JP4659110B2 - セフェム化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セフェム化合物の製造方法に関し、更に詳しくは、セファロスポリン系抗生物質の合成中間体として有用なセフェム化合物のZ体(シス異性体)を、選択的に且つ高収率で製造する方法に関する。
セファロスポリン系抗生物質のひとつとして、3−(2−(4−メチルチアゾール−5−イル)−ビニル)−セファロスポリン化合物がある。この化合物には、3位のビニル基の二重結合に対して、セフェム環と4−メチルチアゾール−5−イル基とがシス配位で結合したZ体(シス異性体)と、トランス配位で結合したE体(トランス異性体)とがある。これらの異性体のうち、Z体の方がE体に比べて抗生物質の諸特性が優れているため、Z体を選択的に合成することが望まれている。
下記特許文献1には、3−(2−置換−ビニル)−セファロスポリンのZ異性体の選択的製造方法が開示されている。この製造方法は、7−N−非置換又は置換−アミノ−3−[(トリ置換−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム−4−カルボン酸又はそのエステルと、4−置換又は非置換−チアゾール−5−カルボアルデヒドとを、溶剤中で特定温度条件下にて反応させるものである。該溶剤としては、塩素化炭化水素溶剤と低級アルカノールとを1:3〜0.25の比率(容量基準)で混合したものが使用される。
国際公開第1998/058932号パンフレット
しかし、特許文献1に記載の製造方法によっても、Z体の収率は未だ充分とはいえなかった。
したがって、本発明の目的は、セファロスポリン系抗生物質の合成中間体として有用なセフェム化合物のZ体を、選択的にかつ高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物と、4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドとの反応において、反応溶媒として塩素化炭化水素と低級アルコールとの混合溶剤を用い、該混合溶剤中の溶媒の混合割合を特定範囲とし、更に温度条件も特定範囲に制御しながら反応を行うことにより、前記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたものであり、下記一般式(I)で表される3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物と、下記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドとを、塩素化炭化水素と低級アルコールとを体積比(前者:後者)10:1〜10:0.2で混合してなる混合溶剤中で、+5℃〜−50℃で反応させて、下記一般式(A)で表される3−[2−(4−メチルチアゾール−5−イル)ビニル]−3−セフェム化合物を得ることを特徴とするセフェム化合物の製造方法を提供するものである。
Figure 0004659110
(式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
Figure 0004659110
Figure 0004659110
(式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
本発明によれば、セファロスポリン系抗生物質の合成中間体として有用なセフェム化合物のZ体を、選択的にかつ高収率で製造する方法を提供することができる。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。本発明の製造方法において、前記一般式(I)で表される3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物(以下、前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物ともいう)と、前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドとを、塩素化炭化水素と低級アルコールとを体積比(前者:後者)10:1以下で混合してなる混合溶剤中で、+5℃〜−50℃で反応させて、前記一般式(A)で表される3−[2−(4−メチルチアゾール−5−イル)ビニル]−3−セフェム化合物(以下、前記一般式(A)で表されるセフェム化合物ともいう)を得る。そうすることにより、セフェム化合物のZ体を従来に比べて選択的にかつ高収率で製造することができる。
前記一般式(I)において、R1及びR2は、置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。芳香族炭化水素基は、アリール基及びアラルキル基を包含する。置換又は非置換のアリール基としてはフェニル基、p−トリル基等が挙げられ、置換又は非置換のアラルキル基としては、ベンジル基、ベンズヒドリル基、p−メトキシベンジル基等が挙げられる。R1及びR2は、同一でも又は異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物と、前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドとの反応比率は、前者1モルに対し、後者1〜15モル、特に5〜10モルが好ましい。
前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドは、例えば、市販の2−(4−メチル−5−チアゾリル)エチルアセテート(東京化成試薬等から入手可能)を、加水分解した後、酸化することにより得ることができる。この加水分解及び酸化は、常法に従って行うことができる。また、前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドは、特開2006−76897号公報に記載の方法を参照して得ることもできる。
溶媒としては、塩素化炭化水素と低級アルコールとの混合溶剤を用いるが、両者の混合比率(前者:後者)は、体積基準で10:0.2〜1であり、好ましくは10:0.5〜1である。このような混合溶剤を用いることにより、前記一般式(A)で表されるセフェム化合物の収率が一段と向上する。また、溶媒の使用量は、前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物100重量部に対し、800〜3000重量部が好ましい。
