JP5854112B2 - 薄膜の形成方法及び成膜装置 - Google Patents

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本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の表面にシード膜と薄膜を形成する成膜方法及び成膜装置に関する。
一般に、半導体集積回路を製造するためにはシリコン基板等よりなる半導体ウエハに対して、成膜処理、エッチング処理、酸化処理、拡散処理、改質処理、自然酸化膜の除去処理等の各種の処理が行なわれる。上記各種の処理の内、例えば成膜処理を例にとって説明すると、例えばDRAM等の半導体集積回路の製造過程の途中には、半導体ウエハの表面に形成された絶縁膜にコンタクトホールやスルーホールや配線溝やシリンダ構造のキャパシタのシリンダ溝等の凹部を形成し、この凹部を導電性の薄膜で埋め込むように成膜する成膜工程を行う場合がある。
このような凹部の埋め込み用の薄膜としては、ステップカバレジが比較的良好で、しかもコストも比較的低いことから例えば不純物が含有されたシリコン膜が従来より用いられている。図19を参照して上記凹部の埋め込みについて説明する。図19は半導体ウエハの表面に形成された凹部を埋め込む時の一例を示す図である。
図19(A)に示すように、被処理体として、例えばシリコン基板等よりなる半導体ウエハWの表面には、例えばSiO 等よりなる下地としての絶縁膜2が薄く形成されており、この絶縁膜2に凹部4が形成されている。この凹部4は、下層や基板自体とのコンタクトを図るコンタクトホールやスルーホールや配線溝やシリンダ構造のキャパシタのシリンダ溝等に相当する。図19では基板自体とのコンタクトを図るコンタクトホールが一例として示されている。そして、図19(B)に示すようにこの半導体ウエハWの表面に上記凹部4を埋め込むために導電性の薄膜6が形成される。この薄膜6として、上述したように不純物が含有されたシリコン膜が多用されている。
このような薄膜6を形成する成膜方法としては、例えばSiCl 等の半導体であるシリコンの成分元素を含むガスとBCl 等の不純物元素を含むガスを交互に処理容器内へ供給して1〜10−6Pa程度の低い圧力の範囲内で不純物を含む単結晶薄膜を形成する成膜方法(特許文献1)や例えばモノシラン(SiH )ガスの供給によるポリシリコン層の形成とフォスフィンガスの供給によるリンの吸着層の形成とを交互に行う成膜方法(特許文献2)やモノシランと三塩化硼素(BCl )とを同時供給してCVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜する方法(特許文献3)等が知られている。
特開昭61−034928号公報 特開平05−251357号公報 特開平08−153688号公報
ところで、上述したような各成膜方法は、微細化の要請がそれ程厳しくなくて設計ルールが比較的緩い場合には、上記したような凹部の埋め込みは良好に行われて、ステップカバレジも良好で高い埋め込み特性を得られていた。しかしながら、最近のように更に微細化の要請が高まって設計ルールがより厳しくなると、十分な埋め込み特性が得られなくなってきた。また、例えば図19(B)に示すように、膜中に発生するボイド8の存在が無視できなくなってきている。これは、コンタクト抵抗の増大を引き起こす要因となる。
特に、最近にあっては、上記したような凹部4のホール径が40nm以下で、且つアスペクト比が10以上の厳しい設計ルールも要請されており、上記したような問題点の早期の解決が望まれている。また上記ボイド8の発生の他に、表面ラフネスの精度も低下する、といった問題もあった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明は、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度も向上するシリコン膜やシリコンゲルマニウム膜のような薄膜を形成することが可能な薄膜の形成方法及び成膜装置である。
本願発明者らは、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の表面ラフネスが、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜のインキュベーション時間に関係するのではないか、と推測した。インキュベーション時間が長くなればなるほど、核のサイズがばらつきやすくなり、核の発生後に堆積が始まるアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の表面ラフネスの精度に影響を与える、との仮定である。
本願発明者らは、以下説明するように、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜のインキュベーション時間の短縮に成功し、その結果、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の表面ラフネスの精度をさらに改善すると共に埋め込み特性の向上に成功した。
請求項1に係る発明は、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜と不純物含有のシリコン膜を形成する薄膜の形成方法において、前記処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して前記被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、前記処理容器内へシラン系ガスと不純物含有ガスとを供給してアモルファス状態の前記不純物含有のシリコン膜を形成する第2ステップとを有するようにしたことを特徴とする薄膜の形成方法である。
このように、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜と不純物含有のシリコン膜を形成する薄膜の形成方法において、処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、処理容器内へシラン系ガスと不純物含有ガスとを供給してアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を形成する第2ステップとを有するようにしたので、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度を向上するアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を形成することが可能となる。
請求項5に係る発明は、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜とシリコンゲルマニウム膜を形成する薄膜の形成方法において、前記処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して前記被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、前記処理容器内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを供給して前記シリコンゲルマニウム膜を形成する第2ステップとを有するようにしたことを特徴とする薄膜の形成方法である。
このように、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜とシリコンゲルマニウム膜を形成する薄膜の形成方法において、前記処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して前記被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、前記処理容器内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを供給して前記シリコンゲルマニウム膜を形成する第2ステップとを有するようにしたので、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度を向上するシリコンゲルマニウム膜を形成することが可能となる。
請求項23に係る発明は、被処理体の表面に不純物含有の薄膜を形成する成膜装置において、前記被処理体を収容することができる処理容器と、前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、前記処理容器内へ必要なガスを供給するガス供給手段と、前記処理容器内の雰囲気を排気する真空排気系と、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法を実行するように装置全体の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする成膜装置である。
本発明に係る薄膜の形成方法及び成膜装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1及びこれを引用する請求項に係る発明によれば、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜と不純物含有のシリコン膜を形成する薄膜の形成方法において、処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、処理容器内へシラン系ガスと不純物含有ガスとを供給してアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を形成する第2ステップとを有するようにしたので、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度を向上するアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を形成することができる。
