JP4650277B2 - 粒径計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、媒体中の粒子の拡散による密度変化から、粒子径を光学的に計測する粒径計測装置に関する。
媒体中の粒子の拡散係数を測定することができれば、粒子に関する情報を得ることができる。そのひとつとして粒子径を計測することもできる。従来より、媒体中の粒子の拡散係数を測定するために顕微蛍光分光法が用いられている。
これは、計測の対象となる粒子を蛍光分子で標識し、顕微鏡下で、これを励起照明し、蛍光を発する計測対象粒子のブラウン運動に伴う蛍光強度変化を計測することにより、計測対象粒子の拡散係数等を求めるものである(特許文献1参照)。
特表平11−502608号公報
上述した特許文献1に開示された顕微蛍光相関分光法による粒子の光学的測定では、測定前の前処理として、計測対象粒子を蛍光分子で標識化する必要があり、標識化のための煩わしい作業を行わなければならない。
また、測定する際は、粒子に標識化処理を施してしまうことになるので、粒子を完全な自然状態で測定することができない。
さらに、顕微鏡視野下で、ブラウン運動によるφ100μm程度以上の蛍光強度変動を計測する必要があるため、拡散係数が小さく、そのため、ブラウン運動速度の遅い粒子では、計測に長時間(例えば計測時間が数十秒から数千秒)を要することになる。
そこで、出願人は、標識化を行うことなく粒子の拡散しやすさを計測するための測定装置として、媒体中で拡散状態の粒子群に電界を印加することによって、粒子群の空間的な濃度変化による擬似的な回折格子を生成し、その回折格子による回折光を検出しつつ、電界の印加を停止して粒子群が再び拡散状態となる間の拡散光の変化から、粒子群の拡散係数を算出することができる粒子計測装置を提案している(特願2004−266768号)。
すなわち、媒体中に拡散している粒子群はゼータ電位を有しているため、粒子群に対して空間に対し周期的に変化する電界を印加することにより、粒子群はその電界に応じて媒体中を移動して凝集するようになり(静電泳動作用)、粒子群に空間周期的な濃度変化が生じ、粒子群による擬似的な回折格子(密度回折格子ともいう)が生成される。密度回折格子が形成された状態で電圧の印加を停止すると、粒子群は濃度が均一となるように再び拡散し、密度回折格子が消失する。
密度回折格子は、粒子群の粒径が小さいほど早く消失する傾向がある。密度回折格子の生成状態から消失までの間、測定光を照射して回折光を検出することにより、回折光の消失に要する時間を計測し、これにより拡散方程式(後述)を利用して粒子群の拡散係数を求めることができる。
求めた拡散係数から粒子径を求めるには、粘性率と温度との入力が必要になる。一般に、拡散係数は、次式(1)で示されるアインシュタインストークスの関係(1)が成立する。
D= KT/ 3πμd ・・・・・(1)
ここで、Dは拡散係数、Kはボルツマン定数、Tは絶対温度、μは媒体の粘性率、dは粒子径である。
上記関係式(1)において、粒子径dは、拡散係数D、温度Tに依存するのみならず、媒体の粘性率μにも依存する。また、粘性率μは媒体の種類によって異なるのみならず、温度変動によっても変化する。
静電泳動などの電気的な泳動作用により媒体中の粒子を移動させて密度回折格子を形成すると、印加電圧の影響で、単に粒子を移動させるだけではなく、試料温度を上昇させてしまうので、粘性率も変化することになる。
このように、粒子径は、拡散係数、温度、粘性率に依存し、その粘性率が温度に依存するため、電気的な泳動作用によって試料温度が変動すると、温度と粘性率との変動の影響を考慮して入力する必要がある。しかしながら、これらの影響を考慮して入力することは煩雑かつ困難な作業であった。