前記塩素化炭化水素としては、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、クロロホルム、ジクロロメタンが好ましい。
前記低級アルコールは、炭素数が1〜5、特に2又は3であることが好ましい。前記低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。これらの低級アルコールは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において、低級アルコールとして特にジオール類を用いると、セフェム化合物のZ体を、更に、選択的にかつ高収率で製造することができる点で好ましい。本発明でいうジオール類には、2つのOH基を持つ通常のジオール化合物のほか、ジオール化合物のモノエーテル(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル)及びモノエステル(例えばエチレングリコールと酢酸とのモノエステル)も含まれる。
本発明における塩素化炭化水素と低級アルコールとの混合比率は、背景技術の項で述べた特許文献1に記載の混合比率に比べて、低級アルコールの使用量が少ないものである。このことに起因して、本発明の製造方法で得られるセフェム化合物は、品質が安定したものになることが、本発明者らの検討の結果判明した。ここで言う安定した品質とは、セフェム化合物におけるE体とZ体との比率のばらつきが小さいことである。また、後述する方法に従い結晶化したセフェム化合物の結晶中におけるE体/Z体の値を小さくすることもできることが判明した。これに対して特許文献1に記載の混合比率を採用すると、E体/Z体の値がばらつき、製品の品質を安定化させることが容易でなく、また結晶中におけるE体/Z体の値自体も大きくなってしまう。これらのことは、低級アルコールとして、特にn−プロパノールを用いた場合に顕著である(後述する実施例6及び比較例4参照)。
反応温度は、前述の通り+5℃〜−50℃であり、使用する溶媒の種類や量に応じて、この温度範囲から適宜選択する。好ましくは0℃〜−50℃、更に好ましくは−10℃〜−30℃から選択する。かかる温度で反応を行うことにより、E体の生成量が減少し、Z体を選択的にかつ高収率で得ることができる。
反応時間は、特に制限されるものではなく、反応系に仕込んだ前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物の消失が確認できるまで反応を行えばよい。使用する溶媒の種類や量、反応温度等にもよるが、通常4〜24時間で、前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物が消失し、反応が完了する。
反応終了後には、必要に応じて後処理を行ってもよい。例えば、得られた反応液にピロ亜硫酸カリウム水溶液を加えて洗浄して、残留した前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドを除去してもよい。また、前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドが、目的物である前記一般式(A)で表されるセフェム化合物中のアミノ基と反応してシッフ塩基を形成している場合、ジラール試薬のエタノール溶液を加えてシッフ塩基を分解することが好ましい。
本発明のセフェム化合物の製造方法においては、反応終了後、必要に応じて前記後処理を行った反応液から、例えば以下のようにして所望のZ体、即ち前記一般式(A)で表されるセフェム化合物を分離することができる。反応液を塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、減圧下又は常圧下で溶剤を蒸発させて濃縮する。得られた濃縮液又は固体残渣にメタノール、酢酸エチル又は酢酸ブチルを加えて放置すると、Z体が結晶化して析出する。特にメタノールを用いることが好ましい。得られるZ体は純度が高く、E体を除去するための別途の精製は不要である。
本発明において、前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物として、下記工程1〜3を順次行って得られるものを使用すると、セフェム化合物のZ体を、更に、選択的にかつ高収率で製造することができる点で好ましい。
先ず、工程1について説明する。本工程においては、下記一般式(1)で表される塩素化アゼチジノン誘導体(以下、単に塩素化アゼチジノン誘導体ともいう)とアルコラートとを、アルコールを含む溶媒中で、pH8以下で反応させて、下記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶を得る。
Figure 0004659110
(式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。R3は置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換の複素環残基を示す。)
Figure 0004659110
(式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
前記反応は、前記塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)と、アルコラートを含有する溶液(B)とを、アルコールを含有する溶液(C)中に滴下することにより行うことができる。溶液(A)及び溶液(B)の滴下量は、溶液(A)に含まれる塩素化アゼチジノン誘導体1モルに対し、溶液(B)に含まれるアルコラートが0.8〜1.5モルの比率を満たすことが好ましい。また、滴下終了後の反応溶媒中に含まれるアルコールの含有量が、30〜95重量%となるように滴下することが好ましい。
また、前記反応は、先ず、前記塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)の全使用量のうち、塩素化アゼチジノン誘導体の反応当量の5〜30モル%に相当する量を、アルコールを含有する前記溶液(C)中に滴下し、次いで、溶液(A)の残りと、アルコラートを含有する溶液(B)とを、同時に溶液(C)中に滴下して行うことが好ましい。
以下に、溶液(A)〜(C)及び反応条件について、更に詳しく説明する。
<塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)>
