JP4655322B2 - 医療用脱離防止具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
輸液または輸血または体外血液循環等を行う際に、連結・嵌装して使用される複数の医療用器具の脱着を防止するための補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】
患者に輸液または輸血を行う際に、単一の注入用具では不便である場合が多い。例えば、輸液を行う場合では、主に注入する薬液以外に、必要に応じて異なる薬液を注入したいことがある。従来では、そのような場合、補助的に注入する薬液の量が少なければ、注射器等を輸液セットに連結または穿刺することで対応し、薬液量が多ければ、一本の輸液セットに別の輸液セットを連結して対応していた。そして、注射器や輸液セット等の複数の注入用具を連結するために広く使われているのは、混注口や三方活栓、セプタム(隔膜付き弁)である。
【0003】
また輸血を行う場合には、患者体内からの採血の目的で、既述したように輸血セットに採血用注射器を装着することが多い。以上は、輸液・輸血を行う場合のみについて説明したが、医療用器具を連結・嵌装して使用する事例は他の処置においても、頻度が高い。例えば、体外血液循環の場合におけるカテーテルと血液回路との連結、循環回路と側注回路との連結、回路と注射器との連結など、例を挙げれば限りがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、複数の医療器具を連結・嵌装して使用する際に、何らかの原因で、それら(複数の医療用具)が脱離するように力が作用することがある。例えば、患者に輸液・輸血を行う場合に、患者の不用意な動きや輸液チューブ等の引掛け、または装着不足や経時的な連結部の緩み等の様々な原因によって、輸液セットや注射器等が外れてしまうことがある。
【0005】
上記のような脱離を放置すると、生命の危機に関わる場合があるため、医療器具の不測の脱離を防止するために、従来でも様々な脱離防止具が考案されてきた。例えば、実公平4−45711号や実公平5−22187号、実公平6−42679号等である。しかし、これらの脱離防止具は嵩張るため、医療従事者が常時携帯するのに、適当なものでなかった。また、実公平4−45711号に開示されたものは、規定の形状や寸法の薬液容器・支柱を連結にする場合には使用できるが、他の医療用具同士の連結・保持に転用し難いという欠点を有する。さらに、上記の脱離防止具は安価に製造・供給することができず、そのため、上記のような脱離防止具の必要性は認識されていても、実際に医療現場で使われる事は多くなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、医療用の第1連結部材と、該部材に連結して使用される医療用の第2連結部材との間の不測の脱離を防止する平板上の脱離防止具であって、該脱離防止具は少なくとも前記第1連結部材を嵌装できる貫通孔または溝からなる第1保持部と、前記第2連結部材を嵌装できる貫通孔または溝からなる第2保持部とを有し、前記第1連結部材と前記第2連結部材との連結状態を維持したまま、第1連結部材を第1保持部に嵌装でき、かつ第2連結部材を第2保持部に嵌装できるように、第1保持部と第2保持部が同一平板上に配置され、さらに第1保持部および/または第2保持部に係止用爪(凹形状)を特徴とする医療用脱離防止具によって、上記課題を解決した。
【0007】
本発明の脱離防止具の1つの特徴は、平板に複数の孔や溝が形成された単純な構造であることが挙げられる。上記脱離防止具は、基本的に孔や窪みの形成された平板という簡易な構造で、しかもコンパクトであるため、嵩張らず、携行する際に邪魔にならない。本脱離防止具は束ねておけば、殆ど場所を取らないので、医療従事者は常時、ポケットに複数個の本防止具を忍ばせておくこともできる。また、その形状のため、平板からの打抜き等といった簡単で適用範囲の広い製造方法を採用することができる。(もちろん、安価に成形できるのであれば、本脱離防止具をその他の成型方法で作製しても構わない。)そのため、脱離防止具を安価に、且つ一度に大量に製造することが可能となる。
