JP4659664B2 - センサ素子劣化判定装置およびセンサ素子劣化判定方法 - Google Patents

センサ素子劣化判定装置およびセンサ素子劣化判定方法 Download PDF

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本発明は、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置およびセンサ素子劣化判定方法に関する。
従来より、第1測定室、第1酸素イオンポンプセル、第2測定室、第2酸素イオンポンプセル、基準酸素室、酸素分圧検知セルを備えるガスセンサ素子が知られている。
そして、このようなガスセンサ素子の状態を判定する装置としては、ガスセンサ素子を構成する各種セルに流れる電流値や、セルから出力される電圧値、セルのインピーダンスなどを測定し、これらの測定結果が許容範囲内にあるか否かに基づいて、ガスセンサ素子の故障状態を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特開平11−014589号公報 国際公開第03/083465号パンフレット
しかし、上記従来の装置においては、ガスセンサ素子の各種状態のうち、断線やショート等の致命的な故障状態を判定することはできるが、セルの感度が悪くなる等のガスセンサ素子の劣化状態までは判定できないという問題点があった。
つまり、致命的な故障状態に到ったガスセンサ素子においては、各種セルの電流値、電圧値、インピーダンス等の値が、正常状態のガスセンサ素子とは明らかに異なる範囲の数値を示す。このことから、上記従来の装置を用いることで、ガスセンサ素子の故障状態を判定することは可能である。
これに対して、劣化状態のガスセンサ素子においては、各種セルの電流値、電圧値、インピーダンス等の値が、正常状態のガスセンサ素子と略同様の範囲に含まれる数値を示すことから、上記の各値に基づいて正常状態と劣化状態とを区別することは難しく、上記従来の装置では、ガスセンサ素子の劣化状態を判定することは困難であった。
なお、劣化状態のガスセンサ素子は、正常状態のガスセンサ素子と比べてガス検知特性が変化するため、正常状態のガスセンサ素子と同様のガス検知結果を得ることができず、ガス検知精度が低下する虞がある。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、各種セルを備えるガスセンサ素子における劣化状態を判定できるセンサ素子劣化判定装置およびセンサ素子劣化判定方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、一対の第一多孔質電極の一方が第1測定室に配置されるとともに一対の第一多孔質電極の他方が第1測定室の外かつ第2測定室の外かつ基準酸素室の外に配置されて、第1測定室に導入された測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、一対の第二多孔質電極のうち一方が第2測定室に配置されるとともに一対の第二多孔質電極の他方が基準酸素室に配置されて、第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、一対の検知用多孔質電極の一方が第1測定室に配置され、他方の電極が基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置であって、酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、ガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出手段と、酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断し、酸素分圧制御状態が正常範囲である場合にはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、酸素分圧制御状態が正常範囲を逸脱する場合にはガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定手段と、を備え、酸素分圧制御状態検出手段は、予め定められた判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流オフセット値として検出し、劣化判定手段は、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められたオフセット値用劣化判定閾値と第2ポンプ電流オフセット値とを比較し、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とするセンサ素子劣化判定装置である。
また、上記目的を達成するためになされた請求項7に記載の発明方法は、第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、一対の第一多孔質電極の一方が第1測定室に配置されるとともに一対の第一多孔質電極の他方が第1測定室の外かつ第2測定室の外かつ基準酸素室の外に配置されて、第1測定室に導入された測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、一対の第二多孔質電極のうち一方が第2測定室に配置されるとともに一対の第二多孔質電極の他方が基準酸素室に配置されて、第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、一対の検知用多孔質電極の一方が第1測定室に配置され、他方の電極が基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定方法であって、酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、ガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出工程と、酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲である場合にはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、酸素分圧制御状態が正常範囲を逸脱する場合にはガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定工程と、を有し、酸素分圧制御状態検出工程では、予め定められた判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流オフセット値として検出し、劣化判定工程では、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められたオフセット値用劣化判定閾値と第2ポンプ電流オフセット値とを比較し、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とするセンサ素子劣化判定方法である。
まず、判定対象となるガスセンサ素子は、酸素分圧検知セルに対する通電電流の大きさに応じて基準酸素室の酸素分圧(換言すれば、基準酸素分圧)を設定可能な構成であり、また、このガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧を目標値に制御できる構成である。
このようなガスセンサ素子は、各セルが適正に動作できる正常状態であれば、第1測定室における酸素分圧を適切に目標値に制御できるが、いずれかのセルが正常に動作できない劣化状態になると、第1測定室における酸素分圧を目標値に制御できない状態に陥ることがある。
つまり、正常状態のガスセンサ素子と劣化状態のガスセンサ素子とでは、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態が、それぞれ異なる状態(正常範囲、または正常範囲を逸脱した範囲のいずれか)を示す。このことから、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態に基づいて、ガスセンサ素子が劣化状態であるか否かを判断することができる。
なお、ここでの通電状態とは、例えば、電流値の大きさや単位時間当たりの通電量などの状態を含む概念である。
そして、本発明のセンサ素子劣化状態判定装置およびセンサ素子劣化判定方法では、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態を検出して、検出した酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断することで、ガスセンサ素子が正常状態であるか劣化状態であるかを判定している。
このように酸素分圧制御状態を用いて判定を行うことで、ガスセンサ素子が、第1測定室における酸素分圧を適正に制御できる正常状態であるか、第1測定室における酸素分圧を適正に制御できない劣化状態であるか、を適切に判定することができる。
よって、本発明のセンサ素子劣化判定装置およびセンサ素子劣化判定方法によれば、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定することが出来る。
そして、本発明のセンサ素子劣化判定装置においては、酸素分圧制御状態検出手段は、予め定められた判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流オフセット値として検出し、劣化判定手段は、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められたオフセット値用劣化判定閾値と第2ポンプ電流オフセット値とを比較し、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とする構成を採っている。
判定対象のガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧を目標値に制御できる構成である。また、ガスセンサ素子は、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して第2測定室に導入される構成であるため、第2測定室の酸素分圧が第1測定室の酸素分圧に応じて定められる構成である。
そして、第2ポンプ電流オフセット値は、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値であることから、第2測定室の酸素分圧に応じた値を示すと共に、第1測定室の酸素分圧に応じた値を示す。
つまり、酸素分圧検知セルに通電される判定用電流に対する第2ポンプ電流オフセット値の変化状態は、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態が反映されるものである。
なお、第2ポンプ電流オフセット値は、第2測定室の酸素分圧が高くなるほど大きい値を示し、第2測定室の酸素分圧が低くなるほど小さい値を示す。このことから、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するためのオフセット値用劣化判定閾値を定めておき、第2ポンプ電流オフセット値とオフセット値用劣化判定閾値とを比較することで、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定できる。
つまり、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定することができ、第2ポンプ電流オフセット値がオフセット値用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定できる。
そして、本発明においては、酸素分圧制御状態検出手段が、判定用電流に対する第2ポンプ電流オフセット値を検出し、劣化判定手段が、オフセット値用劣化判定閾値と第2ポンプ電流オフセット値とを比較してガスセンサ素子が正常状態であるか劣化状態であるか判定する。
よって、本発明のセンサ素子劣化判定装置は、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定することが出来る。
なお、オフセット値用劣化判定閾値は、例えば、実際のガスセンサ素子を用いた測定結果に基づいて定めることができる。一例としては、未使用状態のガスセンサ素子を用いて、判定用電流を酸素分圧検知セルに通電したときの第2ポンプ電流オフセット値を測定し、そのときの第2ポンプ電流オフセット値に対して所定の劣化係数(1未満の値。例えば、0.9など。)を乗じて得られる値を、オフセット値用劣化判定閾値とすることができる。
そして、第2ポンプ電流オフセット値を検出する上述のセンサ素子劣化判定装置においては、請求項2に記載のように、ガスセンサ素子が、酸素分圧検知セルへの通電電流が予め定められた酸素基準生成用電流であるときに基準酸素室が前記基準酸素分圧雰囲気に制御される構成であり、判定用電流が酸素基準生成用電流と同じ電流値であること、を特徴とする構成を採ることができる。
このように、判定用電流を酸素基準生成用電流と同じ電流値とすることで、特定ガス検出状態から劣化判定状態に移行するにあたり、酸素分圧検知セルへの通電電流を設定変更する必要が無くなる。
これにより、酸素分圧検知セルへの通電電流を設定変更する手間を省略することができ、劣化判定に伴う煩雑さを軽減できる。
また、第2ポンプ電流オフセット値を検出する上述のセンサ素子劣化判定装置においては、請求項3に記載のように、特定ガスはNOxガスであり、第2酸素イオンポンプセルへの印加電圧を、特定ガスは解離できず、酸素は解離できる劣化判定用電圧値に設定する劣化判定用電圧設定手段を備え、酸素分圧制御状態検出手段は、劣化判定用電圧設定手段により第2酸素イオンポンプセルへの印加電圧が劣化判定用電圧値に設定された状態で、第2ポンプ電流オフセット値を検出すること、を特徴とする構成を採ることができる。
このように、第2酸素イオンポンプセルへの印加電圧を劣化判定用電圧値に設定することで、第2酸素イオンポンプセルは、特定ガス(NOxガス)の解離が不可能で、酸素の解離が可能な状態となる。つまり、第2酸素イオンポンプセルがこのような状態であれば、第2測定室に特定ガス(NOxガス)が存在する場合であっても、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流は、特定ガス(NOxガス)の影響を受けることなく、第2測定室の酸素分圧に応じた値となる。
よって、本発明によれば、特定ガス(NOxガス)の影響によって第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値が変動することを防止でき、第2ポンプ電流オフセット値を精度良く検出できることから、劣化判定精度を向上できる。
なお、劣化判定用電圧値は、特定ガスを解離できる電圧値(検出用電圧値)よりも小さい電圧値となる。
次に、上記目的を達成するためになされた請求項4に記載の発明は、第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、一対の第一多孔質電極の一方が第1測定室に配置されるとともに一対の第一多孔質電極の他方が第1測定室の外かつ第2測定室の外かつ基準酸素室の外に配置されて、第1測定室に導入された測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、一対の第二多孔質電極のうち一方が第2測定室に配置されるとともに一対の第二多孔質電極の他方が基準酸素室に配置されて、第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、一対の検知用多孔質電極の一方が第1測定室に配置され、他方の電極が基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置であって、酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、ガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出手段と、酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断し、酸素分圧制御状態が正常範囲である場合にはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、酸素分圧制御状態が正常範囲を逸脱する場合にはガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定手段と、を備え、酸素分圧制御状態検出手段は、予め定められた第1判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第1オフセット値として検出すると共に、予め定められた第2判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第2オフセット値として検出して、第2ポンプ電流第1オフセット値と第2ポンプ電流第2オフセット値との差分であるオフセット変化量を検出し、劣化判定手段は、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた変化量用劣化判定閾値とオフセット変化量とを比較し、オフセット変化量が変化量用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、オフセット変化量が変化量用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とするセンサ素子劣化判定装置である。
