JP4651808B2 - スピニングリールおよびそれ用の糸ヨレ防止装置 - Google Patents
スピニングリールおよびそれ用の糸ヨレ防止装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピニングリールから繰り出された釣糸が縒れる糸ヨレを防止する糸ヨレ防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
釣竿にスピニングリールを取り付け、このスピニングリールに釣糸を巻き付けておき、スピニングリールから繰り出した釣糸の先端に釣針を付けて、魚を釣ることが広く行われている。スピニングリールは、▲1▼釣竿に取り付けられるリール本体と、▲2▼そのリール本体が釣竿に取り付けられた状態で軸方向が釣竿の長手方向にほぼ平行となるスプールと、▲3▼そのスプールの軸線のまわりに回転可能なベールと、▲4▼そのベールを回転させる回転駆動装置とを含むように構成されるのが普通である。釣竿には外通し竿と、中通し竿とがある。外通し竿は、釣糸を釣竿の外側に設けられた複数の外ガイドに通して案内させるものであり、中通し竿は、釣糸を釣竿の基端部近傍に設けられた釣糸導入部から一旦釣竿内に導入し、釣竿の先端ガイドから再び外部に引き出すものである。いずれにしても、釣糸は、スピニングリールと、釣竿の基端部近傍に設けられた基端側外ガイドあるいは釣糸導入部との間に延びる状態となり、この部分にベールを係合させた状態で、回転駆動装置によりベールを回転させれば、釣糸がスプールに巻き付けられる。
【0003】
釣糸をスプールから繰り出す際には、ベールを釣糸と係合しない解放位置とし、釣竿を振って釣糸に取り付けられた釣針,錘等の仕掛けに遠心力を発生させ、その遠心力により釣糸をスプールから引き出すか、あるいは仕掛けの重力により釣糸をスプールから引き出せばよい。この場合、釣糸はスプールの竿先側の端から1巻分ずつ順次引き出されることとなるが、スプールは回転しないため、釣糸は1巻分引き出される毎に軸線のまわりに1回転ずつ捩じられることとなる。釣糸は一般に腰の強いものであるため、捩じられれば、長手方向に張力が作用させられない状態では真っ直ぐに延びず、湾曲する。これが所謂糸ヨレであり、釣糸同士が絡み合ったり、周辺の部材に絡みついたり等のトラブルの原因となり、あるいは、外ガイド(外通し竿の場合)や釣竿の内周面(中通し竿の場合)から釣糸が受ける抵抗が増大して、仕掛けの飛距離が短くなったりする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
本発明は、以上の事情を背景とし、糸ヨレを防止あるいは軽減する装置を得ることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の糸ヨレ防止装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能なのである。
なお、下記項のうち、(1)項に(7)項に記載の事項を追加するとともに、回転抑制部がスピニングリールの前方であって、中通し竿の釣糸導入部よりスピニングリール側の位置または外通し竿の最も基端側の外ガイドまでの位置に設けられることを明らかにしたものが請求項1に相当し、その請求項1に(8)項に記載の事項を追加するとともにVプーリが一体のものであることを明らかにしたものが請求項2に相当し、その請求項2に段落〔0021〕および〔0022〕に記載の事項を追加したものが請求項3に相当し、それら請求項1ないし3のいずれかに(9)項に記載の事項を追加したものが請求項4に相当し、請求項1ないし4のいずれかに(18)項およびその項に関する説明部分に記載の事項を追加したものが請求項5に相当し、請求項1に段落〔0044〕に記載の事項を追加したものが請求項6に相当する。
(1)スピニングリールの前方に配設され、そのスピニングリールに巻き取られる釣糸の長手方向の移動を許容しつつその釣糸の軸線まわりの回転を抑制する回転抑制部を備えることを特徴とするスピニングリールの糸ヨレ防止装置。
前述のように、スピニングリールから釣糸が引き出される際には、1巻分につき1回捩じられる。同様に、ベールの回転により釣糸がスプールに巻き付けられる際にも、釣糸は1巻分につき1回捩じられる。そして、その捩じり方向は、釣糸が引き出される場合と、巻き付けられる場合とで互いに逆である。したがって、釣糸をスプールに巻き付ける際に、釣糸が1巻に1回捩じられる毎に、その捩じられた状態のままスプールに巻き込まれるようにすれば、次にその釣糸がスプールから引き出される際に、釣糸に発生する捩じれが、スプールへの巻き付け時に巻き込まれた捩じれにより相殺されることとなり、スプールから引き出されて直線状に延びる状態の釣糸には捩じれが存在しないこととなる。本発明は、この事実の発見に基づいてなされたものであり、スピニングリールの前方に、釣糸の長手方向の移動を許容しつつ軸線まわりの回転を抑制する回転抑制部を配設し、スプールに巻き付ける際に釣糸に発生する捩じれが竿先側へ逃げることを抑制することによって、ほぼ1巻に1回の捩じれができる限り確実にスプールに巻き込まれるようにするものである。
従来の釣具においても、釣糸がスピニングリールに巻き付けられる際、釣糸に1巻に1回転分の捩じれは生じていたのであるが、釣糸の回転が特に防止されていたわけではないので、捩じれが竿先側へ逃げ、捩じれの一部がスプールに巻き込まれていたのみであった。そのため、次に釣糸がスプールから引き出される際に1巻き分に1回確実に生じる捩じれを相殺するには不十分であり、引き出された釣糸に糸ヨレが生じてしまっていた。本発明に従えば、スプールに巻き付けられる際の捩じれと、スプールから引き出される際の捩じれとを、従来より良好に相殺させることができ、引き出された釣糸に糸ヨレが生じることを防止あるいは軽減することができる。
上述のように、釣糸がスプールから引き出される際の捩じれは1巻分に1回確実に生じるために、スプールに巻き付ける際に、1巻分に1回の捩じれが確実にスプールに巻き込まれるようにすれば、引き出された釣糸の糸ヨレを確実に防止することができる。そのためには、回転抑制部とスピニングリールとの距離を、スプールに巻かれた釣糸の外周以下にすることが最も簡明である。このようにするとともに、回転抑制部を釣糸の回転をほぼ完全に防止する回転防止部とすれば、捩じられた分はほぼ完全に巻き込まれるため、次に釣糸が引き出される際に生じる1巻分に1回転の捩じれがほぼ完全に相殺されることとなるのである。
しかし、回転抑制部とスピニングリールとの距離をスプールに巻かれた釣糸の外周以下にすることは不可欠ではない。回転抑制部とスプールとの間の距離が最適距離より大きい場合には、釣糸の巻き取り開始時には、1巻当たり1回発生する捩じれが、その大きい距離で延びている釣糸に分散するために、完全に1巻きに1回の捩じれが巻き込まれるようにすることはできないが、回転抑制部が回転をほぼ完全に防止して捩じれを逃がさない回転防止部である限り、巻き取りが進行するにつれて上記大きい距離で延びている釣糸全体の捩じれが、1巻分に1回の捩じれに相当する量となり、その状態で釣糸がスプールに巻き込まれることとなって、糸ヨレの発生がほぼ完全に防止されるからである。
なお、回転抑制部は必ずしも回転防止部とする必要はなく、多少の捩じれが竿先側へ逃げることを許容するものとしても本発明の効果は享受し得る。スピニングリールの前方に回転抑制部を設けて釣糸の回転を従来より抑制すれば、本発明の効果を享受し得る。この観点からすれば、回転抑制部は釣糸に発生する捩じれの50%以上が竿先側へ逃げることを防止し得るものであれば一応の効果が得られ、30%以上,20%以上あるいは10%以上が逃げることを防止し得るものとすることがさらに望ましい。また、スプールから引き出された釣糸に、1巻分に1回の捩じれが存在する状態を100%として、50%以下に低減させ得るように、回転抑制部の回転抑制機能を設定することが望ましく、40%以下,30%以下,20以下,10%以下に低減させ得るように設定することがさらに望ましい。
また、「釣糸の長手方向の移動を許容しつつ軸線まわりの回転を抑制する」とは、必ずしも回転抑制部が釣糸の長手方向の滑りを許容することを意味しない。例えば、回転抑制部を、一対のローラあるいは一対の周回ベルトの間に釣糸を挟んで軸線まわりの回転を抑制するものとすることが可能であり、その場合には、ローラあるいは周回ベルトの釣糸を挟む部分と釣糸との間には釣糸の長手方向の滑りは生じない。周回ベルトは、例えばそれぞれ一対ずつの遊転ローラに1巻ずつのベルトを巻き掛け、それらベルトの直線部の外側面同士が互いに接触しあるいは近接して平行に延びるようにし、それら両外側面の間に釣糸を挟めば、釣糸の軸線まわりの回転を抑制または防止することができるが、一対のベルトの直線部は釣糸を両側から挟んだ状態で釣糸と共に移動する。ベルトの直線部と釣糸との間には殆ど滑りは生じないのである。
さらに付言すれば、回転抑制部はスピニングリールの前方、すなわち竿先側に設けられればよく、例えば、スピニングリールに取り付けられても、釣竿,スピニングリール本体等と一体的に形成されてもよい。
(2)前記回転抑制部が、
前記釣糸の長手方向と交差する方向に接近,離間可能に設けられ、互いに対向した挟み面の間に釣糸を挟む一対のブレーキ片と、
それらブレーキ片を互いに当接する向きに付勢する付勢装置と
を有するブレーキを備えたブレーキ装置を含む (1)項に記載の糸ヨレ防止装置。
