JP4655578B2 - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反応容器内に処理ガスを供給して基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜する技術及びアモルファスシリコン膜を成膜する技術に関する。
従来、トランジスタのゲート電極には例えばポリシリコンが使用されてきたが、ゲート絶縁膜の薄膜化に伴いゲート電極にバイアス電圧を印加した際のゲートの空乏化などがデバイスの特性を悪化させる要因の一つとなっていた。この問題を解決するためにシリコンに変えてドーパントの活性化率の高いシリコンゲルマニウムを適用することが検討されている。このようなシリコンゲルマニウムを半導体ウエハ(以下ウエハという)の表面に成膜させる手法として、縦型熱処理装置を用い、モノシラン(SiH)ガスとモノゲルマンガスとを用いてCVDにより成膜することが知られている(例えば特許文献1)。
ゲート絶縁膜をシリコン酸化膜により形成した場合、シリコンゲルマニウム膜をシリコン酸化膜の表面に成膜しようとすると、初期時に成膜が起こらず、しばらくしてからゲルマニウムの付着ポイントを基点として、一気にシリコンゲルマニウム膜が堆積し、このため膜厚の均一性を確保することが困難であることから、シリコン酸化膜の上に薄く例えば5nm〜10nmの膜厚のアモルファスシリコンあるいはポリシリコンからなるシード層を成膜した後、このシード層の上に
シリコンゲルマニウム膜を成膜するようにしている。
またシリコンゲルマニウム膜を成膜した後は、当該シリコンゲルマニウム膜にリンあるいはボロンなどの不純物元素をドープし、更にその表面に例えばスパッタリングによりコバルトを成膜した後、熱処理してシリサイド化する(シリコン金属化合物を生成する)が、シリコンゲルマニウム膜に直接コバルトを成膜するとシリサイド膜中にゲルマニウムが入り込んでトランジスタの特性を悪化させることから、シリコンゲルマニウム膜の表面にポリシリコン膜あるいはアモルファスシリコン膜からなるキャップ層を成膜し、このキャップ層にコバルトを成膜するようにしている。
一方シリコンゲルマニウム膜の処理温度は500℃前後であり、キャップ層の処理温度は600℃付近であることから、キャップ層を形成する場合には、シリコンゲルマニウム膜を成膜した後、処理雰囲気の温度をキャップ層の処理温度まで昇温させる必要がある。しかしながらゲルマニウムが熱的に不安定であることから、図10にイメージを示すように、シリコンゲルマニウム膜13のマイグレーション(原子が動いて膜に凹凸ができる現象)が起こり、表面が荒れてしまうし、またシリコンゲルマニウム膜の膜厚が薄くなると、その裏面側がシード層12と一体になって波を打ち、ゲート絶縁膜であるシリコン酸化膜11とシード層12との間にボイド14が発生してしまう。このためリーク電流が大きくなり、トランジスタの特性を悪化させてしまうことから、歩留まりが低下する。
またシリコンゲルマニウム膜をゲート電極として用いるにあたり、キャップ層を用いない構造も検討されている。一方反応容器内にて成膜処理を終えた後、反応容器内の処理ガスを不活性ガスで置換する手法としてサイクルパージと呼ばれる手法が行われている。このサイクルパージは、反応容器内を真空排気した後、不活性ガスを導入するサイクルを複数回行う工程である。シリコンゲルマニウム膜を基板上に成膜した後、このような工程を行うと、反応容器内を真空ポンプで引き切って(圧力調整バルブを全開にして)かなり低い圧力にしたときに、シリコンゲルマニウム膜にマイグレーションが起こり、同様の問題が生じる懸念がある。更にまた電極膜としてアモルファスシリコン膜が使用される場合があるが、アモルファスシリコン膜を成膜した後、サイクルパージを行うと、やはりアモルファスシリコン膜にマイグレーションが起こり、リーク電流が大きくなる懸念がある。
特開2003−77845号公報 図1及び17段落
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的はシリコンゲルマニウム膜を成膜するにあたり、マイグレーションを抑え、半導体装置の電気的特性を改善することのできる成膜装置および成膜方法を提供することにある。他の目的は、アモルファスシリコン膜を成膜するにあたり、マイグレーションを抑え、半導体装置の電気的特性を改善することのできる成膜方法を提供することにある。