また、上記目的を達成するためになされた請求項8に記載の発明方法は、第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、一対の第一多孔質電極の一方が第1測定室に配置されるとともに一対の第一多孔質電極の他方が第1測定室の外かつ第2測定室の外かつ基準酸素室の外に配置されて、第1測定室に導入された測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、一対の第二多孔質電極のうち一方が第2測定室に配置されるとともに一対の第二多孔質電極の他方が基準酸素室に配置されて、第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、一対の検知用多孔質電極の一方が第1測定室に配置され、他方の電極が基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定方法であって、酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、ガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出工程と、酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲である場合にはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、酸素分圧制御状態が正常範囲を逸脱する場合にはガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定工程と、を有し、酸素分圧制御状態検出工程では、予め定められた第1判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第1オフセット値として検出すると共に、予め定められた第2判定用電流を酸素分圧検知セルに通電した時に、第2測定室の酸素分圧に応じて第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第2オフセット値として検出して、第2ポンプ電流第1オフセット値と第2ポンプ電流第2オフセット値との差分であるオフセット変化量を検出し、劣化判定工程では、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた変化量用劣化判定閾値とオフセット変化量とを比較し、オフセット変化量が変化量用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、オフセット変化量が変化量用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とするセンサ素子劣化判定方法である。
上述したとおり、酸素分圧検知セルに通電される判定用電流に対する第2ポンプ電流オフセット値の変化状態は、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態が反映されるものである。
そして、本発明では、酸素分圧制御状態検出手段が、第1判定用電流および第2判定用電流をそれぞれ酸素分圧検知セルに通電したときに、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値として第2ポンプ電流第1オフセット値および第2ポンプ電流第2オフセット値をそれぞれ検出して、第2ポンプ電流第1オフセット値と第2ポンプ電流第2オフセット値との差分であるオフセット変化量を検出する。
このオフセット変化量は、判定用電流の変化量に対する第2ポンプ電流オフセット値の変化量であり、酸素分圧検知セルへの通電状態に対する第1測定室における酸素分圧制御状態が反映されるものである。
なお、オフセット変化量は、判定用電流の変化量に対応した第2測定室における酸素分圧の変化量が大きくなるほど大きい値を示し、第2測定室における酸素分圧の変化量が小さくなるほど小さい値を示す。このため、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するための変化量用劣化判定閾値を定めておき、オフセット変化量と変化量用劣化判定閾値とを比較することで、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定できる。
つまり、オフセット変化量が変化量用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定でき、オフセット変化量が変化量用劣化判定閾値よりも小さいときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定できる。
そして、本発明においては、酸素分圧制御状態検出手段がオフセット変化量を検出し、劣化判定手段が、変化量用劣化判定閾値とオフセット変化量とを比較してガスセンサ素子が正常状態であるか劣化状態であるか判定する。
よって、本発明のセンサ素子劣化判定装置は、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定することが出来る。
なお、変化量用劣化判定閾値は、例えば、実際のガスセンサ素子を用いた測定結果に基づいて定めることができる。一例としては、未使用状態のガスセンサ素子を用いて、オフセット変化量を測定し、そのときのオフセット変化量に対して所定の劣化係数(1未満の値。例えば、0.9など。)を乗じて得られる値を、変化量用劣化判定閾値とすることができる。
そして、オフセット変化量を検出する上述のセンサ素子劣化判定装置においては、請求項5に記載のように、ガスセンサ素子が、酸素分圧検知セルへの通電電流が予め定められた酸素基準生成用電流であるときに、基準酸素室が基準酸素分圧雰囲気に制御される構成であり、第1判定用電流および第2判定用電流の各電流値が、酸素基準生成用電流の電流値以下となること、を特徴とする構成を採ることができる。
つまり、ガスセンサ素子において、基準酸素室から酸素を汲み出す手段が存在しない場合には、劣化判定時(第1判定用電流および第2判定用電流の通電時)に基準酸素室の酸素分圧が上昇すると、劣化判定状態から特定ガス検知状態に移行するにあたり、基準酸素室の酸素分圧を目標値まで低下させるための時間が長くなる虞がある。
これに対して、本発明のように、第1判定用電流および第2判定用電流の電流値を酸素基準生成用電流の電流値以下とすることで、劣化判定時(第1判定用電流および第2判定用電流の通電時)に、酸素分圧検知セルが基準酸素室に対して酸素を過剰に汲み込んでしまうのを防止できる。そして、ガスセンサ素子は酸素分圧検知セルによる酸素の汲み入れ可能な構成である。
このため、本発明は、劣化判定状態から特定ガス検知状態に移行するにあたり、酸素分圧検知セルが酸素の汲み入れ動作を行うことで、基準酸素室の酸素分圧を目標値まで上昇させるための時間を短縮できる。
よって、本発明によれば、劣化判定状態から特定ガス検出状態に移行する際の時間を短縮できる。
なお、第1判定用電流または第2判定用電流のいずれか一方を酸素基準生成用電流と同じ電流値としてもよい。
たとえば、第1判定用電流を酸素基準生成用電流と同じ電流値とすると、特定ガス検出状態から劣化判定状態(特に、第2ポンプ電流第1オフセット値を検出する状態)に移行するにあたり、酸素分圧検知セルへの通電電流を設定変更する必要が無くなる。これにより、酸素分圧検知セルへの通電電流を設定変更する手間を省略することができ、劣化判定に伴う煩雑さを軽減できる。よって、このような構成を採ることで、特定ガス検出状態から劣化判定状態(特に、第2ポンプ電流第1オフセット値を検出する状態)に移行する際の煩雑さを軽減できる。
次に、上記目的を達成するためになされた請求項6に記載の発明は、第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、一対の第一多孔質電極の一方が第1測定室に配置されるとともに一対の第一多孔質電極の他方が第1測定室の外かつ第2測定室の外かつ基準酸素室の外に配置されて、第1測定室に導入された測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、一対の第二多孔質電極のうち一方が第2測定室に配置されるとともに一対の第二多孔質電極の他方が基準酸素室に配置されて、第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、一対の検知用多孔質電極の一方が第1測定室に配置され、他方の電極が基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置であって、酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、ガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、第1酸素イオンポンプセルによる酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させるとともに、酸素分圧検知セルへの通電を停止させ、その後、通電停止時の酸素分圧検知セルに発生する通電停止時電圧値を検出し、通電停止時電圧値に基づいて第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出手段と、酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断し、酸素分圧制御状態が正常範囲である場合にはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、酸素分圧制御状態が正常範囲を逸脱する場合にはガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定手段と、を備え、劣化判定手段は、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた電圧用劣化判定閾値と通電停止時電圧値とを比較し、通電停止時電圧値が電圧用劣化判定閾値未満であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、通電停止時電圧値が電圧用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とするセンサ素子劣化判定装置である。
また、上記目的を達成するためになされた請求項9に記載の発明方法は、第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、一対の第一多孔質電極の一方が第1測定室に配置されるとともに一対の第一多孔質電極の他方が第1測定室の外かつ第2測定室の外かつ基準酸素室の外に配置されて、第1測定室に導入された測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、一対の第二多孔質電極のうち一方が第2測定室に配置されるとともに一対の第二多孔質電極の他方が基準酸素室に配置されて、第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、一対の検知用多孔質電極の一方が第1測定室に配置され、他方の電極が基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定方法であって、酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、ガスセンサ素子は、基準酸素室の基準酸素分圧を基準として第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、第1酸素イオンポンプセルによる酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させるとともに、酸素分圧検知セルへの通電を停止させ、その後、通電停止時の酸素分圧検知セルに発生する通電停止時電圧値を検出し、通電停止時電圧値に基づいて第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出工程と、酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲である場合にはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、酸素分圧制御状態が正常範囲を逸脱する場合にはガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定工程と、を有し、劣化判定工程では、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた電圧用劣化判定閾値と通電停止時電圧値とを比較し、通電停止時電圧値が電圧用劣化判定閾値未満であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定し、通電停止時電圧値が電圧用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、を特徴とするセンサ素子劣化判定方法である。
判定対象となるガスセンサ素子においては、基準酸素室を基準酸素分圧雰囲気に設定するために酸素分圧検知セルへの通電が行われるが、このように電流を通電している場合には、通電経路での抵抗成分による電圧降下の影響により、第1測定室の酸素分圧を正確には検出できない虞がある。
これに対して、本発明のように、酸素分圧検知セルへの通電を停止させることで、通電経路での電圧降下の影響を抑制できるため、第1測定室の酸素分圧を精度良く検出することが可能となる。
そして、酸素分圧制御状態検出手段は、第1酸素イオンポンプセルによる酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させた後で、酸素分圧検知セルの通電停止時電圧値を検出している。このことから、本発明の酸素分圧制御状態検出手段にて検出される酸素分圧検知セルの通電停止時電圧値は、通電停止直前における第1測定室の酸素分圧制御状態が反映されるものである。したがって、酸素分圧検知セルの通電停止時電圧値は、第1測定室の酸素分圧に応じた値を示す。
なお、酸素分圧検知セルの通電停止時電圧値は、第1測定室の酸素分圧が高くなるほど小さい値を示し、第1測定室の酸素分圧が低くなるほど大きい値を示す。このことから、ガスセンサ素子の劣化状態を判定するための電圧用劣化判定閾値を定めておき、通電停止時電圧値と電圧用劣化判定閾値とを比較することで、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定できる。
つまり、通電停止時電圧値が電圧用劣化判定閾値未満であるときにはガスセンサ素子が正常状態であると判定することができ、通電停止時電圧値が電圧用劣化判定閾値以上であるときにはガスセンサ素子が劣化状態であると判定することができる。
そして、本発明においては、酸素分圧制御状態検出手段が、酸素分圧検知セルの通電停止時電圧値を検出し、劣化判定手段が、通電停止時電圧値と電圧用劣化判定閾値とを比較してガスセンサ素子が正常状態であるか劣化状態であるか判定する。
よって、本発明のセンサ素子劣化判定装置は、ガスセンサ素子が第1測定室における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定することが出来る。