一対のブレーキ片で釣糸を挟むようにし、その挟み力を適切に設定すれば、釣糸の回転をほぼ完全に防止することができる。挟み力は付勢装置の付勢力を変更することにより変更し得るが、釣糸が捩じられた場合に、その捩じれの復元トルクは釣糸が太いほど、また、材料の剛性率が大きいほど大きくなる。また、釣糸が太くなれば、同じ挟み力によって得られる回転防止トルク(釣糸とブレーキ片との間の摩擦力と釣糸の直径との積)も大きくなるので、同じ挟み力によって得られる回転防止トルクは釣糸が太くなるほど大きくなる。ただし、復元トルクは直径の4乗に比例して大きくなるのに対して、回転防止トルクは直径に比例して大きくなるに過ぎないため、釣糸の材料の剛性率が同じである限り、釣糸の回転を完全に防止するために必要な挟み力は釣糸が太くなるほど大きくなる。一方、挟み力を大きくすれば、釣糸の長手方向の移動に対する抵抗も大きくなるので、この抵抗を小さくするために挟み力は小さい方がよい。結局、挟み力を一定の値に設定する場合には、使用が予定されている釣糸のうちで最も太く、最も材料の剛性率の高いものについても回転をほぼ完全に防止し得る範囲で、最も小さい大きさに設定することが望ましいことになる。
(3)前記ブレーキが、前記釣糸の長手方向の移動を許容しつつ軸まわりの回転を抑制するブレーキ力を発生する回転抑制状態に加えて、前記釣糸を解放する解放状態をも取り得る (2)項に記載の糸ヨレ防止装置。
本項の特徴を採用すれば、ブレーキを解放状態にすることによって、釣糸の長手方向の移動に対する抵抗をほぼ0にすることができる。例えば、釣竿を振って仕掛けを遠くへ飛ばす場合や、仕掛けの重量により釣糸を引き出す場合には、長手方向の移動に対する抵抗が小さいほどよく、ブレーキを解放状態にし得るようにすることは非常に有益である。
なお、「ブレーキが・・・状態を取り得る」とは、その状態になり得るということであって、必ずしもブレーキ自体の状態が変化可能であることを要しない。例えば、釣糸がブレーキから外され得るようになっていれば、そのブレーキは解放状態を取り得ることになる。以下の回転抑制部(ないし回転防止部)についても同様である。
(4)前記ブレーキが、前記釣糸の長手方向の移動を許容しつつ軸線まわりの回転を抑制する小ブレーキ力を発生する回転抑制状態に加えて、釣糸の長手方向の移動も阻止する大ブレーキ力を発生する移動防止状態をも取り得るものである (2)項または (3)項に記載の糸ヨレ防止装置。
本項の特徴を採用すれば、釣糸の回転抑制用のブレーキを利用して釣糸の長手方向の移動をも防止することができる。 (3)項に従属する態様では、ブレーキは回転抑制状態,解放状態および移動防止状態の3状態を取り得るものとされることになる。
(5)前記ブレーキ装置が、
釣人により操作されるブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の操作に応じて前記ブレーキを前記回転防止状態とそれ以外の状態とに切り換える切換装置と
を備えた (3)項または (4)項に記載の糸ヨレ防止装置。
このようにブレーキ操作部材の操作によりブレーキの状態を切り換え得るようにすれば、回転抑制装置が使い勝手のよいものとなる。
(6)前記ブレーキ操作部材が、釣竿を握った状態の手の指で操作可能な位置に設けられた (5)項に記載の糸ヨレ防止装置。
本項の特徴によれば、釣竿を握った状態の手の指でブレーキ操作部材を操作し得るため、さらに使い勝手がよくなる。特に、ブレーキが、回転抑制状態,解放状態および移動防止状態の3状態を取り得るものである場合には、当初、ベールを釣糸に係合しない解放位置にする一方、ブレーキを移動防止状態として釣竿を振れば仕掛けに遠心力を発生させることができ、釣竿が直立状態あるいはそれよりやや前傾した状態となったときに、ブレーキを解放状態とすることにより、上記遠心力により仕掛けを飛ばすことができる。仕掛けの着水後、直ちにベールを釣糸に係合する作用位置へ移動させるとともにブレーキを回転抑制状態とすれば、以後ベールを回転させて釣糸をスプールに巻き取る際に、釣糸の回転が抑制され、糸ヨレの発生が防止あるいは低減させられる。ブレーキ操作部材をベールにも連携させて、ブレーキの回転抑制状態への切換えとベールの作用位置への移動と、ブレーキの解除状態への切換えとベールの解放位置への移動との少なくとも一方を連動させれば、使い勝手が一層良くなる。
(7)前記回転抑制部が、前記釣糸の長手方向と交差する向きにV字形に開いた隙間であって、幅の最も狭い部分が前記釣糸の直径より小さいものを形成するV字形隙間形成装置を含む (1)項ないし (6)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
V字形隙間形成装置のV字形隙間に釣糸を係合させれば、V字形隙間を形成している一対の側壁面の楔効果により、釣糸と側壁面との接触力が大きくなり、釣糸の軸線まわりの回転が防止される。V字形隙間は1つのみ設けても効果があるが、複数直列に設け、相前後するV字形隙間が互いに逆方向に開き、かつ、互いに共同して釣糸を湾曲させるように配置すれば、楔効果が増し、より良好な回転抑制機能が得られる。V字形隙間形成装置単独で回転抑制部を構成させることも、ブレーキ等他の装置との共同で回転抑制部を構成させることも可能である。
さらに、釣糸をV字形隙間に係合させる作用位置と、係合させない解放位置とに移動可能とすれば、V字形隙間形成装置が作用状態と解放状態とを取り得ることとなるが、作用位置と解放位置とに移動可能な制御部材を設ければ、制御部材を作用位置へ移動させることにより、釣糸をV字形隙間に積極的に係合させ、制御部材を解放位置へ移動させることにより、釣糸をV字形隙間から解放して、釣糸にかかる長手方向の抵抗を軽減することができる。制御部材を作用位置と解放位置とに移動させる制御操作部材を、釣竿を握った状態の手の指で操作可能な位置に設け、あるいはベールと連動させれば、ブレーキ操作部材に関して前述したと同様の効果が得られる。
(8)前記V字形隙間形成装置が、前記釣糸の長手方向と交差する回転軸線のまわりに回転可能な少なくとも1個のVプーリを有する (7)項に記載の糸ヨレ防止装置。
回転可能なVプーリのV溝をV字形隙間として利用すれば、釣糸を強くV溝の両側壁面に接触させて回転を良好に抑制しつつ、Vプーリの回転により釣糸の長手方向の軽快な移動を許容し得る。
(9)前記回転抑制部が、前記V字形隙間形成装置に対して前記スピニングリールから遠い側の位置に設けられ、前記釣糸の長手方向の移動を許容しつつその釣糸に移動抵抗を付与する抵抗付与装置を含む (7)項または (8)項に記載の糸ヨレ防止装置。
抵抗付与装置を設ければ、それにより釣糸に付与される長手方向の移動抵抗によって、釣糸を積極的にV字形隙間に係合させることができ、V字形隙間形成装置の効果を増大させて、釣糸の回転をより良好に防止することができる。
(10)前記回転抑制部が、
前記釣糸が外周面に巻き掛けられる胴部と、
その胴部から半径方向外向きに突出する状態に設けられ、胴部の軸方向に互いに接近離間可能な一対の挟みフランジと、
それら挟みフランジを互いに接近する向きに付勢する付勢装置と
を有する (1)項ないし (9)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
付勢装置の付勢力に基づいて一対の挟みフランジに釣糸を挟ませれば、回転を抑制または防止して、糸ヨレを抑制または防止し得る。胴部および挟みフランジを回転可能とすれば、前記Vプーリに関して説明したのと似た効果が得られる。
(11)前記一対の挟みフランジが、前記付勢装置の付勢力に基づいて前記釣糸を挟む作用状態と、釣糸を解放する解放状態とを取り得るものである(10)項に記載の糸ヨレ防止装置。
釣糸を一対の挟みフランジの間を通過する位置と通過しない位置とに移動可能とするのみでもよいが、前記ブレーキ操作部材,制御操作部材と同様なフランジ操作部材を設け、一対の挟みフランジを作用状態と解放状態とに切り換え得るようにすることが望ましい。本態様は、胴部および挟みフランジが回転しないタイプである場合に特に有効である。
(12)前記回転抑制部が、前記釣糸を、その釣糸の長手方向において2回以上湾曲させつつ案内する湾曲ガイド部を有する (1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
湾曲ガイド部により釣糸を2回以上湾曲させれば、湾曲すること自体により釣糸が軸線まわりに回転し難くなる上、湾曲ガイド部と釣糸との接触力が増大して釣糸が一層回転し難くなり、釣糸の軸線まわりの回転を抑制し得る。前記Vプーリや胴部および挟みフランジが複数設けられ、それらに釣糸が2回以上湾曲させられて係合させられる態様も湾曲ガイド部の一種と考えることができる。
(13)前湾曲ガイド部が、前記釣糸を2回以上湾曲させる作用状態と、湾曲させない非作用状態とを取り得るものである(12)項に記載の糸ヨレ防止装置。
前記ブレーキ操作部材,制御操作部材と同様な操作部材を設け、湾曲ガイド部を作用状態と非作用状態とに切り換え得るようにすることが望ましい。
(14)前記回転抑制部が、前記釣糸の長手方向と交差する回転軸線のまわりに回転可能に設けられたプーリを含む (1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
釣糸をプーリに1巻以上巻き付ければ、釣糸の回転を抑制することができる。しかも、釣糸の長手方向の移動はプーリの回転により許容されるため、長手方向の移動抵抗は小さくて済む。プーリを支持部材に片持ち状に支持させれば、釣糸をスピニングリールに巻き取る際には、釣糸をプーリに1巻以上巻き付けて釣糸の軸線まわりの回転を良好に抑制し得、釣糸をスピニングリールから引き出す際には、プーリから外して解放状態とすることができる。特に、スプールと釣糸導入部(中通し竿の場合)あるいは基端側ガイド(外通し竿の場合)との間の釣糸移動経路から外れた位置にプーリを設ければ、釣糸のスピニングリールから引出しがプーリにより邪魔されることがなく、プーリを釣糸と係合する作用位置と釣糸から離間した退避位置とに移動させる必要がなくなって、装置の構造が単純で済む効果が得られる。
(15)前記プーリの外周面が、外径が最小の部分から当該プーリの軸方向に隔たるにつれて外径が漸増する形状を有する(14)項に記載の糸ヨレ防止装置。