本発明の成膜方法は、表面に絶縁膜が形成された基板を反応容器内に搬入する工程と、次に、反応容器内に処理ガスを供給すると共に処理雰囲気の温度を第1の温度に設定して前記基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜する工程と、次いで処理雰囲気の温度を第1の温度から第2の温度に向かって昇温すると共に、昇温中にシリコンゲルマニウム膜の動きを抑えるためにシラン系のガスを反応容器内に供給して当該シリコンゲルマニウム膜をシリコンからなるコーティング層により覆う工程と、前記処理雰囲気の温度が第2の温度に安定した後、反応容器内にシラン系のガスを供給して前記コーティング層の表面にシリコン膜を成膜する工程と、を含むことを特徴とする。
この発明において、例えばコーティング層は、5nm以上である。また処理雰囲気の温度を第1の温度から第2の温度に昇温させる工程は、平均昇温速度が30℃/分以上であることが好ましい。この発明の具体的な方法の一例を挙げると、基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜する工程の前に、前記反応容器内にシラン系のガスを供給して前記絶縁膜の表面にシリコンからなるシード層を形成する工程が行われ、シリコンゲルマニウム膜は前記絶縁膜に電圧を印加するための電極である。
この成膜方法を実施する装置の発明は、反応容器内にて、表面に絶縁膜が形成された基板上にシリコンゲルマニウム膜及びシリコン膜を含む積層体を形成する成膜装置において、
反応容器内の基板を加熱するための加熱手段と、
シラン系のガスを反応容器内に供給するための第1のガス供給部と、
ゲルマン系のガスを反応容器内に供給するための第2のガス供給部と、
シラン系のガス及びゲルマン系のガスを反応容器内に供給すると共に処理雰囲気を第1の温度に加熱して基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜し、次いで処理雰囲気の温度を第1の温度から第2の温度に向かって昇温すると共に、昇温中にシリコンゲルマニウム膜の動きを抑えるためにシラン系のガスを反応容器内に供給し、前記処理雰囲気の温度が第2の温度に安定した後、反応容器内にシラン系のガスを供給して前記基板上にシリコン膜を形成するように、前記加熱手段、第1のガス供給部及び第2のガス供給部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
他の発明は、本発明の成膜方法を実施するために用いられるプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体である。このプログラムとは、例えば反応容器内の基板を加熱するための加熱手段と、シラン系のガスを反応容器内に供給するための第1のガス供給部と、ゲルマン系のガスを反応容器内に供給するための第2のガス供給部と、を備えた装置に適用されるものであれば、反応容器内に処理ガスを供給すると共に処理雰囲気の温度を第1の温度に設定して絶縁膜が形成された基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜するステップと、次いで処理雰囲気の温度を第1の温度から第2の温度に向かって昇温するステップと、昇温中にシリコンゲルマニウム膜の動きを抑えるためにシラン系のガスを反応容器内に供給して当該シリコンゲルマニウム膜をシリコンからなるコーティング層により覆うステップと、前記処理雰囲気の温度が第2の温度に安定した後、反応容器内にシラン系のガスを供給して前記コーティング層の表面にシリコン膜を成膜するステップとを実行するように、前記加熱手段、第1のガス供給部及び第2のガス供給部を制御するためのプログラムである。
本発明によれば、シリコンゲルマニウム膜の上にシリコン膜を積層するプロセスを行うにあたり、シリコンゲルマニウム膜の成膜後、シリコン膜の処理温度まで昇温するときにシラン系のガスを供給しているため、シリコンゲルマニウム膜の表面がシリコンで押さえられ、マイグレーションが抑制される。このためボイドの発生が抑えられると共に表面の荒れも低減され、この結果半導体装置について良好な電気的特性が得られる。
また他の発明によれば、シリコンゲルマニウム膜を成膜した後、当該シリコンゲルマニウム膜を水素ガスによりアニールしてから真空排気、パージガスによるパージを行っているため、真空排気時におけるシリコンゲルマニウム膜のマイグレーションが抑えられ、膜の表面の荒れが低減する。更に他の発明によれば、反応容器内を降温しながらアモルファスシリコン膜を水素ガスによりアニールしてから真空排気、パージガスによるパージを行っているため、真空排気時におけるアモルファスシリコン膜のマイグレーションが抑えられ、膜の表面の荒れが低減する。
[第1の実施の形態]