なお、電圧用劣化判定閾値は、例えば、実際のガスセンサ素子を用いた測定結果に基づいて定めることができる。一例としては、未使用状態のガスセンサ素子を用いて、基準酸素室を基準酸素分圧雰囲気に設定した直後に、酸素分圧検知セルの通電停止時電圧値を測定し、そのときの通電停止時電圧値を、電圧用劣化判定閾値とすることができる。
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用されたガスセンサ制御装置190を備えるガス検出装置1の概略構成を示す構成図である。
ガス検出装置1は、ガスセンサ制御装置190と、NOxガスセンサ素子10と、を備えており、自動車の内燃機関やボイラ等の各種燃焼機器の排気ガス中の特定ガス(本実施形態では、NOx)を検出する用途などに用いられる。
ガスセンサ制御装置190は、中央演算処理装置(CPU)、RAM、ROM、信号入出力部等を備えるマイクロコンピュータを主要部として構成されている。そして、ガスセンサ制御装置190は、NOxガスセンサ素子10を駆動制御する処理やNOxガスセンサ素子10による検出信号に基づき排気ガス中の特定ガスを検出する処理や、NOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定するセンサ診断処理(On Board Diagnosis処理(OBD処理))などを実行する。
なお、図1では、NOxガスセンサ素子10については、内部構造を示す断面図として記載している。以下の説明では、図1に示すNOxガスセンサ素子10のうち左側を先端側として、右側を後端側として説明する。また、図1では、NOxガスセンサ素子10のうち先端側部分における内部構成を示しており、後端部分は図示を省略している。
まず、NOxガスセンサ素子10について説明する。
NOxガスセンサ素子10は、第1ポンプセル111,酸素分圧検知セル112,第2ポンプセル113を、アルミナを主体とする絶縁層114,115を介して積層した構造を有する。また、NOxガスセンサ素子10においては、第2ポンプセル113側に、ヒータ部180が積層されている。
このうち、第1ポンプセル111は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第1固体電解質層131と、第1固体電解質層131を挟み込むように配置された第1ポンプ用第1電極135と第1ポンプ用第2電極137とからなる第1多孔質電極121とを備えて形成されている。なお、第1ポンプ用第1電極135および第1ポンプ用第2電極137は、白金、白金合金、白金とセラミックス(例えば、固体電解質体)を含むサーメットなどで形成されており、それぞれの表面には、多孔質体からなる保護層122が形成されている。
酸素分圧検知セル112は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる検知用固体電解質層151と、検知用固体電解質層151を挟み込むように配置された検知用電極155と基準用電極157とからなる検知用多孔質電極123とを備えて形成されている。なお、検知用電極155および基準用電極157は、白金、白金合金、白金とセラミックス(例えば、固体電解質体)を含むサーメットなどで形成されている。
第2ポンプセル113は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアからなる第2固体電解質層141と、第2固体電解質層141の表面のうち絶縁層115に面する表面に配置された第2ポンプ用第1電極145および第2ポンプ用第2電極147からなる第2多孔質電極125とを備えて形成されている。
なお、第2ポンプ用第1電極145、第2ポンプ用第2電極147は、白金、白金合金、白金とセラミックス(例えば、固体電解質体)を含むサーメットなどで形成されている。
そして、NOxガスセンサ素子10の内部には、測定対象ガスが導入される第1測定室159が形成されている。第1測定室159には、第1ポンプセル111と酸素分圧検知セル112との間に配置された第1拡散抵抗体116を介して、外部から測定対象ガスが導入される。
第1拡散抵抗体116は、多孔質体で構成されており、NOxガスセンサ素子10のうち先端側開口部から第1測定室159に至る測定対象ガスの導入経路14に配置されて、第1測定室159への単位時間あたりの測定対象ガスの導入量(通過量)を制限している。
なお、導入経路14は、第1ポンプセル111および酸素分圧検知セル112に包囲される空間のうち、第1測定室159よりも先端側(図における左側)の領域である。また、第1ポンプセル111の第1ポンプ用第1電極135(詳細には、保護層122で覆われた第1ポンプ用第1電極135)、および酸素分圧検知セル112の検知用電極155は、第1測定室159に面するように配置されている。
また、第1測定室159の後端側(図における右側)には、多孔質体からなる第2拡散抵抗体117が備えられており、第2ポンプ用第1電極145と第2拡散抵抗体117との間には、第2測定室161が形成されている。なお、第2測定室161は、酸素分圧検知セル112を積層方向に貫通する状態で形成される。
さらに、NOxガスセンサ素子10の内部のうち、酸素分圧検知セル112の検知用固体電解質層151と第2ポンプセル113の第2固体電解質層141との間には、第2測定室161の他に基準酸素室118が形成されている。なお、第2測定室161、基準酸素室118は、この順に後端側から先端側にかけて第2ポンプセル113に沿って形成されている。また、基準酸素室118は、酸素分圧検知セル112の検知用固体電解質層151、第2ポンプセル113の第2固体電解質層141および絶縁層115によって包囲されている。これにより、基準酸素室118を、所定の酸素分圧雰囲気(濃度検知の基準となる酸素分圧雰囲気)に設定することができる。
そして、酸素分圧検知セル112の基準用電極157と、第2ポンプセル113の第2ポンプ用第2電極147とが、基準酸素室118に面するように配置されている。
ヒータ部180は、例えばアルミナ等の絶縁性セラミックスからなるシート状の絶縁層171,173を積層することにより構成されている。そして、このヒータ部180は、各絶縁層171,173の間に、Ptを主体とするヒータ175を備えている。
このように構成されたNOxガスセンサ素子10は、第1ポンプセル111により第1測定室159の内部に存在する酸素のポンピング(汲み出し、汲み入れ)が可能であり、酸素分圧検知セル112により、酸素濃度(酸素分圧)を一定に制御された基準酸素室118と第1測定室159との酸素濃度差(酸素分圧差)、つまり第1測定室159の内部の酸素濃度(酸素分圧)を測定可能である。
なお、このNOxガスセンサ素子10は、別途備えられるガスセンサ制御装置190により駆動されるものであり、ガスセンサ制御装置190がヒータ175への印加電圧(ヒータ印加電圧Vh)を制御(換言すれば、ヒータ175を駆動制御)することにより、各セル(第1ポンプセル111、第2ポンプセル113、酸素分圧検知セル112)を活性化温度まで加熱する。
そして、ガスセンサ制御装置190は、ヒータ175を駆動制御してNOxガスセンサ素子10を活性化温度(例えば750℃)まで加熱し、この状態で、酸素分圧検知セル112の両端電圧として検出する検出電圧値Vsが予め設定された一定電圧(例えば425mV)となるように、第1ポンプセル111に流れる第1ポンプ電流Ip1を制御する。
なお、ガスセンサ制御装置190は、第1測定室159の酸素を基準用電極157にくみ出すための微小な自己生成電流Icpを、酸素分圧検知セル112に対して流すことで、基準酸素室118を内部酸素基準源として機能させている。このときの自己生成電流Icpの電流値(酸素基準生成用電流値)は、酸素分圧検知セル112の酸素の汲み入れによって、基準酸素室118の酸素分圧(酸素濃度)が目標値(基準酸素分圧)に制御されるように予め定められている。
また、ガスセンサ制御装置190は、第1ポンプ電流Ip1を制御すると共に、第2ポンプセル113に対して、予め定められた第2ポンプ電圧Vp2(例えば450mV)を印加する。これにより、第2測定室161では、第2ポンプセル113を構成する第2多孔質電極125の触媒作用によって、NOxが解離(還元)され、その解離により得られた酸素イオンが第2ポンプ用第1電極145と第2ポンプ用第2電極147との間の第2固体電解質層141を移動することにより第2ポンプ電流Ip2が流れる。つまり、第2ポンプセル113は、第2測定室161に存在する特定ガス成分(NOx(窒素酸化物))を解離させて、第2測定室161から基準酸素室118に酸素を汲み出す。
なお、第2測定室161の第2ポンプ用第1電極145で解離された酸素イオン(O2-)は、第2固体電解質層141を介して第2ポンプ用第2電極147に移動し、第2ポンプ用第2電極147において酸素(O2 )として基準酸素室118に放出される。
つまり、ガスセンサ制御装置190は、NOxガスセンサ素子10に接続された状態で、第1ポンプセル111のポンピング動作により第1測定室159の酸素濃度(酸素分圧)を調整し、第2測定室161の酸素濃度(酸素分圧)をNOx検知が可能なNOx検知用濃度に設定して、第2ポンプ電流Ip2の大きさや積分値などに基づいてNOxを検出する処理を行う。
次に、ガスセンサ制御装置190で実行されるセンサ診断処理(On Board Diagnosis処理(OBD処理))の処理内容について説明する。図2に、センサ診断処理の処理内容を表すフローチャートを示す。
センサ診断処理が開始されると、まず、S110(Sはステップを表す)では、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度(大気中と同等の酸素濃度。本実施形態では、20%以上に設定。)であるか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS160に移行し、否定判定する場合にはS120に移行する。
なお、測定対象ガスの酸素濃度は、第1ポンプセル111に流れる第1ポンプ電流Ip1(詳細には、第1測定室159の酸素濃度(酸素分圧)を調整するために流れる第1ポンプ電流Ip1)に基づいて判定することができる。つまり、第1ポンプ電流Ip1の通電状態(電流値、電流積分値、通電方向など)は、測定対象ガスの酸素濃度に応じて変化することから、この第1ポンプ電流Ip1に基づいて測定対象ガス中の酸素濃度を判定することができる。
そして、本実施形態のガスセンサ制御装置190は、内部処理として別途実行される酸素濃度判定処理において、第1測定室159の酸素濃度を調整するために第1ポンプセル111に流れる第1ポンプ電流Ip1を検出し、検出した第1ポンプ電流Ip1の通電状態(電流値や通電方向など)に基づいて、測定対象ガスの酸素濃度を判定している。
このため、S110では、酸素濃度判定処理での判定結果(測定対象ガスの酸素濃度)を読み込み、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲(本実施形態では、20%以上の範囲)に含まれるか否かを判断し、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲に含まれる場合には肯定判定し、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲を逸脱する場合には否定判定する。
なお、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲となる測定対象ガスは、NOxをほとんど含んでいない状態となることから、S110で肯定判定される場合には、測定対象ガスにはNOxがほとんど含まれておらず、第1測定室159および第2測定室161にNOxが存在しない状態となる。
S110で否定判定されてS120に移行すると、S120では、第2ポンプセル113に印加する第2ポンプ電圧Vp2の電圧値を、NOxの解離が可能なNOx解離用電圧値(例えば、450[mV])から、NOxの解離は不可能であるが、酸素の解離が可能な酸素解離用電圧値(本実施形態では、250[mV])に設定する処理を実行する。
なお、酸素解離用電圧値は、例えば、250[mV]〜350[mV]の範囲内におけるいずれかの数値を設定することができる。
そして、電圧値変更前は、第2測定室161では、第2ポンプセル113を構成する第2多孔質電極125の触媒作用によって、NOxおよび酸素(O2 )が解離(還元)される状態となるのに対して、電圧値変更後は、酸素(O2 )が解離(還元)されるものの、NOxは解離されない状態となる。
つまり、電圧値変更後は、酸素(O2 )の解離により得られた酸素イオンが移動することで第2ポンプ電流Ip2が流れることになり、このときの第2ポンプ電流Ip2は、第2測定室161の特定ガス濃度(NOx濃度)に応じた電流値ではなく、第2測定室161の酸素濃度(酸素分圧)に応じた電流値を示す。
なお、電圧変更直後は、変更前にNOxの解離により得られた酸素イオンの影響により、第2ポンプ電流Ip2が大きくなることがある。そこで、次のS130〜S150での処理を実行して、第2ポンプ電流Ip2が安定化するまで一定時間待機することで、NOxの影響を低減することができる。
まず、S130では、経過時間を計測するためのタイマ処理を開始する。
続くS140では、タイマ処理による時間計測の開始時点から安定化待機時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS150に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで待機する。
なお、本実施形態では、第2ポンプ電圧Vp2を変更した後、第2ポンプ電流Ip2が安定するまでの安定化待機時間として、1.0[sec]が設定されている。
S140で肯定判定されてS150に移行すると、S150では、経過時間を計測するタイマ処理を停止する。
S110で肯定判定されるか、あるいはS150の処理が終了すると、S160に移行し、S160では、予め定められたオフセット値用劣化判定閾値Kを所定の記憶装置(内部メモリなど)から読み出す処理を実行する。
なお、オフセット値用劣化判定閾値Kは、後述するS180での判定処理(NOxガスセンサ素子10の劣化判定を行う処理)に用いる判定値であり、実際のNOxガスセンサ素子10を用いた測定結果に基づいて定めることができる。たとえば、未使用状態のNOxガスセンサ素子10を用いて、酸素基準生成用電流値に設定された自己生成電流Icpを酸素分圧検知セル112に通電したときの第2ポンプ電流Ip2の電流値(初期第2ポンプ電流オフセット値αとする)を測定し、この初期第2ポンプ電流オフセット値αに対して所定の劣化係数J(1未満の値。例えば、0.9など。)を乗じて得られる値(=α×J)を、オフセット値用劣化判定閾値K(=α×J)として定めることができる。
次のS170では、第2ポンプセル113に流れる第2ポンプ電流Ip2の電流値を第2ポンプ電流オフセット値β(Ip2オフセット値β)として検出する処理を実行する。
このとき検出される第2ポンプ電流Ip2は、特定ガス(NOx)の濃度に応じた電流値を示すのではなく、第2測定室161の酸素分圧に応じて第2ポンプセル113に流れる電流値となる。
つまり、S110で肯定判定されている場合には、第2測定室161にNOxが存在しない状態であることから、S170で検出する第2ポンプ電流Ip2は、第2測定室161の酸素分圧に応じた電流値を示す。また、S110で否定判定されている場合には、S120において第2ポンプ電圧Vp2を酸素解離用電圧値に設定していることから、特定ガス(NOx)を解離できないため、S170で検出する第2ポンプ電流Ip2は、第2測定室161の酸素分圧に応じた電流値を示す。
このため、第2ポンプ電流オフセット値βは、酸素分圧検知セル112に通電する自己生成電流Icpが酸素基準生成用電流値であるときに第2測定室161の酸素分圧に応じて第2ポンプセル113に流れる電流値となる。
ここで、酸素分圧検知セル112に通電される自己生成電流Icpと第2ポンプ電流オフセット値との相関関係を表す説明図を、図3に示す。
なお、図3では、NOxガスセンサ素子10が正常状態(劣化していない初期状態)であるときの相関関係を実線で示し、NOxガスセンサ素子10が劣化状態(第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態)であるときの相関関係を一点鎖線で示している。また、図3では、縦軸を第2ポンプ電流オフセット値(Ip2オフセット)とし、横軸を自己生成電流Icpとする座標平面において、両者の相関関係を示している。
なお、第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態とは、第1測定室159からの酸素の汲み出しが過剰に実行される状態であり、この場合には、酸素のみならず特定ガス(NOx)までもが第1測定室159から汲み出されてしまう虞がある。