【0008】
本発明の脱離防止具は、上記のように簡易な構造であるが、第1連結部材と第2連結部材が別々(独立)に動かないように、両部材は脱離防止具の所定の箇所に保持される。即ち、第1連結部材は第1保持部に、第2連結部材は第2保持部にしっかりと嵌装される。そのため、前記両部材はその連結状態を維持したままで、両部材を脱離しようとする外力から保護される。そのため、本脱離防止具では、前記両部材が連結した状態で、脱離防止具のそれぞれの各保持部に保持できる(位置関係になる)ように、第1保持部と第2保持部を配置することが重要である。
【0009】
2つ目の特徴として、本脱離防止具は適用範囲が広いことが挙げられる。各保持部の構造を検討することによって、多くの種類・規格の第1連結部材や第2連結部材に適合可能なものにすることができる。また、1つの形状や寸法では、異なる医療器具を保持できない場合でも、そのもの自体が簡便な構造であるため、容易に形状や寸法を変更することができる。
【0010】
例えば、平板自体の大きさや寸法、平板に形成された孔や溝の形状や寸法、配置は容易に変更可能であり、それによって各保持部が医療器具に適合できるようになる。例えば、製造方法が原料シートからの打抜きだと、上記に記載した種々の変更も容易である。また、本脱離防止具の形状・寸法を変えることによって、連結して使用される様々な医療器具の脱離防止に広く適用できる。輸液や輸血等の用途にはもちろんの事、体外血液循環回路の連結やカテーテルと導管との一時的な連結にも適用することができる。
【0011】
本脱離防止具の3つ目の特徴として、広範囲な素材の中から、目的に応じて選択できることが挙げられる。本脱離防止具において、素材は特に限定されるものではないが、経済性、製造工程上、用途、取扱い上、使用後の廃棄等の観点から、好ましい素材を選択可能である。
【0012】
また、既述した様々な特徴や効果の他に、本発明の脱離防止具はその全体、或いは一部分を色分けしたり、孔や溝の傍に流路の種類や薬液の種類を文字で記載する等の様々な実施態様を採ることによって、過誤処置を未然に防ぐ役割も果たすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の様々な実施態様を図と共に説明する。本発明の医療用脱離用防止具の一例を図1に示す。脱離防止具1は薄めの平板状のものであれば、特に形状的に限定されない。長方形、正方形等の方形状、または真円、楕円形等の円形状であっても良い。
【0014】
脱離防止具の素材としては、平板に形成でき、各保持部を形成できるものならば、特に限定されない。製造面からは、平板に成型し易く、また成型された平板を打抜き易いものが望ましい。使用面からは、医療用部材を平板に装着し易いように、また医療用部材を平板から取り外し易いように、適度な可撓性を有する素材を選択するのが好ましい。あまり柔らか過ぎると、保持能力が低下し、平板を厚くすることが必要になる。そうなると、材料費が増加して価格アップとなるだけでなく、嵩張って携行に不便となる。逆に硬すぎると、保持性能は向上するが、医療器具の脱着の際に取扱い難くなる。
【0015】
