JP4658550B2 - 発泡材付きパイプの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂パイプの周りに樹脂発泡材(保温材)を被覆する新規な方法を提供するものである。
近年、給水・給湯用のパイプとしてポリブテンにて代表される樹脂パイプが広く用いられるようになり、寒冷地にあっては特に樹脂パイプの回りにポリエチレンにて代表される樹脂発泡材を被覆する手段が取られている。
この樹脂パイプの周りにポリエチレン発泡材(保温材)を被覆する方法としては、シート状の発泡材を円形に絞りながら樹脂パイプの周りを覆い、紋りきる直前にシート端部を熱風で融解し、被覆終了後の径よりわずかに小さい径を持つ中空のダイスに通して融着面を接合し、次いで融着箇所を冷却して固化し、その後中空ダイスより発泡材付きパイプを圧縮コンベア等を設置して連続的に引き抜く方法が行われている。
上記の製造過程にあって、発泡材の外周部と中空ダイスの内面とで摩擦が生じることは避けられず、このため、発泡材は延伸された状態で中空ダイスから送り出されているのが現状である。しかるに、パイプの外周表面は発泡材の内周表面と接着していないので、中空ダイスから送り出されるパイプ自体は延伸していない。
従って、かかる製造方法によって得られる発泡材付きパイプは、実際の施工時に使用寸法に才断すると、発泡材の部分のみが10〜30cm収縮する現象が発生する。このことは、発泡材が伸ばされ、一方、パイプ自体は伸ばされていないため、発泡材が元の長さに戻ることが原因である。
かかる問題を解決する方法として、中空ダイスにエアーを吹き込み、中空ダイスと発泡材との間に隙間を作る方法、中空ダイスの内面に滑りの良いテフロン(登録商標)樹脂等を貼り付ける方法、中空ダイスの内面をテフロン(登録商標)樹脂コ−ティングする方法等が考えられている。
しかるに、エア−の吹き込みの方法にあっては、中空ダイスの入ロ及び出口が開放されているため、ここからエアーが漏れ、従って部分的にしか摩擦低減効果がない。一方、テフロン(登録商標)樹脂を貼り付けたり、コ−ティングする方法にあっては、摩擦低減レベルが低く、効果が小さく、又、時間の経過とともにテフロン(登録商標)樹脂及びコ−ティングが荒れて効果が低減してしまうことともなる。
本発明は、上記のような発泡材付きパイプの製造方法にあって、発泡材の外周部と中空ダイスの内面との摩擦を本質的に低減させ、才断時に発泡材の収縮が少ない製造方法を提供するものである。
本発明は、上記した方法によって樹脂パイプの周りにポリエチレンにて代表される発泡材を被覆する際、ダイスとの間にライナーを入れることで、発泡材にかかる摩擦抵抗を減少し、才断時における発泡材の収縮を少なくすることを提案するものであって、具体的には、シート状の発泡材を円形に絞りながら樹脂パイプの周りを覆い、紋りきる直前にシート端部を熱風で融解し、被覆終了後の径よりわずかに小さい径を持つ中空のダイスに通して融着面を接合し、次いで融着箇所を冷却して固化し、その後中空ダイスより発泡材付きパイプを連続的に引き抜く方法において、樹脂パイプの周囲を覆う発泡材とダイスとの間にライナ−を挟み込ませ、これを発泡材付きパイプと同時に引き抜く方法によって発泡材付きパイプを製造するものである。
そして、かかる発明を更に効果的にするために、融着直後に当該箇所を強制冷却するのがよく、更には、発泡材端部の融着に当って電熱コテをシ−トの端部に押し付けて融着するさせるのがよい。
本発明の製造方法によって得られた発泡材付きパイプは、使用時にこれを才断した際、発泡材の伸びが低減しているため、発泡材の収縮は、勿論、パイプの太さや発泡材の種類によっても異なるが、ほぼ10〜30cm(/パイプ2.5m)から3〜6cm(/パイプ2.5m)に減少した。
樹脂パイプの周りにポリエチレンにて代表される発泡材(通常は保温材として用いられる)を被覆して引き出す際、発泡材とダイスとの間にライナーを入れ、ライナ−、発泡材、パイプを同時に引き出すものであり、発泡材にかかる摩擦抵抗を減少して製品化するもので、摩擦抵抗が小さい分だけ、発泡材に加わる伸びの割合が小さくなる。従って、これを才断した際にも、発泡材が伸びていない分だけ収縮を少なくする技術内容である。即ち、発泡材の延伸の抑制をライナ−を介在させることによって行うものである。適用可能なパイプの外径は特に限定するものではないが、例えば、12〜30φであり、更に大きい径のパイプも適用可能である。