そして、図3によれば、自己生成電流Icpが同一電流値であっても、劣化状態のNOxガスセンサ素子10における第2ポンプ電流オフセット値は、正常状態のNOxガスセンサ素子10における第2ポンプ電流オフセット値に比べて、小さい値となる。このことから、第2ポンプ電流オフセット値(Ip2オフセット)と自己生成電流Icpとの相関関係は、NOxガスセンサ素子10の状態(正常状態、劣化状態)に応じて変化することがわかる。
つまり、自己生成電流Icpとして特定の電流値(判定用電流値)を予め定めておき、その判定用電流を酸素分圧検知セル112に通電したときの第2ポンプ電流オフセット値βを検出して、検出した第2ポンプ電流オフセット値βが正常範囲に含まれるか否かを判断することによって、NOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるかを判定することができる。
次に、図2のフローチャートに戻り、S180では、S160で読み込んだオフセット値用劣化判定閾値KとS170で検出した第2ポンプ電流オフセット値βとを比較し、第2ポンプ電流オフセット値βがオフセット値用劣化判定閾値K以上であるか否かを判定しており、肯定判定する場合にはS190に移行し、否定判定する場合にはS200に移行する。
つまり、S180では、第2ポンプ電流オフセット値βがオフセット値用劣化判定閾値K以上である場合には、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定し、第2ポンプ電流オフセット値βがオフセット値用劣化判定閾値K未満である場合には、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定する。
そして、S180での判定に用いるオフセット値用劣化判定閾値Kは、上述したように、初期第2ポンプ電流オフセット値αと劣化係数Jとの乗算で得られる数値が設定されている。たとえば、劣化係数Jが「0.9」である場合には、検出される第2ポンプ電流オフセット値βが初期第2ポンプ電流オフセット値αの90%以上であれば正常状態と判定され、検出される第2ポンプ電流オフセット値βが初期第2ポンプ電流オフセット値αの90%未満であれば劣化状態と判定される。
劣化係数Jが「0.9」である場合にS180で肯定判定されるNOxガスセンサ素子10については、第1測定室159および第2測定室161の酸素分圧(酸素濃度)の制御誤差が10%以内であると判断でき、制御誤差が10%まで許容される用途においては、NOx検出が不可能な状態(劣化状態)ではなく、NOx検出が可能な状態(正常状態)と判定できる。
なお、劣化係数Jは、「0.9」に限られることはなく、制御誤差の許容範囲に応じた値を適宜設定することで、用途に応じて適切に劣化判定を行うことができる。
S180で肯定判定されてS190に移行すると、S190では、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定すると共に、第2ポンプセル113に印加する第2ポンプ電圧Vp2の電圧値を、NOxの解離が可能なNOx解離用電圧値に設定する処理を実行する。
S190での電圧変更処理は、S110において否定判定されてS120にて変更された第2ポンプ電圧Vp2の電圧値を変更前の電圧値に戻すことを目的としている。そのため、S110において肯定判定された場合には、第2ポンプ電圧Vp2の電圧値は酸素解離用電圧値に変更されておらず、NOx解離用電圧値のままであることから、S190では、第2ポンプ電圧Vp2は変更されずに同一電圧値が維持される状態となる。
つまり、S190での処理が実行されることで、第2ポンプセル113でのガス解離能力は、NOxが解離(還元)できるレベルに設定されることになり、NOxガスセンサ素子10がNOx検出可能な状態に設定される。
なお、ガスセンサ制御装置190は、センサ診断処理とは別の内部処理としてNOx検出処理を実行することで、NOxガスセンサ素子10の第2ポンプ電流Ip2を検出し、検出した第2ポンプ電流Ip2に基づきNOx検出を行う。
S180で否定判定されてS200に移行すると、S200では、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定すると共に、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを表す異常発生信号を、ガスセンサ制御装置190の出力端子(図示省略)から外部機器に対して出力する処理を行う。
そして、異常発生信号を受け取った外部機器は、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを使用者に通知するための処理を行う。具体的な処理としては、例えば、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを示す警告ランプを点灯する処理や、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを示す音声メッセージを出力する処理などを挙げることができる。
S190またはS200が終了すると、本制御処理(センサ診断処理)は終了する。
以上説明したように、本実施形態のガス検出装置1に備えられるガスセンサ制御装置190においては、自己生成電流Icpを酸素分圧検知セル112に通電した時に、第2測定室161の酸素分圧に応じて第2ポンプセル113に流れる電流値を第2ポンプ電流オフセット値βとして検出している。
なお、NOxガスセンサ素子10は、基準酸素室118の基準酸素分圧を基準として第1測定室159の酸素分圧が定められる構成である。また、NOxガスセンサ素子10は、第1測定室159において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた測定対象ガスが第2拡散抵抗体117を介して第2測定室161に導入される構成であるため、第2測定室161の酸素分圧が第1測定室159の酸素分圧に応じて定められる構成である。
そして、第2ポンプ電流オフセット値βは、第2測定室161の酸素分圧に応じて第2ポンプセル113に流れる電流値であることから、第2測定室161の酸素分圧に応じた値を示すと共に、第1測定室159の酸素分圧に応じた値を示す。
つまり、酸素分圧検知セル112に通電される自己生成電流Icpに対する第2ポンプ電流オフセット値βの変化状態は、酸素分圧検知セル112への自己生成電流Icpの通電状態に対する第1測定室159における酸素分圧制御状態が反映されるものである。
なお、第2ポンプ電流オフセット値βは、第2測定室161の酸素分圧が高くなるほど大きい値を示し、第2測定室161の酸素分圧が低くなるほど小さい値を示す。このことから、NOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定するためのオフセット値用劣化判定閾値Kを定めておき、第2ポンプ電流オフセット値βとオフセット値用劣化判定閾値Kとを比較することで、NOxガスセンサ素子10が第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定できる。
そして、ガスセンサ制御装置190は、センサ診断処理でのS170において、自己生成電流Icpに対する第2ポンプ電流オフセット値βを検出し、センサ診断処理でのS180において、オフセット値用劣化判定閾値Kと第2ポンプ電流オフセット値βとを比較してNOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるか判定している。S180では、第2ポンプ電流オフセット値βがオフセット値用劣化判定閾値K以上であるときには、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定し、第2ポンプ電流オフセット値βがオフセット値用劣化判定閾値Kよりも小さいときには、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定する。
つまり、本実施形態のガスセンサ制御装置190は、酸素分圧検知セル112への通電状態に対する第1測定室159における酸素分圧制御状態を検出して、検出した酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断することで、NOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるかを判定している。
このように酸素分圧制御状態を用いて判定を行うことで、NOxガスセンサ素子10が、第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できる正常状態であるか、第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できない劣化状態であるか、を適切に判定することができる。
よって、本実施形態のガスセンサ制御装置190は、NOxガスセンサ素子10が第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるNOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定することが出来る。
また、本実施形態においては、劣化判定を行う時に酸素分圧検知セル112へ通電する自己生成電流Icpの電流値(判定用電流値)と、特定ガス検知時に酸素分圧検知セル112に通電する自己生成電流Icpの電流値(酸素基準生成用電流)とが、それぞれ同じ電流値である。
このように、判定用電流値および酸素基準生成用電流値を同じ電流値とすることで、特定ガス検出状態から劣化判定状態に移行するにあたり、酸素分圧検知セル112への通電電流を設定変更する必要が無くなる。
これにより、センサ診断処理において、酸素分圧検知セル112への通電電流を設定変更するステップを実行する必要がなくなり、このようなステップを実行するための手間を省略することができ、劣化判定に伴う処理を簡略化できる。
また、本実施形態においては、S110にて否定判定されると、S120において、第2ポンプセル113に印加する第2ポンプ電圧Vp2の電圧値を、NOxの解離が可能なNOx解離用電圧値(例えば、450[mV])から、NOxの解離は不可能であるが、酸素の解離が可能な酸素解離用電圧値に設定する処理を実行する。このように第2ポンプ電圧Vp2の電圧値が設定されると、S170では、第2ポンプセル113に印加する第2ポンプ電圧Vp2の電圧値が酸素解離用電圧値に設定された状態で、第2ポンプ電流オフセット値βを検出する処理を実行する。
なお、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度(大気中と同じ酸素濃度)である場合には、測定対象ガスには特定ガス(NOx)がほとんど存在しない状態となるが、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度ではない場合には、測定対象ガスに特定ガス(NOx)が存在する可能性が高くなる。
つまり、本実施形態のガスセンサ制御装置190は、第2ポンプセル113への印加電圧を酸素解離用電圧値(劣化判定用電圧値)に設定することで、第2ポンプセル113は、特定ガスの解離が不可能で、酸素の解離が可能な状態となる。これにより、第2測定室161に特定ガス(NOx)が存在する場合であっても、第2ポンプセル113に流れる電流は、特定ガス(NOx)の影響を受けることなく、第2測定室161の酸素分圧に応じた値となる。
よって、本実施形態によれば、特定ガス(NOx)の影響によって第2ポンプセル113に流れる電流値が変動することを防止でき、第2ポンプ電流オフセット値βを精度良く検出できることから、劣化判定精度を向上できる。
なお、本実施形態においては、センサ診断処理を実行するガスセンサ制御装置190が特許請求の範囲に記載のセンサ素子劣化判定装置に相当し、NOxガスセンサ素子10がガスセンサ素子に相当し、第1ポンプセル111が第1酸素イオンポンプセルに相当し、第2ポンプセル113が第2酸素イオンポンプセルに相当し、酸素分圧検知セル112が酸素分圧検知セルに相当している。また、第1拡散抵抗体116が第1拡散抵抗部に相当し、第2拡散抵抗体117が第2拡散抵抗部に相当している。
さらに、センサ診断処理のS170を実行するガスセンサ制御装置190が酸素分圧制御状態検出手段に相当し、センサ診断処理のS180を実行するガスセンサ制御装置190が劣化判定手段に相当し、センサ診断処理のS120を実行するガスセンサ制御装置190が劣化判定用電圧設定手段に相当している。
以上、本発明の実施形態として、第2ポンプ電流オフセット値βに基づいてNOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定する実施形態(以下、第1実施形態ともいう)について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されることはない。
次に、第2実施形態として、第2ポンプ電流第1オフセット値と第2ポンプ電流第2オフセット値との差分であるオフセット変化量に基づいて、NOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定する実施形態について説明する。
なお、第2実施形態におけるガス検出装置1は、第1実施形態と同様に、ガスセンサ制御装置190およびNOxガスセンサ素子10を備えており、概略構成を示す構成図は図1と同様である。
第2実施形態は、第1実施形態に比べて、ガスセンサ制御装置190で実行されるセンサ診断処理(On Board Diagnosis処理(OBD処理))の処理内容が異なることから、第2実施形態で実行される第2センサ診断処理の処理内容を中心に説明する。
図4に、第2センサ診断処理の処理内容を表すフローチャートを示す。
第2センサ診断処理が開始されると、まず、S310(Sはステップを表す)では、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度(大気中と同等の酸素濃度。本実施形態では、20%以上に設定。)であるか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS360に移行し、否定判定する場合にはS320に移行する。
なお、測定対象ガスの酸素濃度は、第1ポンプセル111に流れる第1ポンプ電流Ip1(詳細には、第1測定室159の酸素濃度(酸素分圧)を調整するために流れる第1ポンプ電流Ip1)に基づいて判定することができる。つまり、第1ポンプ電流Ip1の通電状態(電流値、電流積分値、通電方向など)は、測定対象ガスの酸素濃度に応じて変化することから、この第1ポンプ電流Ip1に基づいて測定対象ガス中の酸素濃度を判定することができる。
そして、本実施形態のガスセンサ制御装置190は、内部処理として別途実行される酸素濃度判定処理において、第1測定室159の酸素濃度を調整するために第1ポンプセル111に流れる第1ポンプ電流Ip1を検出し、検出した第1ポンプ電流Ip1の通電状態(電流値や通電方向など)に基づいて、測定対象ガスの酸素濃度を判定している。
このため、S310では、酸素濃度判定処理での判定結果(測定対象ガスの酸素濃度)を読み込み、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲(本実施形態では、20%以上の範囲)に含まれるか否かを判断し、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲に含まれる場合には肯定判定し、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲を逸脱する場合には否定判定する。
なお、測定対象ガスの酸素濃度が高濃度範囲となる測定対象ガスは、NOxをほとんど含んでいない状態となることから、S310で肯定判定される場合には、測定対象ガスにはNOxがほとんど含まれておらず、第1測定室159および第2測定室161にNOxが存在しない状態となる。
S310で否定判定されてS320に移行すると、S320では、第2ポンプセル113に印加する第2ポンプ電圧Vp2の電圧値を、NOxの解離が可能なNOx解離用電圧値(例えば、450[mV])から、NOxの解離は不可能であるが、酸素の解離が可能な酸素解離用電圧値(本実施形態では、250[mV])に設定する処理を実行する。
なお、酸素解離用電圧値は、例えば、250[mV]〜350[mV]の範囲内におけるいずれかの数値を設定することができる。