例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、或いはブタジエン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソプレン重合体、他等の合成ゴムやその他のエラストマー、または補強した紙(例えば、多層に貼り合わせる等によって)等が実施態様として、挙げられる。上記のうち、頑丈なものは再使用することもできるし、紙やその他の脆い材料で作製されたものは、使い捨てにしても良い。紙製のものは燃やす事もできるため、医療廃棄物の問題も解消される。平板の肉厚は素材によっても変ってくるが、硬質性樹脂であれば、0.1〜5.0mmの範囲が好ましく、エラストマー製の軟質樹脂であれば、0.1〜10mmの範囲が好ましい。
【0016】
脱離防止具の大きさは特に限定されないが、携帯するためにコンパクトであるのが好ましい。そのため、方形状のものなら、縦25〜150mm、横10〜100mmのものが適当である。あまり大きいと携帯に不便であるし、小さ過ぎると、医療用連結部材を保持するのに扱い難くなる。
【0017】
第1保持部および第2保持部は、平板上に実質的に同一平面上に配置され、両連結部材を脱離防止具にしっかりと保持できるものであれば、特に限定されないが、実施態様として、以下に示すようなものが簡便で効果を有する。すなわち、第1保持部および第2保持部が、平板上に形成された貫通孔、または溝であり、前記の2つの医療用連結部材を各保持部(貫通孔または溝)に嵌装(孔や溝に挿入して係止する)して保持するものである。
【0019】
これらの第1保持部や第2保持部の形成する位置について、述べる。図2や図4から判るように、第1保持部(貫通孔3)と第2保持部(貫通孔6)とが、平板上に実質的に同一平面上になるように配置されることが、本発明の1つの特徴であって、その構造の簡易さによって、本脱離防止具を容易に形成(製造)することができ、医療用第1連結部材と第2連結部材とを連結した状態で脱離防止具に簡便に保持できるのである。従って、上記構成は本発明の必要の要件となる。
【0020】
また、本例の脱離防止具では、前記第1連結部材と前記第2連結部材との連結した状態で、第1連結部材を第1保持部に保持でき、且つ第2連結部材を第2保持部に保持できるような位置関係に、第1保持部と第2保持部が配置されることが必要となる。第1連結部材と第2連結部材を連結した状態を維持できる(補強する)ように、脱離防止具の少なくとも2つの保持部が各医療用部材を保持し、それによって脱離防止を実現する。
【0021】
例えば、図5に示すように、平板上に形成された貫通孔3および貫通孔6が、それぞれ第1保持部および第2保持部として機能し、セプタム、或いは混注口等の医療用第1連結部材の一部を貫通孔3に嵌装(貫通孔に挿入して係止する)し、またタコ管付きのルアー端部や針無し注射器の先端部等の医療用第2連結部材の一部を貫通孔6に嵌装することによって、医療用第1連結部材と医療用第2連結部材との連結状態を維持し補強する。
【0022】
次に、第1保持部や第2保持部の配置の好ましい態様について、述べる。図6に示すように、第1保持部(貫通孔3)を平板端部に形成し、第2保持部(貫通孔6)を平板中央部に形成することによって、連結部材をバランス良く脱離防止具に保持することができる。或いは、これらの連結部材の寸法や用途によって、逆に第1保持部を平板中央部に形成し、第2保持部を平板端部に形成しても良い。
【0023】
また図7に示すように、第1保持部と第2保持部のいずれかを、一方の平板端部に形成し、前記の残りの保持部をもう一方の平板端部に形成しても良い。例えば、貫通孔3を左端部に形成し、貫通孔6を右端部に形成する。上記のような保持部の配置によって、シリンジ12等の長めの寸法の医療用連結部材でも平板4中央部に配置でき、脱離防止具1にしっかりと保持できる。
【0024】
次に、第1保持部や第2保持部として機能する貫通孔や溝の形状・寸法について、述べる。貫通孔(溝)は、そこに保持される医療用連結部材の形状に合わせて適当に変更することができる。即ち、貫通孔(溝)の形状・寸法として、第1連結部材あるいは第2連結部材を嵌装し易く、しかも一旦嵌装された後は、貫通孔(溝)にしっかりと保持できるのが望ましい。医療用連結部材は、前記の方形状の台座を有する混注口に限らず、三方活栓やその他の側注管や、それに連結して使用されるシリンジやタコ管付き、あるいはタコ管無しの輸液・輸血用先端部(ルアー)など多岐にわたり、貫通孔は嵌装される医療用連結部材の形状に合わせて変更すれば良い。