本態様によれば、プーリに巻き付けられた釣糸は、小さな張力が作用してさえいればプーリから外れることがない。また、外周面の外径変化状態を適切に決定することにより、釣糸がプーリの最小外径部に集中して巻かれるようにすることができ、回転防止機能を安定して発生させることがでできる。
(16)前記回転抑制部が、受面と、自身の弾性によりその受面に弾性的に接触するばね部材とを備え、それら受面とばね部材との間に釣糸を弾性的に挟むことにより釣糸の回転を抑制する挟み装置を含む (1)項ないし(15)項に記載の糸ヨレ防止装置。
(17)前記挟み装置が、前記釣糸を、前記受面と前記ばね部材との間を通過するように案内するガイドを備える(16)項に記載の糸ヨレ防止装置。
(18)前記スピニングレールより前方で前記回転抑制装置までの間に設けられ、スピニングリールの軸線と前記釣竿の軸線とを含む平面にほぼ平行な方向に延びる長穴状の案内穴を有する糸案内を含む(1) 項ないし(17)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
糸案内は、スピニングリールと回転抑制部との間、あるいは回転抑制部と同じ軸方向位置に、釣糸がスピニングリールに巻き取られる際には案内穴の釣竿に近い部分を通過し、スピニングリールから繰り出される際には案内穴の釣竿から遠い部分を通過する状態で配設される。後者の場合、案内穴の釣竿に近い部分自体が回転抑制部として機能するようにされてもよく、あるいは回転抑制部が釣糸と係合する係合部を複数有する場合に、それら複数の係合部の間に糸案内が設けられてもよい。
本項に記載の糸ヨレ防止装置においては、釣糸が、スピニングリールに巻き取られる際には回転抑制部に係合することが許容され、スピニングリールから繰り出される際には糸案内によって回転抑制部から離れた状態に維持される。そのため、釣糸がスピニングリールから繰り出される際に回転抑制部に係合して接触抵抗が増大することが良好に回避される。
(19)前記案内穴が、長手方向の両端部に形成された一対の端穴部と、それら両端穴部の内のり寸法より小さい幅で延びて両端穴部をつなぐ接続溝部とを備えた(18)項に記載の糸ヨレ防止装置。
案内穴を上記形状にすれば、釣糸がスピニングリールから繰り出される際に回転抑制部に係合することがより良好に回避される。
(20)前記回転抑制部が、前記釣糸が前記スピニングリールに巻き取られる際に、回転抑制部の前記釣竿に近い側に係合し、投てき前に釣糸が指で釣竿の外周面に押しつけられた状態では回転抑制部から釣竿側へ離間した状態となる位置に設けられた(7) 項ないし(11)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
回転抑制部が、(7) 項ないし(11)項のいずれかに記載されたものである場合には、釣糸がスピニングリールに巻き取られる際には、回転抑制部たるV字形隙間形成部や一対の挟みフランジに係合させられることが必要であるが、釣糸がスピニングリールから繰り出される際にV字形隙間形成装置や一対の挟みフランジから離脱せず、釣糸に無用な抵抗が加えられることがある。この場合には、仕掛けの飛距離が減少する不都合が生じるのであるが、本項に記載の構成を採用すれば、投てき前に、ベールが外された釣糸が指で釣竿の外周面に押し付けられる際に、V字形隙間形成装置や一対の挟みフランジから確実に離脱させられる。
(21)前記回転抑制部が、前記スピニングリールの前方に設けられ、貫通した案内穴を備えた糸案内であって、案内穴の形状,寸法および位置が、前記釣糸がスピニングリールに巻き取られる際には、釣糸が糸案内において屈曲し、その糸案内の内周面に接触し続けるように選定されたものを含む(1) 項に記載の糸ヨレ防止装置。
釣糸がスピニングリールに巻き取られる際、案内穴の内周面に接触し続ければ、摩擦抵抗により釣糸の軸線まわりの回転が抑制され、スピニングリールへの巻取りに伴って生じた釣糸の捩りが竿先側へ逃げることが抑制される。上記摩擦抵抗は、釣糸の糸案内における屈曲角度が大きいほど大きくなる。この屈曲角度は、摩擦抵抗を得る観点からは大きいほど望ましく、具体的には6度以上となることが望ましく、10度以上,15度以上,20度以上となることがさらに望ましい。一方、釣糸のスピニングリールからの繰り出し時の抵抗を小さくする観点からは小さい方が望ましく、30度以下となることが望ましい。以下の(22)項または(23)項についても同様である。本項から(24)項に記載の特徴は、釣竿が中通し竿である場合にも適用可能であるが、外通し竿である場合の方が適用が容易である。
(22)前記糸案内の案内穴が、ほぼスピニングリールの軸線を中心として形成されており、かつ、釣糸がスピニングリールに巻き取られる際には、釣糸が糸案内の案内穴の内周面により、スピニングリールの軸線に接近する向きに屈曲させられる大きさに選定された(21)項に記載の糸ヨレ防止装置。
この構成によれば、スピニングリールのベールの回転に伴って、釣糸が、案内穴の内周面への接触点をベールの回転方向と同じ方向に変えつつ、内周面に接触し続ける。
(23)前記糸案内の案内穴が、前記ベールの回転位置のいかんを問わず釣糸を前記釣竿側へ引きつけた状態で釣糸を案内する位置に形成された(21)項に記載の糸ヨレ防止装置。(24)前記スピニングリールのベールと、前記糸案内との間の距離が、前記ベールの前記釣糸と係合する部分の回転軌跡である円の円周の長さの3倍以下とされた(22)項または(23)項に記載の糸ヨレ防止装置。
ベールと糸案内との間の距離を小さくするほど、糸案内における釣糸の屈曲角度を大きくすることが容易となる。ベールの回転軌跡である円の円周の長さの2倍以下とされることが望ましく、1倍以下とされることがさらに望ましい。本項の特徴によれば、ベールの回転軌跡である円の直径を比較的小さくし、あるいは糸案内の案内穴の内のり寸法を大きくしながら、釣糸を十分大きな屈曲角度で屈曲させることができる。
(25)前記スピニングリールのベールに、そのベールが前記釣糸と係合し、前記スピニングリールのスプールのまわりを回転することにより釣糸をスプールに巻き付ける係合位置にある状態で、スプールの軸線とほぼ直角に立体交差する姿勢となる一軸線のまわりに回転可能なガイドローラが設けられた (1)項ないし(24)項のいずれか一つに記載の糸ヨレ防止装置。
ベールの釣糸との係合部を回転可能なガイドローラとすれば、ガイドローラとされていなかった従来に比較して糸ヨレの発生が良好に回避される。その理由は、未だ解明されていないが、ベールと回転抑制部との間に発生した釣糸の捩じりがスプール側に通過し易くなることが理由の一つと推測されている。この推測が正しいか否かは今後の課題であるが、ベールの係合部を回転可能なガイドローラとする方がしないより糸ヨレが発生しなくなることは実験によって確認されている。
(26)前記ガイドローラの外周面に、底部側ほど間隔が狭くなり、前記釣糸の周方向に隔たった2個所に接触して釣糸を両側から挟む状態となる一対の側壁面を有する係合溝が形成された(25)項に記載の糸ヨレ防止装置。
ガイドローラの外周面に係合溝を形成すれば糸ヨレ防止効果が向上することも実験によって確認されている。この理由も未だ不明であるが、釣糸がガイドローラに沿って湾曲させられる際、捩じれが竿先側へ押し戻される傾向があるのに対し、本態様によれば、釣糸がガイドローラに沿って湾曲させられる前に係合溝の両側壁面により挟まれ、回転が防止されるため、捩じれが竿先側へ押し戻され難くなることが理由の一つではないかと推測されている。
(27)釣糸が巻き付けられるスプールと、そのスプールから引き出された釣糸と係合した状態でスプールの外周を回転し、スプールに釣糸を巻き付けるベールとを備えたスピニングリールにおいて、
前記ベールに、そのベールが前記釣糸と係合し、前記スプールのまわりを回転することにより釣糸をスプールに巻き付ける係合位置にある状態で、スプールの軸線とほぼ直角に立体交差する姿勢となる一軸線のまわりに回転可能なローラを設けたことを特徴とするスピニングリール。
前記(25)項に記載のように、回転可能なガイドローラを回転抑制部と組み合わせて採用すれば、糸ヨレを特に良好に防止し得るが、回転可能なガイドローラを単独で採用しても相当な糸ヨレ防止効果が得られる。
(28)前記ガイドローラの外周面に、底部側ほど間隔が狭くなり、釣糸の周方向に隔たった2個所に接触して釣糸を両側から挟む状態となる一対の側壁面を有する係合溝が形成された(27)項に記載のスピニングリール。
両側壁面のなす角度は、鋭角とすることが望ましく、75度以下,60度以下とすることが望ましい。ただし、両側壁面のなす角度を小さくし過ぎると、釣糸がくさび効果によって係合溝に噛み込んだ状態となり、ガイドローラから離れ難くなるため、角度の下限値が存在する。この下限値は、釣糸の弾性率や摩擦係数によって変わるが、一般的には30度,45度または50度とすることが望ましい。なお、確実に「釣糸の周方向に隔たった2個所に接触して釣糸を両側から挟む状態」とするには、係合溝の底面と釣糸の外周面との間に隙間が存在し、釣糸が底面によってではなく両側壁面によって支持される状態とすればよいが、釣糸の外周面が底面に接触していても、係合溝の両側壁面にも接触していればよい。この状態は釣糸の弾性変形を考慮すれば、比較的容易に生じさせることができる。
(29)前記釣糸の通過を許容する糸通路を有し、少なくともその糸通路の内面が固体潤滑剤で形成された潤滑部材を備えた潤滑装置を含む (1)項ないし(28)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
回転抑制装置を設けて糸ヨレを防止あるいは低減すれば、釣糸と外ガイド(外通し竿の場合)あるいは釣竿の内周面(中通し竿の場合)との接触による抵抗を軽減して、仕掛けを遠くへ飛ばすことが可能になるが、本態様によればさらに飛距離を延ばすことができる。糸通路の内周面を固体潤滑剤で形成すれば、釣糸に固体潤滑剤が付着し、摩擦係数が低下するからである。