前記塩素化アゼチジノン誘導体を表す前記一般式(1)におけるR1及びR2は、前記一般式(I)におけるR1及びR2と同じであり、置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。芳香族炭化水素基は、アリール基及びアラルキル基を包含する。置換又は非置換のアリール基としてはフェニル基、p−トリル基等が挙げられ、置換又は非置換のアラルキル基としては、ベンジル基、ベンズヒドリル基、p−メトキシベンジル基等が挙げられる。R1及びR2は、同一でも又は異なっていてもよい。
前記塩素化アゼチジノン誘導体を表す前記一般式(1)において、R3は、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換の複素環残基を示す。置換若しくは非置換のアリール基としては、具体的には、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−クロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基等が挙げられる。また、置換若しくは非置換の複素環残基としては、2−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1,3,4−チアジアゾール−5−イル基、2−メチル−1,3,4−チアジアゾール−5−イル基、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル基、1−メチル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル基、1−フェニル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル基等が挙げられる。
前記塩素化アゼチジノン誘導体は、例えば、一般式(1)中のR1がベンジル基、R2がp−メトキシベンジル基の化合物は、特公平5−9425号公報に記載の方法により合成することができる。これ以外の塩素化アゼチジノン誘導体についても、特公平5−9425号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
溶液(A)において前記塩素化アゼチジノン誘導体を溶解する溶媒としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジブロモエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上で用いることができる(以下、「A1溶媒」と呼ぶ。)。これらの中でも、エーテル類、特にジオキサンを用いるのが好ましい。
前記溶液(A)において、前記A1溶媒の含有量は、前記塩素化アゼチジノン誘導体100重量部に対して、好ましくは50〜500重量部、更に好ましくは100〜500重量部である。
前記A1溶媒に前記塩素化アゼチジノン誘導体を溶解した溶液は、そのまま溶液(A)として用いてもよいが、この溶液は粘性が高い。例えば、A1溶媒として好ましい上述のジオキサンを用いた場合、前記塩素化アゼチジノン誘導体をジオキサンに溶解したジオキサン溶液は、ジオキサンの融点が11℃であるために、反応温度を例えば10℃以下とすると、粘度が上昇したり、固化したりすることがある。これを防止するため、前記A1溶媒に前記塩素化アゼチジノン誘導体を溶解してなる溶液に、更に、塩素化アゼチジノン誘導体を溶解するアルコール(以下、「A2溶媒」と呼ぶ。)を添加して用いると、粘性が低下し滴下の際の操作性が容易となるために好ましい。
前記アルコール(A2溶媒)としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等の低級アルコールを1種又は2種以上で用いることができる。これらの中でも、メタノール又はエタノールを用いて後述する反応条件で反応を行うと、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶を、高収率でかつ高純度で得ることができるため好ましい。
溶液(A)において、前記アルコール(A2溶媒)の含有量は、前記塩素化アゼチジノン誘導体100重量部に対して100〜500重量部、好ましくは200〜300重量部の範囲が望ましい。
溶液(A)における前記塩素化アゼチジノン誘導体の含有量は、好ましくは0.05〜1モル/L、更に好ましくは0.1〜0.5モル/Lである。
<アルコラートを含有する溶液(B)>
前記アルコラートは、一般式;R4−OMで表される。該一般式中のR4は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状の低級アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基等のアルキル基が挙げられる。該一般式中のMは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を示す。
前記アルコラートの具体的な化合物としては、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラート、リチウムメチラート、リチウムエチラート、カリウムt−ブチラート等が挙げられ、これらのアルコラートは1種又は2種以上で用いることができる。
これらのアルコラートの中でも、ナトリウムメチラート又はナトリウムエチラートを用いるのが好ましい。アルコラートを含有する溶液(B)は、前記アルコラートを溶解する溶媒を用いて所定の濃度に調製した溶液である。
前記アルコラートを溶解する溶媒(以下、「B1溶媒」と呼ぶ。)としては、アルコールが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることができる。これらの中でも、メタノール又はエタノールを用いるのが好ましい。
溶媒(B)において、前記B1溶媒の含有量は、前記アルコラート100重量部に対して、好ましくは500〜5000重量部、更に好ましくは1000〜4000重量部である。
<アルコールを含有する溶液(C)>
アルコールを含有する溶液(C)としては、アルコール(以下、「C1溶媒」と呼ぶ。)の単独溶媒、又はアルコール(C1溶媒)と他の溶媒(以下、「C2溶媒」と呼ぶ。)との混合溶媒が用いられる。該アルコール(C1溶媒)としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等の低級アルコールが挙げられ、これらのアルコールは1種又は2種以上で用いることができる。これらのアルコールの中でも、メタノール又はエタノールを用いるのが好ましい。
