JP4658664B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

Description

本発明は、印字ヘッドが多数のノズルを備えており、コントローラにより、印刷媒体に対する印字ヘッドの相対移動と印字ヘッドからのインク滴吐出を制御し、印刷媒体に作画を行うようにしたインクジェットプリンタに関する。

多数のノズルを有するインクジェット印字ヘッドによって、所定のバンド幅で順次印刷媒体に印字作画を行うインクジェットが従来知られている（例えば特許文献１参照）。
特開２０００−１５３６０５号公報

多数のノズルを有する印字ヘッドで印字を行なう場合、例えばその印字幅の中に空白の文字などがあるときには、空白部に位置するノズルからはインクが吐出されないため、使用されているノズル数が変化するという現象が起こる。そのとき、インクが吐出されているノズルにおいては吐出速度の変化が微妙に出るため、その部分においては周りに比べて印字位置が微妙にずれてしまい印字品質が悪くなるという現象が起こる。また空白文字の部分に限らず通常の印字においても使用されるノズル数の変化は起こっているので、空白文字の部分ほど目立たないが、同じ様に印字品質の低下が起こっている。そのためこれを解消するために印字位置を複雑に構成したり、印字ヘッドの走査回数を増やしたりして解消する技術もあるが、このような対応を行なうと印字スピードの低下になり、ある程度のスピードで印字を行ないたい場合には適切ではない。
本発明は上記問題点を解決することを目的とするものである。

上記目的を達成するため本発明は、印字ヘッドが多数のノズルからなるノズルアレイを備えており、コントローラにより、印刷媒体に対する印字ヘッドの相対移動と印字ヘッドからのインク滴吐出を制御し、印刷媒体に作画を行うようにしたインクジェットプリンタであって、前記コントローラが、前記印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率に対する吐出波形を規定する補正テーブルと、画像データに対する前記印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率を判断するノズルアレイインク吐出率判断手段と、前記ノズルアレイインク吐出率判断手段の判断データと前記補正テーブルとを参照するテーブル参照手段と、該テーブル参照手段の参照結果に基づき前記印字ヘッドへの駆動信号を補正する信号を生成する補正信号生成手段とを備え、作画時、印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率に応じて該印字ヘッドの各ノズルの駆動素子に供給する駆動パルスを補正するようにしたものである。
また本発明は、前記コントローラは、前記駆動パルスの電圧の大きさを補正するようにしたものである。
また本発明は、前記コントローラは、前記駆動パルスのパルス幅を補正するようにしたものである。

本発明は空白文字があるときやノズルの使用が一部されない印字があるときなど、印字ヘッドのノズルの吐出個数に対する変化がある場合において起こる印字品質の悪化の現象を改善することができる。

以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図８は本発明の一実施形態を示すカラーインクジェットプリンタの構成を示すブロック説明図である。図示するように、カラーインクジェットプリンタ２には、スキャナ４が接続されたコンピュータ６が接続されている。コンピュータ６はスキャナ４等から取り込まれた画像を種々のアプリケーションプログラムにより扱うことができる。

このアプリケーションプログラムから画像の印刷指令が出されると、コンピュータ６は、内部に備えられたプリンタドライバを起動して印刷イメージデータをプリンタ２で印刷可能な印字データに変換し、プリンタ２に出力する。プリンタ２はこの印刷データを受け取って、後述する吐出ノズル数変化対策制御を実行しつつ画像を印刷する。この吐出ノズル数変化対策制御は、プリンタ２のコントローラのメモリ８に格納されたプログラムによって実行されるように構成されている。

プリンタ２は、インターフェース１０、駆動部制御部１２、主走査駆動部１４、副走査駆動部１６、印字ヘッド駆動部１８、ラスタデータ格納部２０からなるコントローラと、複数の印字ヘッド２２（１個のみ図示）を含んで構成され、印刷媒体２４上にインク滴によりドットを形成することで印刷を行う。駆動部制御部１２は、主走査駆動部１４あるいは副走査駆動部１６による印字ヘッド２２あるいは印刷媒体２２の駆動量及び駆動タイミングなどを制御するものである。主走査駆動部１４は、印字ヘッド２２を、図８中、主走査方向に駆動するためのものである。

副走査駆動部１６は、印刷媒体２４を副走査方向に所定量だけ搬送すべく駆動する。印字ヘッド駆動部１８は、ラスタデータ格納部２０に格納された印刷イメージデータに基づき、パルス発振器１９から発振された駆動パルスを印字ヘッド２２のノズルアレイ（ノズル配列）を構成する１列状又は複数列状の多数のノズル２６の所要のものに供給しこれらを駆動する。パルス発振器１９の出力パルスは、電圧変換回路２１を介して、印字ヘッド駆動部１８に供給され、印字ヘッド２２の駆動は印字ヘッドを選択する分配出力器（図示省略）を介して、所要のノズルの駆動素子にパルス電気信号を印加することによって行われる。前記印字ヘッド駆動部１８には、駆動部制御部１２から駆動パルス補正信号を受けて、駆動パルスを補正し、補正駆動パルスを印字ヘッド２２に出力する駆動パルス補正部が設けられている。印字ヘッドのノズルアレイの各ノズルからインク滴が印刷媒体２４に吐出され、印刷媒体２４上で所定の大きさのドットを形成する。

