を並べる表示したり、または別患者との比較画像表示など、読影の効率を上げるさまざまな表示法が用意されている。
【0031】
(RESLICE機能、スタックリコン機能、画像ページング)
一度作った画像から別の画像をその位置情報から推定して再表示する機能や画像を束ねて少なくして表示する方法または、自動的に画像が切り替わり順次表示する機能が用意されている。
【0032】
(計測(ROI、面積、体積、プロファイル、ヒストグラム、タイムデンシティ))
ROIとは、Region of Interest(関心領域)の略で、画像のある特定の部分だけの画像上のピクセル(画素:画像を構成する最小単位)の数字の分布を測定できるほか、面積、体積などを測定することができる機能が用意されている。
【0033】
(カーブドMPR、任意断面クリップ)
MPRとは、Multi Planer Reformat(多断面断層表示)の略で、CTは一般的に体の輪切りの画像を表示するが、MPR処理をすれば、体の冠状断面や矢状断面なども表示することができる機能が用意されている。
【0034】
(スラブMIP,VR MPR,RAY sum)
MIPとは、Maximum Intensity Projectionの略で最大値投影法のことであり、コンピュータグラフィックスの一手法の「レイトレーシング」という方法における、「レイ」の方向の最大値を表示する方法で、造影剤を使った血管の表示などに使用可能である。またVRは、ボリュームレンダリング、さらにRAY−SUMは、MIPと異なり、最大値ではなく、「レイ」の加算平均値を表示する方法で、この処理によってX線写真のような画像が作成できる。本実施例には、これらの機能が用意されている。
【0035】
(リアルタイムボリュームレンダリング3D)
リアルタイムボリュームレンダリング(VR)とは、VRに関して非常に演算効率を高めた処理コードによって、ストレス無く3Dを表示する方法のことで、本実施例では、このリアルタイムVR機能も用意されている。
【0036】
(リアルタイムボリュームレンダリング仮想内視鏡(3Dナビゲーション&位置直行断面表示付))
仮想内視鏡は、仮想現実感処理を施して、気管支や大腸などの管腔臓器の中に入っていく様子を仮想的に画像表示する処理のことで、本実施例では、こうした機能も用意されている。
【0037】
(マルチボリューム表示(FUSION)、MPR重ね機能付)
異なる医用画像モダリティ(例えばPETとCT、PETとMRIなど)のスライス像を重ねあわせる処理や、スライスのような2D上だけでなく、3次元画像同士を合成表示したりする機能が用意されている。
【0038】
(画像作成テンプレート機能(2D,3D))
3D画像表示には、血管や皮膚、筋肉、骨など、目的にあった表示法が必要となるが、それらについてあらかじめ目的の臓器を表示するようなデフォルトのセッティングをするテンプレート機能が用意されている。
【0039】
(3D ROI抽出、3D連結部位抽出)
3D上で必要なところだけを抽出する処理や、同じような色や濃度の臓器だけを抽出する機能が用意されている。
【0040】
(オブリーク、無限オブリーク)
オブリークはMPR法について、通常は、横断面、冠状断面、矢状断面がそれぞれ直交するような垂直表示が基本であるが、斜め方向に任意に、再スライスするオブリーク機能が用意されている。
【0041】
(CT臓器自動抽出機能(肝臓等))
臓器特有の特徴を生かして、その臓器のみを抽出する画像処理法が、臓器毎に用意されている。
【0042】
(肝実質自動抽出、体積計測(3分割可能))
肝臓の場合、肝移植の際の提供する肝臓の体積の表示やシミュレーションが外科手術の際に重要であり、また再生部分の体積変化なども観察できる機能が用意されている。
【0043】
(腫瘍部体積、血管3Dボリューム表示)
腫瘍部を3次元的に抽出し、その体積を表示できる機能を用意されており、抗癌剤の効果の客観的な評価が可能である。また動脈硬化性疾患の評価に必須の血管3D像をボリュームレンダリング手法を用いて表示する方法も用意されている。
【0044】
(心臓解析ソフトウェア)