アルコール(C1溶媒)は、原料である前記一般式(1)で表される塩素化アゼチジノン誘導体を溶解するが、反応生成物である前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体を溶解しない。そのため、反応生成物を直接結晶として回収できる反応溶媒として好適である。
他の溶媒(C2溶媒)としては、原料である前記塩素化アゼチジノン誘導体を溶解し、更に反応終了後に不純物となる未反応原料の塩素化アゼチジノン誘導体或いは反応副生物等の不純物を溶解する溶媒を用いる。このような溶媒を用いることにより、反応生成物である前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶を反応液から高純度で回収することができる。C2溶媒としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジブロモエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上で用いることができる。これらの中でも、ジオキサンを用いるのが好ましい。
アルコール(C1溶媒)と他の溶媒(C2溶媒)との混合割合は、アルコール(C1溶媒)100重量部に対して他の溶媒(C2溶媒)が好ましくは10〜30重量部、更に好ましくは10〜20重量部である。このような好ましい混合割合の溶液(C)を用いて後述する反応条件で反応を行うと、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶を、高収率でかつ高純度で得ることができることから好ましい。
他の溶媒(C2溶媒)が10重量部未満では、反応が進行するに従って、生成する3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が結晶に反応副生物等の不純物を抱くためダンゴ状になるので、高純度で且つ高収率で3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶を得られにくく、30重量部を越えると生成する3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が溶解し収率の低下をまねきやすい。
アルコールを含有する溶液(C)の使用量は、前記一般式(1)で表される塩素化アゼチジノン誘導体100重量部に対して300〜2000重量部、好ましくは500〜1000重量部が望ましい。300重量部未満では、反応が進行しにくくなると共に、未反応原料が残存しやすく、2000重量部を超えると溶媒を必要以上に多量に使用するため工業的に有利でない。
<反応条件>
工程1において、前記一般式(1)で表される塩素化アゼチジノン誘導体とアルコラートとの反応は、pH8以下で行い、好ましくはpH6〜8で行う。反応生成物の3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶は、アルカリに対して極めて不安定であり、pHが8を超えると反応過程で分解し、高純度でかつ高収率で目的とする3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が得られなくなる。
反応中のpHの測定は、例えば、反応系から反応液をリトマス試験紙にとり、これに水を滴下し測定したり、また、反応液の少量を採取し、これに2倍量の水を添加した後、pHメーター等により測定したりするのが好ましい。
反応は速やかに進行するが、反応系中に未反応のアルコラートが存在すると、アルコラートが弱塩基を示すために、反応系のpHは上昇し、アルカリ性に傾いていく。したがって、工程1における反応は、塩素化アゼチジノン誘導体を含有する前記溶液(A)と、アルコラートを含有する前記溶液(B)とを、アルコールを含有する前記溶液(C)中に、前記pHの範囲となるように滴下して加えるのが好ましい。
また、前記溶液(A)及び前記溶液(B)の滴下量は、溶液(A)中の前記塩素化アゼチジノン誘導体に対する溶液(B)中のアルコラートのモル比が好ましくは0.8〜1.5倍モル、更に好ましくは1.1〜1.2倍モルとなる量とする。このような滴下量とすると、最終の反応系において、未反応原料の塩素化アゼチジノン誘導体の残存量が少なくなり、3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶を高純度でかつ高収率で得られる。これに対し、0.8倍モル未満では、未反応原料の塩素化アゼチジノン誘導体が必要以上に残存し、1.5倍モルを超えると反応液がpH8を超えるアルカリ性となり、生成する3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が分解しやすい。
更に、前記溶液(A)と前記溶液(B)の滴下量は、滴下終了後の溶液(A)〜溶液(C)の全体の反応溶媒中(A1溶媒+A2溶媒+B1溶媒+C1溶媒+C2溶媒)のアルコールの含有量(A2溶媒+B1溶媒+C1溶媒)が好ましくは30〜95重量%、更に好ましくは60〜90重量%となる量とする。
滴下終了後の反応溶媒中のアルコールの含有量が30重量%未満では、反応原料のアルコラートが反応液に溶解しにくくなり、また、3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が溶解し収率の低下を招きやすい。一方、95重量%を超えると、反応が進行するにしたがって、生成する3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が反応副生物等の不純物を抱きダンゴ状になりやすく、高純度でかつ高収率で3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶を得られなくなる。
前記塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)の溶媒として、ジオキサン(A1溶媒)と、メタノール及び/又はエタノール(A2溶媒)との混合溶媒を用い、アルコラートを含有する溶液(B)として、メタノール及び/又はエタノール(B1溶媒)を用い、更にアルコールを含む溶媒(C)としてメタノール及び/又はエタノール(C1溶媒)とジオキサン(C2溶媒)との混合溶媒を用いて、滴下終了後の反応溶媒中(A1溶媒+A2溶媒+B1溶媒+C1溶媒+C2溶媒)のメタノール及び/又はエタノールの含有量が20〜60重量%、とりわけ30〜50重量%となるように滴下すると、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶を一層高収率でかつ高純度で得ることができることから、特に好ましい。