本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態を示す成膜装置の略縦断面図であり、2は例えば石英により縦型の円筒状に形成された反応容器である。この反応容器2の下端は、炉口として開口され、その開口部21の周縁部にはフランジ22が一体形成されている。反応容器2の下方には、前記フランジ22の下面に当接して開口部21を気密に閉塞する例えば石英製の蓋体3が図示しないボートエレベータにより上下方向に開閉可能に設けられている。蓋体3の中央部には、回転軸31が貫通して設けられ、その上端部には、基板保持具であるウエハボート4が搭載されている。
このウエハボート4は、3本以上例えば4本の支柱41を備えており、複数枚例えば125枚の被処理体である半導体ウエハ(以下ウエハという)Wを棚状に保持できるように前記支柱41に溝(スロット)が形成されている。ただし125枚のウエハWの保持領域のうち上下両端部については複数枚のダミーウエハが保持され、その間の領域に製品ウエハが保持されることになる。前記回転軸31の下部には、当該回転軸31を回転させる駆動部をなすモータ32が設けられており、従ってウエハボート4はモータ32により回転することになる。また蓋体3の上には前記回転軸31を囲むように保温ユニット33が設けられている。
前記反応容器2の下部のフランジ22には、反応容器2内のウエハWにガスを供給するためのL字型のインジェクタ51、81、91が挿入して設けられている。インジェクタ51の基端側には、ガス供給路であるガス供給管52が接続されている。このガス供給管52の基端側は2系統に分かれており、その一方には上流側からシラン系のガス例えばモノシラン(SiH4)ガスの供給源61、バルブ62、流量調節部であるマスフローコントローラ63及びバルブ64がこの順に設けられると共に、他方には上流側からゲルマン系のガス例えばモノゲルマン(GeH4)ガスの供給源71、バルブ72、流量調節部であるマスフローコントローラ73及びバルブ74がこの順に設けらている。前記バルブ62、マスフローコントローラ63、バルブ64、ガス供給管52及びインジェクタ51は、モノシランガスを反応容器2内に供給するための第1のガス供給部を構成しており、前記バルブ72、マスフローコントローラ73、バルブ74、ガス供給管52及びインジェクタ51は、モノゲルマンガスを反応容器2内に供給するための第2のガス供給部を構成している。この例では、第1のガス供給部及び第2のガス供給部は、ガス供給管52及びインジェクタ51を共用している。
また前記インジェクタ81の基端側には、ガス供給路であるガス供給管82が接続されており、このガス供給管82の基端側には、上流側から水素(H2)ガスの供給源83、バルブ84、マスフローコントローラ85及びバルブ86がこの順に設けられている。前記バルブ84、マスフローコントローラ85及びバルブ86、ガス供給管82及びインジェクタ81は、水素ガスを反応容器2内に供給するための第3のガス供給部を構成している。
更にまた前記インジェクタ91の基端側には、ガス供給路であるガス供給管92が接続されている。またこのガス供給管92の基端側には、上流側から窒素ガスの供給源93、バルブ94、マスフローコントローラ95及びバルブ96がこの順に設けられている。前記バルブ94、マスフローコントローラ95及びバルブ96、ガス供給管92及びインジェクタ91は、例えばパージガスとして窒素ガスを反応容器2内に供給するための第4のガス供給部を構成している。
また反応容器2の上方には、反応容器2内を排気するための排気口23が形成されている。この排気口23には、反応容器2内を所望の真空度に減圧排気可能な真空ポンプ25及び圧力調整部24を備えた排気管26が接続されている。反応容器2の周囲には、反応容器2内を加熱するための加熱手段であるヒータ34を備えた加熱炉35が設けられている。ヒーターとしては、コンタミネーションがなく昇降温特性が優れたカーボンワイヤーなどを用いることが好ましい。
更にこの成膜装置には、コンピュータからなる制御部20が備えられている。この制御部20は、処理プログラムを起動し、図示しないメモリ内のプロセスレシピの記載事項を読み出して、そのレシピに基づいて処理条件を制御する機能を有し、ヒータ34、圧力調整部25及び各ガス供給部のガス供給機器(バルブ、マスフローコントローラなど)を夫々制御するための制御信号を出力する。前記処理プログラム及びプロセスレシピ(プロセスレシピ入力用の画面データを含む)を含むソフトウエアは、記憶媒体、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク(いわゆるMO)などに格納され、制御部20にインストールされる。