請求項5及びこれを引用する請求項に係る発明によれば、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜とシリコンゲルマニウム膜を形成する薄膜の形成方法において、前記処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して前記被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、前記処理容器内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを供給して前記シリコンゲルマニウム膜を形成する第2ステップとを有するようにしたので、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度を向上するシリコンゲルマニウム膜を形成することができる。

本発明方法を実施するための成膜装置の第1実施例の一例を示す構成図である。 本発明方法の第1実施例の第2ステップにおける各ガスの供給態様の一例を示すタイミングチャートである。 本発明方法の第1実施例の各工程の一例を示すフローチャートである。 本発明方法の第1実施例により薄膜が形成される被処理体の一例を示す断面図である。 SiH (モノシラン)とBCl との反応過程を模式的に示す図である。 ボロンドープのアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を凹部に形成した時の電子顕微鏡写真の模式図である。 堆積時間とアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の膜厚との関係を示す図である。 堆積時間とアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の膜厚との関係を示す図である。 図7中の破線枠A内を拡大した拡大図である。 図8中の破線枠B内を拡大した拡大図である。 アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の膜厚とアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜表面の平均面粗さRaとの関係を示す図である。 アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の膜厚とアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜表面のヘイズとの関係を示す図である。 本発明の成膜装置の第2実施例の一部であるゲルマニウム含有ガス供給手段を示す図である。 本発明の第2実施例の第2ステップにおける各ガスの供給態様の一例を示すタイミングチャートである。 本発明方法の第2実施例の各工程の例を示すフローチャートである。 本発明方法の第2実施例により薄膜が形成される被処理体の一例を示す断面図である。 本発明方法の第2実施例の評価を行うための表面ラフネスの結果を示すグラフである。 本発明方法の第2実施例を行った時に堆積したシリコンゲルマニウム膜の表面を示す図面代用写真である。 半導体ウエハの表面に形成された凹部を埋め込む時の一例を示す図である。
以下に、本発明に係る薄膜の形成方法及び成膜装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。尚、本明細書においては、アモルファス状態の不純物含有のシリコンを、アモルファス状態の不純物含有のシリコンのみを指す用語ではなく、アモルファス状態の不純物含有のシリコン、本明細書において開示する表面ラフネスの精度を達成できるアモルファス〜ナノサイズの結晶粒が集まったナノ結晶シリコン、及び上記アモルファス状態の不純物含有のシリコンと上記ナノ結晶シリコンとが混在したシリコンの全てを含む用語と定義する。
<第1実施例>
図1は本発明方法を実施するための成膜装置の第1実施例の一例を示す構成図である。尚、全図にわたり、共通の部分には共通の参照符号を付す。図示するように、この成膜装置12は下端が開放された筒体状になされたバッチ式の縦型の処理容器14を有している。この処理容器14は、例えば耐熱性の高い石英を用いることができる。
この処理容器14の天井部には、開口された排気口16が設けられると共に、この排気口16に例えば直角に横方向へ屈曲された排気ノズル18が連設されている。そして、この排気ノズル18には、途中に圧力制御弁20や真空ポンプ22等が介設された真空排気系24が接続されており、上記処理容器14内の雰囲気を真空引きして排気出来るようになっている。
上記処理容器14の下端は、例えばステンレススチール製の筒体状のマニホールド26によって支持されており、このマニホールド26の下方より複数枚の被処理体としての半導体ウエハWを多段に所定のピッチで載置した保持手段としての石英製のウエハボート28が昇降可能に挿脱自在になされている。上記処理容器14の下端と上記マニホールド26の上端との間には、Oリング等のシール部材30が介在されて、この部分の気密性を維持している。本実施例の場合において、このウエハボート28には、例えば50〜100枚程度の直径が300mmのウエハWを略等ピッチで多段に支持できるようになっている。尚、上記マニホールド26の部分を石英により上記処理容器14側と一体成形する装置例もある。
このウエハボート28は、石英製の保温筒32を介してテーブル34上に載置されており、このテーブル34は、マニホールド26の下端開口部を開閉する蓋部36を貫通する回転軸38の上端部に支持される。そして、この回転軸38の上記蓋部36に対する貫通部には、例えば磁性流体シール40が介設され、この回転軸38を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部36の周辺部とマニホールド26の下端部には、例えばOリング等よりなるシール部材42が介設されており、処理容器14内のシール性を保持している。
上記した回転軸38は、例えばボートエレベータ等の昇降機構44に支持されたアーム46の先端に取り付けられており、ウエハボート28及び蓋部36等を一体的に昇降できるようになされている。尚、上記テーブル34を上記蓋部36側へ固定して設け、ウエハボート28を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。
上記処理容器14の側部には、これを取り囲むようにしてカーボンワイヤ製のヒータよりなる加熱手段48が設けられており、この内側に位置する上記半導体ウエハWを加熱し得るようになっている。またこの加熱手段48の外周には、断熱材50が設けられており、この熱的安定性を確保するようになっている。そして、上記マニホールド26には、各種のガスをこの処理容器14内へ導入して供給するための各種のガス供給手段が設けられている。
具体的には、このマニホールド26には、上記処理容器14内へ成膜用のシラン系ガスを供給するシラン系ガス供給手段52と、処理容器14内へ不純物含有ガスを供給する不純物含有ガス供給手段54と、処理容器14内へアミノシラン系ガスと高次シランの内の少なくともいずれか一方のガスよりなるシード膜用原料ガスを供給するシード膜用原料ガス供給手段80とがそれぞれ設けられている。また、ここでは、必要に応じてパージガスや圧力調整用ガスを処理容器14内へ供給する支援ガス供給手段56も設けられている。ここではパージガスや圧力調整用ガスとしてN ガスを用いる。尚、このN ガスに替えてArやHe等の希ガスを用いることができる。また、ここでは上記シード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスを用いた場合を例にとって説明する。
上記シラン系ガス供給手段52、不純物含有ガス供給手段54、支援ガス供給手段56及びシード膜用原料ガス供給手段80は、上記マニホールド26の側壁を貫通させてその先端部を処理容器14内に臨ませて設けたガスノズル52A、54A、56A及び80Aをそれぞれ有している。上記各ガスノズル52A、54A、56A、80Aには、それぞれガス通路62、64、66、82が接続されると共に、各ガス通路62、64、66、82には、それぞれ開閉弁62A、64A、66A、82A及びマスフローコントローラのような流量制御器62B、64B、66B、82Bが順次介設されており、シラン系ガスや不純物含有ガスやN ガスやアミノシラン系ガスをそれぞれ流量制御しつつ流すようになっている。
ここでシラン系ガスとしては、例えばシリコンと水素のみよりなるシラン系ガスを用いることができ、ここでは例えばモノシランを用い、不純物含有ガスとしてはBCl ガスを用い、パージガスや圧力調整用ガスとしてはN ガスを用い、アミノシラン系ガスとしてはDIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)を用いている。尚、シラン系ガスとしては、上述のようにシリコンと水素のみよりなるシラン系ガスを用いることが好ましいが、これに限定されず、少なくともシリコンと水素を含むシラン系ガスならば、全て適用することができる。