前記塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)と前記アルコラートを含有する溶液(B)とを、アルコールを含有する溶液(C)中に滴下する方法としては、下記1及び2の滴下方法が挙げられる。
1.前記溶液(A)〜(C)を調製し、前記溶液(C)中に、前記溶液(A)が前記溶液(B)に対して先行するように、溶液(A)及び(B)を連続的又は継続的に反応系内のpHが前記範囲となるように滴下する方法(以下、「1の滴下方法」と呼ぶ。)。
2.前記溶液(A)〜(C)を調製し、先に、塩素化アゼチジノン誘導体の反応当量の好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは10〜20モル%となるように、前記溶液(A)を、アルコールを含有する溶液(C)中に滴下し、次いで、溶液(A)の残りと溶液(B)とを、同時に溶液(C)中に反応系内のpHが前記範囲となるように滴下する方法(以下、「2の滴下方法」と呼ぶ。)。
前記1の滴下方法は、塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)とアルコラートを含有する溶液(B)との滴下順序を適宜調整して、反応系内のpHが常に前記範囲となるように、溶液(A)と溶液(B)とをアルコールを含有する溶液(C)中に滴下する方法である。
前記2の滴下方法は、塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)の所定量を予めアルコールを含有する溶液(C)中に滴下し、反応系内を酸性領域(例えば、pH4)とし、これに、反応系内のpHが常に前記範囲となるように、溶液(A)の残りと、アルコラートを含有する溶液(B)とを、ほぼ同時に継続的にアルコールを含有する溶液(C)中に滴下する方法である。
なお、アルコールを含有する溶液(C)を調製する際に、予め前記塩素化アゼチジノン誘導体の反応当量の5〜30モル%、好ましくは10〜30モル%をアルコールを含有する溶液(C)に仕込み、次いで、前記2の滴下方法の反応操作と同じ操作で、更に反応に必要量の塩素化アゼチジノンを含有する溶液とアルコラートを含有する溶液とを同時に、アルコールを含有する溶液(C)中に反応系内のpHが常に前記範囲となるように滴下してもよい。
初めから塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)とアルコラートを含有する溶液(B)とを、同時にアルコールを含有する溶液(C)中に滴下すると反応系がアルカリ側に振れる可能性がある。工程1における反応生成物である3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶は、アルカリに対して極めて不安定であり、pH8以上になると反応過程で分解するため、前記の1及び2の滴下方法に示すように、塩素化アゼチジノン誘導体を先行させて滴下し、反応系を絶えずpH8を超えてアルカリ側に振れないように反応を行うのが好ましい。なお、塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)は約pH4程度であり、アルコラートを含有する溶液(B)の添加により反応系のpHは上昇する。
前記1と2の滴下方法のうち、2の滴下方法の方がpH制御が容易である点で工業的に特に有利となる。
また、原料の塩素化アゼチジノン誘導体を含有する溶液(A)を、アルコールを含有する溶液(C)中に全量仕込んだ後、アルコラートを含有する溶液(B)を滴下してpH8以下で反応を行うと、反応が進行するにつれて生成する反応生成物の3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶に不純物が抱かれて品質が低下する傾向があるが、一気に結晶を得ることができ、後の精製工程での負担が多くなるが、反応としては簡単な操作で行うことができる。
また、工程1における反応は、反応溶媒としてジオキサンを含有している反応系により反応を進行するのが好ましい。ジオキサンの含有量が少ないと、反応が進行するにつれて、生成する反応生成物の3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶が反応副生物等の不純物を抱くためにダンゴ状になりやすい。反応系中のジオキサンの含有量が、塩素化アゼチジノン誘導体100重量部に対して10〜30重量部の範囲に維持するようにするのが好ましい。
前記反応は、反応温度を5℃以下で行うと、副生物の生成を抑えかつ高収率で目的とする前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶を得ることができることから好ましい。一方、−20℃未満では原料や不純物が析出しやすいため、−20〜5℃、特に−10〜5℃で反応を行うことが好ましい。
かくすることにより、目的とする前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体結晶の析出が、反応の進行により反応溶液が白濁することにより随時認められ、反応終了後、中和し、ろ過、乾燥して結晶が得られる。必要により、洗浄、再結晶により精製を行ってもよい。なお、前記一般式(2)におけるR1,R2は、前記一般式(1)におけるものと同じである。
洗浄及び再結晶で用いることができる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール、アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド等のアミド類等の1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
次に、工程2について説明する。
工程2においては、工程1で得られた前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶に、トリフェニルホスフィン及びヨウ化ナトリウムを反応させて、下記一般式(3)で表される3−トリフェニルヨウ化ホスホニウムメチル−3−セフェム化合物を得る。なお、前記一般式(3)におけるR1,R2は、前記一般式(2)におけるものと同じである。