次に上述の成膜装置1を用いて実施する成膜方法の一例について図2〜図3を用いて説明する。図2は温度プロファイル、工程及び供給する処理ガスを対応させた説明図である。先ず基板であるウエハW、例えば図3の(a)に示すN型或いはP型のシリコン膜101の表面に絶縁膜であるシリコン酸化膜(SiO2)102が成膜されたウエハWを所定枚数ウエハボート4に棚状に載置して、図示しないボートエレベータを上昇させることにより反応容器2内に搬入する(S1)。ウエハボート4が搬入されて、フランジ22の下端開口部が蓋体3により塞がれた後、例えば470〜550℃のプロセス温度に安定させる(S2)。
そして反応容器2内がプロセス温度に安定した後、モノシランガスの供給源61からモノシランガスをインジェクタ51の先端供給口から反応容器内2に所定の流量で供給すると共に圧力調整部24により所定の圧力(真空度)に反応容器内を維持して図3の(b)に示すように、シリコン酸化膜102の表面にシリコン(Si)からなるシード層103を例えば5nmから10nm程度の膜厚で成膜する(S3)。続いてモノシランガスの供給を継続させたまま、モノゲルマンガスの供給源71からモノゲルマンガスを流出させ、モノシランガスとモノゲルマンガスとの混合ガスをインジェクタ51の先端供給口から反応容器2内に供給する。このときモノシランガスの流量及びモノゲルマンガスの流量は例えば夫々1000sccm及び1000sccmに調節される。反応容器2内では、モノシランガスとモノゲルマンガスとが熱分解して反応し、図3の(c)に示すように、シリコンゲルマニウム膜104がシード層103の上に成膜される(S4)。
しかる後、バルブ74を閉じてモノゲルマンガスの供給だけを止め、モノシランガスを例えば500sccmで反応容器2内に供給しながら反応容器2内の圧力を例えば10Paに維持すると共に、ヒータ34を制御して反応容器2内の温度を第2の温度である例えば530〜620℃まで昇温させる(S5)。この例では、シリコンゲルマニウム膜の成膜温度は第1の温度に相当する。この昇温工程においてはモノシランガスが反応容器2内に供給されていることから、図3の(d)に示すように、シリコンゲルマニウム膜104の表面に例えば膜厚が5〜10nm程度のシリコンからなるコーティング層105が形成される。
その後、バルブ64を閉じてモノシランガスの供給を止め、反応容器2内の温度を安定させる(S6)。なおモノシランガスは、この温度安定の過程において供給し続けてもよい。続いて水素ガスの供給源82から水素ガスをインジェクタ81の先端供給口から反応容器内2に例えば100〜1000sccmの流量で供給しながら反応容器2内を所定の減圧雰囲気に維持し、コーティング層105の表面をアニールする(S7)。このように水素ガスによりコーティング層105の表面をアニールする理由は、反応容器2内の温度を安定させるとともに、シリコンコーディング層105のマイグレーションを防止するためである。
続いて再びモノシランガスの供給源61からモノシランガスを所定の流量で反応容器2内に供給しながら反応容器2内を所定の減圧雰囲気に維持し、図3の(e)に示すように、コーティング層105の上に所定量の厚さで例えばポリシリコンからなるキャップ層106を成膜する(S8)。しかる後、反応容器2内の温度を例えば再び第1の温度である530℃まで下降させながら、インジェクタ92から窒素ガスにより反応容器2内をパージして常圧に復帰させ、ウエハボート4を搬出する(S9)。そして搬出されたウエハWは、その後にリン(P)或いはボロン(B)などの不純物元素が例えばイオン注入によりポリシリコン膜106を通してシリコンゲルマニウム膜98まで打ち込まれて、ゲート電極が形成される。こうした一連のプロセスは、制御部20内の既述のソフトウエアに基づいて各部がコントロールされて実行される。
上述実施の形態によれば、シリコンゲルマニウム膜104を成膜した後、例えばポリシリコンからなるキャップ層106の成膜温度まで昇温するときに、モノシランガスを反応容器2内に供給しているため、図4にイメージを示すように熱的に不安定なゲルマニウムが温度の上昇と共に動き回ろうとして膜がマイグレーションを起こそうとするが、モノシランの堆積物がシリコンゲルマニウム膜104の表面を押さえつけている格好になるため、膜の動きが抑えられる。このため後述の実験例からも分かるようにボイドの発生が抑えられると共に表面の荒れも低減され、この結果ゲート電極のリーク電流が少なくなるので、歩留まりが向上する。このことは言い換えれば、半導体装置であるトランジスタについて良好な電気的特性が得られることになる。
