JP4657654B2 - スポット空調装置 - Google Patents
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Description
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、低温または高温の空気が継続して作業者に当たり作業者に不快感をもたらすおそれを容易,確実に解消することができるスポット空調装置を提供することを目的とする。
請求項4のスポット空調装置は、外部の水熱媒管と制御弁を介して接続される空気−水熱交換器である冷温熱交換手段およびフアンである送風手段を内部に備えた空調機からの空調空気を、給気管路を介しさらに分岐する分岐管路を介して作業者の近傍に配設される複数の吹出口に導き、前記吹出口から作業者に向けて吹き出すスポット空調装置において、前記給気管路には、給気温度を計測する給気温度計、および給気風量を演算するためのダクト内圧を計測する給気圧力計を有し、前記給気温度計からの温度信号および前記給気圧力計からの圧力信号に基づいて、設定給気温度および設定給気圧力との偏差により前記冷温熱交換手段の制御弁および前記送風手段を制御し、前記設定給気温度を所定の周期で変動させることで前記吹出口から吹き出される前記空調空気の給気温度を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる変動モード時に、前記吹出口から吹き出す給気風量の合計値を設定する前記設定給気圧力を所定の周期で変動させて前記送風手段の回転数を制御することを特徴とする。
また、変動することで作業者の快適感を損なうことなく、給気温度差をさらに大きくとれることから、給気風量が小さくできるので搬送動力を低減できる。また、変動することで、作業者は給気温度変化による温冷感が向上し、そのため給気風量の平均値をさらに低くしたり、給気温度差の平均値を上げても同じ空調効果をもたらし、大きく省エネルギが図れる。
請求項2のスポット空調装置では、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる時に、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる周期関数の1周期をN値の間隔に分割し、前記間隔内において前記給気温度設定値を同一の値に維持するよう演算し、隣り合う前記間隔間では変動給気温度設定値を変更するように設定された変動演算部を備えるので、給気温度または給気風量を安定した状態で変動することが可能になり、また、演算を容易にすることができる。
請求項4のスポット空調装置では、設定給気温度を所定の周期で変動させる変動モード時に、吹出口から吹き出す給気風量の合計値を設定する設定給気圧力を所定の周期で変動させて送風手段の回転数を制御するので、設定給気圧力をもとに給気風量を演算することによって、吹出口から吹き出す給気風量を所定の周期で変動させることにより高い温冷感を得ることが可能になり、また、高いエネルギ削減率を得ることができる。
図1は、本発明のスポット空調装置の一実施形態が配置される機械製作工場,組み立て工場等の建家11を示している。
建家11内には、建家11内の空気の一部を空調し、作業者の存在する局所へ給気する空調機13が配置され、空調機13からの給気管路15が建家11の上部空間に延存されている。給気管路15から分岐して複数の分岐管路17が下方に向けて延存され、各分岐管路17の先端に吹出口19が形成されている。そして、この吹出口19からの空調空気が建家11内で働く作業者21に供給される。
空調機13内には、フィルタ25、冷温水コイル27、ファン29が収容されている。冷温水コイル27には、冷温水管31が接続され、冷温水管31には、冷温水弁33が配置されている。給気管路15には、圧力計35および温度計37が配置されている。圧力計35は給気管路15内の給気圧力(これをもとに給気風量を演算する)を測定する。また、温度計37は空調空気の給気温度を測定する。
この実施形態では、コントローラ23には、スイング運転を選択するスイッチボックス24が付属しており、SW1で通常運転、または後述するモード0、モード1、モード2、モード3およびモード4を選択し、SW2で決定と入力を行う。なお。スイッチボックス24には、選択内容等の表示を行う例えばLCDからなる表示部26が設けられている。
この演算部43は、スイング演算部47および調節部49を有している。