Figure 0004659110
(式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
前記一般式(2)及び(3)から明らかなように、工程2における反応は、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の3位のメチル基を置換している塩素原子を、トリフェニルヨウ化ホスホニウムに変換するものである。以下に、その反応条件の例を述べる。
反応は、常圧下、25〜40℃にて、1〜4時間で行うことができる。反応比率は、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体1モルに対し、トリフェニルホスフィン1〜1.5モル、ヨウ化ナトリウム1〜1.5モルが好ましい。
反応は、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中で行うことができる。溶媒には水が含まれてもよい。そのため、前記ヨウ化ナトリウムは、濃度が10〜100g/L程度の水溶液として用いることができる。また、溶媒の使用量は、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶100重量部に対し、500〜1000重量部が好ましい。
次に、工程3について説明する。
工程3においては、工程2で得られた前記一般式(3)で表される3−トリフェニルヨウ化ホスホニウムメチル−3−セフェム化合物を、水酸化ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムと反応させて、前記一般式(I)で表される3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物を得る。以下に、この反応の条件の例を述べる。
反応は、常圧下、−5〜20℃にて、0.1〜3時間で行うことができる。また、反応比率は、前記一般式(3)で表される3−トリフェニルヨウ化ホスホニウムメチル−3−セフェム化合物1モルに対し、水酸化ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム1〜3モルが好ましい。
反応は、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中で行うことができる。溶媒には水が含まれてもよい。そのため、前記水酸化ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムは、濃度が10〜30g/L程度の水溶液として用いることができる。また、溶媒の使用量は、前記一般式(3)で表される3−トリフェニルヨウ化ホスホニウムメチル−3−セフェム化合物100重量部に対し、500〜1000重量部が好ましい。反応がクロロホルム、ジクロロメタン等の疎水性有機溶媒と水を含む二相系にて行われた場合には、反応終了後に有機層と水層とを分離し、前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物を含有する該有機層のみを、本発明のセフェム化合物の製造方法に用いる。
本発明のセフェム化合物の製造方法において出発物質として用いる前記一般式(I)で表されるホスホラン化合物としては、以上の工程1〜3を行って得たものが好ましく用いられるが、そのほかに、前記工程1で用いた前記一般式(1)で表される塩素化アゼチジノン誘導体を用いて、前記工程1に代えて特開昭58−74689号公報に記載されている工程を行って、前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体を得た後、前記工程2、3を行って得たものを用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しなしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」は重量%を意味する。
〔実施例1〕
(工程1)
下記反応式に従って、以下の手順により、工程1の反応を行った。尚、以下に示す反応式において、Bnはベンジル基、PMBはp−メトキシベンジル基、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
Figure 0004659110
化合物(1)47.7%を含有するジオキサン溶液68.6g(0.052モル)を窒素置換した滴下ロートに仕込み、脱水メタノール(関東化学試薬)50gを添加し希釈しA液とした。
ナトリウムメチラート4.46g(0.063モル)をメタノール103gで溶解して、ナトリウムメチラートを4重量%含有するメタノール溶液を調製しB液とした。
四つ口の反応用フラスコに、反応用溶媒として、ジオキサン13gを仕込み、さらに脱水エタノール160mLを仕込み、−2〜2℃に冷却した。そこへ、前記A液の全体量の1/8量を添加した(pH4)。
次いで、反応系の温度を−2〜2℃に維持しながら、前記A液の残りと前記B液とを同時に滴下した。B液を約1/5程度滴下すると反応液の白濁が始まり、白色結晶を含むスラリーとなった。さらに、反応系の温度を−2〜2℃に維持しながら、A液とB液の同時滴下を続け、約4時間かけて滴下を終了した(pH7〜8)。滴下終了後、更に、攪拌下に0℃で0.25時間反応を行った。
反応終了後、酢酸0.44gを反応液に添加し中和した。なお、中和後の反応系のpHは4〜5であった。中和処理後、更に、そのまま−2〜2℃で0.5時間攪拌下に熟成した。
熟成終了後、3Gグラスフィルターでろ過し、得られたろ過ケーキを氷冷したメタノール18gでリンスし、更に30%の水を含むメタノール溶液36gで2回目のリンスを行い、3回目は、氷冷したメタノール18gでリンスした。
洗浄処理したケーキをデシケーターに入れ、室温で一晩、真空ポンプで乾燥して目的物である化合物(2)を21.8g(純度94.3%、収率81.2%)を得た。得られた化合物(2)は、各種分析により同定した。以下に同定データを示す。
(同定データ)
1H−NMR(δ,CDCl3