またコーティング層105を形成するためにモノシランガスを流すタイミングについては、例えば昇温開始時から少し昇温するまではモノシランガスを流さないといったシーケンスについても本発明の範囲に含まれるが、第2の温度に上がりきる前の昇温過程において流す必要がある。またモノシランガスの供給を止めるタイミングについては、既述のように第2の温度に上がりきった時であってもよいし、あるいはその後しばらくしてから供給を止めてもよいし、更にはまた昇温途中であってもよい。モノシランガスの供給開始及び停止のタイミングは、コーティング層105の膜厚が厚くなりすぎると、シリコンゲルマニウム膜102の上のキャップ層106の膜厚及び膜質の均一性が悪くなることから、これらの兼ね合いで決定されることになる。なおシラン系のガスとしてはモノシランガスに限らずジシラン(Si2H6)ガス、ジクロロシラン(SiH2Cl2)ガス、テトラクロロシラン(SiCl4)ガス、ヘキサクロロシラン(Si2Cl6)ガス、ヘキサエチルアミノジシランガス、ヘキサメチルジシラザンガス、ジシリルアニンガス、トリシリルアミンガス、ビスターシャルブチルアミノシランガスなどであってもよい。
更にまた第1の温度から第2の温度に昇温するときの平均昇温速度は、後述の実験例からも分かるように、あまり遅いとキャップ層106の膜厚の面内均一性が悪くなることから、例えば30℃/分以上であることが好ましい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、シリコンゲルマニウム膜を成膜した後、キャップ層を成膜することなく、基板を反応容器2から搬出する場合を対象としており、例えばシリコンゲルマニウム膜をゲート電極として用いるにあたり、当該シリコンゲルマニウム膜の表面部をニッケルなどによりシリサイド化する場合に適用できる。この実施の形態に使用する装置は、図1と同じ装置が用いられる
図5は、この実施の形態に係る工程を示す図であり、処理雰囲気の温度プロファイルと各工程と処理ガスとを対応させた図である。この工程についてもシリコンゲルマニウム膜の成膜工程(P4)までは第1の実施の形態と同様である。即ち、表面にゲート絶縁膜であるシリコン酸化膜が成膜されたウエハWをウエハボート4に載置して、反応容器2内に搬入し(P1)、反応容器2内の温度を安定化させ(P2)、シラン系のガスであるモノシランガスを供給してアモルファスシリコン膜からなるシード層を成膜し(P3)、次いでモノシランガス及びモノゲルマンガスを反応容器2内に供給してシリコンゲルマニウム膜を成膜する(P4)。
この後、反応容器2内の処理雰囲気の温度をシリコンゲルマニウム膜の成膜温度(プロセス温度)である例えば470〜550℃から400℃まで降温すると共に、降温しながら水素ガスを反応容器2内に例えば流量1000sccmで供給し、シリコンゲルマニウム膜をアニールする(P5)。このとき反応容器2内は例えば1000Paの減圧雰囲気に設定される。続いて圧力調整部24のバルブを全開にして反応容器2内を引き切りの状態として水素ガスを真空排気し、次いでインジェクタ91からパージガスである不活性ガス例えば窒素ガスを反応容器2内に供給してパージする。この真空排気及びパージを複数回繰り返してサイクルパージを行い(P6)、反応容器2内を窒素ガスで置換し、常圧に復帰した後ウエハボート4を搬出する(P7)。そして反応容器2内は次のウエハWの処理のためにプロセス温度まで昇温され(P8)ると共に、次のウエハWを搭載したウエハボート4が反応容器2内に搬入される(P1)。こうした一連のプロセスは、制御部20内の既述のソフトウエアに基づいて各部がコントロールされて実行される。
この実施の形態によれば、シリコンゲルマニウム膜を成膜した後、当該シリコンゲルマニウム膜を水素ガスによりアニールしてからサイクルパージを行っているため、後述の実験例からも明らかなように真空排気時におけるシリコンゲルマニウム膜のマイグレーションが抑えられ、膜の表面の荒れが低減する。その理由については、シリコンゲルマニウム膜の表面のシリコンあるいはゲルマニウムのダングリングボンドに水素が結合して終端し、表面が安定するからではないかと推測される。このため例えばシリコンゲルマニウム膜の上に配線層を形成して得られたMOSFETにおいてリーク電流が低減でき、良好な特性が得られる。
そして反応容器2内を成膜温度から降温させ、その後サイクルパージを行っているため、シリコンゲルマニウム膜が真空の引き切りによる低い圧力雰囲気(高真空度雰囲気)に曝されるときの温度が低いので、より一層マイグレーションが起きにくい。この場合、反応容器2内の温度は例えば400℃以下まで降温させることが好ましい。また反応容器2内の降温工程と水素ガスによるアニール工程とを同時に行っているので、高いスループットが得られる。