そして、この成膜装置には、各ガスの供給開始や供給停止、プロセス温度、プロセス圧力等を制御したり、この成膜装置の全体の動作を制御するために例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御手段70が設けられている。この制御手段70は、この成膜装置12の動作を制御する時に用いるプログラムを記憶するために記憶媒体72を有している。この記憶媒体72は、例えばフレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、ハードディスク、フラッシュメモリ或いはDVD等よりなる。また図示されていないが、専用回線を用いてユーザインタフェースを介して各種指示、プログラム等を制御手段70へ入力するようにしてもよい。
<成膜方法の第1実施例>
次に、上述のように構成された第1実施例の成膜装置12を用いて行われる本発明の成膜方法の第1実施例について説明する。以下に説明する各動作は、前述したようにコンピュータよりなる制御手段70の制御のもとに行われる。
図2は本発明方法の第1実施例の第2ステップにおける各ガスの供給態様の一例を示すタイミングチャート、図3は本発明方法の第1実施例の各工程の一例を示すフローチャート、図4は本発明方法の第1実施例により薄膜が形成される被処理体の一例を示す断面図、図5はSiH (モノシラン)とBCl との反応過程を模式的に示す図である。
本発明方法の第1実施例では、上記処理容器14内へアミノシラン系ガスと高次シランの内の少なくともいずれか一方のガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して上記被処理体Wの表面に前記シード膜を形成する第1ステップと、上記処理容器14内へシラン系ガスと不純物含有ガスとを供給してアモルファス状態の上記不純物含有のシリコン膜を形成する第2ステップとを有するようにしている。そして、上記第2ステップでは、シラン系ガスと不純物含有ガスとを交互に供給する成膜方法と、上記両ガスを同時に供給する成膜方法とがあるが、まず、ここでは両ガスを交互に供給する成膜方法について説明する。すなわち、この第2ステップでは、上記処理容器14内へシラン系ガスをこのシラン系ガスが上記被処理体Wの表面に吸着するような状態で供給する第1のガス供給工程と上記処理容器14内へ不純物含有ガスを供給する第2のガス供給工程とを交互に繰り返し行うようにした場合について説明する。
第1ステップ84においては、シード膜用原料ガスであるアミノシラン系ガスとして例えばDIPASを処理容器14内へ供給することにより被処理体である半導体ウエハWの表面にシード膜を形成するシード膜形成工程を行う(S0)。そして、次に、第2ステップ86へ移行する。尚、第2ステップ86へ移行する前に処理容器14内の残留ガスを排除するパージ工程を行うのが好ましい。
第2ステップ86におけるガスの供給態様を示す図2のタイミングチャートにおいてパルスが立っている部分はガスを供給している状態を示している。具体的には、この第2ステップ86では、まずシラン系ガスとして例えばSiH (モノシラン)ガスを処理容器14内へ供給することにより第1のガス供給工程(S1)を行う(図2(A)参照)。この第1のガス供給工程では、被処理体である半導体ウエハWの表面にモノシランガスが吸着するような状態で上記モノシランガスを供給する。次に、処理容器14内に残留するガスを排除するパージ工程(S2)を行う(図2(C)参照)。尚、このパージ工程は省略してもよい。
次に、不純物含有ガスとして例えばBCl ガスを処理容器14内へ供給することにより第2のガス供給工程(S3)を行う(図2(B)参照)。これにより、BCl ガスが上記ウエハWの表面に吸着していたSiH (モノシラン)と反応して非常に薄い、例えば1原子レベルの厚さのボロン(B)がドープされたシリコン膜が形成される。
次に再度、処理容器14内に残留するガスを排除するパージ工程(S4)を行う(図2(C)参照)。尚、このパージ工程は省略してもよい。そして、上記した各工程S1〜S4よりなる1サイクルを所定のサイクル数だけ繰り返したか否かが判断される(S5)。ここで、1サイクルとは、第1のガス供給工程S1を行った後に次の第1のガス供給工程S1を行うまでの期間として定義される。
上記ステップS5で所定のサイクル数に達していない場合には(S5のNO)、ステップS1に戻って所定のサイクル数に達するまでステップS1〜S4が繰り返し行われることになり、ボロンがドープされたアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜が積層されて行く。そして、上記繰り返しが所定のサイクル数に達した場合には(S5のYES)、成膜処理が終了することになる。
実際の処理では、まず、ウエハボート28に未処理の半導体ウエハWが多段に支持されており、この状態で予め加熱されている処理容器14内にその下方より搬入されて密閉状態で収容されている。この半導体ウエハWの直径は、例えば300mmであり、ここでは50〜100枚程度収容される。この半導体ウエハWの表面には、前工程において例えば先に図19を参照して説明したように、下地となる絶縁膜2が形成され、この絶縁膜2にコンタクトホールや配線溝のような凹部4が形成されている。上記下地となる絶縁膜2としては、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等が用いられる。
上記処理容器14内の雰囲気は、この成膜処理中は真空排気系24によって常時真空引きされて圧力調整されている。また、半導体ウエハWは、ウエハボート28を回転することによって成膜処理中は所定の回転数で回転されている。そして、上述したように各種のガスが処理容器14内へ供給されて成膜処理が行われる。
第1ステップ84では、半導体ウエハWを加熱した状態で処理容器14内にアミノシラン系ガスを流すことで、図4(A)に示すように下地である絶縁膜2の表面及び凹部4内の側面や底面を含む全面にシード膜88を形成する(S0)。このシード膜88は、主にシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる。
上記アミノシラン系ガスの例としては、BAS(ブチルアミノシラン)、BTBAS(ビスターシャリブチルアミノシラン)、DMAS(ジメチルアミノシラン)、BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)、TDMAS(トリジメチルアミノシラン)、DEAS(ジエチルアミノシラン)、BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)、DPAS(ジプロピルアミノシラン)、DIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)、HEAD(ヘキサエチルアミノジシラン)よりなる群から選択される1以上のガスを含むことができる。
また、上記アミノシラン系ガスとしては、分子式中のシリコン(Si)が1つとなるものに限られるものではなく、分子式中のシリコンが2つとなるもの、例えば、ヘキサキスエチルアミノジシラン(C1236 Si )なども用いることができる。
更に、ヘキサキスエチルアミノジシランの他、下記の式(1)〜(4)により表示される物質も用いることができる。
(1) (((R1R2)N)SiH6−n−m(R3) …n:アミノ基の数 m:アルキル基の数
(2) ((R1)NH)SiH6−n−m(R3) …n:アミノ基の数 m:アルキル基の数
(1)、(2)式において、
R1、R2、R3 = CH、CH、CH
R1 = R2 = R3、または同じでなくても良い。
n =1〜6の整数
m =0、1〜5の整数
(3) (((R1R2)N)SiH6−n−m(Cl) …n:アミノ基の数 m:塩素の数
(4) ((R1)NH)SiH6−n−m(Cl) …n:アミノ基の数 m:塩素の数
(3)、(4)式において
R1、R2 = CH、CH、CH
R1 = R2、または同じでなくても良い。
n =1〜6の整数
m =0、1〜5の整数
本例では、前述したようにDIPASを用いた。
この第1ステップ84における処理条件の一例は、
DIPAS流量: 500sccm
処 理 時 間: 5min
処 理 温 度: 400℃
処 理 圧 力: 53.2Pa(0.4Torr)
である。
上記処理温度(プロセス温度)は、好ましくは25(室温)℃〜550℃の温度範囲がよく、25℃よりも低い場合にはシリコン膜形成温度との温度差が大きくなってスループットを低下させてしまい、また550℃よりも高い場合にはDIPASの吸着量が1分子層以上となって吸着モードがらCVDモードへ変わるので適切でない。
この第1ステップ84の工程を、本明細書では以下「プリフロー」とも称す。上記のように第1ステップ84(シード膜形成工程S0)が終了したならば、次に第2ステップ86へ移行する。この第2ステップ86において、第1のガス供給工程(S1)では、上記モノシランガスはシラン系ガス供給手段52のガスノズル52Aから流量制御されつつ供給される。このモノシランガスは処理容器14内を上昇しつつ回転されているウエハWの表面に吸着することになり、そして、余分なガスは上部の排気口16及び排気ノズル18を介して真空排気系24によって排気されて行く。
この時のプロセス条件は、モノシランガスの流量は例えば100〜4000sccmの範囲内で例えば1200sccm程度、プロセス圧力は27〜6665Pa(0.2〜50Torr)の範囲内で例えば533Pa(4Torr)程度、プロセス温度は350〜600℃の範囲内で例えば400℃程度、ガスの供給期間T1は1〜300secの範囲内で例えば60sec程度である。