コンピュータ６からプリンタのコントローラに送られた印刷イメージデータは、コントローラで、プリンタが出力可能なシアン、マジェンタ、イエロー、ブラックの４つのインク色に変換され、ビットマップデータ２８（図３参照）の形態で、コントローラのラスタデータ格納部２０に格納される。印字ヘッド２２は、所要数のノズルが一定のノズルピッチで配設されたノズルアレイを有している。コントローラ１２には、吐出ノズル数変化対策制御プログラムに使用される、図９に示す、ノズルアレイの未吐出ノズル数の割合即ちインク吐出率とこれに対応する吐出電圧の値からなる補正テーブル４０が予め構築されている。プリンタのコントローラは、ノズルの駆動素子（図示省略）に供給される基本駆動パルス３０（図４Ａ参照）の電圧値を補正するための補正信号を生成する。この補正信号は、電圧変換回路２１の制御部に供給され、電圧変換回路２１によって駆動パルスの電圧値が変換される。この動作を以下に説明する。

コントローラのノズルアレイのインク吐出率判断部３２は、図１に示す、白抜き文字３４を含む画像３６を印刷する場合、予め、画像３６のビットマップデータ２８を解析し、印字ヘッド２２の、画像印刷に際しての、主走査線上における各ポジションでの、全ノズル数に対する未吐出ノズル数の割合を演算する。そして、コントローラのテーブル参照部３８は、この割合に基づいて、補正テーブル４０を参照し、駆動パルスの適正値即ち補正値を選択する。補正信号生成部４２は、この補正テーブルの参照結果に基づき、基本駆動パルス３０の電圧値を補正するための、印字ヘッド２２の位置情報を含む補正信号を生成し、該補正値を一時、メモリに保管する。

印刷時、上記補正信号は、出力部４４から、電圧変換回路２１の制御部に供給され、ここで、基本駆動パルスの電圧が補正される。この補正された駆動パルス４６が、印字ヘッド２２の駆動素子に供給され、印刷媒体２４に白抜き文字を含む画像３６が印刷される。図６，７は、印字時における駆動パルスの電圧の大きさが示され、図６では、未吐出ノズルの割合に応じて、電圧を直線的に変化させ、図７では段階的に変化させている制御状態を示している。図１において、画像３６の印字位置Ｐ１〜Ｐ５における、印字ヘッド２２はＨ１〜Ｈ５で示され、インクを吐出するノズルは黒丸で表示され、未使用ノズルは白丸で表示されている。この、印字ヘッド２２の、画像の各ポジションにおけるノズルアレイのインク吐出率に基づいて、印字ヘッド２２の、画像３６を印字する、各ポジションにおける、駆動パルスの電圧値が、電圧変換回路２１により、コントローラの補正信号生成部４２により予め生成され出力部４４から逐次出力される補正信号により、適正な値に補正される。

図４Ａは、基本駆動パルス３０の波形の一例を示し、図４Ｂは、印字時における印字ヘッド２２のインク吐出ノズルの使用、未使用状態を示している。駆動パルス３０の波形は実際には図示する形状より複雑な形状のパルスを使用することが多く、ここでは説明の便宜上、単純なパルス形状で図示している。図中、印字ヘッドＨ６は、ノズルアレイのインク吐出率１００％、印字ヘッドＨ７は、吐出率５０％、印字ヘッドＨ８は、吐出率２５％の状態の印字ヘッド２２を示している。図５Ｃは、印字ヘッド２２に供給される補正後の駆動パルス４６を示している。パルス４６の中、パルスａ１は、インク吐出率１００％の印字ヘッドＨ６に対応し、パルスａ２は、インク吐出率５０％の印字ヘッドＨ７に対応し、パルスａ３は、インク吐出率２５％の印字ヘッドＨ８に対応している。

図２は、印字ヘッド２２のノズルアレイのインク吐出率が１００％ｔｏ５０％に移行する状態を示し、インク吐出ノズルは黒丸で、未使用ノズルは白丸で表示されている。
上記実施形態では、印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率に応じて、駆動パルスの電圧を補正しているが、図５Ｄに示すように、駆動パルス４６のパルス幅を印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率に応じて変化させる構成としても良い。この場合には、これに対応した補正テーブルをコントローラに構築し、パルス発振器１９にパルス幅変調器を接続してこれを補正信号で制御するようにする。