発泡材は通常はポリエチレンであり、その表面にポリエチレンフィルムが形成されている。この他、ポリプロピレン、ポリスチレン、フェノ−ル、ポリウレタン等にて代表される樹脂発泡材が用いられる。発泡材として、JIS・A・9511にて列挙される発泡材が用いられることは勿論である。発泡材の厚さは、好ましくは3〜20mmである。融着温度は150〜350℃である。
ライナ−としては、ナイロンライナ−が上げられるが、伸びの小さいライナ−シ−ト、例えば、アクリルライナ−、ポリエステルライナ−、ビニロンライナ−、ガラス繊維のライナ−、不織布等も用いられる。ライナ−の厚さは0.1〜3mm程度である。
そして、ライナ−はパイプの長手方向に向かって発泡材の外表面を覆ってなるもので、発泡材の外周表面の50%以上、できれば80%以上を覆うことが好ましい。ライナ−の幅が狭いと発泡材をカバ−する範囲(面積)が小さくなり、その効果が発揮できなくなるからである。又、厚さも発泡材の厚さの約1/5〜1/20程度がよく、厚過ぎると発泡材を圧縮する作用をしてしまい、保温材を圧縮し融着面の融着強度が低下する。
発明の好ましい形態の第1としては、冷却ゾ−ンの新設である。即ち、ダイスの後半部に急冷ゾ−ン(4〜10℃、好ましくは5〜8℃)を設けるものであり、これによって融着加工直後の強制固化及び強制収縮を行い、融着加工後の発泡材の収縮を減少させることができるようになったものである。
発明の好ましい形態の第2としては、電熱こての新設である。即ち、発泡材の端部の融着に当って、この部位にだけ電熱こてを当てて処理するものであり、融着が確実となると共に、熱風の温度をそれだけ下げることに成功したものである。電熱こての温度は250〜300℃であり、これに対し、熱風の温度は150〜300℃程度にすることができたものである。
これらの好ましい形態を実施することにより、融着箇所の強度が7〜10N程度から10〜24N程度に向上し、又、融着スピ−ドが7〜8m/分から倍近くまで向上したものである。
図1は本発明の発泡材付きパイプの第1の製造方法の概念図を示すものであり、図中、符号1はポリブテン製のパイプであり、2は保温材となるポリエチレンフィルム表皮の付いたポリエチレン発泡材である。この発泡材2は当初はシ−ト状をなしている。これをパイプ1の外周表面に添わせつつ順次円形に絞るものであり、そのシ−トの突き合わせ部分2a、2b近傍を任意の手段で加熱し、これを溶融状態とした後に突き合わせて一体に融着させ、発泡材2付きパイプ1とする。3はダイスであり、発泡材2付きパイプ1をこの中に通して両者を緊密に接触させ、発泡材付きパイプとしての形を整えることになる。この場合、両者の間は接着しておらず、単に緊密に接触している状態である。一体に融着させるためにその後冷却・固化することとなるが、冷却方法は自然冷却で十分である。
さて、従来の製造方法にあっては、ダイス3の後方に備えた引き抜き装置4にて発泡材付きパイプをダイス3より引き抜いて製品とするが、ダイス3を通過する際に、ダイス3の内表面と発泡材2の外表面とが接触し、大きな摩擦抵抗をもたらすことになる。しかるに、発泡材2及びパイプ1は接着していないために、ダイス3より引く抜かれた製品の状態は、発泡材2が摩擦により引き抜き方向に伸ばされた状態の製品となる。このため、例えば5mに切断された発泡材付きパイプをその中央にて裁断すると、全く伸ばされていないパイプ1と伸ばされた状態で取り出された発泡材2との挙動が異なってしまい、発泡材2は元の長さに戻ろうとして現象的には収縮を始め、10〜30cm程度の収縮が生じ、パイプ1の先端がむき出しの状態となってしまう。
本発明の製造方法にあっては、敢えて言えば、ダイス3の内表面と発泡材2の外表面との接触摩擦の影響を和らげようとしてダイス3と発泡材2との間にライナ−10を挿入し、このライナ−10を発泡材2の表面に添わせながらダイス3より引き抜いてなるものである。ライナ−10としては例えば、柔軟性があり、しかも引っ張り強度の高い、かつ、摩擦抵抗の小さいものが好んで用いられ、具体的にはナイロンシ−トが用いられる。このライナ−10は、図にあっては発泡材2に対して一枚用い、ダイス3に入る前で、発泡材2の外表面にその表面積の50%以上好ましくは80%以上を覆った状態でその長手方向に向けて添わせ、ダイス3中を発泡材2と共に通過し、パイプ1、発泡材2、ライナ−10を同時に引き抜くもので、その後、ライナ−10を剥離して発泡材2付きパイプ1が得られることになる。以上の製造方法にあって、熱風7の温度は150〜350℃(好ましくは250℃以上)であり、融着スピ−ドは7m/分であった。