ここで、プロセス温度が350℃よりも低いと、ウエハWの表面にモノシランが吸着し難くなるので好ましくなく、また600℃よりも温度が高い場合にはモノシランが熱分解してシリコン膜が堆積してしまうので好ましくない。また、プロセス圧力が27Paよりも低いと、圧力が低過ぎてモノシランの吸着が生じ難くなり好ましくない。また6665Paよりも高いと、複数層のモノシランが吸着して膜中のボロンの濃度制御が難しくなるので好ましくない。
この第1のガス供給工程の直後のパージ工程(S2)では、支援ガス供給手段56のガスノズル56AよりN ガスが流量制御されつつ供給される。ここではN ガスはパージガスとして用いられ、処理容器14内に残留するモノシランガスを排除するために用いられる。ここでは、このN ガスはパージ工程の全期間に亘って供給するのではなく、一部の期間、例えば前半の半分の期間だけ供給して後半の半分の期間には供給しないで真空引きのみを継続的に行うようにしている。
この時のプロセス条件に関しては、N ガスの流量は例えば最大5slm程度である。プロセス圧力は27〜6665Paの範囲内、プロセス温度は350〜600℃の範囲内、パージ期間T2は0〜300secの範囲内で例えば30sec程度である。
このパージ工程の後の第2のガス供給工程(S3)では、上記BCl ガスは不純物含有ガス供給手段54のガスノズル54Aから流量制御されつつ供給される。これと同時に圧力調整用ガスとしてN ガスが支援ガス供給手段56のガスノズル56Aから流量制御されつつ供給される(図2(C)参照)。このBCl ガスとN ガスは処理容器14内を上昇し、BCl ガスはウエハWの表面に吸着しているモノシランと反応してボロンが含有されたアモルファスのシリコン膜が形成されることになる。そして、余分なガスは上部の排気口16及び排気ノズル18を介して真空排気系24によって排気されて行く。
この時のプロセス条件は、BCl ガスの流量は例えば1〜500sccmの範囲内で例えば100sccm程度、N ガスの流量は最大5slm程度、プロセス圧力は27〜6665Pa(0.2〜50Torr)の範囲内で例えば533Pa(4Torr)程度、プロセス温度は350〜600℃の範囲内で例えば400℃程度、ガスの供給期間T3は1〜300secの範囲内で例えば60sec程度である。
ここで、プロセス温度が350℃よりも低いと、ウエハWの表面に吸着しているモノシランとBCl との反応が生じ難くなるので好ましくなく、また600℃よりも温度が高い場合には昇温に時間を要するので好ましくない。尚、成膜時間の短縮のためには、第1ステップと第2ステップとを通じて同一のプロセス温度に設定するのがよい。
この第2のガス供給工程の直後のパージ工程(S4)では、ステップS2のパージ工程と同様に支援ガス供給手段56のガスノズル56AよりN ガスが流量制御されつつ供給される。実際には、N ガスは第2のガス供給工程から連続して供給されている。ここではN ガスはパージガスとして用いられ、処理容器14内に残留するBCl ガスを排除するために用いられる。ここでは、このN ガスはパージ工程の全期間に亘って供給するのではなく、一部の期間、例えば前半の半分の期間だけ供給して後半の半分の期間には供給しないで真空引きのみを継続的に行うようにしている。
この時のプロセス条件に関しては、先のステップS2のパージ工程と同じである。すなわち、N ガスの流量は例えば最大5slm程度である。プロセス圧力は27〜6665Paの範囲内、プロセス温度は350〜600℃の範囲内、パージ期間T4は0〜300secの範囲内で例えば30sec程度である。
以上のようなステップS1〜S4の各工程よりなる1サイクルが、所定の回数だけ繰り返し行われる。このサイクル数は、成膜すべき目標の膜厚に依存するが、1サイクルで例えば0.2〜0.7nm程度の膜厚の成膜が行われるので、例えば60nm程度の膜厚を必要とするならば、100サイクル程度実行されることになる。以上のようにして、上記シード膜88上に不純物としてB(ボロン)がドープされた非常に薄い原子レベルの厚さのアモルファスのシリコン膜90(図4(B)参照)よりなる薄膜が積層形成されることになり、半導体ウエハWの表面に形成されている凹部4(図4参照)内を埋め込み性が良好な状態で埋め込むことができる。
ここで上記成膜で生じているボロンドープのアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の成膜過程を図5に示す模式図を参照して説明する。図5はボロンドープのアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の成膜過程を量子化学計算を用いてシミュレーションした時の結果を示す模式図である。各図の下には活性化エネルギー(eV)が記載してある。ここでは特にSiH (モノシラン)とBCl とを用いた交互供給による低温成膜の可能性をシミュレーションによって検証した。
まず、外部から導入されたSiH (モノシラン)が、半導体ウエハの表面に既に形成されているSi−B結合に接近すると(図5(A)参照)、B原子による触媒作用が働き、図5(B)に示すようにSiH (モノシラン)からH が除去されることによりSiH が生じ、このSiH がB吸着サイトに容易に取り込まれることになる。具体的には、SiH のB吸着サイトへの活性化エネルギーは1.2eV程度に低下する。尚、B(ボロン)がない場合には活性化エネルギーは+2.4eV程度である。その後は、図5(C)に示すように、Si−Si結合が連鎖的に形成されて行くことになる。
以上のことから、従来行われていたようなSiH (モノシラン)だけの単独供給では実用的な成膜が不可能であった350℃程度の低温下においても成膜が可能となり、且つガスを交互に供給することによりステップカバレジの良好な薄膜が得られるものと考えられる。
一方、SiH (モノシラン)のみを用いて行う通常のCVD法では、実用的な成膜を行うことはほとんど不可能であった。またSi のみを用いたCVD法ではプロセス温度が400℃でも成膜は可能であったが、そのステップカバレジは約80%程度に過ぎず、良好な結果が得られなかった。
このように、真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜と不純物含有のシリコン膜を形成する薄膜の形成方法において、処理容器内へアミノシラン系ガスと高次シランの内の少なくともいずれか一方のガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して被処理体の表面に前記シード膜を形成する第1ステップと、処理容器内へシラン系ガスと不純物含有ガスとを供給してアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を形成する第2ステップとを有するようにしたので、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度を向上するアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を形成することができる。
<本発明方法の評価>
ここで本発明方法を実際に実施して、シード膜上にボロンがドープされたアモルファスのシリコン膜を形成したので、その評価結果について説明する。ここで半導体ウエハとしてシリコン基板を用い、この表面に下地層としてシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜にホール径が50nmで、アスペクト比が7の凹部を形成した。そして、このシリコン酸化膜上にシード膜88を形成し、更にその上に不純物としてボロンがドープされたアモルファスのシリコン膜90を形成した。
成膜方法としては、図3に示す第1ステップ84及び第2ステップ86に従って処理を行い、第2ステップ86では先に図2(A)〜図2(C)を参照して説明した成膜方法を用いた。シード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスの一種であるDIPASを用い、シラン系ガスとしてSiH (モノシラン)を用い、不純物含有ガスとしてBCl を用いた。プロセス条件は、DIPASガスの流量は500sccm、SiH (モノシラン)ガスの流量は2000sccm、BCl ガスの流量は200sccm、N ガスの流量はパージガスとして用いた時は2slm、圧力調整用ガスとして用いた時は1slmである。プロセス温度は全体を通して400℃に設定し、第1のガス供給工程及び第2のガス供給工程におけるプロセス圧力は共に533Pa(4Torr)である。第1ステップのシード膜形成工程S0の時間は5minであり、第2ステップ86における各工程の時間は、T1が30sec、T2が30sec、T3が30sec、T4が30secである。
このようにして、表面がトレンチ構造になされたウエハに対して成膜した結果、60cycleで180Åのボロンドープのアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜が得られた。この時の結果を図6に示す。図6はボロンドープのアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜を凹部に形成した時の電子顕微鏡写真の模式図を示す。ここでは凹部の直径は50nmであり、また、凹部のアスペクト比(A/R)は”7”である。図中には、凹部内に沿って膜厚の寸法が記載されている。この図6から判断すると、ステップカバレジは95%以上であって優れた結果が得られた。