これら補正テーブルにおける、インク吐出率に対応する駆動パルスの電圧値又はパルス幅は、予め実験により求めておき、補正テーブル４０としてコントローラのメモリに格納しておく。印字ヘッドは、圧電式、静電式その他の電気パルスで駆動する方式の構造のものを使用できる。また、本発明は、ホストコンピュータにオンラインで接続するプリンタに特に限定されるものではなく、コントローラに、ＣＤその他のメディアに記録された印刷データを処理するプログラムを備え、インターフェース１０に接続されたメディア読み取り装置を通じて、プリンタに取り込み、印字できる構成であっても良い。

なお、白抜き画像３６の印字において、白抜き文字対策が実施されない場合には、基本駆動パルスにより駆動されるノズルアレイのインク吐出率１００％の印字ヘッド２２からは、図５Ｂに示すように、実線で示す飛行軌跡Ｊ１を描いてインク滴が吐出され、印刷媒体２４にドットｄが形成される。しかるに、印字ヘッド２２のノズルアレイのインク吐出率が例えば、５０％に変化すると、印字ヘッド２２から吐出されるインク滴の飛行軌跡Ｊ２が、図５Ａの実線で示すように、吐出力が弱まり飛行距離が印字ヘッド２２の主走査方向のスピードとの関係で、伸びてしまい、変化してしまう。

これにより、インク吐出率１００％の印字ヘッドの飛行軌跡Ｊ１に比し、弾着点がずれ、位置ずれ（ｓ）が生じる。このずれ（ｓ）が１００％のインク吐出率の印字ヘッド２２によって印刷媒体２４上に形成されるドット列間の間隔ｍ１と５０％のインク吐出率の印字ヘッド２２によって印刷媒体２４上に形成されるドット列間の間隔ｍ２との間に差異を生じさせ、これが印字品質の悪化を生じさせる。

５０％インク吐出率の印字ヘッド２２のインク滴の飛行軌跡Ｊ２を、１００％インク吐出率の印字ヘッド２２のインク滴の飛行軌跡Ｊ１に是正するには、、５０％インク吐出率の印字ヘッド２２の駆動素子に印加される駆動パルスの電圧を所定量増加させるか、あるいは、駆動パルスのパルス幅を広げることにより実現できる。そこで本発明は、印刷前に、印字データを解析して、白抜き部分や吐出出ノズル数の変化が起こる部分が見つかった場合には、その部分に対して、駆動パルスの電圧を上げたり、パルス幅を広くしたりする補正を行うことにより、白抜き文字印字など吐出出ノズル数の変化が起こる部分での不具合を解消し、良好な印字結果を得るようにしたものである。

本発明の説明図である。 本発明の説明図である。 本発明の説明図である。 本発明の説明図である。 本発明の説明図である。 本発明の説明図である。 本発明の説明図である。 本発明に係るプリンタの機能ブロックの説明図である。 本発明の説明図である。

符号の説明

２ プリンタ
４ スキャナ
６ コンピュータ
８ メモリ
１０ インターフェース
１２ 駆動部制御部
１４ 主走査駆動部
１６ 副走査駆動部
１８ 印字ヘッド駆動部
１９ パルス発振器
２０ ラスタデータ格納部
２１ 電圧変換回路
２２ 印字ヘッド
２４ 印刷媒体
２６ ノズル
２８ ビットマップデータ
３０ 基本駆動パルス
３２ ノズルアレイインク吐出率判断部
３４ 白抜き文字
３６ 画像
３８ テーブル参照部
４０ 補正テーブル
４２ 補正信号生成部
４４ 出力部
４６ 補正駆動パルス

Claims (3)

1. 印字ヘッドが多数のノズルからなるノズルアレイを備えており、コントローラにより、印刷媒体に対する印字ヘッドの相対移動と印字ヘッドからのインク滴吐出を制御し、印刷媒体に作画を行うようにしたインクジェットプリンタであって、前記コントローラが、前記印字ヘッドのノズルアレイのノズル数に対する未吐出ノズル数の割合であるインク吐出率に対する吐出波形を規定する補正テーブルと、画像データに対する前記印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率を判断するノズルアレイインク吐出率判断手段と、前記ノズルアレイインク吐出率判断手段の判断データと前記補正テーブルとを参照するテーブル参照手段と、該テーブル参照手段の参照結果に基づき前記印字ヘッドへの駆動信号を補正する信号を生成する補正信号生成手段とを備え、作画時、印字ヘッドのノズルアレイのインク吐出率に応じて該印字ヘッドの各ノズルの駆動素子に供給する駆動パルスを補正するようにしたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
2. 前記コントローラは、前記駆動パルスの電圧の大きさを補正するようにしたことを特徴とする請求項１に記載のインクジェットプリンタ。
3. 前記コントローラは、前記駆動パルスのパルス幅を補正するようにしたことを特徴とする請求項１に記載のインクジェットプリンタ。
   
   

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