そして、電圧値変更前は、第2測定室161では、第2ポンプセル113を構成する第2多孔質電極125の触媒作用によって、NOxおよび酸素(O2 )が解離(還元)される状態となるのに対して、電圧値変更後は、酸素(O2 )が解離(還元)されるものの、NOxは解離されない状態となる。
つまり、電圧値変更後は、酸素(O2 )の解離により得られた酸素イオンが移動することで第2ポンプ電流Ip2が流れることになり、このときの第2ポンプ電流Ip2は、第2測定室161の特定ガス濃度(NOx濃度)に応じた電流値ではなく、第2測定室161の酸素濃度(酸素分圧)に応じた電流値を示す。
なお、電圧変更直後は、変更前にNOxの解離により得られた酸素イオンの影響により、第2ポンプ電流Ip2が大きくなることがある。そこで、次のS330〜S350での処理を実行して、第2ポンプ電流Ip2が安定化するまで一定時間待機することで、NOxの影響を確実に回避する。
まず、S330では、経過時間を計測するためのタイマ処理を開始する。
続くS340では、タイマ処理による時間計測の開始時点から安定化待機時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS350に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで待機する。
なお、本実施形態では、第2ポンプ電圧Vp2を変更した後、第2ポンプ電流Ip2が安定するまでの安定化待機時間として、1.0[sec]が設定されている。
S340で肯定判定されてS350に移行すると、S350では、経過時間を計測するタイマ処理を停止する。
S310で肯定判定されるか、あるいはS350の処理が終了すると、S360に移行し、S360では、第2ポンプセル113に流れる第2ポンプ電流Ip2の電流値を第2ポンプ電流第1オフセット値β1として検出するとともに、酸素分圧検知セル112に通電されている自己生成電流Icpの電流値(以下、第1判定用電流値Icp1ともいう)を検出する処理を実行する。
S360で検出される第2ポンプ電流Ip2は、特定ガス(NOx)の濃度に応じた電流値を示すのではなく、第2測定室161の酸素分圧に応じて第2ポンプセル113に流れる電流値となる。
つまり、S310で肯定判定されている場合には、第2測定室161にNOxが存在しない状態であることから、S360で検出する第2ポンプ電流Ip2は、第2測定室161の酸素分圧に応じた電流値を示す。また、S310で否定判定されている場合には、S320において第2ポンプ電圧Vp2を酸素解離用電圧値に設定していることから、特定ガス(NOx)を解離できないため、S360で検出する第2ポンプ電流Ip2は、第2測定室161の酸素分圧に応じた電流値を示す。
このため、S360で検出される第2ポンプ電流第1オフセット値β1は、酸素分圧検知セル112に通電する自己生成電流Icpが第1判定用電流値Icp1であるときに第2測定室161の酸素分圧に応じて第2ポンプセル113に流れる電流値となる。
また、S360で検出される自己生成電流Icpは、酸素分圧検知セル112の酸素の汲み入れによって、基準酸素室118の酸素分圧(酸素濃度)が目標値(基準酸素分圧)に制御されるように予め定められた酸素基準生成用電流値である。つまり、S360で検出される第1判定用電流値Icp1は、酸素基準生成用電流値である。
次のS370では、酸素分圧検知セル112に通電する自己生成電流Icpの電流値を、酸素基準生成用電流値とは異なる第2判定用電流値Icp2に変更する処理を実行する。なお、第2判定用電流値Icp2は、酸素基準生成用電流値よりも小さい電流値に設定されている。
なお、電流変更直後の基準酸素室118における酸素濃度(酸素分圧)は、電流変更前と比べてほぼ同等であることから、基準酸素室118の酸素濃度が電流変更後の第2判定用電流値Icp2に応じた濃度となるまで待機することが望ましい。そこで、次のS380〜S400での処理を実行して、基準酸素室118の酸素濃度が電流変更後の第2判定用電流値Icp2に応じた濃度となるまで一定時間待機する。
まず、S380では、経過時間を計測するためのタイマ処理を開始する。
続くS390では、タイマ処理による時間計測の開始時点から検出待機時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS400に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで待機する。
なお、本実施形態では、自己生成電流Icpを第2判定用電流値Icp2に変更した後、基準酸素室118の酸素濃度が第2判定用電流値Icp2に応じた濃度となるまでの検出待機時間として、5.0[sec]が設定されている。
S390で肯定判定されてS400に移行すると、S400では、経過時間を計測するタイマ処理を停止する。
S400の処理が終了すると、S410に移行し、S410では、第2ポンプセル113に流れる第2ポンプ電流Ip2の電流値を第2ポンプ電流第2オフセット値β2として検出するとともに、酸素分圧検知セル112に通電されている自己生成電流Icpの電流値(第2判定用電流値Icp2)を検出する処理を実行する。
次のS420では、第2ポンプ電流第1オフセット値β1と第2ポンプ電流第2オフセット値β2との差分値をオフセット変化量ΔIp2(=β1−β2)として演算する処理を行う。また、S430では、第1判定用電流値Icp1と第2判定用電流値Icp2との差分値を判定用電流変化量ΔIcp(=ΔIcp1−ΔIcp2)として演算する処理を行う。
続くS440では、予め定められた変化量用劣化判定閾値Aを所定の記憶装置(内部メモリなど)から読み出す処理を実行する。
なお、変化量用劣化判定閾値Aは、後述するS450での判定処理(NOxガスセンサ素子10の劣化判定を行う処理)に用いる判定値であり、実際のNOxガスセンサ素子10を用いた測定結果に基づいて定めることができる。
たとえば、未使用状態のNOxガスセンサ素子10を用いて、自己生成電流Icpとして第1判定用電流値Icp1および第2判定用電流値Icp2を酸素分圧検知セル112に通電し、それぞれの通電時における第2ポンプ電流Ip2の電流値(第2ポンプ電流第1オフセット値β1および第2ポンプ電流第2オフセット値β2)を測定する。そして、このときの第2ポンプ電流第1オフセット値β1と第2ポンプ電流第2オフセット値β2との差分値(オフセット変化量B)と、このときの第1判定用電流値Icp1と第2判定用電流値Icp2との差分値(判定用電流変化量C)とを算出し、オフセット変化量Bを判定用電流変化量Cで除算して得られる値を、初期オフセット変化量D(=B/C)として算出する。さらに、初期オフセット変化量D(=B/C)に対して所定の劣化係数E(1未満の値。例えば、0.9など。)を乗じて得られる値を、変化量用劣化判定閾値A(=D×E)として定めることができる。
ここで、酸素分圧検知セル112に通電される自己生成電流Icpと第2ポンプ電流オフセット値との相関関係を表すとともに、オフセット変化量ΔIp2および判定用電流変化量ΔIcpについて説明するための説明図を、図5に示す。
なお、図5では、NOxガスセンサ素子10が正常状態(劣化していない初期状態)であるときの相関関係を実線で示し、NOxガスセンサ素子10が劣化状態(第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態)であるときの相関関係を一点鎖線で示している。また、図5では、縦軸を第2ポンプ電流オフセット値(Ip2オフセット)とし、横軸を自己生成電流Icpとする座標平面において、両者の相関関係を示している。
さらに、図5では、第1判定用電流値Icp1および第2判定用電流値Icp2との差分である判定用電流変化量ΔIcpを図示するとともに、初期状態および劣化状態におけるそれぞれのオフセット変化量ΔIp2(初期時ΔIp2、劣化時ΔIp2)を図示している。
なお、第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態とは、第1測定室159からの酸素の汲み出しが過剰に実行される状態であり、この場合には、酸素のみならず特定ガス(NOx)までもが第1測定室159から汲み出されてしまう虞がある。
そして、図5によれば、自己生成電流Icpが同一電流値であっても、劣化状態のNOxガスセンサ素子10における第2ポンプ電流オフセット値は、正常状態のNOxガスセンサ素子10における第2ポンプ電流オフセット値に比べて、小さい値となる。このことから、第2ポンプ電流オフセット値(Ip2オフセット)と自己生成電流Icpとの相関関係は、NOxガスセンサ素子10の状態(正常状態、劣化状態)に応じて変化することがわかる。
さらに、判定用電流変化量ΔIcpが同一であっても、初期状態および劣化状態においては、それぞれのオフセット変化量ΔIp2(初期時ΔIp2、劣化時ΔIp2)が異なる値となり、「初期時ΔIp2>劣化時ΔIp2」という関係となる。つまり、判定用電流変化量ΔIcpとオフセット変化量ΔIp2との相関関係は、NOxガスセンサ素子10の状態(正常状態、劣化状態)に応じて変化することがわかる。
このことから、判定用電流変化量ΔIcpを特定するための2つの判定用電流値(第1判定用電流値Icp1、第2判定用電流値Icp2)を予め定めておき、判定用電流変化量ΔIcpに対するオフセット変化量ΔIp2を検出して、検出したオフセット変化量ΔIp2を判定用電流変化量ΔIcpで除算して得られる値(ΔIp2/ΔIcp)が正常範囲に含まれるか否かを判断することによって、NOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるかを判定することができる。
次に、図4のフローチャートに戻り、S450では、S420で得られたオフセット変化量ΔIp2をS430で得られた判定用電流変化量ΔIcpで除算して得られる値(補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcp)と、S440で読み込んだ変化量用劣化判定閾値Aとを比較し、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが変化量用劣化判定閾値A以上であるか否かを判定しており、肯定判定する場合にはS460に移行し、否定判定する場合にはS500に移行する。
つまり、S450では、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが変化量用劣化判定閾値A以上である場合には、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定し、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが変化量用劣化判定閾値A未満である場合には、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定する。
そして、S450での判定に用いる変化量用劣化判定閾値Aは、上述したように、オフセット変化量Bを判定用電流変化量Cで除算して得られる初期オフセット変化量D(=B/C)に対して劣化係数Eを乗じて得られる値が設定されている。
たとえば、劣化係数Eが「0.9」である場合には、検出される補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが初期オフセット変化量Dの90%以上であれば正常状態と判定され、検出される補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが初期オフセット変化量Dの90%未満であれば劣化状態と判定される。
劣化係数Eが「0.9」である場合にS450で肯定判定されるNOxガスセンサ素子10については、第1測定室159および第2測定室161の酸素分圧(酸素濃度)の制御誤差が10%以内であると判断でき、制御誤差が10%まで許容される用途においては、NOx検出が不可能な状態(劣化状態)ではなく、NOx検出が可能な状態(正常状態)と判定できる。
なお、劣化係数Eは、「0.9」に限られることはなく、制御誤差の許容範囲に応じた値を適宜設定することで、用途に応じて適切に劣化判定を行うことができる。
S450で肯定判定されてS460に移行すると、S460では、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定すると共に、自己生成電流Icpの電流値を第2判定用電流値Icp2から第1判定用電流値Icp1に設定変更する処理を実行する。
S460での電流変更処理は、S370にて変更された自己生成電流Icpを変更前の電流値(第1判定用電流値Icp1、換言すれば、酸素基準生成用電流値)に戻すことを目的としている。つまり、S460での処理が実行されることで、酸素分圧検知セル112の酸素の汲み入れによって、基準酸素室118の酸素分圧(酸素濃度)が目標値(基準酸素分圧)に制御される状態に設定される。
なお、電流変更直後の基準酸素室118における酸素濃度(酸素分圧)は、電流変更前と比べてほぼ同等であることから、基準酸素室118の酸素濃度が電流変更後の第1判定用電流値Icp1(酸素基準生成用電流値)に応じた濃度となるまで待機することが望ましい。そこで、次のS470〜S490での処理を実行して、基準酸素室118の酸素濃度が電流変更後の第1判定用電流値Icp1に応じた濃度となるまで一定時間待機する。
まず、S470では、経過時間を計測するためのタイマ処理を開始する。
続くS480では、タイマ処理による時間計測の開始時点から復帰待機時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS490に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで待機する。
なお、本実施形態では、自己生成電流Icpを第1判定用電流値Icp1に変更した後、基準酸素室118の酸素濃度が第1判定用電流値Icp1に応じた濃度となるまでの復帰待機時間として、1.0[sec]が設定されている。
S480で肯定判定されてS490に移行すると、S490では、経過時間を計測するタイマ処理を停止する。
他方、S450で否定判定されてS500に移行すると、S500では、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定すると共に、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを表す異常発生信号を、ガスセンサ制御装置190の出力端子(図示省略)から外部機器に対して出力する処理を行う。
そして、異常発生信号を受け取った外部機器は、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを使用者に通知するための処理を行う。具体的な処理としては、例えば、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを示す警告ランプを点灯する処理や、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを示す音声メッセージを出力する処理などを挙げることができる。
S490またはS500が終了すると、本制御処理(第2センサ診断処理)は終了する。
以上説明したように、第2実施形態のガス検出装置1に備えられるガスセンサ制御装置190においては、第1判定用電流Icp1および第2判定用電流Icp2をそれぞれ酸素分圧検知セル112に通電したときに、第2ポンプセル113に流れる電流値として第2ポンプ電流第1オフセット値β1および第2ポンプ電流第2オフセット値β2をそれぞれ検出して、第2ポンプ電流第1オフセット値β1と第2ポンプ電流第2オフセット値β2との差分であるオフセット変化量ΔIp2を検出する。
このオフセット変化量ΔIp2は、判定用電流の変化量(判定用電流変化量ΔIcp)に対する第2ポンプ電流オフセット値の変化量であり、酸素分圧検知セル112への通電状態に対する第1測定室159における酸素分圧制御状態が反映されるものである。
なお、オフセット変化量ΔIp2は、判定用電流変化量ΔIcpに対応した第2測定室における酸素分圧の変化量が大きいほど大きい値を示し、第2測定室における酸素分圧の変化量が小さいほど小さい値を示す。
また、オフセット変化量ΔIp2を判定用電流変化量ΔIcpで除算して得られる補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpは、判定用電流変化量ΔIcpが同一値であれば、オフセット変化量ΔIp2に応じて変化する。このため、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpは、判定用電流変化量ΔIcpが同一値となる条件下では、第2測定室161の酸素分圧の変化量が高くなるほど大きい値を示し、第2測定室の酸素分圧の変化量が低くなるほど小さい値を示す。