尚、上記成膜方法の第1実施例では、図2(C)に示すようにN ガスを、パージ工程T2、T4ではパージガスとして供給し、第2のガス供給工程では圧力調整用ガスとして供給したが、これに限定されず、以下に説明するように供給するようにしてもよい。図2(D)〜図2(F)はN ガスの供給形態の変形実施例を示す。図2(D)に示す場合は、図2(C)に示す場合とは異なり、第2のガス供給工程の前後における両パージ工程において前半の部分でN ガスを供給せず、後半の部分でN ガスを供給するようにしている。そして、第2のガス供給工程では図2(C)の場合と同様にN ガスを圧力調整用ガスとして供給している。
図2(E)に示す場合は、第2のガス供給工程の前後の両パージ工程におけるN ガスの供給形態は図2(C)に示す場合と同じであり、第2のガス供給工程ではN ガス(圧力調整用ガス)を供給しないようにしている。尚、図2(D)に示す場合において、第2のガス供給工程でN ガスを供給しないようにしてもよい。
図2(F)に示す場合は、上記とは異なり、第2のガス供給工程の前後の両パージ工程では全部の期間に亘ってN ガス(パージガス)を供給しないようにし、第2のガス供給工程ではN ガス(圧力調整用ガス)を図2(C)に示す場合と同様に供給するようにしている。このように、パージガスや圧力調整用ガスの供給は種々の態様をとることができる。上述のように第2のガス供給工程において圧力調整用ガスを供給する理由は、第1及び第2のガス供給工程間において圧力が大幅に変化するとシリコンのマイグレーションが生じ易くなるためである。また、上記第1ステップ84及び第2ステップ86を終了した後に、半導体ウエハWを加熱することによりアニール処理してもよい。
<変形例>
上記実施例では、第2ステップにおいてシラン系ガスと不純物含有ガスとを交互に供給したが、これに限定されず、上記シラン系ガスと不純物含有ガスとを同時に供給するようにしてCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、不純物含有のシリコン膜を形成するようにしてもよい。この場合、プロセス条件は、シラン系ガス(例えばモノシラン)の流量は、100〜2000sccmの範囲内、不純物含有ガス(例えばBCl ))の流量は、50〜2000sccmの範囲内である。またプロセス圧力は、0.1〜10Torrの範囲内、プロセス温度は、350〜600℃の範囲内である。更に、プロセス時間は、必要とする膜厚に依存して長さを決定する。この場合にも、先の実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
<下地(絶縁膜2)の種類とシード膜の有無の評価>
次に、下地(絶縁膜2)の種類とシード膜の有無に関する評価実験を行ったので、その評価結果について説明する。ここでは、先の成膜方法に従って、下地である絶縁膜2の表面にシード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスをプリフローしてシード膜88を形成した後、シード膜88上に不純物のドープされたアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90を形成した。
図7及び図8に、堆積時間とアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の膜厚との関係を示す。図7は下地である絶縁膜2をシリコン酸化膜(SiO2)とした場合で、図8は下地である絶縁膜2をシリコン窒化膜(SiN)とした場合である。アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の膜厚は、堆積時間を30minとしたとき、45minとしたとき、及び60minとしたときの3点で測定した。
図7及び図8中の線I、IIIはプリフロー有りの場合、線II、IVはプリフロー無し(シード膜88無し)の場合の結果を示している。線I〜IVは、測定された3つの膜厚を最小二乗法で直線近似した直線であり、式は次の通りである。
線I : y = 17.572x − 20.855 …(1)
線II: y = 17.605x − 34.929 …(2)
線III: y = 18.011x − 27.739 …(3)
線IV : y = 18.091x − 41.277 …(4)
図7及び図8に示すように、プリフロー有りの場合、プリフロー無しに比較してアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の膜厚が増す傾向が明らかとなった。
上記(1)〜(4)式をy=0、即ちアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の膜厚を“0”としたとき、線I〜IVと堆積時間との交点を求めたものを図9及び図10に示す。なお、図9は図7中の破線枠A内を拡大した拡大図、図10は図8中の破線枠B内を拡大した拡大図に相当する。
図9に示すように、下地である絶縁膜2がプリフロー有りのシリコン酸化膜のとき、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の堆積が、処理開始から約1.2min(x≒1.189)から始まる。これに対して、プリフロー無しのシリコン酸化膜のときには、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の堆積が、処理開始から約2.0min(x≒1.984)から始まる。
また、図10に示すように、下地である絶縁膜2がプリフロー有りのシリコン窒化膜のとき、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の堆積が、処理開始から約1.5min(x≒1.540)から始まるのに対して、プリフロー無しのシリコン窒化膜のときには、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90の堆積が、処理開始から約2.3min(x≒2.282)から始まる。
このように、下地である絶縁膜2に対してアミノシラン系ガスのプリフローを行ってシード膜88を形成することで、インキュベーション時間を、下地である絶縁膜2がシリコン酸化膜の場合には約2.0minから約1.2minに、下地である絶縁膜2がシリコン窒化膜の場合には約2.3minから約1.5minに短縮することができた。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)によるアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の表面を観察したところ(下地はシリコン酸化膜)、アミノシラン系ガスのプリフロー有りの場合は、プリフロー無しに比較してアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の表面が滑らかとなり、表面ラフネスが改善されていることが明らかとなった。
図11に、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定したアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜表面の平均面粗さ(表面ラフネス)Raを示す。図11に示す結果においては、AFMのスキャンサイズを1μm、スキャンレートを1.993Hzに設定した。
図11に示すように、アミノシラン系ガスのプリフロー有りの場合には、プリフロー無しに比較して、平均面粗さ(表面ラフネス)Raが0.101〜0.157nm改善されていることが分かった。このAFMによる測定結果から、本発明に係るアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の成膜方法は、特に、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の膜厚が薄い場合に、プリフロー無しに比較して平均面粗さ(表面ラフネス)Raの改善効果が高いことが判明した。
例えば、膜厚が約50nmのアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜においては、プリフロー無しの場合は、Ra=0.411であったのに対し、プリフロー有りの場合にはRa=0.254と、Raが0.157nm改善されている。この結果は、本発明に係るアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の成膜方法が、例えば、半導体装置の微細化が進展すれば進展するほど、有効であることを示している。
図12に、表面検査装置を用いて測定したアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜表面のヘイズ(Haze)を示す。図12に示すヘイズは、DWOモード(Dark Field Wide Oblique)でのヘイズである。図12に示すように、アミノシラン系ガスのプリフロー有りの場合は、プリフロー無しに比較して、膜厚50nm以上膜厚100nm以下の範囲においてヘイズが約2.1ppm改善されていることが分かった。