なお水素ガスによるアニールは、降温工程の一部、例えばシリコンゲルマニウム膜の成膜が終了した後、続いてアニールを行い、降温が完了する前に水素ガスの供給を止めてもよい。またシリコンゲルマニウム膜を成膜したときの温度で水素ガスによるアニールを行ってもよく、この場合にはサイクルパージは、アニール時の温度で行ってもよいし、降温させながら行ってもよい。
[第3の実施の形態]
この実施の形態はアモルファスシリコン膜を成膜した後、そのウエハを反応容器2から搬出する場合を対象としており、例えば容量素子としてアモルファスシリコン膜を用いる場合や、あるいはシリコンゲルマニウム膜を評価するために実験段階でアモルファスシリコン膜をシード層として形成した後、反応容器2の外にウエハを搬出する場合などに適用できる。この実施の形態に使用する装置は、図1と同じ装置が用いられるが、モノゲルマンガスの供給部は必ずしも必要ではない。
図6は、この実施の形態に係る工程を示す図であり、処理雰囲気の温度プロファイルと各工程と処理ガスとを対応させた図である。この工程においては、ウエハWをウエハボート4に載置して、既にプロセス温度に設定されている反応容器2内に搬入し(Q1)、反応容器2内の温度を例えば530℃のプロセス温度に安定化させ(Q2)、シラン系のガスであるモノシランガスを所定の流量で供給すると共に反応容器2内を所定の圧力に設定してアモルファスシリコン膜を成膜する(Q3)。
この後、反応容器2内の処理雰囲気の温度を例えば400℃まで降温すると共に、降温しながら水素ガスを反応容器2内に例えば流量1000sccmで供給し、アモルファスシリコン膜をアニールする(Q4)。このとき反応容器2内は例えば1000Paの減圧雰囲気に設定される。続いて圧力調整部24のバルブを全開にして反応容器2内を引き切りの状態として水素ガスを真空排気し、次いでインジェクタ91からパージガスである不活性ガス例えば窒素ガスを反応容器2内に供給してパージする。この真空排気及びパージを複数回繰り返してサイクルパージサイクルパージを行い(Q5)、反応容器2内を窒素ガスで置換し、常圧に復帰した後ウエハボート4を搬出する(Q6)。そして反応容器2内は次のウエハWの処理のためにプロセス温度まで昇温されると共に(Q7)、次のウエハWを搭載したウエハボート4が反応容器2内に搬入される(Q1)。
この実施の形態によれば、アモルファスシリコン膜を成膜した後、降温させながら当該アモルファスシリコン膜を水素ガスによりアニールしてサイクルパージを行っているため、後述の実験例からも明らかなように真空排気時におけるアモルファスシリコン膜のマイグレーションが抑えられ、膜の表面の荒れが低減する。このため例えばアモルファスシリコン膜を前記シリコンゲルマニウム膜にキャップ層として使用した場合、あるいは容量素子に適用した場合においてリーク電流を低減することができ、半導体装置の電気的特性の向上に寄与する。そして降温しながらアニールを行っているので高いスループットが得られるし、また低い温度でサイクルパージを行っているので、前記マイグレーションをより一層抑えることができる。マイグレーションを抑えられる理由については、シリコンゲルマニウム膜の場合と同様であると推測される。この手法はアモルファスシリコン膜が例えば50nm以下と薄い場合に特に効果がある。
上述の第2及び第3の実施の形態においては、反応容器2内をパージガスで置換するために、一旦圧力調整部24のバルブを全開にして反応容器2内を引き切るステップとパージガスを供給するステップとを複数回繰り替えしているが、これらステップを1回だけ行う場合であっても本発明に含まれる。
ここで上述の方法により得られるシリコンゲルマニウム膜は、ポリシリコンゲルマニウム膜であってもよいが、アモルファスシリコンゲルマニウム膜であっても良い。また、シリコンゲルマニウム膜にイオン注入により不純物元素を打ち込んでゲート電極とする代わりに、上述の成膜装置に例えば1本のドープ用ガス供給管を設けてウエハボート4の下部側からドープ用のガス例えばホスフィンガスや三塩化ボロンを成膜時に供給して、リンあるいはボロンをシリコンゲルマニウム膜中にドープするようにしてもよい。なお本発明を実施する装置としては、バッチ式の成膜装置に限らず1枚づつ処理する枚葉式の成膜装置であってもよい。
次いで、本発明の効果を確認するために行った実験について述べる。
(実施例1)