そこで本発明は、測定時における粘性率の入力を行うことなく、拡散係数から粒子径を求めることができる粒径計測装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の粒径計測装置は、媒体の種類が既知である媒体中に被測定粒子を分散させた試料を保持するセルと、電源と、電源からの電圧印加によりセル内の試料に空間周期的に変化する電界を形成する電極と、前記電界により試料中の被測定粒子に電気的な泳動を生じさせた状態で試料に測定光を照射する光源と、空間周期的な電界が形成された状態の試料に測定光を照射することにより発生する回折光を検出する検出器と、電源から電極へ印加する電圧を停止または変調することにより回折光の時間的変化を生じさせる印加電圧制御部と、試料温度を計測する温度センサと、検出器により検出された回折光の時間変化に基づいて粒子の拡散係数を算出する拡散係数算出部と、媒体の種類と温度とに基づいて媒体の粘性率を決定する粘性率決定部と、温度および拡散係数および決定した粘性率に基づいて、媒体中の粒子の粒径を算出する粒径算出部を備えるようにしている。
ここで、試料中の被測定粒子に電気的な泳動を生じさせるための電気的な泳動方法としては、荷電粒子に直流電圧を印加して電気的に泳動させる静電泳動の他に、分極粒子に交流電圧を印加して電気的に泳動させる誘電泳動が挙げられる。
測定光としてはレーザ光が好ましいが、これに限らず、LEDによる光、分光器で分光された光、干渉フィルタやバンドパスフィルタ等で波長範囲が制限された光を用いてもよい。この場合、使用する光の波長幅は数十nm以下の狭い幅にするのがより好ましい。
試料を分散させる既知の媒体物質としては、測定対象物である粒子を泳動できるものであればよく、水等の液体、油粘度の高い流体、ゲル、内部で粒子が移動可能な固体などを用いることができる。
また、上記発明において、媒体物質の種類および温度と粘性率とを関係付けたテーブルを記憶する媒体粘性率記憶領域を有し、粘性率決定部は、媒体の種類および計測した温度と媒体粘性率テーブルとに基づいて粘性率を決定するようにしてもよい。
また、上記発明において、粘性率決定部は、媒体物質の種類および温度に基づいて粘性率を決定するための演算式を用いて粘性率を算出するようにしてもよい。
本発明によれば、媒体物質が既知である媒体中に被測定粒子群を分散させた試料をセル内に入れて保持した状態で、電極に電源からの電圧を印加し、セル内の試料が導入された空間に対して周期的に変化する電界を形成する。すると、試料中の粒子群に電気的な泳動作用が生じ、電界の空間周期に対応した空間周期的な濃度変化が発生し、粒子群による密度回折格子が生じるようになる。光源から密度回折格子が発生している試料に向けて測定光を照射することで、密度回折格子による回折光が生じるので、検出器によって回折光を検出する。その後、印加電圧制御部は、密度回折格子が発生している状態で電極へ印加する電圧を停止または変調することにより電気的な泳動が生じないようにすると、粒子群は徐々に拡散して濃度変化するので、検出器は回折光の時間的変化を観測するようになる。
このときの拡散による粒子の濃度変化は、次式(2)で示される拡散方程式で表現することができる。

ここで、u(x,t)は粒子濃度、xは拡散による粒子の移動方向の位置座標、tは時間、Dは拡散係数である。
予め、粒子濃度に対する回折光強度の変化との関係を求めておく。そして、測定対象の粒子を含む試料について、回折光強度の経時変化を測定し、データを蓄積する。蓄積した経時データに基づいて、拡散係数算出部は、(2)式から検出器で検出された回折光の時間変化データを解析し、拡散係数を得る。
そして、粘性率決定部は、媒体の種類と温度センサにより計測した試料温度との情報に基づいて媒体の粘性率を決定する。
さらに、粒径算出部は、温度および拡散係数および決定した粘性率を用いて、アインシュタインストークスの関係式(1)式に基づいて媒体中の粒子の粒径を算出する。
本発明によれば、測定時における粘性率の入力操作を操作者が行うことなく、拡散係数から粒子径を求めることができる。また、試料温度が泳動により変動する場合でも、温度変動を考慮しつつ粒子径を求めることができる。