以上、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、及び表面検査装置を用いての観察、並びに測定結果から、本発明に係るアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜の成膜方法は、シード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスを用いて半導体ウエハの下地の表面をプリフローしてシード膜88を形成した後、アミノシラン系ガスをシード膜88上に供給して熱分解させることで、表面ラフネスの精度が高い、即ち、表面ラフネスが小さいアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90を形成することができる。
このようなアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90は、例えば、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を含む層間絶縁膜中に形成されたコンタクトホールの埋め込みや、層間絶縁膜中に形成されたライン、例えば、内部配線用の溝の埋め込みに有用である。
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例について説明する。先の第1実施例にあっては、第2ステップで不純物含有のシリコン膜90を形成する場合について説明したが、この第2実施例では上記不純物含有のシリコン膜90に替えてシリコンゲルマニウム膜(SiGe膜)を形成するようにしている。第1ステップでシード膜88を形成する点は、先の第1実施例の場合と同じである。
図13は本発明の成膜装置の第2実施例の一部であるゲルマニウム含有ガス供給手段を示す図、図14は本発明の第2実施例の第2ステップにおける各ガスの供給態様の一例を示すタイミングチャート、図15は本発明方法の第2実施例の各工程の例を示すフローチャート、図16は本発明方法の第2実施例により薄膜が形成される被処理体の一例を示す断面図である。
ここではシリコンゲルマニウム膜を形成するために、先に図1を参照して説明した成膜装置12に、図13に示すようなゲルマニウム含有ガス供給手段130を追加で設けるようにすればよい。このゲルマニウム含有ガス供給手段130は、マニホールド26を貫通させて設けたガスノズル130Aを有し、このガスノズル130Aにはガス通路132が接続されると共に、このガス通路132には、開閉弁132A及びマスフローコントローラのような流量制御器132Bが順次介設されており、ゲルマニウム含有ガスを流量制御しつつ流すようになっている。このゲルマニウム含有ガスとしては、例えばモノゲルマン(GeH )を用いることができるが、これに限定されず、モノゲルマン、Ge よりなる群から選択される1以上のガスを用いることができる。
上記シリコンゲルマニウム膜中のゲルマニウムの濃度は、0%よりも大きく、100%よりも小さければ、どのような値でもよく、好ましくは10〜90%の範囲内である。尚、このシリコンゲルマニウム膜中には、不純物を含めてもよいし、或いは含めなくてもよい。このシリコンゲルマニウム膜中に不純物を含めない場合には、上述したような成膜装置例において不純物含有ガス供給手段54(図1参照)は不要になるのは勿論である。
<成膜方法の第2実施例>
図1に示す成膜装置12に上記ゲルマニウム含有ガス供給手段130を追加して設けた成膜装置により行われる成膜方法の第2実施例では、上記処理容器14内へアミノシラン系ガスと高次シランの内の少なくともいずれか一方のガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して上記被処理体の表面に上記シード膜を形成する第1ステップ84と、上記処理容器14内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを供給して上記シリコンゲルマニウム膜を形成する第2ステップ134とを有するようにしている。
この場合、上述のように上記シリコンゲルマニウム膜中には不純物を含めるようにしてもよいし、含めなくてもよい。上記シリコンゲルマニウム膜中に不純物を含める場合には、シラン系ガスとゲルマニウム含有ガスの両ガスの供給と不純物含有ガスの供給とを交互に行なうようにしてもよいし、上記シラン系ガスとゲルマニウム含有ガスと不純物含有ガスとを同時に供給するようにしてもよい。
ここでは、まず一例として、シラン系ガスとゲルマニウム含有ガスの両ガスの供給と不純物含有ガスの供給とを交互に行なうようにした場合について説明する。すなわち、第2ステップでは、図15に示すように、上記処理容器14内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを、上記シラン系ガスと上記ゲルマニウム含有ガスとが上記被処理体Wの表面に吸着するような状態で供給する第1のガス供給工程と上記処理容器14内へ不純物含有ガスを供給する第2のガス供給工程とを交互に繰り返し行うことにより不純物の含有されたシリコンゲルマニウム膜を形成するようにしている。
第1ステップ84では、図3に示す第1実施例の第1ステップ84と全く同様にしてシード膜88(図16参照)を形成する。第2ステップ134では、第1のガス供給工程S1でシラン系ガスを流していたことに加えてゲルマニウム含有ガスも流すようにした点が異なる他は、他の各工程S2〜S5に関しては全て図3に示す第1実施例の場合と同じである。
すなわち、この第2ステップ134では、図14に示すように、ゲルマニウム含有ガス(図14(D)参照)を、図14(A)のシラン系ガスと同期させて同時に流すようにしている。尚、不純物含有ガス(図14(B))及びパージガス、圧力調整用ガス(図14(C))の供給態様は、図2を参照して説明した場合と全て同じであり、また、その変形の態様も適用される。
上述のように、第2ステップ134の第1のガス供給工程S1でモノシランガスとモノゲルマンガスとを同時に供給して半導体ウエハWの表面に両ガスが吸着するような状態とする。これにより、最終的には、図16(B)に示すようにボロンがドープされた不純物含有のシリコンゲルマニウム膜136が積層されて形成されることになる。このシリコンゲルマニウム膜136は、アモルファスの状態でもよいし、単結晶或いは多結晶の状態でもよい。
上記第2ステップ134の第1のガス供給工程S1のモノゲルマンガスの流量は、10〜2000sccmの範囲内である。プロセス温度、プロセス圧力、ガス供給時間T1も第1実施例の場合と同じである。例えばモノシランガスの流量は例えば100〜4000sccmの範囲内で例えば1200sccm程度、プロセス圧力は27〜6665Pa(0.2〜50Torr)の範囲内で例えば533Pa(4Torr)程度、プロセス温度は350〜600℃の範囲内で例えば400℃程度、ガスの供給期間T1は1〜300secの範囲内で例えば60sec程度である。また、図2(D)〜図2(F)に示すようなN ガスの供給形態の変形実施例も、この第2実施例において適用できるのは勿論である。
このようにして、上記シード膜88上に非常に薄い原子レベルの厚さのシリコンゲルマニウム膜136(図16(B)参照)よりなる薄膜が積層形成されることになり、半導体ウエハWの表面に形成されている凹部4(図16参照)内を埋め込み性が良好な状態で埋め込むことができる。ここでは、上述のように、シリコンゲルマニウム膜136中には不純物としてB(ボロン)がドープされている。
このように、真空排気が可能になされた処理容器14内で被処理体の表面にシード88とシリコンゲルマニウム膜136を形成する薄膜の形成方法において、処理容器14内へアミノシラン系ガスと高次シランの内の少なくともいずれか一方のガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して被処理体の表面に前記シード膜88を形成する第1ステップ84と、処理容器14内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを供給してシリコンゲルマニウム膜136を形成する第2ステップとを有するようにしたので、比較的低温でも埋め込み特性が良好で且つ表面ラフネスの精度を向上するシリコンゲルマニウム膜を形成することができる。
<変形例1>
上記実施例では、第2ステップにおいてシラン系ガス及びゲルマニウム含有ガスと不純物含有ガスとを交互に供給したが、これに限定されず、上記シラン系ガスとゲルマニウム含有ガスと不純物含有ガスとを同時に供給するようにしてCVD法により、不純物が含有されたシリコンゲルマニウム膜を形成するようにしてもよい。この場合、プロセス条件は、シラン系ガス(例えばモノシラン)の流量は、100〜2000sccmの範囲内、ゲルマニウム含有ガス(例えばモノゲルマン)の流量は、100〜2000sccmの範囲内、不純物含有ガス(例えばBCl ))の流量は、50〜500sccmの範囲内である。またプロセス圧力は、0.1〜10Torrの囲内、プロセス温度は、350〜600℃の範囲内である。更に、プロセス時間は、必要とする膜厚に依存して長さを決定する。この場合にも、先の実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
<変形例2>