3.41(1H,d,j=18.5)、3.59(1H,d,j=18.5)、4.92(1H,d,j=4.9)、5.82(1H,d,d,j=4.9,9.3)、6.12(1H,d,j=9.3)、3.58(1H,d,j=16.1)、3.67(1H,d,j=16.1)、7.40−7.28(5H,m)、4.39(1H,d,j=11.9)、4.50(1H,d,j=11.9)、5.20(2H,s)、7.32(2H,d,j=8.6)、6.88(2H,d,j=8.6)、3.80(3H,s)
・FT−IR(cm-1,KBr)
3449cm-1、3271cm-1、1778cm-1、1251cm-1
・FAB−MS
M+1:487m/z
(工程2)
下記反応式に従って、以下の手順により、工程2の反応を行った。
Figure 0004659110
クロロホルム(純正試薬特級、200mL)に、トリフェニルホスフィン(関東化学試薬特級、18.7g)を溶解し、この溶液に前記工程1で得られた化合物(2)を33.3g加えた。そこへヨウ化ナトリウム(関東化学試薬特級、10.7g)を含有する水溶液(イオン交換水、200mL)を加えて2層の溶液を得た。この溶液を攪拌しながら反応液の温度を32±1℃に加熱して反応を行って、目的物である化合物(3)を得た。尚、反応は、HPLCにて原料消失が確認されるまで行った。
(工程3)
下記反応式に従って、以下の手順により、工程3の反応を行った。
Figure 0004659110
工程2で得られた化合物(3)を含む反応液から水層を破棄し、得られた有機層を3±1℃に冷却した。次に水酸化ナトリウム(関東化学試薬特級、3.15g)を含む水溶液(イオン交換水、200mL)を前記有機層に加え、3±1℃の温度で30分反応させて、目的物である化合物(4)を得た。
(工程4)
下記反応式に従って、以下の手順により、工程4の反応を行った。
Figure 0004659110
工程3で得られた化合物(4)を含む反応液から水層を破棄し、得られた暗赤色のクロロホルム溶液に、エチレングリコールを、クロロホルムとエチレングリコールの体積比が10:0.5になるように追加した。次いで、この反応液を−15±1℃まで冷却した。ここに4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒド65.8gを加え反応を行い、化合物(A)を得た。
反応中は、反応液の温度を−15±1℃に制御し、適宜HPLC分析にて反応の進行を確認した。その結果、化合物(4)は反応開始から18時間で完全に消費されていたため、ここを反応終点とした。
尚、前記4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドは、2−(4−メチル−5−チアゾリル)エチルアセテート(東京化成試薬)を加水分解した後、酸化して合成した。
反応終点での目的物Z体(化合物(A))の反応収率を、内部標準を用いたHPLC定量分析によって求めたところ、87.4%であった。
また、このときの異性体E体含量を、Z体含量に対するE体含量の割合E/Z〔=(E体のHPLC面積/Z体のHPLC面積)×100〕で表すと、3.13%であった。
HPLC分析は以下の条件で実施した。
カラム:YMC−Pack ODS−A AA12S05−1506WT
移動相:50mMリン酸バッファー:アセトニトリル=1:1
検出波長:274nm
反応終了後の反応液を飽和ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、クロロホルムを回収しメタノールを加えて結晶化を行った。生じた結晶をグラスフィルターで濾過を行うことにより回収し、エバポレーターを用いて乾燥を実施して化合物(A)を分離した。
〔実施例2〜5〕
工程4の条件(使用する低級アルコールの種類、クロロホルムと低級アルコールとの体積比、反応温度、反応終了時間)を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にして工程1〜4を行って、Z体である化合物(A)を得た。実施例1と同様にして行ったHPLC定量分析によるZ体の反応収率及びE体含量の結果を表1に示す。尚、表1には実施例1における工程4の条件及び結果も併せて示す。
Figure 0004659110
〔実施例6〕
工程4において、エチレングリコールに代えてn−プロパノールを使用し、クロロホルムとn−プロパノールとの体積比、反応温度及び反応終了時間を表2の通りに変更した以外は実施例1と同様にして工程1〜4を行って、Z体である化合物(A)を得た。
反応終点での目的物Z体(化合物(A))の生成量を、実施例1と同様のHPLC定量分析によって求めたところ、34.04gであった。これは反応収率88.6%に相当する。このときの異性体E体含量は、E/Zで表すと3.76%であった。
反応終了後の反応液を飽和ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、クロロホルムを回収しメタノールを加えて結晶化を行った。生じた結晶をグラスフィルターで濾過を行うことにより回収し、エバポレーターを用いて乾燥を実施して34.52gの化合物(A)を分離した。これは収率89.8%に相当する。分離した化合物(A)の品質を実施例1と同条件のHPLC分析にて確認したところ、異性体であるE体含量はE/Zで表すと1.86%であり、E体類縁の不純物は検出されず、不純物含量が極めて少ない高品質であることが確認できた。本実施例と同様の操作を別途2回行ったところ、異性体であるE体含量E/Zはそれぞれ2.02及び1.93となり、E/Zの値のばらつきが小さいことが確認された。
〔実施例7〕
前記化合物(1)を出発物質として用いて、以下の手順(以下、工程1’ともいう)により前記化合物(2)を製造した。
化合物(1)71.48g(0.104モル)を窒素雰囲気下、乾燥DMF640mLに溶解して、−30℃に冷却した。次いで−30〜−20℃で28%アンモニア水17.76g(0.292モル;2.8倍モル相当)を少量ずつ滴下した。滴下後−30〜−20℃で、1時間熟成した。
反応終了後、反応液に5%塩酸を加えてpHを4〜5に調整した後、酢酸エチル1.92Lを加え、0℃で有機層を分離した。次いで、分離した有機層を飽和食塩水で2回洗い、更に、この有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した。
次に、この脱水後の有機層を減圧下に濃縮し、油状の化合物(2)38.0g(純度93.3%、収率70.0%)を得た。得られた化合物(2)は、各種分析により同定した。以下に同定データを示す。
(同定データ)
1H−NMR(δ,CDCl3