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記課題を解決するためになされた別の発明の粒径計測装置は、媒体中に被測定粒子を分散させた試料を保持するセルと、電源と、電源からの電圧印加によりセル内の試料に空間周期的に変化する電界を形成する電極と、前記電界により試料中の被測定粒子に電気的な泳動を生じさせた状態で試料に測定光を照射する光源と、空間周期的な電界が形成された状態の試料に測定光を照射することにより発生する回折光を検出する検出器と、電源から電極へ印加する電圧を停止または変調することにより回折光の時間的変化を生じさせる印加電圧制御部と、試料温度を計測する温度センサと、検出器により検出された回折光の時間変化に基づいて粒子の拡散係数を算出する拡散係数算出部と、試料の粘性率を計測する粘度計測部と、温度および拡散係数および粘性率に基づいて媒体中の粒子の粒径を算出する粒径算出部とを備えるようにしている。
ここで、試料の粘性率を計測する粘度計測部としては、測定原理の違いにより、振動式、落球式、回転式、キャピラリ式などがあるがいずれを用いてもよい。
本発明によれば、予め既知の媒体を用いなくても、粘度計測部の出力により粘性率を求めることができるので、温度および拡散係数とともに、粘度計測部で求めた粘性率を用いて粒子径を算出することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態である粒径計測装置の全体構成を示す概略構成ブロック図であり、図2はセル部分の構成を示す図であり、また、図3はセル部分の電極配置を説明する模式図であり(図3(a)は正面図、図3(b)はそのA−A’断面図)、図4はセル部分における静電泳動作用を説明する図である。
この実施形態は静電泳動により荷電粒子の粒径計測を行うものである。
この粒径計測装置1は、セル10、電源15、光源16(本実施例ではレーザ光源を使用)、レンズ光学系17、検出器18(例えばフォトダイオード)、アパーチャ19、温度センサ25(例えば熱電対)を備えている。
試料を保持するセル10は、図2や図3に示すように、互いに微小な隙間を開けて対向する平行な透明ガラス製のセル壁面10a、10bを含んでおり、使用状態ではこれらのセル壁面10a、10bは鉛直方向に沿うように配置されている。セル壁面10a、10bには、互いに対向する位置にそれぞれ一定間隔を開けて櫛型を形成する多数の指部11a、12aが形成された透明導電膜からなる電極11、12が形成されている。電極11、12には、電源15から+又は−のいずれかの直流電圧が選択的に供給される。
電極11,12への電圧供給により、試料セル10内の試料には指部11a、12aのパターンに応じた空間周期を有する電界が印加されることになる。なお、電極11、12の材料としては、例えばITOを用いることが好ましい。このITOは屈折率が2.0程度であり、セル10(10a、10bを含む)の透明ガラスとして屈折率2.0程度の高屈折率ガラス(例えばオハラ社製商品名s−LAH79;屈折率2.0)を用いることで、電極11、12と屈折率差をなくすことにより、後述する測定光(レーザ光)の照射時に電極自身による回折光が実質的に発生することを抑えるようにしてある。
試料セル10の一方のセル壁面10a側には、光源16から測定光であるレーザ光がレンズ光学系17を介して照射される。セル10を挟んで反対側には、試料セル10を通過するレーザ光の回折光を検出するための検出器18が配置されている。検出器18は、光源16からのレーザ光の光軸に対して回折光を検出できるよう調整可能にしてあり、さらに検出器18の直前には不要なノイズ光を避けるためのアパーチャ19が配置してある。
温度センサ25は、図2(a)に示すように、試料セル10内の試料温度をモニタできる位置に取り付けられる。具体的には温度センサ25としての熱電対やサーミスタを、直接、試料内に入れるようにしてある。この場合に回折光や電界分布に影響を与えないような位置に温度センサ25を入れる必要があるため、セル10は電極11、12が形成される領域よりも横方向に少し大きくして取り付けスペースを確保してある。なお、図2(b)に示すように、セル10の側壁(例えば上面壁)に接触させて間接的に測定するようにしてもよい。間接的に試料温度を測定する場合は、実際の温度と温度差を生じる場合があるので、予め、測定温度と実際の試料温度との対応付けを行うテーブルを作成し、実測温度から対応テーブルを参照して試料温度を推定するようにしてもよい。