心臓は動く臓器であるが故に、処理が多岐にわたる。心臓を栄養する血管(冠状動脈)の狭窄率の評価や、心臓の動きの解析や、心筋の血流分布の解析などの心臓特有の機能が用意されている。
【0045】
(体脂肪クリニックソフト)
体脂肪率(体脂肪は、皮下脂肪と内臓脂肪の比で計算。)を測定するソフトウェアが用意されている。
【0046】
(Perfusion)
急性期脳梗塞においては発症六時間以内における治療方針の決定が患者の予後を左右し、検査及びその解析と評価が迅速に行われることが不可欠であるため、その診断においてCTやMRI、SPECTやPETなど多くのモダリティの有用性が示され、臨床の現場で利用されているが、SPECTやPETは高い定量性を持ちますが、これらの設備は常に利用できるとも限らない。一方CTとMRは広く普及していますが、一般的な撮影では急性期の脳梗塞に関する兆候をとらえることが困難である。またCTAやMRA(PC, ToF)で捉えることができるのは毛細血管より太い動脈、静脈のレベルであり、それらの血流は毛細血管レベルの灌流すなわちパーフュージョンと必ずしも比例しない。こうした事情を考慮して、広く普及しているCTとMRを用いて、組織本来の機能が依存する脳血流の評価を可能にするパーフュージョン解析ソフトウェアが用意されている。
【0047】
(肺解析パッケージ)
CT画像からの肺野領域の体積の測定、左肺2分割、右肺3分割による各分割領域の体積測定が可能で、さらに、 CT値ヒストグラム解析機能も行うことができ、体積測定で領域分割を行った領域毎に統計学的な特徴量の計算が可能であり、肺野の領域毎の経時的な変化を調べる等の処理を可能にするもので、本実施例には、こうした解析パッケージも用意されている。
【0048】
一方、本発明にかかる画像処理に必要とされるハードウェアスペックは次のとおりである。256MB以上の物理メモリ(512MB以上が望ましい。)。なお、必要メモリ量は処理したいスライス数に依存する。1,280x1,024以上の解像度で24ビットカラー以上の表示が可能なビデオボードとディスプレイ(ビデオボードとディスプレイドライバがWindows(登録商標)の標準に従っていること。)。80GB程度の任意のハードディスク、ホイール付マウスおよびキーボード、イーサネット(登録商標)インターフェース、Windows(登録商標)XP Professional、Windows(登録商標)XP Home Edition、Windows(登録商標)2000(いずれも日本語版)、OS付属のTCP/IPプロトコルソフトウェア
但し、特にこれに制限されるものではない。
【0049】
因みに、本実施例のハードウェア構成は、DELLプレシジョンワークステーション530(ミドルタワー型)相当、CPU/XEON 2GHz(Dual)、memory/2.0GB、HDD/80GB、OS/Windows(登録商標)2000・XP、CD-RW付を使用した。
【0050】
【実施例1】
次に、肺解析のパッケージについて例示する。具体的な制御コードの実行順は、図4のとおりである。図4に列挙した制御コード群が予め画像処理センターには用意されており、リクエストのあった端末環境に基づき、不足するアプリケーションのインストールを勧める。必要なアプリケーションが揃った時点で、制御コードを順次実行する。
【0051】
例示として、該肺解析パッケージを実行した場合の出力画面の一例を図5に示す。肺野抽出処理結果を、3方向からみた画像に対してグラフィックを施して肺野が表示されている(図中中央参照のこと。)。一方、ボリューム等各種数値データについての計算の結果も同時に表示される(図中左上欄参照のこと。)。さらに、ヒストグラム結果については、別のウィンドウが開くように構成されている(図中右下参照のこと。)
【0052】
なお、この事例におけるサービスの流れを図6に模式的に示す。図5の処理に必要なアプリケーションソフトウェアのうち、不足するアプリケーションソフトウェアおよび処理実行制御に必要とされるコマンド群については、アプリケーションサーバからダウンロード処理を実行する。一方、エンドユーザ端末側で既に保有しているアプリケーションソフトウェアについてもアップロード処理を実行する。