また、潤滑装置を、スピニングリールと回転抑制部との間に設ければ、スピニングリールから引き出される際、スプールの半径方向に広がる傾向がある釣糸の通過点を潤滑装置により規定することができ、釣糸が安定して回転抑制部を通過するようにすることができる。また、スプールから1巻分の釣糸が引き出される際、後に引き出されるべき部分も一緒に引き出されてしまう糸バラケと称される現象が生じたり、釣糸のスプールと回転抑制部との間に延びる部分が風に吹かれて長くなるなどして、弛んだ釣糸が絡み合った状態になることがあり、その状態のまま中通し竿の内部に引き込まれれば、釣竿の細い先端部内に詰まることがあるのであるが、潤滑部材を設ければ、絡み合った部分が潤滑部材によりさばかれて、絡み合ったまま釣竿の内部に入ってしまうことを良好に防止することができる。これらの機能は、上記糸通路が貫通孔により形成される場合に特に良好に果たされる。本項の特徴は (1)項ないし(26)項に記載の特徴とは別個に採用することも可能である。
なお、付言すれば、糸通路を形成する部材を固体潤滑剤で形成しないことも可能であり、その場合、その部材は案内部材あるいは糸さばき部材となり、案内部材あるいは糸さばき部材を含む装置は案内装置あるいは糸さばき装置となる。釣竿が外通し竿である場合には、回転抑制部の構成によってはそれの上流側と下流側との両方に案内部材を設けることが望ましい場合がある。
(30)釣竿が中通し竿であり、内周面にはっ水性を有する材料の層が形成された (1)項ないし(29)項のいずれか1つに記載の糸ヨレ防止装置。
中通し竿の内周面にはっ水性を有する材料の層を形成すれば、釣竿の内周面に水滴が付着し、その水滴に釣糸が付着して、長手方向の移動抵抗が増大することを良好に回避し得る。本項の特徴は (1)項ないし(29)項に記載の特徴とは別個に採用することも可能である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明の一実施形態である糸ヨレ防止装置を備えた釣具一式の組立状態を示す。図において、符号10は中通しの釣竿(以下、竿と略称する)を示し、竿10の基端近傍部にスピニングリール12が取り外し可能に取り付けられている。スピニングリール12から引き出された釣糸14(以下、糸と略称する)は、案内・減摩装置16,ブレーキ18および釣糸導入部20(以下、糸導入部と略称する)を経て、竿10内に導入され、竿10を貫通した上で先端ガイド22から再び外部に引き出され、その先端に仕掛け24が接続されている。図示の仕掛け24は、縒り戻し26,ハリス28,おもり30および釣針32を備えた単純なものであるが、一般には、さらに種々のものが取り付けられて複雑な仕掛けが使用される。なお、図示はしないが、スピニングリール12の竿10の長手方向における取付位置を調節可能とすることが望ましい。それによって、スピニングリール12と、案内・減摩装置16,ブレーキ18および釣糸導入部20等との相対位置を適宜調節し得るからである。案内・減摩装置16やブレーキ18の位置を調節可能とすることも可能であるが、スピニングリール12の位置を調節可能とする方が容易であり、その手段も従来から知られている。
【0006】
スピニングリール12は、リール本体40,スプール42,ハンドル44,ロータ46,ベール48等を備えている。ベール48は、図1に実線で示す作用位置と二点鎖線で示す解放位置とに移動させることができ、作用位置では、回転可能なガイドローラ50において糸14と係合する。この状態で、ハンドル44を回せば、リール本体40内部の伝達機構を介してロータ46が回転させられ、ベール48のガイドローラ50が糸14をスプール42に巻き付ける。それと同時に、スプール42が軸方向に往復移動させられるため、糸14はスプール42の巻回胴部の全長にわたってほぼ均一な厚さに巻かれる。ロータ46の逆回転は、操作部材52の操作により、図示しない一方向クラッチが解除状態から作用状態に切り換えられることにより防止される。
【0007】
案内.減摩装置16は、図2に拡大して示すように、漏斗状のカバー60の内部に、固体潤滑剤(本実施形態では石墨)により形成した案内・減摩部材62を配設したものである。案内・減摩部材62には、糸通路として、竿10の基端側から竿先側に向かうにつれて横断面積が減少する貫通孔64が形成されており、この貫通孔64の内周面に糸14が接触すれば、糸14の外周面に固体潤滑剤が付着して、竿10との間の摩擦係数が減少させられる。また、貫通孔64は、糸14の長手方向と直交する方向の振れを防止して、確実にブレーキ18を通過するように案内する機能も果たす。
【0008】
ブレーキ18は、図2に拡大して示すように、竿10に固定の固定ブレーキ片70と、その固定ブレーキ片70に接近,離間可能な可動ブレーキ片72とを備えている。可動ブレーキ片72は、2枚のばね鋼製の板ばね74,76から成る保持アーム78の自由端に保持されている。保持アーム78の基端部は竿10に固定されており、保持アーム78の自由状態においては、可動ブレーキ片72が保持アーム78の弾性に基づく比較的小さい力で固定ブレーキ片70に押しつけられるようになっている。その結果、糸14はブレーキ片70,72間に弾性的に挟まれて、長手方向の移動は許容されるが、回転は防止された状態となる。この状態がブレーキ18の回転防止状態なのである。
【0009】
ブレーキ18は、この回転防止状態から、ブレーキ制御ロッド80により、移動阻止状態と解除状態とに切り換えられる。ブレーキ制御ロッド80は、竿10に固定の保持部材82によって軸方向に移動可能に保持されており、先端に保持アーム78に作用する作用部84を備えている。図示の例では、ブレーキ制御ロッド80は、竿10の軸方向に平行に延びており、先端部が直角に曲げられた後、円弧状に湾曲させられて竿10の外周を半周し、その先端に保持アーム78の長手方向と直交する向きに延びる作用部84が形成され、その作用部84が、保持アーム78を構成する2枚の板ばね74,76の間に嵌入させられている。ブレーキ制御ロッド80の後端部は、保持部材82から突出しており、その突出端にブレーキ操作部材としての操作ボタン86が取り付けられている。この操作ボタン86が竿10に固定のガイド87と係合させられることにより、ブレーキ制御ロッド80の軸線まわりの回転が防止されている。また、ブレーキ制御ロッド80は、保持部材82との間に配設された弾性部材としての圧縮コイルスプリング88により後退方向に付勢されているが、操作ボタン86がガイド87に形成されたストッパ94に当接することにより、それ以上の後退が不能な状態にある(図2においてBで示す位置)。この状態では、作用部84は、板ばね74,76のいずれにも接触せず、ブレーキ18は上記回転防止状態にある。
【0010】
操作ボタン86に図1において矢印Nで示す向きの力が加えられれば、操作ボタン86はストッパ94の山を乗り越えて凹部96に係合する状態となる(図2においてAで示す位置)。この状態では、作用部84が板ばね76に作用し、保持アーム78を竿10側に引き付け、可動ブレーキ片72を固定ブレーキ片70に強く押しつける状態となる。その結果、竿10が振られて、仕掛け24の遠心力により糸14が竿先側へ引っ張られても、糸14は長手方向に移動しない。ブレーキ18のこの状態が移動阻止状態なのである。
【0011】
また、操作ボタン86が図1に矢印Mで示す方向に操作され、ブレーキ制御ロッド80が、図2のBの位置から圧縮コイルスプリング88の付勢力に抗してCの位置まで前進させられれば、作用部84が板ばね74に作用し、保持アーム78を竿10から離間する向きに回動させて、可動ブレーキ片72を固定ブレーキ片70から離間させ、糸14が両ブレーキ片70,72により弾性的に挟まれない状態となる。ブレーキ18のこの状態が解除状態である。通常は、操作ボタン86がストッパ98に当接することにより前進を停止するが、その状態から、操作ボタン86をさらに強く操作すれば、操作ボタン86がストッパ98の山を乗り越えて、凹部100に係合した状態で安定する(図2においてDで示す位置)。この状態では、可動ブレーキ片72が固定ブレーキ片70から離間した状態が保たれるのであり、糸14を案内・減摩装置16,ブレーキ18および糸導入部20を経て竿10の内部に挿入する等の作業を容易に行うことができる。
【0012】
以上の説明から明らかなように、保持アーム78,ブレーキ制御ロッド80,圧縮コイルスプリング88,操作ボタン86,ガイド87,ストッパ94,98,凹部96,100等により、ブレーキ18の切換装置が構成されているが、切換装置はこの態様に限定されるわけではなく、要するに、操作ボタン86等のブレーキ操作部材の操作により、ブレーキ18が回転防止状態および解除状態に切り換えられればよく、移動阻止状態にも切り換えが可能であればさらによく、ブレーキ操作部材に力を加え続けなくても、移動阻止状態と解除状態との少なくとも一方を維持する操作状態維持装置を備えれば一層よい。
【0013】
上記ブレーキ18は、図1に二点鎖線で示されているカバー102により覆われている。カバー102は、竿10の長手方向に移動して、ブレーキ18を覆う覆蓋位置と覆わない開放位置とを取り得るようにされており、図示しない保持装置によって覆蓋位置と開放位置とに安定に保たれるようにされている。カバー102は、ブレーキ18を保護する機能と、糸14が風で流されるなどして、ブレーキ18の構成部材に絡みつくことを防止する機能とを果たすものであるが、省略することも可能である。
【0014】