また、粒径計測装置1は、さらに制御系として、図1に示すように、装置全体の制御を行う制御部20(入力装置20a、表示装置20bを含む)および制御部20により制御される信号解析部21、印加電圧制御部22a、液輸送・回収部23および制御プログラムや制御に用いるデータを記憶する記憶部24を備えている。これら制御系はCPU、ROM、RAM、HDD等からなるコンピュータシステムにより構成される。
制御系の記憶部24には、図5に示すような、媒体の種類ごとに、温度と粘性率との関係を表したテーブルデータが蓄積されている媒体粘性率記憶領域24aが含まれる。
制御系の制御部20は、粒径計測用プログラムを実行することにより装置全体の制御を行うとともに、キーボード、マウス等の入力装置20a、液晶パネル等の表示装置20bにより、操作者が制御に関する必要なデータや情報を入力したり出力したりできるようにしてある。例えば、本発明に関連する情報の入力として、媒体の種類を入力することができるようにしてある。
信号解析部21は、さらに細分すると拡散係数算出部21aと、粘性率決定部21bと、粒径算出部21cとにより構成される。
拡散係数算出部21aは、検出器18で検出した回折光の検出信号を経時的に取り込み、回折光の時間変化データと拡散方程式(2)とに基づいて拡散係数を求める演算を行う。
粘性率決定部21bは、媒体の種類と温度センサ25により検出された温度とに基づいて媒体粘性率記憶領域24aのテーブルデータを参照することにより、その時点の粘性率を決定する。
粒径算出部21cは、求めた拡散係数、温度センサ25により検出された温度、決定した粘性率と、アインシュタインストークスの関係式(1)とに基づいて、粒子径を算出する演算を行う。
印加電圧制御部22aは、電源15からの出力電圧を電極へ印加するときの電圧値、オンオフのタイミング等の制御を行う。
液輸送・回収部23は、セル10に取り付けられている図示しない液体供給弁、排出弁を制御して試料のセル10への注入、排出を行う。
次に、上記粒径計測装置1による測定動作を、図4を用いてその原理とともに説明する。セル10内には、媒体としての水に、被測定粒子を分散させた状態の試料が充填されている。通常、媒体中に分散している粒子の表面は、+もしくは−の表面電位(ゼータ電位)を持っており、帯電している。電極11、12に、粒子がもつ荷電と同じ極性の電圧を印加する。
例えば、粒子が+の電化を持っている場合には、電極11、12には+の電圧が印加される。ここで、粒子のゼータ電位が小さい場合には、分散剤(界面活性剤)や、媒体液のPH値を変化させるなどの方法で表面電位を調整するようにする。
図4(a)に示すように、試料W中の被測定粒子Pが+の電荷をもっているとして、電極11、12に+電位を印加する。これにより、各粒子Pはクーロン力により電極11、12の各指部11a、12aに対して反発し、図4(b)に示すように、各指部11a、12aの間に移動し(静電泳動)、多数の粒子Pによって指部パターンに応じた空間周期を有する擬似的な回折格子(密度回折格子)が生成される。この状態で試料セル10に対して測定光であるレーザ光を照射すると、多数の粒子Pによる擬似的な回析格子(密度回析格子)により測定光は回析される。
このとき、電極11、12の隣接する指部11a間、指部12a間の距離をΔ、レーザ光の波長をλ、回折角をθ、次数をmとすると、
mλ=Δ・sinθ ・・・(3)
の関係が成立する。
例えば、λ=0.6328μm、指部13a間の距離Δを3μmとしたとき、1次の回折光はθ≒12°の角度に現れる。
検出器18は、レーザ光の光軸に対してこの角度θの位置に配置されており、この回折光の強度を検出する。
図4(b)に示すように、試料に対して電圧により擬似的な回折格子(密度回折格子)が生成されている状態から、電極11、12への電圧印加を停止して電界を消失することにより静電泳動を停止させる(あるいは変調により実質的に静電泳動を停止させる)と、 図4(c)に示すように、各粒子Pは再び拡散状態に戻ろうとする。