【0025】
以下、各保持部の実施例について、図によって説明する。例えば、図1に示すように、第1連結部材(混注口2)の台座が方形のものであれば、第1保持部は、その形状に合わせて方形状の貫通孔3にするのが望ましいし、第1連結部材の保持される一部分が円形、または球形ならば、貫通孔を円形に形成するのが望ましい。
【0026】
また図1に示すように、平板4には第2保持部となる円形状の貫通孔6も形成される。貫通孔6には、(前記第1連結部材と連結して使用される)第2連結部材であるルアー端部5の一部分のタコ管を装着し保持できる。第2保持部の形状も、連結部材に合わせて変更すれば良い。
【0027】
上記のように、連結部材が方形状の台座を有する混注口2やタコ管付きのルアー端部5であれば、混注口やタコ管が嵌装できるように、貫通孔を方形状または円形状に形成すれば良い(図1、図5、図6)。また、図7に示すように、連結部材が注射器であれば、外筒のフランジ部13が嵌装できるように、細長の方形状の貫通孔6を形成すれば良い。また、連結部材が三方活栓である場合は、その裏側の円筒状部分がしっかり嵌装されるような寸法の円形状の孔を形成すれば良い。
【0028】
以上に示したように、第1保持部材または第2保持部のいずれかが、方形状の貫通孔であるのが好ましい場合もあり、両方とも方形状の貫通孔が好ましい場合もある。或いは、第1保持部材または第2保持部のいずれかが、円形状の貫通孔が好ましい場合もあり、両方とも円形状の貫通孔が好ましい場合もある。
【0029】
さらに、前記の各保持部の貫通孔において、係止用爪を設けることによって、そこに嵌装される医療用連結部材の脱着が容易になる。例えば、貫通孔3(第1保持部)を方形状に形成し、さらに係止用爪10を設けて、貫通孔の全体的な形状を図1に示すような凹形状にすると、混注口2の脱着が容易になる。医療用連結部材を貫通孔に嵌装する際に、前記係止用爪を押込む、または引込むことによって、取付けが容易になり、元に戻すことで、しっかりと装着(保持)できる。係止用爪は第1保持部だけでなく、第2保持部に設けても良いし、両方の保持部に設けても良い。また、係止用爪は方形状の貫通孔のみならず、円形状の貫通孔に形成しても有効である。
【0030】
図3に示すように、平板4の中央部に、脱離防止具1を折り畳むことのできるような折り目9を形成しても良い。この場合は、折り目9は貫通孔6を挟んで平板4のちょうど真中に形成されているため、折り畳むことによって元の脱離防止具の大きさの1/2にすることができ、携行の際に便利である。また、折り目9に沿って平板を折り曲げることで、連結部材の脱離防止具への脱着が容易となる。
【0031】
図10に示すように、側端部15a、15bで結合した同一形状の平板4、4’を形成し、使用時に側端部15a、15bで折って、平板4と4’を重ね合わせることで補強しても良い。上記の実施態様によって、形成(製造)時の平板の肉薄を小さくすることができる。
【0032】
さらに、本発明の脱離防止具は必要に応じて、(既述した医療用連結部材のいずれかに連絡する導管を保持できる)導管保持部を、少なくとも1つ平板に設けても良い。例えば、図8に示すような導管保持部8を平板4の周縁部に形成し、混注口2、またはタコ管付きルアー端部5と連絡する導管7を装着し保持できるようにすると、脱離防止効果を補強できる。特に、いずれかの医療用連結部材に保持部と保持する力が弱い場合、即ち第1保持部および/または第2保持部による脱離防止効果が小さい場合は、いずれかの医療用連結部材に連なる導管を保持する導管保持部による保持力で、脱離防止効果を補助しても良い。例えば貫通孔が、嵌装するタコ管や混注口と形状・寸法がピッタリと適合していない場合には、有効である。