本実施形態の釣具にはさらにいくつかの工夫が施されている。その一つは、前記ベール48の構造である。ベール48は通常のベールより小形にされ、スプール42との間の隙間が小さくされるとともに、図3および図4に示すように、糸バラケ防止部108が設けられている。これらは、ベール48が開放位置にされた状態で、スプール42から糸14が引き出される際、糸14がスプール42の半径方向にあまり大きく広がると、次に引き出されるべき部分まで一緒に引き出されてしまう「糸バラケ」と称される現象が発生し易くなるため、広がりを抑制するための工夫である。この構造は、同時に、引き出された糸14が、案内・減摩部材62の貫通孔64に円滑に入り易くする効果も奏する。
【0015】
上記糸バラケは、糸14が、本発明に従って1巻分に1回捩じられた状態でスプール42に巻かれている場合の方が、従来に比較して発生し易い。したがって、上記工夫は本発明の実施時に同時に採用されると特に有効である。ただし、ブレーキ18が移動阻止状態にあるときに、ベール48が糸14と係合しない解放位置に回動させられた場合には、糸バラケが従来より発生しにくい。ブレーキ18の解除状態でベール48が解放位置へ回動させられ場合に糸バラケが生じ易いのである。
【0016】
本実施形態の釣具においてはまた、竿10の内周面に、水をはじくはっ水剤が塗布されており、内周面に水滴が付着し難くされている。竿の内周面に水滴が付着すれば、その水滴に糸14が付着して、円滑に竿10の内部を移動しなくなり、仕掛け24を遠くへ飛ばすことができなくなる。そこで、水滴の付着を防止するために、はっ水剤が塗布されているのである。
【0017】
その上、竿10の先端ガイド22には、図5に示すように竿10内への水や異物の進入を防止する工夫が施されている。まず、糸14の出入口112が、ラッパ形ではなく、ほぼ全体がストレートの貫通孔とされ、先端開口近傍のみに小さい曲率半径の丸みが付けられている。これは、雨水や、糸14に付着した水滴,異物等が先端ガイド22内に侵入し難くするためである。同じ目的で、出入口112に続く部分には、フィルタエレメント114が充填され、そのフィルタエレメント114の中央に形成された細い貫通孔を通過して糸14が出入りするようにされている。さらに、フィルタエレメント114の内側には、侵入防止リップ116が設けられている。侵入防止リップ116は、先端ガイド22の内部空間を2つに仕切る隔壁118の中央部から出入口112側へ突出させられた筒状の部分であり、その侵入防止リップ116の外周部には、フィルタエレメント114と侵入防止リップ116とにより、竿10の内部に侵入することを阻止された水や異物を外部に排出するための排出孔120が複数個形成されている。なお、図には示されていないが、先端ガイド22は分解して内部の清掃あるいは洗浄を行い得るようになっている。
【0018】
以上のように構成された釣具の使用方法は以下の通りである。本釣具を図1の状態に組み立てた後、釣針32に餌を付け、ベール48を開放状態とする。この状態では、操作ボタン86がストッパ94の凹部96と係合させられており、ブレーキ18は移動阻止状態にある。竿10の基端部を右手で握り、親指を操作ボタン86に掛けた状態で竿10を振る。仕掛け24に遠心力が生じて糸14が引かれるが、ブレーキ18が移動阻止状態にあるため糸14は引き出されない。竿10が直立あるいはそれよりやや前傾した姿勢となったとき、親指で操作ボタン86を前方へ押し、ストッパ94の凹部96から離脱させるるとともに、ブレーキ制御ロッド80を圧縮コイルスプリング88の付勢力に抗して前進させる。それにより、ブレーキ18が回転防止状態を経て解放状態に切り換えられ、糸14が長手方向に軽快に移動し得る状態となる。
【0019】
したがって、糸14はスピニングリール12から引き出されるのであるが、その際、1巻分引き出される毎に1回転ずつの捩じれが発生する。しかし、本釣具においては、先に糸14がスピニングリール12に巻き取られる際、1巻分に1回転ずつの捩じれが与えられた状態で、スプール42に巻かれており、この捩じれの向きが、糸14がスピニングリール12から引き出される際に生じる捩じれと逆向きであるため、後者の捩じれが前者の捩じれによって相殺され、糸14は殆ど捩じれのない状態で竿10内を通り、先端ガイド22から引き出される。すなわち、糸14がスピンニングリール12に巻き取られる際には、親指が操作ボタン86から離され、ブレーキ制御ロッド80が圧縮コイルスプリング88の付勢力により、ストッパ94に当接するまで後退することが許容されて、ブレーキ18が回転防止状態に切り換えられるため、糸14の長手方向の移動は許容されるが、回転はほぼ完全に防止される。この状態で、ハンドル44の操作によりベール48が回転させられて糸14がスプール42に巻き付けられれば、1巻毎に1回転の捩じれが発生し、この捩じれが竿先側へ逃げることがブレーキ18により防止されるため、捩じれはほぼ完全にスピニングリール12に巻き込まれるのである。
【0020】
上記のように、スピニングリール12から引き出された糸14は殆ど捩じれのない状態で竿10内を通過するため、従来のように、糸ヨレが生じた状態で通過する場合に比較して、移動抵抗が著しく小さくなる。その上、先端ガイド22の工夫により水や異物の竿10内への侵入が良好に防止されるとともに、竿10の内面にははっ水剤が塗布されて水滴の付着が防止されており、さらに、糸14には案内・減摩装置16により固体潤滑剤が塗布されているため、糸14は一層軽快に竿10内を移動する。したがって、仕掛け24を従来に比較して著しく遠くへ飛ばすことができる。おもり30を始めとする仕掛け24の質量が比較的小さい場合でも、仕掛け24は十分に遠くへ飛ばすことができるのであり、本発明の効果は、仕掛け24の質量が小さい場合に特に顕著に現れる。糸14にもはっ水剤を塗布すれば、一層効果的である。
【0021】
本発明の別の実施形態を図6に示す。この実施形態は、回転抑制部(ないし回転防止部)が、糸の長手方向と直交する向きにV字形に開いた隙間であって、幅の最も狭い部分が糸の直径より小さいものを形成するV字形隙間形成装置130を含むものであり、特に、V字形隙間形成装置130が複数(図示の例では3個)のVプーリ132を主体として構成されたものである。複数のVプーリ132は一列に並んで、ブラケット134により釣竿10に取り付けられており、各Vプーリ132は釣竿10の軸線と直角に立体交差する各回転軸線のまわりに回転可能である。ブラケット134は、一対の取付脚部136を備えている。各取付脚部136は、図7に示すように、半円周以上の円弧を形成しており、釣竿10に固定された円筒状の支持部材140に取り付けられている。支持部材140の軸方向に隔たった2か所に浅い円環状溝142がガイド部として形成されており、ブラケット134は、各円環溝142に各取付脚部136が嵌合されることにより、釣竿10の長手方向の位置を決められている。取付脚部136の内径は円環状溝142の溝底面の直径より小さくされており、取付脚部136は支持部材140を弾性的に巻き締めている。したがって、ブラケット134は自由には支持部材140のまわりを回転しないが、取付脚部136と支持部材140との間の摩擦抵抗に打ち勝つだけの回転トルクを加えれば、回転させることができる。円環状溝142は、ブラケット134の軸方向の移動を防止しつつ回転を案内するガイド部として機能するのである。
【0022】
糸14は、図示しないスピニングリール12から引き出され、糸導入部20から釣竿10内に導入されるが、その直前において、複数のVプーリ132に交互に反対側から巻き掛けられ、蛇行しつつV字形隙間形成装置130を通過する。Vプーリ132のV溝144は、図7に示すように、溝底が鋭利に尖った形状を有し、そのために、糸14がいかに細いものであっても溝底に接触することはなく、V溝144の一対の側壁面の楔効果により糸14と側壁面とが、適度な面圧(この面圧はV溝144の開き角度が小さいほど大きくなる)で互いに接触する。特に、Vプーリ132が複数直列に設けられ、糸14が蛇行しつつVプーリ132に係合するようにされているため、糸14と側壁面とが一層良好に押しつけられる。さらに、糸導入部20と、その糸導入部20に最も近いVプーリ132との相対位置が、糸14が糸導入部20において大きな角度(30度以上であることが望ましく、図示の例では約60度である)折れ曲がるように設定されているため、糸14と糸導入部20との接触抵抗が大きくなり、糸14が効果的にV溝144の側壁面に押しつけられる。本実施形態においては、糸導入部20が抵抗付与装置として機能するようにされているのである。
【0023】
V字形隙間形成装置130は以上のように構成されているため、糸14が複数のVプーリ132に巻き掛けられた状態では、V溝144の一対の側壁面に挟まれて回転が防止されるのであるが、Vプーリ132は回転することにより糸14の長手方向の移動は容易に許容するため、糸14に大きな移動抵抗が与えられることはない。この事実は、釣針32に魚が掛かった状態で糸14がスピニングリール12に巻き取られる場合に特に重要な意味を持つ。
【0024】
釣竿10を振って仕掛け24が遠くへ投げられる際には、糸14がVプーリ132から外され、Vプーリ132およびブラケット134が、図7に実線で示されている作用位置から、二点鎖線で示されている解除位置へ移動させられる。本実施形態においては、Vプーリ132を保持しているブラケット134が、糸14をVプーリ132に係合させる作用位置と、係合させない解除位置とに移動可能な制御部材としても機能するのである。ブラケット132を上記作用位置と解除位置とに安定に維持するために、取付脚部136と支持部材140とには、互いに係合する係合突部146と係合凹部148とが設けられている。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態を図8に示す。この実施形態は、回転抑制部(ないし回転防止部)が、糸が外周面に巻き掛けられる胴部156と、その胴部156から半径方向外向きに突出する状態に設けられ、胴部156の軸方向に互いに接近離間可能な一対の挟みフランジ158,160と、それら挟みフランジを158,160を互いに接近する向きに付勢する付勢装置162とを有するものである。一対の挟みフランジ158,160の一方160は胴部156の一端から半径方向外向きに延びており、他方の挟みフランジ158は胴部156の外側に摺動可能に嵌合されたスリーブ164の一端から半径方向外向きに延びていて、互いに対向している。これら一対の挟みフランジ158,160の互いに対向する内側面の外周部には面取りが施されて、糸14を両挟みフランジ158,160の間に挟み易くされている。