3.41(1H,d,j=18.5)、3.59(1H,d,j=18.5)、4.92(1H,d,j=4.9)、5.82(1H,d,d,j=4.9,9.3)、6.12(1H,d,j=9.3)、3.58(1H,d,j=16.1)、3.67(1H,d,j=16.1)、7.40−7.28(5H,m)、4.39(1H,d,j=11.9)、4.50(1H,d,j=11.9)、5.20(2H,s)、7.32(2H,d,j=8.6)、6.88(2H,d,j=8.6)、3.80(3H,s)
・FT−IR(cm-1,KBr)
3449cm-1、3271cm-1、1778cm-1、1251cm-1
・FAB−MS
M+1:487m/z
得られた化合物(2)を用いて、実施例6と同条件にて(工程2)〜(工程4)の反応を実施して、目的物Z体(化合物(A))を得た。
反応終点での目的物Z体(化合物(A))のHPLC定量分析を実施したところ、Z体は33.58g(反応収率87.4%)であり、E体含量はE/Zで表すと5.67%であった。この時点で実施例6と比較すると、実施例7は反応収率が約1.4%低く、不純物E体は約1.9%多く生成していることがわかった。
〔実施例8〜13〕
工程4の条件(クロロホルムとn−プロパノールとの体積比、反応温度、反応終了時間)を表2の通りに変更した以外は実施例6と同様にして工程1〜4を行って、Z体である化合物(A)を得た。実施例1と同様にして行ったHPLC定量分析によるZ体の反応収率及びE体含量の結果を表2に示す。尚、表2には実施例6及び7の条件及び結果も併せて示す。
Figure 0004659110
〔比較例1〜4〕
比較例1〜3においては、工程4の条件(低級アルコールの種類、クロロホルムと低級アルコールとの体積比、反応温度、反応終了時間)を表3の通りに変更した以外は実施例6と同様にして工程1〜4を行って、Z体である化合物(A)を得た。比較例4においては、工程4の条件を表3の通りに変更した以外は実施例7と同様にして工程1’及び工程2〜4を行って、Z体である化合物(A)を得た。実施例1と同様にして行ったHPLC定量分析によるZ体の反応収率及びE体含量の結果を表3に示す。
Figure 0004659110
比較例4について、実施例6と同様にして化合物(A)を結晶化し、その品質を確認したところ、異性体であるE体含量はE/Zで表すと3.96%であり、不純物含量が高いことが確認された。また、本比較例と同様の操作を別途2回行ったところ、異性体であるE体含量E/Zはそれぞれ3.67及び4.21となり、E/Zの値のばらつきが大きいことも確認された。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表される3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物と、下記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドとを、塩素化炭化水素と低級アルコールとを体積比(前者:後者)10:1〜10:0.2で混合してなる混合溶剤中で、+5℃〜−50℃で反応させて、下記一般式(A)で表される3−[2−(4−メチルチアゾール−5−イル)ビニル]−3−セフェム化合物を得ることを特徴とするセフェム化合物の製造方法。
    Figure 0004659110
    (式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
    Figure 0004659110
    Figure 0004659110
    (式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
  2. 前記低級アルコールがジオール類である請求項1記載のセフェム化合物の製造方法。
  3. 下記工程1〜3を順次行うことにより前記一般式(I)で表される3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物を得た後、得られた3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物と、前記式(II)で表される4−メチルチアゾール−5−カルボアルデヒドとを反応させる請求項1記載のセフェム化合物の製造方法。
    工程1:下記一般式(1)で表される塩素化アゼチジノン誘導体とアルコラートとを、アルコールを含む溶媒中で、pH8以下で反応させて、下記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶を得る。
    Figure 0004659110
    (式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。R3は置換若しくは非置換のアリール基又は置換若しくは非置換の複素環残基を示す。)
    Figure 0004659110
    (式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
    工程2:工程1で得られた前記一般式(2)で表される3−クロロメチル−3−セフェム誘導体の結晶に、トリフェニルホスフィン及びヨウ化ナトリウムを反応させて、下記一般式(3)で表される3−トリフェニルヨウ化ホスホニウムメチル−3−セフェム化合物を得る。


    Figure 0004659110
    (式中、R1,R2は置換又は非置換の芳香族炭化水素基を示す。)
    工程3:工程2で得られた前記一般式(3)で表される3−トリフェニルヨウ化ホスホニウムメチル−3−セフェム化合物を、水酸化ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムと反応させて、前記一般式(I)で表される3−[(トリフェニル−ホスホラニリデン)メチル]−3−セフェム化合物を得る。
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WO1998058932A1 (fr) * 1997-06-24 1998-12-30 Meiji Seika Kaisha, Ltd. Procede pour l'elaboration selective de z-isomeres de 3-(vinyl substitue en 2) cephalosporines

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