このため、NOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定するための変化量用劣化判定閾値Aを定めておき、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpと変化量用劣化判定閾値Aとを比較することで、NOxガスセンサ素子10が第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定できる。
つまり、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが変化量用劣化判定閾値A以上であるときには、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定でき、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpが変化量用劣化判定閾値Aよりも小さいときにはNOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定できる。
そして、本実施形態においては、S420にてオフセット変化量ΔIp2を演算し、S430にて判定用電流変化量ΔIcpを演算しており、S450にて、オフセット変化量ΔIp2を判定用電流変化量ΔIcpで除算して補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpを得るとともに、補正オフセット変化量ΔIp2/ΔIcpと変化量用劣化判定閾値Aとを比較して、NOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるか判定する。
よって、第2実施形態のガスセンサ制御装置190は、NOxガスセンサ素子10が第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるNOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定することが出来る。
また、第2実施形態においては、第1判定用電流値Icp1が酸素基準生成用電流に等しい電圧値に設定されており、第2判定用電流値Icp2が酸素基準生成用電流よりも小さい電流値に設定されている。
つまり、NOxガスセンサ素子10において、基準酸素室から酸素を汲み出す手段が存在しない場合には、劣化判定時(第1判定用電流および第2判定用電流の通電時)に基準酸素室118の酸素分圧が上昇すると、劣化判定状態から特定ガス検知状態に移行するにあたり、基準酸素室118の酸素分圧を目標値まで低下させるための時間が長くなる虞がある。
これに対して、第2実施形態のように、第1判定用電流値Icp1が酸素基準生成用電流に等しく設定され、第2判定用電流値Icp2が酸素基準生成用電流よりも小さく設定されることで、劣化判定時(第1判定用電流および第2判定用電流の通電時)に、酸素分圧検知セル112が基準酸素室118に対して酸素を過剰に汲み込んでしまうのを防止できる。
そして、NOxガスセンサ素子10は、酸素分圧検知セル112による酸素の汲み入れ可能な構成である。このため、ガスセンサ制御装置190は、劣化判定状態から特定ガス検知状態に移行するにあたり、酸素分圧検知セル112が酸素の汲み入れ動作を行うことで、基準酸素室118の酸素分圧を目標値まで上昇させるための時間を短縮できる。
よって、第2実施形態のガスセンサ制御装置190によれば、劣化判定状態から特定ガス検出状態に移行する際の時間を短縮できる。
なお、第2実施形態においては、第2センサ診断処理を実行するガスセンサ制御装置190が特許請求の範囲に記載のセンサ素子劣化判定装置に相当し、NOxガスセンサ素子10がガスセンサ素子に相当し、第1ポンプセル111が第1酸素イオンポンプセルに相当し、第2ポンプセル113が第2酸素イオンポンプセルに相当し、酸素分圧検知セル112が酸素分圧検知セルに相当している。また、第1拡散抵抗体116が第1拡散抵抗部に相当し、第2拡散抵抗体117が第2拡散抵抗部に相当している。
また、第2センサ診断処理のS360,S410,S420,S430を実行するガスセンサ制御装置190が酸素分圧制御状態検出手段に相当し、第2センサ診断処理のS450を実行するガスセンサ制御装置190が劣化判定手段に相当している。
なお、第2実施形態ではΔIcpが一定であることから、「ΔIp2/ΔIcp」を算出することなく、オフセット変化量ΔIp2のみに基づいて劣化判定することも可能である。その場合、変化量用劣化判定閾値Aについては、「ΔIp2/ΔIcp」に代わりオフセット変化量ΔIp2を用いて演算した値を設定して劣化判定を行う。
以上、本発明の実施形態として、第2ポンプ電流オフセット値に基づいてNOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定する実施形態(第1実施形態および第2実施形態)について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されることはない。
次に、第3実施形態として、自己生成電流Icpの通電停止時における酸素分圧検知セル112の両端電圧(通電停止時電圧値)に基づいてNOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定する実施形態について説明する。
なお、第3実施形態におけるガス検出装置1は、第1実施形態と同様に、ガスセンサ制御装置190およびNOxガスセンサ素子10を備えており、概略構成を示す構成図は図1と同様である。
第3実施形態は、第1実施形態に比べて、ガスセンサ制御装置190で実行されるセンサ診断処理(On Board Diagnosis処理(OBD処理))の処理内容が異なることから、第3実施形態で実行される第3センサ診断処理の処理内容を中心に説明する。
図6に、第3センサ診断処理の処理内容を表すフローチャートを示す。
第3センサ診断処理が開始されると、まず、S610(Sはステップを表す)では、酸素分圧検知セル112に対する自己生成電流Icpの通電を停止させるとともに、第1ポンプセル111に対する第1ポンプ電流Ip1の制御を停止させる処理を実行する。
なお、第1ポンプセル111に対する第1ポンプ電流Ip1の制御が停止すると、第1測定室159からの酸素のポンピング(汲み出し、汲み入れ)が停止される。このため、第1拡散抵抗体116を介して酸素が導入されるまでの期間は、第1測定室159の酸素分圧(酸素濃度)は、第1ポンプ電流Ip1の制御停止前の状態が維持される。
次のS620では、経過時間を計測するためのタイマ処理を開始する。
続くS630では、タイマ処理による時間計測の開始時点から停止待機時間が経過したか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS640に移行し、否定判定する場合には同ステップを繰り返し実行することで待機する。
なお、本実施形態では、自己生成電流Icpの通電停止および第1ポンプ電流Ip1の制御停止を行った後、酸素分圧検知セル112の両端電圧が安定するまでの停止待機時間として、100[mSec]が設定されている。この停止待機時間は、酸素分圧検知セル112の両端電圧が第1測定室159の酸素濃度に応じた電圧値となるまでの所要時間以上に設定される。
S630で肯定判定されてS640に移行すると、S640では、タイマ処理による時間計測の開始時点からの経過時間が停止許容時間以内であるか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS650に移行し、否定判定する場合にはS700に移行する。
なお、第1ポンプ電流Ip1の制御停止により第1ポンプセル111による酸素のポンピングが停止された後は、第1拡散抵抗体116を介して酸素が導入されると第1測定室159の酸素分圧(酸素濃度)が変化してしまう。このため、NOxガスセンサ素子10が劣化状態(第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態)であるか否かを判定するためには、第1測定室159の酸素分圧(酸素濃度)が変化する前に、劣化判定を行う必要がある。
そこで、第1測定室159の酸素分圧(酸素濃度)が変動しない停止許容時間を定めておき、S640において、停止許容時間の範囲内であるか否かを判定し、停止許容時間内であればガスセンサ素子の劣化判定を行うステップ(S650〜S690)に移行し、停止許容時間を超える場合には劣化判定を行わずに、タイマ停止ステップ(S700)に移行する。なお、本実施形態では、停止許容時間として、500[mSec]が設定されている。
S640で肯定判定されてS650に移行すると、S650では、予め定められた電圧用劣化判定閾値Mを所定の記憶装置(内部メモリなど)から読み出す処理を実行する。
なお、電圧用劣化判定閾値Mは、後述するS670での判定処理(NOxガスセンサ素子10の劣化判定を行う処理)に用いる判定値であり、実際のNOxガスセンサ素子10を用いた測定結果に基づいて定めることができる。
たとえば、未使用状態のNOxガスセンサ素子10を用いて、酸素基準生成用電流値に設定した自己生成電流Icpを酸素分圧検知セル112に通電して、基準酸素室118の酸素分圧(酸素濃度)を目標値(基準酸素分圧)に設定した後、第1ポンプセル111に対する第1ポンプ電流Ip1の制御を停止させると共に、酸素分圧検知セル112への自己生成電流Icpの通電を停止させる。その後、通電停止時の酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧を検出し、検出した両端電圧値を電圧用劣化判定閾値Mとして定めることができる。
本実施形態においては、電圧用劣化判定閾値Mは、423mVに設定されている。なお、本実施形態の電圧用劣化判定閾値Mは、特定ガス検出状態における酸素分圧検知セル112の目標両端電圧値(425mV)に比べて、自己生成電流Icpの通電により生じる線路上の電圧降下分(2〜5mV)を差し引いた値(420〜423mV)に略等しい値に設定されている。
ここで、酸素分圧検知セル112の両端電圧を酸素濃淡起電力Vemfとし、通電経路での電圧降下分を経路降下電圧Vrとすると、ガスセンサ制御装置190が酸素分圧検知セル112の両端電圧として検出する検出電圧値Vskは、詳細には、酸素濃淡起電力Vemfと経路降下電圧Vrとの和になるため、[数1]のように表すことができる。
Figure 0004659664
また、通電経路の抵抗成分による抵抗値を経路抵抗値Ra、センサ素子内部のバルク抵抗成分による抵抗値をバルク抵抗値Rb、三層界面(電極−ジルコニア−酸素)部分の抵抗成分による抵抗値を界面抵抗値Rcとし、酸素分圧検知セル112への通電電流値をIcpとすると、通電経路での電圧降下分を経路降下電圧Vrは、[数2]のように表すことができる。
Figure 0004659664
つまり、これらの数式によれば、通電経路での各抵抗成分(Ra、Rb、Rc)が変化するとガスセンサ制御装置190での検出電圧値Vskが変動することが判る。このため、酸素分圧検知セル112に自己生成電流Icpを通電した状態で第1測定室159の酸素分圧を検出する場合には、通電経路での各抵抗成分(Ra、Rb、Rc)の変化に起因して、検出精度が低下する虞がある。
これに対して、酸素分圧検知セル112への自己生成電流Icpの通電を停止させた状態(Icp=0の状態)であれば、ガスセンサ制御装置190での検出電圧値Vskにおける経路降下電圧Vrの成分が0となる。つまり、酸素分圧検知セル112への自己生成電流Icpの通電を停止させることで、ガスセンサ制御装置190での検出電圧値Vskが酸素分圧検知セル112の両端電圧Vemfに等しくなる。これにより、ガスセンサ制御装置190は、通電経路での電圧降下の影響を抑制しつつ、第1測定室159の酸素分圧を精度良く検出することが可能となる。
なお、酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧Vemfは、第1測定室159の酸素分圧が高いほど小さい値を示し、第1測定室159の酸素分圧が低いほど大きい値を示す特性がある。
このため、酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧Vemfは、NOxガスセンサ素子10が劣化状態(第1測定室の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態)であるときには、NOxガスセンサ素子10が正常状態(劣化していない初期状態)であるときよりも大きい値を示す。
つまり、ガスセンサ制御装置190は、自己生成電流Icpの通電停止時に検出される検出電圧値Vskを通電停止時電圧値Vs(詳細には、酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧Vemf)として検出し、検出した通電停止時電圧値Vsと電圧用劣化判定閾値Mとを比較することで、NOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるかを判定することができる。
なお、第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低くなる劣化状態とは、第1測定室159からの酸素の汲み出しが過剰に実行される状態であり、この場合には、酸素のみならず特定ガス(NOx)までもが第1測定室159から汲み出されてしまう虞がある。
次のS660では、検出電圧値Vskを通電停止時電圧値Vsとして検出する処理を実行する。
上述したとおり、酸素分圧検知セル112に対する自己生成電流Icpの通電が停止されている状態であるため、ガスセンサ制御装置190とNOxガスセンサ素子10(詳細には、酸素分圧検知セル112)とを接続する通電経路では、自己生成電流Icpの通電による電圧降下が生じない状態となる。このため、S660での処理によりガスセンサ制御装置190にて検出される通電停止時電圧値Vsは、通電経路での電圧降下分を含まない電圧値であり、第1測定室159の酸素分圧に応じて酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧値Vemfに等しくなる。
S670では、S650で読み込んだ電圧用劣化判定閾値MとS660で検出した通電停止時電圧値Vsとを比較し、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値Mより小さいか否かを判断しており、肯定判定する場合にはS680に移行し、否定判定する場合にはS690に移行する。
つまり、S670では、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値Mより小さい場合には、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定し、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値M以上である場合には、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定する。
そして、S670での判定に用いる電圧用劣化判定閾値Mは、上述したように、未使用状態のNOxガスセンサ素子10を用いて酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧を実測し、実測した両端電圧値を電圧用劣化判定閾値Mとして設定している。
このため、S660で検出した通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値M以上となるNOxガスセンサ素子10は、未使用状態(初期状態)のNOxガスセンサ素子10に比べて、第1測定室159の酸素分圧が目標値よりも低い状態であると判定できるとともに、劣化状態と判定できる。
S670で肯定判定されてS680に移行すると、S680では、NOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定する処理を実行する。