スイング演算部47は、目標値設定部51からの基準設定値を示す信号およびスイング動作調節値設定部53からのスイング動作調整値を示す信号を入力してスイング設定値を演算する。ここで基準設定値は、スイングを伴わない通常制御時に設定される値であり、給気圧力Psoおよび給気温度Tsoとされている。また、スイング動作調整値は、スイング動作の内容を設定する値であり、最大設定圧力Pmax、最小設定圧力Pmin、最大設定温度Tmax、最小設定温度Tmin、1周期時間tcおよび設定保持時間tkとされている。そして、スイング設定値は、各時刻における給気圧力および給気温度を示す給気圧力Ps(n)および給気温度Ts(n)とされている。
図4は、図3のコントローラ23により設定される変動制御運転の変動モードを示している。
(a)モード0
給気圧力をPsoからPminまで少なくし、給気温度をTsoからTminまで低くした運転である。低負荷時に設定温度を下げて、空調機13の冷却温度差を大きくすると、空調熱量が通常運転と同じで、給気風量を少なくでき、省エネルギが可能になる。すなわち、例えば、中間期になると建屋内の温度が低下し、空調機13の入口温度も30℃を下まわるようになり、冷却コイルの能力に余裕ができるため、特に、この中間期において、給気温度差を大きくし給気風量を少なくすることにより省エネルギを有効に図ることができる。
(b)モード1
給気圧力をPmaxとPminの間で変動つまりスイングし、給気温度をTmaxとTminの間で変動(スイング)させる運転である。給気圧力と給気温度の両者を変動(スイング)することにより作業者21の温冷感が増すので、空調能力の軽減が可能である。また、給気圧力設定の平均を通常の給気圧力Psoよりも低く、給気温度設定の平均を通常の給気温度Tsoよりも高く設定することで、省エネルギを図ることができる。なお、設定により、給気圧力と給気温度の設定値のピークをずらすようにしても良い。
(c)モード2
給気圧力をPsoより少なくし、給気温度をTmaxとTminの間で変動(スイング)させ、変動(スイング)する温度で温冷感を補う運転である。給気温度設定の平均を通常の給気温度Tsoよりも高く設定することで、省エネルギを図ることができる。搬送動力の軽減量はモード1よりも大きくなる。
(d)モード3
給気温度はTsoで一定とし、給気圧力をPmaxとPminの間で変動(スイング)させる運転である。空調能力は低下するが、給気圧力つまり給気風量の変化による温冷感の向上が見込まれる。省エネルギ効果は、送風動力と風量変化に伴う空調能力変化分となる。
(e)モード4
給気圧力を確保する必要がある設備や、直動方式の空調機13の運転で、給気圧力をPsoで一定とし、給気温度のみをTmaxとTminの間で変動(スイング)させる運転である。変動する給気温度の平均がTsoよりも高いときに、空調能力分が省エネルギとなる。
このスイング設定値設定方法では、周期関数にサインカーブを使用すると計算時間がかかるため、周期関数に2次曲線a,b,cを組み合わせて使用している。
図5において、横軸にはスイングカウント数nがとられ、縦軸には設定値SP(Set Point)がとられている。SPmaxは、図3に示した最大設定圧力Pmaxまたは最大設定温度Tmaxに対応する。また、SPminは、図3に示した最小設定圧力Pminまたは最小設定温度Tminに対応する。
△SP=((SPmax−SPmin)/N)×2
と定義すると、スイング設定値SPnは以下の式で求められる。
この実施形態では、16ビットの演算により充分な精度を得るために、スィング運転1周期の分割数Nにより場合分けを行っている。また、スイングカウント数nにより場合分けを行い重み付けを行って変動(スイング)の精度を確保している。
1≦n<N/4: SPn=SPmax−(△SP×(40(n−1)2/N))/10
N/4≦n<N/2: SPn=SPmin+(△SP×(40(N/2−(n−1))2/N))/10
N/2≦n<3N/4: SPn=SPmin+(△SP×(40((n−1)−N/2)2/N))/10
3N/4≦n≦N: SPn=SPmax−(△SP×(40(N−(n−1))2/N))/10
N>12の時
1≦n<N/4: SPn=SPmax−△SP×(4(n−1)2/N)
N/4≦n<N/2: SPn=SPmin+△SP×(4(N/2−(n−1))2/N)
N/2≦n<3N/4: SPn=SPmin+△SP×(4((n−1)−N/2)2/N)
3N/4≦n≦N: SPn=SPmax−△SP×(4(N−(n−1))2/N)