【0033】
また、導管保持部は第1保持部、第2保持部と実質的に、同一平面上に配置されるように平板上に形成されるのが、望ましく、そのような構成にすることで、既述した本脱離防止具の利点が維持される。
【0034】
このように、第1保持部または第2保持部のいずれかと、導管保持部との組み合わせによっても、脱離防止効果を得ることができる。この場合、導管保持部は1つ形成したものより、2つ以上形成したものの方がより脱離防止効果が大きい。そして、導管保持部は近傍に形成するよりも、平板の周縁部に対縁となるように、より望ましくは対角になるように形成した方が脱離防止効果が大きい。対縁とは方形の向かい合う縁部をいい、対角とは、図1や図3に示されるように、斜め向かい、またはたすき掛けの状態を示す。
【0035】
前記導管保持部は貫通孔3,6のような閉じた円形状であるよりも、外部に開放した孔(溝)の方が導管を嵌装したり、取り外すのに便利である。例えば図1に示すように、平板4の周縁部に湾状孔(溝)8a、8bを形成すると、孔の開放部8eを通って、導管を脱離防止具に脱着できるので、好ましい。また、導管保持部の形状を、色々な径の導管に適合できるように、楕円状の湾状孔(溝)8cにしても良い。
【0036】
導管保持部は1つ形成するだけでも、有用であるが、複数個(2個以上)形成する方が望ましい。例えば、図3や図6に示すように湾状孔8(8c)を2つ、対角となるように、平板の対縁に配置すると、導管の脱離防止具に対する保持性能は格段に向上する。導管保持部を2つ以上形成しておけば、必要な時だけ、必要な分だけ利用することもできる。また、図1に示すように、大きさの異なる2種類の導管保持部8a、8cを形成すると、異なる径の導管にも適用可能となる。その場合には、同じ大きさの導管保持部を2つずつ対角に平板上に配置するのが好ましい。
【0037】
平板全体、前記第1保持部、第2保持部、導管保持部のいずれか、またはそれらを適宜組み合せて、保持・装着すべきものの区別をするための判別手段を形成するのも好ましい。一例として、脱離防止具の平板全体を色付けして、投与する液(血液、生食液、高カロリー輸液等)の種類を区別しても良い。血液透析等の体外循環に使用する場合は、動脈系の判別のために赤の脱離防止具を使用し、静脈系の判別のために青の脱離防止具を使用することもできる。また、平板の一部分、すなわち第1、第2保持部(貫通孔、粘着手段)や導管保持部(貫通孔、溝、切欠け)を色分けしたり、それらの近傍に書込みができるようにして、各導管や医療用部材毎の判別のために使用しても良い。
【0038】
【実施例】
1.実施例1
以下、本発明の好適な実施例を図によって説明する。図9は、長さ85mm、幅30mm、肉厚0.6mm、のポリオレフィン製の脱離防止具1である。本例では、第1保持部として、凹状の貫通孔3が平板4の右側端部に1つ形成され、平板中央やや右寄りに第2保持部として、円形状の貫通孔6が形成されている。平板の中央より左側の周縁部に、対角状になるように湾状孔8aが2つ形成されている。本脱離防止具1をA−A’線で切断したものを示すのが、図2である。この図からも、第1保持部(貫通孔3)と第2保持部(貫通孔6)が、実質的に平面状になるように配置されているのが、よく判る。
【0039】
この脱離防止具に医療用第1連結部材と第2連結部材を保持した状態を示すのが、図5、6である。1つの輸液セットの隔膜弁付きの混注口(セプタム)2が貫通孔3に嵌装され、別の輸液セットのタコ管11が貫通孔6に嵌装されている。ルアー端部5は混注口2に連結された状態で、それぞれの連結部材が脱離防止具の各保持部に保持され、両部材の脱離を防止している。
【0040】
実施例2.