S670で否定判定されてS690に移行すると、S690では、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定すると共に、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを表す異常発生信号を、ガスセンサ制御装置190の出力端子(図示省略)から外部機器に対して出力する処理を行う。
そして、異常発生信号を受け取った外部機器は、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを使用者に通知するための処理を行う。具体的な処理としては、例えば、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを示す警告ランプを点灯する処理や、NOxガスセンサ素子10が劣化状態であることを示す音声メッセージを出力する処理などを挙げることができる。
S640で否定判定されるか、S680またはS690が終了すると、S700に移行し、S700では、経過時間を計測するタイマ処理を停止する。
次のS710では、酸素分圧検知セル112に対する自己生成電流Icpの通電を開始(再開)させるとともに、第1ポンプセル111に対する第1ポンプ電流Ip1の制御を開始(再開)させる処理を実行する。
これにより、ガスセンサ制御装置190は、基準酸素室118の酸素分圧(酸素濃度)を目標値(基準酸素分圧)に制御する処理を開始(再開)するとともに、第1ポンプセル111による第1測定室159に対する酸素のポンピング(汲み出し、汲み入れ)を開始(再開)する。
S710が終了すると、本制御処理(センサ診断処理)は終了する。
以上説明したように、第3実施形態のガス検出装置1に備えられるガスセンサ制御装置190は、第3センサ診断処理のS610において、第1ポンプセル111による酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させるとともに、酸素分圧検知セル112への通電を停止させる処理を実行する。その後、ガスセンサ制御装置190は、S660において、通電停止時の酸素分圧検知セル112に発生する通電停止時電圧値Vsを検出する処理を実行する。さらに、S670において、電圧用劣化判定閾値Mと通電停止時電圧値Vsとを比較し、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾M値未満であるときにはNOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定し、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値M以上であるときにはNOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定する
なお、判定対象のNOxガスセンサ素子10においては、基準酸素室118を基準酸素分圧雰囲気に設定するために酸素分圧検知セル112への通電(自己生成電流Icpの通電)が行われる。このように自己生成電流Icpを通電している場合には、通電経路での抵抗成分による電圧降下(経路降下電圧Vr)の影響により、ガスセンサ制御装置190が第1測定室159の酸素分圧を正確には検出できない虞がある。
これに対して、本実施形態のように、酸素分圧検知セル112への自己生成電流Icpの通電を停止させることで、通電経路での電圧降下の影響を抑制しつつ、第1測定室159の酸素分圧を精度良く検出することが可能となる。
また、第3実施形態では、第1ポンプセル111による酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させた後、停止許容時間が経過するまで(換言すれば、S640で肯定判定される期間中)に、酸素分圧検知セル112の通電停止時電圧値Vsを検出している。このような期間中に検出される通電停止時電圧値Vsは、通電停止直前における第1測定室159の酸素分圧制御状態に応じた値を示す。
なお、酸素分圧検知セル112の通電停止時電圧値Vsは、第1測定室159の酸素分圧が高くなるほど小さい値を示し、第1測定室159の酸素分圧が低くなるほど大きい値を示す。このため、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値M未満であるときにはNOxガスセンサ素子10が正常状態であると判定することができ、通電停止時電圧値Vsが電圧用劣化判定閾値M以上であるときにはNOxガスセンサ素子10が劣化状態であると判定することができる。
そして、本実施形態においては、S660での処理において酸素分圧検知セル112の通電停止時電圧値Vsを検出し、S670での処理において、通電停止時電圧値Vsと電圧用劣化判定閾値Mとを比較してNOxガスセンサ素子10が正常状態であるか劣化状態であるか判定する。
よって、本実施形態のガスセンサ制御装置190は、NOxガスセンサ素子10が第1測定室159における酸素分圧を適正に制御できるか否かを判定でき、各種セルを備えるNOxガスセンサ素子10の劣化状態を判定することが出来る。
なお、第3実施形態においては、第3センサ診断処理を実行するガスセンサ制御装置190が特許請求の範囲に記載のセンサ素子劣化判定装置に相当し、NOxガスセンサ素子10がガスセンサ素子に相当し、第1ポンプセル111が第1酸素イオンポンプセルに相当し、第2ポンプセル113が第2酸素イオンポンプセルに相当し、酸素分圧検知セル112が酸素分圧検知セルに相当している。また、第1拡散抵抗体116が第1拡散抵抗部に相当し、第2拡散抵抗体117が第2拡散抵抗部に相当している。
さらに、第3センサ診断処理のS610,S660を実行するガスセンサ制御装置190が酸素分圧制御状態検出手段に相当し、第3センサ診断処理のS670を実行するガスセンサ制御装置190が劣化判定手段に相当している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
たとえば、上記実施形態における各待機時間の数値については、上記数値に限定されることはなく、用途などに応じた任意の数値を設定することができる。
また、第1実施形態および第2実施形態においては、センサ診断処理の実行時期(換言すれば、劣化判定時期)を、測定対象ガスにおける酸素濃度が特定ガスの検出時における第1測定室および第2測定室の目標酸素濃度よりも高い濃度である時に設定してもよい。
つまり、測定対象ガスにおける酸素濃度が特定ガス検出時の目標酸素濃度よりも低い場合には、第1測定室を介して第2測定室に導入される酸素量が減少するとともに第2酸素イオンポンプセルでの酸素の解離量が少なくなり、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値が小さくなる。すなわち、酸素量が不足することにより、第2ポンプ電流オフセット値が低くなると、実際にはガスセンサ素子が劣化していない状態であっても、誤って劣化状態と判定される虞がある。
これに対して、測定対象ガスにおける酸素濃度が高い場合には、酸素が充分に存在するため、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値(第2ポンプ電流オフセット値)は、ガスセンサ素子の劣化状態に応じた値を示すことから、第2ポンプ電流オフセット値に基づいて劣化状態を適切に判断できる。また、測定対象ガスにおける酸素濃度が高い場合には、相対的に特定ガス濃度が低くなるため、特定ガスの影響による第2ポンプ電流オフセット値の変動を抑制できる。
よって、劣化判定時期を、測定対象ガスにおける酸素濃度が特定ガス検出時の目標酸素濃度よりも高い濃度である時に設定することで、誤判定を抑制でき、劣化判定の判定精度を向上できる。
さらに、第3実施形態においては、電圧用劣化判定閾値Mの数値は、通電停止時の酸素分圧検知セル112に発生する両端電圧をそのまま適用する場合に限られることはなく、検出した両端電圧値Lに対して所定の劣化係数G(1以上の値。例えば、1.1など。)を乗じて得られる値を、電圧用劣化判定閾値M(=L×G)として定めてもよい。このように劣化係数Gを用いて電圧用劣化判定閾値Mを設定することで、劣化係数Gに応じた一定範囲の劣化を許容しつつ、劣化判定を行うことができる。
本発明が適用されたガスセンサ制御装置を備えるガス検出装置の概略構成を示す構成図である。 センサ診断処理の処理内容を表すフローチャートである。 酸素分圧検知セルに通電される自己生成電流Icpと第2ポンプ電流オフセット値との相関関係を表す説明図である。 第2センサ診断処理の処理内容を表すフローチャートである。 酸素分圧検知セルに通電される自己生成電流Icpと第2ポンプ電流オフセット値との相関関係を表すとともに、オフセット変化量ΔIp2および判定用電流変化量ΔIcpについて説明するための説明図である。 第3センサ診断処理の処理内容を表すフローチャートである。
符号の説明
1…ガス検出装置、10…NOxガスセンサ素子、111…第1ポンプセル、112…酸素分圧検知セル、113…第2ポンプセル、116…第1拡散抵抗体、117…第2拡散抵抗体、118…基準酸素室、121…第1多孔質電極、123…検知用多孔質電極、125…第2多孔質電極、131…第1固体電解質層、135…第1ポンプ用第1電極、137…第1ポンプ用第2電極、141…第2固体電解質層、145…第2ポンプ用第1電極、147…第2ポンプ用第2電極、151…検知用固体電解質層、155…検知用電極、157…基準用電極、159…第1測定室、161…第2測定室、190…ガスセンサ制御装置。

Claims (9)

  1. 第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた前記測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、
    基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、前記一対の第一多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置されるとともに前記一対の第一多孔質電極の他方が前記第1測定室の外かつ前記第2測定室の外かつ前記基準酸素室の外に配置されて、前記第1測定室に導入された前記測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、前記一対の第二多孔質電極のうち一方が前記第2測定室に配置されるとともに前記一対の第二多孔質電極の他方が前記基準酸素室に配置されて、前記第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、前記一対の検知用多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置され、他方の電極が前記基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、
    を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置であって、
    前記酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて前記基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、
    前記ガスセンサ素子は、前記基準酸素室の基準酸素分圧を基準として前記第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、
    前記酸素分圧検知セルへの通電状態に対する前記第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出手段と、
    前記酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲である場合には前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲を逸脱する場合には前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定手段と、
    を備え、
    前記酸素分圧制御状態検出手段は、予め定められた判定用電流を前記酸素分圧検知セルに通電した時に、前記第2測定室の酸素分圧に応じて前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流オフセット値として検出し、
    前記劣化判定手段は、前記ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められたオフセット値用劣化判定閾値と前記第2ポンプ電流オフセット値とを比較し、前記第2ポンプ電流オフセット値が前記オフセット値用劣化判定閾値以上であるときには前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記第2ポンプ電流オフセット値が前記オフセット値用劣化判定閾値よりも小さいときには前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、
    を特徴とするセンサ素子劣化判定装置。
  2. 前記ガスセンサ素子は、前記酸素分圧検知セルへの通電電流が予め定められた酸素基準生成用電流であるときに前記基準酸素室が前記基準酸素分圧雰囲気に制御される構成であり、
    前記判定用電流は、前記酸素基準生成用電流と同じ電流値であること、
    を特徴とする請求項1に記載のセンサ素子劣化判定装置。
  3. 前記特定ガスはNOxガスであり、
    前記第2酸素イオンポンプセルへの印加電圧を、前記特定ガスは解離できず、酸素は解離できる劣化判定用電圧値に設定する劣化判定用電圧設定手段を備え、
    前記酸素分圧制御状態検出手段は、前記劣化判定用電圧設定手段により前記第2酸素イオンポンプセルへの印加電圧が前記劣化判定用電圧値に設定された状態で、前記第2ポンプ電流オフセット値を検出すること、
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ素子劣化判定装置。
  4. 第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた前記測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、
    基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、前記一対の第一多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置されるとともに前記一対の第一多孔質電極の他方が前記第1測定室の外かつ前記第2測定室の外かつ前記基準酸素室の外に配置されて、前記第1測定室に導入された前記測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、前記一対の第二多孔質電極のうち一方が前記第2測定室に配置されるとともに前記一対の第二多孔質電極の他方が前記基準酸素室に配置されて、前記第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、前記一対の検知用多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置され、他方の電極が前記基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、
    を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置であって、
    前記酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて前記基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、
    前記ガスセンサ素子は、前記基準酸素室の基準酸素分圧を基準として前記第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、
    前記酸素分圧検知セルへの通電状態に対する前記第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出手段と、
    前記酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲である場合には前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲を逸脱する場合には前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定手段と、