既述した成膜装置を用いて,予めウエハW上のN型シリコン膜の表面に絶縁膜であるシリコン酸化膜が成膜された基板の表面に、先ずアモルファスシリコン膜からなるシード層を10nmの膜厚で成膜し、次いでアモルファスのシリコンゲルマニウム膜を50nmの膜厚で成膜した。そして昇温過程及びその後の温度安定過程(5分)においてモノシランガスを反応容器内に供給し、シリコンゲルマニウム膜の表面をシリコンからなるコーティング層でコーティングし、図3に示したように水素ガスによりアニールした後、その上にポリシリコン膜を成膜した。コーティング層の厚さは10nm以上である。
〔シリコンゲルマニウム膜のプロセス条件〕
・設定温度:490°C
・設定圧力:40Pa
・モノシランガスの設定流量:1000sccm
・モノゲルマンガスの設定流量:1000sccm
〔コーティング層のプロセス条件〕
・昇温速度:5℃/分、10℃/分、30℃/分の3通りに設定した。
・設定圧力:10Pa
・モノシランガスの設定流量:500sccm
・膜厚:10nm以上
(比較例1)
シリコンゲルマニウム膜104の上にコーティング層105を形成しない他は実施例1と同様に成膜した。
〔結果及び考察〕
図7(a)、(b)は、夫々実施例1及び比較例1における積層体の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)により観察した結果である。実施例1においてはシリコンゲルマニウム膜104とシード層であるアモルファスシリコン膜103とシリコン酸化膜102とが互いに密着していてボイドは見られないが、比較例1においてはアモルファスシリコン膜103とシリコン酸化膜102との界面にボイド107が多数形成されている。従って昇温中にシリコンゲルマニウム膜104の表面にシリコンを堆積させる手法は、シリコンゲルマニウム膜104のマイグレーションを抑えるために有効な手法であることが分かる。
また図8は、昇温速度(平均昇温速度)を変えることによりキャップ層の膜厚とその面内均一性とがどのように変わるのかを調べた結果である。なお横軸の数字はウエハボートのスロット位置であり、番号の大きいものほど下部側に位置することになる。この結果から分かるように膜厚の面内均一性は昇温速度が速いほど良好であり、モノシランガスを流しながら昇温するときには30℃/分以上の昇温速度に設定することが好ましい。
(実施例2)
既述した成膜装置を用いてウエハ表面に次のプロセス条件でシリコンゲルマニウム膜を成膜した。
・設定温度:490°C
・設定圧力:40Pa
・モノシランガスの流量:1000sccm
・モノゲルマンガスの流量:1000sccm
・目標膜厚:50nm
次いで反応容器内の処理雰囲気の温度を490℃から400℃まで降温し、降温しているときに水素ガスを1000sccmの流量で反応容器内に供給しながら処理雰囲気の圧力を1000Paに設定した。降温速度は平均速度で10℃/分である。その後、反応容器内を真空排気する工程と窒素ガスによりパージする工程とを3回繰り返すサイクルパージを行い、次いでウエハを反応容器から搬出した。
(比較例2)
シリコンゲルマニウム膜を成膜した後、降温せずにまた水素ガスによるアニールを行わずに成膜温度のままでN2ガスでサイクルパージを行い、その後ウエハを反応容器から搬出した。
(表面の観察結果)
実施例2のようにして得られたシリコンゲルマニウム膜の表面と比較例2のようにして得られたシリコンゲルマニウム膜の表面とをSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、実施例2の場合は図9(a)に示すように表面が滑らかであった。これに対して比較例2の場合は図9(b)に示すように表面に粒状の突起群が見られ、表面荒れの程度が大きいことが分かった。サイクルパージを行う温度について比較例2の方が高く、そのためシリコンゲルマニウム膜のマイグレーションの程度の差が両者の間でわずかに異なるかもしれないが、観察結果からすれば、水素ガスによるアニール処理を行ったことにより、表面モホロジーが大幅に改善されたと判断され、このため水素ガスによるアニール処理が、その後の真空排気時におけるシリコンゲルマニウム膜のマイグレージョンの抑制に大きな効果があることが理解できる。
(実施例3)
既述した成膜装置を用いてウエハ表面に次のプロセス条件でアモルファスシリコン膜を成膜し、次いで実施例2と同様の工程を行った。ただし反応容器内の温度は530℃から400℃まで降温した。
・設定温度:530°C
・設定圧力:40Pa
・モノシランガスの流量:1000sccm
・目標膜厚:5nm
(比較例3)
アモルファスシリコン膜を成膜した後、降温せずに、また水素ガスによるアニールを行わずに成膜温度のままでサイクルパージを行い、その後ウエハを反応容器から搬出した。
(表面の観察結果)