図6は、冷房時に変動制御運転が可能か否かを判断するための運転判断フローチャートを示している。このフローチャートでは、変動制御運転が可能な条件を設定し、各種の条件判断を行った上で変動制御運転が行われる。
次に、ステップS2では、冷房運転が行われているか否かが判断される。
次に、ステップS3では、変動運転が選択されているか否かが判断される。
次に、ステップS4では、変動運転の設定が条件に整合しているか否かが判断される。条件には、変動制御運転を行って良い建家11内の温度範囲やスイング設定値の確認条件等が設定されている。
次に、ステップS6では、給気温度が正常であるか否かが判断される。
次に、ステップS7では、給気圧力が正常であるか否かが判断される。
そして、ステップS1からステップS7の条件が全て満たされている時に、ステップS8の変動制御運転が行われる。また、ステップS6またはステップS7の条件が満たされていない時には、給気温度あるいは給気圧力に異常があるため、ステップS9の変動禁止処理として計測値が所定範囲内に復帰しても一定時間は変動制御を行わないようにしている。そして、ステップS2からステップS5のいずれか1の条件が満たされていない時には、ステップS10の通常運転が行われる。
先ず、ステップS1では、変動制御運転が許可されているか否かが判断される。この判断は図6のフローチャートのステップS8に基づいて行われる。許可されていない場合は、ステップS2において内部タイマーtの値を1に設定する。
次に、ステップS4では、内部タイマーtの値から1が減算される。この実施形態では、内部タイマーtの初期設定値は120秒とされている。
内部タイマーtの値が0である時には、ステップS6において、内部タイマーtの値が設定保持時間tk(この実施形態では120秒)に再設定され、スイングカウント数nに1が加算される。
次に、ステップS7では、スイングカウント数nがN+1であるか否かが判断される。N+1になっている時には、ステップS8においてスイングカウント数nが1に再設定される。
モード0が選択されていない時には、ステップS11において図4に示したモード1が選択されているか否かが判断される。モード1が選択されている時には、ステップS12において給気圧力Ps(n)および給気温度Ts(n)を図5に示したように計算する。
モード2が選択されていない時には、ステップS15において図4に示したモード3が選択されているか否かが判断される。モード3が選択されている時には、ステップS16において給気圧力Ps(n)を図5に示したように計算し、給気温度Ts(n)をTsoに設定する。
次に、モード4が選択されていない時には、変動制御運転が選択されていないと判断し、ステップS19において給気圧力Ps(n)をPsoに設定し、給気温度Ts(n)をTsoに設定する。
次に、ステップS21において温度制御出力計算が行われる。この計算は図3の調節部49で行われ、計算された値から求められた冷温水弁制御出力により冷温水弁33の開度が変更される。
風量が10,000m3/hの空調機13を想定し、各運転モードのエネルギ削減率を試算した。結果と想定した条件を示す。モード0では、給気風量(給気圧力)および給気温度の両者を低減することによりエネルギ削減率が19%になっている。モード1では、給気風量(給気圧力)および給気温度の両者をスイングすることによりエネルギ削減率が20%になっている。モード2では、給気風量(給気圧力)を低減し、給気温度をスイングすることによりエネルギ削減率が33%になっている。モード3では、給気風量(給気圧力)のみをスイングすることによりエネルギ削減率が14%になっている。モード4では、給気温度をスイングすることによりエネルギ削減率が6%になっている。
そして、上述したスポット空調装置では、吹出口19から吹き出される空調空気の給気温度を所定の周期でスイングさせることにより、低温の空気が継続して作業者21に当たり作業者21に不快感をもたらすおそれを容易,確実に解消することができる。また、給気温度の設定をスイングさせることで温冷感が増し冷水使用量が少なくてもスポット空調の効果が得られるので、熱源の消費エネルギを削減できる。
そして、図4に示したモード1のように、吹出口19から吹き出される空調空気の給気温度を所定の周期でスイングさせるスイングモード時に、吹出口19から吹き出す給気風量を所定の周期でスイングさせることにより高い温冷感を得ることが可能になり、また、高いエネルギ削減率を得ることができる。