図中、A−A、B−B、C−Cの各断面を夫々(a)、(b)、(c)にて示す。
かかる製品は、例えば5mに才断され、これの中央を更に才断した場合に、発泡材2のいわゆる収縮は、3〜6cm程度であり、従来の製品の欠点をほとんど解決したものとなった。
尚、ここで用いたパイプは15φポリブテンパイプであり、発泡材2としては厚さ5mmのポリエチレンを用いた。ライナ−は厚さ1.5mmのナイロンライナ−を用い、発泡材の外表面の80%を覆うものであった。
図2は本発明のパイプの製造方法の更に好ましい例を示す概念図である。図中、符号1〜4、10は図1と同じであり、ここでは説明を省略する。さて、この例ではダイスの一部、特に発泡材の溶融部位に対応して冷却ゾ−ン6を備えたものである。この冷却ゾ−ン6は好ましくは5〜8℃に維持されるものであり、かかる急冷ゾ−ンを通すことにより、融着加工直後の強制固化、強制収縮を行い、融着加工後の発泡材の収縮を減らすこととなったものである。
又、発泡材の突き合わせ部2a、2bの融着のために特に電熱こて5を備えたものである。この電熱こて5は250〜300℃に維持させたものであり、両者の融着を完全にすると共に、一方で、熱風7の温度は150〜300℃とすることができ、前例と比較してやや低温域でよいという特徴が出る。
更に言えば、熱風7のみの熱で融着を行っていたものを、発泡材2の表面のフィルムに電熱こて5をもって加熱するため、発泡材2に必要以上の熱を与えることがなくなり、かつこのフィルム部分が局所的に溶解し、必要部分のみの融着が可能となったものである。このように、電熱こて5にて表皮が融着一体化するため、表皮の部分の強度アップすることができると共に、融着スピ−ドが早くでき、更に成形後の保温材の収縮を小さくできたものである。
表1は比較例及び実施例1〜3における製造方法及びその結果を示したものであり、ライナ−を用いること(実施例1)によりライン速度即ち融着スピ−ドが早くなり、発泡材の収縮量を小さくすることができる。実施例2は冷却ゾ−ンをこれに加えたものであり、融着スピ−ドが更に早くなり、収縮量も更に小さくなることが分かる。実施例3はこれに更に電熱こてをもって融着したものであり、融着スピ−ド及び収縮量も特に小さくできたものである。尚、融着強度も順次強度が向上することも明らかになったものである。
Figure 0004658550
本発明は以上のようにパイプの外表面を接着をすることなく発泡材にて覆うことが可能となったものであり、特に寒冷地での配管時の作業性を向上させることができることとなったものであり、樹脂パイプのみならず鉄製のパイプにも適用できることは言うまでもなく、更には、電力線等における保温材の被覆にも利用可能である。
図1は本発明の製造方法の第1例を示す概念図である。 図2は本発明の製造方法の第2例を示す概念図である。
符号の説明
1‥パイプ、
2‥発泡材、
2a、2b‥突き合わせ部、
3‥ダイス、
4‥引き抜き装置、
5‥電熱こて、
6‥冷却ゾ−ン、
7‥熱風、
10‥ライナ−。

Claims (7)

  1. シート状の発泡材を円形に絞りながら樹脂パイプの周りを覆い、紋りきる直前にシート端部を熱風で融解し、かつ電熱コテをシート端部に押し付けて融着し、被覆終了後の径よりわずかに小さい径を持つ中空のダイスに通して融着面を接合し、次いで融着箇所を冷却して固化し、その後中空ダイスより発泡材付きパイプを連続的に引き抜く方法において、樹脂パイプの周囲を覆う発泡材とダイスとの間にナイロンライナーを発泡材の外周表面の80%以上覆うように挟み込ませ、これを発泡材付きパイプと同時に引き抜くことを特徴とする発泡材付きパイプの製造方法。
  2. 発泡材がポリエチレン発泡材である請求項1記載の発泡材付きパイプの製造方法。
  3. ナイロンライナーの厚みは発泡材の厚みの1/10以下である請求項1又は請求項2に記載の発泡材付きパイプの製造方法。
  4. ナイロンライナーは発泡材の外周表面をパイプの長さ方向に沿って直線状に覆う請求項1乃至3いずれか1項記載の発泡材付きパイプの製造方法。
  5. 融着直後に当該箇所を強制冷却する請求項1乃至4いずれか1項記載の発泡材付きパイプの製造方法。
  6. 発泡材付きパイプを5〜8℃に維持されたダイスの一部に設けられた冷却ゾーンに通すことにより強制冷却する請求項5記載の発泡材付きパイプの製造方法。
  7. 電熱コテの温度が250〜300℃である請求項6記載の発泡材付きパイプの製造方法。
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