【0053】
その際の解析画面の一例を、図6中左下部に例示する。この解析結果は、同一構内であれば、他のクライアント端末との間で、CD乃至E−mail等でやり取りすることができる。
【0054】
【実施例2】
(症例データベース参照例)
本システムの当初メニューは、カスタマイズ利用については完全にはサポートされていない場合が想定される。しかしながら、本システムでは、ホストコンピュータ側の症例データベースを参照して必要なデータを収集することにより、部分的にユーザの希望に応えることができるように構成されている。
【0055】
例えば、エンドユーザが肺癌に対する新薬の治療効果をCT画像に基づいて定量的に評価したい場合、エンドユーザ端末より、「領域:肺野領域」、「診断疾病:肺癌」、「機能:サイズ測定」等の必要項目の選択がなされる。この場合、本システムのホストコンピュータは、該エンドユーザ端末に対して、肺癌のCT像上でのサイズ測定ソフトウェアについてのコマンド群のアップロード制御コードを送信、乃至は該端末に該ソフトウェアが格納されていないと判断された場合には、ホストコンピュータから該ソフトウェアのダウンロード制御コードが送信される。
【0056】
後者の場合、該ユーザは、該ソフトウェアのダウンロード前に、その精度と利便性についての事前確認をしたいと考えることが多い。こうした場合、「症例データベース参照」を選択し、事前確認を要求することができる。ホストコンピュータは、症例データベースより、肺癌症例についての画像データ等を抽出(検索)し、サンプル候補データとして一時的に格納する。
【0057】
続いて、ホストコンピュータでは、抽出されたサンプル候補データを分析し、肺野のバックグラウンド領域の抽出閾値、患部(癌化)領域の抽出閾値、さらに両者の閾値差のそれぞれの平均値及び標準偏差を求め、それぞれの平均値に最も近似する症例を1乃至数例を、標準サンプルデータとして選択し、格納する。
【0058】
そして、この標準サンプルデータに対して匿名化処理を施し、ホストコンピュータに予め格納された、肺癌のCT像上でのサイズ測定ソフトのデモ版を読み出して、該デモ版に該当症例についての前記標準サンプルデータを添付して、前記エンドユーザ端末に対して送信する。
【0059】
該エンドユーザの端末は、これを受信、格納し、このデモ版と標準サンプルデータを使用することにより、該肺癌用のサイズ測定ソフトの操作性について事前確認することができる。さらに、送られてきた標準サンプルデータに基づけば、肺癌部の抽出のための閾値データ等のパラメータデータやその他の対応プロファイル情報も同時に入手できので、実際の読映、診断に活用できる。
【0060】
そして、該ユーザが該ソフトウェア商品版のダウンロードを選択した場合には、ホストコンピュータより該ソフトウェア商品版が送信される。こうして送信されたコマンド群は自動的にインストールされ、該操作画面において、診断対象となるCTデータファイルをドラッグドロップすれば、自動的にサイズ計測が実行される。
【0061】
なお、この商品版ソフトの送信と同時に、ホストコンピュータは、課金処理を自動的に実行するように構成されており、サービス提供に対する対価の請求等、課金決済する機能も備えている。
【0062】
【発明の効果】
本発明では、画像処理センターのホストコンピュータより、各医療機関の希望する画像解析処理に関する必要なコマンド群を含むソフトウェアとソフトウェアの使用に必要とされる情報を、一括して各医療機関の端末に対して提供できることから、画像データを転送することなく、ローカルにて多次元画像処理等の画像解析処理が実行可能となり、大規模データの通信負担がないことはもちろんのこと、個人データの外部漏洩といった懸念も一切なく、地方の医療機関にあって、高水準の医療を受診する機会が得られるという顕著な効果を奏するものである。
【0063】
さらに、本発明は、症例データデータベースともリンクしていることから、希有な症例についても、必要なパラメータ等のデータを症例データベースから抽出して統計処理を施すことにより導出することができるので、広範な症例に適合した、画像解析処理を実行できる。