粒子Pの拡散により、擬似的な回折格子は消滅し、回折光も消失する。電界の消失時点から回折光が消失する時間は、粒子の拡散時間に依存するので、回折光の消失時間を計測することにより、以下に示すように、粒子の拡散係数Dを算出することができる。
図6に電極11、12に対する電圧のON/OFFのタイミングと、回折光強度の関係の例をグラフで示す。粒子Pの径が大きい場合には、電界の消失時点から粒子Pが拡散して回折格子が消失するまでに要する時間が長く、逆に粒子Pの径が小さい場合にはその時間は短くなる。
拡散による粒子Pの濃度変化は、上述した(2)式、すなわち拡散方程式によって表される。
粒子濃度変化に対する回折光強度の変化を予め求めておくことにより、回折光強度の経時変化を検出することで、(2)式を用いて粒子Pの拡散係数Dを算出することができる。
次に、拡散係数Dから粒子径dを求める演算を行う。上述したように、粒子径dと、拡散係数D、温度T、媒体の粘性率μとの間にアインシュタインストークスの関係式(1)が成立する。既に、拡散係数Dと温度Tとは求められているので、媒体の粘性率μを求める。媒体の粘性率μは、温度情報と、媒体粘性率記憶領域24aに蓄積されている温度と粘性率との関係を表したテーブルデータとに基づいて決定し、これにより関係式(1)から粒子径dを求めることができる。
なお、上記実施形態では温度Tは温度センサ25により計測するようにしているが、試料温度を積極的に一定に維持するように温調機構を設けてもよい。図7は温度調節機構を取り付けた場合のセル部分の構成を説明する図である。図1、図2と同じものについては同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
温度調節機構26は、温度調節機構本体26aとセル温調部26bとからなる。温度調節機構本体26aは、図示しない加熱冷却機構により液体試料の温度が制御できるようにしてあり、温度センサ25による温度測定結果に基づいて試料の温度が制御される。セル温調部26bは、セル10に密着するように循環流路37が形成してあり、温度調節機構本体26aから流路38および流路39を介してされた水、油等の流体(熱媒体)がセル温調部26bに供給、排出されるようにしてある。
このように、温度Tの計測を行うだけでなく、積極的に試料温度を一定温度に維持するようにして計測するようにしてもよい。この場合は、温度の変動幅を狭くすることができるので、予め媒体粘性率記憶領域24aに蓄積しておく温度と粘性率との関係のテーブルにおける温度範囲の幅を減らすことができ、テーブルデータ量を抑えることができる。
(実施形態2)
上記実施形態では、粘性率の決定を、媒体粘性率記憶領域24aに蓄積されている温度と粘性率との関係を表したテーブルに基づいて行っていたが、媒体によっては粘性率の温度依存性を数式化できる。そのため、本実施形態では、温度と粘性率との関係を一般化した数式を用いて、これに計測した試料温度を与えることで粘性率を求め、さらに粒子径dを求めるようにしている。
図8は、本実施形態に用いる粒径計測装置の構成を示す概略構成ブロック図である。粒径計測装置2では、図1で説明した粒径計測装置1における媒体粘性率記憶領域24aに代えて、媒体粘性率算出式記憶領域24bが形成されている。なお、その他の構成については同じであるので、同じ構成部分に対し、同符号を付すことにより、説明を省略する。
媒体粘性率算出式記憶領域24bには、使用する媒体についての温度と粘性率との関係式が記憶されている。以下、数式について具体的に説明する。
媒体として最も一般的である水に対する粘性率算出式としては、以下の数式が記憶されている。

μ=Aexp((1+BT)/(CT+DT)) (4a)

A: 0.1257187×10-1
B: -0.5806436×10-2
C: 0.1130911×10-2
D: -0.5723952×10-3
また、その他の一般的な液体媒体の粘性率算出式としては、媒体ごとに、以下のいずれかの数式とそれぞれの液体媒体ごとに求められた定数A,B,Cとが対になって記憶されている。

μ=Aexp(B/T) (4b)

μ=Aexp(B/(T−C)) (4c)

μ=C/(1+AT+BT) (4d)