上記変形例1では、第2ステップにおいて上記シラン系ガスとゲルマニウム含有ガスと不純物含有ガスとを同時に供給するようにしたが、これに限定されず、先に説明したように不純物含有ガスを供給しないで上記シラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを同時に供給してCVD法により、不純物を含まないシリコンゲルマニウム膜を形成するようにしてもよい。この場合、プロセス条件は、シラン系ガス(例えばモノシラン)の流量は、100〜2000sccmの範囲内、ゲルマニウム含有ガス(例えばモノゲルマン)の流量は、100〜2000sccmの範囲内である。またプロセス圧力は、0.1〜10Torrの範囲内、プロセス温度は、350〜600℃の範囲内である。更に、プロセス時間は、必要とする膜厚に依存して長さを決定する。この変形例2では、前述したように不純物含有ガス供給手段54(図1参照)は不要になるのは勿論である。この場合にも、先の実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
<本発明方法の第2実施例の評価>
ここで、前述したような本発明方法の第2実施例について実験を行ったので、その評価結果について説明する。図17は本発明方法の第2実施例の評価を行うための表面ラフネスの結果を示すグラフ、図18は本発明方法の第2実施例を行った時に堆積したシリコンゲルマニウム膜の表面を示す図面代用写真である。ここでは、シリコン酸化膜上にシード膜を形成し、このシード膜上に上記変形例2のようにしてCVD成膜により不純物を含まないシリコンゲルマニウム膜を形成した。プロセス条件は、先の本発明方法の第2実施例で説明したプロセス条件を用いた。プロセス温度については、400℃、430℃、450℃の3点について行った。
また、比較のためにシリコン酸化膜上に、シード膜を形成することなくシリコンゲルマニウム膜を直接的に成膜した比較実験についても行い、比較例とした。この時のプロセス温度は430℃と450℃の2点について行った。図17中の”as dep”はシリコンゲルマニウム膜を成膜した直後の状態を示し、”PDA”(Post Deposition Anneal)は、ポストデポジションアニールを示す。
また図18の写真は電子顕微鏡により求めた。図17に示すように、シード膜無しの比較例の場合には、シリコンゲルマニウム膜の表面ラフネスは8nm以上であって表面ラフネスが大きく、図18に示す写真からも明らかなように、表面に大きな凹凸が見られて好ましくない。
これに対して、本発明方法の第2実施例のシード膜有りの場合には、400〜450℃の全範囲に亘って表面ラフネスは1nm以下であって非常に小さく、図18に示す写真からも明らかなように、表面が非常に平滑になっており、好ましい状況になっているのが理解できる。
尚、上記成膜方法の各実施例では、N ガスを間欠的に供給するようにしているが、これに限定されず、成膜処理の全体に亙ってN ガスを連続的に供給して圧力が大きく変動しないようにしてもよい。
また、上記成膜方法の各実施例では、各パージ工程のパージガスや第2のガス供給工程の圧力調整用ガスとしてN ガスを用いるようにしたが、これに替えてArやHe等の希ガスを用いてもよい。更には、上記各実施例では、各パージ工程のパージガスや第2のガス供給工程の圧力調整用ガスとしてN ガスを用いるようにしたが、上記N ガスや希ガスに替えて、或いはこれらのガスと共に混合させてH (水素)ガスを用いるようにしてもよい。特にH ガスを用いると、このH ガスはシリコンに対してマイグレーションを抑制するように作用するので、シリコン膜やシリコンゲルマニウム膜が微粒化して付着することを防止して、埋め込み特性を一層向上させることが可能となる。
また、上記成膜方法の各実施例では、主に第2のガス供給工程において圧力調整用ガスを供給するようにしたが、これに替えて、或いはこれと共に第1のガス供給工程においても圧力調整用ガスを供給するようにしてもよい。また、上記成膜方法の各実施例では、シラン系ガスとしてモノシランを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、モノシラン及び高次シランとよりなる群から選択される1以上のガス種を用いることができる。
また、上記成膜方法の各実施例では、不純物(ドーパント)を含有させるためにBCl ガスを用いたが、これに限定されず、上記不純物含有ガスは、BCl 、PH 、PF 、AsH 、PCl 、B よりなる群から選択される1以上のガス種を用いることができ、種々の不純物をドープさせるようにしてもよい。
また、シード膜88は、厚くするとアモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90やシリコンゲルマニウム膜136の膜厚を増加させ、半導体装置の微細化を損なうことになる。また、シード膜88は、アモルファス状態の不純物含有のシリコンの核やシリコンゲルマニウムの核を均一に発生させるものである。このため、シード膜88の厚さは薄いことが望ましく、好ましくは単原子層レベルの厚さ程度であることが良い。具体的なシード膜88の厚さを言及すれば、0.1nm以上5.0nm以下であることが良い。
また、アミノシラン系ガスとしては1価のアミノシラン系ガス、例えば、DIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)が良い。さらに、アミノシランは分解させないで、例えば、下地である絶縁膜82上に、吸着させるようにすることが良い。例えば、DIPASは450℃以上で熱分解する。アミノシランが熱分解されると、成膜される膜中に炭素(C)、窒素(N)などの不純物が巻き込まれてしまうことがある。アミノシランは分解させずに、例えば、下地である絶縁膜82上に吸着させるようにすることで、成膜される膜中に不純物が巻き込まれてしまう事情を抑制できる、という利点を得ることができる。
また、アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜90及びシリコンゲルマニウム膜136の厚さは、1nm以上100nm以下であることが好ましいが、例えば、50nm以下1nm以上の範囲の厚さとすることも可能である。上記成膜方法としては、上述したように2種類のガスの単なる交互供給であってもよいし、原子レベル或いは分子レベルの厚さの薄膜を積層させる、いわゆるALD(Atomic Layer Deposition)方法であってもよい。更には、シラン系ガスの供給は、非飽和吸着で且つ不純物含有ガスの供給は、飽和吸着であってもよい。
また、上記各実施例では、第1ステップにおいては、シード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスを用いた場合を例にとって説明したが、前述したようにシード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスと高次シランの内の少なくともいずれか一方のガスを用いることができる。例えばシード膜用原料ガスとして高次シランを用いた場合には(アミノシラン系ガスは用いず)、シード膜の形成時のプロセス温度は例えば400℃程度で行い、シード膜は約1〜2nmの厚さで形成する。この場合、シード膜の表面ラスネスも比較的良好であって連続膜の状態となっている。
また、シード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスを用いた場合には(高次シランは用いず)、アミノシラン系ガスは供給時間に対して膜厚が増加しない範囲で用いるため、1分子層(約0.1〜0.5nm)程度のシード膜の膜厚として使用することができる。この場合のプロセス温度は例えば25〜550℃程度であり、上記高次シランを用いたシード膜形成時の場合よりも低温でのシード膜の形成も可能となる。
また、第1ステップでは、上述したように、シード膜用原料ガスとしてアミノシラン系ガスと高次シランとを用いることができる。具体的には、最初に上記アミノシラン系ガスを流し、次に上記高次シランを流すようにした第1態様、最初に上記アミノシラン系ガスを流す工程と、次に上記高次シランを流すようにした工程とよりなる1シーケンスを複数シーケンス行なうようにした第2態様及び、上記アミノシラン系ガスと上記高次シランとを同時に流すようにした第3態様がある。
上記第1態様、すなわち上記アミノシラン系ガスと上記高次シランとを交互に1回ずつ流すようにした態様の場合には、高次シランの単独フローで形成したシード膜よりも表面ラスネスが良好な連続膜としてのシード膜を得ることができる。また、上記第2態様、すなわち上記アミノシラン系ガスと上記高次シランとを交互に複数回繰り返して流す態様の場合には、上記第1の態様よりも厚い連続膜としてのシード膜を得ることができる。
また、上記第3態様の場合には、短時間でのシード膜の形成が可能であり、生産性において有利である。
また、上記本発明においては、第1ステップ及び第2ステップで用いることができる上記高次シランとしては、例えば、Si2m+2(ただし、mは2以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物が、
ジシラン(Si
トリシラン(Si
テトラシラン(Si10
ペンタシラン(Si12
ヘキサシラン(Si14
ヘプタシラン(Si16
の少なくとも一つから選ばれることが良い。
更に高次シランとしては、例えば、Si2n(ただし、nは3以上の自然数)の式で表されるシリコンの水素化物が、
シクロトリシラン(Si
シクロテトラシラン(Si
シクロペンタシラン(Si10
シクロヘキサシラン(Si12
シクロヘプタシラン(Si14
の少なくとも一つから選ばれることが良い。
ここで、第1ステップでシード膜用原料ガスとして、高次シランを用いる場合には、アミノシラン系ガスの供給系に替えて、或いはこれと共に高次シランガスの供給系を設けるようにする。また、第1ステップ及び第2ステップで、それぞれ高次シランを用いる場合には、例えば1つのシラン系ガス供給手段52で兼用できるのは勿論である。