【0064】
また、本発明は、各医療機関のハードウェア及びソフトウェアのコンポーネントに応じて、必要なコマンド群及び必要なプログラム等のみを提供できるので、ソフトウェアコストが低減できる上、その課金についても、画像処理センターのサーバが一括管理しているので、透明性が高いという副次的な効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシステム構成についての概略図
【図2】 本発明にかかるアプリケーション提供サーバの構成を示す図
【図3】 本発明にかかるサービスのガイダンス画面の一例を示す図
【図4】 本発明において転送される制御コードを含む画像処理、解析手順の一例(肺解析パッケージ)を示す図
【図5】 本発明の解析結果の表示画面の一例を示す図
【図6】 本発明のシステムにおける情報の流れを模式的に示す説明図
Claims (2)
- 入出力手段と、通信手段と、各種画像処理用ソフトウェアを格納し得る記憶手段と、該画像解析処理を実行するため演算手段とを備え、画像解析処理に供せられる医療用画像データを撮影しうる測定機器とLANを形成することにより通信可能に接続した、複数の処理端末と、
各種疾患についての症例を検索可能に格納した症例データベースと、
前記各処理端末がアクセス時に格納している画像解析処理用ソフトウェアについての環境情報を全処理端末に亘って蓄積する環境情報データベースと、
画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群を蓄積し、各種画像解析処理用ソフトウェアを提供可能にするソフトウェアデータベースと、
前記複数の処理端末と公衆通信回線を通じて通信可能に接続するとともに、前記症例データベース、前記環境情報データベース、並びに前記ソフトウェアデータベースのそれぞれと通信可能に接続した画像処理センターのホストコンピュータとを、
少なくとも含む遠隔画像解析システムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記処理端末からの要求に対し、提供可能な画像処理項目を前記入出力手段に表示し少なくとも提供を希望する画像処理項目の選択を促す、ガイダンス手段と、
該ガイダンス手段からの案内に沿って選択された前記画像解析処理項目と前記環境情報データベース手段からの該処理端末に関する環境情報に基づいて、前記ソフトウェアデータベース手段から該画像解析処理項目の実行に必要とされるコマンド群を含む画像解析処理用ソフトウェアを少なくとも選択するソフトウェア選択手段と、
前記処理端末より要求された画像解析処理項目にかかる関係症例データを前記症例データベースから抽出する症例抽出手段と、
前記症例抽出手段により抽出された関係症例データについて、症例データ項目毎の平均値と標準偏差を算出する、統計処理手段と、
該算出された平均値に最も近似する1又は複数の症例データを前記症例データベースから検索し、該症例データの該患者名が特定不可能となるように匿名化処理を施して、代表症例データとして導出する代表症例データ導出手段と、
該選択された画像解析処理用ソフトウェアを要求のあった処理端末に対し送信しインストール処理を実行させるとともに、前記代表症例データを少なくとも含む読影時に標準サンプルデータとして活用するための情報を要求のあった処理端末に対し送信しダウンロード処理を実行させる環境調整手段をさらに含み、
各処理端末と同一構内で撮影された患者の画像データを公衆通信回線を通じて構外に転送すること無しに、各処理端末において画像解析処理を実行可能としたことを特徴とする、遠隔画像解析システム。 - 前記ホストコンピュータには、要求のあった処理端末に対し送信するコマンド群を含むソフトウェア及びそのソフトウェアの実行に必要とされる情報に応じて、サービス料を見積、請求および決済を実行する課金手段をさらに備えていることを特徴とする、請求項1記載の遠隔画像解析システム。
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