したがって、上記粒径計測装置2では、粘性率μを求める際に、計測した温度Tを粘性率算出式(水の場合は(4a)、その他の媒体の場合は(4b)〜(4d)のいずれか)に代入することにより決定し、決定した粘性率を用いて実施形態1と同様の測定動作を行うことにより、粒子径を求めることができる。
(実施形態3)
次に、被測定粒子が荷電粒子ではなく分極粒子である場合についての粒径計測について説明する。分極粒子の場合は誘電泳動を利用する。
図9は、本発明の他の一実施形態である粒径計測装置3の動作原理を説明する図である。
試料を保持するセル10’の一つの壁面を構成するガラス基板42上に(ガラス基板42以外のセル10’の他の壁面は図示を省略している)、2本の平行な直線状電極片13a、13bの対と、同じく2本の平行な直線状電極片14a、14bの対とを交互に配列することにより、回折格子兼電極11’が構成される。回折格子兼電極11’に交流電源15’から交流電圧を印加する。電極13a、13bに対して、電極14a、14bが反対極となるようにして、交流電圧を印加することにより、電気力線が集中する13a−14b間、および14a−13b間に、誘電泳動によって粒子が凝集する。粒子が凝集する領域Qは、回折格子兼電極11’の格子間隔(L)に対し、その2倍の周期(2L)で一定間隔ごとに形成される。粒子が凝集する領域Qは、他の領域より粒子密度が高く、屈折率が異なることから、格子間隔2Lの密度回折格子が形成されることになる。
光源16、レンズ光学系17を用いて、回折格子兼電極11’に向けて光を照射すると、回折格子兼電極11’により生じる本来の回折光パターンが発生するとともに、密度回折格子による回折光パターンが重畳して発生するので、光検出器18を新しく発生した回折光パターンの一次光、二次光、・・・が検出できる位置に合わせることで、新しく発生した回折光の強度を計測する。そして、電圧印加を停止(あるいは変調)すると、粒子が領域Qから拡散することにより、新しく発生した回折光パターンの一次光、二次光が経時的に消失するので、その変化を測定することにより、拡散方程式に基づいて拡散係数を求めることができる。拡散係数が求められた後、粘性率を求め、さらにアインシュタインストークス関係式(1)に基づいて粒子径を求める手順については、実施形態1と同様である。
図10は、図9の動作原理に基づく粒径計測装置3の全体構成を示す概略構成ブロック図である。図1と同じ構成部分については、同符号を付すことにより、説明を一部省略する。
粒径計測装置3は、セル10’、回折格子兼電極11’、交流電源15’、光源16、レンズ光学系17、検出器18、アパーチャ19、制御部20、信号解析部21、印加電圧制御部22a’、液輸送・回収部23、記憶部24を備えている。
光源16とレンズ光学系17は、セル10’の回折格子兼電極11’に測定光を照射するようにしてある。なお、この図の例では、セル10’の回折格子兼電極11’に垂直入射させているが、入射角は図9に示したものと同様に傾斜させてあってもよい。
回折格子兼電極11’を通過した透過回折光は、回折格子兼電極11’による複数次数の回折光パターンA(図中太線で示す)と、密度回折格子による複数次数の回折光パターンB(図中細線で示す)とを発生するが、このうち回折光パターンBのいずれかの回折光が発生する角度に合わせて、検出器18の位置を調整するようにしてある。
交流電源15’は、交流周波数、電圧値が可変であり、印加電圧制御部22a’の制御により、所望の交流電圧が印加および停止(あるいは変調)できるようにしてある。
制御系は、印加電圧制御部22a’が交流電源15’の制御を行う点を除いて、基本的に図1と同じである。
この粒径計測装置3での測定動作は、実施形態1と基本的に同じである。すなわち、
拡散による粒子Qの濃度変化は、上述した(2)式、すなわち拡散方程式によって表されるので、粒子濃度変化に対する回折光強度の変化を予め求めておくことにより、回折光強度の経時変化を検出することで、(2)式を用いて粒子Qの拡散係数Dを算出することができる。