また、ここでは図1に示すように、処理容器14が一重となっている単管式のバッチ型の成膜装置を例にとって説明したが、これに限定されず、処理容器14が内筒と外筒とよりなる二重管式のバッチ型の成膜装置にも本発明を適用することができる。更には、ガスノズル52A、54A、56A、80Aはその先端のみからガスを放出する直管式のガスノズルを用いているが、これに限定されず、処理容器14の長さ方向に沿って配置したガス管に対して所定のピッチで複数のガス噴射孔を設けて各ガス噴射孔からガスを噴射するようにした、いわゆる分散型のガスノズルを用いてもよい。
更には、ここでは上述のように一度に複数枚の半導体ウエハWを処理するバッチ式の成膜装置を例にとって説明したが、これに限定されず、半導体ウエハWを1枚ずつ処理する、いわゆる枚葉式の成膜装置にも本発明を適用することができるのは勿論である。
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、この半導体ウエハにはシリコン基板やGaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体基板も含まれ、更にはこれらの基板に限定されず、液晶表示装置に用いるガラス基板やセラミック基板等にも本発明を適用することができる。
12 成膜装置
14 処理容器
28 ウエハボート(保持手段)
48 加熱手段
52 シラン系ガス供給手段
54 不純物含有ガス供給手段
56 支援ガス供給手段
70 制御手段
80 シード膜用原料ガス供給手段
84 第1ステップ
86 第2ステップ
88 シード膜
90 アモルファス状態の不純物含有のシリコン膜
130 ゲルマニウム含有ガス供給手段
134 第2ステップ
136 シリコンゲルマニウム膜
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (23)

  1. 真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜と不純物含有のシリコン膜を形成する薄膜の形成方法において、
    前記処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して前記被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、
    前記処理容器内へシラン系ガスと不純物含有ガスとを供給してアモルファス状態の前記不純物含有のシリコン膜を形成する第2ステップとを有するようにしたことを特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 前記第2ステップでは、前記処理容器内へシラン系ガスを該シラン系ガスが前記被処理体の表面に吸着するような状態で供給する第1のガス供給工程と前記処理容器内へ不純物含有ガスを供給する第2のガス供給工程とを交互に繰り返し行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の薄膜の形成方法。
  3. 前記第2ステップでは、前記処理容器内へ前記シラン系ガスと前記不純物含有ガスとを同時に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の薄膜の形成方法。
  4. 前記シリコン膜の厚さは、1nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  5. 真空排気が可能になされた処理容器内で被処理体の表面にシード膜とシリコンゲルマニウム膜を形成する薄膜の形成方法において、
    前記処理容器内へアミノシラン系ガスよりなるシード膜用原料ガスを供給して前記被処理体の表面に前記シード膜としてシリコンとカーボンと窒素との化合物よりなる薄膜を形成する第1ステップと、
    前記処理容器内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを供給して前記シリコンゲルマニウム膜を形成する第2ステップとを有するようにしたことを特徴とする薄膜の形成方法。
  6. 前記第2ステップでは、前記シリコンゲルマニウム膜に不純物を含めるために不純物含有ガスが用いられることを特徴とする請求項5記載の薄膜の形成方法。
  7. 前記第2ステップでは、前記処理容器内へシラン系ガスとゲルマニウム含有ガスとを、前記シラン系ガスと前記ゲルマニウム含有ガスとが前記被処理体の表面に吸着するような状態で供給する第1のガス供給工程と前記処理容器内へ不純物含有ガスを供給する第2のガス供給工程とを交互に繰り返し行うようにしたことを特徴とする請求項6記載の薄膜の形成方法。
  8. 前記第2ステップでは、前記処理容器内へ前記シラン系ガスと前記ゲルマニウム含有ガスと前記不純物含有ガスとを同時に供給するようにしたことを特徴とする請求項6記載の薄膜の形成方法。
  9. 前記ゲルマニウム含有ガスは、モノゲルマニウム、Ge よりなる群から選択される1以上のガスよりなることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  10. 前記シリコンゲルマニウム膜の厚さは、1nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  11. 前記第1ステップのプロセス温度は、25〜550℃の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  12. 前記第1ステップと前記第2ステップのプロセス温度は、同一に設定されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  13. 前記第1及び第2のガス供給工程におけるプロセス温度は、それぞれ350〜600℃の範囲内であることを特徴とする請求項2又は7記載の薄膜の形成方法。
  14. 前記第1及び第2のガス供給工程におけるプロセス圧力は、それぞれ27〜6665Pa(0.2〜50Torr)の範囲内であることを特徴とする請求項2、7及び13のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  15. 前記第1のガス供給工程と前記第2のガス供給工程との間には、前記処理容器内の残留ガスを排除するためのパージ工程が行われることを特徴とする請求項2、7、13及び14のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  16. 前記パージ工程の全期間又は一部の期間では、残留ガスの排除を促進するためのパージガスを供給するようにしていることを特徴とする請求項15記載の薄膜の形成方法。
  17. 前記第1のガス供給工程及び前記第2のガス供給工程の内の少なくともいずれか一方のガス供給工程では、圧力調整用ガスが供給されることを特徴とする請求項2、7、13乃至16のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  18. 前記シラン系ガスは、モノシラン及び高次シランよりなる群から選択される1以上のガス種よりなることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  19. 前記不純物含有ガスは、BCl 、PH 、PF 、AsH 、PCl 、B よりなる群から選択される1以上のガス種よりなることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  20. 前記シード膜の厚さは、0.1nm以上5.0nm以下であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  21. 前記アミノシラン系ガスは、BAS(ブチルアミノシラン)、BTBAS(ビスターシャリブチルアミノシラン)、DMAS(ジメチルアミノシラン)、BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)、TDMAS(トリジメチルアミノシラン)、DEAS(ジエチルアミノシラン)、BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)、DPAS(ジプロピルアミノシラン)、DIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)、HEAD(ヘキサエチルアミノジシラン)よりなる群から選択される1以上のガスを含むことを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  22. 全ての前記薄膜が形成された後に、アニール工程を行うことを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法。
  23. 被処理体の表面に不純物含有の薄膜を形成する成膜装置において、
    前記被処理体を収容することができる処理容器と、
    前記処理容器内で前記被処理体を保持する保持手段と、
    前記被処理体を加熱する加熱手段と、
    前記処理容器内へ必要なガスを供給するガス供給手段と、
    前記処理容器内の雰囲気を排気する真空排気系と、
    請求項1乃至21のいずれか一項に記載の薄膜の形成方法を実行するように装置全体の動作を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする成膜装置。
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