実施例3のようにして得られたシリコンゲルマニウム膜の表面と比較例3のようにして得られたシリコンゲルマニウム膜の表面とをSEMにより観察したところ、その差異は、実施例2及び比較例2の場合と同様であった。従って水素ガスによるアニール処理が、その後の真空排気時におけるアモルファスシリコン膜のマイグレージョンの抑制に大きな効果があることが理解できる。
本発明の実施の形態に係る成膜装置の一例を示す縦断面図及び配管図である。 本発明の実施の形態に係る成膜装置を用いて成膜する工程を示す説明図である。 本発明の実施の形態の方法により成膜される様子を示す説明図である。 シリコンゲルマニウム膜上にシリコンを堆積させて膜のマイグレーションを抑えている様子を示す説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る成膜装置を用いて成膜する工程を示す説明図である。 本発明の他の実施の形態に係る成膜装置を用いて成膜する他の工程を示す説明図である。 本発明方法で成膜したシリコンゲルマニウム膜と比較例の方法で成膜したシリコンゲルマニウム膜とについて断面を示す断面図である。 ウエハ位置とシリコンゲルマニウムの膜厚及びその面内均一性との関係を示す特性図である。 シリコンゲルマニウム膜の表面状態を示す説明図である。 従来の成膜方法によりシリコンゲルマニウム膜がマイグレーションを起こしている様子を示す説明図である。
符号の説明
2 反応容器
20 制御部
21 開口部
22 フランジ
23 排気口
24 真空ポンプ
25 圧力調整部
3 蓋体
31 回転軸
32 モータ
4 ウエハボート
41 支柱
51 インジェクタ
52 ガス供給管
61 SiH4ガスの供給源
71 GeH4ガスの供給源
81 インジェクタ
82 ガス供給管
83 H2ガスの供給源
92 ガス供給管
93 N2ガスの供給源

Claims (5)

  1. 表面に絶縁膜が形成された基板を反応容器内に搬入する工程と、
    次に、反応容器内に処理ガスを供給すると共に処理雰囲気の温度を第1の温度に設定して前記基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜する工程と、
    次いで処理雰囲気の温度を第1の温度から第2の温度に向かって昇温すると共に、昇温中にシリコンゲルマニウム膜の動きを抑えるためにシラン系のガスを反応容器内に供給して当該シリコンゲルマニウム膜をシリコンからなるコーティング層により覆う工程と、
    前記処理雰囲気の温度が第2の温度に安定した後、反応容器内にシラン系のガスを供給して前記コーティング層の表面にシリコン膜を成膜する工程と、を含むことを特徴とする成膜方法。
  2. コーティング層は、5nm以上であることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  3. 基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜する工程の前に、前記反応容器内にシラン系のガスを供給して前記絶縁膜の表面にシリコンからなるシード層を形成する工程が行われ、
    シリコンゲルマニウム膜は前記絶縁膜に電圧を印加するための電極であることを特徴とする請求項1または2記載の成膜方法。
  4. 反応容器内にて、表面に絶縁膜が形成された基板上にシリコンゲルマニウム膜及びシリコン膜を含む積層体を形成する成膜装置において、
    反応容器内の基板を加熱するための加熱手段と、
    シラン系のガスを反応容器内に供給するための第1のガス供給部と、
    ゲルマン系のガスを反応容器内に供給するための第2のガス供給部と、
    シラン系のガス及びゲルマン系のガスを反応容器内に供給すると共に処理雰囲気を第1の温度に加熱して基板上にシリコンゲルマニウム膜を成膜し、次いで処理雰囲気の温度を第1の温度から第2の温度に向かって昇温すると共に、昇温中にシリコンゲルマニウム膜の動きを抑えるためにシラン系のガスを反応容器内に供給し、前記処理雰囲気の温度が第2の温度に安定した後、反応容器内にシラン系のガスを供給して前記基板上にシリコン膜を形成するように、前記加熱手段、第1のガス供給部及び第2のガス供給部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする成膜装置。
  5. 請求項1ないしのいずれか一つに記載した成膜方法を実施するために用いられるプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。
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