図3は、長さ70mm、幅30mm、肉厚0.6mm、のポリオレフィン製の脱離防止具1である。本例では、第1保持部として、凹状の貫通孔3が平板の右側端部に1つ形成され、平板中央に第2保持部として、円形状の貫通孔6が形成されている。平板4の中央より左側の周縁部14に、対角状になるように楕円状の湾状溝8cが2つ形成されている。また、平板4の左側寄りには、シリンジのフランジ部13を取付けるための方形状の貫通孔6が形成されており、必要に応じて混注口にタコ管付きルアー端部、シリンジを付け換えることができるようになっている。本脱離防止具1をA−A’線で切断したものを示すのが、図4である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の脱離防止具によって、以下のような様々な効果が得られる。
1.構造が簡易なため、連結具の脱離防止具への脱着が容易であり、しかも連結部材同士の脱離防止効果が高い。
2.コンパクトなため、場所を取らず、携行に便利である。
3.製造コストや手間がかからないため、安価に供給できる。
4.形状や寸法を検討することで、多種類の連結用部材に適合させることができる。
5.必要に応じて、判別手段を設けることで、過誤処置を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を模式的に示す概略図。
【図2】図1のA−A’線による断面を示す断面図。
【図3】本発明の他の実施例を模式的に示す概略図。
【図4】図3のA−A’線による断面を示す断面図。
【図5】脱離防止具に、医療用連結部材を装着した状態を示す概略断面図。
【図6】脱離防止具に、医療用連結部材(混注口、タコ管付きルアー端部)を装着した状態を示す概略平面図。
【図7】脱離防止具に、医療用連結部材(混注口、シリンジ)を装着した状態を示す概略断面図。
【図8】脱離防止具に、導管付きの医療用連結部材を装着した状態を示す概略平面図。
【図9】本発明の他の実施例を模式的に示す概略図。
【図10】本発明の他の実施例を模式的に示す概略図。
【符号の説明】
1.脱離防止具
2.混注口
3.貫通孔(第1保持部)
4.平板
4’.(同一形状の)平板
5.タコ管付きルアー端部
6.貫通孔(第2保持部)
7.導管
8.湾状孔(導管保持部)
8a.湾状孔
8b.湾状孔
8c.湾状孔
8e.孔の開放部
9.折り目
10.係止爪
11.タコ管
12.シリンジ
13.フランジ
14.周縁部
15a.平板側端部
15b.平板側端部
Claims (17)
- 医療用の第1連結部材と、該部材に連結して使用される医療用の第2連結部材との間の不測の脱離を防止する、第1連結部材と第2連結部材との連結部位に取り付けられる平板状の脱離防止具であって、該脱離防止具は少なくとも平板と、前記第1連結部材を嵌装できる貫通孔または溝からなる第1保持部と、前記第2連結部材を嵌装できる貫通孔または溝からなる第2保持部とを有し、前記第1連結部材と前記第2連結部材との連結状態を維持したまま、第1連結部材を第1保持部に嵌装でき、かつ第2連結部材を第2保持部に嵌装できるように、第1保持部と第2保持部が前記平板上に配置され、さらに第1保持部および/または第2保持部には、貫通孔または溝の内方に向かって延出した係止用爪が設けられていることを特徴とする医療用脱離防止具。
- 前記平板が方形状に形成されたものである請求項1に記載の医療用脱離防止具。
- 前記平板が可撓性を有する合成樹脂製、または紙製である請求項1または2のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 第1保持部あるいは第2保持部のいずれかが、平板端部あるいは平板中央部に形成され、前記の残りの保持部が平板中央部あるいは平板端部のうちのいずれかに形成された請求項1〜3のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 第1保持部と第2保持部のいずれかが、一方の平板端部に形成され、前記の残りの保持部がもう一方の平板端部に形成された請求項1〜3のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 第1保持部または第2保持部のいずれかが、方形状の貫通孔である請求項1〜5のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 第1保持部または第2保持部のいずれかが、円形状の貫通孔である請求項1〜5のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 前記平板の中央部に、脱離防止具を折り畳むための折り目が形成された請求項1〜7のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 前記第1連結部材または前記第2連結部材と連絡する導管を保持できる、少なくとも1つの導管保持部を、前記平板上に形成した請求項1〜8のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 前記導管保持部が、前記平板の周縁部に形成された湾状孔または湾状溝である請求項9に記載された医療用脱離防止具。
- 導管保持部が2つ以上形成された請求項9または請求項10のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 導管保持部が、平板の対縁に配置された請求項9〜11のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 大きさの異なる2種類の導管保持部が形成された請求項9〜12のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 同じ大きさの導管保持部が、平板の対縁に配置されている請求項9〜13に記載された医療用脱離防止具。
- 平板全体、前記第1保持部、第2保持部、導管保持部のいずれか、またはそれらを適宜組み合わせて、保持・装着すべきものの区別をするための判別手段を形成された請求項1〜14のいずれかに記載された医療用脱離防止具。
- 前記判別手段が色分け、または文字による書き込みである請求項15に記載された医療用脱離防止具。
- 前記判別手段が色分け、および文字による書き込みである請求項15に記載された医療用脱離防止具。
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