【0026】
上記付勢装置162は、上記胴部156の挟みフランジ160側とは反対側の端部と同軸かつ一体に形成された作用面としての第一テーパ面170、その第一テーパ面170と弾性的に係合するばね部材としてのU字形ばね172、上記スリープ164に形成された一対の保持溝174を備えている。U字形ばね172は一対の保持溝174によりスリーブ164の半径方向には移動可能であるが、軸方向には移動不能に保持されており、かつ、図9に示すように、一対のアームに互いに対向する一対の円弧部176を備えている。U字形ばね172は自由状態においては、図9に示す状態より一対のアームの間隔が狭くなるように製造されており、取付状態では、一対の円弧部176が第一テーパ面162に弾性的に係合することにより、斜面の効果で胴部156を図8において左方へ、すなわち挟みフランジ60が挟みフランジ158に接近する向きに付勢している。そのため、糸14は一対の挟みフランジ158,160により弾性的に挟まれ、自身の軸線まわりの回転を防止される。
【0027】
上記胴部156,挟みフランジ158,160および付勢装置162は、すべり軸受180を介して保持具182により回転可能に保持されており、保持具182からのスリーブ164の抜出しは、止め輪184により防止されている。第一テーパ面170より外側には、さらに第一テーパ面170とは傾斜の向きが逆である第二テーパ面186およびストッパ面188が形成され、最外端部は操作部190とされている。図8の状態から、操作部190が保持具182側へ押されれば、U字形ばね172が弾性変形により拡開され、第一テーパ面170の最大径部を越えて第二テーパ面186に係合するに到る。その結果、斜面の効果で胴部156が図8において右方に付勢され、挟みフランジ160が挟みフランジ158から離間させられる。この状態では、糸14は一対の挟みフランジ158,160により弾性的に挟まれない解放状態となり、自由に移動可能となる。この状態では、U字形ばね172がストッパ面188と係合し、胴部156がスリーブ164から離脱することを防止する。保持具182は弾性変形可能な取付脚部192等適宜の取付手段により釣竿10に取り付けられる。
【0028】
糸14がスピニングリール12に巻き取られる際には、一対の挟みフランジ158,160が糸14を弾性的に挟む作用状態とされる。この状態においては糸14の長手方向の移動は、胴部156,挟みフランジ158,160の回転により抵抗少なく許容されるため、糸14は容易にスピニングリール12に巻き取ることができ、しかも糸14の回転は挟みフランジ158,160により防止されているため、糸14が1回スプール42に巻き付けられる毎に1回転分生じる捩じれは確実にスプール42に巻き込まれる。
【0029】
仕掛け24が遠くへ飛ばされる際には、一対の挟みフランジ158,160が解放状態とされる。それにより、糸14は殆ど抵抗なく長手方向に移動し、仕掛け24は十分遠くへ飛ぶことができる。なお、この際、糸14を胴部156および挟みフランジ158,160から完全に外して、それらと取付脚部190との間を通過して、直接糸導入部20に導入されるようにすれば、糸14の屈曲量が少なくなって、一層移動抵抗が小さくて済む。本実施形態においては、操作部190が操作部材を構成している。
【0030】
なお、胴部156,挟みフランジ158,160を回転しないものとすることも可能である。その場合には、糸14は胴部156の外周面上を滑って長手方向に移動することになる。また、一対の挟みフランジ158,160を、互いに接近する向きに付勢された作用状態と、互いに離間させられた解放状態とに切り換える装置を、前記図1ないし図5に示した実施形態におけるブレーキ操作部材に類似のフランジ操作部材を含むものとすれば、一層使い勝手がよくなる。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態を図10に示す。本実施形態は、回転抑制部(ないし回転防止部)が、糸14を、その糸14の長手方向において2回以上湾曲させつつ案内する湾曲ガイド部196により構成されている。湾曲ガイド部196は、ブラケット198に複数本(図示の例では4本)のピン200が一列に並んでかつ互いに平行に立設されたものであり、各ピン200は軸方向の中間部に円環状溝202を備えている。円環状溝202は図示の例では半円形の断面形状を有しているが、矩形,U字形等他の形状でもよい。ブラケット198は、図11に示す円筒部204等の取付部において釣竿10に取り付けられる。
【0032】
糸14がスピニングリール12に巻き取られる際には、糸14は、複数のピン200の間を縫う状態で通過させられ、各ピン200の円環状溝202の底面(溝底面と称する)に接触させられる。糸14は、それ自体の弾性により溝底面に弾性的に接触するが、糸14が長手方向に移動すれば、移動の上流側のピン200の溝底面により糸14に加えられる移動抵抗により、糸14に張力が加えられ、それによって下流側のピン200の溝底面に対する接触面圧が高められる。また、糸導入部20において糸14が屈曲させられているため、ここでも糸14に移動抵抗が加えられ、糸14に張力が与えられる。さらに、仕掛け24あるいは釣れた魚により、糸14に張力が加えられれば、その張力に基づいても溝底面に押し付けられる。以上の理由によって糸14と溝底面との接触面圧が生じ、それに基づく摩擦力により、糸14の軸線まわりに回転が抑制される。また、糸14は湾曲すること自体によっても軸線まわりに回転し難くなる。したがって、糸14がスプール42に1巻きされる毎に生じる1回の捩じれが竿先側へ逃げることが良好に抑制され、ほぼ完全にスピニングリール12に巻き込まれる。
【0033】
仕掛け24が遠くへ飛ばされる際には、糸14が、図11に二点鎖線で示されているように、湾曲ガイド部196から外され、直接糸導入部20に到る状態とされる。この状態では糸14に加えられる移動抵抗が十分小さくなり、かつ、糸14は糸ヨレが殆どない状態となっているため、釣竿10の内周面との接触抵抗も小さくて済み、仕掛け24は十分な距離飛び得る。
【0034】
本実施形態においては、4本のピン200が一直線上に一列に並んで設けられているが、ピン200は曲線上に並んで設けられてもよい。例えば、糸導入口20に近い位置から曲線的に延び、糸導入口20ら遠ざかるにつれて竿10からも遠ざかるがその量が徐々に減少する曲線上に、複数のピン200を並べて設けるのである。また、釣糸14がスピニングリール12に巻き取られる際、釣糸14は必ずしもすべてのピン200に係合させられる必要はない。糸14の太さや剛性率等に応じて、適宜選定されたピン200に係合させられればよいのである。さらに、ピン200を自身の軸線まわりに回転可能とすることも可能であり、その場合には、魚が釣れた状態で糸14がスピニングリール12に巻き取られる際における釣糸14の移動抵抗を軽減し得る。
以上の説明から明らかなように、糸14が湾曲ガイド部196に係合させられた状態が湾曲ガイド部196の作用状態であり、糸14が外された状態が非作用状態である。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態を図12に示す。本実施形態においては、回転抑制部(ないし回転防止部)が、糸14の長手方向と交差する回転軸線のまわりに回転可能に設けられたプーリ210を備えている。プーリ210は、図13に示すように、釣竿10に固定されたブラケット212により軸214を介して回転可能に保持されている。プーリ210は外周面に円環状溝216を備えている。図示の円環状溝216はU字形の断面形状を有しているが、任意の断面形状とすることができる。ただし、プーリは、外周面が、外径が最小の部分から当該プーリの軸方向に隔たるにつれて外径が漸増する形状を有するものとされることが望ましい。このようにされれば、糸14がプーリに1回以上巻かれたとき、糸14は外径が最小の部分に落ちつき、糸14の移動経路が安定するからである。
【0036】
糸14がスピニングリール12に巻き取られる際には、糸14が1回以上プーリ210に巻き付けられる。その際、図12に示すように、時計まわりに巻き付けられることが望ましい。そのようにすれば、逆向きに巻き付けられる場合に比較して、糸導入部20における糸14の屈曲角度が小さくて済み、摩擦抵抗が小さくて済むからである。スピニングリール12に糸14が巻かれる際、糸14に作用する張力により糸14がプーリ210の円環状溝216の溝底面に押しつけられ、摩擦抵抗が生じて糸14の軸線まわりに回転が防止される。また、糸14はプーリ210の回転により軽快に長手方向に移動することができる。
【0037】
仕掛け24が遠くへ飛ばされる際には、糸14がプーリ210から外される。