    を備え、
    前記酸素分圧制御状態検出手段は、予め定められた第1判定用電流を前記酸素分圧検知セルに通電した時に、前記第2測定室の酸素分圧に応じて前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第1オフセット値として検出すると共に、予め定められた第2判定用電流を前記酸素分圧検知セルに通電した時に、前記第2測定室の酸素分圧に応じて前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第2オフセット値として検出して、前記第2ポンプ電流第1オフセット値と前記第2ポンプ電流第2オフセット値との差分であるオフセット変化量を検出し、
    前記劣化判定手段は、前記ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた変化量用劣化判定閾値と前記オフセット変化量とを比較し、前記オフセット変化量が前記変化量用劣化判定閾値以上であるときには前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記オフセット変化量が前記変化量用劣化判定閾値よりも小さいときには前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、
    を特徴とするセンサ素子劣化判定装置。
  5. 前記ガスセンサ素子は、前記酸素分圧検知セルへの通電電流が予め定められた酸素基準生成用電流であるときに、前記基準酸素室が前記基準酸素分圧雰囲気に制御される構成であり、
    前記第1判定用電流および前記第2判定用電流の各電流値は、前記酸素基準生成用電流の電流値以下であること、
    を特徴とする請求項4に記載のセンサ素子劣化判定装置。
  6. 第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた前記測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、
    基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、前記一対の第一多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置されるとともに前記一対の第一多孔質電極の他方が前記第1測定室の外かつ前記第2測定室の外かつ前記基準酸素室の外に配置されて、前記第1測定室に導入された前記測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、前記一対の第二多孔質電極のうち一方が前記第2測定室に配置されるとともに前記一対の第二多孔質電極の他方が前記基準酸素室に配置されて、前記第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、前記一対の検知用多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置され、他方の電極が前記基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、
    を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定装置であって、
    前記酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて前記基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、
    前記ガスセンサ素子は、前記基準酸素室の基準酸素分圧を基準として前記第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、
    前記第1酸素イオンポンプセルによる酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させるとともに、前記酸素分圧検知セルへの通電を停止させ、その後、通電停止時の前記酸素分圧検知セルに発生する通電停止時電圧値を検出し、前記通電停止時電圧値に基づいて前記第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出手段と、
    前記酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲であるか否かを判断し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲である場合には前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲を逸脱する場合には前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定手段と、
    を備え、
    前記劣化判定手段は、前記ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた電圧用劣化判定閾値と前記通電停止時電圧値とを比較し、前記通電停止時電圧値が前記電圧用劣化判定閾値未満であるときには前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記通電停止時電圧値が前記電圧用劣化判定閾値以上であるときには前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、
    を特徴とするセンサ素子劣化判定装置。
  7. 第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた前記測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、
    基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、前記一対の第一多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置されるとともに前記一対の第一多孔質電極の他方が前記第1測定室の外かつ前記第2測定室の外かつ前記基準酸素室の外に配置されて、前記第1測定室に導入された前記測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、前記一対の第二多孔質電極のうち一方が前記第2測定室に配置されるとともに前記一対の第二多孔質電極の他方が前記基準酸素室に配置されて、前記第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、前記一対の検知用多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置され、他方の電極が前記基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、
    を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定方法であって、
    前記酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて前記基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、
    前記ガスセンサ素子は、前記基準酸素室の基準酸素分圧を基準として前記第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、
    前記酸素分圧検知セルへの通電状態に対する前記第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出工程と、
    前記酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲である場合には前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲を逸脱する場合には前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定工程と、
    を有し、
    前記酸素分圧制御状態検出工程では、予め定められた判定用電流を前記酸素分圧検知セルに通電した時に、前記第2測定室の酸素分圧に応じて前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流オフセット値として検出し、
    前記劣化判定工程では、前記ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められたオフセット値用劣化判定閾値と前記第2ポンプ電流オフセット値とを比較し、前記第2ポンプ電流オフセット値が前記オフセット値用劣化判定閾値以上であるときには前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記第2ポンプ電流オフセット値が前記オフセット値用劣化判定閾値よりも小さいときには前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、
    を特徴とするセンサ素子劣化判定方法。
  8. 第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた前記測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、
    基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、前記一対の第一多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置されるとともに前記一対の第一多孔質電極の他方が前記第1測定室の外かつ前記第2測定室の外かつ前記基準酸素室の外に配置されて、前記第1測定室に導入された前記測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、前記一対の第二多孔質電極のうち一方が前記第2測定室に配置されるとともに前記一対の第二多孔質電極の他方が前記基準酸素室に配置されて、前記第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、前記一対の検知用多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置され、他方の電極が前記基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、
    を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定方法であって、
    前記酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて前記基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、
    前記ガスセンサ素子は、前記基準酸素室の基準酸素分圧を基準として前記第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、
    前記酸素分圧検知セルへの通電状態に対する前記第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出工程と、
    前記酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲である場合には前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲を逸脱する場合には前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定工程と、
    を有し、
    前記酸素分圧制御状態検出工程では、予め定められた第1判定用電流を前記酸素分圧検知セルに通電した時に、前記第2測定室の酸素分圧に応じて前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第1オフセット値として検出すると共に、予め定められた第2判定用電流を前記酸素分圧検知セルに通電した時に、前記第2測定室の酸素分圧に応じて前記第2酸素イオンポンプセルに流れる電流値を第2ポンプ電流第2オフセット値として検出して、前記第2ポンプ電流第1オフセット値と前記第2ポンプ電流第2オフセット値との差分であるオフセット変化量を検出し、
    前記劣化判定工程では、前記ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた変化量用劣化判定閾値と前記オフセット変化量とを比較し、前記オフセット変化量が前記変化量用劣化判定閾値以上であるときには前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記オフセット変化量が前記変化量用劣化判定閾値よりも小さいときには前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、
    を特徴とするセンサ素子劣化判定方法。
  9. 第1拡散抵抗部を介して測定対象ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室において酸素の汲み出しまたは汲み入れが行われた前記測定対象ガスが第2拡散抵抗部を介して導入される第2測定室と、
    基準酸素分圧雰囲気に設定された基準酸素室と、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第一多孔質電極を有し、前記一対の第一多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置されるとともに前記一対の第一多孔質電極の他方が前記第1測定室の外かつ前記第2測定室の外かつ前記基準酸素室の外に配置されて、前記第1測定室に導入された前記測定対象ガスに対する酸素の汲み出しまたは汲み入れを行う第1酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の第二多孔質電極を有し、前記一対の第二多孔質電極のうち一方が前記第2測定室に配置されるとともに前記一対の第二多孔質電極の他方が前記基準酸素室に配置されて、前記第2測定室における特定ガス濃度に応じた電流が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    酸素イオン導電体および該酸素イオン導電体上に形成された一対の検知用多孔質電極を有し、前記一対の検知用多孔質電極の一方が前記第1測定室に配置され、他方の電極が前記基準酸素室に配置された酸素分圧検知セルと、
    を備えるガスセンサ素子の劣化状態を判定するセンサ素子劣化判定方法であって、
    前記酸素分圧検知セルは、通電される電流の大きさに応じて前記基準酸素室に対する酸素の汲み入れ量を変更可能に構成されており、
    前記ガスセンサ素子は、前記基準酸素室の基準酸素分圧を基準として前記第1測定室の酸素分圧が定められる構成であり、
    前記第1酸素イオンポンプセルによる酸素の汲み入れまたは汲み出しを停止させるとともに、前記酸素分圧検知セルへの通電を停止させ、その後、通電停止時の前記酸素分圧検知セルに発生する通電停止時電圧値を検出し、前記通電停止時電圧値に基づいて前記第1測定室における酸素分圧制御状態を検出する酸素分圧制御状態検出工程と、
    前記酸素分圧制御状態が予め定められた正常範囲である場合には前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記酸素分圧制御状態が前記正常範囲を逸脱する場合には前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定する劣化判定工程と、
    を有し、
    前記劣化判定工程では、前記ガスセンサ素子の劣化状態を判定するために定められた電圧用劣化判定閾値と前記通電停止時電圧値とを比較し、前記通電停止時電圧値が前記電圧用劣化判定閾値未満であるときには前記ガスセンサ素子が正常状態であると判定し、前記通電停止時電圧値が前記電圧用劣化判定閾値以上であるときには前記ガスセンサ素子が劣化状態であると判定すること、
    を特徴とするセンサ素子劣化判定方法。
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