そして、上述した空調空気のスイング設定値設定方法では、空調空気の給気温度または給気風量を所定の周期でスイングさせる周期関数の1周期をN個の間隔に分割し、分割された間隔内においてスイング設定値を同一の値に維持するようにしたので、給気温度または給気風量を安定した状態でスイングすることが可能になり、また、演算を容易にすることができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
(2)上述した実施形態では、コントローラ23を一体型にした例について説明したが、例えば、図11に示すように、スイング演算部47と圧力調整器61と温度調整器63とを分離し、分割型にしても良い。
15 給気管路
19 吹出口
23 コントローラ
27 冷温水コイル
29 ファン
33 冷温水弁
35 圧力計
37 温度計
43 演算部
47 スイング演算部
49 調節部
51 目標値設定部
53 スイング動作調節値設定部
55 制御調節値設定部
Claims (5)
- 外部の水熱媒管と制御弁を介して接続される空気−水熱交換器である冷温熱交換手段およびフアンである送風手段を内部に備えた空調機からの空調空気を、給気管路を介しさらに分岐する分岐管路を介して作業者の近傍に配設される複数の吹出口に導き、前記吹出口から作業者に向けて吹き出すスポット空調装置において、
前記給気管路には、給気温度を計測する給気温度計、および給気風量を演算するためのダクト内圧を計測する給気圧力計を有し、
前記給気温度計からの温度信号および前記給気圧力計からの圧力信号に基づいて、設定給気温度および設定給気圧力との偏差により前記冷温熱交換手段の制御弁および前記送風手段を制御し、前記設定給気温度を所定の周期で変動させることで前記吹出口から吹き出される前記空調空気の給気温度を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる変動モード時には、前記吹出口から吹き出す前記給気風量の合計値を設定する前記設定給気圧力を、変動を伴わない通常制御時の通常設定給気圧力値より小さくする
ことを特徴とするスポット空調装置。 - 請求項1記載のスポット空調装置において、
前記制御手段は、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる時に、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる周期関数の1周期をN値の間隔に分割し、前記間隔内において前記設定給気温度を所定の周期で変動させる給気温度の設定値を同一の値に維持するよう演算し、隣り合う前記間隔間では前記設定給気温度を所定の周期で変動させる給気温度の設定値を変更するように設定された変動演算部を備える
ことを特徴とするスポット空調装置。 - 請求項2記載のスポット空調装置において、
前記周期関数を複数の2次曲線を組み合わせて形成して演算する変動演算部を備える
ことを特徴とするスポット空調装置。 - 外部の水熱媒管と制御弁を介して接続される空気−水熱交換器である冷温熱交換手段およびフアンである送風手段を内部に備えた空調機からの空調空気を、給気管路を介しさらに分岐する分岐管路を介して作業者の近傍に配設される複数の吹出口に導き、前記吹出口から作業者に向けて吹き出すスポット空調装置において、
前記給気管路には、給気温度を計測する給気温度計、および給気風量を演算するためのダクト内圧を計測する給気圧力計を有し、
前記給気温度計からの温度信号および前記給気圧力計からの圧力信号に基づいて、設定給気温度および設定給気圧力との偏差により前記冷温熱交換手段の制御弁および前記送風手段を制御し、前記設定給気温度を所定の周期で変動させることで前記吹出口から吹き出される前記空調空気の給気温度を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記設定給気温度を所定の周期で変動させる変動モード時に、前記吹出口から吹き出す給気風量の合計値を設定する前記設定給気圧力を所定の周期で変動させて前記送風手段の回転数を制御する
ことを特徴とするスポット空調装置。 - 請求項4記載のスポット空調装置において、
前記制御手段は、前記設定給気圧力を所定の周期で変動させる周期関数の1周期をN値の間隔に分割し、前記間隔内において前記設定給気圧力を所定の周期で変動させる給気圧力の設定値を同一の値に維持するよう演算し、隣り合う前記間隔間では前記設定給気圧力を所定の周期で変動させる給気圧力の設定値を変更するように設定された変動演算部を備える
ことを特徴とするスポット空調装置。
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