その状態では、糸14はプーリ210と接触することなく糸導入部20に到達することができ、プーリ210が糸14の移動経路から離れた位置へ移動させられる必要がない。そのようにプーリ210の配設位置が選定されているのである。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態を図14および図15に示す。本実施形態においては、回転抑制部(ないし回転防止部)が、受面222と、自身の弾性によりその受面222に弾性的に接触するばね部材224とを備え、それら受面222とばね部材224との間に糸14を弾性的に挟むことにより糸14の回転を抑制する挟み装置226を含む。受面222は取付部228により釣竿10に固定される台部230の上に形成され、受面222には、糸14が受面222とばね部材224との間を通過するように案内するガイドが設けられている。図示の例では、ガイドは、受面222から立ち上がった4個の突起234により構成されている。ばね部材224は、ほぼU字形をなし、一対のアームの一方が台部230内に埋設された状態で固定され、他方のアームが受面222に弾性的に接触するようにされている。なお、図14,15においては、ばね部材224が、ばね鋼製の板材が単純にUの字形に曲げられたものとして示されているが、少なくとも糸14に接触する部分は、糸14を傷つけることがないように、丸みを有する形状とされることが望ましい。
【0039】
糸14がスピニングリール12に巻き取られる際には、ばね部材224が弾性変形させられ、受面222から離されて、両者の間に糸14が入れられる。糸14が左右2本ずつの突起234の間を通過する状態で、ばね部材234の弾性変形が解除されれば、糸14は受面22とばね部材224との間に弾性的に挟まれ、突起234により両者の間からの離脱を防止された状態になる。この状態では、糸14は軸線まわりに回転せず、捩じれが竿先側へ逃げることなく、良好にスピニングリール12に巻き込まれる。
【0040】
仕掛け24が飛ばされる際には、糸14が受面22とばね部材224との間から離脱させられて自由な状態とされる。挟み装置226は、糸14が図示しない糸導入部20からスピニングリール12へ延びる経路から釣竿10側へ外れた位置に設けられているため、仕掛け24が飛ばされる際にスピニングリール12から引き出された糸14が挟み装置226に絡むことはない。本実施形態の回転抑制部はブレーキの一種であると考えることもできる。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態を図16ないし図19に示す。本実施形態は、回転抑制部としてのVプーリ250にスリット252が形成された点と、糸案内254が設けられた点に特徴を有している。スリット252の形成によって、Vプーリ250による釣糸14の回転防止機能が向上させられる。また、スリット252が、図16,17において、Vプーリ250の外周側に向かうに従って反時計方向(釣糸14がスピニングリール12に巻き取られる際の回転方向とは逆の方向)に進む向きの渦巻き形に形成されることによって、投てき時に釣糸14がVプーリ250のV溝から外れ易くされている。
【0042】
上記糸案内254は、図18に拡大して示すように、概して、スピニングリール12の軸線と釣竿10の軸線とを含む平面にほぼ平行な方向(図18において上下方向)に延びる長穴状の案内穴256を有している。この案内穴256は、長手方向の両端部に形成された円形穴である端穴部260,262と、それら両端穴部260,262の直径より小さい幅で延びて両端穴部260,262をつなぐ接続溝部264とを備えている。接続溝部264は円弧状に形成されている。スピニングリール12から繰り出される際、釣糸14は図16に誇張して記載されているように旋回運動を行うが、その旋回運動によって釣糸14が端穴部260側から端穴部262側へ移動する軌跡に近い形状とされているのである。そのため、投てき時には当初端穴部260を通過している釣糸14が、上記旋回運動に伴って端穴部262側へ移動し、殆ど端穴部262を通過して竿先側へ移動することとなる。釣糸14は、スピニングリール12に巻き取られる際にはVプーリ250のV溝に係合することが許容され、スピニングリール12から繰り出される際には糸案内254によってVプーリ250から離れた状態に維持されるのである。そのため、釣糸14がスピニングリール12から繰り出される際にVプーリ250に係合して接触抵抗が増大することが良好に回避される。
【0043】
糸案内254の案内穴256の形状は、上記実施形態のものに限定されるわけではない。例えば、図19に示す種々の形状とすることができる。一番左の案内穴268は接続溝部270が直線状とされたものであり、左から2番目の案内穴272においては、接続溝部274が、図18の接続溝部264の長手方向の中央部が全体の円弧とは逆向きに湾曲させられた形状とされている。3番目の案内穴276は、釣竿10に近い側から遠い側に向かうに従って幅が漸増する形状とされている。最後の案内穴278は、一番左の案内穴268が、スピニングリール12の軸線と釣竿10の軸線とを含む平面に対して小角度傾斜させられたものである。傾斜の方向は、前記釣糸14の旋回運動による移動方向に近づく方向とされている。
【0044】
上記実施形態においては、糸案内254が、スピニングリール12と回転抑制部としてのVプーリ250との間に設けられていたが、糸案内を回転抑制部と同じ軸方向位置に設けることも可能である。その一例を図20,21に示す。図20から明らかなように、本実施形態においては、回転抑制部としてのVプーリ250が設けられておらず、代わりに、糸案内282が回転抑制部を兼ねるようにされている。すなわち、図21に示すように、糸案内282が、スピニングリール12の軸線と釣竿10の軸線とを含む平面にほぼ平行な方向に延びる長穴状の案内穴284を備え、その案内穴が釣竿10から遠い側の端に端穴部286を有し、それに続く接続溝部287を有していることは前記実施形態と同じであるが、釣竿10に近い側の端には端穴部が設けられておらず、代わりに、釣竿10に近い側ほど幅が小さくなるV溝部288が設けられている。このV溝部288は、文字通り幅が直線的に減少するV字形の溝でもよい。しかし、本実施形態においては溝の側壁面が内側に凸に湾曲させられており、V溝部の深い部分ほど両側壁面のなす角が小さくなるようにされている。このV溝部288が釣糸14の外周面に係合して、釣糸14の軸線まわりの回転を抑制する回転抑制部を構成しているのであり、かつ、釣糸14がV溝部288の深い部分と係合するほど回転抑制機能が強くなるようにされているのである。
【0045】
さらに、V溝部288の底から一定の幅のスリット290が形成されるとともに、案内穴282にほぼ平行にスリット292が形成されることにより、案内穴284のV溝部288およびそれに近い部分の側壁294が弾性変形可能とされている。そして、糸案内282のスリット292より外側の部分に、調節ねじ296が螺合されており、その調節ねじ296の先端が上記案内穴284の側壁294に当接させられている。したがって、調節ねじ296を回転操作して側壁294に向かう向きに移動させれば、側壁294を弾性変形させ、V溝部288の幅を減少させることができる。それにより、同じ直径の釣糸14でもV溝部288内へ入り込み得る深さが浅くなり、回転抑制機能が低くなる。調節ねじ296を逆向きに回転させれば、側壁292の弾性変形の復元により、V溝部288の幅を増大させることができ、回転抑制機能が強くなる。なお、スリット290,292,調節ねじ296を省略することも可能である。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態を図22および図23に示す。本実施形態においては、Vプーリ300により回転抑制部が構成されている点は前記図16の実施形態と同じであるが、釣糸14が係合する位置が逆になっている。図16においては釣糸14が釣竿10側とは反対側においてVプーリ250に係合していたのに対し、本実施形態においては釣竿10側から係合するようにされているのである。スピニングリール12のベール48の回転につれて釣糸114は、Vプーリ300との係合点を頂点とする円錐面の軌跡を描くのであるが、その円錐面のどの位置にある状態においても、釣糸14がVプーリ300と係合し続けるように、スピニングリール12とVプーリ300との相対位置が設定されているのである。Vプーリ300はブラケット302により、釣竿10の軸線と直角に立体交差する回転軸線のまわりに回転可能に保持されており、そのブラケット302に釣糸14の通過を許容する切欠304が形成されている。Vプーリ300およびブラケット302はカバー304で覆われている。
【0047】
本実施形態においては、釣糸14がスピニングリール12に巻き取られる際にはVプーリ300の釣竿10に近い側に係合し、回転が抑制されるため糸ヨレの発生が良好に回避される。そして、仕掛け24が投てきされる前に、図22に二点鎖線で示されているように、釣糸14が釣竿10の外周面に押しつけられた際、釣糸14は必然的にVプーリ300のV溝から離脱させられる。Vプーリを回転抑制部とする場合には、V溝の両側壁面間の角度によっては釣糸14がV溝の底部に食い込んだ感じとなり、V溝から離脱させるのに一定の力が必要になることがある。仕掛け24の質量が大きい場合には、殆ど影響がないのであるが、質量が小さい場合には仕掛けの飛距離が減少することとなる。それに対し、本実施形態においては、上記のように投てき前に釣糸14が必ずVプーリ300から離脱させられるため、仕掛け24が軽い場合でも飛距離が短くなることはない。
【0048】
図24および図25に示す実施形態においても同様の効果を得ることができる。この実施形態は、本発明を外通し竿に適用したものであり、釣竿10の長手方向に距離を隔てて複数個設けられるガイド310のうち、スピニングリール12に最も近いガイド312にVプーリ314を取り付けたものである。釣糸14がスピニングリール12に巻き取られる際には、ベール48の位置いかんを問わず釣糸14がVプーリ314に係合し続け、ベール48を釣糸14から外す際に釣糸14が釣竿10の外周面に押し付けられれば、釣糸14は必然的にVプーリ314から離脱させられる。