続いて、粒子径dと、拡散係数D、温度T、媒体の粘性率μとの間にアインシュタインストークスの関係式(1)が成立するので、媒体の粘性率μを求める。媒体の粘性率μは、温度情報Tと、媒体粘性率記憶領域24aに蓄積されている温度と粘性率との関係を表したテーブルデータとに基づいて決定し、拡散係数Dと温度Tとは求められているので、これらにより関係式(1)から粒子径dを求めることができる。
上記実施形態3では、媒体粘性率記憶領域24aを用いて粘性率を求めているが、これに代えて、媒体粘性率算出式記憶領域24bを設けて実施形態2と同様に、粘性率を算出するようにしてもよい。
さらに、図7で説明したように温調機構を設けても試料温度を一定に維持するようにしてもよい。
本発明は、試料中の粒子の粒子径を計測する粒径計測装置に利用することができる。
本発明の一実施形態である粒径計測装置の全体構成を示す概略構成ブロック図。 図1の装置におけるセル部分の構成を示す図。 図1の装置におけるセル部分の構成を示す図。 セル部分における静電泳動作用を説明する図。 媒体の種類と温度と粘性率とを関係付けたテーブルの一例を説明する図。 拡散による回折光強度の時間的変化を説明する図。 温度調整機構を取り付けたセルの一例を示す図。 本発明の他の一実施形態である粒径計測装置の全体構成を示す概略構成ブロック図。 セル部分における誘電泳動作用を説明する図。 本発明の他の一実施形態である粒径計測装置の全体構成を示す概略構成ブロック図。
符号の説明
1、2、3: 粒径計測装置
10、10’: セル
11、11’、12: 電極
15: 電源
15’: 交流電源
16: 光源(レーザ光源)
17: レンズ光学系
18: 検出器
20: 制御部
21: 信号解析部
21a: 拡散係数算出部
21b: 粘性率決定部
21c: 粒径算出部
22a、22a’: 印加電圧制御部
24: 記憶部
24a: 媒体粘性率記憶領域
24b: 媒体粘性率算出式記憶領域
25: 温度センサ
26: 温度調節機構

Claims (4)

  1. 媒体の種類が既知である媒体中に被測定粒子を分散させた試料を保持するセルと、電源と、電源からの電圧印加によりセル内の試料に空間周期的に変化する電界を形成する電極と、前記電界により試料中の被測定粒子に電気的な泳動を生じさせた状態で試料に測定光を照射する光源と、空間周期的な電界が形成された状態の試料に測定光を照射することにより発生する回折光を検出する検出器と、電源から電極へ印加する電圧を停止または変調することにより回折光の時間的変化を生じさせる印加電圧制御部と、試料温度を計測する温度センサと、検出器により検出された回折光の時間変化に基づいて粒子の拡散係数を算出する拡散係数算出部と、媒体の種類と温度とに基づいて媒体の粘性率を決定する粘性率決定部と、温度および拡散係数および決定した粘性率に基づいて媒体中の粒子の粒径を算出する粒径算出部とを備えたことを特徴とする粒径計測装置。
  2. 媒体の種類および温度と粘性率とを関係付けたテーブルを記憶する媒体粘性率記憶領域を有し、粘性率決定部は、媒体の種類および計測した温度と媒体粘性率テーブルとに基づいて粘性率を決定することを特徴とする請求項1に記載の粒径計測装置。
  3. 粘性率決定部は、媒体の種類および温度に基づいて粘性率を決定するための演算式を用いて粘性率を算出することを特徴とする請求項1に記載の粒径計測装置。
  4. 媒体中に被測定粒子を分散させた試料を保持するセルと、電源と、電源からの電圧印加によりセル内の試料に空間周期的に変化する電界を形成する電極と、前記電界により試料中の被測定粒子に電気的な泳動を生じさせた状態で試料に測定光を照射する光源と、空間周期的な電界が形成された状態の試料に測定光を照射することにより発生する回折光を検出する検出器と、電源から電極へ印加する電圧を停止または変調することにより回折光の時間的変化を生じさせる印加電圧制御部と、試料温度を計測する温度センサと、検出器により検出された回折光の時間変化に基づいて粒子の拡散係数を算出する拡散係数算出部と、試料の粘性率を計測する粘度計測部と、温度および拡散係数および粘性率に基づいて媒体中の粒子の粒径を算出する粒径算出部とを備えたことを特徴とする粒径計測装置。
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