【0049】
本発明を外通し竿に適用した場合の別の実施形態を図26および図27に示す。本実施形態は、釣竿10の長手方向に距離を隔てて複数個設けられるガイド320のうち、最もスピニングリール12に近いもの322自体を回転抑制部として機能させるものである。スピニングリール12とそれに最も近いガイド322とは、互いに同心に配置されており、かつ、ガイド322の内径は、スピニングリール12のベール48の釣糸14との係合部の軌跡である円の直径より小さくされている。そのため、釣糸14がスピニングリール12に巻き取られるとき、釣糸14はスピニングリール12の軸線を中心線とする円錐面の軌跡を描く。つまり、釣糸14はガイド322の内周面に押し付けられるのであり、それによって生じる摩擦力が釣糸14の軸線まわりの回転を抑制する。スピニングリール12への巻取りによって生じた釣糸14の捩じりが竿先側へ逃げることを抑制する作用をなすのである。しかも、釣糸14は、図27において矢印Mで示されているように時計方向に公転するため、ガイド322の内周面との間に生じる摩擦力により、矢印Nで示されている反時計方向の回転モーメントを受ける。この回転モーメントは、釣糸14に反時計方向に自転する傾向を生じさせ、スピニングリール12への巻取りによって生じた釣糸14の捩じり(図27に矢印Pで表されている)が竿先側へ逃げることを抑制する作用をなす。
【0050】
上記摩擦力は、釣糸14に作用する張力が同じであれば、釣糸14のガイド322における屈曲角度θが大きいほど大きくなり、摩擦力を大きくする観点からは6度以上となるようにすることが望ましく、10度以上,15度以上,20度以上となることがさらに望ましい。また、屈曲角度θは、ベール48の釣糸14との係合部の回転軌跡の直径とガイド322の内径との差が大きいほど大きくなるが、前者を大きくしようとすればスピニングリール12が大形化し、後者を小さくすれば、投てき時にガイド322が釣糸14に与える抵抗が大きくなって、仕掛け24の飛距離が小さくなってしまう。そのため、ガイド322とスピニングリール12との距離Lを小さくすることによって、屈曲角度θを大きくすることが有効であり、ベール48の釣糸14との係合部の回転軌跡の直径をDとすれば、3πD≧Lとすることが望ましく、2πD≧L,πD≧Lとすることがさらに望ましい。
【0051】
以上の実施形態においては、回転抑制部がスピニングリール12の前方に設けられていたが、スピニングリール12自体に設けることも可能である。図28に示すように、ベール48の釣糸14との係合部を構成するガイドローラ330を、ボールベアリング,ニードルベアリング等のころがり軸受け332を介して回転可能にベール48に取り付けるとともに、外周面に係合溝334を設けるのである。この構成のスピニングリール12を試作して、投てき実験を行ったところ、釣糸14との係合部が回転不能な従来のベールを備えたスピニングリールに比較して、糸ヨレが良好に防止できることが判明した。係合溝334の形状は、図28に示されているものに限らず、例えば、図29に例示されている横断面形状の係合溝340,342,344,346を始め、種々のものが採用可能である。これら係合溝は、底部側ほど間隔が狭くなり、釣糸14の周方向に隔たった2個所に接触して釣糸14を両側から挟む状態となる一対の側壁を有するものとすることが望ましく、それら一対の側壁のなす角度は鋭角とすること、例えば75°以下あるいは60°以下等とすることが望ましい。ただし、係合溝は底部が丸いU字形の横断面形状を有するものとしてもある程度の効果が得られる。なお、ガイドローラをころがり軸受を介してベールに取り付ける代わりに、軸受メタル,固体潤滑剤を内蔵したオイレス軸受等のすべり軸受を介してベールに取り付けてもよい。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である糸ヨレ防止装置を備えた釣具一式の全体を示す正面図(一部断面)である。
【図2】上記糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図3】図1におけるX矢視図である。
【図4】図3におけるY矢視図である。
【図5】上記釣具における先端ガイドを示す正面断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面図である。
【図7】図6におけるA−A断面図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面図である。
【図9】図8におけるB−B断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す平面図である。
【図11】上記10の糸ヨレ防止装置の正面断面図である。
【図12】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図13】図12におけるC−C断面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す平面図である。
【図15】図14におけるD−D断面図である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図17】上記糸ヨレ防止装置の図16とは異なる状態を示す正面断面図である。
【図18】上記糸ヨレ防止装置の糸案内のみを取り出して示す斜視図である。
【図19】上記糸ヨレ防止装置において採用可能な糸案内の案内穴の形状を複数例示する図である。
【図20】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図21】上記糸ヨレ防止装置の糸案内のみを取り出して示す正面図である。
【図22】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図23】図22におけるE−E断面図である。
【図24】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図25】図24におけるF−F断面図である。
【図26】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図27】図26の糸ヨレ防止装置の作用を説明するための図である。
【図28】本発明のさらに別の実施形態である糸ヨレ防止装置を示す正面断面図である。
【図29】図28の実施形態において採用可能なローラを複数個例示する正面断面図である。
【符号の説明】
10:釣竿 12:スピニングリール 14:釣糸 16:案内・減摩装置 18:ブレーキ 20:釣糸導入部 24:仕掛け 42:スプール 48:ベール 52:操作部材 70:固定ブレーキ片 72:可動ブレーキ片 78:保持アーム 80:ブレーキ制御ロッド 86:操作ボタン 130:V字形隙間形成装置 132:Vプーリ 156:胴部 158,160:挟みフランジ 162:付勢装置 196:湾曲ガイド部 200:ピン 210:プーリ 222:受面 224:ばね部材 234:突起 250:Vプーリ 254:糸案内 256:案内穴 260,262:端穴部 264:接続溝部 300:Vプーリ
312:ガイド 314:Vプーリ 322:ガイド 330:ガイドローラ
Claims (6)
- スピニングリールの前方であって、中通し竿の釣糸導入部よりスピニングリール側の位置または外通し竿の最も基端側の外ガイドまでの位置に設けられ、そのスピニングリールに巻き取られる釣糸の長手方向の移動を許容しつつその釣糸のその釣糸自身の軸線まわりの回転を抑制する回転抑制部を備え、その回転抑制部が、前記釣糸の長手方向と交差する向きにV字形に開いたV字形隙間であって、幅の最も狭い部分が前記釣糸の直径より小さく、V字形隙間の両側面により釣糸を支持するものを形成するV字形隙間形成装置を含むことを特徴とするスピニングリール用糸ヨレ防止装置。
- 前記V字形隙間形成装置が、前記釣糸の長手方向と交差する回転軸線のまわりに回転可能な少なくとも1個の一体のVプーリを有し、その一体のVプーリのV溝の幅の最も狭い部分が前記釣糸の直径より小さくされた請求項1に記載の糸ヨレ防止装置。
- 前記Vプーリを複数有し、それら複数のVプーリが1列に並び、前記スピニングリールに巻き取られる釣糸がそれら複数のVプーリに交互に反対側から巻き掛けられ、それら複数のVプーリの間を蛇行しつつ通過させられる請求項2に記載の糸ヨレ防止装置。
- 前記回転抑制部が、前記Vプーリに対して前記スピニングリールから遠い側の位置に設けられ、前記釣糸の長手方向の移動を許容しつつその釣糸に移動抵抗を付与する抵抗付与装置を含む請求項2または3に記載の糸ヨレ防止装置。
- 前記スピニングリールより前方で前記回転抑制部までの間に設けられ、スピニングリールの軸線とそのスピニングリールが取り付けられた釣竿の軸線とを含む平面にほぼ平行な方向に延びる長穴状をなし、かつ、釣糸がスピニングリールに巻き取られる際には案内穴の釣竿に近い部分を通過し、スピニングリールから繰り出される際には案内穴の釣竿から遠い部分を通過する状態で配設された案内穴を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の糸ヨレ防止装置。
- 前記回転抑制部が、スピニングリールの軸線とそのスピニングリールが取り付けられた釣竿の軸線とを含む平面にほぼ平行な方向に延びる長穴状の案内穴を備えた糸案内を含み、前記案内穴が、(a)釣竿から遠い側の端に設けられた端穴部と、(b)釣竿に近い側の端に設けられ、その釣竿に近い側ほど幅が小さくなり、前記V字形隙間形成装置を構成するV溝部と、(c)それら端穴部とV溝部とを接続する接続溝部とを有する請求項1に記載の糸ヨレ防止装置。
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